JP4754052B2 - 断熱コーティングされたスクィーラ先端空洞 - Google Patents

断熱コーティングされたスクィーラ先端空洞 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は概してガスタービンエンジン・タービン羽根先端の冷却に関し、より具体的には断熱コートされたタービン羽根先端に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンエンジン・タービン羽根は、高温の燃焼ガスからエネルギーを抽出し、コンプレッサーを駆動し、さらに出力を提供する。タービン羽根は高温の燃焼ガスに直接にさらされるので、タービン羽根には一般的に内部冷却回路を設け、この内部冷却回路によって羽根の翼形部を通してまたその表面の様々な膜冷却孔を通して、コンプレッサーの抽気空気等の冷却媒体を流す。
【0003】
1つの形式の翼形部は、半径方向内方の燃焼ガス通路を区画する羽根のプラットフォームにおける付根から、半径方向外方の先端キャップまで延在し、翼形部の前縁から後縁まで軸方向に延在する相対する正圧側面及び負圧側面を含む。冷却回路が、正圧側面と負圧側面との間で翼形部の内側に延びており、翼形部先端キャップによりその先端を仕切られている。スクィーラ先端羽根は、先端キャップの上面から先端キャップ上の翼形部の周囲に沿って半径方向外方に延びるスクィーラ先端壁を有し、半径方向外方に開放した先端空洞を画成する。
【0004】
スクィーラ先端は、翼壁の短い半径方向の延長部であり、外側タービンシュラウドの半径方向直近に間隔を置いて配置され、ガス流路を密閉するためにそれらの間に比較的に小さい間隙を設けられている。羽根とシュラウドとの間の熱膨張差、遠心荷重、及び半径方向加速度は、スクィーラ先端がタービンシュラウドと擦れ合い磨り減る原因となる。スクィーラ先端は半径方向に先端キャップの上方に延びているので、先端キャップ自体と翼形部の残りの部分は損傷から保護され、そのことによりタービン羽根とその中の冷却回路の保全性を維持する。
【0005】
しかしながら、スクィーラ先端は翼形部の中実の金属突出部であるので、その上を流れる燃焼ガスにより直接熱せられる。それらは熱伝導により冷却され、次いで熱が対流により先端キャップに移動され、そして冷却空気が先端を貫通する流路によって空洞に放出されることにより除かれる。翼形部冷却回路内からの冷却空気は、熱を先端から対流で取り去り空洞に放出するのに用いられる。一般的に、スクィーラ先端は翼形部の残りの部分の温度を上回る温度で作動し、高温のタービン環境では翼形部の寿命の限定要因となることがあり得る。
【0006】
断熱コーティング(TBC)は、ガスタービンエンジンの様々な部位で用いられる断熱材としてよく知られ実証済みである。しかしながら、TBCは、構成部品の高温側と低温側の間の温度差による熱流束が高いエンジンの部位でのみ効果がある。典型的なスクィーラ先端は、その内側側面及び外側側面の両方で高温のタービン流路ガスを直接浴びているので、横方向には比較的に低い熱流束をもち、このことからスクィーラ先端の外側側面に塗布されたTBCの効果が減少する。
【0007】
一般的に翼形部の正圧側面は燃焼ガスから最も高い熱負荷を受けるので、列に並んだ従来形態の膜冷却孔を一般的に先端キャップのすぐ下の翼形部の正圧側の外壁に設け、スクィーラ先端の正圧側面上を上方に流れる冷却膜を形成している。これはスクィーラ先端の正圧側面の冷却を強めるけれども、それはまたスクィーラ先端の頂部から下方に向け膜冷却孔の近くの先端キャップまでの比較的に大きな半径方向の温度勾配を結果としてもたらす。この方向の大きな温度勾配は熱応力を生じ、エンジンの運転の繰り返しサイクルで結局羽根の有効寿命に限界をもたらす金属亀裂の原因となる可能性がある。
【0008】
