JP4749679B2 - 吸水性樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、吸水性樹脂およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、優れた性能を有する吸水性樹脂と、特定の表面架橋処理を行う吸水性樹脂の製造方法に関する。
近年、体液等の水性液体を吸収させることを目的として、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料の構成材料として吸水性樹脂が幅広く使用されている。
上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリル共重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の共重合架橋体、ポリエチレンオキサイド架橋体、ポリアリルアミン架橋体、ポリエチレンイミン架橋体などが知られている。
上記の吸水性樹脂が備えるべき特性としては、体液等の水性液体に接した際の優れた吸水量や吸収速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引力などが挙げられる。
これらの諸特性間の関係は必ずしも正の相関関係を示さず、例えば、無加圧下の吸収特性の高いものほど加圧下の吸収特性は低下してしまう傾向があった。
吸水性樹脂の諸特性をバランス良く改良する方法として、吸水性樹脂の表面近傍を架橋する、いわゆる表面架橋処理技術が知られている。
表面架橋処理で用いられる架橋剤としては、多価アルコール類、多価グリシジルエーテル類、ハロエポキシ化合物類、多価アルデヒド類、多価アミン類、多価金属塩類などが知られ、これらの架橋剤を用いて吸水性樹脂の表面近傍を架橋させる方法としては、代表的な方法として、架橋剤を水と親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋処理剤と吸水性樹脂とを混合して加熱する方法(例えば、特許文献1〜3参照)、吸水性樹脂を水と親水性有機溶媒の混合溶媒中に分散させて架橋剤を加えて反応させる方法(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
一方、製造時の廃液や廃ガスによる環境汚染の問題や、吸水性樹脂が人体に直接に接する衛生材料に用いられるという用途的な事情もあり、親水性有機溶媒を全く用いないで表面架橋処理を行うことが望まれている。
ところが、表面架橋処理の際に親水性有機溶媒を用いないで水のみを溶媒として吸水性樹脂を製造した場合(例えば、特許文献5参照)、親水性有機溶媒を用いる場合に比べて吸水性樹脂の諸特性、特に吸収特性が低下してしまうという問題があった。
さらに、これまで、吸水性樹脂自体の製造条件や吸水性樹脂に対する後加工としての表面処理条件などが検討され、多くの吸水性樹脂が、その前記した吸水量、吸収速度、通液性、ゲル強度、吸引力などの諸物性に着目して設計ないし製造されてきたが、最近、おむつなど糞尿・血液吸収用途の実使用面を考えると、これらの諸物性を満足するだけでは希望する高いレベルの吸収性能を発揮できないこともあることが分かってきた。すなわち、糞尿・血液吸収用途の吸収性物品に使用する吸水性樹脂については、いまだ、最適な吸水性樹脂が設計ないし製造できていないという問題があった。
特開2001−270948号公報 特表平9−502221号公報 特許第3305718号公報 特公昭61−48521号公報 特開平4−246403号公報
したがって、本発明が解決しようとする課題は、吸水性能において優れたバランスを示す吸水性樹脂と、吸水性樹脂を製造するにあたって、表面架橋処理の際に親水性有機溶媒を使用しないか極度に少なくしても、優れた吸収特性を有する吸水性樹脂を製造できる方法を提供することにある。
本発明の課題はまた、おむつなどの吸収性物品に最適な吸水性樹脂を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合を低減させた表面架橋処理剤を添加して加熱することにより表面架橋処理を行う工程が吸水性樹脂の製造ラインに含まれる場合において、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する操作の終了時から加熱を行う操作の開始時までの中間工程に着目し、この中間工程に要する時間が、製造される吸水性樹脂の吸収特性に大きく影響を与えることを見出した。そして、この時間を従来公知の実施形態からは予想もつかない5分以内という短時間に設定することによって、上記課題が解決できることを見出した。
一般に、吸水性樹脂の製造プラントにおいては、各種反応器や処理装置等の間が搬送および必要により貯蔵を行う中間工程にて連結されており(例えば、前述の特許文献1〜3ご参照)、プラントスケールが大きくなればなるほど中間工程に費やされる時間も不可避的に増大する。そして、一般的な生産スケール(生産量が年間数万トン〜数10万トン)を有する従来の製造プラントの場合、中間工程は、そこでの滞留時間が数10分〜数時間のスケールで設計されることが通常であった。
本発明は、表面架橋処理の際に、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合を低減させた表面架橋処理剤を用いて、優れた吸収特性を有する吸水性樹脂を製造するためには、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する操作の終了時から加熱を行う操作の開始時までの中間工程に費やす時間を極めて短時間に設定することが重要であることの知見があって初めて完成されたものである。
