(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。図1は、本実施形態に係るネットワーク装置の電気的構成を示すブロック図である。
OLE_LINK2ネットワーク装置10は、OLE_LINK2有線LANと無線LANに接続可能な各ポートを有し、ユーザー操作によりネットワーク設定を変更できるネットワーク設定機能を有している。また、ネットワーク装置10はファイル共有機能を有しており、本体に記憶媒体18を接続した状態ではネットワーク上の他の装置(クライアントPC)から記憶媒体18へのアクセスが可能となる。
ネットワーク設定機能及びファイル共有機能を有するネットワーク装置10は、主制御モジュール11、ネットワークモジュール12(有線/無線モジュール)、液晶パネルモジュール13、無線インターフェイス(以下、「無線I/F14」と記す)、有線インターフェイス(以下、「有線I/F15」と記す)、メモリインターフェイス部(以下、「メモリI/F部16)と記す)及びメモリアクセスランプ17を備えている。ネットワーク装置10を構成する各機能部は、主制御モジュール11の制御下で動作する。
主制御モジュール11は、ネットワークモジュール12、液晶パネルモジュール13、メモリI/F部16及びメモリアクセスランプ17の制御を司る部分で、ネットワークモジュール12に対してネットワークに関する各種処理を指示する機能も有する。この機能の実現のために、主制御モジュール11は、ネットワーク設定変更を指示するネットワーク設定指示部21、ファイル共有機能の動作制限を指示する動作制限指示部22、メモリI/F16に接続された記憶媒体18のアクセス状態を管理する状態管理部23を備えている。
ネットワークモジュール12は、主制御モジュール11からの指示により動作し、指示されたネットワーク設定の反映、ファイル共有サービス、他の装置(クライアントPC等)と主制御モジュール11との通信の仲介を行う部分である。これら各機能の実現のために、ネットワークモジュール12は、ネットワーク設定部25、ファイル共有制御部26及び通知処理部27を備えている。
液晶パネルモジュール13は、ユーザーがネットワーク設定を開始するための操作、ネットワーク設定の進捗表示をする部分である。液晶パネルモジュール13の画面部は薄板状のタッチパネル装置を有しており、その画面表層部は複数の入力部を有する操作部13aとなっている。液晶画面に表示される設定画面中のボタンを操作すると操作部13aの操作位置の位置座標に応じた信号が主制御モジュール11に入力されることで、ネットワーク設定の開始操作を含む各種設定操作が可能となっている。設定画面では、ネットワーク設定として無線LAN設定及び有線LAN設定が可能となっている。
メモリI/F部16は、記憶媒体18をネットワーク装置10に装着する部分である。本実施形態では、記憶媒体18は、例えばUSBメモリ又はメモリカードから構成される。メモリI/F部16は、記憶媒体18がUSBメモリであればUSBインターフェイスにより構成され、メモリカードであればメモリカードリーダライタにより構成される。メモリカードリーダライタである場合は、ネットワーク装置10の本体に設けられたカードスロットに挿入されたメモリカードと電気的に接続可能に構成される。記憶媒体18がメモリI/F16に接続されることで、主制御モジュール11は記憶媒体18からのデータの読込み及び記憶媒体18へのデータの書込みが可能となる。
この第1実施形態では、記憶媒体18には無線LAN設定ファイル(以下、単に「設定ファイル19」と称す)が格納されている。ここで、設定ファイル19は、ネットワーク設定情報が記述されたデータファイルであり、無線LAN設定のために必要な各種設定情報が含まれている。この設定情報には、例えばアクセスポイントのSSID(無線ネットワークグループ名)や、盗聴防止用のセキュリティ情報としてWEP(Wireless Equivalent Privacy)又はWPA(WiFi Protected Access)の暗号キー等が含まれている。操作部13aによるパネル操作から無線LAN設定を開始したときは、設定ファイル19を読み込ませるために記憶媒体18をメモリI/F部16に接続する。
主制御モジュール11は、設定ファイル19を解読して得た設定情報(SSID及びセキュリティ情報等)をネットワークモジュール12に送出してネットワーク設定の実施を指示する。ネットワークモジュール12は受け付けた設定情報を所定の設定領域(プロトコルスタックやドライバにある設定領域(メモリ領域))に書き込むことによりネットワーク設定を行う。また、主制御モジュール11は、設定ファイル19を解読した設定内容を記述した機器情報ファイル(設定内容情報)を記憶媒体18に書き込む。
ネットワーク装置10は、本実施形態では、例えばプリンタ、スキャナ、複合機、プロジェクタ、デジタルカメラなどの電子機器であり、液晶パネルモジュール13の液晶画面は各種設定操作等を行うための設定画面など限られた情報しか表示できない。このため、機器情報ファイルの記述内容をパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す)のモニタに表示させることで、ネットワーク設定が正しく行われたことを確認する。ネットワークモジュール12がネットワーク設定の変更に続けてネットワークの切替えまで行っているが、この確認後にPCから指示を与えるか、ネットワーク装置のパネル操作で指示を与えて、ネットワーク設定に基づくネットワークに切り替える構成としてもよい。
ネットワークモジュール12は無線I/F14と有線I/F15を排他制御し、いずれか一方のみを有効(起動)状態にする。主制御モジュール11は前記PCから指示を受け付けるかパネル操作による指示を受け付けると、ネットワークモジュール12に通知してネットワーク設定に基づくネットワークへ切り替える。すなわち、ネットワークモジュール12は、無線I/F14を有効(起動)にするとともに、設定されたSSIDで指定されたアクセスポイントに接続する。これによりネットワーク装置10はアクセスポイントを介して無線LANに接続される。
メモリアクセスランプ17は、メモリI/F部16に記憶媒体18が接続されていて、記憶媒体18にアクセス(読込み又は書込み)がある場合は点滅し、アクセスがない場合は点灯になる。また、記憶媒体18が接続されていない場合は消灯になる。
次に、主制御モジュール11に備えられ、ネットワークに関する処理を行う、ネットワーク設定指示部21、動作制限指示部22及び状態管理部23について説明する。
ネットワーク設定指示部21は、設定ファイル19を解読して取得した設定情報をネットワークモジュール12に送出してネットワーク設定の実施を指示する。
