JP4758140B2 - 乾燥装置と乾燥方法 - Google Patents
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廃棄物を焼却処理する前に温水を用いて加熱しても、その水分を充分に蒸発させることは難しい。多量に水を含んだ廃棄物を焼却炉の内部に送り込み、乾燥させながら焼却処理するには、焼却炉に大きな負荷がかかる。一方、再利用可能な資源ゴミは、焼却をせずに乾燥させる。その乾燥処理には水蒸気を使用する。水蒸気は、摂氏150度位まで被乾燥物を加熱することができ、水分を効率良く蒸発させて乾燥処理する。しかしながら、このような温度で資源ゴミを乾燥させると、被乾燥物が焦げたり熱劣化して有効利用が図れなくなるという問題も生じる。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、資源ゴミを低い温度で乾燥処理することができる乾燥装置と乾燥方法を提供することを目的とする。また、さらに、本発明は資源ゴミの乾燥に機器の廃熱で温度上昇した温水を使用して、熱源のためのエネルギを節約することができる乾燥装置と乾燥方法を提供することを目的とする。
〈構成1〉
温水を導入する温水導入口と、タンク壁面に形成されて、上記温水の熱により上記タンク壁面を加熱する温水通路と、上記タンクの内部において、加熱される被乾燥物を攪拌する攪拌装置と、上記タンク内部で加熱されて蒸発した水蒸気を吸引して当該タンク内部を大気圧よりも低い気圧雰囲気に減圧する減圧装置と、上記吸引された水蒸気を凝縮する凝縮装置とを備え、
前記温水通路は、前記円筒状のタンク側壁面に沿って、前記回転軸を中心とした螺旋状に形成され、前記攪拌機の回転方向と前記温水通路を流れる温水の流れの方向とが逆方向になるように、温水入口と温水出口を配置したことを特徴とする乾燥装置。
さらに、温水通路全体に被乾燥物が偏りなく対向するので、被乾燥物全体が均一に乾燥される。
構成1に記載の乾燥装置において、温度が摂氏60度以上の温水を使用して、水分量が30重量%以下まで、被乾燥物を乾燥させるための乾燥装置。
構成1または2に記載の乾燥装置において、上記温水は、任意の機器の廃熱により温度上昇した水であることを特徴とする乾燥装置。
構成1に記載の乾燥装置において、上記タンクは略円筒状であって、その円筒の軸部に回転軸を配置して、上記被乾燥物を攪拌する攪拌装置を備えたことを特徴とする乾燥装置。
構成1乃至4に記載の乾燥装置において、上記温水通路は、上記円筒状のタンク側壁面に沿って、上記回転軸を中心とした螺旋状に形成され、上記タンクが上記回転軸を略鉛直方向に向けて設置されているとき、温水がタンク壁面に沿って下方から上方に流れるように、温水導入口と温水排出口とを配置したことを特徴とする乾燥装置。
構成1乃至4に記載の乾燥装置において、上記タンク壁面に、互いに独立した温水通路を複数形成したことを特徴とする乾燥装置。
構成1乃至4に記載の乾燥装置において、上記タンク壁面の全部または一部を取り巻いて覆うように、線状の温水通路を一連続に形成したことを特徴とする乾燥装置。
構成1乃至7に記載の乾燥装置において、上記タンク壁面の一部に、当該水蒸気の熱により上記タンク壁面を加熱する水蒸気通路を形成したことを特徴とする乾燥装置。
構成8に記載の乾燥装置において、上記タンク壁面であって、非平坦面を含む部分に、上記水蒸気通路を形成したことを特徴とする乾燥装置。
構成1乃至9に記載の乾燥装置において、上記凝縮装置は、減圧雰囲気においてタンク内部から吸引された水蒸気を凝縮し、上記凝縮により発生した水を貯留する貯留槽と、当該貯留槽の水面上方の空間と上記凝縮装置中の空間とを連結する均圧管とを備えたことを特徴とする乾燥装置。
構成1乃至10に記載の乾燥装置において、タンクの底面に温水通路を形成したことを特徴とする乾燥装置。
図において資源ゴミなどを乾燥させるためのタンク10は、略円筒状の金属容器から構成される。タンク10の形状は円錐台状でも構わないが、ここでは、真円断面を持つ円筒状の実施例を示した。タンク10の底面には、脚11が固定されており、タンク10を床の上に直立させている。タンク10の上面には、蓋12が被せられる。この蓋12は、ハンドル13を持って開閉することができる。図1には蓋12を開いた状態を示している。開いた蓋12を図1の姿勢に保持するためにダンパ14が取り付けられている。タンク10の内部には、後で説明するような攪拌装置が収容されている。タンク10の底面には、攪拌モータ20が配置されており、ギヤボックス21を介してタンク10の内部の羽根(別図で説明)を回転させ、被乾燥物を攪拌する。
