JP4762575B2 - トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具、および骨トンネルを準備する方法 - Google Patents

Description

本発明は断裂したおよび／または損傷を受けた組織を修復するための方法および器具に関し、より詳しく言うとノッチを形成し骨トンネル内にガイドワイヤを配置するための方法および器具に関する。

靭帯は骨の関節端を結合するようにまたは器官を体の所定の位置に支持または維持するために働く組織の強靭な帯である。靭帯は典型的には平行にまたはぴったりと絡み合って配置された密集した白色の線維組織の粗い束からなり、線維組織は曲がりやすく柔軟であるが伸張性はあまりない。

多くの場合、靭帯は事故または使い過ぎの結果として断裂しまたは痛められる。したがって、さまざまな手術手技がそのような損傷を受けた靭帯を修復または置換するために開発されてきた。例えば、ヒトの膝関節では、前十字靭帯（ＡＣＬ）および後十字靭帯（ＰＣＬ）が膝骨の上端および大腿骨の下端の間に延在している。ＡＣＬおよびＰＣＬはその他の靭帯および軟組織と共に働いて膝関節に静的な安定性および動的な安定性の両方を与えている。ＡＣＬは例えばスポーツに関連した怪我の結果として痛められたり断裂したりすることが多い。その結果、さまざまな手術手技が膝関節の正常な機能を回復させなどのためにＡＣＬを再建するために開発されてきた。

多くの場合、ＡＣＬは痛められたＡＣＬを靭帯移植片で置換することによって再建される。より詳しく言うと、そのような手術手技では、骨トンネルが膝骨の上端および大腿骨の下端に典型的に形成され、靭帯移植片の一方の端部が大腿骨の骨トンネル内に配置され靭帯移植片のもう一方の端部が膝骨の骨トンネル内に配置される。靭帯移植片はこうして大腿骨と膝骨の間を本来のＡＣＬと実質的に同じようにかつ実質的に同じ機能を有して延在し、それによって靭帯移植片が周囲の解剖学的構造と共に働いて膝関節の正常な機能が回復されるようになる。

靭帯移植片を脛骨および大腿骨に繋留するとき、靭帯移植片の２つの端部は典型的には骨トンネルに挿入された骨プラグのような繋留部材に取り付けられる。骨ねじまたは同様の締結具が各骨プラグを対応する骨トンネル内に保持するために用いられことが多い。そのような手術手技は骨ねじが骨プラグに沿って挿入されるようにするために骨トンネルに隣接して骨に形成された凹部を必要とする。その凹部は骨ねじが骨トンネルに対してほぼ適正な向きで骨に係合できるようにするための骨ねじのための「開始孔」として働く。骨ねじが骨に羅合されると、その結果としての骨プラグと骨ねじとの間の締り嵌めが靭帯移植片を骨トンネルの所定の位置に保持する。

ＡＣＬの修復は典型的には関節鏡を用いて行われるので、骨の凹部を形成するための現在の手術手技は外科医が骨プラグに隣接して骨ねじを配置するための最適な位置を推定することを必要とする。とりわけ、骨トンネル内に凹部を形成するための現在の器具は骨プラグが骨トンネルに挿入される前に凹部を形成することを必要とする比較的大きな寸法であり、したがって、外科医は骨プラグに対する凹部のための最適な位置を、その結果骨ねじのための最適な位置を決定できない。いったん凹部が形成されると、ガイドワイヤは骨ねじを凹部に隣接した位置へ骨トンネルを通して送出するために繋留部材と骨トンネルの側壁との間に配置されなければならない。ガイドワイヤはノッチ（凹部）が形成された後に送出されるので、ガイドワイヤの位置も推定されることが多い。したがって、これらの方法および器具は骨ねじの不整合を結果としてもたらし、したがって骨ねじおよび骨トンネルの逸脱を結果としてもたらし、骨トンネル内での骨プラグの固定が失われることが多い。あいにく、骨ねじ／骨トンネルの逸脱は通常はＸ線写真によって術後に判明し、骨プラグが固定されていないことは容易に修正できないので、痛められたＡＣＬの修復は結果として不成功になる。
米国特許出願公開第２００２／１７３７９５号 米国特許出願公開第２００１／０１６７４６号 米国特許第６，５４０，７５２号 米国特許出願公開第２００２／０４２６２４号 米国特許第４，８８１，５３７号 米国特許第５，４３７，６７５号 米国特許第５，９４１，８８３号 米国特許第６，０３６，６９５号 米国特許第６，１１０，１７５号

