JP4769551B2 - 塗布型低分子キャリア輸送性材料、発光材料およびインキ - Google Patents

塗布型低分子キャリア輸送性材料、発光材料およびインキ Download PDF

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Description

本発明は、エレクトロルミネセント(以下ELと略記する)素子、太陽電池、電子写真装置等に用いられるキャリア輸送材料、発光材料、及びキャリア輸送層または発光層形成用インキに関する。
より詳しくは,本発明は、下記式(2)により表されるトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンを核にした低分子系キャリア輸送材料、発光材料、及びキャリア輸送層または発光層形成用インキに係り、特に、印刷等の湿式法によっても成膜可能なトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン誘導体からなるキャリア輸送材料、発光材料、及びキャリア輸送層または発光層形成用インキに関する。
Figure 0004769551
有機EL素子は、対向した電極間に少なくとも1層の有機キャリア輸送層または有機発光層を有するが、これらの有機膜の成膜方法として、蒸着法と湿式成膜法がある。
蒸着法により有機膜を成膜する有機EL素子の作製方法は、基板上にパターニングされたインジウムスズ複合酸化物(ITO)等を有する透明陽極基板上に、少なくとも発光層材料を真空蒸着により成膜し、その上に陰極を蒸着することからなる。また、性能向上のために、陽極基板上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等の機能分離された有機多層膜が積層される場合もある。
湿式成膜法では、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリフルオレン系、ポリチオフェン系等の共役系高分子材料を有機溶媒に溶解するか若しくは水に分散したインキ、または低分子材料をポリビニルカルバゾールや共役系高分子材料と共に溶解したインキを塗布することにより有機膜が成膜される。湿式成膜法を用いたEL素子の作製方法は、パターニングしたITO等の透明陽極を有する基板上に、正孔輸送層及び発光層をこの順に印刷または塗布等することにより成膜し、その上に陰極を蒸着またはスパッタリングで成膜するものである。
湿式成膜法における具体的成膜方法としては、インキジェット法、グラビア印刷法、凸版印刷法、オフセット印刷法等の印刷法や、スピンコート、ダイコート、キャップコート等の塗布法がある。基板上に陰極から逆の順に有機膜が成膜され、最後に陽極が成膜される場合もある。
低分子系の正孔輸送材料、発光材料は、真空中での基板からの再蒸発を防ぐため、少なくとも分子量(Mw)350程度以上の化合物であるのが好ましい。かつ、分解や炭化を防ぐため、500℃以下の低い蒸発源温度で十分な蒸着速度が得られるように、通常は分子量1200程度以下の材料が使用される。
一般的蒸着材料の例では、Alオキシン錯体(Alqと略す、Mw=459)、ビス−N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2−ナフチル)ベンジジン(α−NPDと略す、Mw=588)、ルブレン(Mw=583)、fac−トリス(2−フェニルピリジン)Ir(Mw=655)、4,4’,4”−トリス(N−2−ナフチル−N−フェニル)アミノ−トリフェニルアミン(2−TNATAと略す、Mw=897)等、分子量450〜1000程度の材料を用いる場合が多い。
蒸着可能な低分子材料には、分子間力が低い材料が多い。このような材料は、分子が動き易く、分子量が小さく単純な分子構造を有するため、有機溶媒に溶解して得た溶液を用いて成膜した有機膜は、時間が経つと分子同士が会合して結晶化し、膜に凸凹が生じ易い。そのため、このような有機膜を用いてEL素子を作製すると、膜にピンホールが生じてショートするという問題があった。
これに対し、低分子材料であっても、非対称性の立体的なアモルファス性分子構造にすることで結晶化を防ぐことが可能である(例えば、非特許文献1,2参照)ため、このような分子構造の低分子材料により有機膜を形成することが考えられる。
また、湿式成膜可能な高分子量ポリマー材料や高世代のデンドリマー材料は、精製や合成が難しいという問題があるため、容易に合成できる低分子化合物であって、溶媒への溶解性が高く、成膜性の良好な材料が求められている。
更に、低分子材料のマスク蒸着による3色塗り分けでカラーディスプレイを作製する場合、基板サイズがメートルサイズになると、マスクと基板の位置あわせが困難になり、かつ大型の真空成膜装置が必要になるので、製造コストが増大するという問題がある。そのため、低コストで大面積のカラーディスプレイを作製するには、常圧下で低コストに発光層を多色塗り分け可能な印刷法を用いた技術の開発が望まれている。
この場合、1つの画素は、通常、赤、青、緑の3色に塗り分けられる。また、光利用効率を向上させるため、赤、緑、青、白の4色に塗り分ける場合もある。さらに、色再現領域をより拡大するために、赤、黄緑、緑、青、白の5色のサブピクセルに塗り分けることも可能である。
それらのサブピクセル形成方法としては、発光層を直接塗り分ける方法以外に、単色の青色発光または白色発光素子をカラーフィルターで分光する方法もある。
一方、塗布および印刷可能な高分子正孔輸送材料としては、通常、ポリチオフェン系またはポリアニリン系の導電性高分子が用いられる。ポリチオフェン系の導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(以下、PEDOT/PSSと略す)は、微粒子の水分散液である。PEDOT/PSS膜は、その上に発光層を積層する際に、発光層の有機溶媒により膜が溶解されないという利点を有する。
PEDOT/PSS膜は、電気抵抗が低く、かつ表面のイオン化エネルギーを、ITOのイオン化エネルギーである4.8eV程度から5.1〜5.3eVに高めて、正孔注入を促進することができる。また、ITO電極表面の凸凹を平滑化し、ショートを防ぐという利点もある。
しかし、PEDOT/PSS膜は、PSS中のスルホン酸基によりインキの酸性度がpH1程度と高いため、装置の金属部を腐食したり、ITO表面を溶解し、インジウムイオンを発光層へ拡散させ、発光層の劣化を引き起こすという問題があった。また、PEDOT/PSSは水分散液であるため、膜中の水分を完全に除去するのに時間がかかるという問題もあった。
そのため、強酸性ではなく、高い揮発性の有機溶剤を用いて成膜した後、光や熱による架橋や、置換基間の水素結合形成を利用した自己組織化により、有機溶媒への不溶化処理可能な材料の開発も望まれている。
また、ポリフルオレン系共重合体等の共役系高分子発光材料を青色発光材料として用いた場合、低分子材料に比べ寿命が現状では1桁短く、かつ高輝度青色材料は色純度が劣るという問題があった。そこで、高分子材料に限らず、低コストで印刷、塗布可能な高輝度、長寿命、高色純度の材料の開発も望まれている。
更に、印刷法を用いてEL素子を製造する場合に、高分子材料の溶解性が不十分であったり、高粘度のため高濃度のインキ化ができず、所望の厚さに印刷できない場合もあった。低粘度の低分子化合物を用いて高濃度のインキを作り、印刷時の揮発溶剤量を減らすことで環境負荷を減らすことも望まれている。
更にまた、ポリフルオレンの種類によっては、重合の際またはその後の素子作製工程での加熱により、ポリマーが酸化し、フルオレノンが生じ、スペクトルが長波長シフトする懸念もあった(例えば、非特許文献3参照)。これに対し、不活性雰囲気中で高分子材料を扱う場合は、材料自体の製造コストやEL素子製造コストが高くなるという問題があり、空気中でも安定な材料が求められていた。
トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの合成は、Bawn等により1965年に報告されている(例えば、非特許文献4参照)。Fe(NOを含むN−ビニルカルバゾールの乾燥メタノール溶液からトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(収率40−50%)と9−(1−メトキシエチル)カルバゾールを得ることができる。
N−ビニルカルバゾールの光2量化反応も、1965年にEllingerにより報告されている(例えば、非特許文献5参照)。さらに、光2量化による合成法を用い、原料をアセトンに溶解して連続供給することにより連続生産も可能になった(例えば、特許文献1参照)。
トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンは、正孔輸送性が高く、電子写真用の有機光電導体としてバインダー樹脂と混合して塗布成膜したり(例えば、特許文献2参照)、またはルイス酸と混合して塗布成膜することが検討されている(例えば、特許文献3参照)。
トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの正孔移動度は、ポリ(ビスフェノールAカーボネート)に51wt%分散した場合に1.6×10−6cm/V・sec(1.6×10Vcm−1)であり(例えば、非特許文献6参照)、また、Lexan141ポリカーボネートに分散させた場合に、7.0×10−6cm/V・sec(2.5×10Vcm−1)であると報告されている(例えば、特許文献4参照)。それらの値は、ポリN−ビニルカルバゾールより1桁大きい。
しかし、低分子正孔輸送材料をポリマーバインダー中に分散させ、塗布することにより形成された膜は、膜中で低分子正孔輸送材料が凝集したり、バインダーで薄められることにより正孔輸送能力が大幅に低下してしまう。その正孔輸送能力は電子写真用途では十分であっても、EL素子用途では不十分である。輸送能力が不十分であると、膜中に電荷が蓄積されて劣化が加速するという問題があるので、高い正孔輸送能力が要求されている。
トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンをEL素子の正孔輸送材料として用いた例として、デュポン社の特許(例えば、特許文献5,6,7,8参照)では、金属錯体を用いたりん光EL素子の正孔輸送層に用いている。しかし、トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンのガラス転移温度(Tg)は59℃(転移始めの温度、示差走査熱分析で昇温速度20℃/minで測定)であり、ELディスプレイ材料として用いるには耐熱性が全く不十分であった。
EL素子を車載用ディスプレイ等として実用化するためには、正孔輸送材料は好ましくは120℃以上のTgが必要である。
また、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ尿素、ポリアミドの主鎖(以上、例えば特許文献9参照)やポリアゾメチンの主鎖、ビニルポリマーの側鎖(例えば、特許文献10参照)にトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンを導入してポリマー化し、屈曲性、耐刷性の向上を試みた例もある。しかし、バインダーに分散した場合と同様に、低分子のみからなる膜の性能に比べ、キャリアホッピングの距離が伸びるため、正孔輸送能力が低下するという問題がある。
更に、重合の際にポリマー中に取り込まれた不純物により、膜中に電荷を蓄積したり、低抵抗化のために添加したルイス酸等のアクセプターとの電荷移動錯体やポリマー中でカルバゾール環同士が接近しているために、エキシマ形成しやすくなり、発光層中の励起子を失活させるという問題があった。
米国特許第3,846,264号 米国特許第3,684,506号 特開昭49−8236号公報 特開昭60−213851号公報 特表2004−503059号公報 特表2004−536133号公報 特表2005−508437号公報 特表2005−519988号公報 特開昭56−47431号公報 特開平2−9586号公報 B E.Koene, D E.Loy and ME. Thompson, Chem. Mater., 10,2235 (1998). 伊藤祐一, M&BE,11,32(2000). Xiong Gonga, Daniel Mosesa, Alan J. Heeger and Steven Xiao, Synthetic Metals, 141,17 (2003). C.E.H. Bawn,A.Ledwitth and Yang Shih-Lin,Chem.Ind.,18,769 (1965). L.P.Ellinger,Polymer,6,549(1965) N.Tsutsumi,M. Yamamoto,Y. Nishijima, Journal of PolymerScience, Part B: Polymer Physics, 25(10), 2139(1987)
以上のように、従来、湿式塗布成膜可能な有機EL素子用の高分子正孔輸送材料として、PEDOT/PSSが用いられて来たが、上述したように、この物質は強い酸性を有し、ITO透明電極表面を溶解する等の問題が有るため、ITO透明電極を腐食しない正孔輸送材料が求められていた。
湿式成膜可能な高分子発光材料においては、特に、青色材料の長寿命化の課題がある。低分子蒸着素子並みの駆動寿命と高色純度が可能な新たな塗布可能な発光材料が求められている。
低分子正孔輸送材料や発光材料においても、従来の蒸着に用いられた材料は結晶化しやすいため、湿式成膜に使用可能な材料が少ないため、湿式成膜可能な材料が求められている。そのため、低分子材料においてもスピンコート法、キャップコート法、スリットコート法、ノズルディスペンサー法等による塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法が適用可能なEL素子用有機材料の開発が課題となっている。
本発明は、以上のような事情の下になされ、バインダーを必要とせずに低分子材料自体で塗布成膜可能な、高いアモルファス性と耐熱性を有し、かつ合成、精製が容易な、正孔輸送性を有する低分子キャリア輸送性材料、発光材料(発光層のゲスト化合物または発光層のホスト化合物)、およびキャリア輸送層または発光層形成用インキを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン構造を有する下記式(1)で示される化合物からなることを特徴とするキャリア輸送材料を提供する。
また、本発明の他の態様は、トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン構造を有する下記式(1)であらわされる化合物からなることを特徴とする発光材料を提供する。
Figure 0004769551
(式中、A1〜A4は置換基を表し、少なくともこれらの内2つ以上は1つ以上の芳香環または縮合芳香環を含む式量1500以下のキャリア輸送性又は発光性を付与する置換基であり、置換基A1〜A4は溶解性、架橋性を付与する基を有していても良い。)
前記式(1)における置換基A1〜A4の少なくとも1つは、芳香族第3級アミンから誘導された1価の基、または置換若しくは無置換のジアリールアミン基、または置換若しくは無置換の9H−カルバゾール−9−イル基とすることができる。
この場合、前記化合物が、分子量が690以上5000以下のアモルファス材料であることが望ましい。
