JP4772334B2 - 止水用吸引具 - Google Patents

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本発明は、車両に搭載される車載用電線に止水処理を施す技術に関するものである。
前記車載用電線としては、高い防水性が求められるものがある。例えば、車両等に設けられる電気回路をアース端子に接続するためのアース用電線は、その端末に固定されたアース接続端子が外部に露出した状態で適当なアース部位(例えば車両のボディ)に接続されるため、当該端末から水分が浸入しやすく、当該水分が被覆材の内側を伝って回路に浸入すると当該回路の正常な動作を妨げるおそれがある。
そこで、このようなアース用電線をはじめとする車載用電線の止水処理を行なう方法として、特許文献1には、アース接続端子が固定された電線端末を覆うように高粘度シール樹脂をモールドすることが開示されている。
特開2001−167821号公報(第4頁、図4)
前記のように電線端末の周囲に樹脂をモールドする方法では、その成形に手間と大掛かりな設備とを要するのに加え、当該電線端末が嵩張るため、配線作業がしづらく、例えば他のアース接続端子と重ね合わせるといったことができなくなる欠点がある。
本発明は、このような事情に鑑み、簡単な操作で、電線端末部分の体積を大幅に増やすことなく、確実に車載用電線の止水処理を行なうことを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明者は、車載用電線の一方の端末から当該車載用電線の被覆材の内側のエアを吸引して減圧することにより、車載用電線の他方の端末に供給された流動性を有する止水剤を前記被覆材の内側に浸透させる止水処理方法に想到した。
この止水処理方法によれば、止水剤を被覆材の内側に浸透させることができるので、当該電線端末部分の体積をほとんど変化させずに、車載用電線の被覆材の内側における水路を確実に遮断して、車載回路に水分が浸入するのを防止することができる。ただし、前記のような減圧操作を車載用電線1本ずつに対して行っていたのでは、作業効率の飛躍的な向上は望み難い。
そこで、本発明は、導体の外側に被覆材を有する電線であって車両に搭載される車載用電線をまとめて止水処理するために、これら車載用電線の一方の端末に供給された流動性を有する止水剤が前記被覆材の内側に浸透するように当該車載用電線の他方の端末を吸引端末としてこの吸引端末からエアを吸引して前記被覆材の内側を減圧するために使用される止水用吸引具であって、複数の車載用電線の前記吸引端末を個別に収容可能となるように、当該車載用電線の収容本数に対応して複数の凹部が形成されたベースと、前記各凹部に吸引端末が個別に収容された複数の車載用電線の途中部を挟圧しつつ前記各凹部の開口を着脱可能に閉鎖することにより、前記各吸引端末がそれぞれ内部に個別に密閉された複数の減圧室を形成する蓋体とを備え、前記ベース、蓋体の少なくとも一方には、前記各減圧室と吸引源とを連通可能な吸引経路が設けられ、前記減圧室を形成する姿勢にある前記蓋体をベース側に押付ける押圧手段を備えていることを特徴とする止水用吸引具を提供する。
本発明に係る止水用吸引具によれば、ベースに形成された複数の凹部に対して複数の車載用電線の吸引端末を個別に収容し、蓋体を閉塞して各減圧室を減圧することによって、当該各車載用電線の被覆材内部を一括して減圧することができる。
ここで、複数の車載用電線の減圧処理をまとめて行う手段としては、例えば、共通の大きな凹部に複数本の車載用電線の吸引端末をまとめて収容し、この凹部からなる減圧室を減圧することによっても可能なのであるが、この場合には前記凹部内に収容される吸引端末同士の隙間も含めて当該凹部内に無駄な空間が多くなり、その分減圧のためのポンプ等の吸引源の必要動力が大きくなってしまうのに対し、本発明のように各吸引端末をそれぞれ個別に収容する複数の凹部を具備するようにして吸引端末ごとに個別密閉するようにすれば、凹部内の無駄な空間をより削減することが可能であり、その分前記吸引源の必要動力を節減することが可能になる。
