JP4758129B2 - 酸素濃縮装置 - Google Patents

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本発明は、酸素よりも窒素を優先的に吸着可能な吸着剤を利用して酸素濃縮ガスを生成する圧力変動吸着型の酸素濃縮装置に関する。
従来より、慢性気管支炎等の在宅酸素療法で利用される医療用酸素濃縮装置として、窒素を優先的に吸着する吸着剤を用いた圧力変動吸着型の酸素濃縮装置が知られている。
この酸素濃縮装置は、通常、吸着剤を充填した吸着筒を少なくとも2本以上有し、各吸着筒毎に、コンプレッサを介して吸着塔内に高圧空気を供給することによって酸素濃縮ガスを生成する加圧工程と、吸着塔内の圧力を減じて吸着剤に吸着された窒素を排気することで吸着剤を再生する減圧工程とを、交互に繰り返し行うことによって、酸素濃縮ガスを連続的に生成するものである。
上述した酸素濃縮装置に用いられる吸着剤は、水分等が過度に吸着されると、窒素を吸着する性能が低下(吸着剤が劣化)する性質があり、吸着剤が劣化すると、生成される酸素濃縮ガスの酸素濃度も低下するという問題があった。
この対策として、従来より、吸着筒内に除湿剤が充填されているが、酸素濃度の低下を一層効果的に防止するために、例えばコンプレッサの吐出流量を増加させる技術(特許文献1参照)や、ドレンフィルターによる除湿機能を装備した装置(特許文献2参照)が提案されている。
特開平14−253675号公報 特開平13−104738号公報
ところが、前記引用文献1の技術は、基本的に吸着剤の劣化を改善する技術ではないので、所定の性能を維持しようとすると、コンプレッサを常に通常より高いレベルで作動させる必要があり、騒音や電力コストなどの点で好ましくないという問題があった。
一方、前記引用文献2の技術では、圧縮空気から発生したドレンを除去できるが、一旦吸着剤に吸着された水分を除去する対策としては十分ではない。
特に、酸素濃縮装置が長期間使用されない場合や、短時間しか使用されない場合には、空気中の水分等が徐々に吸着剤に吸着されるので、結果として、吸着剤の劣化が進むという問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、吸着剤を利用して酸素濃縮ガスを生成する圧力変動吸着型の酸素濃縮装置において、吸着剤の劣化を防止して、長期間に渡り安定して高い酸素濃度の酸素濃縮ガスを供給することができる酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
(1)係る目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着筒と、前記各吸着筒に供給する高圧空気を生成するコンプレッサと、前記コンプレッサにて生成された高圧空気を前記各吸着筒に交互に供給して、酸素濃縮ガスを生成させる酸素濃縮ガス生成手段と、前記高圧空気を供給する吸着筒とは異なる吸着筒内を減圧して、前記吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素を排出させるパージ制御手段と、を備え、前記酸素濃縮ガスの生成及び前記吸着した窒素の排出の通常動作を行う圧力変動吸着型の酸素濃縮装置であって、定期間にわたり前記通常動作による運転が行われていない状態か否か、又は所定期間における前記通常動作による運転時間が所定の設定時間より少ない状態か否か、を判定する判定手段と、前記判定手段によって肯定判断された場合には、前記通常動作による自動再生運転を所定時間実施する自動再生制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、酸素濃縮装置が所定期間運転(即ち酸素濃縮ガスの生成及び吸着した窒素の排出の通常動作による運転)されていない場合又は所定期間における(前記通常動作による)運転時間が設定時間より少ない場合には、酸素濃縮装置の自動再生運転を、所定時間行う。
これにより、吸着剤に対するパージが行われ、吸着剤から窒素や水分等が脱離されるので(即ち吸着剤を再生される処理が行われるので)、酸素濃縮装置が長期間使用されない場合や短時間しか使用されない場合であっても、吸着剤の劣化を抑制することができる。よって、長期間に渡り安定して高い酸素濃度の酸素濃縮ガスを供給することができる。
