JP4773638B2 - ゴルフシューズ用スパイク鋲 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
芝生面に対する十分なグリップ力を確保しつつ、ゴルフコースの芝生面(特にデリケートなパッティンググリーン)又はクラブハウスの床面の損傷を防止することができ、しかも、硬いアスファルト面等を歩行しても摩耗、損傷が少なく、耐久性及び衝撃吸収性に優れたゴルフシューズ用スパイク鋲及びその製造方法に関する。
【0002】
このスパイク鋲は、ゴルフシューズの底部に一体成形されるものと、ゴルフシューズの底部に対してねじなどを用いて着脱自在とするものとの両者を含むものである。
特に、上記のスパイク鋲は、合成樹脂にて好適に製造することができる。
【0003】
【従来の技術】
従来、ゴルフシューズのスパイク鋲としては、針状の鋲からなる金属製のものが広く利用されており、この金属製のスパイク鋲によれば、例えば、濡れた芝斜面においても強力なグリップ力を発揮する。
【0004】
しかし、このような金属製のスパイク鋲は、芝生が生えている土の層にまで刺さることによりグリップ力を確保しているため、この金属製のスパイク鋲を装着して歩行した後の芝生面は軽く掘り起こされた状態となってしまう。特に、パッティンググリーンにおいては、後のプレーに支障が生ずることもある。従来の金属製のスパイク鋲にてクラブハウス内のカーペット上を歩行する際にも、カーペットを損傷させることがあり、問題となっている。
【0005】
また、金属製のスパイク鋲を装着して舗装路などの硬い地面を歩行すると、スパイク鋲部分に突き上げ感があり、なおかつ、体重を支える支点が少ないことによる歩行時の不安定感があり、履き心地が好ましくないという問題がある。さらに、地面からの衝撃が直接身体に加わるため、この衝撃を負担する足・膝・腰に疲労感が発生するなどの問題もある。
【0006】
上記の問題を解決するために「ノンメタルスパイク」と呼ばれる、主に合成樹脂により成形したゴルフシューズスパイクが用いられることとなった。この樹脂製スパイク鋲によれば、硬い路面においても突き上げ感がなく、体重を支える支点が多いことにより歩行時にも安定感がある。
【0007】
このような樹脂製のスパイク鋲としては、アメリカ合衆国特許出願第60/070735号と対応する特開平11−262401号公報にて開示されている合成樹脂製のスパイク鋲とか、本件出願人によって既に出願済みの特願2000−14944号にて開示されている合成樹脂製のスパイク鋲が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来の合成樹脂製のスパイク鋲は、金属製のスパイク鋲よりも身体への衝撃が少なく、芝生面やカーペットの損傷も比較的少ないとはいえ、複数本の脚が芝生面に刺さりやすいように鋭利に(特に脚の基端部から先端部にかけて順次細くなるように)形成されており、パッティンググリーン上のように短く刈り込まれたデリケートな芝生面を損傷することがやはり生じてしまうという問題がある。
【0009】
即ち、従来のスパイク鋲は、芝生面へ刺さるように、そのほとんどの脚が先細りであるか、鋭利なエッジを有する多角柱状に形成されており、歩き方に注意を払わないとデリケートな芝生面を損傷することが避けられないものであった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、硬いアスファルト面又はクラブハウス内の床面を歩行する際にも安定性があり、芝生面に対する十分なグリップ力を確保しつつ、パッティンググリーン上のように短く刈り込まれたデリケートな芝生面をも損傷することがないスパイク鋲を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の他の目的は、硬いアスファルト面やコンクリートの上などを歩行することでスパイク鋲に摩耗が生じても、芝生やクラブハウス内の床面を傷つけるような鋭利な部分(エッジ)を生じることがないゴルフシューズ用スパイク鋲を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るゴルフシューズ用スパイク鋲は、
鋲本体(1)と、
前記鋲本体の周縁部から下方に向かって放射状に延設された複数本の可撓性脚部(2)と、を備え、