動作制限指示部22は、ファイル共有制御部26に対してファイル共有機能の動作制限・制限解除の指示を与える部分である。
状態管理部23は、ネットワーク装置10の状態管理を行う部分である。無線I/F14及び有線I/F15の有効・無効、ファイル共有機能の状態(共有・制限等)、記憶媒体18へのアクセス状態、すなわちオープン(OPEN)、クローズ(CLOSE)のうちどの状態にあるかを管理している。他の装置(クライアントPC等)からネットワークを介して記憶媒体18へのアクセスがあるかどうかは状態管理部23が管理している状態から知ることができる。
次に、ネットワークモジュール12に備えられ、主制御モジュール11からの指示に従ってネットワークに関する処理を行う、ネットワーク設定部25、ファイル共有制御部26及び通知処理部27について説明する。
ネットワーク設定部25は、ネットワーク設定指示部21から受け取った設定情報に基づきネットワーク設定を行う。
ネットワーク設定部25は、設定情報を所定の設定領域に書き込むことによりネットワーク設定を変更する。例えば有線LAN設定を変更する場合は、IPアドレスを含む設定情報を設定領域に書き込み、無線LAN設定を変更する場合は、アクセスポイントのSSIDやセキュリティ情報等を含む設定情報を設定領域に書き込む。
ファイル共有制御部26は、ファイル共有サービスを司る部分であり、動作制限指示部22からの指示に従ってファイル共有機能の動作制限・制限解除を行う。ファイル共有制御部26にはネットワークドライブ(メモリI/F16)に属性を設定する機能が備えられ、「リードライト」、「リードオンリー(読み取り専用)」などの属性を切替えることが可能である。本実施形態では、ファイル共有機能に動作制限をかける一例としてファイルの属性を変更する方法を採用する。すなわち、属性を「リードオンリー」に設定することでファイル共有機能を読み取り専用に制限し、属性を「リードライト」に設定することでファイル共有機能の制限を解除する。
ここで、属性を「リードオンリー」に設定する本実施形態におけるアクセス制限では、ネットワークモジュール12が他クライアントPCから見てアクセス制限(書き込み不能)されているように見せ掛ける処理であるため、ネットワーク装置10の内部動作としては書き込み可能である。このため、アクセス制限を一時的に解除しなくても、主制御モジュール11は設定内容の書き込み処理は可能である。なお、ファイル共有機能を制限するその他の方法として、ファイル共有サービス提供の中止を行うことで、クライアントPCのモニタに表示されるネットワーク管理画面からネットワーク装置10のネットワークドライブの表示を隠す方法も採用する。なお、ファイル共有機能を制限する詳細な方法については後述する。
通知処理部27は、主制御モジュール11とネットワーク上の他の装置(クライアントPC等)との間で通信するときに用いられる通信コマンドの送信・受信を行う。通信コマンドの送受信は、無線I/F14と有線I/F15のうちそのときの有効(起動)状態にある一方の通信インターフェイスを介して行われる。通信コマンドとしては、他の装置からの要求(リクエスト)や他の装置への応答(リプライ)などがある。
図2は、無線ネットワーク(無線LAN)の構成を示す。ネットワーク装置10は、無線LAN設定(ネットワーク設定)を変更することにより、接続先をアクセスポイントA1とする無線ネットワークWLN1と、接続先をアクセスポントA2とする無線ネットワークWLN2との間で、接続される無線ネットワークの切り替えが可能である。
ネットワーク装置10は設定ファイル19(無線LAN設定ファイル)を格納した記憶媒体18が接続されると、記憶媒体18から設定ファイル19を読み込んで無線LAN設定を行うことが可能である。同図を例にすると、無線LAN設定ファイル(SSID:AP2)を用いて無線LAN設定をした後、自動的に又は所定の切替指示をすることで、接続中の無線ネットワークWLN1(SSID:AP1)から無線ネットワークWLN2(SSID:AP2)に接続先が切り替わる。接続先が切り替わると、無線ネットワークWLN2の環境下のクライアントPC33はネットワーク装置10と通信可能となるが、無線ネットワークWLN1の環境下のクライアントPC30,31はネットワーク装置10と通信できなくなる。
図2に示すように、ユーザーはネットワーク装置10が接続中の無線ネットワークWLN1から無線ネットワークWLN2へ接続を切り替えようとネットワーク装置10に設定ファイル19を格納した記憶媒体18を接続すると、その記憶媒体18は無線ネットワークWLN1の環境下でファイル共有される。例えば無線ネットワークWLN1の環境下にあるクライアントPC30からファイル共有されたネットワーク装置10の記憶媒体18にデータの書き込みを開始したとする。この場合、無線LAN設定後に無線ネットワークWLN2に接続が切り替わると、無線ネットワークWLN1の環境にて記憶媒体18への書き込みが完了していなかった場合はその書込みアクセスが中断される。この場合、記憶媒体18にデータが最後まで書き込まれず書込みエラーが発生することになり、記憶媒体18がシステム上支障のある状態になる虞がある。このため、ネットワーク装置10は、ネットワークの切り替わりによって中断されると支障の生じる種類のアクセス(本例では書込みアクセス)については、ネットワーク設定変更の前後の期間においてファイル共有機能に動作制限をかけることで禁止するように構成されている。
図3は、ネットワーク設定変更処理のトランザクション図である。
ネットワーク装置10のパネル操作から無線LAN設定を開始する例である。パネル操作から無線LAN設定を開始するときには、記憶媒体18はまだ装着せず、無線LAN設定を開始する操作をしてネットワーク装置10の液晶画面に表示により記憶媒体接続の指示があってから記憶媒体18を装着する。記憶媒体18が未接続でファイル共有されていない環境で、無線LAN設定開始操作は行われる。記憶媒体18には所定の設定ファイル19が予め格納されている。
(1)ユーザーが液晶パネルモジュール13の液晶画面上の操作部13aを操作して無線LAN設定を開始することにより、(2)主制御モジュール11はネットワークモジュール12にファイル共有の動作制限を指示する通知をする。そして、(3)ネットワークモジュール12はファイル共有機能に一時的に動作制限をかける。
本実施形態では、ファイル共有機能の動作制限の一例として、ネットワーク設定が変更される場合にファイル共有されている記憶媒体18を読み取り専用(リードオンリー)にし、ライトアクセスを許容させないようにする。あるいはネットワーク上のクライアントPC30等からネットワークドライブを見えないようにし、ファイル共有機能に一時的に動作制限をかける。
