JP4753416B2 - 透明導電性積層体およびタッチパネル - Google Patents

透明導電性積層体およびタッチパネル Download PDF

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本発明は、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのフィルム基材を有する透明導電性積層体およびそれを用いたタッチパネルに関するものである。
可視光線領域で透明でかつ導電性を有する薄膜は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの新しいディスプレイ方式やタッチパネルなどの透明電極のほか、透明物品の帯電防止や電磁波遮断などのために用いられている。
従来、このような透明導電性薄膜としては、ガラス上に酸化インジウム薄膜を形成したいわゆる導電性ガラスがよく知られているが、基材がガラスであるために可撓性、加工性に劣り、用途によっては使用できない場合がある。
このため、近年では、可撓性、加工性に加えて、耐衝撃性に優れ、軽量であるなどの利点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはじめとする各種のプラスチックフィルムを基材とした透明導電性薄膜が使用されている。
しかし、このようなフィルム基材を用いた透明導電性薄膜は、薄膜表面の光線反射率が大きいため、透明性に劣る問題があり、また導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性に劣り、使用中に傷がついて電気抵抗が増大したり断線を生じたりする問題があった。
また、特にタッチパネル用の導電性薄膜においては、スペーサを介して対向させた一対の薄膜同士がその一方のパネル板側からの押圧打点で強く接触するものであるため、これに抗しうる良好な耐久性、つまり打点特性特にペン入力耐久性を有していることが望まれる。しかし、上記したような従来の透明導電性薄膜はこの耐久性に劣り、その分、タッチパネルとしての寿命が短くなる問題があった。
そこで、フィルム基材を用いた透明導電性薄膜の上記問題を改良する試みがなされている。本件出願人も、厚さが2〜120μmの透明なフィルム基材の一方の面に、透明な第1の誘電体薄膜、透明な第2の誘電体薄膜、および透明な導電性薄膜をこの順に積層し、上記フィルム基材の他方の面に、透明な粘着剤層を介して透明基体を貼り合わせてなる透明導電性積層体を提案している(特許文献1,2参照)。
特開2002−316378号公報(第2〜4頁) 特開2002−326301号公報(第2〜5頁)
上記の透明導電性積層体は、一方の面に導電性薄膜を有するフィルム基材の他方の面に透明基体を貼り合わせる一方、導電性薄膜とフィルム基材との間に第1および第2の誘電体薄膜を設け、これらの薄膜とフィルム基材および導電性薄膜の各光の屈折率が適切な関係を有するように選択して、透明性を向上させ、導電性薄膜の耐擦傷性、耐屈曲性、タッチパネル用としての打点特性、特にペン入力耐久性を向上させたものである。
しかるに、本件出願人の引き続く研究により、上記の透明導電性積層体でも、耐屈曲性の点でなお不十分な場合があることが分かった。すなわち、タッチパネル市場では、近年ゲームやスマートフォンといった新規用途が拡大してきており、その際、タッチパネル設計では、狭額縁化が進んできており、額縁近傍においてより屈曲された状態で用いられるため、これに抗しうる高い屈曲ペン入力耐久性が望まれている。また、より過酷な条件で用いられるようになり、従来の入力荷重よりも重い荷重で入力されても耐えうる、高荷重ペン入力耐久性が望まれている。しかし、上記の透明導電性積層体では、この特性を十分に満足できない場合があることが分かった。
本発明は、上記の事情に照らし、既提案の透明導電性積層体をさらに改良し、耐屈曲性のさらなる改善によりタッチパネル用としての打点特性、特に耐屈曲ペン入力耐久性を高度に満足し、同時に高荷重ペン入力耐久性を高度に満足する透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的に対する鋭意検討の過程で、既提案の透明導電性積層体において、フィルム基材上に第1および第2の誘電体薄膜を介して設ける導電性薄膜の結晶粒径に注目した。この結晶粒径は、導電性薄膜自体の材料構成(例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム薄膜ではその酸化スズ含有量の増減など)により、またこの薄膜の下地となる第2の誘電体薄膜の材料構成により、さらにはこれら各薄膜の形成方法などにより、変化する。
そこで、導電性薄膜の結晶粒径の異なる多数個の透明導電性積層体を作製し、その性能について、詳細な実験検討を繰り返した。その結果、上記の結晶粒径および粒径分布と導電性薄膜の耐屈曲性との間に密接な関係があり、特定の粒径を有する結晶の含有量を特定範囲に規制したときに、上記耐屈曲姓の改善を図れて、タッチパネル用としての打点特性、特にペン入力耐久性はもちろん、屈曲ペン入力耐久性を大きく向上できることを知り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、厚さが2〜120μmの透明なフィルム基材の一方の面に、透明な第1の誘電体薄膜、透明な第2の誘電体薄膜および透明な導電性薄膜をこの順に積層し、上記フィルム基材の他方の面に、透明な粘着剤層を介して透明基体を貼り合わせてなり、