図示の攪拌装置は、回転軸22の側面に複数の攪拌用部材を取り付けたものである。アーム23の先端には、羽根24が固定されている。アーム29の先端には、羽根26が固定されている。これらの羽根24や26は、タンク10の内部で被乾燥物を攪拌し、粉砕し、回転させる機能を持つ。これらの羽根24、26には、被乾燥物の粉砕効果を高めるために、多数の突起が設けられている。回転軸22の上部に設けられた羽根27は、回転軸の周囲に下降気流を形成して、舞い上がった被乾燥物を回転軸22に沿って落下させる機能を持つ。回転軸22は、図1に示したモータ20の駆動力によって矢印28方向に回転し、タンク10の内部に収容された被乾燥物を攪拌する。図2に示した例は、タンク10の構造の一例であって、例えば、タンク10は、上端から下端まで均一な半径を持つ筒状であってもよいし、上端に向かうほど半径の大きくなるすり鉢状であっても構わない。また、羽根24の形状や羽根26の形状も自由に選定して構わない。
図3に示す機器5は、例えば、発電所の蒸気タービン、コジェネ発電設備のラジエータ冷却水である。これらの機器は、正常な運転状態を維持するために冷却水を用いて冷却される。即ち、その冷却水は、蒸気タービンの廃熱によって加熱され温水となる。その温水は通常、そのまま海などに捨てられる。海水を冷却水として利用することもある。温水をそのまま廃棄すると、二次的な環境汚染を引き起こすこともある。
図4(a)に示すように、タンク10の内部の攪拌装置は、被乾燥物9を回転軸22の周りで矢印92方向に回転させる。こうして攪拌された被乾燥物は、ちょうど調理用のミキサーのように、タンク10の内部で回転運動する。タンク10の側壁面に設けられた温水通路は、この回転軸22を中心とした螺旋状とされる。なお、温水通路が幾何学的に螺旋状でなくてもよい。温水の流れる方向が、略螺旋状であればよい。
図5(a)において、タンク10の側壁面には、半割りパイプ44を並べて溶接した温水通路45が形成されている。このような半割りパイプ44をタンク10の壁面に巻き付けるようにして、螺旋状の温水通路45を形成できる。
一方、図5(b)は、タンク10の側壁面に、リング状の鉄板46を多数溶接して、温水通路49を構成する。棚状に並んだ鉄板46の周囲を包囲するように、カバー47を溶接する。タンク10の側壁面と鉄板46とカバー47により、鉄板46の枚数分の温水通路49が形成される。各温水通路49間は、鉄板46に設けた孔48により連絡する。
図5を用いて説明した温水通路49は、円筒状のタンク側壁面に沿って、攪拌装置の回転軸22を中心とした螺旋状に形成される、そして、タンク10が回転軸22を略鉛直方向に向けて設置されているとき、温水がタンク壁面に沿って下方から上方に流れるように、温水導入口41と温水排出口43とを配置した。即ち、図6に示すタンク10の外側壁には、ほぼ螺旋状の温水通路101が1本設けられている。図の矢印の方向に温水が流れ込み、下から上に向かって流れて、上から矢印方向に排出される。図6の右側には、タンク10の温度勾配を示す。横軸が温度で右ほど温度が高い。縦軸はタンク側壁面の位置に対応する。即ち、この構成では、図6に示すように、タンク10の下方ほど温度が高く、上方ほど次第に温度が下がる温度勾配が形成される。タンクの底の水分量の多い被乾燥物をより強く加熱することかできる。
この実施例は、3本の温水通路102、103、104をタンク10の外側に順番に配置した構成のものである。即ち、タンク壁面に、互いに独立した温水通路を複数形成した。この場合に外部から供給された温水は、それぞれの温水通路に分岐して流れ込む。右側の3本の矢印に示す温水入り口部分は最も温度が高く、左側の3本の矢印に示す温水が排出される部分は最も温度が低い。温水通路を複数設けると、タンクの上下方向の温度差を小さくすることができ、加熱性能を高めることも可能になる。温水の湯量が十分にあるときは、この構成が好ましい。