(4)主制御モジュール11はファイル共有機能の動作制限完了の通知を受け付けると、液晶パネルモジュール13に記憶媒体接続の指示を通知する。この結果、液晶パネルモジュール13の液晶画面に記憶媒体接続の指示の旨が表示される。この記憶媒体接続の指示の旨が表示された後、(5)ユーザーは記憶媒体18をネットワーク装置10に装着する。
(6)メモリI/F16から記憶媒体の接続の通知を受け付けた主制御モジュール11は、メモリI/F16に対し設定ファイルの格納確認及び読込み開始を指示する。メモリI/F16は設定ファイルの格納を確認するとその設定ファイルを読み出して主制御モジュール11へ転送する。(7)主制御モジュール11はメモリI/F16から設定ファイルの読込みを完了すると、設定ファイルの正当性確認を行い、(8)正当性が確認されると、機器情報ファイルの書込みを開始する。(9)機器情報ファイルの書込みが完了すると、主制御モジュール11はネットワークモジュール12に設定情報を送信する。また、(10)主制御モジュール11は液晶パネルモジュール13に無線LAN設定完了を通知し、液晶パネルモジュール13の液晶画面に無線LAN設定完了の旨を表示させる。ユーザーはその表示を見ることで無線LAN設定の完了を知ることができる。
一方、(11)ネットワークモジュール12は設定情報を所定の設定領域に書き込んでネットワーク設定を変更する。そして、(12)ネットワーク設定変更を完了すると、ネットワークモジュール12はファイル共有機能の動作制限を解除する。その後、ネットワークモジュール12は主制御モジュール11に対して新しいネットワークに接続した旨を通知する。本実施形態では、上記(11)でネットワーク設定が変更されることにより新しいネットワーク(無線LAN)に接続するネットワークの切替えまで行われる。このため、上記(12)におけるファイル共有機能の動作制限の解除は、ネットワークが切り替わったときに行われることになる。なお、新しいネットワークに接続する処理は、ネットワーク設定の変更が完了した後、ユーザーが機器情報ファイルをPCのモニタで確認してネットワーク設定の設定内容が正しいことを確認した後、例えばPCからの操作示又はネットワーク装置10のパネル操作からの指示を受け付けたときに実施してもよい。この場合は、新しいネットワークに接続されてネットワークが切り替わるか、記憶媒体18の接続を検知しなくなるかいずれかの状態になったときに、ファイル共有機能の動作制限を解除するようにする。また、ファイル共有機能の動作制限を読み取り専用にする場合は、上記(8)で機器情報ファイルを書き込むときに一時的にファイル共有機能の動作制限を解除して、機器情報ファイルを記憶媒体18に書き込む。そして、その書き込み終了後は再びファイル共有機能に動作制限をかけるようにしている。
図4は、ファイル共有機能の動作制限実行中におけるコマンドの流れを示すトランザクション図である。図4(a)はファイル共有機能の動作制限を書込み禁止とした例、図4(b)はファイル共有機能の動作制限を読み取り専用とした例である。
まず図4(a)に示すメモリに書き込み要求された場合のコマンドの流れについて説明する。この図は、クライアントPC30とネットワーク装置10(ネットワークモジュール12)との間で行われるファイル共有プロトコルによる通信処理を示す。ここでは、ファイル共有プロトコルとして、Windows(R) OS(マイクロソフト社)で使用される例えばSMB/CIFSプロトコルを用いた例で説明する。
まずクライアントPC30がファイルの書込み要求を行う。SMBコマンド名「SMB_COM_WRITE(REQUEST)」(SMBコマンド番号=0x0b)は「ファイルの書込み」のリクエスト(要求)、エラークラス=0x00は「エラーなし」を意味する。エラークラスはエラーのおおまかな分類を表し、エラーコードが実際のエラーの内容を表す。なお、エラーコードがない場合は「00」となる。
このリクエストに対してネットワークモジュール12は、ファイル書込みエラーを応答する。ここで、SMBコマンド名:SMB_COM_WRITE(Reply)(SMBコマンド番号=0x0b)は「ファイルの書込み」のリプライ(応答)であり、エラークラス=0x03は「ハードエラー」を意味し、エラーコード=19(ERRnowrite)は「書込み保護されたメディアに書き込もうとしている」を意味する。このリプライを受信したクライアントPC30では、モニタに書込みエラーの旨のエラーメッセージが表示される。このようにファイル共有機能の動作制限を書込み禁止としている本例では、記憶媒体18を書込み保護の設定とすることにより、書込み要求に対して書込みエラー応答がなされるようにしている。
次に図4(b)に示すディスク情報を要求された場合のコマンドの流れについて説明する。
まずクライアントPC30はディスク情報の取得を要求する。ここで、SMBコマンド名「SMB_COM_QUERY_INFORMATION_DISK(REQUEST)(SMBコマンド番号=0x80)は、ディスク情報の取得のリクエストである。このリクエストに対してネットワークモジュール12は、ディスク情報の取得を応答する。ここで、SMBコマンド名「SMB_COM_QUERY_INFORMATION_DISK(Reply)」(SMBコマンド番号=0x0b)は、情報の取得のリプライである。情報リプライで属性を「読み取り専用」と返答させる。例えば、SMB/CIFSパケットのワード・バイトデータ部分に、属性「読み取り専用(R)」が記述される。
このようにネットワーク設定を変更する場合、その前後の設定期間はネットワーク上でファイル共有している全てのクライアントPCからのファイルアクセスの属性を「読み取り専用(リードオンリー)」にしてネットワーク上のクライアントPCからのライトアクセスを許容させない。
図5は、クライアントPC側の画面表示内容を示す。図4(b)に示すコマンド処理によってリプライされたコマンドを受信したクライアントPC30は、その取得したディスク情報に基づきモニタに図5(a)に示すネットワーク管理画面35を表示する。ネットワーク管理画面35では、ネットワークドライブやファイル等をツリー状に見ることができる。このネットワーク管理画面35中のドライブ表示欄35aには、ネットワーク装置10のネットワークドライブに記憶媒体18(同図中における「ネットワーク装置の記憶媒体」)が表示され、ファイル表示欄35bに表示されている記憶媒体18中のファイルはすべて属性が「読み取り専用」(同図では「R」)として表示される。これを見た他のユーザーは読み取り専用であることが分かり、ファイルに少なくとも書込みアクセスはしない。
また、仮にクライアントPC30側で、ファイル属性を「読み取り専用」にして動作制限しているときにファイルへの書き込み動作が実行されると、図4(a)と同様のコマンド処理の結果、図5(b)に示すエラーメッセージ36が表示される。
