JP4771189B2 - 捕獲殺虫装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、虫を誘引して捕獲又は殺虫する捕獲殺虫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−146751号公報に開示される装置は、台座と、台座上に設けた多孔性の粘着部からなり、粘着部の内部に、蚊や虻を誘引する誘引物質と加熱装置を有することを開示する。この加熱装置は、赤外線を放射することを目的とするもので、誘引剤と共に使用することで虫の捕獲性を向上させるものである。
【0003】
また、他の殺虫方法としては、高電圧線による電撃で殺虫する方法、殺虫ガスで殺虫する方法、界面活性剤を含む水で捕獲殺虫する方法、吸引ファンで吸い込む方法等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、粘着による捕獲殺虫方法では、粘着面積により捕獲数が限定され、また粉塵などによる粘着力が低下するという不具合を有し、高電圧線による電源で殺虫する方法では、昆虫が接触した時の電撃音が不快である、高圧線の清掃が必要である、電撃にあった昆虫の死骸が飛散する、高電圧を用いるため設置場所に制約がある等の不具合がある。さらに、殺虫ガスによる方法では、ガスが拡散するので効率が悪いという不具合があり、界面活性剤を含む水による方法では,汚れた液剤が不衛生であるという不具合がある。また、吸入ファンによる方法では、構造が複雑で高価である、吸引音が不快である等の不具合がある。
【0005】
このため、この発明は、簡易な構成で効率よく誘虫し捕獲殺虫可能であると共に衛生的である捕獲殺虫装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
よって、この発明は、本体ケースに設けられ、一方に開口部を有する捕虫ケースと、該捕虫ケースの開口部近傍に配された誘虫灯と、前記捕虫ケースの少なくとも一つの内壁を所定の温度に加熱する加熱手段とを具備することにある。
【0007】
したがって、この発明によれば、捕虫ケースの開口部上方近傍に誘虫灯を配して虫を誘引する。そして、誘虫灯に誘引され、捕虫ケース内に落下又は侵入した虫が、加熱手段によって加熱された前記捕虫ケース内の少なくとも一つの内壁に接触し殺虫され、さらにその死体が乾燥されるものである。
【0008】
このように、捕虫ケース内に落下した虫を効率よく殺虫することができると共に、捕虫ケース内に蓄積された虫の死体が熱によって乾燥するので、二次的な虫の発生を防止でき、さらに加熱によって虫の死体が殺菌乾燥されているので、死体の廃棄時の不快感をなくすことができるものである。
【0009】
また、前記加熱手段の熱源は、前記誘虫灯の安定器であることが望ましい。これによって、熱源を特別に設けなくても十分な加熱量を得ることができると共に、大規模なものについても補助ヒータを設けるだけで対応できるものである。また、前記捕虫ケースの少なくとも一つの内壁は、前記熱源に接する共に、熱伝導性の高い材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金などによって形成されることが望ましい。
【0010】
さらに、前記開口部近傍には、前記捕虫ケース内に誘い込まれた虫の逃亡を阻止する逃亡阻止手段を具備することが望ましい。この逃亡阻止手段として、前記開口部周縁を加熱する周縁加熱手段であることが望ましく、前記開口部内部近傍に配された邪魔板であることが望ましい。
【0011】
また、前記周縁加熱手段の熱源は前記誘虫灯の安定器であってもよく、前記誘虫灯であっても良いものである。安定器の熱を熱伝導体からなる内壁を介して供給するようにしてもよく、また誘虫灯の熱を利用するようにしても良いものである。
【0012】
さらに、前記捕虫ケースは、前記本体ケースに対して着脱自在であることが望ましい。これによって、捕虫ケース自体を本体ケースからはずして内部に集積された虫の死体を排除できるものである。さらに、前記捕虫ケースの側面は、透明であることが望ましい。捕虫ケースの開口部近傍に配される誘虫灯の光を効率よく発散でき、さらに透明ケースの場合には虫が直接出られると判断してケースに衝突することから、虫の逃亡を防止できるので、捕虫効果を高めることができるものである。
【0013】
また、前記捕虫ケースは前記本体ケース内に設けられ、前記捕虫ケースの底部には虫の死体を集積し除去する取り外し可能な容器が設けられ、該容器は熱伝導性の高い材料からなることが望ましい。
【0014】
さらにまた、前記本体ケースには、断熱材が設けられることが望ましい。これによって、加熱部の温度を効率よく保持できるものである。
【0015】
また、前記所定の温度は、55℃〜85℃の範囲内であることが望ましく、前記加熱手段は、前記本体ケース内空間の温度を50〜60℃の範囲内にすることが望ましい。装置自体の安全性を考慮しつつ、且つ効率の良い殺虫温度であるからである。また、雰囲気温度をこの範囲内に保つことによって、安全性を維持しつつ、捕虫ケースに落下した虫を、殺虫、乾燥、滅菌できるのでその腐敗を防止することができるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面により説明する。
【0017】