前記可撓性脚部の先端部に、球状又は楕円球状の膨出部(B)を設けると共に、前記球状又は楕円球状の膨出部を含んだ前記可撓性脚部を、合成樹脂、柔軟な金属、又は柔軟な金属と合成樹脂の複合材料のいずれか一つから選択されるところの使用者の体重によって撓む材料で形成して、前記球状又は楕円球状の膨出部の摩耗によっても当該膨出部は丸みを帯びた形状を保って膨出部に鋭利な部分が生じないようにしたことを特徴とする。
【0013】
このように構成されたスパイク鋲においては、その脚部2に鋭利な角部が無いため、パッティンググリーンのようなデリケートな芝生面を損傷することが極めて少ないものとなる。
【0014】
また、前記膨出部Bの膨出方向としては、何れの実施形態においても、特に脚部2の下方又は側方に、或いは、下方及び側方に膨出させることが望ましい。脚部2の膨出部Bを下方へ膨出させれば、脚部2の対摩耗性及び耐久性を向上させることができる。脚部2の膨出部Bを脚部2の側方へ膨出させれば、芝生面への絡み付きが発生し、芝生面に対するグリップ力が向上する。
【0015】
脚部2の先端部に膨出部Bが設けられているため、膨出部Bが芝生に絡んで引っかかるため、芝生面に対して強力なグリップ力を発揮する。
【0016】
本発明に係るスパイク鋲は、前記脚部の先端部に丸みを帯びた膨出部Bを設けた場合、膨出部Bに角(鋭利な部分)がないため、芝生を傷つけることが極めて少ない。さらに、当該膨出部Bの摩耗によっても膨出部Bに鋭利な部分が生じないようになる。
【0017】
本発明に係るスパイク鋲としては、鋲本体から下方に延設された複数本の可撓性脚部と、前記可撓性脚部の先端部に設けられた球状又は楕円球状の膨出部と、を備え、当該膨出部の摩耗によっても膨出部に鋭利な部分が生じない。
【0018】
このような構成により、まず、芝生上においては、ゴルフシューズ着用者の体重によりスパイク鋲の可動性脚部2がほとんどそのままの状態で芝に食い込んでグリップする。一方、舗装路等の硬質な地面上においては、可撓性脚部2が撓んでクッション効果を奏し、膝・腰等の負担を軽減することができるとともに、安定性が高く、非常に使いやすいものとすることができる。
【0019】
本発明に係るスパイク鋲としては、さらに、鋲本体に、複数本の可撓性脚部より若干突出量の少ない支持突部3,7を設け、前記可撓性脚部2による体重の支持を補助するようにしてもよい。
【0020】
このような構成により、舗装路等の硬質な地面上においては、可撓性脚部2が撓んだ後、下方への突出量の少ない支持突部3,7が地面に当接する。従って、ゴルフシューズ着用者の体重を支持突部3が支持することとなり、可撓性脚部2が急激に摩耗してしまうことが効率よく防止される。
【0021】
本発明に係る上記スパイク鋲としては、前記支持突部3、7の下面に突条L又は溝(凹凸部)Rを設け、地面又は芝生面との摩擦力を向上させるようにしてもよい。ここで、突条又は溝(凹凸部)とは、スパイク鋲が地面又は芝生面に接する部分に設けられた摩擦力を増すための「突起」又は「窪み」であればどのような形状であってもよい。
【0022】
本発明に係る上記スパイク鋲としては、前記脚部2を、鋲本体1の周縁部から下方に向かって放射状に延設することが大きなグリップ力を得るとともに、脚部の摩擦に対する耐久性を向上させる。
【0023】
本発明に係る上記スパイク鋲としては、前記鋲本体1が、ゴルフシューズの裏面に対する着脱自在な係合部4を有していてもよい。このような構成とすることで、ゴルフシューズの裏面に対して着脱自在となり、スパイク鋲の交換が必要な場合には、容易に交換できるようになる。
【0024】
上記のように構成された本発明によるスパイク鋲は、脚部2の先端部の膨出部Bが芝生に絡み付いて引っかかり、抜け止めの作用を奏するため、合成樹脂にてスパイク鋲の全体を製造した場合にも、グリップ力が金属製のスパイク鋲と同等のものとなる。
【0025】
その理由の1つとしては、特に、本発明のスパイク鋲においては、前記膨出部Bが常に先に地面と接するため、脚部2の胴部又は基部の摩耗を膨出部Bが防ぐ作用を奏するためである。
【0026】
さらに、スパイク鋲の摩耗の際には、膨出部Bの形状が丸みを帯びた形状(好ましくは球状又は楕円球状)であるため、鋭利な部分が生じることがなく、摩耗後においても本件発明によるスパイク鋲においては芝生面を損傷することを極めて少ないものとすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態(実施例1)について図1から図5に従って以下、説明する。