図6は、ネットワーク上のクライアントPCから記憶媒体18のネットワークドライブを見えないようにする例である。図6(a)に示すように、ファイル共有しているときは、ネットワーク管理画面37中のドライブ表示欄37aにネットワーク装置10の記憶媒体18が見え、ファイル表示欄37b中に表示されたファイルにアクセス可能である。ネットワーク設定変更する場合、その前後の設定期間はネットワーク上で他のクライアントPCからネットワークドライブが見えないように共有ファイル機能の動作制限を実行する。すると、図6(b)に示すように、ネットワーク装置10のネットワークドライブの表示が消える。この結果、他のクライアントPCからアクセスの対象となる記憶媒体18が見えないことから、記憶媒体18に格納されているファイルへのアクセスが制限される。これは、例えば「ディスク情報の取得」のリプライの際に送るSMB/CIFSパケットのデータ部分に記憶媒体18のネットワークドライブがない旨のデータを書き込む。なお、記憶媒体18のネットワークドライブだけでなく、ネットワーク装置10の全てのネットワークドライブを見えなくしてもよい。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ネットワーク設定変更開始の指示を受け付けると、ファイル共有機能を一時的に制限して、他のクライアントPC30等から記憶媒体18へのアクセスを制限した状態下で、ネットワーク設定を変更する。このため、ネットワークが切り替わる前の所定期間は記憶媒体18への書込みアクセスを開始できないので、ネットワーク切り替わり時における書込みアクセスの中断の頻度が減り、システム上支障の生じる虞のある書込みエラーの発生頻度を低減できる。
(2)設定ファイル19を格納した記憶媒体18をネットワーク装置10に接続するとほぼ同時に記憶媒体18へのアクセスが制限されるので、設定ファイル19はもちろんのこと、設定ファイル19と一緒に保存されている重要な写真画像や文書等のファイルを他のユーザーのアクセスから保護することができる。よって、記憶媒体18をネットワーク設定変更のためにネットワーク装置10に接続しても、設定ファイル19と一緒に保存されている他の重要なファイルの消失等を防止することができる。また、他のファイルの消失等の心配がないことから、画像や文書のファイルを保存している記憶媒体18を使ってネットワーク設定変更を行うことができるので、設定ファイル専用の記憶媒体18を用意する必要もない。
(3)アクセス制限方法として、記憶媒体18の属性をリードオンリーとする構成を採用した場合は、クライアントPC30等から記憶媒体18への書込みアクセスを防止でき、しかも他のクライアントPC30等のユーザーは所望のデータを記憶媒体18から読み出して利用することができる。また、他のクライアントPC30等が許可されるアクセスは読出しアクセスなので、ネットワーク切り替わり時に中断されてもシステム上支障の生じる心配はない。
(4)アクセス制限方法として、ファイル共有サービス提供の中止を行うことで、クライアントPC30等のモニタに表示されるネットワーク管理画面37からネットワーク装置10のネットワークドライブの表示を隠す構成を採用した場合は、クライアントPC30等から記憶媒体18へのアクセスを無くすことができるうえ、記憶媒体18への機器情報ファイルの書き込みを行うことができる。
(5)本実施形態で採用したアクセス制限は、ネットワークモジュール12が他クライアントPCから見てアクセス制限(書き込み不能又はアクセス不能)されているように見せ掛ける処理であるため、ネットワーク装置の内部動作として書き込み可能である。よって、設定ファイル19を解読してその正当性を確認した後に記憶媒体18に機器情報ファイルを書き込むときにも、ファイル共有機能の制限を解除しなくても機器情報ファイルを書き込むことができる。また、記憶媒体18に書き込まれた機器情報ファイルをパーソナルコンピュータ等のモニタで確認することにより、ネットワーク装置10のネットワーク設定が正しく行われたかどうかをチェックできる。
(6)ネットワークが切り替わるとアクセス制限を解除した。よって、書込みエラーの発生頻度を効果的に低減でき、しかも新しいネットワーク環境下のクライアントPC33に対してネットワーク切替え後速やかに記憶媒体18へのアクセスが可能になり他のユーザーの利便性が高まる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図7に基づいて説明する。この第2実施形態は、ネットワーク装置10に記憶媒体18(例えばUSBメモリ)が未接続でファイル共有されていない環境において、設定ファイル19を格納した記憶媒体18をネットワーク装置10に接続することで無線LAN設定を開始する方法を採用する例である。前記第1実施形態では、ネットワーク設定の実施を指示する切替え操作がパネル操作であったが、本実施形態では、記憶媒体18をネットワーク装置10のメモリI/F16に接続する操作が切替え操作に相当する。
図7は、ネットワーク設定変更処理のトランザクション図である。(1)ユーザーは設定ファイル19が格納された記憶媒体18をネットワーク装置10に接続する。(2)メモリI/F16から記憶媒体18の接続の通知を受け付けた主制御モジュール11は、設定ファイル19の格納を確認するようメモリI/F16に通知する。メモリI/F16は記憶媒体18中に設定ファイル19が保存されているかどうかを調べる。(3)主制御モジュール11は、メモリI/F16から設定ファイル19が確認された旨の通知を受け付けることにより、ユーザーがネットワークを切替えるために記憶媒体18を接続した切替え操作を検知し、ネットワークモジュール12に対しファイル共有機能の動作制限を指示する通知を行う。そして、(4)ネットワークモジュール12はファイル共有機能に一時的に動作制限をかける。(5)主制御モジュール11は、ネットワークモジュール12からファイル共有機能の動作制限完了の通知を受け付けると、メモリI/F16に設定ファイル19の読込み開始を指示する。メモリI/F16は設定ファイルを読み出して主制御モジュール11へ転送する。以下、(6)設定ファイルの正当性確認、(7)機器情報ファイルの書込み開始、(8)設定情報の送信、(9)無線LAN設定完了通知、(10)ネットワーク設定変更、(11)ファイル共有機能の動作制限解除の各処理を行う。これら(6)〜(11)の各処理は前記第1実施形態の図3における前記(7)〜(12)の処理と同様である。