したがって、本発明の止水用吸引具では、複数の車載用電線について前記減圧作業を一括して行うことができるので、これら車載用電線の一方の端末に止水剤を供給することによって、当該各車載用電線の止水処理を行うことができ、当該止水処理の作業性を向上させることができる。さらに、本発明に係る止水用吸引具では、凹部内の無駄な空間を削減することができるので、吸引源の必要動力の節減を図ることができる。
また、本発明に係る止水用吸引具は、前記減圧室を形成する姿勢にある前記蓋体をベース側に押付ける押圧手段を備えている。
そのため、前記押圧手段によってベースと蓋体とをより確実に密着させることができるので、前記減圧室の気密性能を向上させることができ、これにより吸引源の必要動力をより低減することができる。
なお、前記車載用電線の種類や配設個所は特に限定されるものではないが、好ましいものとして、車両に搭載される回路をアースに接続するためのアース用電線が挙げられる。
この構成によれば、アース用電線に前記止水処理を施すことができるので、一般に車両の外部環境の影響を受けやすい個所(例えば、車両のボディ)に配設されるアースに接続されたアース用電線の端末から反対の端末へ水分が浸入するのを防止することができる。
ただし、本発明に係る止水用吸引具は、前記アース用電線に限られず、例えば、電線途中部の被覆材が剥離されたスプライス線のように被覆材内部への水分の侵入が発生し易い種類のもの、又は、コネクタに防水機能が備えられていてもその回路自体に特に高い防水性が要求される回路に接続されるものにも好適に採用することができる。
前記止水用吸引具において、前記ベースには、前記蓋体の被覆個所にシール部材が設けられ、このシール部材は、前記各凹部の開口を個別に取り囲んで各凹部同士の間にも介在するように配設されていることが好ましい。
この構成によれば、前記蓋体をベースに装着した場合に、各凹部の開口を個別に取り囲むシール部材によって、当該ベースと蓋体との間に確実に気密状態を形成して、各凹部に対応する複数の減圧室を確実に形成することができる。
前記シール部材は、各凹部に対応して複数個用いるようにしてもよいが、前記シール部材は、単一の弾性部材により形成され、当該シール部材には、前記各凹部の開口に対応する個所で当該シール部材を貫く貫通孔が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、単一のシール部材により複数の減圧室を形成することができるので、各凹部の数量に対応して複数のシール部材を使用する場合と比較して、コストを低減することができる。
前記各凹部は、端子が接続されていない車載用電線の前記吸引端末をそれぞれ収容可能な大きさに形成されていてもよいが、前記各凹部は、前記車載用電線の前記吸引端末に接続されている端子を収容可能な大きさにそれぞれ形成されていることが特に好ましい。
この構成によれば、既に端子が接続されている車載用電線の前記吸引端末を凹部内に収容することができるので、端子が接続されているか否かにかかわらず、前記減圧作業を実行することができる。したがって、前記構成では、車載用電線の製造工程において比較的自由なタイミングで、前記減圧作業を実行することができる。
前記止水用吸引具において、前記車載用電線が前記減圧室に保持されているか否かを検出する電線検出手段を備えていることが好ましい。
この構成によれば、前記減圧室に車載用電線が保持されているか否かを検出することができるので、この検出結果を利用して車載用電線の装着忘れによる空運転の発生を抑制することができる。
前記止水用吸引具において、前記減圧室内の圧力を検出する圧力検出手段を備えていることが好ましい。
この構成によれば、前記減圧室内の圧力を検出することができるので、この検出結果を利用して減圧室内が不適切な圧力環境とされた状態で減圧処理が実行されるのを抑制することができる。
本発明によれば、簡単な操作で、電線端末部分の体積を大幅に増やすことなく、確実に車載用電線の止水処理を行なうことができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の止水用吸引装置は、図2に示すように、止水用吸引具1と、制御部20、表示部21、吸引ポンプP及び、レギュレータRを内蔵する制御ボックス22とを組み合わせて構成され、図1(a)(b)に示すようなアース用電線40の止水処理を行うために使用される。