また、前記式(1)における置換基A1〜A4中のキャリア輸送性または発光性を付与する置換基は、それぞれ1,3,4−オキサジアゾール環、オキサゾール環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、キノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、1,3,4−トリアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,3,5−トリアジン環、フルオレン環、カルバゾール環、β-カルボリン環、フェナントリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、4,7−フェナントロリン環、3,8−フェナントロリン環、3,7−フェナントロリン環、2,9−フェナントロリン環、2,8−フェナントロリン環、2,7−フェナントロリン環、1,10−フェナントロリン環、ネオクプロイン環、バソクプロイン環、1,9−フェナントロリン環、1,8−フェナントロリン環、1,7−フェナントロリン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アンチリジン環、ナフタルイミド環、シロール環、ボロール環から選ばれた少なくとも2つ以上の芳香族環が直接に連結するか、またはビニレン基、エチニレン基、窒素原子、ホウ素原子、シリコン原子、アダマンタン環から誘導された基を介して直鎖状または枝分かれ状に連結して形成された置換基とすることができる。
本発明の更に他の態様は、少なくとも1回、常圧または減圧蒸留し、常圧かつ沸点以下での蒸発残渣が0.001wt%以下で、かつガスクロマトグラフィー測定による純度で99.9%以上の純度に精製した有機溶媒を単独で、または2種類以上混合した混合溶媒を用いて、少なくとも1種類以上の上述したキャリア輸送材料または発光材料を固形分濃度が0.1wt%から50wt%の範囲になるように溶解してなることを特徴とする、キャリア輸送層または発光層形成用インキを提供する。
本発明のキャリア輸送性材料又は発光性材料によると、従来結晶性の膜になりやすく成膜が困難であった低分子化合物であっても、容易に成膜することができる。また、ポリマーからなるEL材料に比べ、アモルファス性低分子を高濃度に溶解してインク化できるので、成膜、乾燥時の揮散有機溶媒量を大幅に減らすことができ、環境へのダメージを減らすことが可能である。更に、高純度の溶媒を用いてインキ化することにより、再現性の良好な印刷、塗布が可能になる。
以下、発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の第1の態様に係るキャリア輸送材料は、下記式(1)により表される化合物からなる。また、本発明の第2の態様に係る発光材料もまた、下記式(1)により表される化合物からなる。
Figure 0004769551
式(1)において、置換基A1〜A4の少なくとも2つ以上の置換基は、1つ以上の芳香環または縮合芳香環を含み、かつ式量1500以下の正孔輸送性または電子輸送性のキャリア輸送性または発光性を付与する置換基である。
好ましくは、式(1)において、置換基A1〜A4のすべての置換基が2つ以上の芳香環、または1つ以上の縮合芳香環を含み、かつ式量1500以下の正孔輸送性または電子輸送性のキャリア輸送性または発光性を付与する置換基である。
置換基A1〜A4の残りの一部が正孔輸送性または電子輸送性のキャリア輸送性または発光性を付与する置換基でない場合には、無置換の水素、未反応のハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、又はカルバゾール環に縮合したベンゼン環であっても良く、或いはビニル基、スチリル基、チオール基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタン基等の光や熱により重合する基を有する置換基であっても良い。
上記式(1)により表される化合物は、例えば、上記式(2)により表されるトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンを出発物質として、以下のようにして合成することができる。なお、上記式(2)により表されるトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンは、特開平2−9586号公報に記載の方法に従って、9−ビニルカルバゾールの光2量化反応により容易に合成することができる。
まず、式(2)により表されるトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの臭素化、ヨウ素化、または塩素化により、下記式(3)により表されるトランス−1,2−ビス(3,6−ジブロモ−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン、下記式(4)により表されるトランス−1,2−ビス(3,6−ジヨード−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン、またはトランス−1,2−ビス(3,6−ジクロロ−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンを合成する。
この際、臭素やヨウ素等の添加量を調整することにより、ハロゲンの2置換体、3置換体を得ることも可能である。
Figure 0004769551
Figure 0004769551
次に、置換基A1〜A4のキャリア輸送性基若しくは発光性基中の芳香族環のLi置換体、又はそれらの基のグリニャール試薬とホウ酸エステルとからボロン酸を合成する。或いは、キャリア輸送性基または発光性基中の芳香族環の臭素置換体、ヨウ素置換体、又はトリフラート置換体を合成した後、ビス(ピナコラト)ジボロン等と反応させ、ボロン酸エステルを合成する。
次いで、上記式(3)または(4)により表されるハロゲン4置換体または2〜3置換体と上記ボロン酸またはボロン酸エステルとの鈴木カップリング反応を行なうことにより、キャリア輸送基または発光性置換基を2〜4置換した、正孔輸送性のキャリア輸送性材料および発光材料を合成することができる。
その際、マイクロウエーブを照射することにより反応を促進し、Pd触媒やNi触媒の添加量を減らし、低コスト化することも可能である。
また、上記ボロン酸またはボロン酸エステルを等量より少なめにして反応を行なうことにより、未反応のハロゲンを残し、後からスチリルボロン酸等の架橋性置換基を導入することも可能である。
更に、置換基A1〜A4のキャリア輸送性基または発光性基が置換または無置換のカルバゾール誘導体、アクリドン誘導体である場合、カルバゾール誘導体、アクリドン誘導体の芳香族アミノ基を、上記式(3)または(4)により表される臭素またはヨウ素4置換体等とウルマン反応により結合させることにより、上記式(1)により表わされる化合物を合成することができる。
上記式(1)により表わされる化合物は、柔軟なシクロブタン環に2つの剛直なカルバゾール環がトランス位置で結合しているため、屈曲した分子構造を取り、さらに置換基A1〜A4により、より立体的な分子構造を取るため、アモルファス性が高く、高ガラス転移温度を有する耐熱材料となる。
上記式(1)において、置換基A1〜A4の少なくとも1つは、芳香族第3級アミンから誘導された1価の基、または置換若しくは無置換のジアリールアミン基、または置換若しくは無置換の9H−カルバゾール−9−イル基であることが望ましい。芳香族第3級アミン構造を導入することにより、より高い正孔輸送能力を有する材料となり、EL素子の正孔輸送材料として使用することにより、低駆動電圧で高輝度なEL発光が可能となる。或いは、芳香族3級アミン基中に2つ以上の芳香環が縮合した縮合芳香環を含む場合は、可視領域に強い発光を示す発光材料としても使用することができる。