ここで、図7における前記(3)において、メモリI/F16から設定ファイル19が確認できなかった旨の通知を受け付けた場合、主制御モジュール11はネットワークモジュール12にファイル共有機能の動作制限の指示を行わず、そのまま処理を終了する。つまり、記憶媒体はネットワーク設定のために接続されたものではないと判定し、ファイル共有機能の制限は行わない。例えばユーザーが印刷等するためにネットワーク装置10に記憶媒体を接続した場合は、その記憶媒体内のファイルは共有されることになり、クライアントPC30等から記憶媒体にアクセスしてデータの読出し及び書込みが可能となる。なお、図7における前記(3)の処理で、設定ファイルの格納確認を指示する主制御モジュール11及びその指示に従って設定ファイルが格納されているかどうかを確認するメモリI/F16により、確認手段が構成される。また、確認手段の結果を受けて、設定ファイルがあった場合にファイル共有機能の動作制限を指示し、設定ファイルがなかった場合にはファイル共有機能の動作制限を指示しない主制御モジュール11及びその指示に従ってファイル共有機能の動作制限を行うネットワークモジュール12により、制限手段が構成される。
このように第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに本実施形態によれば、パネル操作をしなくしても記憶媒体18をネットワーク装置10に接続するだけで無線LAN設定を行うことができる。さらに以下の効果も得られる。
(7)記憶媒体18がネットワーク装置10に接続されたことを検知すると、設定ファイル19が格納されているか否かを確認し、設定ファイル19の格納が確認された場合は、記憶媒体18へのアクセスを制限し、設定ファイルの格納が確認されなかった場合は、記憶媒体18へのアクセスを制限しない。よって、ネットワーク設定変更を目的として記憶媒体18をネットワーク装置10に接続した場合には、アクセス制限により、書込みエラーの発生を低減できるうえ、記憶媒体18に設定ファイル19と一緒に格納されている他のファイルを保護できる。また、ネットワーク設定変更を目的とせず、例えばダイレクト印刷等を目的として記憶媒体18をネットワーク装置10に接続した場合は、アクセス制限されないので、クライアントPC30等から記憶媒体18にアクセスしてデータ編集等を行うことができる。
(第3実施形態)
次に第3実施形態を図8及び図9に基づいて説明する。
本実施形態は、有線LAN設定のIPアドレスを変更する例である。ネットワーク装置10に記憶媒体18が接続しているファイル共有されている環境において、パネル操作から有線LAN設定のIPアドレスを設定変更する場合である。但し、記憶媒体18には設定ファイル19は格納されておらず、印刷等を行うための画像や文書のファイルが格納されている。
図8は、有線ネットワーク(有線LAN)の構成を示す。同図では、記憶媒体18を装着可能であるファイル共有機能を有するネットワーク装置10が同ネットワーク上の他のクライアントPC40,41とファイル共有されている。
ネットワーク装置10はネットワークハブNHを介してクライアントPC40,41と有線で接続されている。ネットワーク装置10が例えばIPアドレス「192.168.11.3」に設定されているときに、クライアントPC40,41は有線LAN環境下でネットワーク装置10と通信可能となる。
ネットワーク装置10のパネル操作から、又はネットワーク設定ツールを搭載したクライアントPC40からの操作により、ネットワーク装置10の有線設定を変更することが可能である。ここで、ネットワーク設定ツールとは、クライアントPC40上でネットワーク設定の変更が可能なアプリケーションである。例えばネットワーク装置10が接続中のIPアドレス「192.168.11.3」から違うIPアドレス「192.168.11.5」へ変更する有線設定変更を行った場合、有線設定完了(IPアドレス変更)後に接続中のIPアドレスから変更後のIPアドレスに接続が切り替わり、変更後のIPアドレスで通信が開始される。変更後のIPアドレスに接続が切り替わると、クライアントPC40,41はネットワーク装置10にアクセスできなくなる。例えば、IPアドレスを変更して有線設定変更を開始すると同時に他のユーザーがクライアントPC41からネットワーク装置10の記憶媒体18にデータファイルの書き込みを開始したとする。この場合、有線設定完了(IPアドレス変更)後にIPアドレスが切り替わることで変更前のIPアドレスで記憶媒体18への書き込みが完了していなかった場合は、書き込み途中で通信ができなくなり、データを記憶媒体18に保存できない。このため、有線設定変更の場合においても、ネットワーク装置10は、ネットワークが切断されて中断されると支障のあるアクセスエラーとなるアクセスについては、ネットワーク設定変更の前後の期間においてファイル共有機能を制限して禁止するように構成されている。
図9は、ネットワーク設定変更処理のトランザクション図である。本実施形態は、有線LANのIPアドレスをパネル操作から設定変更する例である。以下、パネル操作からIPアドレスを変更する有線LAN設定変更処理ついて図9に従って説明する。
(1)ユーザーがパネル操作からネットワーク装置10の有線LANのIPアドレス変更設定を開始する。(2)液晶パネルモジュール13から有線LAN設定開始の通知を受け付けた主制御モジュール11は、ネットワークモジュール12にファイル共有の動作制限を指示する通知を行う。(3)ネットワークモジュール12はファイル共有機能に一時的に動作制限をかける。(4)主制御モジュール11はファイル共有の動作制限完了の通知を受け付けると、液晶パネルモジュール13にIPアドレス入力画面表示を指示する通知を行う。この結果、液晶パネルモジュール13の液晶画面にIPアドレス入力画面が表示される。
(5)ユーザーはこのIPアドレス入力画面に変更するIPアドレスを入力する。(6)液晶パネルモジュール13からIPアドレス値の通知を受け付けた主制御モジュール11は、ネットワークモジュール12に設定情報を送信する。また、(7)主制御モジュール11は液晶パネルモジュール13にIPアドレス設定完了を通知し、液晶パネルモジュール13の液晶画面にIPアドレス設定完了の旨を表示させる。ユーザーはその表示を見ることでIPアドレス設定の完了を知ることができる。一方、(8)ネットワークモジュール12は設定情報を所定の設定領域に書き込んでネットワーク設定を変更する。本実施形態では、ネットワーク設定変更されることにより新しいIPアドレスに接続するネットワークの切替えまで行われる。そして、(12)ネットワーク設定変更(つまり新しいIPアドレスに接続)を完了すると、ネットワークモジュール12はファイル共有機能の動作制限を解除する。その後、ネットワークモジュール12は主制御モジュール11に新しいIPアドレス接続の旨を通知する。
