JP4255336B2 - 生ごみ処理方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生ごみを加熱して乾燥させる生ごみ処理に関し、乾燥終了の適正化を実現した生ごみ処理方法及びその装置に関する。
厨房等から出る生ごみは多量の水分、油、繊維等を多く含んでおり、これらを乾燥により除去すれば、減量化を図ることができる。乾燥させた生ごみは、有機肥料原料としての用途の他、廃棄処理が容易になる。この生ごみ乾燥処理に関する先行特許文献には次のようなものがある。
特開2002−355635号公報 この特許文献1には、生ごみを加熱する処理槽から出る蒸気を凝縮手段に循環させて冷却させると、蒸気から凝縮水が分離するが、この凝縮水を分離させた蒸気を処理槽に戻す生ごみ処理方法及びその装置が開示されている。この処理方法及び装置では、処理槽内の生ごみの温度を所定温度に到達させたとき、生ごみに加える熱量を減少させるとともに、凝縮手段の入側温度と出側温度との温度差により加熱制御を行っている。
ところで、生ごみは油分や水分に多少の違い等の質的な相違があり、その乾燥処理の結果はその質や量の他、外的条件である外気温の高低によって異なるものである。そこで、外気温度と、乾燥途上で発生する蒸気を冷却して凝縮水を蒸気から分離するラジエターの入側温度及び出側温度とを参照して生ごみの乾燥終了を判断する場合、生ごみによっては乾燥が進みすぎて肥料としては不適、乾燥が不十分なため再乾燥が必要である等、乾燥度がまちまちになるという不都合がある。この場合、外気温を検出するセンサが必要であり、外気温情報を制御に用いるという不都合もある。このような課題は、特許文献1には開示されておらず、その解決手段も提示されていない。
そこで、本発明は、斯かる課題を解決することを目的とし、生ごみの乾燥完了で乾燥処理を終了させることができる生ごみ処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の生ごみ処理方法は、処理槽4で加熱手段(ヒータ32)により加熱温度を初期段階で最高加熱温度、最終段階で最低加熱温度とし、その温度幅内に複数の段階の加熱温度を設定し、前記加熱温度を可変させて生ごみ3を加熱する処理と、この加熱処理により前記処理槽で発生する蒸気40を凝縮手段(ラジエター42)を通して凝縮水58を分離するとともに、凝縮水が分離された蒸気を前記処理槽に循環させる処理と、前記最高加熱温度で加熱を開始し、前記処理槽の槽壁温度が上昇から下降に移行した際の最高温度を記憶手段に記憶し、所定時間後に前記最高温度を超えない場合に前記最高温度をピーク値に設定する処理と、前記最高加熱温度又は前記最高加熱温度より低い加熱温度で加熱処理中に前記ピーク値の到達で加熱温度を切り替える処理と、前記凝縮手段の前記蒸気の入側温度と出側温度とを検出する処理と、前記最低加熱温度で加熱する場合に前記入側温度と前記出側温度との差温が、前記最低加熱温度に移行する前段階の加熱温度下で検出される前記入側温度と前記出側温度との最大差温又はこの最大差温に所定値を加えた値で与えられる基準温度を超えたとき、前記加熱処理を終了させる処理とを含む構成である。
この生ごみ処理方法においては、処理槽に入れた生ごみを加熱手段により加熱しており、加熱手段の形態は電熱、燃焼熱等何れのものでもよい。生ごみの加熱温度には、最高加熱温度と最低加熱温度とを設定し、これらの温度幅内で変更される。このような加熱温度の設定及び変更により、処理槽内で生ごみは焦げ付きを生じることなく、その乾燥が行われる。
そして、生ごみの乾燥処理で処理槽から発生した蒸気は、凝縮手段に導かれて凝縮水と分離された後、処理槽に戻される。凝縮手段で発生する凝縮水は凝縮手段による冷却に依存し、これはその入側温度と出側温度とに現れる。
