JP4764791B2 - 廃棄物収納用容器 - Google Patents

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この発明は、医療廃棄物、廃油、廃酸等の外部に漏れ出すと危険な廃棄物を収納し運搬するための容器に関するものである。
医療施設から排出される、使用済みの注射器、患者の血液、薬液等が付着したガーゼ、脱脂綿等の医療廃棄物を収納し、処理場に運搬するのに使用されるプラスチック製の蓋付き容器には一般に次のような特性が要求される。
第1:運搬中の大きな振動や衝撃によっても倒壊することのないように容器が上下段に安定して積み重ねられる構造であること。
第2:振動や衝撃により蓋が外れて廃棄物を散乱させたり、或いは倒壊しても蓋と容器との隙間から薬液等の危険な液体が洩れ出すことのないように、容器の開口部に蓋が確実に密着されること。
第3:容器を医療施設等へ運搬する際および保管時等に嵩張ることのないものであること。そのために、容器は底部が幅狭で開口部がテーパ状に幅広となるように成形され、ネスティング(重ね合わせ)が可能な構造であること。
そのために、図14に示したように、容器aの開口部の外周に係合用突条bが一体に形成され、蓋cの周縁には前記係合用突条に係合する断面逆U字形の挟着フランジdが一体に形成され、該挟着フランジの内周に段差部eを形成し、上段に積み上げられる容器fの底部が該段差部eの内側に遊嵌されるようにしている。なお、gは挟着フランジdの内側に形成された係合用突条、hは挟着フランジd内における該係合用突条gの内側に装填された弾性パッキンである。
しかしこの構造では、段差部eの高さXが十分に高くないと、振動や衝撃により上段の容器fが該段差部e上に乗り上がってしまい倒壊するおそれがある。ところが、この高さXを高くすると挟着フランジdが容器aの内面と接する幅Yが必然的に狭くなるため、倒壊時等に蓋cに例えば外力Gが掛かって挟着フランジdが矢印H方向に変形すると該蓋cが外れ易くなり、廃棄物を周囲に撒き散らしたり、液洩れを起こすおそれがあった。
下記特許文献1,2に示された容器では、容器本体の底面および蓋にそれぞれ凹凸を形成し、該凹凸を嵌合させることにより段積み時のガタ止めが行われるようにしている。
また、下記特許文献3に示された容器は、蓋の周縁フランジに内方に向かう規制リブを適宜間隔で形成し、該規制リブに上段の容器の底部側面を当接させることにより、ガタ止めすることを意図するものである。
実公平8−4423号公報 実用新案登録番号第2504535号公報 特開2000−313459号公報
しかしながら、特許文献1,2に示された容器では、ガタ止めとなり得るような深い凹凸を設けると、廃棄物を収容し得る内容量が減少するという問題があり、容器底面に係合用のリブを設ける場合も背高になる割に内容量が減少するという問題がある。
また、特許文献3に示された容器では、上段に積み上げた容器本体の側面が規制リブの狭い面積に接するので、該容器本体側面が変形するおそれがあると共に、多数の規制リブを設けるとその根本部分に付着した塵や液体等の汚れが落ち難くなるので、衛生的でないという問題がある。
そこで、この発明は、ネスティング可能な容器であって、安定して積み重ねられ、蓋が外れたり液洩れするおそれがなく、上記第1〜第3の特性を総て満たし得る廃棄物収納用容器を提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、ネスティング可能なるように底部が幅狭で開口部がテーパ状に幅広となるようにプラスチックの射出成形により形成された略角箱状の容器本体と、該容器本体の開口部を覆う略矩形にプラスチックの射出成形により形成された蓋体とからなり、容器本体の開口部の外周に係合用突条が一体に形成され、蓋体の周縁には前記係合用突条に係合する断面逆U字形の挟着フランジが一体に形成され、該蓋体の挟着フランジの内周に低めの段差部を形成すると共に、該蓋体の四隅角部と4辺の中間部を除く部位に前記段差部上からさらに隆起する高段差部を形成することにより、上段に積み上げられる容器本体の底部外側面を該高段差部に当接させ倒壊が防止されるようにしたことを特徴とする。
また請求項2に記載した発明は上記廃棄物収納用容器において、上辺が内向きに下傾する三角形状の案内リブを挟着フランジの内側面から高段差部の上面に亘って蓋体に一体に形成したことを特徴とする。
請求項1に記載した発明では、容器本体の底部形状の如何に拘わらず蓋体上に常に安定して積み上げることができ、運搬中等に倒壊するおそれを少なくできる。また、密閉性を損なうことなく、たとえ倒壊しても液洩れ、散乱等を起こすおそれがない。
請求項2に記載した発明では、積み上げ作業を一層容易にする。
次にこの発明の実施形態を図面に従い説明する。図1はこの発明に係る廃棄物収納用容器の容器本体10と蓋体20との分解斜視図である。容器本体10は、図8〜図11にも示したように、底部11が幅狭で開口部12がテーパ状に幅広なるように略角箱状にプラスチックの射出成形により形成されたもので、該開口部12の外周に係合用突条13を一体に形成している。なお、14は容器本体10の上端縁寄り外周に一体に形成された補強用鍔、15は該補強用鍔の一部に形成された把手部である。また、16は該容器本体10の上部隅角外面に一体に形成された縦リブで、該縦リブは補強のためだけでなく該容器本体10どうしをネスティングした際にその嵌合量を制限し得るストッパーとしての機能がある。