タンク10の側面には、温水通路105と水蒸気通路106とが設けられている。タンク10の上部は、螺旋状の温水通路105を設けている。一方、タンク10の下部の排出口25の周辺は、タンクの側壁面の凹凸が激しい。こうした非平坦面を含む部分に、水蒸気通路106を形成した。水蒸気通路106は、仕切りをした線状の通路としなくてよい。非常に簡単なカバーだけでよい。タンク10の底部も、モータの駆動軸と回転軸との連結機構等があるから、水蒸気通路のほうが、取り付け易い。そこで、図8の実施例では、これらの部分に水蒸気を供給する。
11 脚
12 蓋
13 ハンドル
14 ダンパ
20 攪拌モータ
21 ギヤボックス
32、42 温水通路
31、41 温水導入口
33、43 温水排出口
51、54、64、65 連結パイプ
52 除塵装置
60 凝縮装置
70 減圧ポンプ
62、63 パイプ
80 貯留槽
81 脚
82 ドレンパイプ
83 バルブ
84 均圧管
Claims (11)
- 温水を導入する温水導入口と、
タンク壁面に形成されて、前記温水の熱により前記タンク壁面を加熱する温水通路と、
前記タンクの内部において、加熱される被乾燥物を攪拌する攪拌装置と、
前記タンク内部で加熱されて蒸発した水蒸気を吸引して当該タンク内部を大気圧よりも低い気圧雰囲気に減圧する減圧装置と、
前記吸引された水蒸気を凝縮する凝縮装置とを備え、
前記温水通路は、前記円筒状のタンク側壁面に沿って、前記回転軸を中心とした螺旋状に形成され、前記攪拌機の回転方向と前記温水通路を流れる温水の流れの方向とが逆方向になるように、温水入口と温水出口を配置したことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1に記載の乾燥装置において、
温度が摂氏60度以上の温水を使用して、水分量が30重量%以下まで、被乾燥物を乾燥させるための乾燥装置。 - 請求項1または2に記載の乾燥装置において、
前記温水は、任意の機器の廃熱により温度上昇した水であることを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1に記載の乾燥装置において、
前記タンクは略円筒状であって、その円筒の軸部に回転軸を配置して、前記被乾燥物を攪拌する攪拌装置を備えたことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記温水通路は、前記円筒状のタンク側壁面に沿って、前記回転軸を中心とした螺旋状に形成され、前記タンクが前記回転軸を略鉛直方向に向けて設置されているとき、温水がタンク壁面に沿って下方から上方に流れるように、温水導入口と温水排出口とを配置したことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記タンク壁面に、互いに独立した温水通路を複数形成したことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記タンク壁面の全部または一部を取り巻いて覆うように、線状の温水通路を一連続に形成したことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記タンク壁面の一部に、当該水蒸気の熱により前記タンク壁面を加熱する水蒸気通路を形成したことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項8に記載の乾燥装置において、
前記タンク壁面であって、非平坦面を含む部分に、前記水蒸気通路を形成したことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1乃至9のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記凝縮装置は、減圧雰囲気においてタンク内部から吸引された水蒸気を凝縮し、
前記凝縮により発生した水を貯留する貯留槽と、
当該貯留槽の水面上方の空間と前記凝縮装置中の空間とを連結する均圧管とを備えたことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1乃至10のいずれかに記載の乾燥装置において、
タンクの底面に温水通路を形成したことを特徴とする乾燥装置。
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