上記式(1)により表される化合物は、分子量が690以上5000以下のアモルファス材料であることが望ましい。分子量が690以上5000以下のアモルファス材料であることにより、有機溶媒への溶解性が高く、高分子材料に比べカラムクロマトグラフィーによる精製が比較的容易となる。なお、アモルファス材料とは、DSC測定でガラス転移を示し、アモルファス膜を形成可能な材料である。
低い分子量の例としては、A1、A2、A3、またはA4をo−ビフェニル基で置換した材料があげられる。この場合、分子式はC5238となり、分子量は690.87となる。A1〜A4のすべてがo−ビフェニル基で置換した材料の場合、分子式はC7554となり、分子量は995.26となる。A1〜A4のすべてが1−ナフチル基で置換した材料の場合、分子式はC6846となり、分子量は891.11となる。A1〜A4のすべてが9−アントリル基で置換した材料の場合、分子式はC8454となり、分子量は1091.34となる。
また、下記式(5)により表される置換基(表1のNo.36に属する置換基)が、上記式(1)のA1〜A4のすべてを置換した場合の分子式は、C340342となり、分子量は4456.37となる。
Figure 0004769551
式(1)により表される化合物の分子量が690未満である場合は、結晶性が高い材料になるため、成膜が困難になる。一方、分子量が5000より大きくなると、溶媒に溶解しにくくなったり、立体障害のため合成収率が低下して、置換基の導入が難しくなる場合があるため、分子量690から5000の範囲が望ましい。さらに好ましくは、分子量は891から4500の範囲が望ましい。
この範囲の分子量の材料の精製は、分子量や溶解性に応じて、ろ過、吸着、透析、抽出、カラムクロマトグラフィー、昇華、再沈殿、再結晶等の方法を適当に組み合わせて行なうことができる。
上記式(1)のA1〜A4のうち、キャリア輸送性または発光性の置換基として、それぞれ1,3,4−オキサジアゾール環、オキサゾール環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、キノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、1,3,4−トリアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,3,5−トリアジン環、フルオレン環、カルバゾール環、β-カルボリン環、フェナントリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、4,7−フェナントロリン環、3,8−フェナントロリン環、3,7−フェナントロリン環、2,9−フェナントロリン環、2,8−フェナントロリン環、2,7−フェナントロリン環、1,10−フェナントロリン環、ネオクプロイン環、バソクプロイン環、1,9−フェナントロリン環、1,8−フェナントロリン環、1,7−フェナントロリン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アンチリジン環、ナフタルイミド環、シロール環、ボロール環から選ばれた少なくとも2つ以上の芳香族環が直接に連結するか、またはビニレン基、エチニレン基、窒素原子、ホウ素原子、シリコン原子、アダマンタン環から誘導された基を介して直鎖状または枝分かれ状に連結して形成された置換基を挙げることができる。
また、上記式(1)のA1〜A4は、重水素、アルキル基、アルコキシ基、ポリエーテル基、アダマンチル基、ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン(POSS)基であっても良い。
次に、A1〜A4のうちキャリア輸送性または発光性を有する置換基の具体例を、下記表1〜表8のN0.1〜86に挙げるが、各置換基の機能がキャリア輸送性と発光性のいずれか1つの機能に限定されるわけではなく、双方の機能を有することが可能である。なお、置換基の種類は、表1に示す構造に限定されるわけではない。
またA1からA4の置換基のすべてが同じ置換基であってもよいが、2つまたは3つが同じ置換基である構造の化合物も合成可能であるし、すべてが異なる置換基である化合物も合成可能である。
下記表1〜表8中の置換基Rは、水素、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、オクチル基等の炭素数20以下の直鎖または分岐したアルキル基;メトキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基等の炭素数20以下のアルコキシ基;フッ素、シアノ基、フェニル基、トリル基;ビニル基、アリル基、アリルオキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、アクリルオキシ基、(オキセタン−2−イル)メチルオキシ基、スチリル基、チオール基などの架橋性基から独立に選ばれる基である。
Figure 0004769551
Figure 0004769551
Figure 0004769551
Figure 0004769551
Figure 0004769551
Figure 0004769551
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Figure 0004769551
置換基A1からA4中に、共役した2つ以上の芳香環または縮合芳香環を含むことにより、正孔輸送性、電子輸送性、又は発光性の機能を有することができる。
即ち、芳香族3級アミン構造やチオフェン環を有する置換基は、化合物に正孔輸送性を付与し、ナフタレン環、アントラセン環、ベンゾアントラセン環、ベンゾチアゾール環、ナフタルイミド環等の縮合環を有する置換基やアクリドン環、アクリジン環は、化合物に発光性を付与する。トリアゾール環、トリアジン環、キノキサリン環、ピリジン環等の含窒素複素環やシロール環、ボロール環、オキサゾール環、ホウ素原子を有する置換基は、化合物に電子輸送性を付与する。
好ましくは、A1〜A4のうち少なくとも2つ以上の置換基は、式量1500以下、好ましくは式量153以上1500以下の置換基、残りの置換基は未置換の水素であるか、あるいはフェニル基、トリル基、その他の式量152以下の他の置換基でも良い。
他の置換基の例として、メチル基、ターシャリーブチル基、オクチル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1から10のアルキル基、またはメトキシ基、2−エチルヘキソキシ基等の炭素数1から10のアルコキシ基、または3,6−ジオキサヘプチル基等の炭素数1から10のポリエーテル基、またはジアルコキシフェニル基等の溶解性を付与する置換基であるか、ビニル基、アリル基、アリルオキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、スチリル基、アクリルオキシ基、アクリルオキシメチル基、メチルアクリレート基、(オキセタン−2−イル)メチルオキシ基、桂皮酸エステル基、メルカプト基、マレイミド基、チオール基等の光、熱、放射線、酸化により架橋可能な架橋基を挙げることができる。
本発明の一実施形態に係るキャリア輸送材料または発光材料は、正孔輸送性置換基または発光性置換基として、上記表6のNo.46の置換基N−(2−ビフェニルイル)−N−(1−ナフチル)アニリン−3−イル基でA1〜A4のすべてが置換された下記式(6)により表される化合物からなる。