本発明者の知見によれば、おむつなどの吸収性物品に使用する吸水性樹脂は、これまで知られているように、その粒子径要素についての配慮(すなわち、質量平均粒子径、および、粒子径150μm未満の粉末の割合)が必要なことは言うまでもないのであるが、これに加えて、トータル吸収倍率および加圧下吸収効率という全く新たな2つのパラメータに配慮することも重要である。上述した製造方法によれば、粒子径要素に着目した設計基準を満たしながら、上記2つのパラメータをも満足する吸水性樹脂を容易に製造することができるのである。
すなわち、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、アクリル酸および/またはその塩を主成分(ただし、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、0〜30モル%)とする単量体成分を水溶液重合または逆相懸濁重合して含水ゲル状重合体を得る工程(1)、得られた含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して、質量平均粒子径が300〜600μmで粒子径150μm未満の粉末の割合が0〜10重量%の吸水性樹脂粉末を得る工程(2)、得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤0.001〜10質量%と水0.5〜20質量%とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が該処理剤に対し0〜10質量%である表面架橋処理剤を混合機中で添加する工程(3)、および、加熱機中で加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)、
を含み、前記表面架橋処理剤を添加する時の吸水性樹脂粉末の温度が40〜80℃の範囲内であり、前記工程(3)の終了時から工程(4)の開始時までの時間が0秒を超えて5分以内である、ことを特徴とする
また、本発明にかかる吸水性樹脂は、アクリル酸および/またはその塩を主成分(ただし、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、0〜30モル%)とする単量体成分を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂であって、質量平均粒子径が300〜600μmであり、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂に対して0〜10質量%であり、かつ、トータル吸収倍率が70(g/g)以上140(g/g)以下、加圧下吸収効率が70%以上、無加圧下吸収倍率が33g/g以上80g/g以下、吸収性樹脂の粒度分布の対数標準偏差σζが0.25〜0.50の範囲であることを特徴とする。
ただし、トータル吸収倍率および加圧下吸収効率は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(25℃)を吸収させた1時間値に基づき下式で規定される。
トータル吸収倍率(g/g)=無加圧下吸収倍率(g/g)+単層加圧下吸収倍率(g/g)
加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
そして、粒度分布の対数標準偏差は、吸水性樹脂を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした結果からR=84.1質量%の時の粒子径X および、R=15.9質量%の時の粒子径X を求め、これらの値を下記の式に導入することによって得られる。
σζ=0.5×In(X /X
さらに、本発明にかかる吸収性物品は、上記本発明の吸水性樹脂を含む、紙おむつである。
本発明によれば、吸水性能において優れたバランスを示す吸水性樹脂を提供することもでき、また、吸水性樹脂を製造するにあたって、表面架橋処理の際に親水性有機溶媒を使用しないか極度に少なくしても、優れた吸収特性を有する吸水性樹脂を製造できる方法を提供することができ、さらに、おむつなどの吸収性物品に最適な吸水性樹脂を提供することができる。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、
酸基含有不飽和単量体を必須成分とする単量体成分を重合して含水ゲル状重合体を得る工程(1)、
得られた含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して吸水性樹脂粉末を得る工程(2)、
得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が当該処理剤に対して0〜10質量%である表面架橋処理剤を添加する工程(3)、および、
加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)、
を含む。
