JP4765187B2 - 封着材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、蛍光表示管(VFD)、電界放射型ディスプレイ(FED)等の表示管の封着や、ICパッケージの封着等にガラスペーストとして使用できる封着材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管、プラズマディスプレイ、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の表示装置、又は半導体や水晶振動子を収納するためのセラミックパッケージを気密封止するために、従来から低融点のPbO−B2O3系ガラス粉末の封着材料が使用されている。この封着材料は、封着温度が430〜500℃、熱膨張係数が約70〜100×10-7/℃の特性をもっている。
【0003】
しかしながら、最近では環境問題の観点から、鉛を含まない封着材料が求められており、SnO−P2O5系等のSnO含有ガラス粉末を用いた封着材料が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
表示装置やパッケージの封着工程において、ガラス粉末を含む封着材料はビークルと混合してペースト状にして封着物に塗布される。この作業はスクリーン印刷やデイスペンサーにより行われるが、塗布作業をしやすくするため適度の粘度が必要になる。また塗布後はすみやかに乾燥でき、封着工程ではできるだけ低温で有機物質が分解されることが必要である。このため揮発しやすい有機溶媒にバインダー物質(低温で分解しやすい固体の有機物質)を溶かしたものが一般に使われる。
【0005】
有機溶媒としては、ターピネオール、メンタノール、酢酸イソアミル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートなどが通常用いられる。一方バインダー物質としては、メチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂などが通常用いられている。
【0006】
しかしながら、上記したSnO含有ガラス粉末を含む封着材料と、通常のビークルとを混練して作製したガラスペーストを空気中で焼成した場合、SnO含有ガラスの流動低下が起こり、封着ができないという問題が生じることがある。
【0007】
本発明の目的は、空気中で焼成してもSnO含有ガラスの流動低下が起こり難いガラスペーストが作製可能な封着材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の封着材料は、SnO含有ガラス粉末と還元性物質粉末を含むことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
先記したとおり、SnO−P2O5系のガラス粉末の問題点は、ペースト化して使用すると、封着温度に加熱したときにガラスの流れが著しく悪くなることである。
【0010】
有機溶媒だけでペーストにしたときはこの現象は比較的起こり難く、まったく問題が発生しない場合もある。しかしバインダーを含むペーストでは一般に著しく流動性が失われる。このため、流動性低下の現象が有機物質、特にバインダー物質の熱分解と関連していることが明らかになった。
【0011】
ガラスが流動しなくなる理由は詳細には判明していないが、おそらくガラス粉末の表面でガラス成分中のSnOがSnO2へ酸化されるためであろうと推測される。いったんガラス粒子の表面層にSnO2が生成してしまうと、たとえそれが極めて薄いものであってもガラス粉末はいっきに流動性を失ってしまうのである。
【0012】
これに対して、本発明はSnO含有ガラス粉末をペースト化して使用するとき、バインダー物質の熱分解に起因して起こる流動性の低下を防ぐためには、還元性物質(ガラスより還元力が大きい物質)の粉末を混合しておくことが有効であるということを見出した。
【0013】
還元性物質を添加する効果は、ガラスの酸化に先だって還元性物質自身が酸化されることによって、SnO含有ガラス粉末の酸化を遅らせることであろうと考えられる。従って、添加する還元性物質として求められる性質は、ガラスが軟化流動する温度域(250−450℃)で酸化されて酸素をとりこむ傾向が、SnO−P2O5系ガラスにくらべて大きく、かつこのガラスの流動性を阻害しないことである。特に、還元性物質としてSnO、Sb2O3を上記SnO含有ガラス粉末に添加することが最適である。
【0014】
さて、SnO−P2O5系ガラスの好適な例としては、mol%でSnO 40〜70%、P2O5 25〜50%、ZnO 0〜20%、Li2O 0〜10%、Al2O3 0〜10%、SiO2 0〜10%の組成を有するガラス、またはSnO 40〜65%、P2O5 15〜40%、B2O3 0.1〜25%、ZnO 0〜15%、Li2O 0〜10%、Al2O3 0〜10%、SiO2 0〜5%の組成を有するガラスが挙げられる。
【0015】
ところで、封着材料には、ガラス粉末に加えて、熱膨張係数の調整、機械的強度の向上、流動性の改善等の目的で、さらに耐火性フィラー粉末を含有させることができる。例えばコージエライト、ジルコン、酸化第二錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム、ウイレマイト、ムライト、NbZr(PO4)セラミック等の耐火性フィラー粉末を使用することができる。さらに上記したような耐火性物質粉末は、2種以上を混合して使用しても良い。