本発明に係るスパイク鋲10は、略円盤状(円錐台形状)の基台部分を為す鋲本体1と、鋲本体1の裏面の周縁部から下方に向かって放射状に所定間隔にて延設された6本の可撓性脚部2と、当該可撓性脚部2の間に配置され可撓性脚部2よりも下方への突出量が若干少ない3本の支持突部3とを有している。
【0028】
即ち、本実施例のスパイク鋲10は、その可撓性脚部2として、互いに約40度離間した2本1組の可撓性脚部2を3対等間隔に配設し、約80度離間した可撓性脚部2の間に支持突部3を配設している。
【0029】
前記可撓性脚部2は、鋲本体1から下方に延設され、芝生を損傷するような鋭利な角部を有さないように胴部がほぼ円柱状となっている。
【0030】
さらに、前記可撓性脚部2は、アスファルトの舗装路等の硬い地面上では、ゴルフシューズ着用者の体重によって若干撓む程度の強度となるような太さで、上記した鋲本体1の基台部分から下方に向かって放射状に成形されている。
【0031】
ここで、「下方に向かって放射状」とは、おおよそ「鋲本体の裏面から下方に向かって鋲本体の周縁部(又は中央部)から外方へ若干拡開するように」なっていることを意味する。かかる構成により、可撓性脚部2は、ゴルフシューズの着用者の体重によってさらに外方へ拡がるように若干変形する。
【0032】
さらに、可撓性脚部2の先端部には、丸みを帯びた楕円球状の膨出部Bが設けられており、図5に示すように、当該膨出部Bの摩耗によっても膨出部Bに鋭利な部分が生じないようになっている。本実施例の膨出部Bは、主にスパイク鋲の下方及び側方(隣接する他の脚部の方向)に膨出するように形成されている。
【0033】
この膨出部Bの形状としては、当該膨出部Bの摩耗によっても膨出部Bに鋭利な部分が生じないように、図6及び図7に示すスパイク鋲20のような丸みを帯びた球状としてもよい。
【0034】
このように構成された可撓性脚部2は、芝生面上で使用した場合にはほとんど撓むことがなく、この脚部2の先端部が芝生面に絡み付くように食い込み、先端部の膨出部Bが抜け止めの作用を奏するため、芝生面に対する強力なグリップ力を発揮する。これは、複数の脚部2の胴部の間に挟まった芝生が、そこから抜け出す際に、狭くなっている膨出部Bの間を通過する必要があるためにグリップ力が増大するものと考えられる。
【0035】
一方、支持突部3は、前記可撓性脚部2が撓むことにより、地面と当接するようになって、ゴルフシューズ着用者の体重を支えるものである。即ち、この支持突部3は、芝生或いはカーペット上においては芝生面等に接してグリップ力を発揮し、一方、アスファルトの舗装路等の硬い地面上においては、ゴルフシューズ着用者の体重を主に支持して、可撓性脚部2が必要以上に撓んでしまうことからの急激な摩耗(過度の摩耗)を防止するものである。従って、支持突部3としては、このような作用を奏するものであれば如何なる形状としてもよいが、具体的には、前記可撓性脚部2の間部分に、それよりも突出量を少なく形成し、太さはやや太めに形成することによって、ゴルフシューズ着用者の体重を確実に支えるものとすることが望ましい。
【0036】
本実施例の前記支持突部3は、その下面に複数本の突条Lを有し、地面又は芝生面との摩擦力を向上させている。この突条Lとしては、図1に示すようにスパイク鋲10の中心と同心円方向に設ける場合と、図8に示すようにスパイク鋲30の中心から放射状に設ける場合と、図9のスパイク鋲40に示すように斜め方向(渦巻き状)に設ける場合と、図10のスパイク鋲50に示すように格子状に設ける場合などが考えられる。
【0037】
さらに、この突条Lの代わりに、図6に示すスパイク鋲20のように、複数本の溝(凹凸部)Rを支持突部3の下面に設けて実施してもよい。
【0038】
そして、支持突部3に設けられるこれらの突条L又は溝(凹凸部)Rの本数、向き、形状は、スパイク鋲の地面に対する摩擦力に影響するため、スパイク鋲にとって必要な性能及び特徴に応じて適宜変更すればよい。
【0039】
例えば、突条L又は溝(凹凸部)Rをスパイク鋲の中心と同心円方向に設ける場合には、スパイク鋲の前後・左右・斜め方向といった直線的な方向の摩擦力を高めることができ、突条L又は溝(凹凸部)Rをスパイク鋲の中心から放射状に設ける場合には、スパイク鋲の中心を中心とする回転方向の摩擦力を高めることができる。
