JP4762245B2 - 食肉屠体の処理装置及び方法 - Google Patents
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前記搬送手段内に設けた食肉屠体保持部を介して死後硬直開始前より死後硬直中の前記食肉屠体にオンオフによる通電手段の印加時間を異ならせた複数の通電サイクルを有する電気的刺激を付与する通電部とを具え、
該オン期間に交流電圧により前記電気的刺激を付与し、
該オンオフそれぞれの期間、最初に前記交流電圧がオンされてから最後のオン期間が終了するまでの時間、及び該通電印加電圧の電圧値並びに周波数を、それぞれ設定するとともに、前記通電部はシャフトと、前記シャフトを介して上下に移動することができ、食肉屠体の下部に位置する電極針とを備え、前記電極針を先端が食肉屠体の中抜きによってできた空洞に到達するまで上方へ移動させ、その後先端が前記空洞と食肉屠体最下端の間に到達するまで下方へ移動させてから通電を行うことを特徴とする。
そして好ましくは前記電極針の移動を規制するガイドを設けることを特徴とする。
死後硬直開始前から死後硬直中に前記食肉屠体に電気的刺激を与える第1電気的刺激工程と、
前記食肉屠体の低温冷却工程と、
前記低温冷却工程後に前記食肉屠体に電気的刺激を与える第2電気的刺激工程とを含む食肉屠体処理方法において、
前記第1及び第2電気的刺激工程は、
オンオフによる通電手段の印加時間を異ならせた複数の通電サイクルを有し、
該オン期間に交流電圧により前記電気的刺激を付与し、
該オンオフそれぞれの期間、最初に前記交流電圧がオンされてから最後のオン期間が終了するまでの時間、及び該通電印加電圧の電圧値並びに周波数を、それぞれ設定するとともに、
該前記第1及び第2電気的刺激工程における通電部は、シャフトと、前記シャフトを介して上下に移動することができ、食肉屠体の下部に位置する電極針とを備え、前記電極針を先端が食肉屠体の中抜きによってできた空洞に到達するまで上方へ移動させ、その後先端が前記空洞と食肉屠体最下端の間に到達するまで下方へ移動させてから通電を行うことを特徴とする。
ここでは、上述した従来工程をそのまま利用し、電気的刺激工程S41bにおける通電電圧波形を新規のものとした。すなわち、中抜き処理工程S40を経て死後硬直開始前より死後硬直中の食肉屠体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段内に設けた食肉屠体保持部を介して死後硬直開始前より死後硬直中の前記食肉屠体にオンオフによる通電手段の印加時間を異ならせた複数の通電サイクルを有する電気的刺激を付与する通電部とを具え、該オン期間に交流電圧により前記電気的刺激を付与し、該オンオフそれぞれの期間、最初に前記交流電圧がオンされてから最後のオン期間が終了するまでの時間、及び該通電印加電圧の電圧値並びに周波数を、それぞれ設定する。具体的には、通電電圧波形は、100V以下で、商用周波数より低い周波数の交流電圧波形であり、オン期間は、オフ期間より短くする。
ここでは、チラー工程S42a(低温冷却工程)後であって、腿外し工程前に、さらに第2の電気的刺激工程をおく。すなわち、本方法は、食肉屠体の中抜き処理工程と、死後硬直開始前から死後硬直中に前記食肉屠体に電気的刺激を与える第1電気的刺激工程と、前記食肉屠体の低温冷却工程と、前記低温冷却工程後に前記食肉屠体に電気的刺激を与える第2電気的刺激工程とを含む。電気的刺激工程で使用する通電波形の設定は、それぞれ最適化される。
図3は、本処理装置の正面図であり、搬送コンベア10と、通電部20と、電気的制御部18とを含む。搬送コンベア10は、フレーム構造部10aの上部位置に配設した水平環状ガイドレール12と、ガイドレール12の内部を走行する図示しないトロリーローラを付設した搬送チェーン15と、駆動スプロケットホイール14aと従動スプロケットホイール14bと駆動用ギヤードモータ13とよりなるコンベア伝導機構11と、搬送チェーン15のハッカー15aに着脱可能に設け、ワーク(食肉屠体)25の両脚25aをフックする複数個のシャックル16を含む。
ここでは、上述した従来工程をそのまま利用し、電気的刺激工程S41bにおける通電電圧波形を新規のものとした。すなわち、中抜き処理工程S40を経て死後硬直開始前より死後硬直中の食肉屠体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段内に設けた食肉屠体保持部を介して死後硬直開始前より死後硬直中の前記食肉屠体にオンオフによる通電手段の印加時間を異ならせた複数の通電サイクルを有する電気的刺激を付与する通電部とを具え、該オン期間に交流電圧により前記電気的刺激を付与し、該オンオフそれぞれの期間、最初に前記交流電圧がオンされてから最後のオン期間が終了するまでの時間、及び該通電印加電圧の電圧値並びに周波数を、それぞれ設定する。具体的には、通電電圧波形は、100V以下で、商用周波数より低い周波数の交流電圧波形であり、オン期間は、オフ期間より短くする。