第2の誘電体薄膜は、無機物であるか、または有機物と無機物との混合物であり、
上記導電性薄膜は、この薄膜を形成する材料の結晶中、最大粒径が100nm以下の結晶含有量が50面積%を超え、残りの結晶が100超〜200nmの分布幅に存在することを特徴とする透明導電性積層体、に関する。
前記透明導電性積層体を形成する材料の結晶の最大粒径の平均粒径は、50〜150nmであることが好ましい。
前記透明導電性積層体において、透明な導電性薄膜の硬度が1.5GPa以上であり、弾性率が6GPa以上であることが好ましい。
前記透明導電性積層体において、導電性薄膜は、酸化スズを含有する酸化インジウムにより形成することができ、酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの含有量は、2〜50重量%であることが好ましい。さらには、酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの含有量は、3〜15重量%であることが好ましい。
前記透明導電性積層体において、フィルム基材の光の屈折率をn1、第1の誘電体薄膜の光の屈折率をn2、第2の誘電体薄膜の光の屈折率をn3、導電性薄膜の光の屈折率をn4としたとき、
それらの屈折率がn3<n2≦n1<n4関係を満たし、
第1の誘電体薄膜の厚さが100〜250nm、
第2の誘電体薄膜の厚さが15〜100nmであることが好ましい。
前記透明導電性積層体において、第1の誘電体薄膜は、有機物であるか、または有機物と無機物との混合物により形成することができる。
前記透明導電性積層体において、第2の誘電体薄膜は、真空蒸着法により形成された無機物であることが好ましい。
また、本発明は、導電性薄膜を有する一対のパネル板を、導電性薄膜同士が対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、パネル板の少なくとも一方が、上記した各構成の透明導電性積層体からなることを特徴とするタッチパネル、に関する。
このように、本発明の透明導電性積層体は、フィルム基材の一方の面に第1および第2の誘電体薄膜を介して設ける導電性薄膜に関し、第2の誘電体薄膜を無機物、または有機物と無機物との混合物により形成するとともに、導電性薄膜を形成する材料の結晶中、特定の粒径を有する結晶の含有量が特定範囲となるようにしたことにより、導電性薄膜の耐擦傷性とともに耐屈曲性のさらなる改善により、耐久性がより一段と向上し、タッチパネル用としての打点特性、特にペン入力耐久性に加えて、屈曲ペン入力耐久性を高度に満足する。また本発明の透明導電性積層体は各薄膜の厚さや屈折率が適切な関係を有するように選択することで、透明性などの諸特性を満足できる。
本発明におけるフィルム基材は、その材質に特に限定はなく、適宜なものを使用することができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、特に好ましいものは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などである。
これらのフィルム基材の厚さは、2〜120μmの範囲にあることが必要であり、特に好ましくは6〜100μmの範囲にあるのがよい。厚さが2μm未満では、フィルム基材としての機械的強度が不足し、この基材をロール状にして誘電体薄膜や導電性薄膜などの薄膜さらには粘着剤層を連続的に形成する操作が難しくなる。また、厚さが120μmを超えると、後述する粘着剤層のクッション効果に基づく導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上を図れなくなる。
このようなフィルム基材は、その表面にあらかじめスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や、下塗り処理を施して、この上に設けられる第一の誘電体薄膜のフィルム基材に対する密着性を向上させるようにしてもよい。また、第一の誘電体薄膜を設ける前に、必要に応じて、溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化を行うようにしてもよい。
本発明においては、このように構成されるフィルム基材の一方の面に、透明な導電性薄膜を設ける前に、その下地として、透明な第1の誘電体薄膜および透明な第2の誘電体薄膜を、この順に積層する。第2の誘電体薄膜は無機物、または有機物と無機物との混合物により形成する。このように下地薄膜を積層することにより、透明性および導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性が向上するとともに、タッチパネル用としての打点特性の向上に好結果が得られる。
第1の誘電体薄膜および第2の誘電体薄膜の材料には、NaF(1.3)、Na3A1F6(1.35)、LiF(1.36)、MgF2(1.38)、CaF2(1.4)、BaF2(1.3)、BaF2(1.3)、SiO2(1.46)、LaF3(1.55)、CeF(1.63)、A123(1.63)などの無機物〔( )内の数値は光の屈折率を示す〕や、光の屈折率が1.4〜1.6程度のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物や、上記無機物と上記有機物の混合物が挙げられる。