図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る捕獲殺虫装置1は、本体ケース2と、本体ケース2内に着脱自在に装着された捕虫ケース3と、この捕虫ケース3の上部に開口した開口部4の近傍に配された誘虫灯5と、前記捕虫ケース3の底部3aを加熱する加熱プレート6と、この加熱プレート6の接して設けられる前記誘虫灯5を発光させる電気回路を構成する安定器7とによって構成される。また、前記本体ケース2内には、断熱材10が充填されるものである。
【0018】
また、前記誘虫灯5は、一般的に虫が誘引される波長380ナノメートル付近の近紫外線を放出するものが望ましく、簡易的には通常の蛍光灯が望ましい。また、大きさ等から公知のU字型の蛍光管が望ましい。また前記誘虫灯5は、支持柱8によって前記開口部4に吊下げられており、前記支持柱8には、前記誘虫灯5を前記開口部4から離脱可能にする変形部9が形成される。この実施の形態において、前記変形部9は、前記支持柱8の一部に形成された蛇腹部である。しかしながら、前記変形部9は、前記誘虫灯5を前記開口部4から離脱させる構成であればよく、例えば前記誘虫灯5を上方に移動可能な構成であってもよく、さらには誘虫灯5を横方向に移動可能な構成を有するものであっても良い。
【0019】
さらに、この第1の実施の形態においては、前記捕虫ケース3は、熱伝導性の高い材料、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金などによって略円筒形状又は略箱体形状に形成される。
【0020】
以上の構成により、誘虫灯5を点灯させると安定器7が発熱する。そして、誘虫灯5に誘引された虫が誘虫灯5に衝突して前記開口部4から前記捕虫ケース3内に落下したり、直接捕虫ケース3内飛び込んだりする。そしてさらに捕虫ケース3内に飛び込んだ虫は、捕虫ケース3内の高温によって錯乱状態となって捕虫ケース3の内壁に衝突したり、前記安定器7によって直接加熱された捕虫ケース3に接触し殺虫される。
【0021】
また、開口部4の近傍は、高温となった捕虫ケース3の開口部4の周縁部3bが高温となることによって、又はランプ先端の温度が高温となることから、前記捕虫ケース3内に入り込んだ虫の逃亡を防止することができ、捕虫ケース3に入り込んだ虫を確実に殺虫できる。
【0022】
さらに、殺虫された虫は加熱された捕虫ケース3又は加熱された捕虫ケース3内の雰囲気温度によって加熱乾燥保存されるので、蓄積された虫の死体に二次的に虫が発生したり、腐敗したりすることを防止できるものである。
【0023】
以下、本願発明の他の実施の形態について説明するが、同一の個所又は同一の効果を奏する個所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
図2に示す第2の実施の形態は、前記捕虫ケース3を、透明の合成樹脂からなる円筒状の透明ケース30と、この透明ケース30の一端を閉塞すると共にアルミニウム等の熱伝導部材からなる底部31とによって構成するようにしたものである。これによって、誘虫灯5の光の発散角度を確保できるため、誘虫効果を高めることができると共に、上述した第1の実施の形態と同様に効果を奏するものである。
【0025】
図3に示す第3の実施の形態は、前記捕虫ケース3をアルミニウム等の熱伝導部材によって形成すると共に、この捕虫ケース3には前記安定器7が直接接触する。また、前記捕虫ケース3の開口部4の周縁部3bもアルミニウム等の熱伝導部材からなり、前記捕虫ケース3と一体に形成されることが望ましい。また、周縁部3bから前記誘虫灯5の近傍に向けて延出する透明ケース35が設けれる。
【0026】
さらに、前記開口部4の下方近傍には、虫の脱出を防止する邪魔板34が設けられる。この邪魔板34は、雰囲気温度等によって熱を持つため、さらに虫の脱出防止効果が増大する。また、この第3の実施の形態に係る捕獲殺虫装置1は、前記捕虫ケース3内に、捕虫ケース3に対して着脱自在である取出しケース32が設けられる。この取出しケース32もアルミニウム等の熱伝導部材によって形成される。さらに、この第3の実施の形態に係る捕獲殺虫装置1は、前述した実施の形態に係る捕獲殺虫装置よりも大きいため、安定器7の側部に補助ヒータ33を設けるものである。
【0027】
これによって、第3の実施の形態に係る捕獲殺虫装置においても、上述した第1及び第2の実施の形態と同様の効果を奏することができるものである。
【0028】
さらに、前記捕虫ケース3の少なくとも一つの側面の温度は、殺虫に関しては55℃以上であることが望ましく、また装置自体の安全性を考慮した場合には70℃以下であることが望ましい。したがって、捕虫ケース3の温度を検出する温度検出手段を設け、この検出温度が85℃以上となった場合に、電気回路を遮断する機構を設けることが望ましい。この場合誘虫灯5も消灯するが、安全性が優先され、温度が85℃以下となった場合には再度点灯し捕虫するようにするものである。また、上述した第3の実施の形態では、電気回路の稼動を継続したまま補助ヒータ33のみを停止させ、温度の上昇を抑制することができる。
【0029】
さらに、捕虫ケース3の雰囲気温度の場合には、虫の大きさと種類により、50℃以上で殺虫が可能であることが実験により確認された。また、装置自体の安全性を考慮して、雰囲気温度の場合には、50℃〜60℃であることが望ましい。
【0030】