そこで、凝縮手段の入側温度と出側温度との差温について、乾燥完了が想定される基準温度が設定され、入側温度と出側温度との差温がこの基準温度を超えたとき、加熱処理を終了すれば、安定した乾燥状態を得ることができる。即ち、凝縮手段の入側温度と出側温度の変化の影響を受けることなく、夏と冬、昼と夜というような外気温の相違を吸収でき、しかも、凝縮手段の効率の変化やばらつきにも対応し、含水率のばらつきのない処理物が得られる。
上記目的を達成するためには、前記基準温度は、前記最低加熱温度に移行する前段階の加熱温度下で検出される前記入側温度と前記出側温度との最大差温又はこの最大差温に所定値を加えた値に構成してもよい。斯かる構成とすれば、生ごみの未乾燥を防止でき、乾燥度の均一性が高められる。
上記目的を達成するため、本発明の生ごみ処理装置は、加熱手段(ヒータ32)を備え、装填された生ごみ3に加熱処理を施す処理槽4と、この処理槽で前記生ごみから発生する蒸気40から凝縮水58を分離する凝縮手段(ラジエター42)と、この凝縮手段と前記処理槽との間に連結されて前記蒸気を前記凝縮手段に循環させる循環手段(循環路44)と、前記凝縮手段の前記蒸気の入側温度と出側温度とを検出する温度検出手段(温度センサ66、68)と、前記処理槽で前記加熱手段により加熱温度を初期段階で最高加熱温度、最終段階で最低加熱温度とし、その温度幅内に複数の段階の加熱温度を設定し、前記加熱温度を可変させて前記生ごみを加熱するとともに、前記最高加熱温度で加熱を開始し、前記処理槽の槽壁温度が上昇から下降に移行した際の最高温度を記憶手段に記憶し、所定時間後に前記最高温度を超えない場合に前記最高温度をピーク値に設定し、前記最高加熱温度又は前記最高加熱温度より低い加熱温度で加熱処理中に前記ピーク値の到達で加熱温度を切り替え、前記最低加熱温度に移行する前の加熱温度下で前記入側温度と前記出側温度との差温に、前記最低加熱温度に移行する前段階の加熱温度下で検出される前記入側温度と前記出側温度との最大差温又はこの最大差温に所定値を加えた値からなる基準温度を設定し、前記最低加熱温度で加熱する場合に前記入側温度と前記出側温度との差温が前記基準温度を超えたとき、前記加熱処理を終了させる制御手段(制御装置86)とを含む構成である。
斯かる構成において、処理槽は、加熱手段を備え、装填された生ごみに加熱処理を施す容器である。凝縮手段では、この処理槽で生ごみから発生する蒸気から凝縮水が分離される。循環手段は、この凝縮手段と処理槽との間に連結されており、処理槽に発生した蒸気を凝縮手段に循環させる。また、温度検出手段には、乾燥処理の完了情報として凝縮手段の蒸気の入側温度と出側温度とを検出する。そして、制御手段は、処理槽で加熱手段により加熱温度を初期段階で最高加熱温度、最終段階で最低加熱温度とし、その温度幅内で加熱温度を可変させて生ごみを加熱するとともに、最低加熱温度に移行する前の加熱温度下で入側温度と出側温度との差温に基準温度を設定し、最低加熱温度で加熱する場合に入側温度と出側温度との差温が基準温度を超えたとき、加熱処理を終了させる。
斯かる構成によれば、既述の生ごみ処理方法が実現され、安定した乾燥状態を得ることができる。この結果、凝縮手段の入側温度と出側温度の変化の影響を受けることなく、夏と冬、昼と夜というような外気温の相違が吸収され、しかも、凝縮手段の効率の変化やばらつきにも対応し、含水率にばらつきのない処理物が得られる。
(1) 本発明によれば、生ごみの質や処理量に関係なく、また、外気温の高低に関係なく、乾燥完了とともに加熱処理を終了でき、均一な乾燥処理を実現することができる。
(2) また、本発明によれば、所望の含水率を持つ乾燥処理が可能になるので、焦げ付きのない肥料を生ごみから製造できるとともに、廃棄処理の容易化を図ることができる。
本発明の実施形態について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る生ごみ処理装置の概要を示している。
