JP4762807B2 - 再帰反射材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、入射した光をその入射方向に反射する特性を有した再帰反射材及びその製造方法に関する。
この種の再帰反射材に関する先行技術として、再帰反射要素の表面に着色層を重ねて設けた再帰反射シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。この先行技術に示される再帰反射シートは、樹脂層にガラスビーズが分布して支持された再帰反射要素の上方に第2着色層を印刷した後、さらにこれらに重ねて第1着色層を重ねて印刷する方法により製造されている。
上述した先行技術の再帰反射シートでは、第2着色層の色合いが再帰反射要素の色合いと同じであることから、通常拡散光の環境下では第2着色層が印刷されていることが肉眼で識別しにくい構成となっている。これに加えて、第2着色層の色合いと、表層に印刷される第1着色層の色合いとが同じであることから、通常拡散光の下で第2着色層は第1着色層に紛れるため、より肉眼で判別しにくい。
一方、先行技術の再帰反射シートにタングステンランプ等の光を当てて観察すると、第2着色層では再帰反射要素に光が届かず、そこからの再帰反射光が観察されない。これに対し、第2着色層が印刷されていない場所では、第1着色層を透過した光が再帰反射して観察されるものとなっている。このため第2着色層を文字などのパターンとして印刷しておけば、再帰反射条件下でのみ視認可能な隠し文字(陰影)を形成することができる。
特開2000−321414号公報(第3−5頁、図4)
しかしながら、先行技術の再帰反射シートには以下の問題がある。
先行技術の再帰反射シートを製造するにあたり、第2着色層の色相については、これを再帰反射要素と同じにする必要があるため、ここで使用できる色の種類が再帰反射要素そのものの持つ色合いに制限される。すなわち、製造者において第2着色層の色合いを決める際に、製造者が自由にこれを選択することはできず、用意された再帰反射要素の持つ色合いに合わせて第2着色層の色合いを決定しなければならない。
例えば、用意された再帰反射要素がシルバー調のものであれば、これに合わせて第2着色層の色合いもシルバー調にするしか選択の余地がない。もしくは、第2着色層の色合いを先に選んだとしても、それに合致した色合いを持つ再帰反射要素が調達できなければ、せっかく選んだ色合いを断念しなければならない。このように先行技術の再帰反射シートには、使用できる色合いに制限があり、製造者の利便性に欠けるという欠点がある。この場合、再帰反射シートを実際に製品化する際にも、色合いを自由に選べないため製品としてのカラーバリエーションに乏しくなるし、1つのシートで複数の色合いを用いるといった高付加価値化が望めない。
そこで本発明は、製造者の利便性をより高め、製品としての価値を高めることができる再帰反射材及びその製造方法を提供することを課題としている。
本発明の再帰反射材は、再帰反射性を有する層(球状透明体が分布して保持された層)の表面にインキ被膜を形成するとともに、このインキ被膜の表面に形成された窪み内にて球状透明体の表面を部分的に露出させることで上記の課題を解決する。インキ被膜は、球状透明体を保持する保持層の表面上にて球状透明体の表面を覆い尽くす厚みを有するが、窪み内では表面から厚みが減じられており、ちょうど球状透明体が部分的に掘り出されたような状態にある。
このような状態で、本発明の再帰反射材を通常の自然光や室内照明光等の拡散光の下で観察した場合、観察者はインキ被膜が形成されている範囲全体について、その色彩や印刷パターン等を視認することになる。このとき、インキ被膜の表面には窪みが形成されているが、この窪み内では部分的に球状透明体の表面が露出しているだけであり、この露出した面以外の表面には依然としてインキ被膜が接触しているため、球状透明体の内部にはインキ材料の色相が入り込み、ここで乱反射する。このため観察者からは、露出した球状透明体の表面がそのまま視認されず、この露出した表面を通じてインキ被膜の色相が観察されることになる。
このことはつまり、通常の自然光や室内照明光等の環境下では、観察者の肉眼から窪みの存在が視認されないことを意味する。このため、インキ被膜の表面に窪み(開放凹部)が形成されていても、これを肉眼で判別することは困難となる。
これに対し、再帰反射を意図して本発明の再帰反射材に光線を照射しながらこれを観察した場合は以下の視認性が発揮される。
