JP4761985B2 - エネルギーフィルタ - Google Patents

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この発明は、静磁場中を走行する荷電粒子の飛行経路の違いから、特定のエネルギーを有する荷電粒子を分離抽出するエネルギーフィルタに関する。
近年、電子線等の荷電粒子線は、電子顕微鏡に代表される検査装置さらには加工装置等にも幅広く用いられている。ここで、発生される荷電粒子線は、速さにばらつきのあるものであり、所定のエネルギー幅を有する。一方、荷電粒子線を用いる場合には、荷電粒子線は、単色、すなわち一定の速さあるいはエネルギーを有するものであることが好ましい。
そこで、発生された荷電粒子線から、特定の速さすなわちエネルギーの荷電粒子線を分離抽出する必要があり、この分離抽出にエネルギーフィルタが用いられる。このエネルギーフィルタは、一様な静磁場を荷電粒子線に印可し、荷電粒子線の速さに応じて飛行経路が変化することを用いて、異なるエネルギーの荷電粒子を分離する。
図8は、エネルギーフィルタ80の荷電粒子線の飛行経路90に沿った断面を示す断面図である。エネルギーフィルタ80は、ポールピース部81および91、コア基板83および93、コイル86および96、ヨーク84、85、94、95、87および97、入力窓20、並びに、出力窓21を含む。ここで、荷電粒子は、入力窓20からエネルギーフィルタ80に入力され、飛行経路90に沿って飛行の後に出力窓21から出力される。
ポールピース部81および91は、ポールピース88および98、並びに、コア82および92からなる。ここで、ポールピース部81および91は、鉄等の磁性材料から製造される一体構造のものであり、ポールピース88および98、並びに、コア82および92は、主として機能的な面が異なる。なお、ポールピース88および98、並びに、コア82および92の境界は、概ね図8のポールピース部81および91中に示された破線部分に位置する。
コア82および92は、コイル86および96に流される同一方向の電流により、概ね均一な静磁場Bを荷電粒子の飛行経路90に沿って発生させる。
ポールピース88および98は、荷電粒子の拡散を防止するレンズとして機能するように、コア82および92で発生された静磁場Bの空間分布を整形する。
コア基板83および93、並びに、ヨーク84、85、94、95、87および97は、鉄等の磁性材料からなり、コア82および92により形成される飛行経路90に沿った静磁場Bのリターンパスを形成する磁気回路となっている。
コイル86および87は、静磁場Bと直交する面内でコア82および92の周囲に巻かれた金属導体からなり、この金属導体に電流を流すことにより、コア82および92部分に一様な静磁場を形成する。ここで、コイル86は、コア82およびヨーク84、85間に存在する間隙部分に配設され、コイル96は、コア92およびヨーク94、95間に存在する間隙部分に配設される(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−331639号公報、(第1頁、第1図)
しかしながら、上記背景技術によれば、コイル86および96が配設される間隙部分の空間は小さなものとなり、配設に充分な余裕空間が存在しない。すなわち、静磁場Bを形成するポールピース88および98は、荷電粒子を分離するために、飛行経路に沿って所定の長さを確保する必要がある。一方、静磁場Bのリターンパスを形成するヨーク84、85、94,95、87および97は、静磁場Bの均一度を乱さない範囲でポールピースおよびコアに近接して配置され、エネルギーフィルタ80全体の大きさを小さくすることが好ましい。従って、例えばコア82およびヨーク84に挟まれる間隙部分の空間は狭いものとなる。
特に、超高電圧を用いる電子顕微鏡においては、エネルギーフィルタ80を通過する電子線に対して強い静磁場Bを印加する必要がある。このため、電流容量の大きな太いコイルを用いて多くの電流を流すと共に、コイルの発熱による温度変化を防止する冷却装置も必要となる。そして、これらすべてを、図8に示す様なコアおよびヨークに挟まれる間隙部分に配設するには困難は伴う。
これらのことから、荷電粒子の飛行経路に沿った所定長さの静磁場空間を確保しつつ、コイルが配設される間隙部分が大きなエネルギーフィルタをいかに実現するかが重要となる。