(2)請求項2の発明では、前記パージ制御手段は、前記各吸着筒内を減圧して、前記吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素を排出させる場合に、前記酸素濃縮ガスをパージガスとして減圧中の吸着筒に供給する手段であることを特徴とする。
本発明では、各吸着筒内を減圧して、吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素を排出させる場合には、酸素濃縮ガスをパージガスとして減圧中の吸着筒に供給して、吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素や水分等を排出させる。
これにより、吸着剤からの窒素や水分等の脱離を効果的に行うことができる。即ち、吸着剤の再生を効率よく十分に行うことができる。
(3)請求項3の発明は、前記自動再生運転を行う場合には、予め設定された設定流量に対応した前記コンプレッサの回転数にて、前記コンプレッサを作動させることを特徴とする。
本発明では、上述した吸着剤の自動再生運転を行う場合には、予め設定された設定流量に対応したコンプレッサの回転数でコンプレッサを作動させるので、確実に且つ簡易に吸着剤の再生を行うことができる。
(4)請求項4の発明は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着筒と、前記各吸着筒に供給する高圧空気を生成するコンプレッサと、前記コンプレッサにて生成された高圧空気を前記各吸着筒に交互に供給して、酸素濃縮ガスを生成させる酸素濃縮ガス生成手段と、前記高圧空気を供給する吸着筒とは異なる吸着筒内を減圧して、前記吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素を排出させる場合には、前記酸素濃縮ガスをパージガスとして減圧中の吸着筒に供給するパージ制御手段と、を備え、前記酸素濃縮ガスの生成及び前記吸着した窒素の排出の通常動作を行う圧力変動吸着型の酸素濃縮装置であって、前記酸素濃縮ガス生成手段にて生成された酸素濃縮ガスを外部に供給する経路を開閉する経路開閉手段と、所定期間にわたり前記通常動作による運転が行われていない状態か否か、又は所定期間における前記通常動作による運転時間が所定の設定時間より少ない状態か否か、を判定する判定手段と、前記判定手段によって肯定判断された場合には、前記経路開閉手段を駆動して酸素濃縮ガスを供給する経路を閉鎖するとともに、前記通常動作による自動再生運転を所定時間実施する自動再生制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、酸素濃縮装置が所定期間運転(即ち酸素濃縮ガスの生成及び吸着した窒素の排出の通常動作による運転)されていない場合又は所定期間における(前記通常動作による)運転時間が設定時間より少ない場合には、酸素濃縮ガスを供給する経路を閉鎖した状態で、酸素濃縮装置の自動再生運転を、所定時間行う。
これにより、吸着剤に対するパージが効率よく行われ、窒素や水分等が十分に除去されるので(即ち吸着剤を再生される処理が効率よく行われるので)、酸素濃縮装置が長期間使用されない場合や短時間しか使用されない場合であっても、吸着剤の劣化を抑制することができる。よって、長期間に渡り安定して高い酸素濃度の酸素濃縮ガスを供給することができる。
(5)請求項5の発明は、前記自動再生運転する場合には、予め設定された設定流量に対応した前記コンプレッサの回転数より低い回転数にて、コンプレッサを作動させることを特徴とする。
上述した様に、酸素濃縮ガスを供給する経路を閉鎖した状態で、酸素濃縮装置の自動再生運転を、所定時間行うことにより、吸着剤に対するパージが効率よく行われるので、コンプレッサの回転数を低下させて自動運転を行っても、吸着剤の再生を十分に行うことができる。よって、自動再生運転のための消費電力を低減でき、しかも運転の際の騒音も低減することができるという利点がある。