このように有線LANのIPアドレスを変更設定する場合においても、無線LANの設定変更と有線LANのIPアドレスの変更設定との違いがあることと、アクセス制限の対象となる記憶媒体18が設定ファイルを格納するものか、通常のファイルを格納するものかの違いはあるものの、前記第1実施形態における効果(1)〜(3),(5),(6)を同様に得ることができる。すなわち効果(1)書込みエラー発生頻度低減の効果、(2)記憶媒体18中のファイル保護の効果、(3)リードオンリーにして読み出しアクセス可能な効果、(5)ファイル共有サービス提供の中止による効果、(6)アクセス制限をネットワーク切り替わり時に解除することによる効果、を得ることができる。
(第4実施形態)
次に第4実施形態を図10に基づいて説明する。本実施形態は、クライアントPCからの操作によって有線LAN設定のIPアドレスを設定変更する例である。ネットワーク装置10に記憶媒体18が接続しているファイル共有されている環境において、有線LAN設定のIPアドレスをネットワーク上のクライアントPC40(図8参照)からネットワーク設定ツールを用いて設定変更する場合である。
図10は、ネットワーク設定変更処理のトランザクション図である。以下、クライアントPC40からIPアドレスを変更する有線LAN設定変更処理ついて図10に従って説明する。
(1)ユーザーがネットワーク上のクライアントPC40のネットワーク設定ツールから有線LANのIPアドレス変更設定情報を送信する。(2) IPアドレス変更設定情報を受け付けたネットワークモジュール12はファイル共有機能に一時的に動作制限をかける。(3)ネットワークモジュール12はIPアドレス変更設定情報を所定の設定領域に書き込んでネットワーク設定を変更する。本実施形態では、ネットワーク設定変更されることにより新しいIPアドレスに接続するネットワークの切替えまで行われる。そして、(4)ネットワーク設定変更(つまり新しいIPアドレスに接続)を完了すると、ネットワークモジュール12はファイル共有機能の動作制限を解除する。その後、ネットワークモジュール12は主制御モジュール11に新しいIPアドレス接続の旨を通知する。このようにクライアントPC40のネットワーク設定ツールから有線LANのIPアドレスを変更設定する場合においても、前記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
次に第5実施形態を図11に基づいて説明する。本実施形態は、ネットワーク装置10に記憶媒体18が接続しているファイル共有されている環境において、記憶媒体18へのメモリアクセス中にネットワーク設定変更を行う例である。メモリアクセス中にネットワーク設定変更が開始されてファイル共有が制限されてしまうと、仮にそのアクセスが書込みアクセスであると、ファイルデータを保存できないばかりか書込みエラーによりシステム上支障が生じる虞がある。本実施形態は、このようなメモリアクセス中にネットワーク設定変更を開始した場合に生じる不都合を解決するものである。本実施形態の特徴的構成は、無線LANの設定変更と有線LANの設定変更のどちらでも適用できるが、以下の実施形態では、有線LANの設定変更の場合を例にして説明する。なお、無線LANの設定変更に適用する場合、ネットワーク装置に記憶媒体18の接続ポートが1つしかない構成では、無線LANの設定変更はパネル操作から行う。また、複数の記憶媒体18(USBメモリとメモリカード)を接続できる構成の場合は、例えばメモリカードがファイル共有されている環境において、設定ファイル19を格納したUSBメモリを接続して無線LAN設定変更を開始するときに、メモリカードがメモリアクセス中である状況等を想定する。
図11は、ネットワーク設定変更処理のトランザクション図である。以下、メモリアクセス中にネットワーク装置10のパネル操作から有線LAN設定変更が開始された場合の処理ついて図11に従って説明する。
(1)ユーザーがパネル操作からネットワーク装置10の有線LANのIPアドレス変更設定を開始する。(2)液晶パネルモジュール13から有線LAN設定開始の通知を受け付けた主制御モジュール11は、ファイル共有されている記憶媒体18がアクセス中(メモリアクセス中)であるかどうかを判断する。すなわち、主制御モジュール11は状態管理部23に問い合わせて記憶媒体18へのアクセス状態、すなわちオープン(OPEN)、クローズ(CL0SE)のうちどの状態にあるかを確認する。本実施形態では、オープンの状態である場合をメモリアクセス中と判断する。もちろん、主制御モジュール11がクライアントPCとの通信により現在リード中又はライト中であることを認知できる場合は、状態管理部23を問い合わせることをせず、リード中又はライト中でないときにだけ状態管理部23に問い合わせてオープンの状態であったときにアクセス中と判断する方法を採用することもできる。メモリアクセス中と判断した場合はメモリアクセス中を検知したことになる。なお、上記(2)の判断処理を行う主制御モジュール11により、記憶手段がアクセス中であるか否かを判断する判断手段が構成される。
(3)主制御モジュール11は、メモリアクセス中を検知すると、液晶パネルモジュール13にメモリアクセス中のため有線LAN設定の変更ができない旨とメモリアクセス完了を促す報知を画面に表示させる指示を通知する。(4)また同時にネットワークモジュール12にメモリアクセス完了を促す報知をメモリアクセス中のクライアントPC41のモニタに表示させる指示を通知する。こうしてモニタに表示されたアクセス完了を促す警告メッセージを見たユーザーは、記憶媒体18へのアクセスを終了させる。なお、上記(4)の指示を行う主制御モジュール11と、その指示に従ってメモリアクセス中のクライアントPC41に報知を行う通知処理部27により、アクセス中の他の装置にアクセス完了を促す通知手段が構成される。
(5)主制御モジュール11はメモリアクセス完了(本例ではクローズの状態)を検知すると、(6)ネットワークモジュール12にファイル共有の動作制限を指示する通知を行う。(7)ネットワークモジュール12はファイル共有機能に一時的に動作制限をかける。(8)主制御モジュール11はファイル共有の動作制限完了の通知を受け付けると、液晶パネルモジュール13にIPアドレス入力画面表示を指示する通知を行う。この結果、液晶パネルモジュール13の液晶画面にIPアドレス入力画面が表示される。