したがって、ノッチを形成し骨トンネル内にガイドワイヤを配置するための改善された方法および器具が骨トンネル内に靭帯を正確にしっかりとそして困難なく固定するために必要とされている。

本発明は大まかに言って骨トンネル内にノッチを形成しガイドワイヤを配置するためのトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を提供する。ある実施の形態では、本発明の器具は近位の端部、遠位の端部、および近位の端部および遠位の端部の間に延在しガイドワイヤを受容するように適合された内腔を備えた長寸の部材を含んでいる。その器具は長寸の部材の遠位の部分に配置され骨トンネルの開口内の骨を除去するように適合された切断要素をも含んでいる。ハンドル部材が長寸の部材の近位の部分に配置されているか近位の部分に結合されていてよい。その器具は長寸の部材の内腔を通って延在するガイドワイヤを長寸の部材に対して解除可能に固定された位置で固定するように適合された固定機構を必要に応じてさらに含んでいてよい。固定機構は、例えば、ハンドルに形成されたねじ切りされたボア内に配置される止めねじのようなねじ切りされた部材を含んでいてよい。ねじ切りされたボアは長寸の部材の内腔と連通していて止めねじがガイドワイヤを解除可能に固定された位置に保持できるようにしている。

長寸の部材に設けられた切断要素は器具のさまざまな位置に配置できるが、ある実施の形態では、切断要素は長寸の部材の遠位の端部の遠位の部分に配置されていて、より好ましくは切断要素は長寸の部材の遠位の端部の近位の側に配置されている。切断要素はさまざまな構造、形状、および寸法をも有していてよいが、ある例示的な実施の形態では、切断要素は実質的に楔形の形状を有していて遠位の向きに行くに従って長寸の部材から外向きに拡張している。ある例示的な実施の形態では、切断要素は長寸の部材の長手方向の軸に対して鋭角をなして配置された遠位の向きの表面を含んでいる。より好ましくは、切断要素はノッチが骨プラグを骨トンネル内にしっかりと取り付けるために骨ねじを骨トンネル内に配置するのを容易にするのに有効であるように実質的に半円形の形状を有するノッチを形成するように適合されている。

本発明は骨トンネルを準備する方法をも提供する。ある実施の形態では、本発明の方法は、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を骨プラグおよび骨トンネルの側壁の間に配置する過程と、送出器具を操作して切断要素が骨の一部を除去するようにして骨トンネルの開口内または開口に隣接してノッチを形成する過程とを含んでいる。トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具は、次にガイドワイヤを骨プラグおよびノッチに隣接した骨トンネルの間に配置されたまま残して取り除かれる。骨ねじは次にガイドワイヤに沿って送出されてノッチの位置で骨と係合し、それによって骨プラグを骨トンネル内にしっかりと取り付ける。