(6)請求項6の発明は、自動再生運転の動作のタイミングを、酸素濃縮装置に装着された電子制御装置により設定することを特徴とする。
本発明では、例えばマイコンに、吸着剤の再生のために自動再生運転の間隔、即ち自動再生運転を開始するための条件(例えば、どの程度運転しない時間が経過した場合に自動再生運転を開始するかや、所定期間における運転時間がどれくらい少ない場合に自動再生運転を行うかなど)を設定したり、その条件が満たされた場合に何時間自動再生運転を行うか等を設定しており、その設定条件に基づいて酸素濃縮装置の運転を制御する。
(7)請求項7の発明は、前記自動再生運転を行う場合には、その自動再生運転の動作を表示装置にて表示することを特徴とする。
上述した吸着剤の再生制御を行う場合には、酸素濃縮装置が自動的に作動するので、その作動が通常の酸素濃縮ガスを供給するためのものでなく、吸着剤の再生のためのものであることを、表示装置を用いて表示する。
(8)請求項8の発明は、前記自動再生運転の動作を、酸素濃縮装置に装着された内部時計に基づいて行うことを特徴とする。
本発明では、内部時計を利用して、上述した酸素濃縮装置の動作のタイミングをチェックし、所定の動作タイミングの場合に、酸素濃縮装置を作動させたり停止させる。
以下に本発明の最良の実施形態(実施例)を図面と共に説明する。
尚、本実施例では、空気中から窒素吸着剤を用いて窒素を吸着して除去することにより酸素を濃縮し、この高濃度の酸素を含む酸素濃縮ガスを患者に供給する据置型の医療用酸素濃縮装置(以下酸素濃縮装置と記す)を例に挙げる。
a)まず、本実施例の酸素濃縮装置の構成について説明する。尚、図1は本実施例の酸素濃縮装置を斜め前方から見た状態を表す斜視図であり、図2は酸素濃縮装置の内部構成を示す説明図である。
図1に示すように、酸素濃縮装置1は、略直方体形状の筐体3内に各種構成部品を収納したものであり、筐体3の前面パネル5の上部は傾斜面となっている。この傾斜面には、酸素濃縮ガスの運転状態を表示する各種の表示装置2や、酸素濃縮ガスの排出流量を外部操作により設定するための操作部6など、酸素濃縮装置1の操作やその動作状態の表示を行うための各種部品が組み付けられている。
また、筐体3の前面パネル5において、操作部6等が組み付けられる斜面よりも下方には、生成した酸素濃縮ガスを加湿する加湿器7や、この加湿器7にて加湿された酸素濃縮ガスを排出するための排出口9等が設けられている。
次に、図2に示すように、筐体3内には、空気取入口12及び防塵フィルタ14を介して周囲の空気が導入されるようになっており、その導入された空気は、空気浄化のための吸気フィルタ16及び消音のための吸気マフラ18を介してコンプレッサ20に吸入される。
コンプレッサ20は、モータ21の回転により内部ピストンを往復動させて吸入空気を圧縮し、高圧空気を生成するものであり、その生成された高圧空気は、逆流防止用のチェック弁25、26、及び、電磁弁からなる供給弁31、32(以下、供給弁31を第1供給弁、供給弁32を第2供給弁ともいう)を介して、一対の吸着筒41、42(以下、吸着筒41を第1吸着筒、吸着筒42を第2吸着筒ともいう)に供給される。
尚、コンプレッサ20の容量は、酸素濃縮ガスを1分当たりに最大2リットル(L)以上(具体的には3L)生成できるように設定されている。
また、供給弁31、32から吸着筒41、42に至る高圧空気の供給経路には、それぞれ、電磁弁からなる排気弁33、34(以下、排気弁33を第1排気弁、排気弁34を第2排気弁ともいう)が接続されており、この排気弁33、34の開弁時には、サイレンサ27付きの排気マフラ28を介して各吸着筒41、42を大気に開放できるようにされている。
尚、コンプレッサ20からチェック弁26、26に至る高圧空気の吐出経路には圧力センサ24が設けられ、後述する電子制御装置60側で、この圧力センサ24からの検出信号に基づきコンプレッサ20の動作状態を監視できるようにされている。また、コンプレッサ20の上方には、冷却ファン22が設けられ、この冷却ファン22によりコンプレッサ20を冷却できるようにされている。