スクィーラ先端におけるこの望ましくない半径方向の熱勾配を減ずるために、スクィーラ先端の外側側面にはTBCを施さないように、翼先端はTBCコーティング処理の間マスキングされ、一方、翼形部外壁の外側表面の残りの部分にはTBCを施してきた。そのような翼においては、スクィーラ先端の全体が、この望ましくない半径方向の熱勾配を減ずるために、TBCの保護なしで運転される。しかしながら、タービン羽根の製造におけるマスキング工程は、望ましくない製造コストの著しい増加をまねく。
【0009】
“スロット冷却される翼先端”という名称の米国特許第5、733、102号は、翼形部の前縁と後縁の間の正圧側スクィーラ先端に沿って半径方向内方に先端キャップまで延びるスロットを開示している。複数の間隔を置いて配置された供給孔を、半径方向に先端キャップを貫通してスロットから冷却回路まで設け、スクィーラ先端を冷却するために冷却媒体をスロット内に注ぎ込む。断熱コーティングをスクィーラ先端の外側側面に施し、それに沿って流れる高温ガスに対して断熱する。米国特許第5、733、102号におけるタービン羽根スクィーラ先端の構成は、マスキング工程をなくし、その一方でTBCとともに用いられるとき翼のスクィーラ先端の有効冷却をやはり行っている。
【0010】
スクィーラ先端の頂部から先端キャップの領域までの熱勾配が増大し(先端キャップがより低温)、よく起こるスクィーラ先端の亀裂を生じる応力が増大するだろという懸念があるため、TBCは回転翼形部の先端キャップの空洞内部には用いられてこなかった。スクィーラ先端壁の亀裂は運転環境が原因で起こり、亀裂が先端キャップ中に広がるのを防ぎ、また材料特性を向上させるために先端キャップの運転温度を下げることが望ましい。スクィーラ先端の亀裂は、結局は先端キャップまたはプリナムにまで広がり始める。いくつかの先端キャップの亀裂が広がり、先端キャップにおいて結合し、先端キャップの部分を離脱させる結果になる。欠けた先端キャップの部分は翼形部冷却回路を“短絡させ”、結果として翼形部の領域に冷却空気がほとんどいかないかまたは全くいかないという早期の難題を生じることになる。スクィーラ先端及び先端キャップに亀裂が入ると、多分もっと複雑な溶接修理が翼修理工場で行われることなりそうである。これらのより複雑な溶接修理は、エンジンの分解修理レベルの損害が増しより費用がかかる翼修理を行う結果となり、両方ともがエンジンの飛行時間当りの保守費用に不利な影響を及ぼすことになる。先端の亀裂が広がることを防ぎ、又これらの費用のかさむ溶接修理を避けることが望ましい。
【0011】
【発明の開示】
タービン羽根スクィーラ先端は、翼形をした先端キャップの周囲からその周囲に沿って半径方向外方に延びるスクィーラ先端壁を有し、半径方向外方に開放された先端空洞を画成する翼形をした先端キャップを含む。先端壁は空洞の内部に面する内側側面及び空洞から遠のく側に面する外側側面を有し、先端キャップは空洞の底部に外側先端側面を有する。断熱コーティングは、スクィーラ先端壁の内側側面及び外側側面並びに先端キャップの外側先端側面に施される。1つの実施形態では、先端キャップにそれを貫通して冷却孔を設け、冷却空気を空洞に流すようにしている。半径方向外方に傾斜して成形された冷却孔を、先端キャップのすぐ下方の少なくとも翼形部の正圧側面に貫穿し、冷却空気をスクィーラ先端壁の外側面に沿って半径方向外方に流している。
【0012】
本発明の利点は多数あるが、タービン羽根を運転できる状態に維持する費用、時間、人力及び煩雑さを減らすことを含む。本発明はタービン羽根のスクィーラ先端キャップの運転温度を下げ、タービンスクィーラ先端壁の亀裂が先端キャップへ広がるのを阻止する。このことにより、タービン羽根の破損につながる先端キャップの一部離脱を生じる惧れのある先端キャップの亀裂の早期合体を防止する。
【0013】
