JP4770040B2 - 成膜装置、成膜方法及び多層膜反射鏡の製造方法 - Google Patents

成膜装置、成膜方法及び多層膜反射鏡の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板表面への成膜を行う成膜装置、成膜方法及び多層膜反射鏡の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体集積回路の製造においては、マスク上に形成された非常に微細なパターンを、レジストを塗布したシリコンウエハ上に可視光あるいは紫外光によって縮小投影して転写する方法が広く行われている。しかし、パターンサイズの微細化に伴い紫外光を用いた縮小投影露光でもその分解能は回折限界に近づいており、紫外光よりさらに波長の短い、波長13nmあるいは11nmの極端紫外(Extreme Ultraviolet;以下、EUV)の光を用いた縮小投影露光が提案されている。
【0003】
EUV領域の光はすべての物質に強く吸収され、レンズなどの屈折型の光学素子は使用できないため、縮小投影を行う光学系は反射鏡によって構成される。反射鏡の表面には反射率を高くするために多層膜構造を有するコートがなされている。波長13nm付近ではMo/Si多層膜によって60%以上の反射率が得られることが報告されている。EUVリソグラフィでは、このような多層膜反射鏡により光学系を構成することによって、0.1ミクロン以下のパターンサイズで高い処理能力(スループット)を有する縮小投影露光が可能であると言われている。
【0004】
このような光学系を製作する場合、表面にコートされる多層膜の周期長制御は非常に重要である。多層膜が高い反射率を有する波長は、その多層膜の周期長と入射するEUV光の入射角に依存している。よって、多層膜の周期長は露光に用いる波長で高い反射率が得られる周期長でなければならず、また、光学系を構成する反射鏡上の各位置での入射角は一定ではないため、各位置での入射角に対応した周期長でなければならない。そのために、反射鏡上の周期長の分布を制御し多層膜の成膜を行う必要がある。さらに、現在基板上に成膜を行う方法として一般的な真空蒸着やスパッタによって多層膜を成膜した場合、基板上に好ましくない周期長分布が生じてしまう。よって、成膜時に何らかの方法により基板上の周期長分布を制御する必要がある。
【0005】
縮小投影露光装置に用いられる光学系は、パターンが描かれたマスク上の輪帯の一部の領域(半径方向に幅1〜2mm、円周方向に長さ25mm程度)をウエハ上に縮小投影するように構成されており、各多層膜反射鏡は凸あるいは凹の回転対称な形状を有する。この構成において各多層膜反射鏡へのEUV光の入射角は、多層膜反射鏡の回転対称な円周では一定であり、半径方向には変化している。よって、反射鏡に求められる多層膜の周期長分布は回転対称なものとなる。
【0006】
膜厚分布を制御しながら成膜を行う方法の例を図7〜図9を参照しつつ説明する。この成膜方法は、多層膜の周期長分布を制御しながら基板上に成膜を行う場合にも適用されているものである。
図7は、従来の成膜装置の主要部の概要を示す図である。
【0007】
図8は、従来の膜厚補正板の形状を示す図である。
図9は、膜厚補正板の有無による膜厚分布の変化の例を示す図である。
まず成膜工程について、図7を参照しつつ説明する。成膜を行う基板71は、一例として、中央に開口を有する回転対称な凹面基板(例えばSchwaltschild鏡の副鏡)である。成膜は、減圧した容器中(不図示)で膜材となる標的材72にイオン源73よりイオンビームを照射することにより標的材72の原子をスパッタし、同じく容器中に配置した基板71の表面に堆積させることによって行われる。成膜中、基板71は対称軸を中心に回転しており、周方向には一定の膜厚を持つ成膜がなされる。しかし、この成膜は基板の半径方向には膜厚が一定ではなく、例えば図9に示した曲線91のような膜厚分布を生じる。
【0008】
次に、この膜厚分布曲線91を、所望の膜厚分布領域95に収まるように制御しながら成膜する方法について説明する。この制御のために、成膜時の基板71の近傍に膜厚補正板76を配置する。膜厚補正板76は、図8に示すように開口部85を有する支持板87でできている。この開口部85は半径方向に開口率が制御された形状を有しており、半径rの位置における開口率p(r)は次式で表わされる。
【0009】
p(r)=(dm(r))/(do(r))
(do(r):補正板を配置しない場合の基板上での膜厚、dm(r):基板上での所望の膜厚)
この膜厚補正板76を用いることで半径位置での膜厚を相対的に制御し、図9の所望の膜厚分布領域95内に収まる曲線93のような膜厚分布を実現する。
【0010】
