JP4768839B2 - クリーム用油脂組成物 - Google Patents

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Description

この発明は、食品に用いられる液状のクリーム用油脂組成物であり、例えばコーヒー等の飲料に添加して用いられたり、ゼリーやプリンなどのデザート類にトッピングして用いられたり、またはシチューやスープなどの調理食品に混合する態様などで用いられるクリーム用油脂組成物に関するものである。
食品分野でいうクリームは、狭義には牛乳を遠心分離して得られ、乳脂肪のみからなる生クリームを指すが、乳脂肪と他の油脂または乳脂肪以外の油脂に乳成分、乳化剤、水等を主原料として調製される合成クリームも一般にクリームと呼ばれている。
このようなクリームは、使用目的に合わせて適宜調製され、液状のまま使用するタイプと気泡を含有させて使用するタイプ(ホイップクリーム)に大別できる。
液状のまま使用するクリームの代表的なものは、コーヒークリームであるが、デザート類や調理食品に使用されるクリームもあり、例えばプリンやゼリー等のデザート類に液状クリームをトッピングした形態で市販されている商品もある。
このように液状で使用するクリーム(以下、液状使用クリームという。)を調製する場合に調合される乳脂肪以外の油脂としては、ヤシ油、パーム核油などのラウリン系油脂やパーム油、なたね油等の植物油及びこれらの硬化油、分別油さらにはこれらの混合油等が挙げられる。
液状使用クリームに求められる特性は、輸送中の振動や品温上昇を受けても著しい粘度上昇や固化を生じないこと、及び冷蔵時一時的に過冷却になり凍結状態になっても、常温に戻すことで元の状態に戻る冷凍耐性、そしてこれら保存期間を通じて乳化安定性、風味安定性を維持することである。
また、コーヒーや紅茶等に添加する液状使用クリームに求められる特性は、苦味や渋みを緩和してまろやかにすること、すなわちマイルド効果は当然必要な性質である。更には、デザートにトッピングする場合は、直接クリームを食することになるので、クリーム自体が独特の適度な濃厚さ(コク)を持ち、まろやかさとほのかな甘みを感じるようなクリーミー感によりデザートの味わいを深めるものでなくてはならない。シチューやスープなどの調理食品に用いる場合にも、同様にコクやまろやかさが期待されるのは勿論である。
液状使用クリーム用油脂のうち、乳脂肪だけからなる液状クリームは、風味の点で優れたものであるが、品温の上昇や輸送中の振動によって著しい粘度上昇や固化(”ボテ“とも称せられる)が起こりやすい。また、乳脂肪は比較的高価な油脂であるから製品コストも高くなるという欠点がある。
そこで、乳脂肪の代わりにコスト的に安価で油脂の特性が比較的似ているヤシ油やパーム核油等のラウリン系油脂を用いられることがあり、コク味を出すには有効であるが、やはり乳脂肪と同様に耐振性や耐熱性が弱くなるという欠点があった。
このような欠点に鑑みて、乳脂肪やラウリン系以外の油脂を用いた液状クリームが考案され、種々の改良が加えられることで乳化安定性や風味安定性の良いクリームが提供されるようになった。具体的には、大豆油、なたね油等液状植物油脂の部分硬化油(部分水素添加油)が用いられている。
しかしながら、植物部分硬化油で乳化安定性、風味安定性を高めてもクリーム自体のコクやクリーミーな食感の点で、未だ充分に満足できるものは得られなかった。
また、部分硬化油はトランス脂肪酸を多く含有する油脂であって、トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、血液中のLDLコレステロールを上昇させると共にHDLコレステロールを低下させて冠動脈心疾患のリスクを高めるという説もあり、油脂中のトランス脂肪酸を極力少なくするべきであるとの要望が国内外でも高まっている。
このような要望に対応し、植物部分硬化油の代わりにトランス脂肪酸が少ない油脂として、ラウリン系油脂の分別油軟質部を添加した液状クリームが知られている(特許文献1)。
また、高オレイン酸含有植物油からなる液状コーヒーホワイトナー用の油脂組成物が知られている(特許文献2、特許文献3)。