吸着筒41、42には、空気中の窒素を優先的に吸着して酸素を分離するゼオライト系の吸着剤(例えばLi−X型ゼオライト)が充填されており、排気弁33、34が閉弁状態にあるとき、チェック弁25、26及び供給弁31、32を介して、コンプレッサ20から高圧空気が供給されると、その空気中から窒素を吸着して、酸素濃縮ガスを生成し、その生成した酸素濃縮ガスをチェック弁43、44を介して製品タンク50側に送出する。
また、製品タンク50には、酸素濃縮ガスの圧力を調節する圧力調節器(レギュレータ)52が設けられており、この圧力調整器52で調圧された酸素濃縮ガスは、上述の操作部6を介して流量を設定可能な流量設定器54を介して、加湿器7まで送られ、この加湿器7にて加湿された後、電磁弁からなる出口弁56及び排出口9を介して、外部に排出される。
尚、流量設定器54から加湿器7に至る酸素濃縮ガスの排出経路上には、酸素濃縮ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ57や、酸素濃縮ガスの吐出圧力を検出するための圧力センサ58が設けられ、後述する電子制御装置60側で、これら各センサ57、58からの検出信号に基づき、酸素濃縮ガスの酸素濃度や吐出圧力を監視できるようにされている。
また、吸着筒41、42からチェック弁43、44に至る酸素濃縮ガスの吐出経路には、それぞれ、オリフィス45、46を介して、電磁弁からなるパージ弁48が接続されている。このため、パージ弁48の開弁時には、吸着筒41、42の一方で生成した酸素濃縮ガスの一部を他方に供給できるようになる。
そして、このパージ弁48や、上述した供給弁31、32、排気弁33、34、コンプレッサ20(詳しくはモータ21)、冷却ファン22、及び出口弁56は、電子制御装置60により駆動制御される。
尚、上述した構成部品の内、コンプレッサ20や、コンプレッサ20に接続される供給弁31、32及び排気弁33、34からなる給排経路切換機構30等は、その動作によって騒音を発生することから、吸音材を内貼りした金属ケースからなる消音ボックス70内に収納されている。
b)次に、前記電子制御装置60にて行われる制御の概略について説明する。
電子制御装置60は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、酸素濃縮装置1の電源投入後は、下記の制御等を行う。
すなわち、予め設定された制御プログラムに従い、「流量設定器54にて設定された流量に応じた回転速度で、コンプレッサ20のモータ21及び冷却ファン22を駆動する駆動制御」、「第1供給弁31及び第2供給弁32を、一定周期で交互に開弁させて、第1吸着筒41及び第2吸着筒42へ高圧空気を交互に供給することにより酸素濃縮ガスを生成する加圧制御(加圧工程)」、「この加圧制御により高圧空気の供給が停止されている吸着筒41又は42の排気弁33又は34を開弁して、その吸着筒41又は42内を減圧し、その内部の吸着剤に吸着された窒素を排気させる減圧制御(減圧工程)」、「この減圧制御に同期してパージ弁48を開弁させることにより、加圧状態にある吸着筒41又は42で生成された酸素濃縮ガスの一部を、減圧状態にある吸着筒42又は41側に供給して、減圧状態にある吸着筒42又は41内の吸着剤を再生するパージ制御」等を実行する。これにより、90%以上の濃縮酸素を連続的に生成させ、更に、出口弁56を開弁して、その生成した濃縮酸素を排出口9から排出させる。
また、電子制御装置60は、こうした酸素濃縮ガス生成のための制御とは別に、上述した圧力センサ24、58や酸素センサ57からの検出信号等に基づき、酸素濃縮装置1の動作状態を監視し、その監視結果を、前面パネル5の傾斜面に組み付けられた表示装置59に表示させる監視制御も実行する。
更に、電子制御装置60は、後述するように、本実施例に特徴的な制御、即ち、酸素濃縮装置1が所定期間運転されない場合には、一定時間自動運転(即ち自動再生運転)することにより、吸着剤のパージを行ってその再生を行う自動再生制御を実行する。