以下、(9)ユーザーによるIPアドレスの入力、(10)設定情報の送信、(11)IPアドレス設定完了の通知、(12)ネットワークモジュール12のネットワーク設定変更、(13)ファイル共有機能の動作制限解除の各処理を行う。これら(9)〜(13)の各処理は前記第3実施形態の図9における前記(5)〜(9)の各処理と同様である。なお、上記(5)においてアクセスが完了されないまま所定時間が経過した場合は、アクセス完了を検知できなくても、上記(6)の処理を行ってネットワークモジュール12にファイル共有の制限を指示するようにしている。この場合、ライト中の場合はアクセス完了を検知するまで待ち、ライト中以外(リード中)のアクセス中場合は所定時間の経過時にファイル共有制限を指示する構成を採用することができる。
このようにメモリアクセス中にパネル操作からネットワーク設定変更を開始した場合においても、前記各実施形態における効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(8)ネットワーク設定変更開始時にメモリアクセス中を検知した場合は、メモリアクセス中のクライアントPC41にメモリアクセス完了を促す報知を行い、メモリアクセス完了を検知するとアクセスを制限する。このため、ネットワーク設定変更開始後直ちにアクセス制限を強制的に開始する構成を採用した場合に起こり得る、アクセス制限に起因する記憶媒体18へのデータ保存の失敗及び書込みエラーの発生を回避することができる。
(第6実施形態)
次に第6実施形態を図12に基づいて説明する。前記第5実施形態と同様のネットワーク設定変更を、パネル操作からではなく、クライアントPC40からの操作で行う例である。すなわち、メモリアクセス中にクライアントPC40のネットワーク設定ツールから設定変更が開始された場合に、ネットワーク装置10がメモリアクセス中のクライアントPC41にメモリアクセス完了を促す報知を行う例である。
図12は、ネットワーク設定変更処理のトランザクション図である。以下、メモリアクセス中にクライアントPC40から有線LAN設定変更が開始された場合の処理ついて図12に従って説明する。
(1)ユーザーがネットワーク上のクライアントPC40のネットワーク設定ツールから有線LANのIPアドレス変更設定情報を送信する。(2)ネットワークモジュール12は主制御モジュール11に有線LAN設定(IPアドレス変更設定)の開始を通知する。このとき開始の通知とともにIPアドレス変更設定情報も渡される。
(3)有線LAN設定開始の通知を受け付けた主制御モジュール11は、ファイル共有されている記憶媒体18がアクセス中(メモリアクセス中)であるかどうかを判断する。メモリアクセス中を検知すると、(4)主制御モジュール11は、メモリアクセス完了を促す報知を、設定変更を行っているクライアントPC40とメモリアクセス中のクライアントPC41の各モニタに表示させるようネットワークモジュール12に通知する。こうしてモニタに表示された警告メッセージを見たユーザーは、記憶媒体18へのアクセスを終了させる。
(5)主制御モジュール11はメモリアクセス完了(本例ではクローズの状態)を検知すると、(6)ネットワークモジュール12にファイル共有の動作制限を指示する通知を行う。そして、ネットワークモジュール12は、(7)ファイル共有機能の一時的な動作制限、 (8)ネットワークモジュール12のネットワーク設定変更、(9)ファイル共有機能の動作制限解除の各処理を行う。これら(7)〜( 9)の各処理は前記第4実施形態の図10における前記(2)〜(4)の各処理と同様である。このようにメモリアクセス中にクライアントPC40からの操作でネットワーク設定変更を開始した場合においても、前記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、前記各実施形態に限定されず、以下の態様の変形例を採用してもよい。
(変形例1)前記第1実施形態において、前記第5及び第6実施形態のように、ネットワーク設定変更開始の指示を受け付けたときに、メモリアクセス中であるか否かを判断してメモリアクセス中である場合はメモリアクセス完了を待ってアクセス制限を開始する構成を採用することができる。すなわち、前記第1実施形態において、図3における(1)の処理で主制御モジュール11がパネル操作からの入力により無線LAN設定開始の指示を受け付けたときに、主制御モジュール11はまず記憶媒体18がアクセス中(メモリアクセス中)であるか否かを判断し、メモリアクセス中と判断された場合は、メモリアクセス中のクライアントPCにアクセス完了を促す通知を行い、その後、メモリアクセス完了を検知したら、図3における(2)の処理でファイル共有の動作制限を指示する構成とする。
(変形例2)前記各実施形態では、アクセス制限方法の一つとして、ネットワークドライブの表示を隠してネットワーク装置のネットワークドライブがネットワーク上に存在しないように見せ掛ける処理を採用したが、このように他のクライアントPCに対してアクセス制限(アクセス不能を含む)されているように見せ掛ける処理は、ネットワークドライブの表示を隠す方法に限定されない。例えば第1実施形態において属性をリードオンリーにする構成に代え、アクセス制限モードになると、ディスク情報取得要求に対するディスク情報取得応答のデータ中(ワード・バイトデータ部分)の属性を、記憶媒体18に設定された実際の属性にかかわらず常にリードオンリーにする構成としてもよい。また、アクセス制限モードになると、書込み要求に対して実際は書込禁止となっていないが常に書込禁止の応答をする構成を採用することもできる。これらの構成によっても、クライアントPCからのアクセスを低減又は防止できるうえ、ネットワーク設定処理上必要な記憶媒体18へのアクセス(読出し及び書込み)は可能になる。よって、クライアントPCからの記憶媒体18へのアクセスを制限しつつ設定ファイルの読込み及び機器情報ファイルの書込みは行うことができる。
(変形例3)前記各実施形態においては、ネットワークが切り替わるとアクセス制限を解除する構成としたが、これに限定されない。例えばネットワーク切り替わり後においても設定ファイルと一緒に格納された他のファイルにアクセスされないように記憶媒体が接続されているうちはアクセス制限を解除しない構成も可能である。この場合、ネットワーク設定完了の旨が報知(例えば図3の(10)や図9の(7)の処理)されるので、ネットワーク設定の完了を知って速やかに記憶媒体を取り外せば、アクセス制限が解除されてネットワーク装置を早期にアクセス可能な状態に回復できる。
(変形例4)前記各実施形態では、無線I/F14の起動中におけるアクセスポイントの変更、あるいは有線I/F15の起動中におけるIPアドレスの変更の場合に適用したが、有線I/F15から無線I/F14へ、あるいは無線I/F14から有線I/F15へネットワークを切り替える際のネットワーク設定においても本発明を適用できる。例えば有線LANに接続されているときに無線LAN設定の変更を行ったり、無線LANに接続されているときに有線LAN設定の変更を行ったりしたときに本発明を適用できる。
