JP4776271B2 - 平面型ヒートパイプおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
上述したように、常温下での圧接による平面型ヒートパイプの作製はヒートパイプの剛性、製造時のコストの観点で優れている。
図6(a)は従来の圧接前の状態を示すものである。従来は、コンテナ材と同じ材質、同じ硬度のコンテナと別体の伝熱ブロックがコンテナ内に設置されるか、または、切削加工や鍛造などにより下側のコンテナ材と一体的に伝熱ブロックが形成されている。
前記コンテナの材料よりも柔らかい材料で形成され、圧接によって前記上板材および下板材に押し当てられ変形して、前記上板材および前記下板材との間で熱伝導性を発揮するようにコンテナ内に配置され、内部で熱が拡散されて熱密度が低下する伝熱ブロック用部材と、
前記コンテナ内に封入されている作動液と、
前記作動液に関して毛管力を有するウィック材とを備えた、平面型ヒートパイプである。
前記コンテナの材料よりも柔らかい材料で形成され、圧接によって前記上板材および下板材に押し当てられ変形して、前記上板材および前記下板材との間で熱伝導性を発揮するようにコンテナ内に配置され、内部で熱が拡散されて熱密度が低下する伝熱ブロック用部材を調製し、
前記伝熱ブロック用部材を、上下から挟むように相対する凹部内に配置して、前記上板材および前記下板材の前記外周部を合わせ、
前記合わさった外周部を圧接すると同時に、上板材および下板材の内面で前記伝熱ブロック用部材を押し当てて熱的に接続し、
表面が平坦な上板材および下板材からなるコンテナを製造する平面型ヒートパイプの製造方法である。
この発明の平面型ヒートパイプの1つの態様は、外周部が圧接により接合されて形成された表面が平坦な上板材および下板材からなるコンテナと、
前記コンテナの材料よりも柔らかい材料で形成され、圧接によって前記上板材および下板材に押し当てられ変形して、前記上板材および前記下板材と熱的に接続してコンテナ内に配置された伝熱ブロック用部材と、
前記コンテナ内に封入されている作動液と、
前記作動液に関して毛管力を有するウィック材とを備えた、平面型ヒートパイプである。
前記コンテナの材料よりも柔らかい材料からなる伝熱ブロック用部材を調製し、
前記伝熱ブロック用部材が配置される切り欠き部を備えたウィック材を調製し、
前記ウィック材の切り欠き部内に配置された前記伝熱ブロック用部材を、上下から挟むように相対する凹部内に配置して、前記上板材および前記下板材の前記外周部を合わせ、
前記合わさった外周部を圧接すると同時に、上板材および下板材の内面で前記伝熱ブロック用部材を押し当てて熱的に接続し、
作動液を封入して、表面が平坦な上板材および下板材からなる平面型ヒートパイプを製造する製造方法である。
図1(a)に示すように、フランジ部からなる外周部2−1と、凹部2−2からなる中央部を備えた断面が略コの字形の上板材2と、フランジ部からなる外周部3−1と、凹部3−2からなる中央部を備えた断面が略コの字形の下板材3を、相対する凹部が向き合うように配置する。上板材の内面2−3と下板材の内面3−3の間に、上板材および下板材の材料よりも柔らかい材料からなる伝熱ブロック用部材4−1を挟むように配置する。この態様では、伝熱ブロック用部材4−1は、折り曲げ積層されたメッシュ材からなっている。
上述したように、本発明は上板材および下板材を圧接接合する場合に、効果的に伝熱ブロックをコンテナ内に設置し、上板材および下板材と熱的に接続することを意図したものである。
図2は、ウィック保持材を示す図である。図2に示すように、ウィック保持材7は、例えばメッシュ板からなるウィック保持材本体8と、複数の線状の突起部9とからなっており、伝熱ブロックがその中に配置される切り欠き部10を備えている。
例えば、前記複数の線状突起部はメッシュ板の一部を折り曲げることで前記ウィック保持材本体と一体で形成されている。
図4(a)に示すように、この発明の平面型ヒートパイプに使用される上板材2および下板材3は、それぞれフランジ部からなる外周部2−1、3−1と、凹部からなる中央部2−2、3−2を備えた断面が略コの字形の板材からなっている。上板材2および下板材3をそれぞれの凹部が向かい合うように配置し、その中に、ウィック材11−1、11−2をコンテナの内壁面に保持する突起部および伝熱ブロック用部材4−1がその中に配置される切り欠き部10を備えたウィック保持材7が、ウィック材および伝熱ブロック用部材と共に配置される。