本発明における吸水性樹脂とは、ヒドロゲルを形成しうる水膨潤性水不溶性の架橋重合体のことである。水膨潤性とは、イオン交換水中において必須に自重の5倍以上、好ましくは、50倍から1000倍という多量の水を吸収することをいう。水不溶性とは、米国特許第6187872号明細書で規定される吸水性樹脂中の未架橋の水可溶性成分(水溶性高分子)が、当該吸水性樹脂に対して、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜25質量%、さらに好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜15質量%、最も好ましくは0〜10質量%のことをいう。
本発明における吸水性樹脂を構成する水膨潤性水不溶性の架橋重合体としては、ポリアクリル酸部分中和物重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の1種または2種以上を挙げることができるが、好ましくは、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体成分を重合・架橋することにより得られるポリアクリル酸部分中和物重合体である。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、含水ゲル状重合体は、酸基および/またはその塩を有し、好ましくは、酸基含有不飽和単量体を必須成分とする単量体成分を重合して得られる。なお、酸基含有不飽和単量体としては、重合後に加水分解を行うことによって酸基となる単量体(例えば、アクリロニトリルなど)も含まれるが、好ましくは、重合時にすでに酸基を含有している酸基含有不飽和単量体である。
本発明においては、単量体成分としてアクリル酸および/またはその塩を主成分とすることが好ましい。
単量体成分としてアクリル酸および/またはその塩を主成分とする場合、その他の単量体を併用してもよい。併用できる単量体としては、併用によっても本発明の効果を発揮できるものであれば特に限定されないが、例えば、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和単量体が挙げられる。
本発明においてアクリル酸および/またはその塩以外の単量体を用いる場合には、そのアクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0〜10モル%の割合である。このような割合で用いることにより本発明の効果が十分に発揮され、得られる吸水性樹脂の吸収性能がより一層向上すると共に、吸水性樹脂をより一層安価に得ることができる。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、含水ゲル状重合体は架橋構造を有する。かかる架橋構造は、架橋剤を使用しない自己架橋型のものであってもよいが、一分子中に2個以上の重合性不飽和基や2個以上の反応性基を有する架橋剤(吸水性樹脂の内部架橋剤)を共重合または反応させて得られた架橋構造がさらに好ましい。
内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
内部架橋剤は、単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。また、内部架橋剤は、反応系に一括添加してもよく、分割添加してもよい。内部架橋剤を使用する場合には、本発明の効果を十分に発揮させるために、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を重合時に用いることが好ましい。
これら内部架橋剤の使用量は、前記単量体成分(架橋剤を除く)に対して、好ましくは0.001〜2モル%、より好ましくは0.005〜0.5モル%、さらに好ましくは0.01〜0.2モル%、特に好ましくは0.03〜0.15モル%である。内部架橋剤の使用量が0.001モル%よりも少ない場合、あるいは、2モル%よりも多い場合には、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがあり、得られる吸水性樹脂が十分な吸収特性を発揮できないおそれがあるので好ましくない。
内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入する場合には、内部架橋剤を、単量体成分の重合前あるいは重合途中、あるいは重合後、または中和後に反応系に添加するようにすればよい。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法において、含水ゲル状重合体を得るために単量体成分を重合する方法としては、特に限定されず、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈殿重合などが挙げられるが、性能面、重合の制御の容易さ、膨潤ゲルの吸収特性の観点などから、単量体成分を水溶液とすることによる水溶液重合や逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
単量体成分を水溶液とする場合の該水溶液(以下、単量体水溶液と称することがある)中の単量体成分の濃度は、水溶液の温度や単量体成分の種類によって決まり、特に限定されるものではないが、当該単量体水溶液に対して、10〜70質量%の範囲内が好ましく、20〜60質量%の範囲内がさらに好ましい。また、上記水溶液重合を行う際には、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類は、特に限定されるものではない。
逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同5244735号などの米国特許に記載されている。水溶液重合とは分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許4625001号、同4873299号、同4286082号、同4973632号、同4985518号、同5124416号、同5250640号、同5264495号、同5145906号、同5380808号などの米国特許や、欧州特許0811636号、同0955086号,同0922717号などの欧州特許に記載されている。これら重合法に例示の単量体成分や開始剤などを本発明に適用することもできる。
上記の重合を開始させる際には、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤や、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の光重合開始剤を用いることができる。これら重合開始剤の使用量は、得られる吸水性樹脂の物性面などを考えると、0.001〜2モル%(対全単量体成分)が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1モル%(対全単量体成分)である。
以上のように、酸基含有不飽和単量体を必須成分とする単量体成分を重合する工程により、含水ゲル状重合体が得られる。
上記重合によって得られた含水ゲル重合体は必要により細分化され、次いで乾燥および粉砕される。粉砕は、乾燥の前でもよいし同時でもよいし後でもよい。好ましくは乾燥の後に粉砕することである。
本発明で好ましくは、乾燥は、粒子状の含水ゲル状重合体(例えば、質量平均粒子径が2cm以下、好ましくは1cm以下、より好ましくは5mm以下)に対して行われる。本発明において含水ゲル状重合体を粒子状とする為の細分化方法としては、ニーダーなどを用いて重合と同時に細分化を行ってもよいし、また、重合後に別途細分化してもよいし、重合時の細分化と重合後の細分化を併用してもよい。なお、含水ゲル状重合体が粒子状で乾燥されない場合、例えば、フィルム状などでは、物性が劣り粒度が好ましい範囲でなくなる場合がある。
乾燥前の含水ゲル状重合体の粒子径としては、乾燥効率や物性面から、質量平均粒子径で、好ましくは45〜4000μmの範囲、より好ましくは50〜2000μmの範囲、さらに好ましくは100〜1500μmの範囲、特に好ましくは200〜1000μmの範囲である。なお、含水ゲル状重合体の質量平均粒子径が上記範囲を外れると、得られる吸水性樹脂の吸水倍率の低下や水可溶分の増加などを引起こすおそれがある。
細分化に適した装置としては、例えば、ニーダー、カッター刃を備えた縦切り型スリッター、カッター刃を備えた横切り型スリッター、回転刃を備えたカッター型の粉砕機、所定の孔径のミートチョパーなどが例示できる。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、含水ゲル状重合体は必須に乾燥される。なお、本発明で乾燥とは、上記含水ゲル状重合体を、その固形分(180℃、3時間の乾燥減量で規定)が、乾燥後の重合体に対して、80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90%質量以上、特に好ましくは93質量%以上の固体状態にすることを意味する。なお、本発明における乾燥は、必ずしも固形分100質量%(水分ゼロ)の乾燥重合体にする必要はない。
本発明で用いることができる乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風乾燥、ドラムドライヤー等を用いた薄膜乾燥、減圧乾燥法、攪拌乾燥、流動床乾燥などの乾燥方法の1種または2種以上を用いることができるし、乾燥の連続または回分は特に問わない。物性面や乾燥効率面からは、本発明においては、熱風乾燥、特に連続の熱風乾燥が好ましく用いられ、そのためには、例えば、ベルト上で静置乾燥するのがよい。
かかる熱風乾燥には、乾燥効率の点から、例えば、金網/ないし孔やスリットを有するパンチングメタル上に粒子状の含水ゲル状重合体を積層した上、ゲルの上下方向ないし横方向、好ましくは上下方向に、積層した粒子の空隙間に熱風を通気すればよい。用いられる金網や孔径として、例えば、孔や金網の場合、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.2〜2mm程度の通気孔を有すればよい。また、金網ないしパンチングメタル上でのゲルの積層は、乾燥後の物性面から、好ましくは1〜20cm、より好ましくは1.5〜10cm、さらに好ましくは2〜8cmの一定厚みに粒子状の含水ゲル状重合体を積層すればよい。
上記の含水ゲル状重合体を乾燥させる際の乾燥温度は、物性面や生産性の面から、通常100℃以上が好ましく、より好ましくは110〜230℃、さらに好ましくは130〜200℃、特に好ましくは150〜190℃に設定すればよい。なお、乾燥温度は、材料温度または熱媒(熱風など)の温度で規定されるが、好ましくは熱媒温度で規定される。また、乾燥期間中の乾燥温度は一定であってもよく、上記温度範囲において乾燥途中で適宜変化させてもよい。さらに、熱風乾燥する際は、熱風の露点は、物性やエネルギー効率の点から、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜85℃の範囲である。