Figure 0004769551
本実施形態に係る材料は、立体的な、かさ高い分子であり、結晶化しないため成膜性に優れている。また、正孔輸送性と発光性とを有し、単独の正孔輸送層として用いることができるが、その他、銅フタロシアニン蒸着膜やPEDOT/PSS塗布膜等の他の正孔輸送材料の層上に積層したり、他の正孔輸送材料と混合して正孔輸送層を形成することができる。
また、上記式(2)により表される化合物は、単独で青色発光層とすることもできるが、発光層の電子輸送性を補うため、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス[5−4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール(以下OXD−7と略す)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(以下、TPBIと略す)等の電子輸送材料と混合して用いることが望ましい。
また、上記式(6)により表される化合物に、上記表1〜8に記載の、ペリレン環、ピレン環、アントラセン環、ジベンゾカルバゾール環、アクリドン環、アクリジン環を有する置換基から選ばれた置換基で4置換した式(1)により表される青色発光材料をドーピングすることにより、上記式(6)により表される化合物のみの場合よりも、EL発光ピーク波長を長波長化し、輝度を向上させることができる。
更に、上記式(2)により表される化合物にベンゾアントラセン環を有する緑色発光材料をドーピングして、緑色発光層のホスト材料とすることもできる。また、上記式(6)により表される化合物にジベンゾアントラセン環を有する赤色発光材料をドーピングして、赤色発光層のホスト材料とすることもできる。
更にまた、上記式(6)により表される化合物に、イーストマン・コダック社や出光興産社等から市販されている2,5,8,11−テトラ(t−ブチル)ペリレンやジスチリルベンゼン系材料などの市販の青色発光材料をドーピングすることもできる。UDC社等から市販されているfac―トリス(2−フェニルピリジン)Ir錯体等のIrやPt錯体からなるりん光発光材料のホスト材料として用いることもできる。
上記式(6)により表される化合物を発光層または発光層のホスト材料に用いる場合には、陰極との間にビス(8−ヒドロキシキナルジン)アルミニウム ビフェノキシド(以下BAlqと略す)、OXD−7、TPBI等の正孔ブロック電子輸送層と積層して用いることが、輝度および効率の向上のために望ましい。
本発明の他の実施形態に係るキャリア輸送材料または発光材料は、電子輸送性置換基または発光性置換基として、上記表9のNo.65の置換基4−[5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル基でA1〜A4のすべてが置換された下記式(7)により表される化合物からなる。
Figure 0004769551
本実施形態に係る材料は、立体的な、かさ高い分子であり、膜は結晶化し難いため、成膜性に優れている。正孔輸送性、電子輸送性、及び発光性を有し、塗布により単独でまたは銅フタロシアニン等からなる膜と積層して、または他の正孔輸送材料と混合して、正孔輸送層として用いることができる。また単独で発光層として用いることもできる。
或いは、イーストマン・コダック社や出光興産社等から市販されているペリレン系やジスチリルアリーレン系蛍光発光材料、UDC社等から市販されているfac−トリス(2−フェニルピリジン)Ir錯体等のIrやPt錯体からなるりん光発光材料をドーピングして、ホスト材料として用いることもできる。
上記式(7)により表される材料は、電子輸送性を有しているため、正孔ブロック電子輸送層と積層して用いられない場合においても 色純度の良好な青色発光層として機能することができる。
以上説明したキャリア輸送材料及び発光材料は、適当な溶剤に溶解してインキ化することができる。
即ち、本発明の第3の態様に係るキャリア輸送層又は発光層形成用インクは、溶媒に、上述したキャリア輸送性材料または発光性材料の少なくとも1種類以上を、固形分の割合が0.1wt%から50wt%の範囲になるように溶解してなることを特徴とする。この場合、溶媒は、少なくとも1回以上蒸留し、常圧かつ沸点以下での蒸発残渣が0.001wt%以下、かつ純度99.9%以上(ガスクロマトグラフィー測定による)に精製した、単独又は2種類以上混合した有機溶媒である。
上記インキを印刷することによりキャリア輸送層または発光層を形成する場合には、インキは、好ましくは室温常圧での沸点が75℃以上250℃以下の単独溶媒または混合溶媒に、キャリア輸送性材料または発光性材料を溶解することにより形成される。
上記インキをスピンコートすることによりキャリア輸送層または発光層を形成する場合には、沸点が高い溶媒を用いるほど乾燥が遅くなるため、液が広く広がるので、一定の膜厚を得るためには、高濃度のインキ溶液を形成することが必要になる。基板に転写した後、インキ溶液が流れ広がらないように土手を形成したインキジェットや印刷の場合には、溶剤の沸点によらず、固形分の量に比例して膜厚が増加する。
溶剤の沸点が75℃以下の場合には、乾燥が速すぎて、膜厚ムラが生じ易い。沸点が250℃以上であると、乾燥が困難になり、膜中に溶剤が残り易い。
有機EL素子に使用される多層膜は、10nm以下の厚さの膜を成膜する場合もある。その場合、1wt%以下の濃度の薄い溶液を用いる必要があるが、濃度が0.1wt%よりも薄いと、連続した膜が形成されない場合があるので、インキ溶液の濃度は、0.1〜1wt%であるのが好ましい。
インキ溶液の濃度が50wt%より高濃度では、キャリア輸送性材料または発光性材料が溶媒に一旦溶解しても、時間が経つと保存中に析出したり、成膜時に膜が早く乾燥してしまい、十分なレベリングができず、平滑な膜が得られない場合がある。従って、インキ溶液の濃度は50wt%以下であることが望ましい。
ただし、塗布、印刷可能な条件範囲で、できるだけ高濃度のインキ溶液を用いた方が、揮散する溶剤量を減らせるため、環境には好ましい。インキ溶液は、所望の膜厚のキャリア輸送層または発光層を形成するように、塗布装置、印刷装置の条件に合った濃度で使用されるが、通常は1wt%から20wt%程度の範囲で用いられる場合が多い。
また、市販の高沸点化学用有機溶剤は、純度が不十分であり、1%以上の不純物が混入している場合が多い。混入物は溶剤の合成過程の副生物や酸化重合物であり、分子量が大きく、揮発し難い不純物が溶解している場合がある。不純物混入量は管理されていないため、混入不純物成分がたとえ成膜性に有用であっても、ロットによりバラつきが生じ、塗膜の膜厚分布や膜質、不純物濃度にバラつきを生じさせる原因になる。
本発明の第3の態様では、常圧かつ沸点以下での蒸発残渣が0.001wt%以下、好ましくは0.0001wt%以下であって、99.9%以上のガスクロマトグラフィー純度の有機溶媒を、単独でまたは異なる精製済み溶媒を規定された混合比に混合した溶媒を用い、この溶媒にキャリア輸送材料または発光性材料を溶解してインキ化するため、膜厚や膜質、膜中の不純物濃度の再現性が良好なインキを作製することができる。その際、異なる沸点の溶媒を混合することにより、印刷版へのインキの塗布性、印刷版から基板への転写性、基板上でのレベリング性、乾燥速度を一定に制御することができる。
次に、本発明のキャリア輸送材料又は発光材料を構成する、トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン構造を有する上記式(1)で示される化合物の合成例を、以下の具体的な実施例に基づいて説明する。
実施例1