この発明は、上述した背景技術による課題を解決するためになされたものであり、荷電粒子の飛行経路に沿った所定長さの静磁場空間を確保しつつ、コイルが配設される間隙部分が大きなエネルギーフィルタを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明にかかるエネルギーフィルタは、荷電粒子の円弧をなす飛行経路に沿って扇形の静磁場空間を形成し、前記円弧を含む円弧面と直交する直交方向から前記静磁場空間を挟みこむように対向配置される2つのポールピースと、2つの前記ポールピースを、前記直交方向の静磁場空間の外側から支持し、前記飛行経路に沿った経路長さが前記ポールピースよりも短い2つのコアと、2つの前記コアを前記直交方向の静磁場空間の外側から支持する2つのコア基板と、
2つの前記コア基板を磁気的に接続し、前記ポールピースの前記飛行経路に沿った2つの端部近傍に配置される一対のヨークと、前記コアは、前記円弧面に平行な方向であって、かつ前記飛行経路と直交する方向の幅を備え、前記コアに静磁場を発生させ、前記飛行経路に沿った前記コアおよび前記ヨーク間に形成される間隙に配設される2つのコイルとを備える。
この請求項1に記載の発明では、コアの経路長さをポールピースの経路長さより短いものにしているので、コアとヨークの間の間隙が生じ、この間隙にコイルを配設する。また、経路長さの短縮による磁束密度の上昇を低くおさえる。
また、請求項2に記載の発明にかかるエネルギーフィルタは、請求項1記載のエネルギーフィルタにおいて、前記コアは、前記ポールピースと対向するxy平面の面積が、前記ポールピースがコアと対向するxy平面の面積以上の大きさを備えることを特徴とする。
この請求項2に記載の発明では、コアは、ポールピースと同様の磁性材料を用いる際に、磁気飽和が防止される。
本発明によれば、コアの荷電粒子の飛行経路に沿った経路長さを、ポールピースの経路長さより短いものにして、ポールピースにより形成される静磁場空間の飛行経路長さを所定の長さにしたままで、コアとヨークとの間に生じる間隙にコイルを配設することとしているので、コイルの配設を容易にしかも確実に行うことができると共に、空間的に余裕を持ったコイルの配設により、コイルの電流容量を大きくすること、さらには冷却装置等をコイルに近接配置し、コイルの発熱に起因するコアの温度上昇を軽減し、ひいては静磁場強度の温度ドリフトを軽減することができる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるエネルギーフィルタを実施するための最良の形態について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1にかかるエネルギーフィルタを用いたオメガフィルタ10の全体構成について説明する。ここで、オメガフィルタ10は、例えば透過型電子顕微鏡に搭載されており、電子銃で発生される電子ビームを入力し、この電子ビームから特定のエネルギーを有する電子のみを選別し、試料に照射する。
図1は、オメガフィルタ10の全体構成を示す図である。オメガフィルタ10は、エネルギーフィルタ11〜14および基板15を含む。なお、図1中に示されたxyz軸は、すべての図面に共通する座標軸で、図面相互の位置関係を示している。
エネルギーフィルタ11〜14は、基板15上の図1に示す位置に配設される。そして、図1のy軸方向からエネルギーフィルタ11に入射される電子ビーム1は、エネルギーフィルタ11〜14で発生される静磁場により、円弧状の飛行経路90の通過および電子のフィルタリングを順次行い、最終的にはエネルギーフィルタ14から、特定のエネルギーのみからなる単色の電子ビームとして射出される。
エネルギーフィルタ11〜14は、すべて同様の構造および機能を有する。一例として、エネルギーフィルタ12の構造および機能を説明する。図2は、エネルギーフィルタ12の外観を示す外観図である。エネルギーフィルタ12は、入力窓20および出力窓21を有し、エネルギーフィルタ11を透過した電子ビーム1は、入力窓20からエネルギーフィルタ12に入力され、エネルギーフィルタ12内を円弧状の飛行経路90に沿って移動する。その後、電子ビーム1は、出力窓21から出力され、エネルギーフィルタ13に入力される。この際、エネルギーの異なる電子は、飛行経路90の違いから、出力窓21から出力されず、フィルタリングが行われる。
図3は、図2に示すエネルギーフィルタ12における、電子ビーム1の飛行経路90に沿ったAA′断面を示す断面図である。エネルギーフィルタ12は、コア基板83および93、ヨーク87および97、ポールピース31、ヨーク34、35、44および45、コイル36および46、コア32、並びに、ポールピース&コア41を含む。ここで、コア基板83および93、並びに、ヨーク87および97は、背景技術の欄で述べたものと全く同様であるので、詳しい説明を省略する。