すなわち、インキ被膜は光線を透過しないため、そこでは再帰反射が起きないが、インキ被膜の表面に形成された窪み内では、部分的に露出した表面を通じて球状透明体に光が入射し、これが再帰反射光として視認されることになる。したがって、インキ被膜の表面に沿い、文字や符号、絵記号等の何らかの意図されたパターン状に窪みが形成されていれば、再帰反射光によるパターンを観察者に視認させることができる。
したがって、本発明の再帰反射材を用いた場合、通常の自然光や室内照明光等の条件下で視認できないパターンを再帰反射条件下でのみ視認させられることから、これを真贋判定用のセキュリティツールとして有効に活用することができる。
このような再帰反射材は、本発明の製造方法によって得られる。すなわち本発明の再帰反射材は、上述したインキ被膜を印刷の手法により形成し、そしてインキ被膜をその表面から厚み方向に窪ませる加工を施すことで容易に得られる。いうまでもなく、印刷によりインキ被膜を形成する際に、その色合いを製造者は任意に選択することができ、ここではその他の要素の持つ色合いによって特段の制約を受けるようなことはない。インキ被膜の色は、所望のもしくは調達できるインキ材料に依存して決定すればよく、そこには数百〜数千種類の選択肢があるであろう。
インキ被膜を窪ませる加工については、例えばバフ研磨装置やレーザ照射装置等の利便性、汎用性の高い設備を適用すればよい。インキ被膜の研磨に際しては、インキ被膜を構成するインキ材料層だけを良好に削り取り、球状透明体を摩損させないことが必要である。このような調整は、使用する研磨剤の特性を合わせることで容易に可能となる。このような調整を行っていれば、単純に所望の深さまで一通り研磨加工を施すだけで上記の窪みを形成することができる。またレーザ光を照射する際は、インキ被膜の厚みが全て損なわれない程度にレーザ光の出力を調整する必要がある。
本発明の再帰反射材には、さらに以下の特徴が追加される。
すなわち、インキ被膜に形成される窪みは、厚み方向でみて傾斜している態様であってもよい。この場合、傾斜した窪み内では、球状透明体の表面が再帰反射面に鉛直な方向に対して傾斜した方向へ部分的に露出することになる。そうすると、再帰反射材の再帰反射面に鉛直な方向から光線をあてても、これについて再帰反射は視認されず、窪みの傾斜方向に合致した方向から光線をあてた場合にのみ、再帰反射光が視認されることになる。
このような傾斜した窪みは、好ましくはレーザ光の照射により形成される。この場合、レーザ光軸を再帰反射面(インキ被膜の表面)に対して傾斜させるだけで、容易に傾斜した窪み(傾斜開放凹部)を形成することができる。
なお、この場合においても、通常の自然光や室内照明光等の環境下ではインキ被膜の色合いだけが観察され、傾斜した窪み(傾斜開放凹部)の存在が肉眼で識別できないことは上記と同じである。
したがって、本発明の再帰反射材を用いた場合、通常の自然光や室内照明光等の条件下で視認できないパターンを、特定の方向から光をあてた再帰反射条件下でのみ視認させられることから、これを真贋判定用のセキュリティツールとして有効に活用することができる。
本発明によれば、再帰反射材の表面にインキ被膜が形成されていても、その範囲内で所望のパターンにより再帰反射効果を発揮させることができる。このため、光透過性を有しない材料を用いて自由に印刷を施すことができることから、製造上の利便性を大きく向上し、また産業上の利用価値を高めることができる。
また本発明では、インキ被膜の色合いを自由に選択することができることから、製品としてのカラーバリエーションを豊富にし、1つの再帰反射材で複数の色合いを用いるといった高付加価値化が容易に可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の再帰反射材10の構造例を示す断面図である。図1に示される断面は再帰反射材10の一部分であり、図1でみて上側に位置する光再帰反射面は適宜な大きさ(面積)を有している。
図1に示されているように、再帰反射材10は基材12を備え、この基材12に対して厚み方向にいくつかの層を重ねた積層構造をなしている。基材12は、可撓性を有するシート状の材料(例えば一般的なアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等)から構成されており、この材料には再帰反射材10の使用に適した耐久性・耐候性が備わっている。なお基材12には、その片面(図1でみて下側の面)に粘着材層が形成されていてもよい。