上記式(6)により表される、トランス−1,2−ビス(3,6−ジ{3−[N−(2−ビフェニル)−1−ナフチルアミノ]フェニル}−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの合成
1.下記反応式による、中間体トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(式(2))の合成
Figure 0004769551
N−ビニルカルバゾール100gをアセトン1040mlに溶解し、この溶液に酸素を30分間通気したのち、500W高圧水銀灯で5時間照射した。このときフィルターとして、硫酸銅溶液(CuSO・5HOとして250g/l)を厚さ1cmの外とうに満たしておき、さらに反応液を外側の容器に入れ、水銀灯を反応液中に浸して反応させた。
反応終了後、アセトンを留去し、そこへメタノール400mlおよびアセトン200mlの混合液を加え、室温で30分間攪拌しつつ懸洗した。その後、結晶を濾取し、乾燥した後、86.4gのトランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(式(2))を得た(収率86.4%)。
2.下記反応式による、式(3)により表される、中間体トランス−1,2−ビス(3,6−ジブロモ−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの合成
Figure 0004769551
式(2)により表される化合物8.69g(22.5mmol)に、クロロホルム180mlと酢酸9mlを加えた。この溶液にN−ブロモコハク酸イミド16.02g(90mmol)を加えた後、2時間還流下に反応させた。反応後、水50mlを加え、クロロホルム層を分液し、減圧留去した。濃縮した後、メタノールを加えて結晶を濾取し、THFにて再結晶を行い、乾燥した後、12.4gの、式(3)により表されるトランス−1,2−ビス(3,6−ジブロモ−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンを得た(収率78.5%)。
3.下記反応式による、式(8)により表される、中間体N−(2−ビフェニルイル)−1−ナフチルアミンの合成
Figure 0004769551
2−アミノビフェニル11.17g(66mmol)、1−ヨードナフタレン15.20g(60mmol)、炭酸カリウム16.59g(120mmol)、及び銅粉0.96g(15mmol)にジクロロトルエン30mLを加え、15時間加熱還流させた。溶液を冷却し、トルエン30mLを加え、濾過を行ない、濾過残渣をトルエン30mlで洗浄した。濾液を1M−塩酸で洗浄し、水洗した後、有機層を濃縮した。濃縮物をクロロホルム10mlに溶解し、100mlメタノール中に滴下した。析出した結晶を濾取し、乾燥した後、14.7gの、式(8)により表されるN−(2−ビフェニルイル)−1−ナフチルアミンを得た(収率83.2%)。
4.下記反応式による、式(9)により表される、中間体N−(2−ビフェニルイル)−N−(3−ブロモフェニル)−1−ナフチルアミンの合成
Figure 0004769551
式(8)により表される化合物11.82g(40mmol)、3−ブロモヨードベンゼン12.45g(44mmol)、炭酸カリウム22.11g(160mmol)、銅粉0.05g(0.79mmol)、及びヨウ化銅0.05g(0.26mmol)にニトロベンゼン30mlを加え、15時間加熱還流させた。溶液を冷却し、トルエン30mLを加え、濾過を行ない、濾過残渣をトルエン30mlで洗浄した。濾液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、10.6gの、式(9)により表されるN−(2−ビフェニルイル)−N−(3−ブロモフェニル)−1−ナフチルアミンを得た(収率58.8%)。
5.下記反応式による、式(10)により表される、中間体N−(2−ビフェニルイル)−N−[3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1−ナフチルアミンの合成
Figure 0004769551
式(9)により表される化合物9g(20mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン5.59g(22mmol)、 [1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(以下PdCl(dppf)と略す) 0.49g(0.6mmol)、および酢酸カリウム5.89g(60mmol)に、ジメチルスホキシド(以下、DMSOと略す)120mlを加え、80℃で12時間反応させた。冷却した後、反応液にトルエン120mlと水200mlを加えて分液し、有機層を水洗し、更に濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4.22gの、式(10)により表されるN−(2−ビフェニルイル)−N−[3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1−ナフチルアミンを得た(収率42.4%)。
6.下記反応式による、式(6)により表されるトランス−1,2−ビス(3,6−ジ{3−[N−(2−ビフェニル)−1−ナフチルアミノ]フェニル}−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの合成
Figure 0004769551
式(3)により表される中間体化合物1.19g(1.7mmol)、式(10)により表される中間体化合物4.03g(8.1mmol)、及びPdCl(dppf)0.051g(0.062mmol)を、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)70mlに溶解し、これに炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液35mlを添加した。この混合物を窒素雰囲気下で8時間加熱還流させ、冷却した後、THFを留去し、そこへクロロホルム30mlを加えて抽出した。
有機層を濃縮し、濃縮物をクロロホルム10mlに溶解し、100mlメタノール中に滴下した。析出した結晶を濾取し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(6)により表される、2.08gのトランス−1,2−ビス(3,6−ジ{3−[N−(2−ビフェニル)−1−ナフチルアミノ]フェニル}−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンを得た(収率65.8%)。
この化合物の質量スペクトルは、1863(C14098)の分子イオンピークを有しており、構造式と一致した。溶解度はトルエンに対し約0.6g/ml、1,2−ジクロロエタンに対し約0.4g/ml、2−メチルアニソールに対し約0.1g/mlであった。
実施例2
実施例1で得た、上記式(6)により表される化合物の物性測定
SSC5200熱分析システム(セイコー電子工業製)を用いて、20℃/minの昇温速度で式(6)により表される化合物の粉体をDSC測定した。Tgは164℃(転移の中間温度。転移開始温度では140℃)であった。
式(6)により表される化合物35mgを、揮発成分の割合99.9%以上でかつ純度99.9%以上(GC-Massで測定)の2mlの2−メチルアニソールに溶解してインキとした。
このインキを1000rpmの回転速度でITO(インジウム・スズ複合酸化物)膜付ガラス上にスピンコートしたところ、約38nmの厚さのアモルファス膜を形成することができ、これを200℃に加熱しても結晶化しなかった。
