JP4749749B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents
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Description
本願発明者は、前記の現象を、スクラブブラシに付着した異物のゼータ電位の変動に起因するものと予想した。
ところが、洗浄ポットで純水の供給を受けたスクラブブラシは、pHが低くなってしまう。このような状態のスクラブブラシを基板表面に押し付けると、これに接した異物のゼータ電位が正となり、このような異物の基板表面からの除去が困難な状況に立ち至ると考えられる。その後、アルカリ性の洗浄薬液を供給しながらスクラブ洗浄処理を繰り返すうちに、スクラブブラシはアルカリ性洗浄薬液を豊富に含んだ状態となるため、前述のような状況が解消される。
この発明の目的は、基板表面の異物をより確実に除去することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
請求項2記載の発明は、前記スクラブブラシで基板をスクラブしているときに、当該基板の表面に処理液を供給する処理液供給機構(2)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置である。
この構成によれば、スクラブブラシによって基板表面から除去された異物を、処理液によって、基板外へと洗い流すことができる。また、処理液によって湿潤な状態となったスクラブブラシに対して、待機時にアルカリ性気体を供給すると、スクラブブラシの表面付近はアルカリ性液体による湿潤な状態に保持される。これにより、待機期間終了後のスクラブ洗浄処理を効率的に行える。
請求項4記載の発明は、前記待機位置にある前記スクラブブラシに洗浄液を供給する洗浄液供給機構(21,23,38)をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の基板処理装置である。
なお、前記洗浄液としては、純水、還元水(水素水)、電解イオン水(特にアルカリイオン水)のうちの少なくともいずれか1つを用いることができる。ここで、特に還元水(水素水)やアルカリイオン水を洗浄液として用いた場合には、スクラブ部材およびその表面にわずかに残留した異物のゼータ電位をより確実に負に制御することができる。
この構成によれば、アルカリ性液体貯留部にアルカリ性液体を貯留しておき、このアルカリ性液体の揮発によって生じるアルカリ性気体がスクラブブラシに供給される。このような構成では、アルカリ性液体をスクラブブラシに直接供給する場合に比較して、アルカリ性液体の消費量が著しく少なくなるので、ランニングコストを低く抑えることができる。
請求項6記載の発明は、前記アルカリ性液体貯留部の上方に配置され、このアルカリ性液体貯留部への他液の混入を抑制または阻止する液受け部材(48)をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置である。
とくに、スクラブブラシに洗浄液を供給する洗浄液供給機構が備えられている場合に、この構成を採用することが好ましい。これにより、洗浄液によるアルカリ性液体の希釈を抑制または防止できる。
請求項8記載の発明は、前記スクラブ工程と並行して前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の基板処理方法である。
この方法により、請求項2の発明と同様な効果が得られる。
請求項9記載の発明は、前記待機時に、前記スクラブブラシに洗浄液を供給する洗浄液供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項7または8記載の基板処理方法である。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の基本的な構成を説明するための図解的な斜視図である。この基板処理装置は、基板の一例である半導体ウエハW(以下「ウエハW」という。)をほぼ水平に保持して回転させる基板保持回転機構としてのスピンチャック1と、このスピンチャック1に保持されたウエハWのほぼ回転中心に向けて処理液を供給する処理液ノズル2と、ウエハWの表面をスクラブするスクラブブラシ3と、このスクラブブラシ3を移動させるためのブラシ移動機構4と、スクラブブラシ3を待機させておくための待機ポット5とを備えている。
待機ポット5は、スクラブブラシ3を受け入れることができる筒状容器体であり、スクラブブラシ3を洗浄するための洗浄液としての純水が洗浄液供給管21から供給され、スクラブブラシ3のゼータ電位を制御するためのアルカリ性液体としてのアンモニア水がアルカリ性液体供給管22から供給されるようになっている。洗浄液供給管21は、洗浄液バルブ23を介して洗浄液供給源(純水供給源)に接続されている。また、アルカリ性液体供給管22は、アルカリ性液体バルブ24を介してアルカリ性液体供給源(アンモニア水供給源)に接続されている。また、待機ポット5の底面には、排液管25が接続されている。