前記アース用電線40は、導体41の周囲に被覆材42を有する絶縁電線であり、その一方の端末にアース接続端子50、他方の端末にコネクタ接続用の端子T(図3参照)が圧着固定されている。図示のアース接続端子50は、単一の金属板で構成され、車両のボディアースに接続されるアース接続部51と、導体バレル52及びインシュレーションバレル53とを一体に有している。アース接続部51には、図略のボルトが挿通可能なボルト挿通孔51aが設けられ、当該ボルトに電気的に接続される(すなわち、ボディアースに接続される)ようになっている。
なお、図1(a)(b)では、アース用電線40とアース接続端子50とが一対一で圧着された例を示しているが、図1(c)に示すように、1個のアース接続端子50に対して複数(図では2本)のアース用電線40a、40bが圧着されたもの、いわゆる共通圧着線も知られており、本実施形態の止水用吸引具1は、特にこの共通圧着線の止水処理に好適に使用することができる。
前記止水用吸引具1は、図2〜図4に示すように、前記アース用電線40、40a、40b(以下、まとめてアース用電線40と記す)の一方の端末の特定個所(図1のA矢指部分)に供給された流動性を有する止水剤を被覆材42の内側に浸透させるべく、当該アース用電線40の他方の端末(前記端子Tが接続されている端末:以下、吸引端末と称す)を吸引するようになっている。
具体的に、前記止水用吸引具1は、ベース2と蓋体3との間で2つの減圧室Sを形成し、これら減圧室S内に個別に密封された2本のアース用電線40の前記吸引端末について、その被覆材42内部を減圧するようになっている。この減圧に応じて、各アース用電線40の前記一方の端末の前記A矢指部分に供給された流動性を有する止水剤が被覆材42の内側に浸透し、各アース用電線40内の水路が遮断されることになる。
このように、前記止水用吸引具1では、複数のアース用電線40を一括して減圧して、止水剤を浸透させることができるので、止水処理の作業性が向上する。
具体的に、前記止水用吸引具1は、上方へ開口する一対の凹部4が形成されたベース2と、前記各凹部4を閉鎖可能な表面積とされた蓋体3と、この蓋体3をベース2に対して揺動操作可能に支持する支軸5aを有するクランプ(押圧手段)5とを備え、このクランプ5の揺動操作に応じて、前記各凹部4開口を閉鎖する閉鎖位置(図2に実線で示す姿勢)と、各凹部4を開放する開放位置(図2に二点鎖線で示す)との間で蓋体3が支軸5a回りに揺動自在とされている。
前記ベース2は、略矩形の本体ブロック6と、この本体ブロック6に取り付けられたゴムパッキン(シール部材)7、保持部8、圧力センサ(圧力検出手段)9及び、ポート部10とを備えている。なお、以下の説明では、前記保持部7が配設されている側を仮に前方(作業者が位置する側)として説明する。
本体ブロック6には、左右一対の収容穴(収容部)17が、それぞれ前方に向けて上るように傾斜して形成されている。各収容穴17は、それぞれ前記コネクタ接続用の端子Tが圧着されたアース用電線40の前記吸引端末を1本ずつ挿入可能な断面積及び開口形状とされている。また、各収容穴17が傾斜しているので、当該各収容穴17内にアース用電線40を前方から挿入する際に、当該アース用電線40を各収容穴17の傾斜に沿って滑らせるようにして、スムーズに挿入することができる。
前記本体ブロック6の上面には、前記各収容穴17の開口を個別に取り囲むように、ゴムパッキン7が固着されている。このゴムパッキン7には、前記各収容穴17の開口に対応する個所で当該ゴムパッキン7を貫く2つの貫通孔7aが形成されている(図4参照)。すなわち、前記ゴムパッキン7は、前記各収容孔17の開口を個別に取り囲んで各収容孔17の間の部分7bにも介在するように配設されている。なお、本実施形態では、前記ゴムパッキン7の各貫通孔7a及び前記各収容穴17が凹部4の一例を構成している。
前記保持部8は、前記各収容穴17内に吸引端末が挿入されている各アース用電線40の途中部を1本ずつ保持可能な左右一対のスリット11a(図3参照)を有する電線ガイド11と、この電線ガイド11と本体ブロック6との間に配設された左右一対の検出センサ(電線検出手段)12とを備えている。
前記各検出センサ12は、図3で明確に示すように、それぞれ上方へ開くゲート状に形成され、前記本体ブロック6と電線ガイド11(スリット11a)との間に掛け渡された各アース用電線40の途中部を個別に検出し得るようになっている。