図1の再帰反射材10では、基材12に対して樹脂保持層14及びインキ被膜16が順に積層されており、このうち樹脂保持層14には球状透明体の一例であるガラスビーズ18の下部分が埋め込まれるようにして保持されている。なお樹脂保持層14には、ガラスビーズ18を良好に保持(担時)できる材料(例えば一般的なアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等)が用いられている。ガラスビーズ18は球状のガラス微粒子(例えば直径50μm程度)であり、樹脂保持層14には光再帰反射面に沿う方向に多数のガラスビーズ18が分布して保持されている。
図1には示されていないが、ガラスビーズ18と樹脂保持層14との間には、再帰反射性を発揮させるための反射膜が形成されている。もしくは、樹脂保持層14の材料そのものが反射性を有していてもよい。いずれにしても、再帰反射材10による光再帰反射性能は、これら樹脂保持層14及びガラスビーズ18により実現されている。
再帰反射材10の表層に位置するインキ被膜16は、ガラスビーズ18とともに樹脂保持層14を覆うようにして形成されている。インキ被膜16には所望の色彩を有したインキ材料(例えば顔料インキ)が用いられている。
インキ被膜16には、その表面から厚み方向に窪んだ開放凹部20が形成されている。この開放凹部20はインキ被膜16の厚みを全て取り除くものではなく、その一部の厚みを残すようにして形成されている。このため、開放凹部20の領域内ではガラスビーズ18の一部が露出しているだけでなく、露出したガラスビーズ18同士の間には、樹脂保持層14の表面に付着してインキ被膜16の介在層16aが残存した状態にある。
次に、再帰反射材10の視認特性について説明する。
図2は、再帰反射材10の視認特性を示す説明図である。再帰反射材10の表層を形成するインキ被膜16は、ほとんど光透過性を有しない性質である。このため、図2中(A)に示されているように、再帰反射材10に対して特に集中光をあてることなく、自然光(又は室内照明光)の下で観察者が再帰反射材10を視認する場合、観察者の肉眼にはインキ被膜16の色彩が視認されるだけである。
ここで注目すべきは、上述した開放凹部20の領域内においても、ガラスビーズ18同士の間に介在層16aが存在するため、ガラスビーズ18の内部に介在層16aの発する色相が入り込み、これが乱反射することで、観察者の肉眼にはインキ被膜16と同じ色彩として視認される点である。つまり、観察者は開放凹部20内のガラスビーズ18の表面を通して介在層16aの色彩を視認することになる。したがって、観察者からは開放凹部20もその他のインキ被膜16と同じ色彩に見えるため、開放凹部20が存在することを肉眼で識別することは困難である。
これに対し、図2中(B)に示されているように、再帰反射を意図して光線を照射しながら再帰反射材10を観察した場合、観察者には開放凹部20内で再帰反射した光がはっきりと視認されることになる。一方、光線を照射しても、インキ被膜16はガラスビーズ18にまで光を透過させないため、インキ被膜16の表面では再帰反射光が視認されず、相変わらずインキ被膜16の色彩が視認されるだけである。したがって観察者は、光線を照射した場合は開放凹部20内での再帰反射光を視認することにより、この再帰反射光とインキ被膜16との違いを明確に視認することができる。
〔使用例〕
図3は、再帰反射材10を真贋判定用のセキュリティラベルLとして用いた場合の使用例を示している。このようなセキュリティラベルLは、それが付された物品の真正を証明する目的で使用される。セキュリティラベルLには第1実施形態の再帰反射材10の構造を利用した判定領域Sが形成されている。この判定領域Sでは、表面にインキ被膜16及び開放凹部20が形成されている。
図3中(A)に示されているように、自然光(又は室内照明光)の下でセキュリティラベルLを観察した場合、その判定領域Sは単にインキ被膜16の色彩を発する部分として観察者に視認されるだけである。
これに対し、図3中(B)に示されているように、正面から光線を照射してセキュリティラベルLを観察した場合、その判定領域Sには開放凹部20内にて再帰反射光が観察者に視認される。このとき、開放凹部20をパターン状(例えば文字、文字列等)に成形しておくことで、再帰反射光による真正証明用の文字やコード、メッセージ等を観察させることが可能となる。なお、このとき再帰反射光を良好に視認可能とするため、観察者は真贋判定専用の照射器具を用いることが望ましい。このような照射器具を用いれば、集中光の照射方向と観察者の視線方向とが互いに一致し、良好な再帰反射光の視認性が得られる。
