JP4766398B2 - 情報処理装置、及びハイブリッド車両 - Google Patents
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Description
また、エンジンの駆動力の一部又は全部を車両の駆動と発電の双方に使用するハイブリッド車両の場合には、低速走行時にエンジンを駆動用に使用すると効率が低くなるので停止、又は発電に使用し、モータの駆動力で走行することで全体の燃費を向上させている。
この運転スケジュールは、例えば、停発進を繰り返したり低速での走行が続くことが予想されるす区間が前方に存在する場合、事前にエンジンを効率のよい点で駆動しながら発電してバッテリを充電しておき、その区間ではモータで走行をするように設定することができる。
また、走行経路に標高差の大きい下り区間がある場合、その下り区間に到達する前にバッテリをモータ走行に活用する等により放電させておき、下り区間で可能な限り多くの回生エネルギーを回収するといったような管理を行うことができる。
過去の走行データを統計的に分析することにより、例えば、通勤路など運転者が頻繁に利用する経路(以下、頻発経路)での走行速度パターンを得ることができ、この走行速度パターンにおいて、最も燃料消費量が小さくなるようなエンジンとモータの運転スケジュールを設定することができる。
過去の走行データを用いて運転スケジュールを設定することによりエンジンの燃料消費量を低減する技術が特許文献1で提案されている。
また、車両が走行する際に走行データを収集し、これを蓄積しておくと、運転スケジュール設定の他にも様々な情報処理に利用することができる。
ところが、このようにして長期間に渡って走行データを収集・蓄積すると膨大なデータ量となってしまうという問題があった。
そして、一般の自動車の車載装置にその機能を持たせることはコスト的、記憶容量的に困難であった。
一方、サンプリング周期を長くすれば走行データ量を小さくすることが可能であるが、データ精度が低下するという新たな問題が生じる。
請求項2記載の発明では、前記車速取得手段と前記車速関連情報取得手段は、前記車両が所定の特定場所を通過する際の車速と車速関連情報を取得し、前記出力手段は、前記取得した車速と車速関連情報を、前記特定場所を識別する識別情報と共に出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置を提供する。
請求項3記載の発明では、前記出力手段が出力した車速と車速関連情報を用いて、前記車両が走行した車速の推移を再現する再現手段と、前記再現した車速の推移を所定の解析手順により解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果を出力する解析結果出力手段と、を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置を提供する。
請求項4記載の発明では、駆動力の一部又は全部が車両の駆動又は発電に使用されるエンジンと、車両の駆動力を発生させるモータとを備え、前記エンジンとモータの少なくとも一方の駆動力により走行するハイブリッド車両であって、走行経路を特定する走行経路特定手段と、請求項3に記載の情報処理装置と、前記情報処理装置の解析結果出力手段から出力された解析結果を用いて前記特定した走行経路における燃料消費量が最少となるように、前記エンジンと前記モータの運転スケジュールを設定する運転スケジュール設定手段と、を具備することを特徴とするハイブリッド車両を提供する。
走行データ処理部11(図1)は、車両が稼動している間、所定のサンプリングレート(例えば、100[msec]、500[msec]など)で走行データをサンプリングして一時記憶装置に記憶する。
ここで、走行データとは、例えば、車速、位置情報、時刻など、車両が走行に関連して各種センサや検出装置から取得した情報である。
そして、走行データ処理部11は、走行終了時に収集した走行データを分析し、走行データが再現可能なように圧縮して記憶する。
このように、車両が発進してから停止するまでの走行データを抽出することにより、車両が赤信号などで停止している間の走行データ(本実施形態での解析目的に不要なデータ)を記憶せずに済み、記憶するデータ量をより小さくすることができる。
なお、解析目的により停止期間中のデータも必要な場合は、この期間での走行データも圧縮するように構成する。
そして、走行データ処理部11は、抽出した走行データを出力し走行データ記憶部15に記憶する。
そして、抽出した時点ごとに、その時点における車速、位置情報、時刻などの走行データを記憶・蓄積し、その後元の走行データは消去する。