膜厚分布を制御しながら基板上に成膜を行う方法として、上記の形状以外の膜厚補正板を用いる方法も提案されている。これは球面に加工した基板上に分布を制御した成膜を行うことによって、精度の高い非球面形状を得る方法として報告されているものである。(W.C.Sweatt et.al. OSA TOPS on Extreme Ultraviolet Lithography, 149 (1996) Vol.4, Glenn D.Kubiak and Don Kaia eds.)この方法について、図10〜図12を参照しつつ説明する。
【0011】
図10は、従来の膜厚補正板の他の形状を示す図である。
図11は、基板上に生じる膜厚補正板の半影を説明する概念図である。
図12は、基板上における膜厚均一性を説明する概念図である。
図10の膜厚補正板101は、全体に細かな開口103が施されたもので、直径0.03〜0.07mmの円形の開口103が0.1mmの間隔で並んでいる。より厚く成膜を行う領域に対応する部分では開口が大きく、薄く成膜を行う部分では開口が小さくなっている。ところで、図11(A)に示すように、標的材111上で粒子が飛び出す領域は有限の大きさを有しているため、膜厚補正板101は成膜を行う基板113上にいわゆる半影115を生じる。この半影115の拡がりaは、標的材の大きさや、標的材と膜厚補正板と基板の位置関係等によって変化する。また、基板上での半影の生じ方は膜厚補正板の開口間隔によって変化し、図11(B)に示すように、半影の拡がりに比べて開口103の間隔が小さいと、半影115は重なり合って生じる。一般に成膜を行う場合、膜厚補正板101では、基板上に生ずる半影の拡がりに比べて、各開口103を互いに近付けて配置している。このようにすると、図12に示したように、各々の開口103を通過したスパッタ粒子121による成膜の膜厚分布はお互いに重なり合い、膜厚補正板101の影が生じることによる面内の膜厚不均一性は全く問題にならない。よって、膜厚補正板101上に開けた開口103の大きさや開口103の数密度の変化によって、膜厚補正板101の半径方向の開口率に分布を持たせれば、基板上に滑らかな分布を生じさせることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示したような膜厚補正板によって回転対称形状を有する基板の対称軸付近(基板中央部)の膜厚を制御するのは容易ではない。上記のように、スパッタ標的材上で粒子が飛び出す領域は有限の大きさを有しているため、膜厚補正板は成膜を行う基板上にいわゆる半影を生じる。この半影の影響は、全円周に占める半影となる部分の割合が大きい基板中央部では非常に大きく、正確に予測することは難しい。この影響を考慮して成膜する膜厚を制御するには、スパッタ標的材上のどの位置からどのような角度分布でスパッタ粒子が飛び出しているかを正確に知る必要がある。しかし、現実にはスパッタ粒子の分布を標的材上のあらゆる位置で測定することは困難であるため、基板中央部では膜厚を制御しきれない場合がある。
【0013】
しかしながら、EUVリソグラフィ等で多層膜反射鏡の中央部も利用することが望まれており、基板中央部も高い精度で膜厚を制御しながら成膜する必要が生じている。図13は、膜厚制御が不完全な場合の膜厚分布の例を示す図である。基板中央部で膜厚を制御しきれない場合、基板上の膜厚分布は、曲線133のように中央部の膜厚が厚くなったり、あるいは曲線135のように中央部の膜厚が薄くなったりする危険性が高い。一般にEUVリソグラフィ用の多層膜反射鏡に求められる多層膜の周期長分布は、例えば斜線で示したような領域131であり、基板中央部は比較的均一な分布であるが、図8に示した膜厚補正板でこのように膜厚を制御するのは容易ではない。また、このような形状の膜厚補正板は薄い板によって構成されるが、板の厚さが薄すぎると、成膜された膜の応力によって膜厚補正板が変形してしまうという問題があった。
【0014】
一方、図10に示したような膜厚補正板の場合には、中央部を含め基板上全体にわたって膜厚の制御が可能である。しかし、このような膜厚補正板はその構造が複雑であるため図8の補正板に比べて製作に時間と費用を必要とする。また、その構造上、開口率を大きくするためには開口と開口の間の部分を細くする必要があるため、開口率を高くすることは容易ではない。例えば、図10に示した膜厚補正板では、その開口率は直径0.07mmの開口の場合で38%程度である。開口率が低いと、成膜により目的とする膜厚を得るためにより長い時間が必要となる。したがって、所望の膜厚分布での成膜や、所望の周期長分布を有する多層膜反射鏡の製造に要する時間が長くなるという問題があった。