なお、積層されて乾燥された粒子状含水ゲル重合体は、乾燥後、粒子間の凝集で流動性を失ったブロック状乾燥物となり易いことも併記しておく。かかるブロック状物は、乾燥重合体粒子の凝集体ではあるが、連続した空隙を持ち、ブロック内部への通気性は有しているが、凝集により流動性がないため、粉砕(解砕)しておくことが必要である。
本発明において、含水ゲル重合体は、上記のように乾燥され、さらに粉砕もされる。粉砕は、乾燥の前でもよいし同時でもよいし後でもよいが、好ましくは乾燥の後に粉砕する。より好ましくは、粉砕されてさらに分級される。
本発明において、乾燥と粉砕、さらに必要により分級は、連続工程でなされることが好ましく、乾燥機出口から粉砕機入口までの時間は10分以内が好ましく、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは2分以内である。
本発明において、粉砕の方法としては、乾燥重合体やその凝集物(ブロック状物)を流動性ある粉末、好ましくは質量平均粒子径2mm以下の粉末にできれば特に限定されるものではなく、例えば、ハンマー式粉砕機、ロール式粉砕機、ジェット気流式粉砕機などを用いて粉砕する方法、従来公知の種々の粉砕ないし解砕方法の1種または2種以上を用いることができる。また、乾燥時の凝集が弱い場合、特に粉砕機を用いなくても、乾燥重合体に振動を与えて分級することで重合体の凝集をほぐして粉砕してもよい。
本発明においては、上記の粉砕の後、さらに必要により、好ましくは分級され、粗大粒子や微粉末が除去される。こうして得られる吸水性樹脂粉末の質量平均粒子径は目的に応じて決定されるが、本発明の効果を十分に発揮させるために、吸水性樹脂粉末は、その質量平均粒子径が、好ましくは300〜600μmの範囲、より好ましくは300〜550μmの範囲、特に好ましくは380〜550μmの範囲である。また、粒子径150μm未満の粉末の割合が、当該吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは0〜10質量%であり、より好ましくは0〜8質量%、さらに好ましくは0〜5質量%、特に好ましくは0〜3質量%である。また、粒子径150μm未満ないし850μm以上の粒子の合計が、当該吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
特に、本発明においては、吸水性樹脂粉末の質量平均粒子径が300〜600μmであり、且つ、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、最も好ましくは0〜3質量%である。
吸水性樹脂粉末の嵩比重は、モノマー組成によって一義的に決まる真比重(g/cm)で種々変化するが、例えば、吸水性樹脂がポリアクリル酸ナトリウム、特に、中和率50〜90モル%のポリアクリル酸ナトリウム、さらには中和率60〜80モル%のポリアクリル酸ナトリウムの場合は、その嵩比重が通常0.63g/ml以上であることが好ましく、特に0.65g/ml以上とすることが好ましい。なお、嵩比重はJIS K−3362の装置で測定すればよい。本発明においては、粉砕後の吸水性樹脂粉末は鱗片も少なく、より丸みを帯びて均一な形状となるので、嵩比重は高くなり易く、嵩比重は好ましくは0.65〜0.89g/ml、より好ましくは0.67〜0.88g/ml、さらに好ましくは0.73〜0.87g/ml、さらに好ましくは0.74〜0.86g/ml、さらに好ましくは0.75〜0.85g/mlに調整される。粉砕後の吸水性樹脂粉末の嵩比重が上記範囲を外れると、本発明の効果が十分に発揮されないおそれがある。
上記粉砕後に粗大粒子(例えば、850μmオン品)や微粉(例えば、150μmパス品)は場合により適宜リサイクルすればよい。粗い粒子は再粉砕され、細かい粒子は除去ないし回収されることで、前記粒度分布とすればよい。しかし、本発明では粒度分布がシャープなため、かかるリサイクルの必要性が大きく低減する。なお、吸水性樹脂の微粉のリサイクル方法は、米国特許4950692号、同5064582号、同5264495号、同5478879号や、欧州特許0812873号、同0885917号、同0844270号などに開示されており、これらの微粉リサイクル方法の本発明への適用も可能である。また、微粉のリサイクル量は全体の30質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは1〜10質量%の範囲、最も好ましくは2〜8質量%の範囲である。本発明では粉砕で粒度分布のシャープな吸水性樹脂粉末が高い生産性で得られるため、少量の微粉のリサイクルでさらに粒度分布のシャープな吸水性樹脂粉末が得られるので好ましい。
上記のようにして得られる吸水性樹脂粉末は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する無加圧下吸収倍率が40g/g以上であることが好ましく、より好ましくは45g/g以上、さらに好ましくは50g/g以上、特に好ましくは55g/gである。優れた吸収特性を有する吸水性樹脂を得るためには、ベースポリマーである上記の吸水性樹脂粉末の吸収倍率が高いほうが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が当該処理剤に対して0〜10質量%である表面架橋処理剤を添加する工程(3)、加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)を含む。