上記材料の中でも、第1の誘電体薄膜の材料は、有機物であるか、または有機物と無機物との混合物であるのが望ましい。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
また、第2の誘電体薄膜の材料は、無機物であるか、または有機物と無機物との混合物である。特に、無機物として、SiO2、MgF2、A123などが好ましく用いられる。
第1の誘電体薄膜および第2の誘電体薄膜は、上記の材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテイング法、塗工法などにより形成できる。特に第2の誘電体薄膜の形成方法としては、真空蒸着法が好ましく、この方法によって形成した第2の誘電体薄膜上に透明導電性薄膜を形成すれば、透明導電性薄膜を構成する結晶の粒径の分布を容易に前記の好ましい範囲にすることができる。真空蒸着法における膜形成材料の加熱方式としては、熱ビーム加熱方式または抵抗加熱方式があげられる。
第1の誘電体薄膜は、厚さが100〜250nm、好ましくは130〜200nmであるのがよい。第2の誘電体薄膜は、厚さが15〜100nm、好ましくは20〜60nmであるのがよい。第1および第2の誘電体薄膜の各厚さを上記範囲とすることにより、透明性、耐擦傷性、耐屈曲性などの特性を両立させやすい。
本発明においては、このようにフィルム基材の一方の面に、下地薄膜となる第1および第2の誘電体薄膜を積層したのち、この上に透明な導電性薄膜を設ける。導電性薄膜は、前記した第1および第2の誘電体薄膜の場合と同様の方法により、形成できる。用いる薄膜材料も特に制限されるものではなく、例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズなどが好ましく用いられる。特に、酸化スズを含有する酸化インジウムが好ましい。
導電性薄膜は、厚さが通常10nm以上、好適には10〜300nmであるのがよい。厚さが10nmより薄いと、表面電気抵抗が103Ω/□以下となる良好な導電性を有する連続被膜となりにくく、厚すぎると、透明性の低下などをきたしやすい。
本発明においては、上記のように形成される導電性薄膜は、結晶により形成されており、この薄膜を形成する材料の結晶中、最大粒径が100nm以下の結晶含有量が50面積%を超えるように、制御されている。結晶の最大粒径および分布は、電界放出型透過型電子顕微鏡(FE−TEM)により導電性薄膜を表面観察することにより決定される。結晶の最大粒径は、観察される多角形状または長円形状の各領域における、対角線または直径の最大のものである。また、前記最大粒径を有する結晶の含有量は、具体的には、前記電子顕微鏡画像において単位面積(1.5μm×1.5μm)当たり、各粒径の結晶が占める面積である。
前記導電性薄膜を形成する材料の結晶は、最大粒径100nm以下の範囲の結晶含有量が、70面積%以上であることが好ましく、さらには、80面積%以上であることが好ましい。このように導電性薄膜中の結晶を制御することにより、耐屈曲性のさらなる改善が図れ、屈曲時のクラック発生などを抑制でき、タッチパネル用としての屈曲ペン入力耐久性を大きく向上できることが見出された。なお、導電性薄膜の結晶粒径が小さくなりすぎると、導電性薄膜中に非結晶状態に類似した部分が存在し、信頼性やペン耐久性が低下するため、結晶粒径が極端に小さくなりすぎないようにするのが望ましい。かかる観点から、結晶の最大粒径は、10nm以上、さらには、30nm以上であるのが好ましい。
また、導電性薄膜を形成する材料の結晶の最大粒径の分布を、100nm以下、100超〜200nm、200超〜300nmに分けた場合には、各分布幅に結晶が集中するのではなく、少なくとも2つの分布幅を有する場合が耐久性のバランスの点から好ましい。少なくとも2つの分布幅は、それぞれ、少なくとも5面積%の結晶含有量を有することが好ましい。特に、100nm以下の分布幅と、100超〜200nmの分布幅に、少なくとも5面積%の結晶含有量を有することが好ましい。最も好ましくは、100nm以下の分布幅の結晶含有量が50面積%を超え、さらには70面積%以上、さらには80面積%以上であり、残りの結晶が100超〜200nmの分布幅に存在する。また導電性薄膜を形成する材料の結晶の最大粒径の平均粒径は、50〜150nm、さらには、60〜150nm、さらには70〜100nmであるのが好ましい。
導電性薄膜の結晶粒径および粒径分布を上記のように規制するには、導電性薄膜の材料構成やその薄膜形成方法を適宜選択すればよい。例えば、導電性薄膜が、酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)により形成されている場合には、ITO中の酸化スズ含量を増やすことにより、粒径が小さい結晶の含有割合を増大させることができる。ITO中の酸化スズ含有量(酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの含有量)は、好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは3〜15重量%、特に3〜10重量%である。
また、導電性薄膜の結晶粒径および粒径分布は、この薄膜の下地となる第1および第2の誘電体薄膜の材料構成やその形成方法を選択することによっても、規制することが可能である。例えば、第2の誘電体薄膜としてSiO2薄膜を形成する場合に、シリカコート法で形成するよりも、電子ビーム加熱による真空蒸着法で形成した方が、導電性薄膜中の粒径の小さい結晶の含有量をより多くすることができる。