【0015】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、基板中央部の膜厚分布制御が容易にでき、かつ、短時間で所望の膜厚分布が得られる成膜装置及び成膜方法を提供することを目的とする。また、所望の周期長分布を有する多層膜反射鏡を短時間で製造する方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は第一に「十分に減圧した容器内で、標的材に対して加熱あるいはイオンビーム照射を行うことにより前記標的材の原子を飛散させ、成膜すべき回転対称形状を有する基板を回転対称軸を中心に回転させ、前記基板の近傍に膜厚補正板を配置し、前記原子を前記基板に積層させる成膜装置であって、
前記膜厚補正板は、
前記基板の回転対称軸に対応する部分の近傍に、成膜時に粒子線が基板上に生ずる前記膜厚補正板の半影の拡がりの半分以下の間隔で配置された複数の開口を有する中央部補正板と、
周辺部に、半径方向に開口率が制御された開口を有する周辺部補正板と、
から構成されていることを特徴とする成膜装置」を提供する。
【0017】
本発明によれば、膜厚補正板の中央部に複数の開口を配置することにより、基板中央部の膜厚分布制御を容易に行うことができる。また、膜厚補正板の周辺部はその構造が比較的単純であり、開口率も自由に変化させることができるので、基板周辺部でも短時間で所望の膜厚分布が得られる。さらに、中央部補正板と周辺部補正板を別々にすることにより、各補正板の構造を比較的単純なものとすることができる。したがって、膜厚補正板を容易に作成することができる。
【0018】
また、本発明は第二に「前記複数の開口は、前記膜厚補正板の半径方向の開口率が等しくなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置(請求項2)」を提供する。
本発明によれば、基板中央部では補正を行わない状態の膜厚分布を保ちながら膜厚の制御を行うことができる。一般に、基板を回転させて成膜を行う場合に膜厚を補正しないと、基板中央部では膜厚が均一となる。また、実際のEUVリソグラフィで多層膜反射鏡に求められる周期長の分布は、中央部では均一な周期長分布であるため、この部分では補正を行わない状態の周期長分布をそのまま保ちながら周期長の制御を行うことが望ましい。そこで、膜厚補正板の中央部において、膜厚補正板の半径方向の開口率が等しくなるように複数の開口を配置することにより、基板中央部に成膜される膜厚を均一に低下させることできる。
【0019】
また、本発明は第三に「前記複数の開口は、前記膜厚補正板の半径方向に開口率が制御されて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置(請求項3)」を提供する。
本発明によれば、補正を行わない場合に基板上の対称軸近傍に生ずる相対的な膜厚分布が、所望の分布を満たす領域があまりにも小さい場合には、複数の開口が形成された板状の部材の開口率を対称軸からの距離に応じて変化させることによって、所望の分布を満たす領域を拡げることができる。また、膜厚を補正しない時に基板中央部の膜厚分布が均一であり、所望の膜厚分布が基板中央部で分布を有する場合でも、成膜することができる。
【0021】
また、本発明は第に「前記膜厚補正板の厚さが0.5mm以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置」を提供する。
【0022】
また、本発明は第に「前記膜厚補正板が、0.5mm以上の厚さを有する保持枠によって保持されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置」を提供する。
本発明によれば、膜厚補正板は膜が成膜されてもその応力によって容易に変形することはなく、所望の膜厚分布を安定して得ることができる。
【0023】
また、本発明は第に「前記膜厚補正板が、前記基板に対して0.1mm以下の精度で位置決めが可能な構造を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置」を提供する。
本発明によれば、基板に対する膜厚補正板の位置を正確に配置することができ、最適な膜厚分布での成膜が可能となる。膜厚補正板の位置がずれると、膜厚補正板の最適な開口率を持つ位置が基板に対してずれるため、最適な膜厚分布での成膜ができない。そこで、位置決めが可能な構造を設けることにより、膜厚補正板を取り外したのちに再度取り付ける場合でも、膜厚補正板を正確に配置することができる。
【0024】
また、本発明は第に「十分に減圧した容器内で、標的材に対して加熱あるいはイオンビーム照射を行うことにより前記標的材の原子を飛散させ、回転対称形状を有する基板を回転対称軸を中心に回転させ、前記基板の近傍に膜厚補正板を配置し、前記原子を前記基板に積層させる成膜方法であって、
前記膜厚補正板は、
前記基板の回転対称軸に対応する部分の近傍に、成膜時に粒子線が基板上に生ずる前記膜厚補正板の半影の拡がりの半分以下の間隔で配置された複数の開口を有する中央部補正板と、