c)次に、電子制御装置60において実行される各種制御処理のうち、基本的な加圧制御、減圧制御及びパージ制御について、図3に示すフローチャート及び図4に示すタイムチャートに沿って説明する。尚、図3は、酸素濃縮装置1への電源投入後、電子制御装置60にて繰り返し実行されるメインルーチンを表すフローチャートであり、図4は、このフローチャートに沿って駆動される供給弁31、32、排気弁33、34、パージ弁48の開閉状態の変化を表すタイムチャートである。
図3に示すように、電子制御装置60が起動されると、まず、S110(Sはステップを表す)にて、供給弁31、32、排気弁33、34及びパージ弁48をそれぞれ開弁させる初期設定処理を実行し、続くS120にて、コンプレッサ20のモータ21及び冷却ファン22を流量設定器54にて設定された流量に応じた回転速度で駆動するモータ駆動制御処理を起動する。
そして、S130では、第1及び第2排気弁33、34を閉弁すると共に、第2供給弁32を閉弁することにより、第1吸着筒41への高圧空気の供給(つまり第1吸着筒41による酸素濃縮ガスの生成)を開始し(図4に示す時点t0)、続くS140にて、その後、予め設定された第1時間T1が経過したか否かを判断することにより、第1時間T1が経過するのを待つ。
次に、S140にて、第1時間T1が経過したと判断されると、S150に移行して、パージ弁48を閉弁し(図4に示す時点t1)、続くS160にて、その後、予め設定された第2時間T2が経過したか否かを判断することにより、第2時間T2が経過するのを待つ。
また、S160にて、パージ弁48の閉弁後、第2時間T2が経過したと判断されると、今度は、S170に移行して、第2排気弁34を開弁することで、第2吸着筒42を大気に開放させ(図4に示す時点t2)、続くS180にて、第2排気弁34の開弁後、予め設定された第3時間T3が経過したか否かを判断することにより、第3時間T3が経過するのを待つ。
そして、S180にて、第3時間T3が経過したと判断されると、S190に移行して、パージ弁48を開弁することで、現在加圧工程にある吸着筒41から、生成した酸素濃縮ガスの一部を、減圧工程にある吸着筒42へパージさせ(図4に示す時点t3)、続くS200にて、その後、予め設定された第4時間T4が経過したか否かを判断することにより、第4時間T4が経過するのを待つ。
また、S200にて、第4時間T4が経過したと判断されると、今度は、S210に移行して、第2排気弁34を閉弁することで、第2吸着筒42の大気への開放(つまり減圧)を終了し(図4に示す時点t4)、続くS220にて、第2排気弁34の閉弁後、予め設定された第5時間T5が経過したか否かを判断することにより、第5時間T5が経過するのを待つ。
次に、S220にて、第5時間T5が経過したと判断されると、S230に移行して、第1供給弁31を閉弁し、第2供給弁32を開弁することにより、第1吸着筒41への高圧空気の供給(つまり第1吸着筒41による酸素濃縮ガスの生成)を終了し、第2吸着筒42への高圧空気の供給(つまり第2吸着筒42による酸素濃縮ガスの生成)を開始する(図4に示す時点t5)。
次に、続くS240では、S220にて供給弁31、32の開閉状態を反転させてから予め設定された第6時間T6(但し、T6=T1)が経過したか否かを判断することにより、第6時間T6が経過するのを待つ。
そして、このS240にて、第6時間T6が経過したと判断されると、S250に移行して、パージ弁48を閉弁し(図4に示す時点t6)、続くS260にて、その後、予め設定された第7時間T7(但し、T7=T2)が経過したか否かを判断することにより、第7時間T7が経過するのを待つ。
また、S260にて、パージ弁48の閉弁後、第7時間T7が経過したと判断されると、今度は、S270に移行して、第1排気弁33を開弁することで、第1吸着筒41を大気に開放させ(図4に示す時点t7)、続くS280にて、第1排気弁33の開弁後、予め設定された第8時間T8(但し、T8=T3)が経過したか否かを判断することにより、第8時間T8が経過するのを待つ。
そして、S280にて、第8時間T8が経過したと判断されると、S290に移行して、パージ弁48を開弁することで、現在加圧工程にある吸着筒42から、生成した酸素濃縮ガスの一部を、減圧工程にある吸着筒41へパージさせ(図4に示す時点t8)、続くS300にて、その後、予め設定された第9時間T9が経過したか否かを判断することにより、第9時間T9が経過するのを待つ。