この生ごみ処理装置2において、乾燥処理の被処理物として例えば、生ごみ3が収容される処理槽4には例えば、底面側を半円筒状とした容器が用いられ、この処理槽4内には生ごみ3を攪拌する攪拌手段としての攪拌羽根車であるスクレーパ6が設けられている。このスクレーパ6は、例えば、回転軸8に放射状に突設した複数のアーム10の先端に攪拌羽根12を取り付けたものであり、回転軸8の両端が処理槽4の側面に設けられた軸受14によって回転可能に支持されている。回転軸8には、攪拌モータ16からの回転力を受けるためのプーリ18が取り付けられ、このプーリ18と攪拌モータ16側の駆動プーリ20との間には、駆動チェーン22が懸け回されている。即ち、スクレーパ6には攪拌モータ16により矢印A、Bで示すように、所望の回転、連続回転、断続回転、正逆回転等の回転パターンを持つ回転が付与される。このスクレーパ6の回転により、処理槽4内の生ごみ3が攪拌されるとともに粉砕される。この実施形態では、スクレーパ6の回転駆動手段として攪拌モータ16を用いているが、エンジン等の駆動手段を用いてもよく、回転伝達手段にはプーリ18及び駆動プーリ20に代えてスプロケットホイール及びチェーンでもよく、また、ギア機構等を用いてもよい。
この処理槽4の上部側には、生ごみ3を処理槽4内に装填するための投入口24が形成されているとともに、この投入口24を開閉する扉26がヒンジ28で開閉可能に取り付けられている。即ち、扉26は把手30を持って開閉可能であり、閉止状態では図示しないパッキン等の封止手段によって処理槽4を密封状態に維持するものである。
また、この処理槽4の底面部には処理槽4内の生ごみ3の加熱手段としてヒータ32が設置されている。このヒータ32には、加熱温度として最高加熱温度、最低加熱温度とともにこれらの最高加熱温度と最低加熱温度との温度幅内に段階的又は連続的に変更させる加熱温度が設定される。ヒータ32の発熱温度の検出手段、即ち、第1の温度検出手段として温度センサ34が設置されている。この温度センサ34は、換言すれば、生ごみ3に加えられる熱量についての加熱温度を検出する温度検出手段を構成している。この実施形態にあっては、処理槽4の湾曲面に沿ってヒータ32が設置されている。加熱手段としては、石油や燃料ガスを燃焼させるバーナ等を用いてもよく、エンジン等を熱源として用いてもよい。また、処理槽4内の処理温度、槽壁温度等を検出する第2の温度検出手段として温度センサ36が処理槽4の例えば、側壁の外面部に取り付けられている。生ごみ3の処理温度が沸騰温度100℃を超えると、生ごみ3の焦げ付きが発生し易くなるので、その処理温度、槽壁温度が温度センサ36によって検出される。
そして、処理槽4で発生した蒸気40を冷却させて凝縮する冷却手段ないし凝縮手段としてラジエター42が設置され、このラジエター42と処理槽4との間には蒸気40を循環させるための循環手段として循環路44が設けられており、この循環路44は往管46及び戻管48で構成されている。即ち、処理槽4内で発生した蒸気40はラジエター42に流れ、冷却、凝縮させた後、処理槽4内に循環する。ラジエター42は、蒸気40を分流させて通流する複数の細管50を備えるとともにその細管50に放熱フィン52を取り付けたものである。このラジエター42には放熱手段として例えば、放熱ファン54が設けられ、この放熱ファン54は駆動手段であるモータ56によって駆動される。この放熱ファン54の回転によってラジエター42に冷却空気Cが通流して放熱が促進され、ラジエター42内を通過する蒸気40が放熱、冷却され、凝縮水58を生じる。
この実施形態では、ラジエター42は放熱面を水平方向にした縦置型であり、その底面側に設けられた気水分離部60に蒸気40の冷却により発生する凝縮水58が導かれる。この気水分離部60には排水管62が連結されており、この排水管62の中途部には外気を取り入れるための給気ホース64が設けられている。
