JP4761550B2 - 湾曲自在シート受け部材 - Google Patents
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Description
このために上記骨組みに、図示を省略する取付金具を介して直線状のシート受け部材を取り付けることが広く実施されている。
このシート受け部材について、図5を参照して説明すると、この直線状のシート受け部材5は、底壁51に続いて左右対称に内方に向けられた傾斜壁52をもち、その両傾斜壁52で形成された蟻溝53内に上記フィルムを台形部が左右に交互に連続する定着用波形線材54にて挿入し、その波形線材54の弾性力にて上記蟻溝53内の左右両側の傾斜壁52にビニールシート55を挾圧定着するものである。
下記特許文献1に記載された発明は、図1に示されるハウス用の骨組みが直線状部材から構成されている場合は、上記の直線状のシート受け部材を問題なくハウス用骨組みに取り付け、フィルムを安定して定着することができるが、骨組みがアーチ状に湾曲している部位においては、そのアーチ状骨組みの形状に予め変形させるかその骨組みに沿わせつつ変形させて取り付ける必要がある。
このように、シート受け部材の開口部を表面とした状態で上記構造のものを湾曲すると、開口部が開いた状態となるため、シート受け部材と波形線材の係合関係が緩んで、波形線材が外れ易くなり、特に強風にてフィルムが強い引張りを受けるとその現象が顕著となる。
また、簡易建物の骨組みの曲率半径、シート受け部材の材料、形状、部材厚等にもよるが、著しい場合には、シート受け部材自体が変形、破損することすらある。
このとき特許文献2に記載された発明は、シート受け部材61の変形に拡幅装置66が追随できず、両者の間に相対的な運動が繰返される。そして、その相対的な運動が継続している間、シート受け部材61の両側壁63に形成されたスリット64が拡大縮小の変形を繰返すこととなる。
その結果、シート受け部材61の両側壁63と拡幅装置66の間に挟持されたフィルム69は、拡幅装置によって側壁のスリット端部に押し付けられながら擦られる。
以上のことから、特許文献2に記載された発明のシート受け部材により展張されたフィルムは摩擦接触により損傷を受け易く、その寿命が短くなってコストアップの要因となる。
特に、ポリオレフィン系フィルムは、耐候性に優れ、燃焼時有害ガスを発生しないため廃棄処理が容易である反面、擦れに対して特に弱い性質を有しているので、上記の問題が顕著に表われる。
請求項2に係る発明のシート受け部材のスリットの形状は、矩形、長楕円形または幅狭の菱形であることを特徴としている。
請求項3に係る発明のシート受け部材は、底壁に続く両側壁がそれぞれ内向きに円弧状に立ち上って傾斜側壁とされた断面蟻溝形の長尺とされた、前記定着用波形線材の弾性力にて蟻溝内の左右両側の前記傾斜側壁内面にビニールシートを挾圧定着するものであり、スリットが前記定着用波形線材による押圧力を受けない領域である底壁及び側壁の円弧部下部に、その短手方向に断続的に形成されるとともにその長手方向に所定間隔をおいて配置されていることを特徴としている。
請求項4に係る発明のシート受け部材のスリットの形状は、幅狭の菱形または六角形であることを特徴としている。
請求項5に係る発明のシート受け部材は、底壁に続く両側壁がそれぞれ内向きに円弧状に立ち上って傾斜側壁とされた断面蟻溝形の長尺とされた、前記定着用波形線材の弾性力にて蟻溝内の左右両側の前記傾斜側壁内面にビニールシートを挾圧定着するものであり、切込が前記定着用波形線材による押圧力を受けない領域である底壁及び側壁の円弧部下部に、前記シート受け部材の短手方向に連続的に形成され、その切込のいずれか一方の端縁が下方に折り曲げられて段差が設けられ、前記底壁の長手方向に所定間隔をおいて配置されていることを特徴としている。
請求項6に係る発明のシート受け部材は、開口部にカール部を備えた断面蟻溝形とされ、長手方向の一端部は断面形状を相似形のまま板厚程度縮小化されるとともに、前記カール部の外側部分を前記シート受け部材の他端部のカール部の間隔より少し小さい間隔とされていることを特徴としている。
また、定着手段によってシート受け部材の内壁に押し付けられるフィルムは、強風時や地震時においてシート受け部材が変形しても、シート受け部材に湾曲自在として可撓性を高めるために形成されたスリット等の応力非伝達部の端縁にて擦られることがないから、フィルムに皺が発生したり破損することがなく、フィルムの展張状態を長期間安定的に維持することができる。
さらに、応力非伝達部は、定着手段による押圧力を受けない領域である長尺のシート受け部材の底壁及び側壁下部に形成した短手方向に連続したスリットとしたから、部材厚が厚いものであっても容易に湾曲することができる。