一方、凍結解凍後の乳化安定性を高める必要も生じていることから、ラウリン系油脂またはその分別油の極度硬化油脂からなる飲料添加用の水中油型乳化油脂組成物が知られている(特許文献4)。
特開2005−204653号公報 特開2007−274997号公報 特許第4003804号公報 特開2007−37509号公報
しかし、上記した特許文献1、2、3に開示されているクリームやコーヒーホワイトナー用の油脂組成物は、クリーム自体が淡白すぎて酷(こく)味という深い味わいに欠け、クリーミー感といわれるきめ細かく滑らかな感じも充分ではなく、すっきりとした後味というよりもべとつく食感になっていた。
また、このような油脂をプリンやゼリーなどのデザートにトッピングすると、クリームをそのまま食することになるので、淡白すぎる食感になってしまう。さらにその乳化状態は、クリームの保存温度が一定ならば比較的安定であるが、一時的に急激な温度上昇や冷凍状態を経ると、その後、常温に戻しても乳化状態は不良になる。
また、特許文献4に開示されているような極度硬化油は、長鎖飽和脂肪酸を多く含有する油脂を用いているから、それを乳化しても口溶け感が悪く、クリーミーな食感は得られなかった。このように液状使用クリームとして、コーヒー用だけでなくデザートや調理食品にも使用できるような特性をもつものではなかった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決し、トランス脂肪酸が2重量%以下であって実質的に部分硬化油を含有しないクリーム用油脂組成物において、これがクリームに調製された場合に、コクとクリーミー感に優れ、しかも口溶け性がよくて、すっきりとした食後感を併せ持つことのできるものにすることで、コーヒー等の飲料用のみならずデザートや調理食品にも適したクリーム用油脂とすることである。
また、本願のクリーム用油脂組成物は、食品用液状クリームとした場合に、広範な温度環境に乳化状態を保持できるものとすることも課題としている。別言すれば、食品用の液状クリームは、一時的に急激な温度変化や凍結状態に至っても、その特性が損なわれないものとし、すなわちヒートショック耐性や冷凍耐性にも優れたクリーム用油脂組成物とすることである。
上記の課題を解決するため、本願の発明者らは、様々な脂肪酸で構成されている天然油脂を検討し、その結果、油脂の特性は脂肪酸の種類と、その含量で決まるのではなく、脂肪酸が結合したトリアシルグリセロール分子の違いに拠るのではないかと考えた。
さらに、本願の発明者らは、油脂組成物中のトリアシルグリセロールの分子種に着目し、コクとクリーミー感に優れた効果を発揮する分子種の配合割合を特定の範囲に調整すると共に、食後感(口溶け)や耐熱性、冷凍耐性に影響を与える分子種を調べ、口溶けやヒートショック耐性、冷凍耐性に関与する分子種とを所定の関係を満たすように調整し、前記課題を解決できることを見出したのである。
すなわち、前述のクリーム用油脂組成物の課題を解決する本願の発明の構成は、トランス脂肪酸の含有量が2重量%以下のクリーム用油脂組成物からなり、この油脂組成物のトリアシルグリセロール組成は、下記の数1の式を満たすと共に、同式中の記号で示す分子種のP2U型を5〜15重量%、PU2型を10〜25重量%含有し、かつLa2Mu型およびU3型を含有するものであり、P3型は0.5重量%以下に調整され、かつトリアシルグリセロール含有量の総計が50重量%以上であるクリーム用油脂組成物とすることである。
Figure 0004768839
(式中、記号Pは炭素数16の飽和脂肪酸を示し、Uは炭素数16以上の不飽和脂肪酸を示し、Laは炭素数12の飽和脂肪酸を示し、Muは炭素数12以下の飽和脂肪酸または炭素数16以上の不飽和脂肪酸を示し、これらの記号の組み合わせで示されるトリアシルグリセロールの分子種のP2Uは、2残基がPで1残基がUである分子種を示し、La2Muは2残基がLaで1残基がMuである分子種を示し、PU2は1残基がPで2残基がUである分子種を示し、U3は3残基がUである分子種を示し、これらの分子種のグリセロールに結合する脂肪酸の位置は区別しない。)