本発明によれば、骨トンネル内に靭帯移植片を正確にしっかりとそして困難なく固定できる効果がある。

本発明が添付の図面と共に以下の詳細な説明を考慮することによってより十分に理解される。

本発明はノッチを骨トンネル内に形成するためおよびガイドワイヤを骨トンネル内に配置するための器具を提供する。大まかに言って、図１に示されているように、器具１０は長寸の部材を貫通しガイドワイヤ１６を受容するように適合された内腔１２ｃを有する長寸の部材１２を含んでいる。切断要素１８が長寸の部材１２の遠位の部分１３にまたは遠位の部分１３に隣接して形成されていて、切断要素１８は骨トンネルの開口内のまたは開口に隣接した骨を除去するのに有効である。器具１０は器具１０を掴むための長寸の部材１２の近位の端部１２ａに結合されたまたは近位の端部１２ａに形成されたハンドル１４も含んでいてよい。使用時には、器具１０は骨プラグを収容した骨トンネル内に少なくとも部分的に配置され、器具１０は切断要素１８を用いて骨トンネルの開口内にまたは開口に隣接してノッチを形成するように操作される。器具１０はガイドワイヤ１６を骨トンネルのノッチに隣接した位置へ送出するのに有効でもある。ガイドワイヤ１６はその後骨ねじのような締結要素をノッチまで送出して、骨ねじを骨トンネルに羅合させて骨プラグまたはその他の繋留部材を骨トンネル内にしっかりと取り付けるために用いることができる。

本発明の方法および器具は、骨プラグまたはその他の繋留部材が骨トンネル内に配置された後に外科医が骨トンネルの開口内にまたは開口に隣接してノッチを形成できるようにし、それによってノッチとそれに続く締結要素を骨プラグに対して適正に配置することを確実にする点でとりわけ有益である。器具１０はガイドワイヤがトンネルノッチャーおよびカイドワイヤ送出器具を用いて植え込まれるのでノッチが形成された後にガイドワイヤを配置するための追加の過程を必要とせず、したがって骨ねじをノッチおよび骨トンネルに配置された骨プラグまたはその他の繋留部材と適正に整合させるようにもする。

図１をなお参照すると、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具１０の長寸の部材１２はさまざまな構造、形状、および寸法であってよい。しかし、図１に示されているように、長寸の部材１２はほぼ中空円筒形の形状を有し、摺動可能にガイドワイヤ１６を受容する内腔１２ｃが互いの間に延在する近位の端部１２ａおよび遠位の端部１２ｂを含んでいる。長寸の部材１２の長さｌ_e は変更可能であるが、長寸の部材１２の近位の端部１２ａが患者の体の外側に留まり同時に遠位の端部１２ｂが骨トンネル内に、好ましくは骨プラグまたはその他の繋留部材と骨トンネルの側壁との間に配置されるように十分な長さでなければならない。

長寸の部材１２の近位の端部１２ａには器具１０を掴むのを容易にするためのハンドル１４が結合されているかハンドル１４が形成されている。ハンドル１４は任意の形状および寸法であってよいが、図１は長寸の部材１２の長手方向の軸Ｌと実質的に直交する方向に延在するほぼ長寸のハンドル１４を示している。両側の把持部分１４ａおよび把持部分１４ｂがハンドル１４に形成されて使用者の指に沿うようにされていてよい。より詳しく言うと、把持部分１４ａおよび把持部分１４ｂの各々の遠位の向きの表面１５は使用者のひとつまたは複数の指をかけるための実質的に凹状の形状であってよい。これによって使用者は握りこぶしをつくるようにハンドル１４のまわりに指を配置して器具１０を掴むことができる。当業者にはさまざまなハンドルまたは別の装置が器具１０を掴むのを容易にするために用いられることが適切に理解される。

長寸の部材１２の遠位の端部１２ｂはさまざまな構造を有していてよいが、骨トンネルおよび骨プラグまたはその他の繋留部材の間に配置されるように適合されていなければならない。遠位の端部１２ｂは遠位の端部１２ｂの少なくとも一部が骨トンネルに所定の深さまで挿入されて切断要素１８を骨トンネルに対して適正に配置するのを容易にするような構造であることが好ましい。例示的な実施の形態では、図２Ａおよび図２Ｂに示されているように、遠位の端部１２ｂは直径が近位から遠位へ向かって減少する先細りの先端２０を有している。これによって遠位の端部１２ｂを骨トンネルの側壁および繋留部材の間に挿入するのが容易にされている。遠位の端部１２ｂは図１および図２Ａに示されているように標識またはその他の表示が配置されてまたは形成されていて、長寸の部材１２の遠位の端部１２ｂが骨トンネル内へ挿入されている深さが表示されるようにされていてもよい。標識２２は好ましくは切断要素１８の近位の側に配置されていて、必要に応じて長寸の部材１２の周りに円周に沿って延在して標識に視覚的にアクセスするのを容易にしていてよい。ある例示的な実施の形態では、標識２２は放射線不透過性で関節鏡を用いた手術手技の間に標識をＸ線で視ることができるようにされている。