図に示したように両者はよく一致し、車速の解析で重要な極点付近の形状もよく再現されている。
このように、本実施形態は、設定速度と極点での走行データから元の走行データが精度よく再現できるという「走行データ」の特性に適したデータ圧縮方法を提供することができ、走行データを必要最小限に簡略化(圧縮)することができる。
蓄積した走行データは利用時に再現され、例えば、ハイブリッド車両で頻発経路を走行する際に、燃費効率のよいモータとエンジンの駆動力配分を決定する際の有用なデータとなる。
本実施形態では、説明を簡単にするために一例として走行データを、車速、位置情報、時刻の各項目から構成されているものとし、これらの各項目を、車両走行中に所定のサンプリング周期(所定の時間間隔)で、更に同じタイミングでサンプリングする。
そのため、走行データは、データ1(車速1、位置情報1、時刻1)、データ2(車速2、位置情報2、時刻2)、…といった一連の情報から構成されている。
但し、実施形態としては走行データを車速と位置情報、又は車速と時刻情報から構成することも可能である。また、走行データには加速度を含めても良い。
このように所定のサンプリング周期でこれらデータを取り込むことで、車両の走行した軌跡やその時々の車速を収集することができる。
走行速度パターンは、先の走行を予測し(頻発経路の場合、過去の走行データから予測可能)、ハイブリッド車両において、燃料消費量が最低となるようなエンジンとモータの運転スケジュールを設定するのに利用することができる。
また、後述するように、走行データは走行環境データと関連づけられており、走行時の気象情報や渋滞情報などと対応できる様になっている。
駆動制御システム10は、車両の動力を発生する駆動装置20、発生した動力を伝達する駆動力伝達装置25、及び経路探索や走行データの取得や経路の解析などのナビゲーション関係の情報処理を行う走行データ処理部11を備えている。
エンジン21は、ガソリン、軽油等の燃料によって駆動される内燃機関によるエンジンであり、図示しないECU等のエンジン制御装置を備え、車両の動力源として使用される。
なお、駆動力伝達装置25にはドラムブレーキ、ディスクブレーキ等の制動装置を配設することもできる。
また、モータ24は交流モータであることが望ましく、この場合、図示しないインバータを備える。
なお、本実施形態では、後述するように発電機22を用いて回生を行うように構成されているが、モータ24で回生することも可能である。この場合、モータ24は、発電装置として作用し、バッテリ23を充電する。
バッテリ23には、蓄電量(SOC)を検出するためのSOCセンサ(蓄電量検出手段)が取り付けられており、メイン制御装置26がバッテリ23のSOCを監視できるようになっている。
バッテリ23としては、例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池などの2次電池が一般的であるが、電気自動車等に使用される高性能鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池などを用いることもできる。
更に、これらの中の何れかを単独で使用してもよいし、複数のものを組み合わせて使用してもよい。例えば、バッテリ23と電気二重層コンデンサとを組み合わせて、蓄電手段として使用することもできる。
発電機22は、交流発電機であることが望ましく、この場合、図示しないインバータを備える。
このように、駆動制御システム10では、従来の内燃機関による車両であれば、車両制動時にブレーキ装置にて摩擦熱として消散してしまう運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することができるため、燃費を向上させることができる。
この場合、モータ24は、バッテリ23から電力が供給されるときは駆動力を発生して動力源として機能し、車両の制動時等のように駆動力伝達装置25によって回転させられるときは回生電流を発生する発電機22として機能する。
また、エンジン21の駆動力の一部を駆動用に出力し、駆動力の残りで発電機22の駆動に使用して発電する場合、例えば、プラネタリギヤを使用し、エンジン21、発電機22、モータ24の各軸を連結することで実現される。
このように、エンジン21とモータ24を相補的に動作させることにより燃費を向上させることができる。
このような制御は、記憶手段で記憶している所定の制御プログラムを演算手段で実行することにより実現することができる。