または、上記のクリーム用油脂組成物において、トリアシルグリセロール組成が、P2U型分子種を30〜70重量%含有するパーム系分別油脂と、La2Mu型分子種を20〜40重量%含有するラウリン系油脂と、U3型分子種を40〜90重量%含有して10℃で液状の植物油脂とから構成されているクリーム用油脂組成物とすることで、前記目的とする特性を有し、しかもコストを安くすることができるものになる。
また、以上述べたクリーム用油脂組成物は、食品用液状クリームの油脂成分として用いることができ、この油相部に配合し、水相部と混合して乳化してなる食品用液状クリームとすることで所期した作用効果を奏する液状クリームになる。
本願のクリーム用油脂組成物は、トランス脂肪酸の含有量が2重量%以下であるにもかかわらずこれがクリームに調製された場合に、コクとクリーミー感に優れ、しかも口溶け性がよくて、すっきりとした食後感を併せ持つことのできるものになるという利点がある。
また、本願のクリーム用油脂組成物は、食品用液状クリームとした場合に、広範な温度環境に乳化状態を保持でき、一時的に急激な温度変化を受けても、その特性が損なわれないものとなり、すなわちヒートショック耐性や冷凍耐性にも優れたクリーム状食品用油脂組成物となる利点がある。
この出願の各請求項に係る発明(以下、この発明と称する。)のクリーム用油脂組成物及びそれを使用したクリームについて、以下に詳細に説明する。
この発明に係るクリーム用油脂組成物は、トランス酸が2重量%以下で実質的に部分硬化油を用いないものである。
油脂の構成としては、トリアシルグリセロールの3残基のうち、2残基が炭素数16の飽和脂肪酸(パルミチン酸とも呼ばれ、前記した数式の説明のように“P”と示される。)で1残基が炭素数16以上の不飽和脂肪酸(前記した数式の説明のように“U”と示される。)であるP2U型を5〜15重量%、炭素数16の飽和脂肪酸が1残基で炭素数16以上の不飽和脂肪酸が2残基であるPU2型を10〜25重量%含有させたもので、3残基全てが炭素数16の飽和脂肪酸であるP3型は0.5重量%以下としたものである。
上記したように構成されるこの発明のクリーム用油脂組成物は、植物油、分別植物油およびこれらのエステル交換油から選ばれる1種以上、すなわち1種の油または2種以上の混合油からなる油脂中のトリアシルグリセロール組成において、P2U型トリアシルグリセロールを特定量だけ含有させることによって、クリームのコクとクリーミー感を付与することができる。
各トリアシルグリセロール分子種は、必要とされるクリームの特性に関して特定量の範囲であれば効果的に働くが、多すぎても少なすぎても不具合が生じ、また、各分子種は密接に関連して互いの効果を増幅し、または打ち消しあう。
P2U型が5重量%未満では、充分なコクとクリーミー感が得られず、15重量%を越えるとクリームの食感としてしつこく感じられ、粘度も高くなる傾向があり、冷凍耐性が劣るものとなる。
P2U型によるコクとクリーミー食感の向上と冷凍耐性や口溶けの低下とは、逆相関する関係にあるが、前記のようにP2U型を5〜15重量%とした場合には、PU2型を10〜25重量%とすることによって冷凍耐性や口溶けの悪化を緩和することができる。
また、PU2型は、安定した乳化状態を維持できる分子種であるが、25重量%以上になるとコクやクリーミー感を低減させてしまう。P2U型の含量に対してPU2型は同量乃至2倍量になるように調整することが好ましい。
P2U型やPU2型を含む天然油脂に共に含有されていることが多いP3型は、極少量の配合量であればコクを付与できる利点はあるが、少量であっても冷凍耐性と口溶け感を悪化させ、前記利点を減殺するので、この発明ではできるだけ排除することが望ましい成分であるP3型を0.5重量%以下に調整する。同じ理由から、特にP3型を0.1重量%以下とすることがより好ましい。
この発明のクリーム用油脂組成物では、2残基が炭素数12の飽和脂肪酸(ラウリン酸と別称され、前記した数式の説明のように“La”と示した。)であって残りの1残基が炭素数12以下の飽和脂肪酸または炭素数16以上の不飽和脂肪酸(これらを総称して“Mu”と示した。)であるLa2Mu型と、3残基全てが炭素数16以上の不飽和脂肪酸であるU3型をも含有している必要があり、これらのP2U型、PU2型、La2Mu型およびU3型を油脂組成物の主要構成分子種として、トリアシルグリセロール組成におけるそれらの総量を50重量%以上とする。