コア32は、鉄等の磁性材料からなり、コイル36に流される同一方向の電流により、概ね均一な静磁場Bを荷電粒子の飛行経路90に沿って発生させる。コア32は、飛行経路90に沿った長さが、ポールピース31より短いものとなっている。また、ヨーク34および35は、図8に示したヨーク84および85と同様の材質および機能を有するもので、コア32と対向する面に凹みを有する。これにより、コア32およびヨーク34、35の間には、コイル36の断面と比較して大きな間隙37および38が形成される。
ポールピース31は、電子ビームが拡散するのを防止するレンズとして機能するように、コア32で発生された静磁場Bの空間分布を整形する。
ポールピース&コア41は、ポールピース31およびコア32と同様の材質、機能および構造を有するもので、ポールピース31およびコア32を一体化したものである。そして、ポールピース&コア41は、ポールピース31に対応する部分にポールピース部、コア32に対応する部分にコア部を有し、コア部は、飛行経路90に沿った長さが、ポールピース31より短いものとなっている。また、ヨーク44および45は、ポールピース&コア41のコア部と対向する面に凹みを有する。これにより、ポールピース&コア41のコア部およびヨーク44、45の間には、コイル46の断面と比較して大きな間隙47および48が形成される。
コイル36および46は、図3に示す断面と直交する面内で、コア32およびポールピース&コア41のコア部の辺縁部に巻かれたループ状の金属導体からなる。ここで、間隙37および38が存在する位置には、コイル36が有するループ状の金属導体の断面が示されている。また、間隙47および48が存在する位置にも同様に、コイル46が有するループ状の金属導体の断面が示されている。
これにより、コイル36は、ポールピース31およびヨーク34、35間に配設されるよりも、周囲の壁面から距離的に余裕を持った配設となる。また、コイル46も同様である。
なお、コア基板93に配設されるポールピース&コア41は、一体とされることにより、加工あるいは取り付け等の手間を簡略化し、製造工数が軽減される。また、ポールピース31およびコア32は、矩形断面の構造体が重ねられたものとして図示されているが、この2つの接合面端部でコア32の断面に丸みを持たせることもできる。これにより、この接合面端部で、局所的に磁束密度が高くなることを軽減する。
図4は、エネルギーフィルタ12を、図3に示すBB′断面から見た断面図である。ヨーク87および97、並びに、側壁42および43に囲まれて、コイル36、コア32およびポールピース31が存在する。ここで、コア32は、飛行経路90と直交する方向の幅が、ポールピース31よりも大きなものとなっている。そして、ポールピース31のxy平面の面積をAp、コア32のxy平面の面積をAcとすると、Ap≦Acとなっている。
また、コイル36は、コア32のxy平面の周りを囲むように巻かれており、電流を流すことにより、紙面と垂直なz軸方向に静磁場を発生する。また、コイル36は、コア32およびヨーク34、35間の間隙37、38に配設されているので、飛行経路90に沿ってコア32より長いポールピース31および凹みのあるヨーク34、35に部分的に被われた状態となっている。
つぎに、エネルギーフィルタ12の動作について図5を用いて説明する。図5は、エネルギーフィルタ12のコイル36および46に電流を流して形成される静磁場を、模式的に示した模式図である。なお、図5中に表示される矢印は、飛行経路90上のものを省いて、すべて静磁場を示している。
コイル36および46は、同方向に電流が流され、コア32およびポールピース&コア41のコア部に静磁場が形成される。そして、コア32およびポールピース&コア41のコア部で形成された静磁場は、ポールピース31およびポールピース&コア41のポールピース部で整形され、ポールピース31およびポールピース&コア41間の静磁場空間に均一で荷電粒子の発散を防止するレンズ効果を有する静磁場Bが形成される。
ここで、静磁場を発生するコア32は、荷電粒子の飛行経路90に沿った長さがポールピース31と比較して短くなっているものの、図面と直交する方向の長さは、ポールピース31より長いものとなっている。そして、上述したようにコア32の静磁場と直交する面の面積Acは、ポールピース31の面積Apと等しいかあるいはそれより大きなものとなっている。
従って、コア32内で発生される磁束をΨとすると、コア32は、Ψ/Acの磁束密度を有し、一方ポールピース31は、磁束Ψを概ね吸収し、この磁束Ψを全面に拡げるので、コア32と同一材料である場合に、Ψ/Ap≧Ψ/Acの磁束密度を有する。これにより、コア32は、飛行経路90に沿った長さがポールピース31より短いものの、ポールピース31と概ね同等もしくはそれ以下の磁束密度を有する。そして、コア32に過大な磁束密度が発生し、磁気の飽和状態となることを防止する。