【0016】
なお、封着材料に含まれるガラス粉末と還元性物質粉末と耐火性物質粉末の混合割合は、それぞれ95.05〜55体積%、0.05〜5体積%、4〜40体積%であることが好ましい。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0018】
表1は、本実施例で使用するSnO含有ガラス粉末(試料a、b)を示している。
【0019】
【表1】
【0020】
各試料は次のようにして調整した。
【0021】
まず表1の組成となるように、試料aはバッチガラス原料としてメタリン酸第一錫、酸化第一錫、無水ホウ酸、亜鉛華および金属アルミニウム粉を、試料bは正リン酸、メタリン酸第一錫、リン酸亜鉛および無水ホウ酸を調合混合した。その後、それぞれをアルミナルツボに入れ超耐熱性結晶化ガラスの蓋をして750℃で2時間溶融した。次いで溶融ガラスを水冷ローラー間に通して薄板状に成形し、ボールミルにて粉砕後、目開き65μmの篩を通過させて、平均粒径約7μmのガラス粉末を得た。試料aのガラスの特性は、転移点325℃、屈伏点350℃、熱膨張係数(30〜250℃)105×10―7/℃で、試料bのガラスの特性は、転移点300℃、屈伏点330℃、熱膨張係数110×10-7/℃である。
【0022】
表2は上記の各ガラス粉末に耐火性フィラー粉末を混合したものに還元性物質粉末を添加した本発明の封着材料をガラスペーストにした実施例(試料No.1〜3)と還元性物質粉末を含まない封着材料をガラスペーストにした比較例(試料No.4、5)を示している。
【0023】
【表2】
【0024】
各試料は次のようにして調製した。
【0025】
まず用意した封着材料(ガラス粉末と耐火性フィラー粉末)に還元性物質粉末を加えた実施例、及びそれを含まない比較例の各試料を表2に示したビークルと混合し、よく混練して均一分散処理を行いペースト状の試料を得た。このペーストを窓板ガラスに塗布し150℃で30分間乾燥して、その後、焼成温度480℃まで10℃/分で昇温して480℃で10分間保持した。このようにして焼成した後の試料の熱膨張係数と流動性評価を行った。
【0026】
なお、ビークルとしてブチルカルビトールアセテートに3重量%のニトロセルロースを溶かしたもの、またターピネオールに5重量%のアクリル樹脂(デュポン社製、エルバサイト2045)を溶かしたものを使用した。
【0027】
その結果、本発明の実施例No.1〜3の試料は、それぞれ熱膨張係数(30−250℃)が74.5×10―7/℃、73.0×10―7/℃、74.0××10―7/℃で、流動径はNo.1〜3の試料とも24.0mmで流動性も良好で、表面は滑らかな光沢のある表面を呈していた。すなわち、還元性物質(SnO、Sb2O3)をフィラーとして用いるとニトロセルロースを含有するビークルやアクリル樹脂を含有するビークルを使用した場合でもガラス粉末はよく流動するようになることが分かる。
【0028】
一方、比較のために作製したNo.4、5はいずれも光沢がなく、粉末のままであった。
【0029】
次に、ビークルの影響を調べるために、表2の比較例4、5に示す封着材料をビークルと混合することなく用いて同様の評価を行ったところ、それぞれ熱膨張係数(30〜250℃)が75×10-7/℃及び72×10-7/℃、流動径が両方とも24.5mmと、何れも封着用に適した特性を有していた。また流動性の評価では、これらの焼成状態は何れも光沢のある表面を持っていた。このことからビークルによって流動性が阻害されたことがわかる。
【0030】
尚、ガラス転移点、屈伏点は示差熱分析(DTA)により、また熱膨張係数は押棒式熱膨張測定装置により求めた。流動性の評価は、まず材料の密度分に相当する重量の試料粉末を金型に入れて外径20mmのボタン状にプレスした。次にこのボタンを窓板ガラスの上に乗せて、電気炉内で焼成温度480℃まで10℃/分で昇温して、その温度で10分間保持した後、ボタンの直径を測定した値で示した。
【0031】
以上SnO−P2O5系のガラス粉末を使用した封着材料について説明したが、本発明の方法はガラスペーストとしてビークルによる悪影響をうけやすいSnO含有ガラス粉末を用いた封着材料全般について適用できるものである。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のSnO含有ガラスと還元性物質を含む封着材料は、セルロースやアクリル樹脂などのバインダーを含有するビークルに対する適合性が改善されており流動性不良のトラブルが発生し難い。このため塗布機の種類や封着物の形状に応じてビークルの特性を適宜に変更できるため封着作業を効率良く行うことが可能になる。それゆえ、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、蛍光表示管(VFD)、電界放射型ディスプレイ(FED)等の表示管の封着や、ICパッケージの封着等に用いられる封着材料に好適である。
Claims (3)
- SnO含有ガラス粉末と還元性物質粉末を含むことを特徴とする封着材料。
- 還元性物質粉末がSnO及び/またはSb2O3であることを特徴とする請求項1の封着材料。
- ガラス粉末がSnO−P2O5系ガラス粉末であることを特徴とする請求項1または2の封着材料。
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