ナビ制御は、例えば、これから走行する経路の状態や走行状態を予測し、SOC管理幅の範囲内で燃料効率が最大となるようにエンジン21とモータ24の運転スケジュールを設定し、これに基づいて駆動装置20を制御したり、あるいは、先に下り区間がある場合、下り区間に到達する前にSOCを低下させて回生による蓄電量を増やしたりなどする。
走行データ処理部11は、これらの機能部を利用することにより、運転者に目的地までの経路を案内するナビゲーションサービスを提供したり、メイン制御装置26がエンジン21とモータ24の運転スケジュールを設定しナビ制御を行うためのナビ制御情報の提供を行う。
また、走行データ処理部11は、メイン制御装置26にナビ制御情報を生成して提供するために、車両が走行する際に走行データを収集・蓄積し、これを解析する。
ナビゲーションデータベース12は、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、MD、DVD−ROM、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等、あらゆる形態の記憶媒体のいずれかで構成されている。また、取り外し可能な外部記憶媒体を使用することもできる。
地図上の道路は、各地点の緯度経度が特定されると共に、道路データ、探索データと対応付けられている。
音声データは、道路案内や、ユーザに対する問いかけ(目的地の名前は何かなど)を行うためのデータであり、音声出力部によって再生出力される。
道路に関する情報としては、例えば、道路種別(国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路等の行政道路属性)、道路の長さ、走行に要する時間、幅員、勾配、カント、標高、バンク、路面の状態、中央分離帯の有無、車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点などがある。
例えば、探索データに含まれる交差点データには、データが格納されている交差点の数に加え、それぞれの交差点に関するデータが交差点データとして、識別するための交差点識別情報が付与されて格納されている。
本実施形態における走行データは、時刻及びその時刻における車速と位置情報から構成されているが、このほかに、アクセル開度、ブレーキスイッチの状態、ステアリング角度、ウィンカ動作状況、シフトレバーの位置、SOCなどの、車両の状態に関する車両情報を含めることもできる。
なお、本実施形態では、所定のサンプリング周期でサンプリングを行う場合について説明する。
なお、GPSセンサは、GPS衛星からのGPS情報を受信して解析することにより現在位置の座標値(緯度と経度)を算出するものである。
走行環境データ取得部14は、時計、カレンダーなどを備えており、これによって現在の時刻、日付、曜日、車両が出発した日時等の日時情報を取得する。
この場合、車両の1回の走行における圧縮走行データと走行環境データとは、相互に対応付けられて記憶される。
これにより、圧縮走行データをから元の走行データを再現することにより走行状態の推移を把握することができ、その走行を行ったときの走行環境は走行環境データから把握することができる。
これらのデータは、走行データ処理部11が解析して、例えば、運転者が日常よく利用する経路を推測するほか、頻発経路における気象状況や曜日、走行時間帯などによる走行データの差異を分析するのに利用することができる。
走行データ処理部11は、ナビゲーションデータベース12、及び走行データ記憶部15に格納されているデータ、及び、走行データ取得部13、走行環境データ取得部14から取得する情報を用いて、各種の情報処理を行う。
また、走行データ処理部11は、走行データ取得部13から取得した走行データを圧縮して走行データ記憶部15に記憶し、走行環境データ取得部14から取得した走行環境データを走行データ記憶部15に格納する。
目的地は、運転者に入力してもらってもよいし、あるいは、運転者の過去の運転パターンから予測するなどして自動的に設定してもよい。
このように、メイン制御装置26は、走行経路特定手段としての機能を有している。
ナビ制御情報としては、各種のものが考えられるが、例えば、後述するような過去の走行データから推測した、出発地から目的地までの走行速度パターンがある。そして、メイン制御装置26は、予測される走行速度パターンから燃料消費量が最小となるような運転スケジュールを設定することができる。
このように、メイン制御装置26は、運転スケジュール設定手段としての機能を有している。
これにより、メイン制御装置26は、例えば、バッテリ23の充電開始位置や放電位置に到達したことを知ることができ、バッテリ23のSOCを計画的に管理することができる。