図8は、本処理装置の平面図であり、周回状の搬送レール60に、搬送レール60上を走行する複数の屠体搬送部61が備えられている。搬送レール60は、搬送レール60上を屠体搬送部61に屠体を設置する投入部67、屠体に通電用の針を刺す針刺し手羽押さえ部68、屠体に通電する通電部65と、通電を完了した屠体を排出する排出部66と、から成る。
屠体搬送部61にはそれぞれ磁性体コアと2次巻線から成るピックアップコイル62が備えられており、通電部65では、商用周波数の交流電源をAC/HFコンバータ64によって高周波に変換した高周波電流を流す1次給電線(以下リッツ線63とよぶ)に高周波電流を流すことによって発生する磁界により、ピックアップコイル62では、磁性体コアを介して磁気的に結合された2次巻線に電圧が誘起され、リッツ線63からピックアップコイル62に非接触で電力を伝送することができる。
また、リッツ線は図8に示したようにジグザグの形状であり、側壁に設けられたリッツ線支持台によって支持されている。リッツ線63とピックアップコイル62が近づく位置では通電電波波形がオンとされる期間Tonとなり、リッツ線63とピックアップコイル62が離れる位置では通電電波波形がオフとされる期間Toffとなる。またリッツ線のジグザグの形状は任意に調整することができる。このように、リッツ線のジグザグの形状によってTonとToffを切り替えることができるため、リッツ線には常に通電しておくことができ、電源の入り切りを行う必要がない。また、通電をバッチ処理ではなく連続処理できるため、通電処理の効率化にも繋がる。
また、人手の介在の必要な排出部66、投入部67にはリッツ線63が存在しないため、排出部66、投入部67での作業者の安全性も確保することができる。
図11Aに示したように、ピックアップコイル62は一対の外部磁性体コア62a、62b及び内部磁性体コア62cよりなる断面が略E字の形状であり、前記外部磁性体コア62a、62b及び内部磁性体コア62cによってできる1対の空隙62d、62eには、夫々リッツ線63が側壁69に固定されたリッツ線支持台70により支持されている。
このような構成において、リッツ線63に高周波電流を流すことにより、ピックアップコイル62内部に方向や強度が時間的に変化する磁場が発生し、ピックアップコイル62を介して磁気的に結合された2次巻線62fに電圧が誘起される。
また、図11Bに示したように、ピックアップコイル62とリッツ線63が離れた位置にある場合は、リッツ線63に高周波電流を流しても、ピックアップコイル62内には磁場が発生しないため、リッツ線63とピックアップコイル62の間は電気的に遮断される。
スライダ78に設けられたガイド92は、スライダとは別に設けられたガイド溝91内に位置し、ガイド溝91の高さ位置によってスライダ78の高さ位置が決定される。また、ガイド溝91が存在しない場合は、シャフト79に設けられた溝部93にボールプランジャ90の先端のボールが嵌合する位置でスライダ78の高さ位置が決定される。
このようにしてスライダ78の高さ位置を決定することによって、スライダ78の高さを調節することができるため、スライダ78に設けられた電極針77の高さを人手を介在させることなく調節し、屠体に抜き刺しすることができる。
針刺し手羽押さえ部68では、電極針77を備えたスライダ78のガイド92がガイド溝91内に入り、ガイド溝91の高さによってスライダ78、さらには電極針77の高さ位置が決定される。ガイド溝91は上流より順に0点91a、最高点91b、通電点91cとにわけられる。ガイド溝91の最上流の0点91aにガイド92が位置するとき、電極針77の先端は屠体81よりも下方に位置する。そしてガイド92はガイド溝91に沿ってガイド92の位置が0点91aから最高点91bへと上方へ移動する。ガイド92の位置が91aから91bへ移動する際に、電極針77が皮81aを貫通して屠体81に刺さり、ガイド91の位置が最高点91bに達したとき、電極針77の先端は屠体81の中抜によってできる空洞81b内に位置する。さらに、ガイド92はガイド溝91に沿って最高点91bから通電点91cへと下方へ移動する。ガイド92の位置が91bから91cへ移動する際に、電極針77の先端位置は前記空洞81b内から、前記空洞81bと屠体下端の間へと移動する。
このように、一旦空洞81bまで電極針77の先端を貫通させた後に、通電位置である空洞81bと屠体下端の間に戻すことで、表皮がたるんでいて電極針77が刺さりにくい屠体81にもスムースに電極針77を刺すことができ、その電極針77が屠体81の皮81aを貫通させることにより低電圧で電気刺激を与えることができる。
電気的刺激による熟成効果は、印加電圧の周波数その他によって異なる。そこで、周波数を60Hz以下、電圧を100V以下として、熟成効果を比較した。電圧波形は図2(B)に示した波形であり、TonとToffは異なる。但し、対比試験を行うため、Ton=Toffと設定することもある。