次に、再帰反射材10の印刷加工方法(第1の製造方法)について説明する。
図4は、再帰反射材10の一般的な印刷加工方法の工程を示した連続図である。以下、各工程順に説明する。
図4中(A):適宜用意した基材12の表面に樹脂保持層14を形成し、ガラスビーズ18を所望の密度で分布させる(準備工程)。なお、このような樹脂保持層14にガラスビーズ18が分布して保持された状態のシート材料を、別途完成品として手配することもできる。
図4中(B):次に、ガラスビーズ18を覆うようにして樹脂保持層14の表面に、印刷によりインキ被膜16を形成する(印刷工程)。このとき印刷されるインキ被膜16の膜厚は、樹脂保持層14の表面から飛び出ているガラスビーズ18の高さよりも大きく設定されている。
図4中(C):インキ被膜16が硬化した後、その表面をバフ研磨機M1で研磨し、開放凹部20を形成する(加工工程)。使用するバフには布、皮など柔軟な材料を用いる。またバフの砥粒は、インキ被膜16のみを削り取り、ガラスビーズ18には影響を与えない程度の粗さとすることが望ましい。
また、このときインキ被膜16の表面に沿う方向にバフ研磨機M1をパターン状に移動させることで、上述したセキュリティラベルLで用いた真贋判定用のパターンを形成することができる。
〔第2実施形態〕
次に、再帰反射材10の第2実施形態について説明する。第2実施形態の再帰反射材10の最終的な構造は、第1実施形態とほぼ共通するため、ここでは重複した説明を省略する。同様に、第2実施形態の再帰反射材10の再帰反射特性及び使用例もまた第1実施形態と共通である。
第2実施形態の再帰反射材10は、第1実施形態の場合とは異なる印刷加工方法によって得られたものである。以下、第2実施形態の再帰反射材10に関する印刷加工方法(第2の製造方法)について説明する。
図5は、第2実施形態の再帰反射材10の印刷加工方法を示した図である。第2実施形態についても、基材12の表面に形成した樹脂保持層14にガラスビーズ18を分布させたものを用意し(準備工程)、さらにこれらをインキ被膜16で覆う手順(印刷工程)までは第1実施形態と共通する。
ここで用いる印刷加工方法の特徴は、インキ被膜16が硬化した後、レーザ照射器M2を用いてインキ被膜16にレーザを照射し、部分的にインキ被膜16を昇華させて開放凹部20を形成するところである(加工工程)。このとき照射するレーザの出力は、樹脂保持層14との間に介在層16aを残した状態で、開放凹部20に相当する部分のインキ被膜16を昇華させることができる程度に調節しておくことが望ましい。
また、このときインキ被膜16の表面に沿う方向にレーザ照射器M2をパターン状に移動させたり、レーザ光を走査させたりすることで、上述したセキュリティラベルLで用いた真贋判定用のパターンを形成することができる。
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態の再帰反射材30の構造例を示す断面図である。第1,第2実施形態の場合と同様に、図6に示される断面は再帰反射材30の一部分であり、図6でみて上側に位置する光再帰反射面は適宜な大きさ(面積)を有している。
第3実施形態の再帰反射材30についても、その基材12、樹脂保持層14、インキ被膜16及びガラスビーズ18の構成は第1,第2実施形態の再帰反射材10とほぼ共通である。ただし第3実施形態の再帰反射材30では、第1,第2実施形態の再帰反射材10が有する開放凹部20と異なる構成を有している。
すなわちインキ被膜16には、その表面から厚み方向でみて傾斜した方向に窪んだ傾斜開放凹部22が形成されている。この傾斜開放凹部22はインキ被膜16の厚みを部分的に取り除いて形成されている。特に傾斜開放凹部22は、その底部においてガラスビーズ18の表面を再帰反射面(又はインキ被膜16の表面)に鉛直な方向に対して傾斜した方向に露出させているところに特徴を有する。あるいは、個々のガラスビーズ18について再帰反射面(又はインキ被膜16の表面)に鉛直な中心軸線を規定したとき、傾斜開放凹部22内において、ガラスビーズ18の表面は中心軸線に関して対称に露出していないところに特徴を有する。
また、傾斜開放凹部22の底部は樹脂保持層14の表面にまで達していない。このためインキ被膜16の表面に鉛直な方向でみて、傾斜開放凹部22の内側ではガラスビーズ18の一部又はインキ被膜16が露出した状態にあるが、ガラスビーズ18の露出した表面以外の部分は、インキ被膜16に接した状態にある。