周辺部に、半径方向に開口率が制御された開口を有する周辺部補正板と、
から構成されていることを特徴とする成膜方法」を提供する。
【0025】
また、本発明は第に「請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置を用いて、屈折率の異なる少なくとも2種類以上の物質が交互に積層された多層膜構造を基板上に形成することを特徴とする多層膜反射鏡の製造方法」を提供する。
【0026】
本発明によれば、基板中央部の膜厚分布制御が容易にでき、かつ、短時間で所望の膜厚分布が得られる。そのため、所望の周期長分布を有する多層膜反射鏡をより迅速に得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、多層膜の成膜を例として、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る成膜装置に用いる膜厚補正板の形状を示す図である。
【0028】
図2は、図1の膜厚補正板の一部である中央部補正板の形状を示す図である。
図3は、図1の膜厚補正板の一部である周辺部補正板の形状を示す図である。
図4は、本発明の実施の形態に係る成膜装置の主要部の概要を示す図である。
図5は、本発明の実施の形態に係る多層膜反射鏡の製造方法により製造されたMo/Si多層膜反射鏡の概略断面図である。
【0029】
図6は、本発明の実施の形態に係る成膜方法による膜厚分布の変化の例を示す図である。
まず、基板上に所望の周期長分布でMo/Si多層膜を成膜する場合について図4及び図5を参照しつつ説明する。図5に示す多層膜反射鏡51は、基板53の上面にMo層55とSi層57が交互に積層された構造をしており、波長13nmのX線を反射させる。Mo層55とSi層57からなる多層膜は、Si層を最上層にして例えば50層対成膜されている。成膜は、減圧した容器中(不図示)で膜材となる標的材42にイオン源43よりイオンビームを照射することにより標的材42の原子をスパッタし、同じく容器中に配置した基板41の表面に堆積させることによって行われる。基板41は中央部に穴のない回転対称形状を有する基板である。また、標的材42にはMoとSiが備えられており、一方ずつ選択しながら交互に積層することにより多層膜を成膜する。成膜中、基板41は対称軸を中心に回転しており、周方向には一定の周期長を持つ成膜がなされる。本発明に係る成膜装置では、図1に示す膜厚補正板46を用いて周期長分布を制御している。
【0030】
次に、膜厚補正板46の詳細について説明する。膜厚補正板46は中央部補正板44と周辺部補正板45とを組み合わせて構成されている。膜厚補正板46の一部である中央部補正板44の形状を図2に示す。中央部補正板44は中央領域のメッシュ部23と開口部25を有する支持板27でできており、これを使用して基板中央部の膜厚分布を制御する。また、支持板27には位置決め用穴29が設けられている。この位置決め用穴29は、後述するように膜厚補正板の位置決めの際に使用される。
【0031】
メッシュ部23は一辺1.8mmの正方形形状の開口が2mmのピッチで格子状に並んでおり、開口は成膜時に粒子線が基板上に生ずる膜厚補正板の半影の拡がりの半分以下の間隔で配置されている。また、膜厚補正板の半径方向の開口率は約80%で等しくなっている。この成膜装置において膜厚補正板を使用しないで成膜を行った場合、その膜厚は半径方向に対して図6(A)の曲線63のような分布を示し、中央部に比べて周辺部では膜厚が15%程度薄くなっている。これに対し、中央部補正板44を用いると膜厚分布は図6(B)の曲線65のような分布に変化する。本実施の形態では、基板と膜厚補正板の距離は20〜30mmとなっている。万が一にも基板に膜厚補正板が触れる危険性を避けるために、基板と膜厚補正板とはある程度の距離を保っている必要がある。また、膜厚補正板が基板から遠すぎると、半影ボケによって目的とした領域を充分な精度で補正できなくなる恐れがあるため、20mm程度が適当である。本実施の形態では、スパッタ源の大きさは直径約20cm、ターゲット材と基板との距離は50cmであり、基板上に生ずる膜厚補正板の半影の拡がりは約8mmとなる。上述のように、開口のピッチは2mmであり、この半影の拡がりの半分以下の間隔で配置されているので、膜厚補正板の影によって局所的な分布が形成されることはない。基板中央部では開口率約80%の膜厚補正板によって到達するスパッタ粒子量が約80%となる。一方、中心から離れた領域(周辺部)では膜厚補正板が無い場合と同様の膜厚分布を生じる。そして境界部分では、メッシュ部の外側の領域からの回り込みの影響と、メッシュ部の領域の形状が対称軸を中心とした円ではないことから、内側、外側の領域の分布が滑らかにつながっている。
【0032】