実施例1で得た、式(6)により表される化合物のIR吸収スペクトルをFT/IR-460plus(日本分光社製)を用いてKBr法で測定した結果を図1に示す。
また、石英板上に成膜した膜の補正蛍光励起スペクトル(受光440nm)と補正蛍光スペクトル(365nm励起)をRF-5300PC(島津製作所社製)により測定した結果を図2に示す。図2において、破線は補正蛍光励起スペクトルを、実線は補正蛍光スペクトルをそれぞれ示す。
図2から、ピーク波長415nm付近に強い青紫蛍光を示していることがわかる。吸収端エネルギーより、エネルギーギャップは3.1eVであった。また、表面分析装置AC-1(理研計器社製)により測定したイオン化エネルギーは5.8eVであった。
実施例3
上記式(7)により表されるトランス−1,2−ビス(3,6−ビス{4‐[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル}−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの合成
1.下記反応式による、式(11)により表される中間体N−(4−ブロモベンゾイル)−N'−(4−tert−ブチルベンゾイル)ヒドラジンの合成
Figure 0004769551
4−tert−ブチルベンゾイルヒドラジン5g(26mmol)と炭酸水素ナトリウム2.18g(26mmol)に水50mlを加え、懸濁攪拌した。この溶液に、4−ブロモベンゾイルクロライド5.71g(26mmol)をTHF34mlに溶解した液を滴下した。この反応液を30分間攪拌し、濾過した。得られた結晶を水とヘキサンで洗浄した後、乾燥し、式(11)により表される、9.71gのN−(4−ブロモベンゾイル)−N'−(4−tert−ブチルベンゾイル)ヒドラジンを得た(収率99.5%)。
2.下記反応式による、式(12)により表される中間体2−(4−ブロモフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールの合成
Figure 0004769551
式(11)により表される化合物9.71g(26mmol)にトルエン95mlを加え、この溶液にオキシ塩化リン47mlを添加し、6時間還流した。反応終了後、冷却し、反応液を水600mlに添加した後、2M−水酸化ナトリウム水溶液にて中和した。その後、有機層を分液し、濃縮した。次に、ヘキサンを加え、濾過して乾燥することにより、式(12)により表される、6.29gの2−(4−ブロモフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールを得た(収率68.0%)。
3.下記反応式による、式(13)により表される、中間体2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−[4−(4,4,5,5‐テトラメチル−1,3,2‐ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾールの合成
Figure 0004769551
式(12)により表される化合物5.36g(15mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン4.19g(16.5mmol)、PdCl(dppf)0.14g(0.165mmol)、及び酢酸カリウム4.42g(45mmol)にDMSO50mlを加え、80℃で6時間反応させた。その後、反応液を水200mlに加え、析出した結晶を濾過した。この結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4.10gの式(13)により表される2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−[4−(4,4,5,5‐テトラメチル−1,3,2‐ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾールを得た(収率67.6%)。
4.下記反応式による、式(7)により表されるトランス−1,2−ビス(3,6−ビス{4‐[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル}−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンの合成
Figure 0004769551
式(3)により表される化合物1.17g(1.7mmol)、式(13)により表される中間体4.04g(10mmol)、及びPdCl(dppf)0.08g(0.1mmol)を、THF80mlと炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液40mlの混合液に添加した。この混合物を窒素雰囲気下で8時間還流させた。反応終了後、THFを留去し、そこへクロロホルム30mlを加えて抽出した。有機層を濃縮し、粗結晶を得た後、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、1.26gの式(7)により表されるトランス−1,2−ビス(3,6−ビス{4‐[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]フェニル}−9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタンを得た(収率50.7%)。
この化合物の質量スペクトルは、1491(C1008610)の分子イオンピークを有しており、構造式と一致した。溶解度は1,2−ジクロロエタンに対し約0.5g/mlであった。
実施例4
実施例3で得た、上記式(7)により表される化合物の物性測定
SSC5200熱分析システム(セイコー電子工業製)を用いて、20℃/minの昇温速度で、実施例3で得た式(7)により表される化合物の粉体をDSC測定した。Tgは149℃(転移の中間温度、転移開始温度では140℃)であった。
式(7)により表される化合物60mgを、揮発成分の割合99.9%以上でかつ純度99.9%以上(GC-Massで測定)の2mlの2−メチルアニソールに溶解してインキとした。
このインキを1000rpmの回転速度でITO(インジウム・スズ複合酸化物)膜付ガラス上にスピンコートしたところ、約54nmの厚さの高純度のアモルファス膜を形成することができ、これを200℃に加熱しても結晶化しなかった。
実施例3で得た式(7)により表される化合物のIR吸収スペクトルをFT/IR-460plus(日本分光社製)を用いてKBr法で測定した結果を図3に示す。
また、石英板上に成膜した膜の補正蛍光励起スペクトル(受光440nm)と補正蛍光スペクトル(365nm励起)をRF-5300PC(島津製作所社製)により測定した結果を図4に示す。図4において、破線は補正蛍光励起スペクトルを、実線は補正蛍光スペクトルをそれぞれ示す。
図4から、ピーク波長433nm付近に強い青色蛍光を示していることがわかる。吸収端エネルギーより、エネルギーギャップは2.95eVであった。また、表面分析装置AC-1(理研計器社製)により測定したイオン化エネルギーは5.8eVであった。
実施例5
トランス−1,2−ビス[3,6−ジ(3-tert−ブチル−9H−カルバゾール−9−イル)−9H−カルバゾ−ル-9−イル]シクロブタンの合成
1.下記反応式による、式(14)により表される、中間体3−tert−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−カルバゾールの合成
Figure 0004769551