また、S300にて、パージ弁48の開弁後、第9時間T9が経過したと判断されると、今度は、S310に移行して、第1排気弁33を閉弁することで、第1吸着筒41の大気への開放(つまり減圧)を終了し(図4に示す時点t9)、続くS320にて、第1排気弁33の閉弁後、予め設定された第10時間T10(但し、T10=T5)が経過したか否かを判断することにより、第10時間T10が経過するのを待つ。
次に、S320にて、第10時間T10が経過したと判断されると、S330に移行して、第2供給弁32を閉弁し、第1供給弁31を開弁することにより、第2吸着筒42への高圧空気の供給(つまり第2吸着筒42による酸素濃縮ガスの生成)を終了し、第1吸着筒41への高圧空気の供給(つまり第1吸着筒41による酸素濃縮ガスの生成)を開始する(図4に示す時点t0)。
そして、このようにS330にて供給弁31、32の開閉状態を反転させると、S140に移行し、その後、酸素濃縮装置1への電源供給が遮断されるまで、S140〜S330の処理を繰り返し実行する。
以上のように、上述した制御では、第1供給弁31と第2供給弁32とが、一定周期で交互に開閉状態が切り換えられ、この切り換えに連動して、第1吸着筒41と第2吸着筒42とが交互に加圧工程に入り、酸素濃縮ガスが生成される。
そして、供給弁31又は32が閉弁された側の吸着筒41又は42は、供給弁31又は32の閉弁後、所定時間(T1+T2又はT6+T7)が経過した時点t2又はt7で、排気弁33又は34が開弁されることにより、大気に開放されるため、先の加圧工程で吸着剤に吸着した窒素が排出される。
また、上記のように排気弁33又は34が開弁されてから、所定時間T3又はT8が経過すると、パージ弁48が開弁されることから、減圧工程にある吸着筒41又は42には、加圧工程にある吸着筒42又は41から酸素濃縮ガスの一部が供給(パージ)されることになる。そして、このように減圧工程にある吸着筒41又は42にパージガスが供給されると、内部の吸着剤の再生が促進され、吸着剤からは短時間で窒素が除去される。
尚、下記表1に、上述したT1〜T10までの各期間中での各吸着筒41、42の動作内容を一覧表示する。
Figure 0004758129
d)次に、電子制御装置60において実行される各種制御処理のうち、本実施例の要部となる吸着剤の自動再生制御について、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
図5に示すように、S410では、酸素濃縮装置1を最後に動作させてから24時間経過したか否かを判定する。
つまり、酸素濃縮装置1の内部時計(図示せず)によって、前回酸素濃縮装置1の動作(即ち酸素濃縮制御の動作やパージ制御の動作:通常動作)を停止させてからの時間を計測し、その停止させてからの時間が24時間経過したか否かを判定する。
ここで24時間経過したと判断されると、S420にて、現在設定されている設定流量で1時間自動再生運転する。
つまり、下記表2に示す様に、例えば現在、流量設定器54によって予め流量設定が3.0〜2.5L/minのレベルAの範囲内に設定されている状態の場合には、コンプレッサ20の回転数を、その設定流量に対応した値(定常運転時の回転数)として動作させ、前記表1に示すような通常の運転動作の工程にて、酸素濃縮ガスの生成やパージ動作(即ち自動再生運転)を行う。
尚、この場合には、表2に示す様に、前記T1〜T10の時間が設定される。また、流量設定が3.0〜2.5L/minでの定常運転時の回転数は、1000〜1300回転/minである。
Figure 0004758129
そして、1時間自動再生運転した後に、S430にて酸素濃縮装置1を停止し、一旦本処理を終了する。
尚、この自動再生制御を行う際には、表示装置2にて自動再生制御である旨の表示を行う。
この様に、本実施例では、前回酸素濃縮装置1の運転が終了してから24時間経過した場合には、現在の設定流量に対応したコンプレッサ20の回転数にて、自動的に通常の運転(即ち自動再生運転)を行う。この自動再生運転を行うことにより、前記表1に示す様に、加圧による酸素濃縮の工程だけでなく、再生の工程による(酸素濃縮ガスのパージによる)パージ制御も行われるので、吸着剤の再生処理(即ち吸着剤から窒素や水分等を脱離して再生する処理)も自動的に実施されることになる。