そして、走行データの解析に関しては、圧縮走行データから走行データを再現した後、これを解析し、出力する。
なお、詳細は後述するが、圧縮は、走行データから車速が設定速度に到達した時点、極点となる時点などにおけるものを抽出することにより行う。
更に、走行データ処理部11は、所定の取得間隔(時間間隔、又は走行距離による間隔)にて車速、位置情報、時刻を取得して走行データ記憶部15に記憶する記憶手段としての機能も有している。
加えて、走行データ処理部11は、圧縮走行データから元の走行データを再現する再現手段、再現した走行データを解析する解析手段、解析結果をメイン制御装置26に出力する解析結果出力手段としての機能を有している。
走行データ圧縮部41、及びデータ利用部47は、何れも走行データ処理部11(図1)で実現される機能部である。
位置情報取得部32は、軌道上を周回している複数のGPS衛星31からGPS信号を受信し、車両の現在位置の座標値(緯度・経度)、即ち位置情報を算出する。そして、位置情報取得部32は、算出した現在位置を走行データ圧縮部41に提供する。
車両情報取得部33は、車速センサから車速を取得し、走行データ圧縮部41に提供する。
なお、建造物の密集地など、GPS信号が到達しない場所で位置情報を取得するため、ジャイロなどを用いた慣性誘導式のシステムを併用してもよい。
走行データ収集部42は、所定のサンプリング周期で位置情報取得部32からは現在位置を取得し、車両情報取得部33は車速を取得し、これを現在時刻に対応付けてRAMやハードディスクなどで構成された一時記憶装置に記憶する。
まず、圧縮処理部43は、一時記憶装置に記憶された走行データを発進時点から停止時点までの区間からなる単位区間に分割する。
本実施形態では、走行速度パターンの分類を目的とするため、停止時点から発進時点までの間の走行データの圧縮・記憶は行わない。
これは、車両が停止していた間の走行データは、停止時点の走行データと発進時点の走行データから復元できるためである。これにより圧縮後のデータ量を少なくすることができる。
更に、車速の変化から、車速の変化が極点となる時点を特定し、この時点での走行データを抽出する。
このように、圧縮処理部43は、走行データ収集部42が収集した走行データのうち、解析を行う際に重要な時点(特に、車速の変化が極点となる点の付近)での走行データを漏らさずに抽出し、走行データを圧縮することができる。
そのため、走行データの特徴を失わないように走行データを圧縮することができる。
ファイル名としては、圧縮前の走行データを特定する情報(例えば、データ取得日時)、及び走行データを単位区間に分割した際の何れの区間を圧縮したものか特定する情報(例えば、分割した際の先頭から数えて何番目の区間か)などが含まれ、ファイル名から各圧縮走行データがいつの走行に関するものであるか特定できるようになっている。
なお、一時記憶された圧縮元の走行データは圧縮処理後消去され、一時記憶装置の記憶エリアは、次回に走行する際に走行データを収集するのに再利用される。
走行データ再現部48は、走行データ記憶部15(図1)から圧縮走行データを読み出し、これから圧縮元の走行データを再現する(以下、再現走行データ)。
走行データ解析部49は、再現走行データを用いて各種の解析を行う。本実施形態では、例えば、過去の走行経路から頻発経路を特定し、更に、頻発経路での車速の変化パターンを抽出することができる。
図3は、走行時間に対する車速の変化の推移をグラフにより表したものであり、横軸に走行時間、縦軸に車速をとっている。なお、図3は、実際の走行データを模式的に表したものである。
実線51は、走行データ収集部42が収集した走行データの各点をプロットしたものである。サンプリング周期は100[msec]である。
また、実線51を構成するのに用いたデータ個数、即ち、プロットに用いた(車速、位置情報、時刻)かなる情報の組の個数の実際の値は約800個であった。
次に、圧縮処理部43は、単位区間において、車速が予め設定した設定車速に等しくなる時点での走行データを特定する。
本実施形態では、設定車速を、10、20、30、…[Km/h]といったように10[Km/h]ごとの値とした。その結果、時点C1〜C16が特定される。
また、設定速度の間隔も等分とする必要なく、解析に重要な箇所では設定間隔を小さく設定してその箇所での再現走行データの精度を高め、解析に重要でない箇所では設定間隔を大きくしてその箇所でのデータ量を少なくするように設定することもできる。
極点の特定は、例えば、車速を時間で微分し、微分係数の符号が反転する時点を特定することにより行うことができる。または、隣接する走行データ間で差分をとり、その符号が反転する点を特定するようにしてもよい。