往管46が接続されているラジエター42の入側にはその入側温度を検出する第3の温度検出手段として、温度センサ66が設置され、また、その出側温度を検出する第4の温度検出手段として、温度センサ68が気水分離部60側に設けられている。また、戻管48には蒸気40を強制的に循環させる手段として循環ファン70が取り付けられ、この循環ファン70は駆動手段であるモータ72によって駆動される。この循環ファン70の下流側の戻管48には、循環ファン70により凝縮後の気体41に加えられる圧送圧力とともに気体41の一部を外気に導く排気手段として排気管74が分岐されている。この場合、循環ファン70側に導かれる凝縮後の気体41は、戻管48を通して処理槽4側に流れる気体41Aと排気管74側に流れる気体41Bとに分離される。排気管74には、触媒等を用いて臭気を分解する脱臭器76が設置され、この脱臭器76には脱臭反応を活性化させるため、触媒を加熱する手段としてヒータ78が設けられている。
なお、安定して気体41が排気管74に流れ、脱臭器76で脱臭できるようにするために、戻管48内にはふさぎ板90が設けられている。このふさぎ板90により戻管48内の内圧が高められる。排水管62中途部には外気を取り入れるための給気ホース64が設けられ、循環ファン70側に導かれる凝縮後の気体41の圧力の平均化が図られている。斯かる構造とすることにより、脱臭器76の小型化を図りながら、効率的な脱臭を行うことができる。
次に、制御装置86について、図2を参照して説明する。図2は生ごみ処理装置の制御装置の概要を示している。
操作入力装置94からの運転指令、温度センサ34、36、66、68等の制御情報により攪拌モータ16の回転制御やヒータ32の駆動及び温度制御を行う制御手段として制御装置86が設けられている。この制御装置86は、例えば、中央演算処理装置(CPU)96、EEPROM97、RAM98、タイマ99が設けられ、また、操作入力装置94から運転を指令する運転指令等の入力や、温度センサ34、36、66、68等からの入力等を受ける入力部90、ヒータ32、攪拌モータ16、循環ファンモータ72、放熱ファンモータ56、脱臭ヒータ78等を制御するための出力を行う駆動出力部92が設けられている。EEPROM97には制御を行うためのプログラムとともに、各種規定値として、例えば、ヒータ32の発熱温度による複数の加熱温度として例えば、ヒータ温度Th1 に対し300℃、ヒータ温度Th2 に対し280℃、ヒータ温度Th3 に対し260℃、ヒータ温度Th4 に対し240℃が記憶されており、外部設定装置(PC:Personal Computer )100等を必要に応じて接続し、操作することにより自由にその内容や設定を変更することができる。この場合、最高加熱温度としてヒータ温度Th1 、最低加熱温度としてヒータ温度Th4 が設定され、その温度幅内に段階的に加熱温度として、ヒータ温度Th2 、Th3 が設定されている。そして、これらヒータ温度Th1 、Th2 、Th3 、Th4 のヒータ32の温度は処理槽4に加えられる加熱量を示すものである。
ここで、生ごみ3の加熱乾燥において、その焦げ付きを防止しながら乾燥を行うためには焦げ付かない程度の加熱量で行うことが必要であり、その加熱量で最初から最後まで処理を行うと長時間を要することになるので、最初の加熱段階を最高加熱温度であるヒータ温度Th1 で加熱し、処理の進行に伴って徐々に加熱量を下げ、最終段階で焦げ付かない程度の加熱量として最低加熱温度であるヒータ温度Th4 に移行させる。即ち、それ以上同じ加熱量が加えられると焦げ付きが発生する前に加熱温度の切替えが必要となり、その加熱温度の切替えで生ごみ3の焦げ付きが防止されることになる。
次に、生ごみ3の乾燥処理について、図3を参照して説明する。図3はヒータ温度、槽壁温度及びラジエターの入側温度・出側温度の変化を示すグラフである。