本発明において、フィルム基材の光の屈折率は通常1.4〜1.7程度で、導電性薄膜の光の屈折率は通常約2程度である。フィルム基材の光の屈折率をn1、第1の誘電体薄膜の光の屈折率をn2、第2の誘電体薄膜の光の屈折率をn3、導電性薄膜の光の屈折率をn4としたとき、それらの屈折率がn3<n2≦n1<n4関係を満たすのが望ましい。第1の誘電体薄膜および第2の誘電体薄膜は、上記のような光の屈折率の関係を満足するように、すなわち、第1の誘電体薄膜の光の屈折率n2が第2の誘電体薄膜の光の屈折率n3より大きく、かつフィルム基材の光の屈折率n1に比べて同等以下となるように、前記した材料の中から、適宜の材料が選択されるのが望ましい。
本発明では、このように一方の面に第1および第2の誘電体薄膜を介して透明な導電性薄膜を設けたフィルム基材の他方の面に、透明な粘着剤層を介して透明基体を貼り合わせる。この貼り合わせは、透明基体の方に上記の粘着剤層を設けておき、これにフィルム基材を貼り合わせるようにしてもよいし、逆にフィルム基材の方に上記の粘着剤層を設けておき、これに透明基体を貼り合わせてもよい。後者の方法では、粘着剤層の形成を、フィルム基材をロール状にして連続的に行うことができ、生産性の面でより有利である。
粘着剤層は、透明性を有するものであればよく、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが用いられる。粘着剤層は、透明基体の接着後そのクッション効果により、フィルム基材の一方の面に設けられた導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性を向上させる機能を有する。この機能をより良く発揮させるため、粘着剤層の弾性係数を1〜100N/cm2の範囲、厚さを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。
粘着剤層の弾性係数が1N/cm2未満となると、粘着剤層は非弾性となるため、加圧により容易に変形してフィルム基材ひいては導電性薄膜に凹凸を生じさせ、また加工切断面からの粘着剤のはみ出しなどが生じやすく、さらに導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性の向上効果が低減する。また、100N/cm2を超えると、粘着剤層が硬くなり、そのクッション効果を期待できなくなり、導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性を向上できない。
粘着剤層の厚さが1μm未満となると、そのクッション効果を期待できなくなるため、導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性の向上を望めない。また、粘着剤層を厚くしすぎると、透明性を損なったり、粘着剤層の形成や透明基体の貼り合わせ作業性、さらにコストの面で好結果が得られにくい。
このような粘着剤層を介して貼り合わされる透明基体は、フィルム基材に対して良好な機械的強度を付与し、特にカールなどの発生防止に寄与するものであり、これを貼り合わせたのちでも可撓性であることが要求される場合は、通常6〜300μm程度のプラスチックフィルムが用いられ、可撓性が特に要求されない場合は、通常0.05〜10mm程度のガラス板やフィルム状ないし板状のプラスチックが用いられる。プラスチックの材質としては、前記したフィルム基材と同様のものが挙げられる。
なお、必要により、上記した透明基体の外表面(粘着剤層とは反対側の面)に、視認性の向上を目的とした防眩処理層や反射防止層を設けたり、外表面の保護を目的としたハードコート層を設けるようにしてもよい。後者のハードコート層としては、例えば、メラニン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂などの硬化型樹脂からなる硬化被膜が好ましく用いられる。
本発明の透明導電性積層体は、上記のように、透明なフィルム基材の一方の面に透明な第1および第2の誘電体薄膜を介して特定の結晶粒径および粒径分布を有する透明な導電性薄膜が積層されているとともに、上記フィルム基材の他方の面に透明な粘着剤層を介して透明基体が貼り合わされた構成からなるものである。
この透明導電性積層体は、導電性薄膜側の物性として、導電性薄膜側の硬度が1GPa以上、特に1.5GPaであるのが好ましく、また導電性薄膜側の弾性率が5GPa以上、特に6GPa以上であるのが好ましい。このような物性を有していることにより、透明導電性積層体を撓ませても、導電性薄膜にクラックが入ったり、電気抵抗値が劣化するなどの支障をきたさず、耐屈曲性能の高い透明導電性積層体として、タッチパネルなどの光エレクトロニクス分野の基板に好適に使用できる。なお、前記導電性薄膜側の硬度の上限は、耐クラック性の点から、5GPa以下、さらには4GPa以下とするのが好ましく、前記導電性薄膜側の弾性率も同様に耐クラック性の点から、20GPa以下、さらには16GPa以下とするのが好ましい。
なお、上記の導電性薄膜側の硬度および弾性率は、インデンテーション試験(圧子押し込み試験)により、例えば、走査型プローブ顕微鏡(JEOL.LTD/日本電子:JSPM−4200)などを用いて、測定できる。薄膜硬度測定では、一般に圧子の押し込み深さは膜厚深さの10分の1程度に収まるようにする必要がある。