La2Mu型は、P2U型と同様にコクとクリーミー感を付与することができるが、その効果は小さく、また、冷凍耐性を悪化させるという欠点も有するが、共にP2U型の1/4程度の影響力と考えられる。ただし、La2Mu型は口溶け感を優れたものにする利点も有しており、P2U型の欠点の一部を緩和するのでコクとクリーミー感を付与する成分としてはP2U型とLa2Mu型を共存させることである。La2Mu型は3重量%以上含むのがよい。
U3型は良好な乳化状態の安定性を維持するために必要な必須の成分であり、低温でも液状であるため冷凍耐性に優れた効果を発揮するが、多いとコクが失われ、べとついたり増粘しやすいクリームとなる。前述のPU2型も同様の効果や短所をもつが、その影響はU3型にくらべて1/2程度である。
そこで、P2U型、PU2型、La2Mu型、U3型のトリアシルグリセロール組成における各含有量が数1の式を満たすことで、それぞれの長所を増幅し、短所を相殺するような調和が生まれ、コクとクリーミー感に優れ、すっきりとした口溶け感があり、ヒートショック耐性や冷凍耐性にも満足できるクリームとなるのである。
すなわち、数1の式中で分子の(P2U+La2Mu/4)は、コクとクリーミー感を与える因子であり、分母の(PU2/2+U3)量により調整する必要があるが、全トリアシルグリセロール中に概ね8〜15重量%に調整することが望ましい。
分母の(PU2/2+U3)は、口溶けと冷凍耐性を良くする因子であり、全トリアシルグリセロール中に概ね30〜50重量%に調整することが望ましい。
P2U型、PU2型が適性範囲であるにもかかわらず、上記(P2U+La2Mu/4)/(PU2/2+U3)値が0.20未満の場合で、分子が小さいことに起因している場合は、コクやクリーミー感が不充分なものになり、分母が大きすぎることに起因している場合は、増粘しやすく保存安定性やヒートショック耐性に劣ったものとなる。
また、(P2U+La2Mu/4)/(PU2/2+U3)値が0.50を越えた場合で分子が大きいことに起因している場合は冷凍耐性が劣ったものになり、分母が小さいことに起因している場合は口溶けの悪いものとなる。同値のさらに望ましい範囲は0.20〜0.40である。
(トリアシルグリセロール組成)
トリアシルグリセロール組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、カラムとしては逆相系カラム、例えばシリカゲル担体にODS基(octadecyl silyl基,C18基)、DCS基(docosyl silyl基、C22基)、TAS基(triacontyl silyl基、C30基)等を結合させた充填剤のカラムを用いて、溶離液はアセトンとアセトニトリルの混合液を流し、溶出したトリアシルグリセロールを示差屈折計で検出することで分析することができる。
混合液の比や流量は、ピークの分離性に応じて調整すればよく、概ね、アセトン/アセトニトリル(1:1)、流量0.5〜1.5ml/minで測定できる。溶出したトリアシルグリセロールの構成脂肪酸残基の確認は、結合脂肪酸をメチルエステル化した後、ガスクロマトグラフィーを用いて分析することで可能である。
次に、この発明に用いるトリアシルグリセロールを含有する油脂及びこれを用いて調製する液状クリームについて説明する。
P2U型及びPU2型を含有する油脂の具体例としては、パーム油及びその分別油、米油、綿実油や綿実ステアリン、大豆油、コーン油等が挙げられる。これらの中でもP2U型及びPU2型を多く含有するパーム分別油で融点が低いパームオレインが望ましく、P2U型を30〜70重量%含有しているものがよい。
パーム油や融点が高いパームステアリン、パーム極度硬化油は、P3含量が高くなるので好ましくない。米油や大豆油は単独ではP2U型含量が10重量%以下と低いので、パーム系油脂と組み合わせるとよい。