上述したように、器具１０は長寸の部材１２の遠位の部分１３に形成された切断要素１８をも含んでいる。切断要素１８は図２Ａから図２Ｃにより詳しく示されていて、任意の構造を有していてよく、長寸の部材のどこに配置されていてもよいが、切断要素１８は骨トンネルの開口に隣接してまたは開口内にノッチを形成するために骨を除去するのに有効でなければならない。ある例示的な実施の形態では、図示されているように、切断要素１８は長寸の部材１２の遠位の端部１２ｂの近位の側に配置されていて、好ましくは先細りの先端２０のすぐ近位の側に配置されていて、先細りの先端２０が骨トンネルの側壁および骨トンネル内に配置された骨プラグまたはその他の繋留部材の間で骨トンネル内に配置されるようになっている。切断要素１８は長寸の部材１２の一方の側面に配置されていることが好ましく、切断要素１８が長寸の部材１２の長手方向の軸Ｌから変位して配置されて。より詳しく言うと、切断要素１８は長寸の部材１２の直径Ｄ以下の長さｌ_c （図２Ｃ）を有していてよい。そのような構造によって、切断要素１８が骨トンネル内に配置された骨プラグまたはその他の繋留部材に接触および／損傷を与えることなく骨トンネルから骨を除去できるようになる。

切断要素１８の形状および寸法も変更可能であるが、ある例示的な実施の形態では切断要素１８は近位から遠位へ向かって増加する幅ｗ_c を有するように実質的に楔形の形状を有している。切断要素１８の基部１８ｂは長寸の部材１２に結合されているか長寸の部材１２に形成されていて、切断エッジ１８ａは長寸の部材１２から距離ｄだけ離れている。切断エッジ１８ａと長寸の部材１２の間の距離ｄ（図２Ｃ）は変更可能であるが、距離ｄは骨トンネルに隣接したまたは骨トンネル内の骨の部分が骨ねじを受容するためのノッチが形成されるように除去されるよう十分な長さでなければならない。切断エッジ１８ａは長寸の部材１２の長手方向の軸Ｌに関して基部１８ｂの遠位の側の位置に配置されていることが好ましい。これは、切断エッジ１８ａと長寸の部材１２との間に延在し長寸の部材１２の長手方向の軸Ｌに対して鋭角αをなして配置された遠位の向きの表面１８ｃを設けることによって達成される。鋭角αは変更可能であるが、ある例示的な実施の形態では、鋭角αは実質的に２０°から７０°までの範囲内にある。遠位の向きの表面１８ｃは切断要素１８の向かい合うエッジ１９ａおよびエッジ１９ｂが骨を除去するのに有効な切断エッジを形成するように実質的に凹状の形状を必要な場合には有していてよい。

別の実施の形態では、切断エッジ１８ａは実質的にアーチ形の形状で、切断エッジ１８ａと長寸の部材１２との間の距離ｄが切断エッジ１８ａの全長ｌ_c に亘って実質的に一定になるようにされている。そのような切断エッジ１８ａの湾曲によって、骨の除去が容易になり、とりわけ半円形のノッチが骨に形成されるようになる。

上述したように、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具１０は長寸の部材１２およびハンドル１４を貫通するガイドワイヤを受容するための内腔１２ｃを含んでいる。ガイドワイヤは器具１０を使用する間は内腔１２ｃ内に配置されるのが好ましいので、器具１０はガイドワイヤを長寸の部材１２に対して固定された位置に維持するための固定機構２４を必要に応じて含んでいる。当業者に知られたさまざまな固定機構を用いることができるが、図１および図３Ａから図３Ｂは長寸の部材１２のハンドル１４に形成されたある例示的な実施の形態の固定機構２４を示している。図示されているように、固定機構２４はハンドル２４に形成されたねじ切りされたボア２６内に配置された止めねじ２８の形態を有している。ねじ切りされたボア２６は長寸の部材１２の内腔１２ｃと連通している。使用時には、図３Ｂに示されているように、止めねじ２８はねじ切りされたボア２６に羅合されて長寸の部材１２の内腔１２ｃ内に配置されたガイドワイヤと係合し、それによってガイドワイヤ１６を固定された位置に固定する。