インデンテーション試験では、被試験体(つまり、透明導電性積層体の導電性薄膜側)に、荷重をかけて圧子を押し込み、インデンテーション曲線(荷重−押し込み深さ曲線)を得る。その際の最大荷重Pmaxと、圧子と被試験体間の接触投影面積Aの比により、被試験体の硬度Hが、下記の式(1)より、求められる。また、インデンテーション曲線の除荷曲線の初期勾配Sから、被試験体の複合弾性率Erが、下記の式(2)より、求められる。さらに、圧子のヤング率Ei、圧子のポアッソン比vi、被試験体のポアッソン比vsから、被試験体のヤング率Esが、下記の式(3)により、求められる。
ここで、下記の式(2)中、βは定数である。また、圧子はダイヤモンドであり、そのヤング率Eiは1,140GPa、ポアッソン比は0.07である。
H=Pmax/A ・・・(1)
S=(2/√π)・Er・β・√A ・・・(2)
Er=1/{(1−vs2)/Es+(1−vi2)/Ei} ・・・(3)
ここでは、被試験体である導電性薄膜のポアッソン比vsは不明であるため、上記の複合弾性率Erを、本発明にいう弾性率とする。測定の詳細については、例えば、W.C.Oliver and G.M.Phar,J.Meter.Res.,Vol.7,No.6,June 1992や、Handbook of Micro/Nanotribologyなどに記載されているとおりであり、公知の方法により測定することができる。
図1は、本発明の透明導電性積層体の一例を示したものであり、透明なフィルム基材1の一方の面に透明な第1の誘電体薄膜2、透明な第2の誘電体薄膜3、透明な導電性薄膜4が、この順に積層されており、他方の面には透明な粘着剤層5を介して透明基体6が貼り合わされている。
また、図2は、本発明の透明導電性積層体の他の例を示したものであり、透明基体6の外表面にハードコート層7を設けるようにしたものであり、その他の構成要素は図1と全く同様であり、同一番号を付してその説明を省略する。
図3は、本発明の透明導電性積層体を用いたタッチパネルの例を示したものである。すなわち、導電性薄膜4a、4bを有する一対のパネル板P1、P2を、互いに直交するように設けた導電性薄膜4a、4b同士が対向するように、スペーサ8を介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、一方のパネル板P1として、上記した図2に示す透明導電性積層体を使用したものである。
このタッチパネルにおいては、パネル板P1側より、入力ペンにて押圧打点したとき、導電性薄膜4a、4b同士が接触して、電気回路のON状態となり、上記押圧を解除すると、元のOFF状態に戻る、透明スイッチ横体として機能する。その際、パネル板P1が上記の透明導電性積層体からなるため、導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性などに優れ、長期にわたり上記機能を安定に維持させることができる。
なお、上記の図3において、パネル板P1は、図1に示す透明導電性積層体であってもよい。また、パネル板P2は、プラスチックフィルムやガラス板などからなる透明基体9に導電性薄膜4bを設けたものであるが、上記のパネル板P1と同様の図1または図2に示す透明導電性積層体を使用してもよい。
以下に、本発明の実施例を、比較例と対比して記載し、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
導電性薄膜の結晶粒径および粒径分布は、電界放出型透過型電子顕微鏡(FE−TEM,Hitachi,HF−2000)により、導電性薄膜の表面観察を行い、評価した。結晶の最大粒径は具体的には、次の方法で測定した。まずポリエステルフィルム上に、スパッタリングでITO膜を形成する。これをシャーレに静置し、ヘキサフルオロイソプロパノールを静に注ぎ、ポリエステルフィルムを溶解除去する。そして白金製のメッシュでITOの薄膜をすくい取り、透過型電子顕微鏡のサンプルステージに固定する。これを各例に応じて5万倍〜20万倍ほどの倍率で写真撮影し、1.5μm×1.5μmの面積当たりに存在する結晶の最大粒径を観察して評価した。
参考例1
厚さが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)からなる透明なフィルム基材(光の屈折率n1=1.66)の一方の面に、メラミン樹脂:アルキド樹脂:有機シラン縮合物=2:2:1(重量比)の熱硬化型樹脂からなる硬化被膜(光の屈折率n2=1.54)を厚さ150nmに形成して、透明な第1の誘電体薄腰とした。
つぎに、この第1の誘電体薄膜上に、シリカコート法により、SiO2薄膜からなる第2の誘電体薄膜を形成した。すなわち、上記第1の誘電体薄膜上に、シリカゾル(コルコート社製の「コルコートP」)を固形分濃度が2%となるようにエタノールで希釈したものを塗布し、150℃で2分乾燥後、硬化させて、厚さが30nmのSiO2薄膜(光の屈折率n3=1.46)を形成して、透明な第2の誘電体薄膜とした。
このようにフィルム基材上に下地薄膜を積層したのち、この上(第2の誘電体薄膜上)に、さらにアルゴンガス80%と酸素ガス20%とからなる4×10-3Paの雰囲気中で、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム97重量%,酸化スズ3重量%)を用いたスパッタリング法により、厚さが20nmの酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物(光の屈折率n4=2.00)からなる透明な導電性薄膜(ITO薄膜)を形成し、150℃で1.5時間加熱した。この導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