【0040】
前記鋲本体1及び支持突部3の材料としては、ポリウレタン、合成ゴム、ABS、ポリカーボネート、ナイロンなどの合成樹脂の他、金属、セラミックス又はこれらの材料の複合材料など、如何なるものを用いてもよい。
【0041】
前記可撓性脚部2の材料としては、ポリウレタン、合成ゴム、ABS、ポリカーボネート、ナイロンなどの合成樹脂の他、柔軟な金属又は柔軟な金属と合成樹脂の複合材料など、使用者の体重によって撓むものであれば、如何なるものを用いてもよい。
【0042】
尚、スパイク鋲を合成樹脂により成形した場合において、硬度の異なる合成樹脂を複合して一体成形した場合、例えば可撓性脚部2には硬度の低い材料を用いて十分な可撓性を担保しつつ、一方、支持突部3には硬度の高い材料を用いて成形して耐摩耗性を高め、樹脂製スパイク鋲全体の耐久性を向上させることが考えられる。
【0043】
鋲本体1は、可撓性脚部2及び支持突部3を設けるための基台となり、なおかつ、ゴルフシューズの裏面(ソール)Sに装着するためのものであり、これらが可能であれば如何なる形状でもよいが、具体的には、ゴルフシューズの裏面Sに装着するための係合部4を上端面に備えた円盤状とすることが考えられる。
【0044】
尚、ここで、ゴルフシューズに装着するための係合部4は、図2から図4に示すように、ゴルフシューズの裏面Sに設けた係合穴と係合してロックするための所定形状の係合突部5を備えている。前記係合部4には、その中心に金属製の補強ピン6を埋設し、この係合部4自体の強度を向上させることが望ましい。
【0045】
本発明に係る上記の各スパイク鋲10,20,30,40,50は、金型により全体を、即ち、鋲本体1、可撓性脚部2、支持突部3、係合部4及び係合突部5とを射出成形により一体的に成形する。しかしながら、可撓性脚部2の先端部には膨出部Bが形成されているため、複数本の脚部を単一の型から抜いて全体を製造することは困難であり、通常は割型を使用する。
【0046】
上記のように構成された本実施例の合成樹脂製スパイク鋲10,20,30,40,50は、複数本の可撓性脚部2に設けた膨出部Bにより、芝生面又は床面を損傷することが少なく、摩耗に対する耐久性も高い。さらには、脚部2の先端部に設けた膨出部Bが芝生に絡み付き、脚部2の抜け止めの作用を奏するため、芝生に対するグリップ力に優れたものとすることができる。
【0047】
さらに、本実施例の合成樹脂製スパイク鋲10,20,30,40,50は、複数本の可撓性脚部2を合成樹脂にて製造しているため、アスファルト面又は床面などの硬い路面上を歩行する際に、脚部2が撓んで偏向するため、地面からの衝撃を吸収して膝・腰等の負担が軽減されることから、衝撃吸収性及び安定性が高く、非常に使いやすいものとすることができる。
【0048】
尚、上記各実施例のスパイク鋲は、ゴルフシューズの裏面Sとの係合部4に互いに120度離隔した係合突起5を備えており、鋲本体1の下面に180度離間して設けた2つの凹部を専用ハンドルにて操作することにより、ゴルフシューズの裏面に設けた係合穴とスパイク鋲10との脱着を容易なものとしている。
【0049】
次に、本発明を具体化したスパイク鋲の他の実施例(実施例2)について、図11及び図12に従って説明する。
本実施例のスパイク鋲60は、図11及び図12に示すように、鋲本体1と、鋲本体1の裏面の周縁部から下方に向かって放射状に所定間隔にて延設された8本の可撓性脚部2とを有している。即ち、本実施例のスパイク鋲60は、その可撓性脚部2として、互いに約40度離間した可撓性脚部2を等間隔に配設している。
【0050】
前記可撓性脚部2は、アスファルトの舗装路等の硬い地面上では、ゴルフシューズ着用者の体重によって若干撓む程度の強度となるような太さで、上記した鋲本体1の基台部分から下方に向かって前記実施例と同様に放射状に成形されている。
【0051】
このように構成された可撓性脚部2は、芝生面上で使用した場合にはほとんど撓むことがなく、この脚部2の先端部分が芝生面に絡みつくように食い込んで強力なグリップ力を発揮する。
【0052】
さらに、可撓性脚部2の先端部には、前記実施例と同様に、丸みを帯びた楕円球状の膨出部Bが設けられており、図11及び図12に示すように、当該膨出部Bの摩耗によっても膨出部Bに鋭利な部分が生じないようになっている。