次に、第3実施形態の再帰反射材30の視認特性について説明する。
図7は、再帰反射材30の視認特性を示す説明図である。図7中(A)に示されているように、再帰反射材30に対して特に光線をあてることなく、自然光(又は室内照明光)の下で観察者が再帰反射材30を視認する場合、観察者の肉眼にはインキ被膜16の色彩が視認されるだけである。
ここでも第1,第2実施形態と同様に、傾斜開放凹部22の領域内では、ガラスビーズ18の表面に接してインキ被膜16が存在しているため、ガラスビーズ18の内部にインキ被膜16の発する色相が入り込み、これが乱反射することで、観察者の肉眼にはインキ被膜16と同じ色彩として視認される。つまり、観察者は傾斜開放凹部22内のガラスビーズ18の表面を通してインキ被膜16の色彩を視認することになる。したがって、観察者からは傾斜開放凹部22もその他のインキ被膜16と同じ色彩に見えるため、傾斜開放凹部22が存在することを肉眼で識別することは困難である。
特に第3実施形態の再帰反射材30は、インキ被膜16の表面に鉛直な方向に対して傾斜した方向で光再帰反射性を発揮する。すなわち図7中(B)に示されているように、再帰反射材30に対して、その表面(インキ被膜16の表面)に鉛直な方向から光線を照射した場合、ガラスビーズ18内部から出ようとする反射光がインキ被膜16に阻まれるため、この方向から照射された光は再帰反射しない。
また、このような鉛直方向から光線を照射しても、傾斜開放凹部22以外のインキ被膜16はガラスビーズ18にまで光を透過させないため、インキ被膜16の表面では再帰反射光が視認されず、相変わらずインキ被膜16の色彩が視認されるだけである。
ところが、再帰反射材30の表面(インキ被膜16の表面)に鉛直な方向に対して傾斜した方向から光線を照射しながら再帰反射材30を観察した場合、観察者には傾斜開放凹部22内で再帰反射した光がはっきりと視認されることになる。一方、このような傾斜方向から光線を照射しても、傾斜開放凹部22以外のインキ被膜16はガラスビーズ18にまで光を透過させないため、インキ被膜16の表面では再帰反射光が視認されず、やはりインキ被膜16の色彩が視認されるだけである。したがって観察者は、傾斜方向から光線を照射した場合にのみ、傾斜開放凹部22内での再帰反射光を視認することにより、この再帰反射光を明確に視認することができる。
〔使用例〕
図8は、第3実施形態の再帰反射材30を真贋判定用のセキュリティラベルLとして用いた場合の使用例を示している。第1,第2実施形態についての使用例と同様に、セキュリティラベルLは、それが付された物品の真正を証明する目的で使用される。セキュリティラベルLには第3実施形態の再帰反射材30の構造を利用した判定領域Sが形成されている。この判定領域Sでは、表面にインキ被膜16及び傾斜開放凹部22が形成されている。
この使用例においても、第1,第2実施形態についての使用例と同様に、自然光(又は室内照明光)の下でセキュリティラベルLを観察した場合、その判定領域Sは単にインキ被膜16の色彩を発する部分として観察者に視認されるだけである。この点は、観察者が視線の角度を変えてみても特に変わらない。
これに対し、図8に示されているように、正面に対して特定の傾斜した方向(ここでは右斜め前方向)から光線を照射してセキュリティラベルLを観察した場合、その判定領域Sには傾斜開放凹部22内で再帰反射光が観察者に視認される。ここでも第1,第2実施形態の場合と同様に、傾斜開放凹部22をパターン状(例えば文字、文字列等)に成形しておくことで、再帰反射光による真正証明用の文字やコード、メッセージ等を観察させることが可能となる。なお、言うまでもなく特定の傾斜方向とは異なる方向から光線を照射しても、再帰反射光は観察されない。
次に、第3実施形態の再帰反射材30の印刷加工方法(第3の製造方法)について説明する。
図9は、再帰反射材30の一般的な印刷加工方法の工程を示した連続図である。第3実施形態についても、基材12の表面に形成した樹脂保持層14にガラスビーズ18を分布させたものを用意し(図9中(A):準備工程)、さらにこれらをインキ被膜16で覆う手順(図9中(B):印刷工程)までは第1,第2実施形態と共通する。