図7は、100V・50Hz・Ton =Toff・通電時間5分の設定にて電気的刺激を与えた熟成結果(一般生菌数のヒストグラム)であり、下記試験体胸肉a、b、cの熟成結果を示してある((a)電気的刺激+2時間熟成(オス、メス混合)。電気的刺激は、100V50Hzで5分間行った:(b)現行の4時間低温熟成。冷水チラー通過後熟成庫(2℃)で4時間熟成した:(c)熟成無し、(オス、メス混合))。通常ラインで処理を行なった)。従来参考例によれば、試験体胸肉aでは、熟成時間の2時間の短縮と、一般生菌数の際立った削減を図ることができる。
図14は、本実施例と従来参考例の屠体に電気刺激を与え、脱骨した後のイノシン酸の量を比較したグラフである。本実施例においてはイノシン酸は8.6μmol/gであったのに対し、従来例では5.4μmol/gであった。
硬さ
物性試験装置を用いて、一定時間加熱した肉を一定寸法に整形した後、せん断力を測定したところ、通常の処理肉に比べ、本実施例により得られた電気刺激肉は、せん断力が約30%小さい、即ち柔らかかった。
保水性
加熱調理後の離水量(ドリップ量)を測定したところ、加熱調理後の保水率が通常の処理肉に比べて本実施例により得られた電気刺激肉は10%程度高かった。
旨み
高速液体クロマトグラフを用いて核酸関連物質を測定したところ、通常の処理肉に比べて本実施例により得られた電気刺激肉は前記の通り旨み成分のひとつであるイノシン酸量が多かった。
Claims (11)
- 中抜き処理された死後硬直開始前より死後硬直中の食肉屠体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段内に設けた食肉屠体保持部を介して死後硬直開始前より死後硬直中の前記食肉屠体にオンオフによる通電手段の印加時間を異ならせた複数の通電サイクルを有する電気的刺激を付与する通電部とを具え、
該オン期間に交流電圧により前記電気的刺激を付与し、
該オンオフそれぞれの期間、最初に前記交流電圧がオンされてから最後のオン期間が終了するまでの時間、及び該通電印加電圧の電圧値並びに周波数を、それぞれ設定するとともに、前記通電部はシャフトと、前記シャフトを介して上下に移動することができ、食肉屠体の下部に位置する電極針とを備え、前記電極針を先端が食肉屠体の中抜きによってできた空洞に到達するまで上方へ移動させ、その後先端が前記空洞と食肉屠体最下端の間に到達するまで下方へ移動させてから通電を行うことを特徴とする食肉屠体処理装置。 - 前記電極針の移動を規制するガイドを設けることを特徴とする請求項1記載の食肉屠体処理装置。
- 前記通電部は、インバータ電源を備えることを特徴とする請求項1記載の食肉屠体処理装置。
- 前記通電部は、インバータ電源にて100ボルト以下の交流電圧を供給するか、又は、商用周波数電圧を100ボルト以下に降圧するか、いずれかであることを特徴とする請求項1記載の食肉屠体処理装置。
- 前記通電部は、商用周波数より低い周波数の交流電圧を供給することを特徴とする請求項1記載の食肉屠体処理装置。
- 該オン期間は、該オフ期間より短いことを特徴とする請求項1記載の食肉屠体処理装置。
- 前記通電部の電極に電気接続された電気針を前記食肉屠体の皮下に刺して前記食肉屠体に電気的刺激を付与することを特徴とする請求項1記載の食肉屠体処理装置。
- 前記通電部は、1次給電線(以下リッツ線とよぶ)と、前記リッツ線に高周波電流を流すことによって発生する磁界により、磁性体コアを介して磁気的に結合された2次巻線に電圧が誘起され、リッツ線から2次巻線に非接触で電力を伝送する非接触給電装置を備えることを特徴とする請求項1記載の食肉屠体処理装置。
- 前記リッツ線の少なくとも一部が、前記磁性体コアを介して2次巻線に電圧を誘起することができない箇所に位置することを特徴とする請求項8記載の食肉屠体処理装置。
- 請求項1記載の搬送手段が周回路であり、該搬送手段へ食肉屠体を投入する投入部にリッツ線が位置しないことを特徴とする請求項8又は9記載の食肉屠体処理装置。
- 食肉屠体の中抜き処理工程と、
死後硬直開始前から死後硬直中に前記食肉屠体に電気的刺激を与える第1電気的刺激工程と、
前記食肉屠体の低温冷却工程と、
前記低温冷却工程後に前記食肉屠体に電気的刺激を与える第2電気的刺激工程とを含む食肉屠体処理方法において、
前記第1及び第2電気的刺激工程は、
オンオフによる通電手段の印加時間を異ならせた複数の通電サイクルを有し、
該オン期間に交流電圧により前記電気的刺激を付与し、
該オンオフそれぞれの期間、最初に前記交流電圧がオンされてから最後のオン期間が終了するまでの時間、及び該通電印加電圧の電圧値並びに周波数を、それぞれ設定するとともに、
該前記第1及び第2電気的刺激工程における通電部は、シャフトと、前記シャフトを介して上下に移動することができ、食肉屠体の下部に位置する電極針とを備え、前記電極針を先端が食肉屠体の中抜きによってできた空洞に到達するまで上方へ移動させ、その後先端が前記空洞と食肉屠体最下端の間に到達するまで下方へ移動させてから通電を行うことを特徴とする食肉屠体処理方法。
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