このように伝熱ブロック用部材がウィック保持材の切り欠き部に配置され、ウィック材がウィック保持材によって保持されて、上板材および下板材をそれぞれの凹部が向かい合うように外周部を合わせた状態で、外周部を圧接すると、柔らかい材料の伝熱ブロック用部材が、上板材および下板材の内面によって圧壊されてブロック化する。このように形成された平面型ヒートパイプの断面図を図4(b)に示す。
この発明の平面型ヒートパイプを実施例によって更に詳細に説明する。
図4(a)に示すように、下記の部材を準備した。即ち、
(a)フランジ部からなる外周部2−1と、凹部2−2からなる中央部を備えた断面が略コの字形の上板材2と、フランジ部からなる外周部3−1と、凹部3−2からなる中央部を備えた断面が略コの字形の下板材3、
(b)コンテナ内面にそって設置されるウィック材11−1、11−2、
(c)ウィック材11−1、11−2をコンテナの内壁面に保持する突起部および伝熱ブロック用部材4−1がその中に配置される切り欠き部10を備えたウィック保持材7、
(d)伝熱ブロック用部材(積層化されたメッシュ材)4−1、
コンテナを形成する上板材および下板材:
材質:純銅(C1020-H材)、
外寸125mm X 30mm X 2.5mm、
肉厚 1mm、
フランジ部幅 2mm、
フランジ部は、圧接直前にヤスリで研磨して酸化膜を除去した。
ウィック材:
材質:純銅(C1020-O材)からなるメッシュ材、
一度酸化させた後に還元して使用。
ウィック保持部材:
材質:純銅(C1020-O材)からなるメッシュ材、
一度酸化させた後に還元して使用。
2.4mm幅で折り返して波状の形状に、
15mm X 9mmの切り欠きを備えている。
伝熱ブロック用部材:
材質:純銅(C1020-O材)からなるメッシュ材、
一度酸化させた後に還元して使用、
長さ13mm X幅 7mmで31回折り返している(圧接前の厚さは4mm)。
即ち、伝熱ブロック用部材(積層メッシュ)は半分の厚さになるまで圧縮されたことになるが、積層メッシュを半分の厚さにまで圧縮した場合には網目は圧壊され、ブロック状になることを単体での実験で確認した。
更に、伝熱ブロックが設置されている箇所に発熱面積400mm2のヒーターを、グリスを介して接触させ、反対側の端部から50mmの領域を冷却し、水平作動で作動温度を50℃に保ちつつ50Wの熱を加えたところ、ヒーターと凝縮部間の熱抵抗が0.2℃/Wと良好な性能を示すことがわかった。
2mm, 4mm, 6mmのものについて、さらに熱密度を上げた状態で評価するために発熱面積積59mm2のヒーターを用いて50Wを加えたところ、図5に示すように、4mm、6mmのものではヒーターと凝縮部間の熱抵抗で0.6℃/Wだったのに対し、2mmについては0.9℃/Wと明らかに性能が低下することも確認できた。
2mmのものについては、流路高さと同じであるため、網目が圧壊されることはないのに対し、4mm以上のものについては圧壊している。すなわち、網目を圧壊させるまで積層メッシュを押しつぶすことが重要であることが実験により明らかになった。
実際にウィックや保持材がないものを作製し、発熱面積積59mm2のヒーターを用いてトップヒートで50Wの熱を加えたところドライアウトしたのに対し、ウィック材とウィック保持材があるものについてはトップヒートでも水平作動の場合と同等の実験結果が得られることが確認できた。
伝熱ブロック用部材の外郭形状は一例として直方体としたが、特に直方体に限定されない。例えば、円柱状でも良いし、多角柱でも良い。伝熱ブロック側面の面積を増やすために、例えば星型のように凹部をもつ形状のメッシュを積層させても良い。
伝熱ブロック用部材として、厚さ2.2mm(13mm X 7mm X 2.2mm)のブロック状のC1020−O材を用いたところ、実施例1と同様に上下面での変形のないコンテナを有する平面型ヒートパイプを作製することができた。発熱面積積59mm2のヒーターを用いて50Wで前述と同様の性能評価を行ったところ、ヒーターと凝縮部間の熱抵抗で0.6℃/Wと良好な性能を示すことが確認できた。一方で、厚さ2.4mm、2.6mmのブロックを入れたところ、コンテナの変形が見られた。従って、同種材料のO材のブロックを伝熱ブロック用部材として用いる場合は好ましくはヒートパイプの流路高さの10%程度の圧縮量に留めるのが好ましい。
図4(a)に示すウィック材にもウィック保持材と同様の切り欠き部を設けて、伝熱ブロック用部材とコンテナ材が直接接するようにした。この場合も実施例1と同様な結果が得られた。