また、極点となる時点での走行データの前後にある走行データも(例えば、極点の前後1秒程度に含まれる走行データ)圧縮に用いると、極点付近の車速の変化がより正確に再現することができる。
なお、以上の例では、横軸に時間をとり、車速の経時変化を表したが、横軸に位置座標をとり、車速の走行場所による変化を表すことも可能である。
この場合も同様に、車速が所定の設定値となる地点、及び車速の変化が極点となる地点を特定し、その地点に関する走行データを抽出するように構成することもできる。
まず、走行データ収集部42が位置情報と車両情報(ここでは車速)をサンプリングして収集し、時刻と共に走行データとして一時記憶装置に記憶する。
走行データの記憶は、車両の駆動装置20が駆動してから停止するまで、即ち車両が稼動している間行う。
次に、圧縮処理部43は、各走行データの車速を調べ、車速が所定の設定値となる時点での走行データを特定し、これらを抽出する(ステップ15)。
そして、圧縮走行データ記憶部44が、抽出した走行データを圧縮走行データとして走行データ記憶部15に記憶し、格納する(ステップ25)。
そして、走行データ収集部42は、一時記憶装置に記憶している走行データを消去する。
このため、走行データ(約800個)は圧縮前の約3%に圧縮されたことになる。
図の点線53に示したように、走行データ再現部48は、発進時点a1、停止時点a2、時点C1〜C16、及び時点b1〜b7を座標系上に布置し、時間的に隣接する時点間を直線にて補完することにより車速の時間推移を再現している。
なお、本実施形態では、隣接する走行データを直線で補完することにより元の走行データを再現したが、この他に、例えば、最小自乗法などを用いて曲線にて走行データを再現したり、あるいは、極点は曲線でなめらかに補完し、他の部分は直線で補完するなど、解析目的に合った方法で補完することもできる。さらに、記憶する走行データとして、各地点(時点)での加速度データを加え、この加速度データを用いて補間すれば、より精度よく元のデータを再現することができる。
この図は、横軸に時間、縦軸に車速をとった座標系上で圧縮前の走行データを用いた車速の推移を実線51で表し、再生走行データを用いた車速の推移を点線53で表したものである。
図で示したように両者はほぼ一致し、時点b1〜時点b7の極点においても車速の時間推移が再現されている。
後述するように、サンプリング周期を3[sec]とするとデータ量が26個となり、圧縮走行データと同程度となるため、両者を比較することにより、本実施形態による圧縮方法の優れている点をより明確に表すことができる。
サンプリング周期を低減することによっても走行データのデータ量を少なくすることができる。
図に示したように、データ個数に関しては、圧縮前の走行データの場合約800個であり、低周期走行データの26個、圧縮走行データの25個であり、低周期走行データ、及び圧縮走行データのデータ量はほぼ等しく、圧縮前の走行データの約3%程度である。
このため、これらデータを記憶装置に記憶する場合、低周期走行データと圧縮走行データを用いると記憶領域を大幅に節約することができる。
そのため、低周期走行データでは、車速の変化が極点となる時点や停発進時での走行データを取得し損ねる可能性が高くなり、精度のよいデータ収集は困難である。
圧縮前の走行データは、精度は高いという長所があるが、記憶するデータ量が多くなってしまうという短所がある。
また、低周期走行データは、データ量は圧縮前走行データの3%程度まで少なくすることができるという長所があるが、細部に至って走行データを再現することは困難であり、特に車速の変化が極点となる時点や停発進時での値が不正確になりうるという短所がある。
以上を総合して判断すると、データ記憶量を減らし、かつ、極点での走行データを正確に記憶するためには、圧縮走行データが最も優れているといえる。
例えば、特定の地点を通過する際に、その時点での走行データを取得するように構成することで、走行経路の地域的特徴を反映した走行データを取得することができる。
また、その特定の地点を識別する識別情報を走行データに付加しておくと、より高度な解析を行うことができる。
このため、例えば、図8に示したように、交差点通過時点d1、d2における車速を圧縮走行データに付加することもできる。
これは、ナビゲーションデータベース12のナビゲーション用の地図データを利用することにより、車両が交差点を通過した際の走行データを取得したものである。
このように、車両が交差点などを通過する時点での車速を加えることで、走行した経路の特徴も合わせて記憶することができる。
なお、交差点での走行データには、そのデータが何れの交差点におけるものであるかを識別できる識別情報を付加しておく。