最初の加熱段階であるヒータ温度Th1 での加熱段階において、槽壁温度は上昇した後、水分蒸発が活発化し、この場合、加熱量<蒸発熱量の関係から、槽壁温度は僅かに低下する。即ち、上昇後、下降し始めるときの最高温度をRAM98に記憶しておき、その後、所定時間T1 例えば、1回の生ごみ処理量が20kgの処理では30分、1回の生ごみ処理量が50kg又は80kgの処理では55分について、記憶した値を超えない場合、その値をピーク値Tndとして設定する。一旦下がった温度は生ごみ3の乾燥が進むにつれ、温度上昇を始めるが、一番下がった温度とピーク値Tndの差温を落ち込み温度差Tdownとして記憶する。温度上昇が進み、再びピーク値Tndに到達したとき、加熱熱量>蒸発熱量の状態になる。この状態での加熱量では槽壁温度は上昇を続け、生ごみ3が焦げ付く原因となるので、加熱量を下げる。このように生ごみ3の成分、即ち、その質や量が相違しても、生ごみ3に適した処理の切替ポイントを把握できる。
このような加熱温度を固定値とすれば、その温度になかなか達しないために大きな加熱量で乾燥を続けることとなり、焦げ付きの原因になる。また、固定値より高い温度が水分の蒸発に適する場合には、熱量不足のため、常に効率の悪い低い処理となり、全体的な処理時間が長く掛かり、非効率な処理となる。
ピーク値Tndに達すると加熱量を段階的に下げる。即ち、段階的に加熱温度を下げると、加熱量が減少するため、槽壁温度は一旦下がるが、生ごみ3内の水分が蒸発により減少するため、再び上昇に転ずる。このような生ごみ3中の水分の減少とともに加熱量を減少させるため、高効率で乾燥を促進させ、焦げ付きの防止が図られる。
槽壁温度がピーク値Tndより所定温度ΔT1 例えば、1回の生ごみの処理量が20kgの処理では5℃、1回の生ごみ処理量が50kg又は80kgの処理では4℃だけ低い温度Tns以下に低下すると、加熱量を上げる。これは、乾燥処理中に追加の生ごみ投入を行った際に発生する。追加投入された場合にも、効率的な生ごみ処理が可能なように制御する。また、追加投入を行わなくても、加熱量を下げたときに槽壁温度が下がりすぎる場合もある。これは、特に処理量が多いときに発生する場合があるが、加熱量がそのままでは非効率なので、このような場合に対しても加熱量を上げて対応する。
加熱段階が最終段階であるヒータ温度Th4 での加熱段階に移行すると、ラジエター42の入側温度と出側温度とから両者の差温の変化を監視し、加熱終了の判断を行う。即ち、ラレジター42の入側温度と出側温度との差温は、ラジエター42を通過する蒸気40の熱交換により生じ、ラジエター42の入側温度は温度センサ66、その出側温度は温度センサ68で検出され、その差温が求められる。蒸気中の水分は凝縮水58となり排出される。入側温度と出側温度の差温は、外気温が低いほど、蒸気中の水分が少ないほど、大きくなる。
そして、最終段階における最低加熱温度であるヒータ温度Th4 での加熱段階において、差温で完了を判断する際利用する乾燥途中の最大差温ΔTは、最終段階直前、即ち、ヒータ温度Th3 の加熱段階での差温で決定する。乾燥処理が長時間に亘ると、乾燥処理に環境温度が影響を与えることになるが、斯かる差温を用いれば、日中と夜間との温度差によるラジエター42の冷却能力の違い等が最終段階の判断に影響することが防止される。さらに、最終段階では乾燥処理が進んでおり、含水率のばらつきが少ないためである。また、このような差温を用いるため、季節の影響等も吸収することができる。そして、処理完了は最大差温ΔTより所定値αとして例えば2℃の差温が広がることにより判断される。
次に、生ごみ2の乾燥処理について、図4を参照して説明する。図4は生ごみの乾燥処理を示すフローチャートである。