図4(a)において、ウィック保持材の形状は特に限定されない。例えば、図2に示すような、一部に線状の突起を有するものを用いても同様の効果が得られた。図3(a)は図2のウィック保持材の上にウィックを設置した状態を示しているが、ウィック保持材をメッシュ材で作製しておけばウィック保持材の底面がウィックとして機能する。また、図3(b)のように下側に別のウィック材を入れてウィック面積をより増やしても良いし、図3(c)のように保持材を二つ対向させてウィック材の保持を強化しても良い。
伝熱ブロック用部材として粒状の金属材(例えば銅)を用いた。この場合には、強く押しつぶされることで粒同士が密に押し固められ、コンテナを変形させることなく、伝熱ブロックを形成することができた。粒径が小さい場合は水分を含みやすいので、好ましくは加熱し水分を除去してから用いるのが良い。また、圧接前に伝熱ブロック用部材だけを、互いの粒が焼結する程度にまで加熱して一体化させておくとコンテナ内に設置する際に取り扱いやすくなるのでさらに好ましい。
2 上板材
3 下板材
2−1、3−1外周部
2−2、3−2凹部
2−3、3−3コンテナ内壁部
4−1 伝熱ブロック用部材
4−2 伝熱ブロック
5 圧接された外周部
6 変形吸収部
7 ウィック保持材
8 ウィック保持材本体
9 線状の突起部
10 切り欠き部
11−1、11−2 ウィック材
102 上板材
103 下板材
104 伝熱ブロック
105 柱部
Claims (12)
- 外周部が圧接により接合されて形成された表面が平坦な上板材および下板材からなるコンテナと、
前記コンテナの材料よりも柔らかい材料で形成され、圧接によって前記上板材および下板材に押し当てられ変形して、前記上板材および前記下板材との間で熱伝導性を発揮するようにコンテナ内に配置され、内部で熱が拡散されて熱密度が低下する伝熱ブロック用部材と、
前記コンテナ内に封入されている作動液と、
前記作動液に関して毛管力を有するウィック材とを備えた、平面型ヒートパイプ。 - 前記伝熱ブロック用部材が前記コンテナと同一種類の材料を焼きなましたものからなっている、請求項1に記載の平面型ヒートパイプ。
- 前記伝熱ブロック用部材が積層化されたメッシュ材からなっており、コンテナの圧接後に、前記メッシュ材の網目部分が圧潰して、ウィックとしての機能を果たすことなく熱伝導性を発揮する状態までブロック化している、請求項1または2に記載の平面型ヒートパイプ。
- 前記伝熱ブロック用部材が粒状の金属材からなっており、コンテナの圧接後に押し固められて、内部で熱が拡散されて熱密度が低下する状態までブロック化している、請求項1または2に記載の平面型ヒートパイプ。
- 前記ウィック材がコンテナ内壁面に沿って配置され、更に、前記ウィック材をコンテナ内壁面に保持するウィック保持材を有している、請求項1から4の何れか1項に記載の平面型ヒートパイプ。
- 前記ウィック保持材に切り欠き部が設けられ、前記伝熱ブロック用部材が前期切り欠き部内に配置されている、請求項5に記載の平面型ヒートパイプ。
- 前記ウィック材に切り欠き部が設けられ、前記伝熱ブロック用部材が前記切り欠き部内に形成されている、請求項5または6に記載の平面型ヒートパイプ。
- フランジ部からなる外周部と、凹部からなる中央部を備えた断面が略コの字形の上板材および下板材を調製し、
前記コンテナの材料よりも柔らかい材料で形成され、圧接によって前記上板材および下板材に押し当てられ変形して、前記上板材および前記下板材との間で熱伝導性を発揮するようにコンテナ内に配置され、内部で熱が拡散されて熱密度が低下する伝熱ブロック用部材を調製し、
前記伝熱ブロック用部材を、上下から挟むように相対する凹部内に配置して、前記上板材および前記下板材の前記外周部を合わせ、
前記合わさった外周部を圧接すると同時に、上板材および下板材の内面で前記伝熱ブロック用部材を押し当てて熱的に接続し、
表面が平坦な上板材および下板材からなるコンテナを製造する平面型ヒートパイプの製造方法。 - ウィック材および前記ウィック材をコンテナ内壁面に保持するウィック保持材を、前記凹部内に更に配置するステップを備えた請求項8に記載の製造方法。
- 前記伝熱ブロック用部材が前記コンテナと同一種類の材料を焼きなましたものからなっている、請求項8または9に記載の製造方法。
- 前記伝熱ブロック用部材が積層化されたメッシュ材からなっており、コンテナの圧接によって、前記メッシュ材の網目部分が圧潰して、ウィックとしての機能を果たすことなく熱伝導性を発揮する状態までブロック化する、請求項8または9に記載の製造方法。
- 前記伝熱ブロック用部材が粒状の金属材からなっており、コンテナの圧接によって押し固められて、内部で熱が拡散されて熱密度が低下する状態までブロック化している、請求項8または9に記載の製造方法。
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