従って、患者によって酸素濃縮装置1が使用されない期間が長期に渡る場合でも、吸着剤の劣化を抑制することができる。また、従来の様に、過度にコンプレッサ20の回転数を上げて運転する必要がなく、特別な除湿装置も不要であるという利点もある。
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、前記実施例1とは、電子制御装置にて行われる制御の内容が大きく異なるので、その制御処理を図6のフローチャートに基づいて説明する。
図6に示すように、S510では、酸素濃縮装置1を最後に動作させてから24時間経過したか否かを判定する。
ここで24時間経過したと判断されると、S520にて、出口弁56を閉じて、酸素濃縮ガスの外部への供給経路を遮断する。
続くS530では、最低の設定流量で1時間自動再生運転する。
つまり、前記表2に示す様に、例えば現在、流量設定器54によって予め流量設定が3.0L/minに設定されている状態の場合には、コンプレッサ20の回転数を、最低の設定流量(即ちレベルEの設定流量0.0L/min)に対応した値(即ち3.0L/minの設定流量における定常運転時の半分の回転数)として動作させ、前記表1に示すような通常の運転動作の工程にて、酸素濃縮ガスの生成やパージ動作(即ち自動再生運転)を行う。
そして、1時間自動再生運転した後に、S530にて酸素濃縮装置1を停止し、一旦本処理を終了する。
この様に、本実施例では、前回酸素濃縮装置1の運転が終了してから24時間経過した場合には、最低の設定流量に対応したコンプレッサ20の回転数にて、自動的に通常の運転(即ち自動再生運転)を行う。この自動再生運転を行うことにより、吸着剤の再生処理も自動的に実施されることになる。従って、患者によって酸素濃縮装置1が使用されない期間が長期に渡る場合でも、吸着剤の劣化を抑制することができる。
特に本実施例では、出口弁56によって酸素濃縮ガスの外部への供給を遮断した状態で自動再生運転を行うので、コンプレッサ20の回転数を低下させても、吸着剤の十分な再生処理を行うことができる。よって、コンプレッサ20の消費電力を低減できるとともに、騒音も低減できるという利点がある。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
(1)例えば、前記実施例では、所定期間経過した場合に、自動再生制御を実施したが、ある期間内における通算の作動時間が少ない場合(即ち、酸素濃縮装置の使用頻度が少ない場合)に、自動再生制御を実施してもよい。
(2)また、本発明は、屋内に設置して使用される据置型の酸素濃縮装置であっても、使用者により持ち運びされて使用される携帯型の酸素濃縮装置であっても適用できる。
実施例1の酸素濃縮装置の外観を表す斜視図である。 実施例1の酸素濃縮装置の構成を表す説明図である。 実施例1の電子制御装置にて実行される制御処理(メインルーチン)を表すフローチャートである。 実施例1の電子制御装置により制御される各種電磁弁の開閉弁動作を表すタイムチャートである。 実施例1の電子制御装置にて実行される吸着剤の自動再生制御処理を表すフローチャートである。 実施例2の電子制御装置にて実行される吸着剤の自動再生制御処理を表すフローチャートである。
符号の説明
1…酸素濃縮装置、3…筐体、5…前面パネル、6…操作部、7…加湿器、9…排出口、12…空気取入口、14…防塵フィルタ、18…吸気マフラ、20…コンプレッサ、21…モータ、22…冷却ファン、24…圧力センサ、25,26…チェック弁、28…排気マフラ、31,32…供給弁、33,34…排気弁、41,42…吸着筒、43,44…チェック弁、45,46…オリフィス、48…パージ弁、50…製品タンク、52…圧力調整器、54…流量設定器、56…出口弁、57…酸素センサ、58…圧力センサ、59…表示装置、60…電子制御装置、70…消音ボックス

Claims (8)