La2Mu型を含有する油脂としては、ヤシ油やパーム核油及びその分別油が挙げられ、La2Mu型を20〜40重量%含有している。これらの油脂中のLa2Mu型トリアシルグリセロールでMuに該当する脂肪酸としては、炭素数6のカプロン酸、炭素数8のカプリル酸、炭素数10のカプリン酸、炭素数12のラウリン酸、炭素数18の不飽和脂肪酸のオレイン酸、リノール酸が挙げられる。
U3型を含有する油脂としては、なたね油、大豆油、コーン油、米油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油等が挙げられ、40〜90重量%含有しており、その中でもU3含量が80重量%と高く、不飽和脂肪酸の主成分がオレイン酸である油脂、例えばハイオレインなたね油やハイオレインひまわり油、ハイオレインサフラワー油は酸化安定性の点でさらに望ましい。
これらの油脂はトリアシルグリセロール組成における各型の含有量及び前記の数1の式を満たす限りにおいてエステル交換が行われた油脂であってもよい。
(クリーム)
この発明の油脂組成物を用いて製造されるクリームは、上記した所定のトリアシルグリセロール組成に調整されることの他は、周知の方法を採用して製造できる。
すなわち、上記油脂組成物に油溶性の乳化剤等を溶解させた油相部と乳蛋白質、水溶性の乳化剤等を溶解させた水相部とを混合乳化した後、均質化、殺菌、冷却の工程を経て添加クリームは調整できる。
この乳化物の調整に際し、必要に応じて糖類や増粘剤、安定剤、呈味剤、香料などの添加剤を含ませることもできるのは勿論である。
なお、上記油脂組成物は、本願の各請求項に係わる発明のクリームの全脂肪分として10〜50%の範囲で配合することが適当である。
(トリアシルグリセロール組成及びトランス脂肪酸の含量)
実施例及び比較例に用いた油脂について、HPLCを用いて以下の条件で分析し、各トリアシルグリセロール組成を測定した。
カラム:Inertsil ODS-2(GL Science社製) 4.6×250mm
溶媒:アセトン/アセトニトリル(1:1) 1ml/min
カラムオーブン温度:25℃
検出器:示差屈折計検出器(セル温度40℃)
また、トランス脂肪酸含量は、基準油脂分析試験法暫17−2007により測定した。
(油脂組成物の調製に使用した油脂)
後述の実施例、比較例に示した油脂組成物を調製するために使用した油脂とその各油脂のトランス脂肪酸含量、トリアシルグリセロール組成を表1、表2に示す。パーム分別油1〜3はパーム油を乾式分別により分別して得られた液状画分で市販されているものであり、ヨウ素価は表中に示した。
パーム分別油4については、パーム分別油2を本願発明者が溶剤分別により液状画分と結晶画分に分画した後、得られた結晶画分をパーム分別油4とした。表2のパーム核分別油は、パーム核を乾式分別して得られた液状画分で、パーム核オレインと呼ばれ市販されているものである。
Figure 0004768839
Figure 0004768839
(クリームの製造方法)
クリームの調製は、表3の配合に従い、以下の方法により製造した。この表の油脂組成物は、表1、表2で示した油脂を用いて後述する実施例、比較例に示した調製方法で製造した油脂組成物である。
まず、油相部と水相部とを60〜65℃で混合し、ホモミキサー(特殊機化工業社製)により3000rpmで10分間予備乳化した。次に、ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社製)を通して均質圧力15MPa(1次圧)で均質化した後、140℃で4秒間の加熱殺菌を行ない、60℃に冷却して、再び均質圧力10MPa(2次圧)で均質化し、約7℃に冷却して製造した。
Figure 0004768839
(クリームの評価方法)
製造したクリームを5℃で24時間保存(エージングという)を行い、下記の試験方法で評価した。
1)風味評価
クリームをそのまま食したときの状態を下記の評価基準で評価した。
<コク>
◎ 適度な濃厚感がある
○ 良好だがやや重い
△ 少し弱い
× 淡白又はしつこい
<クリーミー感>
◎ 非常に優れており、まろやか
○ 良好
△ 少し弱い
× とがった食感又はべとつく
<口溶け>
◎ 非常に優れており、すっきりとしている
○ 良好
△ 少し口溶けが悪い
× 悪い
2)保存安定性