本発明のトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具１０は骨トンネル内に配置された繋留部材をしっかりと取り付けるために骨ねじのような締結要素を受容するように骨トンネルを準備するためにさまざまな手術手技で用いられる。しかし、ある例示的な実施の形態では、器具１０は靭帯を繋留するために骨トンネルを準備するのに、より詳しく言うと図４Ａから図４Ｅに示されているように前十字靭帯（ＡＣＬ）移植片を関節鏡を用いて大腿骨に固定するために骨トンネルを準備するのに用いられる。さまざまな靭帯移植片が用いられるが、典型的には、靭帯移植片を各々がある長さの縫合糸をかがり縫いすることによって準備された４つの腱束に分割することによって、靭帯移植片（図示されていない。）は準備される。次に、骨プラグのような２つの繋留部材が靭帯移植片の両端に取り付けられる。

医学的に受容される患者の準備および麻酔に続いて次に膝蓋骨の下の脛骨５２の端部付近に切開が形成され、骨トンネル５６が脛骨５２および大腿骨５４を通して形成される。例示のために、図４Ａから図４Ｅでは大腿骨５４に形成された骨トンネル５６のみが図示されているが、当業者は本発明の器具および方法が大腿骨および脛骨のいずれか一方または両方を通して挿入されることが適切に評価される。靭帯移植片の一方の端部、すなわち前方端部が次に脛骨の骨トンネルを通して大腿骨の骨トンネル５６に挿入され、靭帯移植片のもう一方の端部、すなわち後方端部が脛骨の骨トンネルの外側に留められて、脛骨の骨トンネルを通して大腿骨の骨トンネル５６にアクセスできるようにされる。再び、例示のために、図４Ａから図４Ｅでは大腿骨の骨トンネル５６内に配置された骨プラグ５３のみが図示されていて、靭帯移植片は図示されていない。

使用するための準備では、ガイドワイヤ１６が本発明の器具１０を通して挿入され、好ましくはガイドワイヤ１６の一部が長寸の部材１２の遠位の端部１２ｂから延出して器具１０の遠位の先端２０が骨プラグ５３および骨トンネル５６の側壁の間に容易に挿入できるようにガイドワイヤ１６が挿入される。ガイドワイヤ１６は好ましくは固定機構２４の止めねじ２８を回転させて固定された位置に固定されている。ほとんどのガイドワイヤは比較的柔軟なので、ガイドワイヤ１６のわずかな部分のみが長寸の部材１２の遠位の端部１２ｂから延出してガイドワイヤ１６に剛性が与えられることが好ましい。

次に器具１０が脛骨トンネル５６を通して挿入されて長寸の部材１２の先細りの先端２０が図４Ｂおよび図４Ｃに示されているように骨プラグ５３および大腿骨トンネル５６の側壁の間に配置される。小槌またはその他の打撃器具が必要な場合に用いられて器具１０が打撃されて器具１０を骨プラグ５３および骨トンネル５６の間の所望の深さの領域まで前進させてもよい。長寸の部材１２の遠位の端部１２ｂの近くの放射線不透過性の標識２２が用いられて器具１０が適正な深さに達したときを表示してもよい。

一旦適正に配置されると、器具１０はその長手方向の軸Ｌを中心に部分的に回されて、切断要素１８の切断エッジ１８ａが半円形の向きに動かされ、それによって骨の一部を除去してノッチ５８が形成される。図４Ｄに示されているように、ノッチ５８は骨トンネル５６の開口内または開口に隣接して形成される。ノッチ５８を形成した後に、固定機構２４は止めねじ２８を逆向き回すことによって解除され、器具１０が図４Ｄに示されているようにガイドワイヤ１６を骨トンネル５６内の骨プラグ５３およびノッチ５８に隣接する骨トンネルの間に配置したまま残して除去できるようになる。