図2は、待機ポット5の構成例を示す図解的な断面図である。待機ポット5は、ポット本体31と、このポット本体31内に設けられたアルカリ性液体貯留部32とを備えている。ポット本体31は、有底筒状(この構成例では円筒状)容器からなり、その上面は開放されていて、スクラブブラシ3を受け入れるブラシ入口33が形成されている。アルカリ性液体貯留部32は、ポット本体31内にほぼ水平に配置された板状体で構成されており、ポット本体31の高さ方向中間位置に取り付けられている。アルカリ性液体貯留部32よりも上方のポット本体内空間は、スクラブブラシ3の全体を収容することができるスクラブブラシ収容空間34を形成しており、アルカリ性液体貯留部32よりも下方のポット本体内空間は、排液部35を形成している。
ポット本体31の側壁37においてアルカリ性液体貯留部32よりも上方の位置には、洗浄液供給管21が接続される洗浄液ポート38が設けられている。この洗浄液ポート38の液吐出口39は、ポット本体31内に収容された位置(待機位置)にあるスクラブブラシ3に対向しており、このスクラブブラシ3に対して洗浄液としての純水を吐出する洗浄液ノズルを形成している。
未処理のウエハWは、基板搬送ロボット(図示せず)によってスピンチャック1に受け渡される。スピンチャック1にウエハWが保持されると、制御装置30は、チャック回転駆動機構8を制御してスピンチャック1を回転させる。これにより、ウエハWは、ほぼ水平姿勢に保持された状態で鉛直軸線まわりに回転された回転状態となる。
制御装置30は、さらに、揺動駆動機構17および昇降駆動機構18を制御することにより、スクラブブラシ3をウエハWの回転中心付近の上方へと導く。その後、制御装置30は、昇降駆動機構18を制御することにより、スクラブブラシ3を下降させ、ウエハWの表面に接触させる。この状態で、制御装置30は、さらに、揺動駆動機構17を制御し、スクラブブラシ3をウエハWの回転中心からその周縁部へと移動させる。これにより、ウエハWの表面のほぼ全域がスキャンされつつスクラブ洗浄されることになる。
以後、同様の動作が所定回数だけ繰り返されることにより、ウエハWのスクラブ洗浄が行われることになる。スクラブブラシ3によるスクラブによってウエハWの表面から剥離した異物は、ウエハW上の処理液流によってウエハWの外方へと排除され、処理液とともに流下する。
スクラブ洗浄工程が終了すると、制御装置30は、揺動駆動機構17および昇降駆動機構18を制御することにより、スクラブブラシ3を待機ポット5内に収容する。この待機ポット5に収容されたときのスクラブブラシ3の位置が待機位置である。
所定時間の純水リンス処理の後には、制御装置30は、純水バルブ12を閉じて純水の供給を停止するとともに、チャック回転駆動機構8を制御してスピンチャックの回転速度を所定の乾燥速度まで上昇させる。これにより、ウエハWの表面の水分を遠心力によって振り切る乾燥工程が行われる。
同様な処理が複数枚のウエハWに対して繰り返し実行される。
所定時間以上(たとえば、30分以上)に渡って、未処理のウエハWが当該基板処理装置に搬入されないとき、制御装置30は、洗浄液バルブ23を所定時間だけ開く。これにより、洗浄液ポート38の液吐出口39から、ポット本体31に収容されたスクラブブラシ3に向けて洗浄液としての純水が吐出されることになる。これにより、スクラブブラシ3に付着した異物が洗い流され、開口36から排液部35へと流下した後、排液ポート43を介して排液管25へと導かれる。こうして、待機期間中には、スクラブブラシ3の水洗処理が行われる。
スクラブブラシ3の水洗によって、このスクラブブラシ3は純水で膨潤した状態となる。この状態のスクラブブラシ3がポット本体31内に保持されると、アルカリ性液膜41からのアルカリ性ガス(この実施形態ではアンモニアガス)の供給を受けて、スクラブブラシ3の表面付近は速やかにアルカリ水溶液(この実施形態ではアンモニア水)で膨潤した状態に至る。すなわち、アルカリ性ガスとスクラブブラシ3内の純水とが結びつき、スクラブブラシ3の表面付近のpHが速やかに上昇する。これにより、スクラブブラシ3の表面およびそこに残留している異物のゼータ電位が、いずれも負に制御されることになる。
図3は、半導体プロセスにおいて存在し得る種々の物質について、pHとゼータ電位との関係を調べた結果を示す図である。この図から、一般的に、pH9以上であれば、ゼータ電位を確実に負とすることができ、典型的な半導体ウエハであるシリコンウエハとその表面の異物とを反発させることができると考えられる。
図5は、待機ポット5の他の構成例を示す図解的な断面図である。この図5において、前述の図2に示された各部に対応する部分には、図2の場合と同一の参照符号を付して示す。
一方、アルカリ性液体貯留部45に貯留されたアルカリ性液体から揮発したアルカリ性気体は、開口49を通ってその上方のスクラブブラシ収容空間34に至り、待機位置のスクラブブラシ3へと供給される。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、アルカリ性液体貯留部には、基板処理装置の運転期間中、常時、アルカリ性液体のスローリークを行うこととしているが、所定時間以上の待機期間が生じた場合にのみアルカリ性液体貯留部へのアルカリ性液体の供給を行うこととしてもよい。