このように、シート受け部材やフィルムの変形や損傷を防止して、簡易建物の構築時と使用時を通じてコストを低廉化することが可能な簡易建物のシート受け部材を提供することができる。
請求項2に係るものにあっては、スリットの形状を矩形、長楕円形または幅狭の菱形としたから、これら形状を選択することにより部材の強度を考慮しつつ、簡易建物の骨組みのさまざまな湾曲度合いや曲率に対応することができる。
請求項3に係るものにあっては、応力非伝達部のそれぞれを、シート受け部材の短手方向に断続的に形成されたスリットとしたから、応力非伝達部の形成ピッチを小さくすることにより、その湾曲形状を小さな曲率の骨組みに柔軟に適合させることができる。また、シート受け部材の定着手段による押圧力を受けない領域である底壁及び側壁下部に形成された断続的に形成されたスリットの応力非伝達部に、応力を伝達可能なブリッジが存在して、請求項1乃至2に係るものに比べ強度が増すことから、部材厚を薄くすることができる。
請求項4に係るものにあっては、幅狭の菱形や六角形のものを短手方向に狭い間隔をおいて不連続状に配置すると、部材が長手方向に繋がっている部分は少なくなるから、連続した切欠きを形成されたものと同等の可撓性を備えさせつつ、運搬時に不本意に湾曲する事故を防止することができる。
請求項5に係るものにあっては、切欠きのいずれか一方の端縁を下方に折り曲げて両者に段差を設けるようにしたから、シート受け部材を湾曲加工したときに、切込みの端縁同士が衝突して蟻溝内に突起ができないようにすることができる。
請求項6に係るものにあっては、その形状を開口部にカール部を備えた断面蟻溝形とし、長手方向の一端部は断面形状を相似形のまま板厚程度縮小化するとともに、カール部の外側部分をシート受け部材の他端部のカール部の間隔より少し小さい間隔としたから、シート受け部材同士を長手方向に接続する場合、特別の接続具を用いることなく簡単に施工することができる。
1は、一般構造用炭素鋼管から組成された簡易建物の骨組み構造を表わすものであり、通常この骨組みには、ポリエステル系、ビニル系、ポリオレフィン系、フッ素系等のフィルム、シート等の被覆材が被覆されて、温室、サクランボハウス、畜舎、露地野菜用防虫ハウス、倉庫等の簡易な建物として利用される。
骨組みユニット3は、上述の端部アーチ材用の鋼管パイプ2と同じ高さで、正面視したときの幅がやや広く、平面視して斜めに配置したときに端部アーチ材用の鋼管パイプの形状と同じになる、正面視左右対称形状の4本の湾曲した鋼管パイプの先端を、図示を省略するX字接続管に挿入固定して交差状に組み立てられている。
このようにして組み立てられた骨組みユニット3は、平面視してX字状を、正面視してアーチ状を呈する。
この骨組みユニット3は、4本の湾曲した鋼管パイプにて骨組みを構成したが、この例に限らず、それ自体アーチ形状をした2本の湾曲部材を上記のものとは異なるX字接手により立体的に交差した状態に接合してもよい。
なお、タイバーの取り付け方については、全ての骨組みユニット3に取り付けてもよい。また、骨組みユニット3の左側、あるいは両側に取り付けることも可能である。要するに、風の強さや降雪量等の地域特性を考慮して決定すればよい。
11は、上記端部アーチ材と上記アーチ材の頂部に接合された棟木、12、13は、該両アーチ材の肩部、柱部下端部に接合された桁材、裾材である。
さらに詳述すれば、簡易建物用の長尺シート受け部材上にビニールシートを配置した後、一定の長さの波形線材を用いてビニールシートをシート受け部材に定着する場合には、まず前記波形線材の一端をもってビニールシートとともに両カール部間の開口から蟻溝に押し込み、シート受け部材のそれぞれ内向きに円弧状をした両側壁に波形線材の最初の台形部を挾持し、ついで波形線材の台形部を順次シート受け部材の蟻溝に押し込み、波形線材の弾性力によって蟻溝内の円弧状をした両側壁に挾持固定していき、前記波形線材の終端に至って、1本の波形線材の装着が終了する。
さらに、波形線材を連続して装着する場合は上記波形線材の終端に対向する蟻溝の反対円弧面に次の波形線材の先端部を位置するように押し込み、シート受け部材の長手方向に一様に挾圧定着する。以下同様の作業をくり返す。
この実施例にあっては、複数枚のビニールシート55を重ねて展張することや、または複数の波形線材54a、54bによって1枚のシート55aを定着することが可能である。
そして、本発明に係るシート受け部材5は、簡易建物の骨組み2がアーチ状に湾曲しているときに、その骨組みの湾曲形状に合わせるための湾曲加工を容易かつ確実にするため、この定着手段54a、54bの押圧力を受けない領域に、部材自体に生じるせん断応力、曲げ応力等の応力を伝達しない応力非伝達部57が形成されている。
連続したスリットの形状としては、矩形、長楕円形、幅狭の菱形等があるが、部材の強度を考慮しつつ、簡易建物の骨組みのさまざまな湾曲度合いや曲率に対応することができる形状を選択すればよい。