なお、コア32およびポールピース31の接合断面の端部では、磁束密度が局所的に高くなりうるが、コア32の接合断面端部に丸みを付ける等の処置により、磁束密度の軽減を計ることもできる。また、ポールピース&コア41も全く同様の動作を示し、コア部が磁気の飽和状態となることを防止する。
静磁場空間に発生された静磁場Bは、コア基板93、ヨーク87および97、そしてコア基板83において、リターンパスを形成し、閉じた磁気回路とされる。
また、コイル36および46が配設される間隙37、38、47および48は、コイル36および46の大きさと比較して大きなものとなるので、周囲に配置されるポールピース、コアおよびヨーク等に接することなく余裕を持って配設される。これにより、コイル36および46で発生する熱が、ポールピース31、コア32およびポールピース&コア41に直接伝わることを防止し、ポールピース31、コア32およびポールピース&コア41の温度変化を軽減する。なお、磁性材料から構成されるポールピース31、コア32およびポールピース&コア41の磁気特性は、温度変化に敏感であり、温度変化により発生する静磁場強度が大きく変動する。
上述してきたように、本実施の形態1では、コア32の飛行経路90に沿った長さが、ポールピース31よりも短くされ、間隙37、38が、コイル36を構成するループ状の金属導体の断面の大きさと比較して大きなものとされるので、コイル36が周囲のポールピース31およびコア32等に接することなく電流容量の大きなコイルを配設することができると共に、コイル32で発生される熱の周囲への拡散を防止することができる。また、加工の工数が軽減される、コア32およびポールピース31を一体化した構造のポールピース&コア41を用いても同様のことができる。
また、本実施の形態1では、コイル36および46のみを、間隙37、38、47、48に配設することとしたが、コイル36および46を真空容器で囲み、周囲との断熱効果を高めることもできる。さらに、水冷パイプ等をコイル36および46に併設することで、コイル36および46を冷却することもできる。
また、本実施の形態1では、コア基板83に装着されるコア32およびポールピース31を異なる構造体とし、コア基板93に装着されるコア&ポールピース41を、コア32およびポールピース31が一体化された構造体としたが、2つのコア基板とも異なるコアおよびポールピースの構造体あるいは一体化されたコア&ポールピースの構造体とすることもできる。
(実施の形態2)
ところで、上記実施の形態1では、コア基板83に装着されるコア32およびポールピース31を異なる構造体としたが、コア基板83およびコア32を一体化された構造体とすることもできる。そこで本実施の形態2では、コア基板83およびコア32を一体化したエネルギーフィルタ60を示すことにする。
ここで、エネルギーフィルタ60は、エネルギーフィルタ12と全く同様の機能を有し、図2に示すものと全く同様の外観を有する。
図6は、図2に示すエネルギーフィルタ12のAA′断面に相当するエネルギーフィルタ60の断面を示す断面図である。エネルギーフィルタ60は、コア基板部53および63、ポールピース52および62、ヨーク54、55、64、65、87および97、並びに、コイル36および46を含む。ここで、コイル36および46、並びに、ヨーク87および97は、背景技術の欄および実施の形態1で述べたものと全く同様であるので、詳しい説明を省略する。また、コア基板部53、ポールピース52、ヨーク54および55、並びにコイル36は、コア基板部63、ポールピース62、ヨーク64および65、並びにコイル46と、飛行経路90を挟んで完全な対称構造を有し、機能的にも同様であるので、以下にコア基板部53、ポールピース52、ヨーク54および55、並びにコイル36についてのみ説明する。
コア基板部53は、概ね図3に示したコア32、コア基板83およびヨーク34と同様の材質および機能を有し、コア32に対応するコア56、コア基板83に対応するコア基板58、およびヨーク34に対応するヨーク59からなる。なお、コア56、コア基板58およびヨーク59の境界は、図6に示すコア基板部53中に破線で示されている。また、コア56は、飛行経路90に沿った長さが、ポールピース52より短いものとされる。なお、コア基板部63にも同様のコア66、コア基板68およびヨーク69が存在する。
また、図3に示される間隙37および38と同一位置に存在する間隙57は、コア基板部53に掘削等の加工を施し、コイル36をコア基板部53に埋め込むような溝として形成される。