本発明の前記の形態及び他の特徴を、添付の図面に関してなされた下記の記述の中で説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示したのは第1段の高圧タービン羽根としての使用目的で構成された例示的なガスタービンエンジン・タービンロータ羽根10である。羽根10は、ロータディスク(図示せず)の外周の対応するダブテールスロットに羽根を取り付けるための適当なタングを有する従来構造のダブテール12を含む。さらに、羽根10はダブテール12に接続された付根18、一体構成のプラットフォーム20、及び翼形部の半径方向の外端23にある半径方向反対側のスクィーラ先端38を有する翼形部16を含む。スクィーラ先端38は翼形の形をしたスクィーラ先端キャップ22を含む。翼形部16は、前縁28とこれに対向する後縁30との間を付根から先端キャップ22まで延在する横方向に相対する正圧側面24及び負圧側面26をそれぞれ備え、高温の流路ガス32がその上を流れることができる外壁15も含む。
【0015】
さらに、翼形部16は、先端キャップ22から付根までダブテール12を貫通して延びる内部の冷却チャンネルつまり回路34を含み、羽根10を冷却するために従来構造のコンプレッサー(図示せず)から抽気される空気等の適当な冷却媒体36を循環させる、つまり流す。この内部冷却チャンネルつまり回路34は先端キャップ22により半径方向外方で仕切られる。
【0016】
以下のさらなる記述を除いて、羽根10は、あらゆる従来の構成とすることが可能であり、一般的にはダブテール12、翼形部16及びプラットフォーム20の一体鋳造物として成形され、その一体鋳造物には高温運転において適度な強度を有する単結晶構成でニッケル基超合金のような適当な耐熱金属が用いられる。
【0017】
スクィーラ先端38は、翼形部16の正圧側面24及び負圧側面26のそれぞれに沿って翼形の形をした先端キャップ22からその全周にわたって半径方向外方に延在しており、先端キャップから測定して高さHを有するスクィーラ先端壁39を含む。スクィーラ先端壁39及び先端キャップ22は、翼形部と一体に成形するか又は鋳造するか、或いはろう付け、溶接、又は他の方法で翼形部に取り付けることができる。スクィーラ先端壁39は、翼形部16のそれぞれ横方向に隔離した前縁28と後縁30との間で先端キャップ22の周囲に延在し、半径方向外方に開放した先端空洞40を画成する。
【0018】
翼形部16の外壁15の外側表面17は、冷却空気を外壁15に沿って前縁のシャワーヘッド冷却孔72及び下流の傾斜して形成された膜冷却孔74を通して流すことにより膜冷却される。半径方向外方に向って傾斜して成形された冷却孔76は、先端キャップ22のすぐ下方の翼形部16の少なくとも正圧側面24に貫穿されて配置され、スクィーラ先端壁39の外側側面60に沿って半径方向外方に冷却空気を流す。
【0019】
一般的にスクィーラ先端壁39は、運転中にそれらの間から流路ガス32が漏れるのを減少させるために、先端壁と従来形態のタービンシュラウド44との間に比較的に小さい半径方向の間隙Gを備えるようにする従来の使用目的で平坦な頂面62を有している。エンジンの運転のうちある期間、スクィーラ先端壁39はシュラウド44と擦れ合い、翼形部16の残りの部分と先端キャップ22を損傷から保護することになる。これにより先端壁39の亀裂を許容できる計画通りの量にし、先端壁は分解修理の間に定期的に交換することになる。翼弦方向に間隔を置いた複数の先端キャップ供給孔46は、先端キャップ22を貫通して半径方向に延び、翼形部16の内側の冷却回路34と流体が流れるように接続し、先端、空洞、及び先端壁39の内側側面66を対流によって冷却するために、冷却媒体36のそれぞれの部分を回路から先端空洞40に流入させる。
【0020】
図3に図示したのは、第1の断熱コーティング(TBC)48であり、スクィーラ先端壁39の内側側面66に沿って又先端キャップ22の半径方向外方に面する表面41上に、先端空洞40を区画する内側表面全体にわたって施されている。第2の断熱コーティング49は、それぞれ付根18からスクィーラ先端38までの正圧側面24及び負圧側面26の両方に沿って、外側側面60及び翼形部16の外側表面17上に施される。このことによりそれぞれの壁及び先端キャップに望ましい温度勾配が生じる。TBCコーティングには、ジルコニアのような、断熱セラミック材料であるどのような従来の組成物をも用いることができる。内側側面66及び外側側面60のそれぞれと先端キャップ22のTBCコーティングは、スクィーラ先端38に比較的に大きい横方向の熱勾配が生じるのを防ぐにも拘らず、先端壁39に形成された亀裂が先端キャップの中へ拡大し、合体して先端キャップの部分を離脱させる可能性を阻止する。