交差点情報は、ハイブリッド車両のエンジン21とモータ24の駆動力配分(運転スケジュール)を決定するために蓄積した走行データを解析する(走行速度パターン分類)際に有用なデータになる。
ここで走行速度パターンの分析は、例えば、交差点を基準として経路を区間に分割して区間ごとに走行速度パターンを分析し、分析結果を全行程に対して接続することにより行うことができる。
走行速度パターン分類を行う場合、交差点における停止や渋滞が順調な走行の阻害要因となる場合が多いため、主に交差点付近での走行速度パターンの分類が重要になる。
車両は、交差点通過時点d1の直前(時点a1)で停止している。ことから、この停止地点では、車両は信号待ちで停止していることが容易に推定することができる。
また交差点通過時点d1から次の交差点通過時点d2まで停止せずに走行していることから、これら交差点間はスムーズに走行できたことがわかる。
このような知見は、後に将来の車両の今後の走行を予測するときに有用である。
これにより、運転者がどの地点でブレーキをオンオフしたか知ることができ、運転者の操作状況も合わせて記憶することができる。
このように、走行データに含まれる項目としてブレーキ情報を採用し、走行データ記憶部15に記憶することで車速変化に現れないブレーキの操作も記憶することができる。これにより、混雑度合いを認知することができ、ハイブリッド車両の制御(エンジン21とモータ24の駆動配分)に用いることができる。
走行データ処理部11(走行データ再現部48と走行データ解析部49を構成する)は、以下のようにしてエンジン21とモータ24の運転スケジュールを設定することができる。
この予測は、例えば、運転者が発進前に目的地を設定した場合、走行データ取得部13から現在位置を取得し、ナビゲーションデータベース12を用いて、目的地とこの現在位置から最適経路を検索することにより行うことができる。
または、通勤経路のように毎日定時刻に同じ経路を通行する頻発経路である場合、発車時刻からこれから通行する経路が頻発経路であることを予測することができる。
そして、走行データ処理部11は、これら区間を含む圧縮走行データを走行データ記憶部15から読み出し、走行データ再現部48によって、これらから再現走行データを生成する。当該区間を含む圧縮走行データが複数ある場合は、統計処理を行うため、これらの全てを用いる。または、走行環境データを用いて、走行当日の走行環境に適合するものを選択してもよい。あるいは、最近のものを採用し、古い走行データは採用しないように構成することもできる。
これにより、当該区間での過去の再現走行データが複数得られる。
まず、走行データ解析部49は、各区間ごとにその区間での過去の走行速度パターンを分類する。
この走行速度パターン分類により、例えば、ある交差点ではいつも渋滞し、低速での停発進を繰り返す傾向があるだとか、また、ある交差点の信号機は、手前の交差点での信号機と連動しており、停止することなく通常走行で通過できる傾向があるだとかいったような傾向を統計的に抽出することができる。
これは、例えば、各走行速度パターンのうち、最も頻度の大きいものを選択することにより行うことができる。
次に、走行データ解析部49は、各区間ごとに選択した走行速度パターンを隣接する区間ごとに接続し、これによって全区間に渡る走行速度パターンの予測を得る。
なお、このようにして生成された走行速度パターンは、走行データ処理部11からメイン制御装置26にナビ制御情報として送られ、走行データ処理部11がエンジン21とモータ24の運転スケジュールを設定するのに利用される。
そのため、走行速度パターンより、例えば、走行が順調と予測される区間の後、低速での停発進が続くと予測される区間が存在する場合、走行が順調と予測される区間走行時に発電機22を駆動してバッテリ23を蓄電しておき、低速での停発進が続くと予測される区間でこれを放電するように運転スケジュールを設定することができる。
メイン制御装置26は、最適な運転スケジュールを設定することにより燃料消費量を最小限に抑えることができる。
以上、本実施形態の一例について説明したが、この他に各種の変形例が可能である。
例えば、本実施形態では、一旦、所定周期で詳細な走行データを収集した後、これらの中から、所定の車速となる時点や車速の変化が極点となる時点などの特定のものを抽出したが、この他に例えば、走行データをサンプリングしながら、所定の車速となる時点や車速が極点を構成する時点をリアルタイムで判断し、条件を満たすデータを記憶し、他のデータを捨てるようなリアルタイム処理にて行うように構成することもできる。