前記圧力センサ9は、前記各収容穴17に対応して一対配設され、本体ブロック6に形成された一対の孔13(図2では1つ示している)を介して前記各収容穴17内の圧力をそれぞれ検出可能とされている。
前記ポート部10は、前記各収容穴17のそれぞれに対応して一対配設され、各一方の端部が本体ブロック6に形成された一対の孔14を通じて前記各収容穴17内と個別に連通し、各他方の端部が共通のレギュレータR(図4参照)を介して減圧ポンプPと連結されている。つまり、前記一対のポート部10及び一対の孔14が減圧ポンプPと連通可能な吸引経路を構成している。なお、本実施形態では、一対のポート部10及び一対の孔14を配設しているが、各収容孔17に連通する共通の孔を前記本体ブロック6に対して形成し、この孔に対して1個のポート部を連通させることもできる。
一方、前記蓋体3は、その裏面が前記クランプ5に取り付けられたプレート15と、このプレート15の表面に固着されたゴムパッキン(弾性部材)16とを備えている。このゴムパッキン16は、蓋体3が前記閉鎖位置とされた場合に、前記ゴムパッキン7との間で各アース用電線40の途中部を挟圧しつつ当該ゴムパッキン7との間に気密状態を形成するようになっている。つまり、前記ゴムパッキン7及び16は、前記蓋体3とベース2との間でアース用電線40の途中部を挟圧した場合に、当該アース用電線40の外形に沿って弾性変形可能となるように、例えば、発泡ウレタン(気泡個所が不連続とされたもの)や、シリコーンゴムやシリコーンゲル等の比較的高い弾性を有する材質により形成されている。
前記クランプ5は、トグル機構を利用した周知のクランプであり、前記本体ブロック6上の後部に設けられている。
また、前記クランプ5は、前記蓋体3を閉鎖位置へ揺動した状態において、当該蓋体3を本体ブロック6側へさらに押圧するようになっている。この押圧力に応じて前記両ゴムパッキン7、16が弾性変形して相密着することにより、閉鎖位置とされた蓋体3と本体ブロック6との間には前記各収容孔17に対応して一対の減圧室Sが区画される。具体的に、これら減圧室Sは、それぞれ前記両収容穴17内及び両貫通孔7a内の空間であって蓋体3を天板として閉鎖された空間のことである。
このように、前記止水用吸引具1では、クランプ5の揺動操作によって一対の減圧室Sを区画することができるので、2本のアース用電線40の止水処理の作業性をより向上させることができる。
そして、前記圧力センサ9、検出センサ12、表示部21及び、レギュレータRは、それぞれ制御ボックス22内の制御部20に対して電気的に接続されている。
制御部20は、各種演算処理を実行するCPU、初期設定等を記憶するROM、図略の入力部により入力された設定情報等を上書き可能に記憶するRAM等を有する周知のものである。なお、前記入力部は、減圧の開始又は停止の指示を入力する機能も備えている。
制御部20は、前記入力部による減圧開始の指示が入力されることに応じて前記吸引ポンプPの駆動を制御して、前記レギュレータRの調整圧による減圧の開始又は停止を実行するようになっている。前記レギュレータRは、図略の調整つまみによって前記吸引ポンプPによる減圧室Sに対する吸引圧を調整できるようになっている。
また、前記制御部20は、前記圧力センサ12により各減圧室S内の圧力を検出し、この検出値を表示部21に表示するようになっている。
そのため、例えば、前記減圧室S内の圧力が予め設定された基準負圧より高い(正圧側)場合には、作業者は、前記表示部21を確認することにより、減圧室S内の負圧が不適正であることを認識することができ、これにより、減圧室S内が不適正な圧力環境とされた状態で減圧処理が実行されるのを抑制させることができる。
なお、本実施形態の制御部20は、前記圧力センサ12による検出値を表示部21に表示するようにしているが、前記検出値と前記基準負圧との差分を算出し、この差分が予め設定された基準値よりも大きい場合に、図外の報知手段(ブザーやランプ等)により作業者へ報知すること若しくは前記吸引ポンプPを停止させることもでき、又は前記差分に対応して前記レギュレ−タRの調整圧をフィードバック制御することもできる。このフィードバック制御を実行する場合には、例えば、前記レギュレータRに電磁弁を採用すればよい。