骨ねじ８０のような締結要素は図４Ｅに示されているように次に骨ねじ８０をガイドワイヤ１６に沿ってノッチ５８に向けて摺動させることによって送出される。挿入器具または駆動機構７０が図示されているように必要に応じて用いられて骨ねじ８０をガイドワイヤ１６に沿って前進させ、骨ねじ８０を骨トンネル５６に羅合させるのに用いられてよい。骨ねじ８０が骨トンネル５６に隣接して配置されると、ノッチ５８によって骨ねじ８０のねじ山が骨と係合するようになり、したがって骨ねじ８０をさらにまわすことによって骨プラグ５３が骨トンネル５６にしっかりと取り付けられる。

当業者には上述された実施の形態に基づいて本発明のさらに別の特徴および利点が適切に評価される。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲に表されていること以外は特定して例示され記載されたものに限定されてはならない。本明細書で言及された全ての刊行物および参照文献はその全体が言及されたことによって積極的に本明細書で引用される。

この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
（１）トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具であって、
近位の端部、遠位の端部、および上記近位の端部および上記遠位の端部の間に延在しガイドワイヤを受容するように適合された内腔を備えた長寸の部材と、
上記長寸の部材の遠位の部分に配置され骨トンネルの開口内の骨を除去するように適合された切断要素と
を有する、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具。
（２）長寸の部材の遠位の端部の遠位の部分が実質的に先細りになっている、上記実施態様（１）記載の器具。
（３）切断要素が長寸の部材の実質的に先細りの遠位の部分の近位の側に配置されている、上記実施態様（２）記載の器具。
（４）切断要素が実質的に楔形の形状で遠位の向きに行くに従って長寸の部材から外向きに拡張している、上記実施態様（１）記載の器具。
（５）切断要素が長寸の部材の長手方向の軸に対して鋭角をなして配置された遠位の向きの表面を含む、上記実施態様（４）記載の器具。

（６）遠位の向きの表面が実質的に凹状である、上記実施態様（５）記載の器具。
（７）切断要素および長寸の部材の長手方向の軸の間の角度が９０°未満である、上記実施態様（４）記載の器具。
（８）切断要素および長寸の部材の長手方向の軸の間の角度が実質的に２０°から７０°までの範囲内にある、上記実施態様（７）記載の器具。
（９）切断要素が長寸の部材に結合された基部および上記長寸の部材からある間隔だけ離れて配置された切断エッジを含む、上記実施態様（１）記載の器具。
（１０）切断エッジが基部の遠位の側に配置されている、上記実施態様（９）記載の器具。

（１１）切断エッジが長寸の部材からある間隔だけ離れて配置され、上記切断エッジが上記長寸の部材の直径より短い長さを有する、上記実施態様（９）記載の器具。
（１２）切断エッジが実質的に半円形の形状を有するノッチを骨に形成するように適合されている、上記実施態様（１）記載の器具。
（１３）長寸の部材の遠位の部分に形成され上記長寸の部材の骨トンネル内での深さを表示するように適合された複数の表示をさらに有する、上記実施態様（１）記載の器具。
（１４）長寸の部材の近位の部分に配置されたハンドルをさらに有する、上記実施態様（１）記載の器具。
（１５）ハンドルが長寸の部材の長手方向の軸と直交する向きに延在する、上記実施態様（１４）記載の器具。