つぎに、上記PETフィルムの他方の面に、弾性係数が10N/cm2に調整された透明なアクリル系粘着剤層(アクリル酸ブチル:アクリル酸:酢酸ビニルの重量比100:2:5の単量体混合物の共重合体100部に、イソシアネート系架橋剤を1部配合してなるアクリル系粘着剤)を、約20μmの厚さに形成し、さらにこの上に、厚さが125μmのPETフィルムからなる透明基体を貼り合わせた。
ついで、上記の透明基体上に、アクリル・ウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業社製の商品名「ユニディック17−806」)100部に、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「イルガキュア184」)5部を加えて、50重量%の濃度に希釈したトルエン溶液を塗布し、100℃で3分乾燥後、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(80W/cm,15cm集光型)2灯で紫外線照射を行い、厚さが5μmのハードコート層を形成することにより、図2に示す構造の透明導電性積層体を作製した。
この透明導電性積層体を一方のパネル板とし、他方のパネル板として、ガラス坂上に厚さが30nmのITO薄膜を上記同様の方法で形成したものを用い、この両パネル板を、ITO薄膜同士が対向するように、厚さが20μmのスペーサを介して両パネル板のギャップが150μmとなるように対向配置させ、スイッチ構体としてのタッチパネルを作製した。なお、両パネル板の各ITO薄膜は、上記の対向配置に先立って、あらかじめ互いに直交するように形成した。
参考例2
第1の誘電体薄膜(硬化被膜)の厚さを200nmに変更したこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
参考例3
第2の誘電体薄膜(SiO2薄膜)の厚さを60nmに変更したこと以外は、参考例1と同様にして、透朋導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
実施例
第2の誘電体薄膜(SiO2薄膜)の形成において、シリカコート法に代え、SiO2を電子ビーム加熱法により、1×10-2〜3×10-2Paの真空度で真空蒸着し、厚さが30nmのSiO2薄膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
参考例4
導電性薄膜(ITO薄膜)の形成において、蒸着原料として、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム90重量%,酸化スズ10重量%)を使用して、厚さが20nmのITO薄膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
実施例
第2の誘電体薄膜(SiO2薄膜)の形成において、シリカコート法に代え、SiO2を電子ビーム加熱法により、1×10-2〜3×10-2Paの真空度で真空蒸着し、厚さが30nmのSiO2薄膜を形成したこと、導電性薄膜(ITO薄膜)の形成において、蒸着原料として、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム90重量%,酸化スズ10重量%)を使用して、厚さが20nmのITO薄膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
実施例
第2の誘電体薄膜(SiO2薄膜)の形成において、シリカコート法に代え、SiO2を電子ビーム加熱法により、1×10-2〜3×10-2Paの真空度で真空蒸着し、厚さが30nmのSiO2薄膜を形成したこと、導電性薄膜(ITO薄膜)の形成において、蒸着原料として、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム95重量%,酸化スズ5重量%)を使用して、厚さが20nmのITO薄膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
比較例1
第1の誘電体薄膜(硬化被膜)を形成しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
比較例2
第2の誘電体薄膜(SiO2薄膜)を形成しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
比較例3
導電性薄膜(ITO薄膜)の形成において、蒸着原料として、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム99重量%,酸化スズ1重量%)を使用して、厚さが20nmのITO薄膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
比較例4
第2の誘電体薄膜(SiO2薄膜)を形成しなかったこと以外は、参考例4と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、この導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