さらに、制御部20は、前記各検出センサ12の検出結果に基づいて、各収容穴17にアース用電線40がそれぞれセットされているか否かを前記表示部21に表示するようになっている。
そのため、例えば、アース用電線40が1本しか装着されていない場合(もう1本のアース用電線40の装着を忘れた場合)には、作業者は、前記表示部21を確認することにより、アース用電線40の装着本数が不足していることを認識することができ、これによりアース用電線40の装着忘れによる空運転の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態の制御部20は、前記検出センサ12の検出結果を表示部21に表示するようにしているが、アース用電線40の装着本数の不足が検出された場合に、前記入力部の操作にかかわらず減圧を開始させないようにすること、又はアース用電線40の装着本数の不足を図外の報知手段(ブザーやランプ等)により作業者へ報知することもできる。
次に、前記止水用吸引装置を用いてアース用電線40に止水処理を施す方法について説明する。
まず、作業者は、前記蓋体3を開放位置(図2の二点鎖線で示す位置)とした状態で、各収容穴17内にアース用電線40の前記吸引端末(コネクタ接続用の端子Tが接続されている側の端末)をそれぞれ1本ずつ挿入する。次いで、これらアース用電線40の途中部を前記各スリット11aに挿入して、当該各アース用電線40をベース2に対して固定する。
この状態で、前記蓋体3を閉鎖位置(図2の実線で示す位置)として、表示部21を確認することにより、各アース用電線40がセットされているか否かを確認した後、前記入力部(図示せず)によって減圧開始の指示を入力する。
次いで、前記減圧開始の指示の入力に応じて各減圧室S内の減圧が開始される。これにより、各収容穴17内に挿入されているアース用電線40における被覆材42の内側空間も同時に減圧される。ここで、作業者は、表示部21を確認することにより、各減圧室S内が予め設定された吸引圧まで減圧されているか否かを確認することができる。
そして、この状態で、作業者は、各アース用電線40の前記一方の端末(止水用吸引具1の外側へ導出されている側の端末)に対して、図1のA矢指部分、被覆材42が剥がされて露出している導体41の付根部分に流動性を有する止水剤を図略のディスペンサで滴下する。なお、この滴下位置は、端子構造に応じて適宜設定が可能である。
このような止水剤の供給時において、被覆材42の内側空間は前記のように減圧されているため、前記止水剤の粘度が多少高くても、当該止水剤は確実に被覆材42の内側に浸透し、当該被覆材42内の水路を遮断する止水構造を構築することになる。
ここで用いられる止水剤は、少なくとも供給時に流動性を有し、かつ、電線使用時にある程度の粘度を保有するものであればよい。したがって、この止水剤は、その性状がほとんど時間変化しないものでもよいが、供給後に硬化して粘度が高まるものがより好適である。
具体的には、初期粘度が0.6Pa・s程度のものであれば、10kPa〜100kPa程度の圧力で5〜120秒ほど減圧することにより、被覆材42内に浸透可能であることが確認されており、その材質としては、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、グリース、その他粘性及び弾性を有する接着剤が好適である。シリコーン樹脂については、2液タイプ(2液混合によって硬化が開始するタイプ)、1液タイプ(1液のみで自然硬化するタイプ)にかかわらず使用が可能である。
以上説明したように、前記止水用吸引具1によれば、ベース2に形成された2つの凹部4に2本のアース用電線40の吸引端末を個別に収容し、蓋体3を閉塞して各減圧室Sを減圧することによって、当該各アース用電線40の被覆材42内部を一括して減圧することができる。
ここで、複数のアース用電線の減圧処理をまとめて行う手段としては、例えば、共通の大きな凹部4に複数本のアース用電線40の吸引端末をまとめて収容し、この凹部4からなる減圧室Sを減圧することによっても可能なのであるが、この場合には前記凹部4内に収容される吸引端末同士の隙間も含めて当該凹部4内に無駄な空間が多くなり、その分吸引ポンプPの必要動力が大きくなってしまうのに対し、前記止水用吸引具1のように各吸引端末をそれぞれ個別に収容する複数の凹部4を具備するようにして吸引端末ごとに個別密閉するようにすれば、凹部4内の無駄な空間をより削減することが可能であり、その分前記吸引ポンプPの必要動力を節減することが可能になる。