エージング直後と引き続き5℃で7日間静置後に粘度を測定した。測定方法は、B型粘度計(東機産業社製)を用いNo.3ローター、30rpmで測定した。以下の表中には、粘度の変化を下記の記号で示した。
○ 粘度変化がないか、あってもエージング直後の粘度に比べ20%未満の上昇
× エージング直後の粘度に比べ7日後の粘度が20%以上上昇し、増粘する
3)ヒートショック耐性
エージング後、25℃で2時間保持することでヒートショックを与えた後に5℃で7日間保存した後に粘度を測定し、ヒートショックを与えなかったものと粘度の変化を比較観察した。以下の表中には、粘度の変化を下記の記号で示した。
○ 粘度変化がないか、あってもヒートショックを与えなかったものに比べ20%未満の上昇
× ヒートショックを与えなかったものより20%以上粘度が上昇し、増粘する
4)冷凍耐性
250mlゲーブルトップ容器にクリームを200g入れ、−20℃に1時間静置した後、5℃で解凍し、凝集物、離水の有無を確認した。下記の評価を記号で示した。
○ 凝集物、離水が無い
× 凝集物、離水が見られる
5)コーヒーテスト
熱湯150mlにインスタントコーヒー5gを溶解してコーヒーを調製した。ここにクリームを5g加え攪拌した後、喫食して、コーヒーの苦味、酸味の緩和効果(マイルド効果)を評価し、下記の記号で示した。
○ マイルド効果が充分にあり、後味も良い
△ マイルド効果が少し弱い
× マイルド効果がなく、後味が悪い
[実施例1〜12]
表1および表2に示した油脂を用いて、表4、表5の配合に従って其々混合し、実施例1〜12のクリーム用油脂組成物を調製した。得られた油脂組成物のトランス脂肪酸含量、トリアシルグリセロール組成及び数1で示される式の値を表中に併記した。さらに、前述した製法によりクリームを調製し、評価した結果についても表4及び表5中に併記した。
[比較例1〜12]
クリーム用油脂組成物として、表6、7の配合に従って其々混合したこと以外は、実施例1〜12と同様にしてクリームを調整し、評価した。得られた油脂組成物のトランス脂肪酸含量、トリアシルグリセロール組成及び数1で示される式の値についても表6及び表7中に示した。また、実施例と同様にクリームを調製し評価した結果についても表中に併記した。
Figure 0004768839
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Figure 0004768839
Figure 0004768839
表4、表5の結果からも明らかなように、所定の組成からなる本願の各請求項に係る発明の油脂組成物を含むクリームは、含有するトランス脂肪酸が非常に少なくなっており、部分硬化油を使用せずとも、コクとクリーミー感に優れ、なおかつすっきりとした口溶け感を併せ持つという利点があった。さらに、冷蔵下での保存安定性に優れているだけでなく、一時的な品温上昇を受けても状態変化を起こすことなく、冷凍下に置かれても本来のクリームの状態に復元することが容易であり、ヒートショック耐性に優れ、広範な温度環境に適応できるものであった。また、このものはコーヒークリームとしてのマイルド効果にも優れていることが判明した。
これに対し、表6、表7に示される比較例1〜12のような所定のトリアシルグリセロール組成を持たない油脂組成物を用いたクリームは、コクやクリーミー感が得られないか、逆に口溶けが悪いものであり、保存時の一時的な品温の変化によって状態が変化し、またはコーヒークリームとしてマイルド効果が十分でなく、本来のクリームとしての品質が損なわれたものであった。
[実施例13]
表8に示す油脂配合のように、パーム分別油2を20重量部、ヤシ油30重量部、パーム核油5重量部、ハイオレインなたね油45重量部を混合して油脂組成物を調製した。
得られた油脂組成物のトランス脂肪酸含量、トリアシルグリセロール組成及び数1で示される式の値を表8中に記し、さらに、実施例1と同じ製法によりクリームを調製し、それを評価した結果を表8中に併記した。
[実施例14]