比較例5
第2の誘電体薄膜(SiO2薄膜)の形成において、シリカコート法に代え、SiO2を電子ビーム加熱法により、1×10-2〜3×10-2Paの真空度で真空蒸着し、厚さが30nmのSiO2薄膜を形成したこと、導電性薄膜(ITO薄膜)の形成において、蒸着原料として、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム99重量%,酸化スズ1重量%)を使用して、厚さが20nmのITO薄膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、透明導電性積層体とこれを用いたタッチパネルを作製した。なお、導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
上記の実施例1〜3、参考例1〜4、および比較例1〜5の各透明導電性積層体について、各層(薄膜)の材料、屈折率、厚み等を表1に示す。また導電性薄膜の結晶の粒径分布を表2に示す。
Figure 0004753416
Figure 0004753416
また、各透明導電性積層体について、フィルム抵抗および光の透過率とともに、導電性薄膜側の硬度および弾性率を、下記の方法により、測定した。これらの結果は、表3に示されるとおりであった。
なお、上記の硬度および弾性率の測定に際し、フィルム基材(PETフィルム)の裏面に粘着剤層および透明基体を設けていない積層体、つまり、図4に示すようなフィルム基材1の一方の面に下地薄膜(第1の誘電体薄膜2および/または第2の誘電体薄膜3)を介して導電性薄膜(ITO薄膜)4を形成した積層体を、被試験体として使用した。
<フィルム抵抗>
四端子法を用いて、フィルムの表面電気抵抗(Ω/□)を測定した。
<光の透過率>
島津製作所製の分光分析装置UV−240を用いて、光波長550nmにおける可視光線透過率を測定した。
<導電性薄膜側の硬度および弾性率>
インデンテーション試験により、本文詳記の方法で、導電性薄膜側の硬度および弾性率を測定した。すなわち、図4に示したように、被試験体をその導電性薄膜(ITO薄膜)4を上にして試料台20に固定した。このように固定した状態で、導電性薄膜4側に圧子21を垂直方向に荷重をかけて押し込み、インデンテーション曲線(荷重−押し込み深さ曲線)を得た。これより、前記式(1)、(2)に基づいて、導電性薄膜側の硬度および弾性率を算出した。
測定は、走査型プローブ顕微鏡(JEOL.LTD/日本電子:JSPM−4200)を用いた。また、圧子21には、ダイヤモンド圧子(三角錐)(TI−037 90°)を用いた。この圧子を用い、垂直方向に荷重20μNで、一回のインデント(圧子押し込み)を3秒間で行い、1サンプルにつき、5回測定し、平均値を求めた。各回の測定は、圧痕の影響が生じないように、測定箇所の距離を十分にとった。
つぎに、上記の実施例1〜3、参考例1〜4、および比較例1〜5の各タッチパネルについて、下記の方法により、打点特性、ペン入力耐久性および屈曲ペン入力耐久性を測定した。これらの結果は、表3に示されるとおりであった。
<打点特性>
透明導電性積層体で構成したパネル板側から、硬度40度のウレタンゴムからなるロッド(鍵先7R)を用いて、荷重100gで100万回のセンター打点を打ったのち、フィルム抵抗(Rd)を測定し、初期のフィルム抵抗(Ro)に対する変化率(Rd/Ro)を求めて、打点特性を評価した。なお、上記フィルム抵抗の測定は、対向配置した導電性薄膜同士の打点時の接触抵抗について行い、その平均値で表したものである。
<高荷重ペン入力耐久性>
(A):透明導電性積層体で構成したパネル板側から、ポリアセタールからなるペン(ペン先R0.8mm)を用いて、荷重500gで30万回の摺動を行った。摺動後、以下のようにリニアリティーを測定し、高荷重ペン入力耐久性を評価した。
[リニアリティーの測定方法]
透明導電積層体に5Vの電圧を印加し、透明導電積層体における、電圧を印加する端子A(測定開始位置)および端子B(測定終了位置)の間の出力電圧を測定した。
リニアリティーは、測定開始位置Aでの出力電圧をEA、測定終了位置Bでの出力電圧をEB、各測定点Xでの出力電圧をEX、理論値をEXXとすると、以下の計算から、求めることができる。
XX(理論値)={X・(EB−EA)/(B−A)}+EA
リニアリティー(%)=〔(EXX−EX)/(EB−EA)〕×100
なお、リニアリティー測定の概略は、図5に示すとおりである。タッチパネルを用いる画像表示装置では、ペンで押さえられることにより上部パネルと下部パネルの接触部分の抵抗値から画面上に表示されるペンの位置が決定されている。上部および下部パネル表面の出力電圧分布が理論線(理想線)のようになっているものとして抵抗値は決められる。すると、電圧値が、図5の実測値のように理論線からずれると、実際のペン位置と抵抗値によって決まる画面上のペン位置がうまく同調しなくなる。理論線からのずれがリニアリティーであり、その値が大きいほど、実際のペン位置と画面上のペンの位置のずれが大きくなる。
(B):また、透明導電性積層体で構成したパネル板側から、ポリアセタールからなるペン(ペン先R0.8mm)を用いて、各荷重で10万回の摺動を行った。摺動後のリニアリティーが1.5%以下である最大荷重を求めた。この荷重が重いほど、ペン入力耐久性の特性が優れていることを意味する。
<屈曲ペン入力耐久性>