(変形例5)前記各実施形態では、ネットワーク設定変更開始の指示の検知又は入力があったときから、ネットワークが切り替わるまでをアクセス制限期間としたが、これに限定されるものではない。例えば第1及び第2実施形態において、機器情報ファイルを書き込んでからネットワークが切り替わるまでをアクセス制限期間としてもよい。また、ネットワーク設定変更開始の指示の検知又は入力があったときから、ネットワーク設定を変更し終わるまでをアクセス制限期間とし、その後PCからの操作又はパネル操作による指示を受け付けてネットワークが切り替わる前にアクセス制限を解除してもよい。
(変形例6)前記第1及び第2実施形態において、設定ファイル19を格納する記憶媒体18の他にファイル共有される他の記憶手段を備える構成のネットワーク装置である場合は、記憶媒体18の接続を検知しなくなったらネットワーク切り替え前であってもアクセス制限を解除する構成を採用することができる。この構成によれば、ネットワーク設定変更完了後にユーザーが記憶媒体18を取り外すまでの間においてファイルを保護できる。また、一定期間はアクセスが制限されているので、ネットワーク切り替わり時に中断されるアクセスは低減する。
(変形例7)ネットワーク装置は、デジタルカメラ、プリンタ、スキャナ、複合機、プロジェクタなどの電子機器に限らず、家電製品や車両等の移動体に搭載される装置などにも適用することができる。また、記憶手段は、USBメモリやメモリカードに限定されず、CD−ROM、DVD、MO、さらには外付け型ハードディスクなどその他の記憶媒体であってもよい。また、記憶手段は、記憶媒体に限定されず、ネットワーク装置内に搭載された不揮発性メモリ、ハードディスクなどファイル共有の対象とされる記憶装置であってもよい。
以下、前記実施形態および各変形例から把握される技術的思想を記載する。
(1)ネットワーク接続可能な少なくとも一つの通信インターフェイスを有するとともにネットワーク接続状態において他の装置から記憶手段へのアクセスを許容するデータ共有機能を有するネットワーク装置において、切替え操作の検知又は入力を得ると、前記切替え操作に基づく指示に従ってネットワーク設定を変更する設定手段と、前記設定手段がネットワーク設定を変更する処理期間のうち少なくとも一部を含む制限期間中においては前記記憶手段へのアクセスを制限する制限手段とを備えたことを要旨とする。よって、ネットワーク設定変更後のネットワーク切り替わり時に他の装置から記憶手段へのアクセスが中断されることによる不都合を低減できる。
(2)請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のネットワーク装置において、前記切替え操作の入力を行うための操作部と、表示部と、ネットワーク設定の変更が完了した旨を前記表示部に表示する表示報知手段とをさらに備えたことを特徴とする。これによれば、操作部により切替え操作を行うと、その入力された指示に従って設定手段はネットワーク設定を変更する。ネットワーク設定の変更が完了するとその旨が表示部に表示される。ユーザーはネットワーク設定の変更の完了を知ると、記憶媒体を取り外すなど必要な措置をとる。完了の報知により速やかに記憶媒体を取り外せば、記憶媒体のアクセス可能状態での放置を極力回避できる。また、ネットワーク切り替わり後においても記憶媒体が接続されているうちはアクセス制限を解除しない構成も可能ではあるが、完了の報知により記憶媒体を速やかに取り外せば、ネットワーク装置の他の記憶手段が早期にアクセス可能になる。
(3)請求項1〜5乃至8〜11のいずれか一項に記載のネットワーク装置において、前記制限手段は、中断されると支障のあるアクセスを制限することを特徴とする。これによれば、ネットワーク切り替わり時に中断されると支障のあるアクセスの中断が低減するので、アクセスの中断に起因する支障を回避し易くなる。
(4)請求項10において、前記制限手段は、前記アクセスの完了を検知するかアクセスが完了されないまま所定時間を経過した場合に、前記記憶手段へのアクセスを制限することを特徴とする。これによれば、アクセス完了を促す通知により、アクセス中のユーザーは所定時間内であれば書込みができる。また、アクセス状態に放置されても所定時間経過後には記憶手段へのアクセスを制限してネットワーク設定の変更を開始できる。
(5)ネットワーク接続可能な少なくとも一つの通信インターフェイスを有するとともにネットワーク接続状態において他の装置から記憶手段へのアクセスを許容するデータ共有機能を有するネットワーク装置における設定変更方法であって、切替え操作の検知又は入力を得ると、前記データ共有機能を制限して前記記憶手段へのアクセスを制限するアクセス制限ステップと、前記アクセスの制限下で前記切替え操作に基づく指示に従ってネットワーク設定を変更する設定変更ステップとを備えたことを特徴とする。
(6)前記技術的思想(5)に記載のネットワーク装置における設定変更方法において、前記記憶手段がネットワーク装置に接続されたことを検知する接続検知ステップと、前記記憶手段に設定データがあるか否かを確認する確認ステップと、前記アクセス制限ステップでは、前記設定データがあることを確認できた場合に前記アクセスを制限し、前記設定データがあることを確認できなかった場合は前記アクセスを制限しないことを特徴とする。
(7)ネットワーク接続可能な少なくとも一つの通信インターフェイスを有するとともにネットワーク接続状態において他の装置から記憶手段へのアクセスを許容するデータ共有機能を有するネットワーク装置のコンピュータがネットワーク設定を変更するためのプログラムであって、コンピュータに、切替え操作の検知又は入力を得ると、前記データ共有機能を制限して前記記憶手段へのアクセスを制限するアクセス制限ステップと、前記アクセスの制限下で前記切替え操作に基づく指示に従ってネットワーク設定を変更する設定変更ステップとを実行させるためのプログラム。
10…ネットワーク装置、11…確認手段、判断手段を構成する主制御モジュール、12…制限手段、設定手段を構成するネットワークモジュール、13…液晶パネルモジュール、13a…操作部、14…通信インターフェイスとしての無線I/F、15…通信インターフェイスとしての有線I/F、16…メモリI/F部、17…メモリアクセスランプ、18…記憶手段としての記憶媒体、19…設定データとしての設定ファイル、21…設定手段を構成するネットワーク設定指示部、22…制限手段を構成する動作制限指示部、23…状態管理部、25…設定手段を構成するネットワーク設定部、26…制限手段を構成するデータ共有制御部としてのファイル共有制御部、27…通知手段を構成する通知処理部、35…ネットワーク管理画面、37…データ共有管理画面としてのネットワーク管理画面。