また、容器本体10の開口部12を覆う蓋体20は、プラスチックの射出成形により形成された略矩形のもので、図2〜図6にも示したように、周縁に断面逆U字形の挟着フランジ22が一体に形成され、該挟着フランジ22の内側に前記係合用突条13に係合する係合用突条21が突設される。また、該蓋体20における挟着フランジ22の内周に、図4,図5に示した高さLが5mm程の低めの段差部23を形成すると共に、該段差部に該蓋体20の四隅角部の近接部位でのみ限定的に高く隆起させることにより、図示した高さHが10mm程の高段差部24を形成する。なお、このように段差部23の蓋体20における四隅角部に近接する部位は、図3の平面図に示されるように、計8個所あることとなるので、言い換えれば、高段差部24は段差部23上であって蓋体20の四隅角部と4辺の中間部を除く部位に計8個所形成されることとなる。
また、25は挟着フランジ22の内側面から高段差部24の上面に亘って形成された上辺が内向きに下傾する三角形状の案内リブである。また、26は挟着フランジ22の四隅角部の内側面から段差部23の上面に亘って形成された補強リブで、該補強リブは図6にも示したように上辺が水平な角形に形成されている。このため、図7に示したように、蓋体どうしを上下に重ねたときに該補強リブ上に上段の蓋体が乗ることで傾斜することなく積み重ねられる。なお、蓋体20の中央には摘子となる一対の凹部27が形成されている。また、28は挟着フランジ22内における前記係合用突条21の内側に装填された弾性パッキンである。
このように構成した蓋体20は、廃棄物が収納された容器本体10の開口部12に被せ、その周縁部を押し下げることにより、その押圧力で挟着フランジ22が一時的に弾性変形し、図8〜図11に示したように、係合用突条13が該挟着フランジ22内の係合用突条21に係合し密閉状態となる。そのとき、図10に図8のD−D線断面図を示したように、蓋体20の四隅角部に近接した部位では挟着フランジ22が容器本体10の内面と接する幅Vは狭いものとなるが、蓋体20の四隅角部と4辺の中間部では、図11に図8のE−E線断面図を示したように、挟着フランジ22が容器本体10の内面と接する幅Wを広く確保することができる。このため4辺の中間部における密閉性を十分になものとすることができ、容器本体10の4辺の中間部が他の部位に比べて剛性が劣ることから倒壊時等に最も変形量が最も大きい部位であるが、そのような変形時においても密閉性が保たれ、液洩れを防ぐことができる。このように高段差部24は蓋体20の四隅角部の近接部位でのみ限定的に高く隆起するものであるので、必要十分な密閉性が確保される。
そして、図12に示したように、蓋体20上に同形の容器本体10を積み上げたときは、該容器本体10の底部11外側面が該高段差部24に当接することで該容器本体10の横滑りが規制され、真っ直ぐに積み上げられるので、運搬時、保管時等に多段に積み重ねても倒壊するおそれが少なくできる。また、高段差部24は要するに上段に積み上げられる容器本体10を囲うように8個所形成されていることから、負荷が集中することなく運搬時の振動等により変形するおそれがない。また、ここに図示したように、上段に積み重ねられる容器本体10が、その底部11外側面のR寸法、即ち、曲率半径が大きいものであったとしても、十分な高さの高段差部24によって規制されることから、このように容器の底部形状が様々であっても確実に倒壊を防止することができ、常に安定した積み上げが可能となる。また、このように高段差部24を形成することによっては、リブのように根本部に塵や液体が付着して汚れが落ち難くなるようなことがないので、洗浄も容易になり衛生的でもある。
また、積み上げ作業時に上段の容器本体10が多少ずれて乗せられた場合に、図13に示したように、該容器本体10の底部11外側面が三角形状の案内リブ25に当たり自然と真中にガイドされるので、容易に真直に積み上げることができる。このように案内リブ25を設けることにより積み上げ作業を容易にする。
この発明の実施形態を示す廃棄物収納用容器の分解斜視図。 この発明の実施形態を示す廃棄物収納用容器の蓋体の斜視図。 この発明の実施形態を示す廃棄物収納用容器の蓋体の平面図。 図3のA−A線断面図。 図3のB−B線断面図。 図3のC−C線断面図。 蓋体を重ねたときの断面図。 この発明の実施形態を示す廃棄物収納用容器の斜視図。 この発明の実施形態を示す廃棄物収納用容器の縦断面図。 図8のD−D線断面図。 図8のE−E線断面図。 この発明に係る容器を積み重ねたときの縦断面図。 この発明に係る容器を積み重ねる過程を示す縦断面図。 この発明の背景技術説明用の容器を積み重ねたときの縦断面図。
符号の説明
10 容器本体
11 底部
12 開口部
13 係合用突条
20 蓋体
21 係合用突条
22 挟着フランジ
23 段差部
24 高段差部
25 案内リブ

Claims (2)

  1. ネスティング可能なるように底部が幅狭で開口部がテーパ状に幅広となるようにプラスチックの射出成形により形成された略角箱状の容器本体と、該容器本体の開口部を覆う略矩形にプラスチックの射出成形により形成された蓋体とからなり、容器本体の開口部の外周に係合用突条が一体に形成され、蓋体の周縁には前記係合用突条に係合する断面逆U字形の挟着フランジが一体に形成され、該蓋体の挟着フランジの内周に低めの段差部を形成すると共に、該蓋体の四隅角部と4辺の中間部を除く部位に前記段差部上からさらに隆起する高段差部を形成することにより、上段に積み上げられる容器本体の底部外側面を該高段差部に当接させ倒壊が防止されるようにしたことを特徴とする廃棄物収納用容器。
  2. 上辺が内向きに下傾する三角形状の案内リブを挟着フランジの内側面から高段差部の上面に亘って蓋体に一体に形成した請求項1に記載した廃棄物収納用容器。
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