したがって、前記止水用吸引具1では、2本のアース用電線40について前記減圧作業を一括して行うことができるので、これらアース用電線40の他方の端末に止水剤を供給することによって、当該各アース用電線40の止水処理を行うことができ、当該止水処理の作業性を向上させることができる。さらに、前記止水用吸引具1では、凹部4内の無駄な空間を削減することができるので、吸引ポンプPの必要動力の節減を図ることができる。
なお、前記実施形態では、2本のアース用電線40を同時に吸引するようにしているが、前記凹部4の断面積又は断面形状等を変更することにより、3本以上のアース用電線40の減圧作業を同時に実行することもできる。
前記ベース2にゴムパッキン7を設けた構成によれば、前記蓋体3をベース2に装着した場合に、各凹部4の開口を個別に取り囲むゴムパッキン7によって、当該ベース2と蓋体3との間に確実に気密状態を形成して、各凹部4に対応する2つの減圧室Sを確実に形成することができる。
なお、前記実施形態では、前記各ゴムパッキン7、16のフラットな面同士を密着させるようにしているが、これらゴムパッキン7、16にアース用電線40の外形に対応する溝を形成し、この溝に沿ってアース用電線40をセットするようにすれば、ベース2と蓋体3との隙間をより少なくすることができ、前記減圧室Sの気密性をより向上させることができる。
前記実施形態のようにゴムパッキン7を単一の部材とした構成によれば、1つのゴムパッキン7により2つの減圧室Sを形成することができるので、各凹部4の数量に対応して2つのゴムパッキンを使用する場合と比較して、コストを低減することができる。
各凹部4がコネクタ接続用の端子Tを収容可能となる大きさに形成されている構成によれば、コネクタ接続用の端子Tが接続されているか否かにかかわらず、前記減圧作業を実行することができる。したがって、前記構成では、アース用電線40の製造工程において比較的自由なタイミングで前記減圧作業を実行することができる。
前記実施形態のように、前記閉鎖位置にある蓋体3をベース2側に押付けるクランプ5を備えた構成によれば、このクランプ5によってベース2と蓋体3とを確実に密着させることができるので、前記減圧室Sの気密性能をより向上させることができ、これにより吸引ポンプPの必要動力を低減することができる。
前記実施形態のように、検出センサ12を備えた構成によれば、前記減圧室Sにアース用電線40が保持されているか否かを検出することができるので、前記アース用電線40の装着忘れによる空運転の発生を抑制することができる。
前記実施形態のように、圧力センサ9を備えた構成によれば、減圧室S内の圧力を検出することができるので、当外減圧室S内が不適切な圧力環境とされた状態で減圧処理が実行されるのを抑制することができる。
なお、前記実施形態では、クランプ5によって蓋体3をベース2に対して揺動させるようにしているが、蓋体3の駆動機構としては、クランプ5に限定されることはなく、前記ベース2に対して蓋体3を昇降させるエアシリンダを利用することもできる。
また、前記実施形態では、クランプ5の押圧力によって蓋体3とベース2とを密着させるようにしているが、この密着に要する押圧力は、クランプ5の押圧力に限定されることはなく、前記エアシリンダによる押圧力、又は前記吸引ポンプPによる負圧と前記蓋体3に付与される大気圧との差圧に相当する力を利用することもできる。
なお、前記各実施形態では、各収容穴17がアース接続端子50を収容可能な断面積及び断面形状に形成されているが、これに限定されることはなく、収容穴17は、少なくとも止水処理の対象となるアース用電線40の前記吸引端末を個別に収容可能となる大きさとされていればよい。
また、前記実施形態では、入力部により減圧の開始指示を入力するように構成しているが、これに限定されることはなく、例えば、クランプ5の揺動動作とリンクしてON/OFFするスイッチを設け、このスイッチにより前記閉鎖位置への揺動操作と合わせて減圧を開始させるようにしてもよい。