ここで用いる印刷加工方法の特徴は、インキ被膜16が硬化した後、レーザ照射器M2を用いてインキ被膜16の表面に対して傾斜した特定の方向からレーザを照射し、部分的にインキ被膜16を昇華させて傾斜開放凹部22を形成するところである(加工工程)。このときガラスビーズ18の表面を覆うインキ被膜16は、照射されるレーザ光に対してほぼ垂直に向き合う部分のみが効率よく昇華する(図9中(C))。
また、このときインキ被膜16の表面に沿う方向にレーザ照射器M2をパターン状に移動させたり、レーザ光を走査させたりすることで、上述したセキュリティラベルLで用いた真贋判定用のパターンを形成することができる。
本発明は上述した各実施形態に制約されるものではなく、種々に変形して実施可能である。特に、各実施形態で挙げた構造例はあくまで端的な一例に過ぎず、例えば第1,第2実施形態の再帰反射材10において、インキ被膜16の表面上の複数箇所に様々な大きさの開放凹部22が形成されていてもよい。また第3実施形態の再帰反射材30において、インキ被膜16の表面上の複数箇所に様々な大きさの傾斜開放凹部22が形成されていてもよい。さらに、インキ被膜16は単色ではなく、多色であってもよいし、グラデーションが加味されていてもよい。
また1つの再帰反射材について、第1,第2実施形態で挙げた開放凹部22及び傾斜開放凹部22が混在して形成されていてもよい。この場合、1つの再帰反射材において、ある位置では正面から照射された光線に対して再帰反射光を観察することができ、さらに別の位置では特定の傾斜方向から照射された光線に対して再帰反射光を観察することができる。さらに、複数の傾斜方向から順番に光線を照射することで、隠された再帰反射光によるパターンコードを読み取らせるようにすることもできる。
第1(第2)実施形態の再帰反射材の構造例を示す断面図である。 第1(第2)実施形態の再帰反射材の視認特性を示す説明図である。 第1(第2)実施形態の再帰反射材を真贋判定用のセキュリティラベルとして用いた場合の使用例を示す図である。 第1実施形態の再帰反射材の印刷加工方法の工程を示した連続図である。 第2実施形態の再帰反射材の印刷加工方法の工程を示した連続図である。 第3実施形態の再帰反射材の構造例を示す断面図である。 第3実施形態の再帰反射材の視認特性を示す説明図である。 第3実施形態の再帰反射材を真贋判定用のセキュリティラベルとして用いた場合の使用例を示す図である。 第3実施形態の再帰反射材の印刷加工方法の工程を示した連続図である。
符号の説明
10 再帰反射材
12 基材
14 樹脂保持層
16 インキ被膜
18 ガラスビーズ
20 開放凹部
22 傾斜開放凹部
30 再帰反射材
M1 バフ研磨機
M2 レーザ照射器

Claims (13)

  1. 入射した光をその入射方向に反射する再帰反射面を有した再帰反射材において、
    前記再帰反射面に沿う方向に拡がって形成された保持層と、
    前記保持層に分布して配置され、少なくとも前記再帰反射面に向かう表面を前記保持層から突出させた状態で保持された複数の球状透明体と、
    複数の前記球状透明体とともに前記保持層の表面を覆うインキ被膜と、
    前記インキ被膜をその表面から厚み方向に窪ませて形成され、この窪み内にて前記球状透明体の表面を前記再帰反射面に向けて部分的に露出させる開放凹部と
    を備えたことを特徴とする再帰反射材。
  2. 請求項1に記載の再帰反射材において、
    前記開放凹部は、その窪み内にて少なくとも2つ以上の前記球状透明体の表面を前記再帰反射面に向けて部分的に露出させており、
    前記開放凹部の底部と前記保持層の表面との間には、前記開放凹部の窪み内にて隣り合う前記球状透明体同士の間に前記インキ被膜として存在する介在層が残されていることを特徴とする再帰反射材。
  3. 入射した光をその入射方向に反射する再帰反射面を有した再帰反射材において、
    前記再帰反射面に沿う方向に拡がって形成された保持層と、
    前記保持層に分布して配置され、少なくとも前記再帰反射面に向かう表面を前記保持層から突出させた状態で保持された複数の球状透明体と、
    複数の前記球状透明体とともに前記保持層の表面を覆うインキ被膜と、
    前記インキ被膜をその表面から厚み方向でみて傾斜した方向に窪ませて形成され、この窪み内にて前記球状透明体の表面を前記再帰反射面に鉛直な方向に対して傾斜した方向へ部分的に露出させる傾斜開放凹部と
    を備えたことを特徴とする再帰反射材。
  4. 請求項3に記載の再帰反射材において、