乾燥処理が開始されると、最高加熱温度であるヒータ温度Th1 で加熱を開始する(ステップS1)。このステップS1の後、ステップS2に至るまでの期間では、図3に示すように、ヒータ温度Th2 、Th3 等の昇降による加熱処理が行われ、最終段階に移行することになる。そこで、ラジエター42の差温の判断基準を設定する段階、即ち、最終段階である最低加熱温度としてのヒータ温度Th4 での加熱段階の直前段階のヒータ温度Th3 での加熱段階か否かの判断を行う(ステップS2)。差温の設定段階であるヒータ温度Th3 での加熱段階でなければステップS5に移行する。記憶済みの最大差温ΔTと読み込んだ差温を比較する(ステップS3)。記憶済みの最大差温ΔTの方が大きければステップS5に移行する。読み込んだ差温の方が大きい場合には、記憶済みの最大差温ΔTを読み込んだ差温に更新し、新たな最大差温ΔTとして記憶する(ステップS4)。
そして、加熱処理が最低加熱温度であるヒータ温度Th4 での加熱段階か否かを判断する(ステップS5)。ヒータ温度Th4 での加熱段階であればステップS10に移行する。最低加熱温度であるヒータ温度Th4 での加熱段階でない場合には、加熱段階が進むための加熱温度を下げる条件になったか否か、即ち、例えば、槽壁温度がピーク値Tndを超えたか否かを判断する(ステップS6)。加熱温度の下降切替え条件を満たしているときにはステップS12に移行する。加熱温度を下げる条件になっていない場合には、加熱温度を上昇する必要が発生したか否か、即ち、槽壁温度が下がりすぎていないかをチェックする(ステップS7)。必要が無ければ、即ち、ピーク値Tndより所定温度ΔT、例えば、1回の生ごみ処理量が20kgの処理では5℃、1回の生ごみ処理量が50kg又は80kgの処理では4℃だけ低い温度Tns以下に下がっていなければ、ステップS2に戻る。加熱温度の上昇切替えが必要と判定されると、現設定が最高加熱温度であるヒータ温度Th1 であるか否かが判定され(ステップS8)、ヒータ温度Th1 の設定である場合には、これ以上は加熱温度を高めることができないので、ステップS2に移行し、ヒータ温度Th1 の設定でなければステップS9に移行する。ステップS9では、ヒータ温度の設定を一段階上げて、加熱量を増加し、その加熱量変更後、ステップS2に戻る。
また、ステップS10では、ラジエター42の入側温度と出側温度との差温が最大差温ΔTより所定値α(例えば、2℃)大きくなるのを待つ。ラジエター42の差温が最大差温ΔTより所定値αだけ大きくなると、ステップS11に移行する。ステップS11では、ラジエター42の差温にて加熱処理終了の判断を行った場合の処理である。この結果、生ごみ加熱処理を終了する。
ところで、ステップS6において、加熱温度を下げる条件が成立したとき、ヒータ温度設定を一段階下げ、加熱量を減少させる(ステップS12)。これは、このままの温度設定で加熱すると、生ごみ3に焦げ付きが発生するので、加熱量を減少させている。ヒータ温度設定を一段階下げることにより、槽壁温度は一旦下がるが、その後上昇傾向に転じる。また、この場合、最低加熱温度であるヒータ温度Th4 の直前段階、即ち、ヒータ温度Th3 での加熱段階であるか否かを判定し(ステップS13)、ヒータ温度Th4 の直前段階(ヒータ温度Th3 )にない場合にはステップS2に戻り、ヒータ温度Th4 の直前段階(ヒータ温度Th3 )の場合には、ラジエター42の最大差温ΔTの初期値として0℃を記憶し(ステップS14)、ステップS2に移行する。
このように、この実施形態では、乾燥処理の最終段階において、ラジエター42の出側、入側の温度差で乾燥処理終了の判断を行っており、その場合、最終段階の一段階前の時点における最大温度差を記憶し、その値+所定値にて乾燥終了の判断を行うので、乾燥処理の完了と加熱処理の終了とを合致させることができ、生ごみの質や量、さらには環境温度に影響を受けることなく、乾燥の均一性を高めることができる。
実施形態では、最高加熱温度と最低加熱温度との間に段階的、不連続的な加熱温度を設定し、その加熱温度を最高加熱温度から最低加熱温度までの間で段階的に加熱温度を切り替える構成について説明したが、加熱温度の切替えは連続的な値で変更するようにしてもよい。