また、前述の実施形態では、アルカリ性液体からの揮発によってアルカリ性気体を生成させているが、アルカリ性ガス供給源(ガスタンク等)からのアルカリ性ガスを待機位置のスクラブブラシ3に供給するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、液吐出口39から吐出される洗浄液として純水が用いられているが、これに限らず、還元水(水素水)、電解イオン水(特にアルカリイオン水)のうちの少なくともいずれか1つを用いることができる。特に、還元水(水素水)やアルカリイオン水を洗浄液として用いた場合には、さらにスクラブブラシ3の表面のpHを大きくすることができ、スクラブブラシ3およびその表面にわずかに残留した異物のゼータ電位をより確実に負に制御することができる。
また、上記の実施形態では、ウエハWを保持して回転させながらスクラブブラシ3でスクラブする基板処理装置を例にとったが、ウエハを非回転状態で保持しつつ、スクラブブラシ(たとえば、ロール状のもの)でスクラブする構成の基板処理装置に対しても、この発明を適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
2 処理液ノズル
3 スクラブブラシ
4 ブラシ移動機構
5 待機ポット
6 回転ベース
7 回転軸
8 チャック回転駆動機構
9 チャックピン
11 薬液バルブ
12 純水バルブ
15 揺動アーム
16 支持軸
17 揺動駆動機構
18 昇降駆動機構
20 ブラシ回転駆動機構
21 洗浄液供給管
22 アルカリ性液体供給管
23 洗浄液バルブ
24 アルカリ性液体バルブ
25 排液管
30 制御装置
31 ポット本体
32 アルカリ性液体貯留部
33 ブラシ入口
34 スクラブブラシ収容空間
35 排液部
36 開口
37 側壁
38 洗浄液ポート
39 液吐出口(洗浄液ノズル)
40 アルカリ性液体ポート
41 アルカリ性液膜
42 底板
43 排液ポート
44 堰部材
45 アルカリ性液体貯留部
46 純水供給管
47 純水バルブ
48 液受け部材
49 開口
W 半導体ウエハ
Claims (9)
- 基板を保持する基板保持機構と、
この基板保持機構に保持された基板の表面をスクラブして基板表面の異物を除去するためのスクラブブラシと、
前記スクラブブラシで基板をスクラブしていない待機時において、前記スクラブブラシの表面にアルカリ性気体を供給するアルカリ性気体供給機構とを含むことを特徴とする基板処理装置。 - 前記スクラブブラシで基板をスクラブしているときに、当該基板の表面に処理液を供給する処理液供給機構をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
- 前記基板表面をスクラブする処理位置と、この処理位置から退避した待機位置との間で、前記スクラブブラシを移動させるブラシ移動機構をさらに含み、
前記アルカリ性気体供給機構は、前記待機位置にある前記スクラブブラシにアルカリ性気体を供給するものであることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。 - 前記待機位置にある前記スクラブブラシに洗浄液を供給する洗浄液供給機構をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
- 前記アルカリ性気体供給機構は、揮発してアルカリ性気体を発生する揮発性アルカリ性液体を前記待機位置の下方において貯留するアルカリ性液体貯留部を含むことを特徴とする請求項3または4記載の基板処理装置。
- 前記アルカリ性液体貯留部の上方に配置され、このアルカリ性液体貯留部への他液の混入を抑制または阻止する液受け部材をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
- 基板の表面をスクラブブラシでスクラブし、前記基板表面の異物を除去するスクラブ工程と、
前記スクラブブラシで基板をスクラブしていない待機時において、前記スクラブブラシの表面にアルカリ性気体を供給し、前記スクラブブラシおよびこのスクラブブラシに付着した異物のゼータ電位を負に制御するアルカリ性気体供給工程とを含むことを特徴とする基板処理方法。 - 前記スクラブ工程と並行して前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の基板処理方法。
- 前記待機時に、前記スクラブブラシに洗浄液を供給する洗浄液供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項7または8記載の基板処理方法。
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