（１６）ガイドワイヤを長寸の部材に対して固定された位置に固定するように適合された固定機構をさらに有する、上記実施態様（１）記載の器具。
（１７）固定機構が長寸の部材の近位の端部に結合されたハンドルに形成されている、上記実施態様（１６）記載の器具。
（１８）固定機構がハンドル内に形成されたねじ切りされたボア内に配置されたねじ切りされた部材からなり、上記ねじ切りされたボアが長寸の部材の内腔と連通している、上記実施態様（１７）記載の器具。
（１９）骨トンネルを準備する方法であって、
骨プラグを骨トンネルに挿入する過程と、
トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を上記骨プラグおよび上記骨トンネルの側壁の間に配置する過程と、
上記骨プラグを上記骨トンネルにしっかりと取り付けるために骨ねじを上記骨トンネル内に配置するのを容易にするのに有効なノッチを上記骨トンネルの開口に形成するように骨の一部を除去する過程と、
ガイドワイヤが上記骨プラグおよび上記ノッチに隣接する上記骨トンネルの間に配置されたまま残されるように上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を取り除く過程と
を有する、骨トンネルを準備する方法。
（２０）ノッチが実質的に半円形の形状を有する、上記実施態様（１９）記載の方法。

（２１）骨ねじをガイドワイヤに沿って送出してノッチの位置で骨と係合させかつ骨プラグを骨トンネル内にしっかりと取り付ける過程をさらに有する、上記実施態様（１９）記載の方法。
（２２）ガイドワイヤが、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を骨プラグおよび骨トンネルの間に配置する間に上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具内に配置されている、上記実施態様（１９）記載の方法。
（２３）ガイドワイヤが、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を骨プラグおよび骨トンネルの間に配置する間に上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に対して解除可能に固定された位置に配置されている、上記実施態様（２２）記載の方法。
（２４）トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具が、上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に形成されガイドワイヤを上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に対して解除可能に固定するように適合された固定機構をさらに有する、実施態様（２３）記載の方法。
（２５）固定機構がトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に形成されたハンドルに結合されている、上記実施態様（２４）記載の方法。

（２６）固定機構がハンドルに形成されたねじ切りされたボア内に配置されたねじ切りされた部材からなり、上記ねじ切りされたボアが、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に形成されガイドワイヤを収容している内腔と連通している、上記実施態様（２５）記載の方法。
（２７）トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具の遠位の部分が実質的に先細りになっていて上記遠位の部分が骨プラグおよび骨トンネルの側壁の間に配置されるようになっている、上記実施態様（１９）記載の方法。
（２８）トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具が、上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に形成され骨トンネル内にノッチを形成するように適合された切断要素をさらに有する、上記実施態様（１９）記載の方法。
（２９）切断要素が、長寸の部材からある間隔だけ離れて配置され上記長寸の部材の直径より短い長さを有する切断エッジを含む、上記実施態様（２８）記載の方法。
（３０）切断要素が、遠位の向きに行くに従って長寸の部材から外向きに拡張している、上記実施態様（２８）記載の方法。

（３１）切断要素が実質的に楔形の形状を有しトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具の長手方向の軸に対して鋭角をなして配置された遠位の向きの表面を含んでいる、上記実施態様（３０）記載の方法。
（３２）鋭角が９０°未満である、上記実施態様（３１）記載の方法。
（３３）トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具が、上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具の遠位の部分に形成され上記トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具の骨トンネル内での深さを表示するように適合された複数の表示をさらに有する、上記実施態様（１９）記載の方法。

産業上の利用分野

本発明は、断裂したおよび／または損傷を受けた組織を修復するために用いるなどの用途がある。

本発明に基づくトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具のある実施の形態の斜視図である。 図１のトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に設けられた切断要素の拡大図である。 トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具の長手方向の軸に沿った図２Ａに示された切断要素の側断面図である。 図１に示されたトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具の端面図である。 図１に示されたトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具に設けられた固定機構の断面図である。 固定された位置にある図３Ａに示された固定機構の断面図である。 骨トンネルが形成されたヒトの膝関節を示す図である。 本発明に基づくトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具が骨トンネルに導入された図４Ａに示されたヒトの膝関節を示す図である。 骨を除去して骨トンネルの開口内にノッチを形成するために骨トンネル内に配置された図４Ｂのトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を示す図である。 骨トンネルから取り除かれてガイドワイヤをノッチに隣接した骨トンネル内に配置されたまま残した図４Ｃのトンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具を示す図である。 本発明の別の実施の形態に基づく図４Ｄに示されたガイドワイヤに沿って骨トンネルへ送出されている骨ねじを示す図である。