【0021】
本発明の好適な実施形態をその原理を説明するために今まで十分に記述してきたが、添付のクレームに記載の本発明の範囲から逸脱することなくその好適実施形態に対して様々な修正または変更をなし得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 冷却される翼形部及びスクィーラ先端の内側側面及び外側側面に断熱コーティングを備えたスクィーラ羽根先端を有する例示的なガスタービンエンジン・タービン羽根の等角投影図。
【図2】 図1におけるガスタービンエンジン・タービン羽根の部分的破断図。
【図3】 図1に示された翼先端の概して線3−3に沿った断面図。
【符号の説明】
10 タービンロータ羽根
12 ダブテール
15 外壁
16 翼形部
17 外側表面
18 付根
20 プラットフォーム
22 先端キャップ
23 半径方向外端
24 正圧側面
26 負圧側面
28 前縁
30 後縁
32 流路ガス
34 回路
36 冷却媒体
38 スクィーラ先端
39 スクィーラ先端壁
40 先端空洞
41 半径方向外方に面する表面
44 タービンシュラウド
46 供給孔
48 第1の断熱コーティング(TBC)
49 第2の断熱コーティング(TBC)
60 外側側面
62 平坦な頂面
66 内側側面
72 前縁シャワヘッド冷却孔
74 下流の傾斜した膜冷却孔
76 半径方向外方に傾斜して成形された冷却孔
G − 半径方向の間隙
H − 高さ

Claims (7)

  1. 先端キャップ(22)と、
    半径方向外方に開放された先端空洞(40)を形成する、前記先端キャップ(22)から半径方向外方に延びるスクィーラ先端壁(39)と、
    前記先端キャップ(22)の半径方向外方に面する側面(41)及び前記スクィーラ先端壁(39)の内側側面(66)上に施された第1の断熱コーティング(48)と
    を備えてなるタービン羽根スクィーラ先端(38)。
  2. 前記スクィーラ先端壁(39)の外側側面(60)上の第2の先端断熱コーティング(49)をさらに備えてなる請求項1に記載のタービン羽根スクィーラ先端(38)。
  3. 前記先端キャップ(22)を貫通して前記空洞(40)まで延びる少なくとも1つの先端キャップ冷却媒体供給孔(46)をさらに備えてなる請求項1又は請求項2に記載のタービン羽根スクィーラ先端(38)。
  4. 翼形部外壁(15)と前記翼形部外壁(15)の半径方向外端に請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスクィーラ先端(38)とを含む翼形部(16)を備えてなる、タービン羽根(10)。
  5. 当該タービン羽根が、前記先端キャップ(22)を貫通して前記先端空洞(40)まで延びる少なくとも1つの先端キャップ供給孔(46)へと接続する前記翼形部(16)の内側の内部冷却回路(34)を備えてなる請求項4に記載のタービン羽根(10)。
  6. 当該タービン羽根が、前記スクィーラ先端壁(39)の前記外側側面(60)に沿って半径方向外方に冷却空気を流すために、前記先端キャップ(22)の半径方向すぐ内方の前記翼形部壁の少なくとも正圧側面(24)を貫通して設けられ、前記冷却回路(34)と流体が流れるように接続された半径方向外方に傾斜して成形された冷却孔(76)を備えてなる請求項5に記載のタービン羽根(10)。
  7. 前記翼形部壁の外側表面(17)の全面に第2の先端断熱コーティング(49)が延在している請求項4に記載のタービン羽根(10)。
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