    前記球状透明体について前記再帰反射面に鉛直な中心軸線を規定したとき、前記傾斜開放凹部内において、前記球状透明体の表面は中心軸線に関して非対称に露出していることを特徴とする再帰反射材。
  5. 入射した光をその入射方向に反射する再帰反射面を有した再帰反射材の製造方法において、
    前記再帰反射面に沿う方向に拡がって形成された保持層と、この保持層に分布して配置され、少なくとも前記再帰反射面に向かう表面を前記保持層から突出させた状態で保持された複数の球状透明体とを用意する準備工程と、
    前記球状透明体を保持した前記保持層の表面に印刷を施し、複数の前記球状透明体とともに前記保持層の表面を覆うインキ被膜を形成する印刷工程と、
    前記インキ被膜をその表面から厚み方向に窪ませる加工を施し、この窪み内にて前記球状透明体の表面を前記再帰反射面に向けて部分的に露出させる加工工程と
    から構成されることを特徴とする再帰反射材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の再帰反射材の製造方法において、
    前記準備工程では、前記再帰反射面に沿う方向に拡がる保持層を形成するとともに、この保持層に複数の球状透明体を分布して配置し、個々の球状透明体について少なくとも前記再帰反射面に向かう表面を前記保持層から突出させた状態で前記保持層に保持させることを特徴とする再帰反射材料の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の再帰反射材の製造方法において、
    前記加工工程では、前記球状透明体を磨り減らすことなく前記インキ被膜のみを研磨することが可能な研磨材を用いて前記インキ被膜を研磨し、その表面を窪ませることを特徴とする再帰反射材の製造方法。
  8. 請求項5又は6に記載の再帰反射材の製造方法において、
    前記加工工程では、前記インキ被膜にレーザ光を照射し、前記インキ被膜を部分的に昇華させることでその表面を窪ませることを特徴とする再帰反射材の製造方法。
  9. 請求項5から8のいずれかに記載の再帰反射材の製造方法において、
    前記加工工程では、少なくとも2つ以上の前記球状透明体の表面を前記再帰反射面に向けて部分的に露出させて前記インキ被膜に窪みが形成されるとともに、この窪み内にて隣り合う前記球状透明体同士の間に前記インキ被膜として存在する介在層が窪みの底部と前記保持層の表面との間に残されることを特徴とする再帰反射材の製造方法。
  10. 入射した光をその入射方向に反射する再帰反射面を有した再帰反射材の製造方法において、
    前記再帰反射面に沿う方向に拡がって形成された保持層と、この保持層に分布して配置され、少なくとも前記再帰反射面に向かう表面を前記保持層から突出させた状態で保持された複数の球状透明体とを用意する準備工程と、
    前記球状透明体を保持した前記保持層の表面に印刷を施し、複数の前記球状透明体とともに前記保持層の表面を覆うインキ被膜を形成する印刷工程と、
    前記インキ被膜をその表面から厚み方向でみて傾斜した方向に窪ませる加工を施し、この傾斜した窪み内にて前記球状透明体の表面を前記再帰反射面に鉛直な方向に対して傾斜した方向へ部分的に露出させる加工工程と
    から構成されることを特徴とする再帰反射材の製造方法。
  11. 請求項10に記載の再帰反射材の製造方法において、
    前記準備工程では、前記再帰反射面に沿う方向に拡がる保持層を形成するとともに、この保持層に複数の球状透明体を分布して配置し、個々の球状透明体について少なくとも前記再帰反射面に向かう表面を前記保持層から突出させた状態で前記保持層に保持させることを特徴とする再帰反射材料の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の再帰反射材の製造方法において、
    前記加工工程では、前記インキ被膜の表面に対して傾斜した角度でレーザ光を照射し、前記インキ被膜を部分的に昇華させることでその表面を窪ませることを特徴とする再帰反射材の製造方法。
  13. 請求項10から12のいずれかに記載の再帰反射材の製造方法において、
    前記加工工程では、前記球状透明体について前記再帰反射面に鉛直な中心軸線を規定したとき、前記傾斜開放凹部内において、前記球状透明体の表面が中心軸線に関して非対称に露出されることを特徴とする再帰反射材の製造方法。
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