  1. 酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着筒と、
    前記各吸着筒に供給する高圧空気を生成するコンプレッサと、
    前記コンプレッサにて生成された高圧空気を前記各吸着筒に交互に供給して、酸素濃縮ガスを生成させる酸素濃縮ガス生成手段と、
    前記高圧空気を供給する吸着筒とは異なる吸着筒内を減圧して、前記吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素を排出させるパージ制御手段と、
    を備え、前記酸素濃縮ガスの生成及び前記吸着した窒素の排出の通常動作を行う圧力変動吸着型の酸素濃縮装置であって、
    定期間にわたり前記通常動作による運転が行われていない状態か否か、又は所定期間における前記通常動作による運転時間が所定の設定時間より少ない状態か否か、を判定する判定手段と、
    前記判定手段によって肯定判断された場合には、前記通常動作による自動再生運転を所定時間実施する自動再生制御手段と、
    を備えたことを特徴とする酸素濃縮装置。
  2. 前記パージ制御手段は、前記各吸着筒内を減圧して、前記吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素を排出させる場合に、前記酸素濃縮ガスをパージガスとして減圧中の吸着筒に供給する手段であることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
  3. 前記自動再生運転を行う場合には、予め設定された設定流量に対応した前記コンプレッサの回転数にて、前記コンプレッサを作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素濃縮装置。
  4. 酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着筒と、
    前記各吸着筒に供給する高圧空気を生成するコンプレッサと、
    前記コンプレッサにて生成された高圧空気を前記各吸着筒に交互に供給して、酸素濃縮ガスを生成させる酸素濃縮ガス生成手段と
    記高圧空気を供給する吸着筒とは異なる吸着筒内を減圧して、前記吸着筒内の吸着剤に吸着した窒素を排出させる場合には、前記酸素濃縮ガスをパージガスとして減圧中の吸着筒に供給するパージ制御手段と、
    を備え、前記酸素濃縮ガスの生成及び前記吸着した窒素の排出の通常動作を行う圧力変動吸着型の酸素濃縮装置であって、
    前記酸素濃縮ガス生成手段にて生成された酸素濃縮ガスを外部に供給する経路を開閉する経路開閉手段と、
    定期間にわたり前記通常動作による運転が行われていない状態か否か、又は所定期間における前記通常動作による運転時間が所定の設定時間より少ない状態か否か、を判定する判定手段と、
    前記判定手段によって肯定判断された場合には、前記経路開閉手段を駆動して酸素濃縮ガスを供給する経路を閉鎖するとともに、前記通常動作による自動再生運転を所定時間実施する自動再生制御手段と、
    を備えたことを特徴とする酸素濃縮装置。
  5. 前記自動再生運転する場合には、予め設定された設定流量に対応した前記コンプレッサの回転数より低い回転数にて、コンプレッサを作動させることを特徴とする請求項4に記載の酸素濃縮装置。
  6. 前記自動運転の動作のタイミングを、前記酸素濃縮装置に装着された電子制御装置により設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸素濃縮装置。
  7. 前記自動再生運転を行う場合には、その自動再生運転の動作を表示装置にて表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酸素濃縮装置。
  8. 前記自動再生運転の動作を、酸素濃縮装置に装着された内部時計に基づいて行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の酸素濃縮装置。
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