ポールピース52は、コア基板部53のコア56に配設され、飛行経路90に沿って発生される静磁場を、均一度が高くレンズ効果を有するものとする。
ヨーク54および55は、図3に示すヨーク34および35と概ね同様の機能および構造を有する。しかし、ヨーク54および55は、ヨーク34および35のコア基板83と接する部分に相当するヨーク59が、コア基板部53と一体構造とされる。また、コイル36は、コア基板部53の間隙57に配設される。
図7は、図6に示すエネルギーフィルタ60のCC′の断面を示す図である。ヨーク87および97、並びに、側壁42および43に囲まれて、コア基板部53、コイル36、ヨーク54および55、並びに、ポールピース52が存在する。ここで、コア基板部53のコア56は、飛行経路90と直交する方向の幅が、ポールピース52よりも大きなものとなっている。そして、ポールピース52のxy平面の面積をAp、コア基板部53のコア56が有するxy平面の面積をAcとすると、Ap≦Acとなっている。
ここで、間隙57は、中央部分に形成されるコア基板部53のコア56を囲む溝からなり、この溝にコイル36が配設される。コイル36は、電流を流すことにより、紙面と垂直なz軸方向に静磁場を発生する。
なお、エネルギーフィルタ60の動作は、図5を用いて説明したエネルギーフィルタ12の動作と全く同様であるので説明を省略する。
上述してきたように、本実施の形態2では、コア基板部53を、コイル36が巻かれるコア56、コア56を裁置するコア基板58およびヨーク59からなる一体構造のものとしているので、コア56、コア基板58およびヨーク59の形成を、例えば掘削加工のみを用いた間隙57を形成する工程のみで済ませ、加工の工数を軽減することができる。
また、本実施の形態2では、対向する2つのポールピース52および62を支持するコア基板部53および63は共に同一構造のものとしたが、どちらか一方のみをコア56、コア基板58およびヨーク59が一体化したものとし、もう一方は、実施の形態1で示した様な、コア32、コア基板83およびヨーク34が独立した構造体のもの、あるいはポールピース&コア41のようなポールピースとコアが一体化した構造体のものを用いることもできる。
複数のエネルギーフィルタから構成されるオメガフィルタの全体構成を示すブロック図である。 エネルギーフィルタの外観を示す外観図である。 実施の形態1に示すエネルギーフィルタの断面を示す断面図である。 実施の形態1に示すエネルギーフィルタのもう1つの断面を示す断面図である。 実施の形態1のエネルギーフィルタの動作を示す模式図である。 実施の形態2に示すエネルギーフィルタの断面を示す断面図である。 実施の形態2に示すエネルギーフィルタのもう1つの断面を示す断面図である。 エネルギーフィルタの従来例を示す断面図である。
符号の説明
1 電子ビーム
10 オメガフィルタ
11、12,13,14、60、80 エネルギーフィルタ
15 基板
20 入力窓
21 出力窓
31,52,62,88 ポールピース
32,56,66、82、92 コア
32 コイル
34、35、44,45、54,55、64,65 ヨーク
59,69 ヨーク
84、85、87、97、94、95 ヨーク
36、46、86,96 コイル
37、38、47、48,57,67 間隙
41 ポールピース&コア
42、43 側壁
53、63 コア基板部
58、68、83、93 コア基板
81、91 ポールピース部
90 飛行経路

Claims (2)

  1. 荷電粒子の円弧をなす飛行経路に沿って扇形の静磁場空間を形成し、前記円弧を含む円弧面と直交する直交方向から前記静磁場空間を挟みこむように対向配置される2つのポールピースと、
    2つの前記ポールピースを、前記直交方向の静磁場空間の外側から支持し、前記飛行経路に沿った経路長さが前記ポールピースよりも短い2つのコアと、
    2つの前記コアを前記直交方向の静磁場空間の外側から支持する2つのコア基板と、
    2つの前記コア基板を磁気的に接続し、前記ポールピースの前記飛行経路に沿った2つの端部近傍に配置される一対のヨークと、
    前記コアは、前記円弧面に平行な方向であって、かつ前記飛行経路と直交する方向の幅を備え、
    前記コアに静磁場を発生させ、前記飛行経路に沿った前記コアおよび前記ヨーク間に形成される間隙に配設される2つのコイルと、
    を備えるエネルギーフィルタ。
  2. 前記コアは、前記ポールピースと対向するxy平面の面積が、前記ポールピースがコアと対向するxy平面の面積以上の大きさを備えることを特徴とする請求項1に記載のエネルギーフィルタ。
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