表8に示す油脂配合のように、パーム油30重量部、パーム核油25重量部、なたね油45重量部を混合した油脂に0.3重量部のナトリウムメトキシドを加え、70℃で30分混合攪拌してランダムエステル交換反応を行ない、反応後、水洗して触媒を除去し、脱色、脱臭して油脂組成物を調製した。得られた油脂組成物のトランス脂肪酸含量、トリアシルグリセロール組成については前述の方法により分析した。クリームの製造、評価については、実施例1と同様にして行った。分析結果と評価結果は表8中に併記した。
[比較例13]
表8に示す油脂配合のように、実施例13の油脂組成物について、実施例14と同様の方法でランダムエステル交換反応を行い、新たな油脂組成物を得た。得られた油脂組成物についての分析結果及びクリームの評価を表8中に記した。
[比較例14]
表8に示す油脂配合のように、実施例14の油脂組成物についてランダムエステル交換反応を行なわず、クリームを製造して評価をした。結果は表8中に記した。
Figure 0004768839
表8に示した結果からも明らかなように、同じ油脂から構成された油脂組成物であっても、この発明の所定の組成からなる実施例13は、満足できる性能を有するクリームであったが、エステル交換を行うことでトリアシルグリセロール組成が変化し、所定の組成から逸脱した比較例13のクリームは、コクやクリーミー感に乏しいものであり、口溶けも劣ったものであった。また、比較例14の油脂組成物のトリアシルグリセロール組成をエステル交換反応により変化させ、所定の組成の範囲とした実施例14のクリームは口溶けの悪さが改善され、適度なコクとクリーミー感をもつものとなった。また、コーヒークリームとしてのマイルド効果をも備わったものとなった。
[実施例15]
実施例13の油脂組成物について、クリームの配合処方を下記の表9に従い調製した。得られたクリームの評価を表10に記した。
Figure 0004768839
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表10の結果からも明らかなように、油脂組成物として実施例13と同一である実施例15は、クリームの配合を変えて調製したものであっても所期した特性のクリームを調製できた。このようにこの発明の所定組成からなる油脂組成物は、適度なコクとクリーミー感と口溶け感をもつクリームに調製できた。

Claims (4)

  1. トランス脂肪酸の含有量が2重量%以下のクリーム用油脂組成物からなり、この油脂組成物のトリアシルグリセロール組成は、下記の数1の式を満たすと共に、同式中の記号で示す分子種のP2U型を5〜15重量%、PU2型を10〜25重量%含有し、かつLa2Mu型およびU3型を含有するものであり、P3型は0.5重量%以下に調整され、かつトリアシルグリセロール含有量の総計が50重量%以上であるクリーム用油脂組成物。
    Figure 0004768839
    (式中、記号Pは炭素数16の飽和脂肪酸を示し、Uは炭素数16以上の不飽和脂肪酸を示し、Laは炭素数12の飽和脂肪酸を示し、Muは炭素数12以下の飽和脂肪酸または炭素数16以上の不飽和脂肪酸を示し、これらの記号を組み合わせて示されるトリアシルグリセロールの分子種のP2Uは、2残基がPで1残基がUである分子種を示し、La2Muは2残基がLaで1残基がMuである分子種を示し、PU2は1残基がPで2残基がUである分子種を示し、U3は3残基がUである分子種を示し、これら分子種はグリセロールに結合する脂肪酸の位置を区別しないものである。)
  2. 油脂組成物が、植物油、分別植物油およびこれらのエステル交換油から選ばれる1種以上を含有する油脂組成物である請求項1に記載のクリーム用油脂組成物。
  3. トリアシルグリセロール組成が、P2U型分子種を30〜70重量%含有するパーム系分別油脂と、La2Mu型分子種を20〜40重量%含有するラウリン系油脂と、U3型分子種を40〜90重量%含有して10℃で液状の植物油脂とから構成されている請求項1または2に記載のクリーム用油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物を油相部に配合し、水相部と混合して乳化してなる食品用液状クリーム。
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