前記図2〜図4に示した止水用吸引装置を利用して、次の条件下で止水処理を行なった。
電線長・・・0.5〜3m
電線断面積・・・0.5〜1.25mm2
使用止水剤・・・シリコーンゴム(粘度0.6Pa・s)
止水剤滴下量・・・5〜20mg(1〜4滴程度)
減圧時の圧力・・・60kPa
減圧時間・・・止水剤供給時点から10〜60秒間
このような止水処理を行なった結果、電線端末から10〜50mmの領域にわたって前記止水剤が被覆材42の内側に浸透することが確認できた。さらに、この電線について、−40℃〜80℃の温度範囲での1000サイクルにわたる冷熱耐久試験と、温度120℃下での120時間にわたる高温放置試験とを行った後も、30kPaまでの加圧に対し十分な止水効果を発揮することが確認できた。
一方、前記被覆材42の内側空間の減圧を行わない場合には、止水剤の浸透部分は電線端末から3〜10mm程度までの領域しか認められなかった。
本発明に係る止水用吸引装置による止水処理の対象となるアース用電線の一例を示す、(a)は平面図、(b)は側面図であり、(c)は共通圧着線の一例を示す平面図である。 本発明に係る止水用吸引装置の全体構成を概略的に示す側面一部断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2の止水用吸引具の平面図である。
1 止水用吸引具
2 ベース
3 蓋体
4 凹部
5 クランプ
5a 支軸
9 圧力センサ(圧力検出手段)
10 ポート部(吸引経路)
12 検出センサ(電線検出手段)
14 孔(吸引経路)
17 収容穴
40 アース用電線
41 導体
42 被覆材
P 吸引ポンプ(吸引源)
S 減圧室

Claims (7)

  1. 導体の外側に被覆材を有する電線であって車両に搭載される車載用電線をまとめて止水処理するために、これら車載用電線の一方の端末に供給された流動性を有する止水剤が前記被覆材の内側に浸透するように当該車載用電線の他方の端末を吸引端末としてこの吸引端末からエアを吸引して前記被覆材の内側を減圧するために使用される止水用吸引具であって、
    複数の車載用電線の前記吸引端末を個別に収容可能となるように、当該車載用電線の収容本数に対応して複数の凹部が形成されたベースと、
    前記各凹部に吸引端末が個別に収容された複数の車載用電線の途中部を挟圧しつつ前記各凹部の開口を着脱可能に閉鎖することにより、前記各吸引端末がそれぞれ内部に個別に密閉された複数の減圧室を形成する蓋体とを備え、
    前記ベース、蓋体の少なくとも一方には、前記各減圧室と吸引源とを連通可能な吸引経路が設けられ
    前記減圧室を形成する姿勢にある前記蓋体をベース側に押付ける押圧手段を備えていることを特徴とする止水用吸引具。
  2. 前記車載用電線は、車両に搭載される回路をアースに接続するためのアース用電線であることを特徴とする請求項1に記載の止水用吸引具。
  3. 前記ベースには、前記蓋体の被覆個所にシール部材が設けられ、このシール部材は、前記各凹部の開口を個別に取り囲んで各凹部同士の間にも介在するように配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の止水用吸引具。
  4. 前記シール部材は、単一の弾性部材により形成され、当該シール部材には、前記各凹部の開口に対応する個所で当該シール部材を貫く貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の止水用吸引具。
  5. 前記各凹部は、前記車載用電線の前記吸引端末に接続されている端子を収容可能な大きさにそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の止水用吸引具。
  6. 前記車載用電線が前記減圧室に保持されているか否かを検出する電線検出手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の止水用吸引具。
  7. 前記減圧室内の圧力を検出する圧力検出手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の止水用吸引具。
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