【0053】
さらに、本実施例のスパイク鋲60には、可撓性脚部2とともに、鋲本体1の裏面中央部を肉厚として支持突部7を設けている。従って、この支持突部7により、ゴルフシューズ着用者の体重を支持させることができ、使用時においてさらに安定感が増すので有効である。この支持突部7は、可撓性脚部2がゴルフシューズ着用者の体重によって撓んだ状態で、同程度の寸法(突出量)に形成するのが好適と考えられるが、特段これに限定されるものではない。
【0054】
この中央部の支持突部7の突出量を可撓性脚部2の湾曲後の突出量と同程度としておけば、支持突部7が地面と当接して可撓性突部2が過度に摩耗することを防ぐことができ、スパイク鋲60の各脚部2の摩耗によるグリップ力の急激な低下を効率的に防止することが可能となる。
【0055】
前記鋲本体1の上端部には、ゴルフシューズに装着するための雄ネジ部8が突設されており、この雄ネジ部8は、ゴルフシューズの裏面Sに設けた雌ネジ穴と螺合する。この雄ネジ部8としては、単に、ゴルフシューズに螺合するための雄ネジを埋設して固定したり、樹脂に螺刻面を形成したものとしてもよい。
【0056】
本実施例の上記スパイク鋲60は、以上の部分を合成樹脂にて一体成形することにより作成することができるものであるが、全体を金属又はセラミックスといった硬い材料にて製造してもよい。但し、この場合、脚部2の可撓性は失われることとなる。
【0057】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、ゴルフシューズの裏面Sとスパイク鋲本体1を一体的に同時成形し、スパイク鋲本体1を交換できないようにしたものも、本発明の範囲に属するものである。
【0058】
前記可撓性脚部2としては、上記のように等間隔で設ける場合の他、間隔を30度程度から120度程度の間で適宜選択し、不等間隔にて配置して設けてもよい。また、支持突部3を全ての可撓性脚部2の間に設けたり、可撓性脚部2の本数又は設置間隔に応じて支持突部3の設置位置を適宜変更してもよい。
【0059】
従って、可撓性脚部2の数としては、2,3,4,5,6,7,8等から選択でき、支持突部3の数も2,3,4,5,6,7,8等から選択できる。
【0060】
これらの数の選択に際しては、合成樹脂又は金属といった材料の強度、各脚部の太さ及び長さなどに応じて適宜変更すればよく、これらの要素を考慮して変更することで、スパイク鋲のグリップ力、グリップ力の方向性、耐久性、装着感などを適宜変更できるものである。
【0061】
また、スパイク鋲全体を金属又はセラミックスなどの硬い材料にて製造した場合のように、全ての脚部2に可撓性が無い場合においても、支持突部3又は支持突部7を設けて実施してもよい。
【0062】
楕円球状の膨出部Bとしては、その膨出部Bの向きを横長から縦長に変更したり、その形状をより細長くしたり太くして実施してもよい。また、膨出部Bの形状を球状としてもよく、球状のものと楕円球状のものを組み合わせて実施してもよい。
【0063】
膨出部Bの形状としては、(1)脚部の先端部を特に側方へ太くするものであれば芝生面に対する絡み付き作用が生じて芝生面に対するグリップ力が増大し、(2)脚部の先端部を下方へ太くするようなものであれば脚部の対摩耗性及び耐久性を向上させるものとなり、(3)丸みを帯びたものとすれば芝生面に対する損傷を極力防止できるものとなるが、具体的な形状としては、これらの特性を考慮して適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0064】
尚、膨出部Bとしては、少なくとも脚部の先端部を下方又は側方の何れかの方向へ球状又は楕円球状に膨出させれば摩耗による鋭利な部分の発生を防ぐことができ、芝生に対するグリップ力を高めることができるが、脚部の下方及び側方に膨出させた膨出部Bによっても所定の効果を得ることができる。さらに、膨出部Bとしては、脚の下方、側方及び上方へも球状又は楕円球状に膨出させて実施してもよい。
【0065】
また、膨出部Bの形状を丸みを帯びた形状とすれば、脚部の胴部は、ある程度多角柱状の角部を有するものとしても、芝生面を損傷することを効果的に防止でき、かかる実施形態も本発明の範囲に属するものである。
【0066】