フェニルヒドラジン5.41g(50mmol)と4−tert−ブチルシクロヘキサノン7.71g(50mmol)に酢酸25mlを加え、ゆっくり加熱した後、3時間還流させた。次に、溶液を冷却し、濾過し、濾取した結晶を酢酸20mlに分散して濾過した。濾別した結晶を少量のヘキサンで洗浄した後、乾燥し、9.09gの式(14)により表される3−tert−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−カルバゾールを得た(収率80.0%)。
2.下記反応式による、式(15)により表される中間体3−tert−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−カルバゾールの合成
Figure 0004769551
式(14)により表される化合物8.87g(39mmol)に10%のパラジウム炭素を1.77g加え、窒素雰囲気下で160℃に加熱し、次いで2.5時間かけて190℃まで加熱した。反応終了後、冷却し、クロロホルム20mlに溶解して濾過した。濾液を濃縮した後、ヘキサン/クロロホルムの混合溶媒で再結晶を行い、濾取した結晶を乾燥し、5.14gの式(15)により表される3−tert−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−カルバゾールを得た(収率60.2%)。
3.下記反応式による、式(16)により表されるトランス−1,2−ビス[3,6−ジ(3−-tert−ブチル−9H−カルバゾール−9−イル)−9H−カルバゾ−ル−9−イル]シクロブタンの合成
Figure 0004769551
式(3)により表される化合物2.09g(3mmol)、式(15)により表される化合物3.48g(15.6mmol)、炭酸カリウム3.30g(24mmol)、銅粉0.03g(0.47mmol)、及びヨウ化銅0.03g(0.16mmol)に、ジクロロトルエン18mlを加え、30時間加熱還流し、ウルマン反応を行った。溶液を冷却し、トルエン30mLを加えて濾過を行ない、濾過残渣をトルエン30mlで洗浄した。濾液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチル/クロロホルムの混合溶媒で再結晶を行い、濾取した結晶を乾燥し、1.83gの式(16)により表されるトランス−1,2−ビス[3,6−ジ(3−-tert−ブチル−9H−カルバゾール−9−イル)−9H−カルバゾ−ル−9−イル]シクロブタンを得た(収率48.0%)。
この化合物の質量スペクトルは、1271(C9282)の分子イオンピークを有しており、構造式と一致した。
実施例6
実施例5で得た、上記式(16)により表される化合物の物性測定
SSC5200熱分析システム(セイコー電子工業製)を用いて、20℃/minの昇温速度で、実施例5で得た式(16)により表される化合物の粉体をDSC測定した。Tgは234℃(転移の中間温度。転移開始温度では224℃)であった。
式(16)により表される化合物10mgを揮発成分割合99.9%以上かつ純度99.9%以上(GC−Massで測定)の1mlの1,2−ジクロロエタンに溶解し、インキとした。このインキを1000rpmの回転速度でPEDOT/PSSを塗布したITO膜付ガラス上にスピンコートしたところ、68nm厚の均一で高純度のアモルファス膜が形成でき、200℃に加熱しても結晶化しなかった。
石英板上に成膜した膜の補正蛍光励起スペクトル(受光440nm)と補正蛍光スペクトル(320nm励起)をRF−5300PC(島津社製)により測定した結果を図5に示す。図5において、破線は補正蛍光励起スペクトルを、実線は補正蛍光スペクトルをそれぞれ示す。
図5から、ピーク波長405nm付近に紫色蛍光を示していることがわかる。吸収端エネルギーよりエネルギーギャップは3.1eV。理研計器製表面分析装置AC−1による測定したイオン化エネルギーは5.9eVであった。
比較例1
下記式(17)により表される正孔輸送材料(分子量:589、Tg:101℃、ガラス転移の始めは98℃)12.5mgを2mlのクロロホルムに溶解し、1000rpmの回転速度でITO膜付ガラス板上にスピンコートしたところ、52nmの厚さの均一なアモルファス膜を形成することができたが、室温で放置すると、数日内に結晶化し、白濁して、膜表面が凸凹状になった。
Figure 0004769551
比較例2
下記式(18)により表される電子輸送材料をITO膜付ガラス板上に真空蒸着したところ、52nmの厚さの均一で高純度のアモルファス膜を形成することができたが、室温で放置すると、数時間内に結晶化し、白濁して、膜表面が凸凹状になった。
Figure 0004769551
比較例3
市販の純度98%のシクロヘキシルベンゼンに、式(6)により表される化合物を1wt%溶解してインキを形成し、このインキを凸版印刷法にてITO膜付ガラス基板上に成膜し、ホットプレート上に載置して、100℃で膜を乾燥した。その結果、シクロヘキシルベンゼン中に混入していた溶剤の合成副生物の1,4−ジシクロヘキシルベンゼン等の難揮発性物質が膜中に10%以上混入して、純粋な式(6)により表される化合物からなる膜は得られなかった。
本発明のキャリア輸送材料及び発光材料は、有機EL素子や蛍光インク材料として好適に利用可能である。特に、湿式法による塗布型有機EL素子のキャリア輸送材料または発光材料として利用可能である。
本発明の一実施形態に係るキャリア輸送材料または発光材料を構成する、式(6)により表される化合物のKBr法により測定したFT−IRスペクトルを示す特性図である。 本発明の一実施形態に係るキャリア輸送材料または発光材料を構成する、式(6)により表される化合物の蛍光励起スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す特性図である。 本発明の他の実施形態に係るキャリア輸送材料または発光材料を構成する、式(7)により表される化合物のKBr法により測定したFT−IRスペクトルを示す特性図である。 本発明の他の実施形態に係るキャリア輸送材料または発光材料を構成する、式(7)により表される化合物の蛍光励起スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す特性図である。 本発明の他の実施形態に係るキャリア輸送材料または発光材料を構成する、式(16)により表される化合物の蛍光励起スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す特性図である。

Claims (2)

  1. トランス−1,2−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン構造を有する下記式(1)で示される化合物からなることを特徴とするキャリア輸送材料または発光材料。
    Figure 0004769551
    (式中、R、Rはそれぞれ独立に炭素数4以下のアルキル基または水素であり、R、Rは同時に水素にはならず、Yは
    Figure 0004769551
    (式中、Rは炭素数4以下のアルキル基であり、A、Aはそれぞれ独立に炭素数6から12の芳香族6員環を含む単環または結合環から誘導された置換基である。)である。)
  2. 少なくとも1回、常圧または減圧蒸留し、常圧かつ沸点以下での蒸発残渣が0.001wt%以下で、かつガスクロマトグラフィー測定による純度で99.9%以上の純度に精製した有機溶媒を単独で、または2種類以上混合した混合溶媒中に、少なくとも1種類以上の請求項1に記載のキャリア輸送材料または発光材料を固形分濃度が0.1wt%から50wt%の範囲になるように溶解したことを特徴とする、キャリア輸送層または発光層形成用インキ。
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