また、この切欠き57は、短手方向に断続的な不連続のものとしてもよい。
このときの切欠き57の形状は、上記形状のものの外、六角形のものも有効である。幅狭の菱形や六角形のものを短手方向に狭い間隔をおいて不連続状に配置すると、部材が長手方向に繋がっている部分は少なくなるから、連続した切欠きを形成されたものと同等の可撓性を備えさせつつ、運搬時に不本意に湾曲する事故を防止することができる。
このスリット57は、両端より150mmの位置から中央に向かって50mmピッチで、スリット幅3mm、長さ31.5mmのものとしている。このスリットの長さは、定着手段である波形線材54の押圧力を受けない領域の最大値としている。すなわち、スリットの両端は、波形線材54とシート受け部材5の蟻溝内の円弧状をした両側壁との接触部より少し下の位置までとしている。
なお、シート受け部材5を湾曲加工したときに、切込みの端縁同士が衝突して蟻溝内に突起ができないように、いずれか一方の端縁を下方に折り曲げて両者に段差を設けてそのレベルを一致させないようにするとよい。
すなわち、断面蟻溝型のシート受け部材5の端部が、カール部の内側部分を長手方向に平行な直平面状のはめ合せ用外摺動面58に形成した外ジョイント部とし、またはこのはめ合せ用外摺動面58を設けずに、これと接続される他のシート受け部材5の端部は、その横断面形状を相似形のまま板厚程度縮小化するとともに、そのカール部53の外側部分を前記外ジョイント部のはめ合せ用外摺動面58の間隔より少し小さい間隔で長手方向に平行な直平面状のはめ合せ用内摺動面に形成した内ジョイント部56とし、二つのシート受け部材は外ジョイント部の内側に内ジョイント部56を差し込み、前記はめ合せ用外摺動面にはめ合せ用内摺動面56が平行に密着した状態で接続されるものである。
また、定着手段54は実施例として示した波形線材に限られない。
要するに、定着手段がシート受け部材の内壁に圧力をかけることにより両者間にシートを挟持するものであればよい。
本発明に係るシート受け部材を製作するには、所定幅の鋼材に切欠きまたは切込みを形成した後、成形ロールにて成形する。
2 端部アーチ材
3 アーチ材
4 タイバー
11 棟木
12 桁材
13 裾材
5 シート受け部材
51 底壁
52 側壁
53 カール部
54 定着手段
55 シート
57 応力非伝達部
Claims (6)
- 定着用波形線材を有するシート受け部材であって、
該シート受け部材は、底壁に続く両側壁がそれぞれ内向きに円弧状に立ち上って傾斜側壁とされた断面蟻溝形の長尺とされた、前記定着用波形線材の弾性力にて蟻溝内の左右両側の前記傾斜側壁内面にビニールシートを挾圧定着するものであり、スリットが前記定着用波形線材による押圧力を受けない領域である底壁及び側壁の円弧部下部に、その短手方向に連続的に形成されるとともにその長手方向に所定間隔をおいて配置されたシート受け部材。 - 前記スリットの形状は、矩形、長楕円形または幅狭の菱形であることを特徴とする請求項1に記載されたシート受け部材。
- 定着用波形線材を有するシート受け部材であって、
該シート受け部材は、底壁に続く両側壁がそれぞれ内向きに円弧状に立ち上って傾斜側壁とされた断面蟻溝形の長尺とされた、前記定着用波形線材の弾性力にて蟻溝内の左右両側の前記傾斜側壁内面にビニールシートを挾圧定着するものであり、スリットが前記定着用波形線材による押圧力を受けない領域である底壁及び側壁の円弧部下部に、その短手方向に断続的に形成されるとともにその長手方向に所定間隔をおいて配置されたシート受け部材。 - 前記スリットの形状は、幅狭の菱形または六角形であることを特徴とする請求項3に記載されたシート受け部材。
- 定着用波形線材を有するシート受け部材であって、
該シート受け部材は、底壁に続く両側壁がそれぞれ内向きに円弧状に立ち上って傾斜側壁とされた断面蟻溝形の長尺とされた、前記定着用波形線材の弾性力にて蟻溝内の左右両側の前記傾斜側壁内面にビニールシートを挾圧定着するものであり、切込みが前記定着用波形線材による押圧力を受けない領域である底壁及び側壁の円弧部下部に、前記シート受け部材の短手方向に連続的に形成され、その切込みのいずれか一方の端縁が下方に折り曲げられて段差が設けられ、前記底壁の長手方向に所定間隔をおいて配置されたシート受け部材。 - 前記シート受け部材は、開口部にカール部を備えた断面蟻溝形とされ、長手方向の一端部は断面形状を相似形のまま板厚程度縮小化されるとともに、前記カール部の外側部分を前記シート受け部材の他端部のカール部の間隔より少し小さい間隔とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたシート受け部材。
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