【発明の効果】
鋲本体から下方に延設され、鋭利な角部を有さない複数本の脚部を備えた本発明のスパイク鋲においては、その脚部に鋭利な角部が無いため、パッティンググリーンのようなデリケートな芝生面を損傷することが極めて少ないという優れた効果を奏する。
【0067】
本発明のスパイク鋲は、複数本の脚に設けた膨出部により、特に膨出部を丸みを帯びた形状とすることで、特に芝生面又は床面を損傷することが少なく、摩耗に対する耐久性に優れるという独自の効果を奏する。即ち、本発明のスパイク鋲においては、前記膨出部Bが常に先に地面と接するため、脚部の胴部又は基部の摩耗を膨出部が防ぐことができる。
【0068】
さらには、本発明のスパイク鋲は、脚の先端部に設けた膨出部が芝に絡み付いて脚部の抜け止めの作用を奏するため、芝生に対するグリップ力に優れたものとすることができる。
【0069】
従って、本発明のスパイク鋲は、膨出部の形状を丸みを帯びたものとしておくことで、使用開始の際は勿論のこと、使用を継続してある程度膨出部に摩耗が生じても、膨出部の形状は丸みを帯びたものとなるため、芝生面又は床面を損傷することが少なく、耐久性及びグリップ力に優れたものとすることができる。
【0070】
さらに、全体を合成樹脂にて製造すれば、アスファルト面又は床面などの硬い路面上を歩行する際には、複数本の脚部が撓んで偏向するために、地面からの衝撃を吸収して膝・腰等の負担を軽減することができるとともに、安定性が高く、非常に使いやすいものとすることができるという優れた独自の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るゴルフシューズ用のスパイク鋲の底面図である。
【図2】図1に係るスパイク鋲の図1におけるX−X線の断面図である。
【図3】図1に係るスパイク鋲の図1におけるY−Y線の断面図である。
【図4】図1に係るスパイク鋲の平面図である。
【図5】図1に係るスパイク鋲の膨出部の拡大図であり、摩耗の際の状態を仮想線にて示す拡大図である。
【図6】本発明に係るスパイク鋲の変形例の底面図である。
【図7】図6に係るスパイク鋲の膨出部の拡大図であり、摩耗の際の状態を仮想線にて示す拡大図である。
【図8】本発明に係るスパイク鋲の変形例の底面図である。
【図9】本発明に係るスパイク鋲の変形例の底面図である。
【図10】本発明に係るスパイク鋲の変形例の底面図である。
【図11】本発明の実施例2に係るゴルフシューズ用のスパイク鋲の底面図である。
【図12】図11に係るスパイク鋲の断面図である。
【符号の説明】
1 鋲本体
2 可撓性脚部
3 支持突部
4 係合部
5 係合突部
6 補強ピン
7 支持突部
8 雄ネジ部
10,20,30,40,50,60 スパイク鋲
B 膨出部
L 突条
R 溝
S シューズの裏面
Claims (4)
- 鋲本体(1)と、
前記鋲本体の周縁部から下方に向かって放射状に延設された複数本の可撓性脚部(2)と、を備え、
前記可撓性脚部の先端部に、球状又は楕円球状の膨出部(B)を設けると共に、前記球状又は楕円球状の膨出部を含んだ前記可撓性脚部を、合成樹脂、柔軟な金属、又は柔軟な金属と合成樹脂の複合材料のいずれか一つから選択されるところの使用者の体重によって撓む材料で形成して、前記球状又は楕円球状の膨出部の摩耗によっても当該膨出部は丸みを帯びた形状を保って膨出部に鋭利な部分が生じないようにしたことを特徴とするゴルフシューズ用スパイク鋲。 - 前記鋲本体は、前記可撓性脚部より若干突出量の少ない複数本の支持突部を有し、前記可撓性脚部による使用者の体重の支持を補助するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフシューズ用スパイク鋲。
- 前記複数の支持突部の各々は、その下面に突条又は溝を有し、地面又は芝生面との摩擦力を向上させていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフシューズ用スパイク鋲。
- 前記鋲本体は、ゴルフシューズの裏面に対する着脱自在な係合部(4)を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフシューズ用スパイク鋲。
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