膜厚補正板46の一部である周辺部補正板45の形状を図3に示す。周辺部補正板45は開口部35を有する支持板37でできており、これを使用して基板上の対称軸から離れた領域の膜厚分布を制御する。また、支持板37には位置決め用穴39が設けられている。この位置決め用穴39は、後述するように膜厚補正板の位置決めの際に使用される。この周辺部補正板のような形状では、基板中央部の膜厚は補正できないが、本実施の形態においては、既に中央部補正板によって基板中央部の膜厚は所望の膜厚分布の範囲に制御されているため、周辺部補正板は中央部の補正を行う必要はない。中心部分から離れた位置では、周方向の距離に対して半影の影響は小さくなるので、このような形状の周辺部補正板でも補正が容易である。この周辺部補正板により、中央部補正板で補正できていない領域の膜厚分布制御を行い、図6(C)に示すように、基板の全領域にわたって、所望の膜厚分布領域61内に収まる曲線67のような膜厚分布を実現している。
【0033】
本実施の形態における中央部補正板の開口率は約80%である。この成膜装置は、中央部で厚く周辺部で薄いという成膜膜厚分布をもともと有しており、周辺部は中央部に比べて15%薄いことからこの開口率が選択されている。中央部補正板によって膜厚分布は図6(B)のように変化するため、周辺部補正板では、基板上に各半径位置において最大20%、最外周部では5%の膜厚分布の制御を行えばよい。しかし、中央部補正板の開口率が50%であれば、周辺部補正板で行うべき制御の幅は増大し、最外周部でも35%補正する必要がある。これは、スパッタ粒子のうち膜厚補正板で遮られている粒子の割合が大きく、基板への成膜速度が低下することを示している。所望の膜厚を得るためにはできるだけ膜厚補正板の開口を大きくして短時間で成膜を行うことが望まれるが、本実施の形態では中央部補正板の開口を80%とすることによって全体として大きな開口率を実現し、より短時間での成膜を可能にしている。
【0034】
膜厚補正板には位置決め用の穴が開いており、この穴に平行ピンを通すことによって0.1mm以下の精度で膜厚補正板の位置を決めている。膜厚補正板の位置が変化すると膜厚分布が変化し、所望の膜厚分布が得られないが、膜厚補正板の位置が精度良く決定できるため基板状の膜厚の制御が可能となる。
【0035】
本実施の形態においては、中央部補正板の開口は正方形形状であるが、開口の形状はこれに限らない。十分な開口率と補正板の強度を保てるものであれば、例えば不規則な形状でも良い。また、細い線状の部材を編んで形成したメッシュでも良い。さらに、基板中央部でも膜厚分布を変えながら成膜するために、中央部補正板において、半径方向に開口率を制御して複数の開口を配置してもよい。また、中央部補正板で開口が形成された領域は正方形の形状をしているが、この形状に限るものではない。
【0036】
本実施の形態では、膜厚補正板の厚さは0.5mmであるが、厚さはこれに限るものではなくこれより厚くても薄くても良い。しかし、成膜がなされたときに膜の応力によって補正板が変形して分布の制御の精度に問題が生ずることを避けるために、膜厚補正板の厚さが0.5mm以下の場合には、厚さが0.5mm以上の保持部材によって、成膜された多層膜の応力による変形を抑える構造になっていることが望ましい。
【0037】
本実施の形態では、膜厚補正板は中央部補正板と周辺部補正板を組み合わせたものとなっているが、中央部補正板と周辺部補正板を必ずしも別々にする必要はなく、1つの膜厚補正板から構成されていてもよい。また、中央部補正板と周辺部補正板を組み合わせる構成とする場合、両方の補正板を必ずしも基板から同程度の距離に配置する必要はない。
【0038】
また、主に多層膜の周期長分布を制御しながら成膜する装置及び方法について説明したが、膜は多層膜に限るものではなく例えば単層膜でもよく、本発明は膜厚制御を必要とする全ての成膜に適用することができる。
以上、本発明の実施の形態に係る成膜方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な変更を加えることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による成膜装置及び成膜方法を用いれば、基板中央部の膜厚分布制御が容易にでき、かつ、短時間で所望の膜厚分布が得られる。さらに、最適な周期長分布を有する多層膜反射鏡を短時間で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る成膜装置に用いる膜厚補正板の形状を示す図である。
【図2】図1の膜厚補正板の一部である中央部補正板の形状を示す図である。