この場合、データ利用部47は、データ利用時にサーバ装置から過去の走行データをダウンロードして解析することができる。
このように構成すると、走行データを車両側で管理する必要がないのでコスト低減を図ることができる。
この場合、車両では走行データ記憶部15で走行データを取得した後、これを無線にてサーバ装置に送信する。
サーバ装置では、走行データを圧縮して記憶し、また、車両側からの要求によって走行データを再現する。
更に、サーバ装置は、走行データの解析を行い、解析結果を車両側に送信する。
このように構成すると、C16の走行データがいらなくなり、C1の走行データで対応可能となる。
また、車両の加速度α[m/s2]の変化率が所定以上である点を極点としてサンプリング対象とすることも可能である。
(1)走行データから解析目的に必要な部分を抽出することにより、必要最低限な情報を記憶し、不要な情報を捨てることができる。これにより、解析に必要な部分の精度を落とさずに走行データを圧縮することができる。
例えば、走行速度パターン分類を行う場合、走行データの「走行」という特性に着目したデータ圧縮を行うことができる。
即ち、走行データの特徴をとらえることで(加速から減速、減速から加速という変極点)、圧縮したデータを再生したときの精度の低下を抑えることができ、少ない情報量でもとのデータを正確に表現することができる。
これにより、走行データの蓄積を一般の自動車の車載装置で行う場合、コスト的、記憶容量的に少なくすることができる。
(3)記憶させた走行データを使用する場合にも、データ量が少ないためメモリや記憶装置への読込速度と書き込み速度を短縮することができ、情報処理を迅速に行うことができる。
(4)走行データに交差点などの特定場所での走行データを加えることで、走行した経路の特徴も合わせて記憶することができる。
(5)アクセルやブレーキのオンオフ地点などの運転者の操作点での情報を加えることで、運転者の操作の状況も合わせて記憶することができる。
11 走行データ処理部
12 ナビゲーションデータベース
13 走行データ取得部
14 走行環境データ取得部
15 走行データ記憶部
20 駆動装置
21 エンジン
22 発電機
23 バッテリ
24 モータ
25 駆動力伝達装置
26 メイン制御装置
32 位置情報取得部
33 車両情報取得部
41 走行データ圧縮部
42 走行データ収集部
43 圧縮処理部
44 圧縮走行データ記憶部
47 データ利用部
48 走行データ再現部
49 走行データ解析部
Claims (4)
- 車両の車速を取得する車速取得手段と、
前記車両の位置情報及び現在時刻のうち少なくとも一方からなる車速関連情報を取得する車速関連情報取得手段と、
前記取得した車速が予め設定した設定車速に等しくなる時点、前記車速の変化が加速から減速へ、及び減速から加速へ変更した時点、並びに、加速から減速へ、及び減速から加速へ変更した時点の前後の時点の各時点において、前記車速関連情報取得手段が取得した車速関連情報を、前記車速と対応させて出力する出力手段と、
を具備したことを特徴とする情報処理装置。 - 前記車速取得手段と前記車速関連情報取得手段は、前記車両が所定の特定場所を通過する際の車速と車速関連情報を取得し、
前記出力手段は、前記取得した車速と車速関連情報を、前記特定場所を識別する識別情報と共に出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記出力手段が出力した車速と車速関連情報を用いて、前記車両が走行した車速の推移を再現する再現手段と、
前記再現した車速の推移を所定の解析手順により解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果を出力する解析結果出力手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。 - 駆動力の一部又は全部が車両の駆動又は発電に使用されるエンジンと、車両の駆動力を発生させるモータとを備え、前記エンジンとモータの少なくとも一方の駆動力により走行するハイブリッド車両であって、
走行経路を特定する走行経路特定手段と、
請求項3に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置の解析結果出力手段から出力された解析結果を用いて前記特定した走行経路における燃料消費量が最少となるように、前記エンジンと前記モータの運転スケジュールを設定する運転スケジュール設定手段と、
を具備することを特徴とするハイブリッド車両。
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