(A):透明導電性積層体で構成したパネル板側から、ポリアセタールからなるペン(ペン先R0.8mm)を用いて、荷重250gで5万回の摺動を行った。その際、図6に示すように両パネルのP1とP2のギャップを300μmとし、パネル板P1側から入力ペン10を摺動させたときのペン摺動角度θが4.0°となるようにした。この摺動後、透明導電性積層体のリニアリティーを前記と同じように測定し、屈曲ペン入力耐久性を評価した。
(B):透明導電性積層体で構成したパネル板側から、ポリアセタールからなるペン(ペン先R0.8mm)を用いて、荷重250gで10万回の摺動を行った。その際、図6に示すように両パネルのP1とP2の間隔を調整して角度θを変化させ、各角度で、パネル板P1側から入力ペン10を摺動させたときの摺動後のリニアリティーが1.5%以下となる角度θを求めた。この角度が大きいほど、屈曲ペン入力耐久性の特性が優れていることを意味する。
Figure 0004753416
上記の表3の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3、および参考例1〜4の透明導電性積層体は、透明性が良好で導電性も満足するものであり、また導電性薄膜側の硬度は1.5GPa以上、導電性薄膜側の弾性率は6GPa以上で、優れた特性を備えており、これを用いたタッチパネルは、打点特性およびペン入力耐久性に優れ、さらに屈曲ペン入力耐久性にも優れていることが分かる。
これに対して、第1の誘電体薄膜または第2の誘電体薄膜を形成しなかった比較例1、2、4では、透明導電性積層体の透明性に劣り、またタッチパネルとしての耐久性に劣っている。さらに、導電性薄膜の結晶中、粒径300nmを超える結晶の含有量が50面積%を超える比較例3、5では、屈曲ペン入力耐久性に劣っている。
本発明の透明導電性積層体の一例を示す断面図である。 本発明の透明導電性積層体の他の例を示す断面図である。 本発明の透明導電性積層体を用いたタッチパネルを示す断面図である。 透明導電性薄膜側の硬度および弾性率の測定の概略を示す説明図である。 リニアリティー測定の概略を示す説明図である。 屈曲ペン入力耐久性の測定の概略を示す説明図である。
符号の説明
1 透明なフィルム基材
2 透明な第1の誘電体薄膜
3 透明な第2の誘電体薄膜
4(4a) 透明な導電性薄膜
5 透明な粘着剤層
6 透明基体
7 ハードコート層
P1 パネル板
P2 パネル板
8 スペーサ
4b 導電性薄膜
9 透明基体
10 入力ペン
20 試料台
21 圧子

Claims (9)

  1. 厚さが2〜120μmの透明なフィルム基材の一方の面に、透明な第1の誘電体薄膜、透明な第2の誘電体薄膜および透明な導電性薄膜をこの順に積層し、上記フィルム基材の他方の面に、透明な粘着剤層を介して透明基体を貼り合わせてなり、
    第2の誘電体薄膜は、無機物であるか、または有機物と無機物との混合物であり、
    上記導電性薄膜は、この薄膜を形成する材料の結晶中、最大粒径が100nm以下の結晶含有量が50面積%を超え、残りの結晶が100超〜200nmの分布幅に存在することを特徴とする透明導電性積層体。
  2. 導電性薄膜を形成する材料の結晶の最大粒径の平均粒径は、50〜150nmである、請求項1に記載の透明導電性積層体。
  3. 透明な導電性薄膜の硬度が1.5GPa以上であり、弾性率が6GPa以上であることを特徴とする請求項1または2記載の透明導電性積層体。
  4. 導電性薄膜は、酸化スズを含有する酸化インジウムにより形成されており、酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの含有量は、2〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  5. 酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの含有量は、3〜15重量%であることを特徴とする請求項4記載の透明導電性積層体。
  6. フィルム基材の光の屈折率をn1、第1の誘電体薄膜の光の屈折率をn2、第2の誘電体薄膜の光の屈折率をn3、導電性薄膜の光の屈折率をn4としたとき、
    それらの屈折率がn3<n2≦n1<n4関係を満たし、
    第1の誘電体薄膜の厚さが100〜250nm、
    第2の誘電体薄膜の厚さが15〜100nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  7. 第1の誘電体薄膜は、有機物であるか、または有機物と無機物との混合物であることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  8. 第2の誘電体薄膜は、真空蒸着法により形成された無機物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  9. 導電性薄膜を有する一対のパネル板を、導電性薄膜同士が対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、パネル板の少なくとも一方が、請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性積層体からなることを特徴とするタッチパネル。
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