また、実施形態では、乾燥終了を判定するため、最終段階に移行する前のラジエター42の入側温度と出側温度との最大差温又はその最大差温に所定値を加えた値を基準温度として用いているが、乾燥終了が判定可能な任意の値を基準温度として設定してもよい。
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明によれば、生ごみの種類や量又は外気温度等に影響されることなく、生ごみの乾燥の均一化を図ることができ、その肥料化や廃棄処理の容易化に寄与することができ、有用である。
本発明の実施形態に係る生ごみ処理方法及びその装置を示す図である。 生ごみ処理装置の制御装置を示すブロック図である。 ヒータ温度、槽壁温度及びラジエターの入側温度・出側温度の変化を示す図である。 生ごみの乾燥処理を示すフローチャートである。
符号の説明
2 生ごみ処理装置
3 生ごみ
4 処理槽
32 ヒータ(加熱手段)
40 蒸気
42 ラジエター(凝縮手段)
44 循環路(循環手段)
58 凝縮水
66、68 温度センサ
86 制御装置(制御手段)

Claims (2)

  1. 処理槽で加熱手段により加熱温度を初期段階で最高加熱温度、最終段階で最低加熱温度とし、その温度幅内に複数の段階の加熱温度を設定し、前記加熱温度を可変させて生ごみを加熱する処理と、
    この加熱処理により前記処理槽で発生する蒸気を凝縮手段を通して凝縮水を分離するとともに、凝縮水が分離された蒸気を前記処理槽に循環させる処理と、
    前記最高加熱温度で加熱を開始し、前記処理槽の槽壁温度が上昇から下降に移行した際の最高温度を記憶手段に記憶し、所定時間後に前記最高温度を超えない場合に前記最高温度をピーク値に設定する処理と、
    前記最高加熱温度又は前記最高加熱温度より低い加熱温度で加熱処理中に前記ピーク値の到達で加熱温度を切り替える処理と、
    前記凝縮手段の前記蒸気の入側温度と出側温度とを検出する処理と、
    前記最低加熱温度で加熱する場合に前記入側温度と前記出側温度との差温が、前記最低加熱温度に移行する前段階の加熱温度下で検出される前記入側温度と前記出側温度との最大差温又はこの最大差温に所定値を加えた値で与えられる基準温度を超えたとき、前記加熱処理を終了させる処理と、
    を含むことを特徴とする生ごみ処理方法。
  2. 加熱手段を備え、装填された生ごみに加熱処理を施す処理槽と、
    この処理槽で前記生ごみから発生する蒸気から凝縮水を分離する凝縮手段と、
    この凝縮手段と前記処理槽との間に連結されて前記蒸気を前記凝縮手段に循環させる循環手段と、
    前記凝縮手段の前記蒸気の入側温度と出側温度とを検出する温度検出手段と、
    前記処理槽で前記加熱手段により加熱温度を初期段階で最高加熱温度、最終段階で最低加熱温度とし、その温度幅内に複数の段階の加熱温度を設定し、前記加熱温度を可変させて前記生ごみを加熱するとともに、前記最高加熱温度で加熱を開始し、前記処理槽の槽壁温度が上昇から下降に移行した際の最高温度を記憶手段に記憶し、所定時間後に前記最高温度を超えない場合に前記最高温度をピーク値に設定し、前記最高加熱温度又は前記最高加熱温度より低い加熱温度で加熱処理中に前記ピーク値の到達で加熱温度を切り替え、前記最低加熱温度に移行する前の加熱温度下で前記入側温度と前記出側温度との差温に、前記最低加熱温度に移行する前段階の加熱温度下で検出される前記入側温度と前記出側温度との最大差温又はこの最大差温に所定値を加えた値からなる基準温度を設定し、前記最低加熱温度で加熱する場合に前記入側温度と前記出側温度との差温が前記基準温度を超えたとき、前記加熱処理を終了させる制御手段と、
    を含むことを特徴とする生ごみ処理装置。
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