符号の説明

１０ 器具
１２ 長寸の部材
１２ａ 近位の端部
１２ｂ 遠位の端部
１２ｃ 内腔
１３ 遠位の部分
１４ ハンドル
１４ａ 把持部分
１４ｂ 把持部分
１５ 遠位の向きの表面
１６ ガイドワイヤ
１８ 切断要素
１８ａ 切断エッジ
１８ｂ 基部
１８ｃ 遠位の向きの表面
１９ａ エッジ
１９ｂ エッジ
２０ 先細りの先端
２２ 標識
２４ 固定機構
２６ ボア
２８ 止めねじ
５０ 膝関節
５２ 脛骨
５３ 骨プラグ
５４ 大腿骨
５６ 骨トンネル
５８ ノッチ
７０ 駆動機構
８０ 骨ねじ

Claims (17)

1. トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具であって、
   近位の端部、遠位の端部、および前記近位の端部および前記遠位の端部の間に延在していてガイドワイヤを受容するように適合された内腔を備えた長寸の部材と、
   前記長寸の部材の前記遠位の端部の近位側に配置されていて骨トンネルの開口内の骨を除去するように適合された切断要素と、
   を具備し、
   前記切断要素は、楔形の形状を有していて、遠位に向かうに従って前記長寸の部材から外側に向かうように延在している、トンネルノッチャーおよびガイドワイヤ送出器具。
2. 前記長寸の部材の遠位の部分が、先細りになっている、請求項１記載の器具。
3. 前記切断要素が、前記長寸の部材の先細りになっている前記遠位の部分の近位側に配置されている、請求項２記載の器具。
4. 前記切断要素が、前記長寸の部材の長手方向の軸に対して鋭角をなして配置された遠位の向きの表面を含む、請求項１記載の器具。
5. 前記遠位の向きの表面が、凹状である、請求項４記載の器具。
6. 前記切断要素の前記遠位の向きの表面および前記長寸の部材の長手方向の軸の間の角度が、９０°未満である、請求項４記載の器具。
7. 前記切断要素の前記遠位の向きの表面および前記長寸の部材の長手方向の軸の間の角度が、２０°から７０°までの範囲内にある、請求項６記載の器具。
8. 前記切断要素が、前記長寸の部材に結合された基部、および前記長寸の部材からある間隔だけ離れて位置する切断エッジを含む、請求項１記載の器具。
9. 前記切断エッジが、前記基部よりも遠位側に位置する、請求項８記載の器具。
10. 前記切断エッジが、前記長寸の部材からある間隔だけ離れて位置し、前記切断エッジが、前記長寸の部材の直径より短い長さを有する、請求項８記載の器具。
11. 前記切断要素が、半円形の形状を有するノッチを骨に形成するように適合されている、請求項１記載の器具。
12. 前記長寸の部材の遠位の部分に形成されていて、前記長寸の部材の骨トンネル内での深さを表示するように適合された複数の表示、
    をさらに具備する、請求項１記載の器具。
13. 前記長寸の部材の近位の部分に配置されたハンドル、
    をさらに具備する、請求項１記載の器具。
14. 前記ハンドルが、前記長寸の部材の長手方向の軸と直交する向きに延在する、請求項１３記載の器具。
15. 前記ガイドワイヤを前記長寸の部材に対して固定された位置に固定するように適合された固定機構、
    をさらに具備する、請求項１記載の器具。
16. 前記固定機構が、前記長寸の部材の前記近位の端部に結合されたハンドルに形成されている、請求項１５記載の器具。
17. 前記固定機構が、前記ハンドル内に形成されたねじ切りされたボア内に配置されたねじ切りされた部材を備え、前記ねじ切りされたボアが、前記長寸の部材の前記内腔と連通している、請求項１６記載の器具。

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