また、図4に示す第4の実施の形態において、前記本体ケース2を上本体ケース2A、中本体ケース2B及び下本体ケース2Cに分離し、さらに断熱材10も上断熱部10A、中断熱部10B、下断熱部10Cに分離し、さらに捕虫ケース3は、上ケース3Aと下ケース3Bに分離する。これによって、上本体ケース2A、上断熱部10A及び上ケース3Aから上固定部51を形成し、中本体ケース2B,中断熱部10B及び下ケース3Bから着脱自在部50を形成する。そして、着脱自在部50が着脱自在に設置される基台部52は、前記下本体ケース2C、下断熱部10C、安定器7、加熱プレート6とによって構成される。また、この基台部52には、冷却空間40が設けられ、ファン43の稼動によって吸入口41から空気を吸引して前記加熱プレート 6及び安定器7を冷却し、排出口42から加熱された空気を排出するようになっている。
【0031】
これによって、前記雰囲気温度や装置自体の温度が所定の温度(略85℃)以上となった場合に、ファン43を稼動させることによって、誘虫灯5を点灯した状態で温度を所定値まで下降させることが可能となるものである。さらに、この第4の実施の形態では、前記着脱自在部50が基台部52及び上固定部51に対して着脱自在としたことによって、虫の死体等の除去を容易に行うことができるようになるものである。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、誘虫灯を本体ケースの開口部の上方近傍に配したので、誘虫灯に群がる虫を捕虫ケース内に導きやすく、また加熱手段によって虫を殺虫し乾燥させることができるので、殺虫した虫を衛生的に処理できるものである。また、熱源として安定器を用いたことにより、部品点数を減らすことができるので、コストダウンを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る捕獲殺虫装置の概略構成断面図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態に係る捕獲殺虫装置の概略構成断面図である。
【図3】この発明の第3の実施の形態に係る捕獲殺虫装置の概略構成断面図である。
【図4】この発明の第4の実施の形態に係る捕獲殺虫装置の概略構成断面図である。
【符号の説明】
1 捕獲殺虫装置
2 本体ケース
3 捕虫ケース
4 開口部
5 誘虫灯
6 加熱プレート
7 安定器
8 支持柱
9 変形部
10 断熱材
30 透明ケース
32 取出しケース
50 着脱自在部
51 上固定部
52 基台部

Claims (14)

  1. 本体ケースと、
    該本体ケース内に設けられ、熱伝導性の高い材料から形成され、上部に開口部を有する補虫ケースと、
    前記開口部近傍に配された誘虫灯と、
    前記捕虫ケースの少なくとも一つの外壁面に接して、該補虫ケースの内壁を所定の温度に加熱する加熱手段とを具備することを特徴とする捕獲殺虫装置。
  2. 前記加熱手段の熱源は、前記誘虫灯の安定器であることを特徴とする請求項1記載の捕獲殺虫装置。
  3. 前記開口部近傍には、前記捕虫ケース内に誘い込まれた虫の逃亡を阻止する逃亡阻止手段を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の捕獲殺虫装置。
  4. 前記逃亡阻止手段は、前記開口部周縁を加熱する周縁加熱手段であることを特徴とする請求項3記載の捕獲殺虫装置。
  5. 前記逃亡阻止手段は、前記開口部周縁を加熱する周縁加熱手段及び前記開口部内部近傍に配された邪魔板であることを特徴とする請求項3記載の捕獲殺虫装置。
  6. 前記周縁加熱手段の熱源は、前記誘虫灯の安定器であることを特徴とする請求項記載の捕獲殺虫装置。
  7. 前記周縁加熱手段の熱源は、前記誘虫灯であることを特徴とする請求項記載の捕獲殺虫装置。
  8. 前記逃亡阻止手段は、前記開口部内部近傍に配された邪魔板であることを特徴とする請求項3記載の捕獲殺虫装置。
  9. 前記捕虫ケースは、前記本体ケースに対して着脱自在であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の捕獲殺虫装置。
  10. 前記捕虫ケースの側面は、透明であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の捕獲殺虫装置。
  11. 前記捕虫ケースは前記本体ケース内に設けられ、前記捕虫ケースの底部には虫の死体を集積し除去する取り外し可能な容器が設けられ、該容器は熱伝導性の高い材料からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の捕獲殺虫装置。
  12. 前記本体ケースと前記補虫ケースとの間には、断熱材が設けられることを特徴とする請求項1〜11いずれか一つに記載の捕獲殺虫装置。
  13. 前記所定の温度は、55℃〜85℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の捕獲殺虫装置。
  14. 前記加熱手段は、前記本体ケース内空間の温度を50〜60℃の範囲内にすることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の捕獲殺虫装置。
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