【図3】図1の膜厚補正板の一部である周辺部補正板の形状を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る成膜装置の主要部の概要を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る多層膜反射鏡の製造方法により製造されたMo/Si多層膜反射鏡の概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る成膜方法による膜厚分布の変化の例を示す図である。
【図7】従来の成膜装置の主要部の概要を示す図である。
【図8】従来の膜厚補正板の形状を示す図である。
【図9】膜厚補正板の有無による膜厚分布の変化の例を示す図である。
【図10】従来の膜厚補正板の他の形状を示す図である。
【図11】基板上に生じる膜厚補正板の半影を説明する概念図である。
【図12】基板上における膜厚均一性を説明する概念図である。
【図13】膜厚制御が不完全な場合の膜厚分布の例を示す図である。
【符号の説明】
23・・・メッシュ部
25、35・・・開口部
27、37・・・支持板
29、39・・・位置決め用穴
41、71・・・基板
42、72・・・ターゲット材
43、73・・・イオン源
44・・・中央部補正板
45・・・周辺部補正板
46、76・・・膜厚補正板
51・・・多層膜反射鏡
53・・・基板
55・・・Mo層
57・・・Si層
61・・・所望の膜厚分布領域
63・・・膜厚補正板を用いずに成膜したときの膜厚分布曲線
65・・・中央部補正板を用いて成膜したときの膜厚分布曲線
67・・・膜厚補正板を用いて成膜したときの膜厚分布曲線
85・・・開口部
87・・・支持板
91・・・膜厚補正板を用いずに成膜したときの膜厚分布曲線
93・・・膜厚補正板を用いて成膜したときの膜厚分布曲線
95・・・所望の膜厚分布領域
101・・・膜厚補正板
103・・・開口
111・・・標的材
113・・・基板
115・・・半影
121・・・スパッタ粒子
131・・・所望の膜厚分布領域
133・・・中央部の膜厚が厚い膜厚分布曲線
135・・・中央部の膜厚が薄い膜厚分布曲線
a・・・半影の拡がり

Claims (8)

  1. 十分に減圧した容器内で、標的材に対して加熱あるいはイオンビーム照射を行うことにより前記標的材の原子を飛散させ、成膜すべき回転対称形状を有する基板を回転対称軸を中心に回転させ、前記基板の近傍に膜厚補正板を配置し、前記原子を前記基板に積層させる成膜装置であって、
    前記膜厚補正板は、
    前記基板の回転対称軸に対応する部分の近傍に、成膜時に粒子線が基板上に生ずる前記膜厚補正板の半影の拡がりの半分以下の間隔で配置された複数の開口を有する中央部補正板と、
    周辺部に、半径方向に開口率が制御された開口を有する周辺部補正板と、
    から構成されていることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記複数の開口は、前記膜厚補正板の半径方向の開口率が等しくなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記複数の開口は、前記膜厚補正板の半径方向に開口率が制御されて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  4. 前記膜厚補正板の厚さが0.5mm以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置。
  5. 前記膜厚補正板が、0.5mm以上の厚さを有する保持枠によって保持されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 前記膜厚補正板が、前記基板に対して0.1mm以下の精度で位置決めが可能な構造を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置。
  7. 十分に減圧した容器内で、標的材に対して加熱あるいはイオンビーム照射を行うことにより前記標的材の原子を飛散させ、回転対称形状を有する基板を回転対称軸を中心に回転させ、前記基板の近傍に膜厚補正板を配置し、前記原子を前記基板に積層させる成膜方法であって、
    前記膜厚補正板は、
    前記基板の回転対称軸に対応する部分の近傍に、成膜される粒子線が基板上に生ずる前記膜厚補正板の半影の拡がりの半分以下の間隔で配置された複数の開口を有する中央部補正板と、
    周辺部に、半径方向に開口率が制御された開口を有する周辺部補正板と、
    から構成されていることを特徴とする成膜方法。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の成膜装置を用いて、屈折率の異なる少なくとも2種類以上の物質が交互に積層された多層膜構造を基板上に形成することを特徴とする多層膜反射鏡の製造方法。
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