表面架橋処理を行うための表面架橋剤としては、種々のものがあり、特に限定されないが、得られる吸水性樹脂の物性向上などの観点から、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノ、ジまたはポリオキサゾリジノン化合物、環状尿素化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物などが好ましい。
本発明で用いることができる表面架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、米国特許6228930号、同6071976号、同6254990号などに例示されている表面架橋剤を用いることができる。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドールなどのエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン化合物;環状尿素化合物;エチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネート化合物等が挙げられ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の効果を十分に発揮するためには、これらの表面架橋剤の中で多価アルコール化合物を必須に用いることが好ましい。多価アルコール化合物としては、炭素数2〜10のものが好ましく、炭素数3〜8のものがより好ましい。
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂粉末に対して、0.001〜10質量%の範囲内が好ましく、0.01〜5質量%の範囲内がより好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法において用いられる表面架橋処理剤は、前記表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が当該処理剤に対して0〜10質量%である表面架橋処理剤である。
本発明において表面架橋処理剤に含まれる水の量は、使用する吸水性樹脂粉末の含水率にもよるが、吸水性樹脂粉末に対して0.5〜20質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは0.5〜7質量%、最も好ましくは0.5〜4質量%の範囲内である。
本発明における表面架橋処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合は当該処理剤に対して0〜10質量%である。好ましくは0〜8質量%、より好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜3質量%、特に好ましくは0〜1質量%、最も好ましくは0質量%(実質的に含まない状態)である。本発明の方法では、諸物性が向上し、後述する新規な吸水性樹脂が得られる上に、親水性有機溶媒が低減された表面処理架橋剤を用いることにより、製造時の廃液や廃ガスによる環境汚染の問題が解消され、吸水性樹脂が人体に直接に接する衛生材料に用いられるという用途的な事情にも合致する。
ここで、親水性有機溶媒としては、吸水性樹脂が有する酸基、好ましくはカルボキシル基と架橋反応を起こさない有機化合物(通常、官能基が0または1個)であればよく、具体的には、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、アルコキシ(ポリ)エチレングリコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ε−カプロラクタム等のアミド類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;などが挙げられる。
本発明において親水性有機溶媒とは、常温で液体の水に溶解できる有機化合物を指し、通常、その溶解度は常温100gの水に通常1g以上、好ましくは10g以上である。本発明では、親水性有機溶媒は常温で液体であることが必須であるが、本発明の意図する効果を最大に発現する溶媒としては、揮発性の親水性有機溶媒、例えば、沸点が好ましくは50〜170℃、より好ましくは60〜150℃、特に好ましくは60〜130℃の親水性有機溶媒である。
なお、架橋剤が有機化合物である場合の架橋剤と親水性有機溶媒との区別はつぎのとおりである。通常、ある選択した反応条件で吸水性樹脂と実質的に架橋反応を起こさない化合物(吸水性樹脂の物性を実質的に変化させることのない化合物)は親水性有機溶媒に分類し、他方、例えば、吸水性樹脂と有機化合物ないし有機化合物水溶液を混合して加熱を行うことにより架橋反応が進行する場合における前記有機化合物はこれを架橋剤と定義する。
本発明における表面架橋処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、上に述べた以外の成分をさらに含んでいてもよい。このような成分としては、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤が挙げられる。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法において、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する方法は、特に限定されないが、例えば、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を滴下混合する方法や噴霧する方法が挙げられる。
吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する際には、効果的に添加するために混合装置を使用することが好ましい。用いることができる混合装置としては、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末と表面架橋処理剤を均一かつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機などが挙げられ、混合の際の速度は、高速、低速を問わない。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、表面架橋処理剤を添加する時の吸水性樹脂粉末の温度が40〜80℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは45〜80℃の範囲内であり、さらに好ましくは50〜70℃の範囲内である。表面架橋処理剤を添加する時の吸水性樹脂粉末の温度が40℃よりも低いと、湿度の高い環境下で吸水性樹脂を製造する場合に結露を生じやすくなりトラブルの原因となるので好ましくない。表面架橋処理剤を添加する時の吸水性樹脂粉末の温度が80℃より高いと、表面架橋処理が均一に行えない傾向があり、好ましくない。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、表面架橋処理剤を添加する時の表面架橋処理剤の温度は、特に限定されないが、実質的に、添加される吸水性樹脂粉末の温度を超えない温度であることが、本発明の効果を十分に発揮するために好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加した後に加熱することにより表面架橋処理を行う。
加熱の温度(材料温度ないし熱媒温度)は、好ましくは60〜260℃の範囲内、より好ましくは80〜240℃の範囲内、さらに好ましくは100〜220℃の範囲内、特に好ましくは120〜200℃の範囲内であり、加熱時間は、1分〜120分の範囲内が好ましく、より好ましくは10分〜100分の範囲内、さらに好ましくは20分〜90分の範囲内、特に好ましくは30〜60分の範囲内である。加熱温度と加熱時間の組み合わせの好適例としては、例えば、180℃で1分〜90分、200℃で1分〜60分である。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加し終えてから0秒を超えて5分以内に加熱を開始することが重要である。すなわち、前記工程(3)の終了時から工程(4)の開始時までの時間が0秒を超えて5分以内であることが重要である。好ましくは4分以内、より好ましくは3分以内、さらに好ましくは2分以内、特に好ましくは1分以内である。このように吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加し終えてから5分以内に加熱を開始することにより、本発明の効果が発揮される。吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加し終えてから加熱を開始するまでの時間が5分を超えると、本発明の効果が発揮できない。
なお、本発明において、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加し終えてから加熱を開始するまでの時間とは、具体的には、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する工程(3)の終了時点から、加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)の開始時点までの時間、例えば、工程(4)の装置に入るまでの時間をいう。また、連続生産の場合、単位時間での吸水性樹脂のフィード量(供給量)、表面架橋処理剤を添加して混合する装置内での吸水性樹脂の滞留時間、加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)の装置に入るまでの輸送時間などにより、容易に計算できる。具体的には、この時間は、混合機出口から加熱機入口までの粉末の移動時間を実測ないし計算することで求めても良い。
吸水性樹脂の表面架橋方法として、特表平8−508517号公報の実施例に、1000kg/hでフィードする吸水性樹脂粉末に連続的に処理剤(表面架橋剤)を混合した後に、一旦貯蔵して連続的に加熱する技術などが開示されている。このように、従来の技術では、一般的には、表面架橋剤の混合機とその後の反応機(加熱機)との間に、各工程間を連結するクッションとして、一旦、中間で吸水性樹脂を貯蔵することが行われていた。
また、吸水性樹脂を連続生産する場合において、各工程間は搬送機が使用されて連結されているが、吸水性樹脂の製造スケールが年間数万トン〜数十万トンと大きくなるにつれて、上記貯蔵以外にも、各工程間の搬送距離(搬送時間)が一定以上必要となり、各工程間には、10分前後〜数10分、場合により数時間の中間工程(搬送や貯蔵)が存在することが実情であった。
しかし、本発明者は、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合を低減させた特定の表面架橋処理剤を用いるにあたって、表面架橋処理剤の混合機とその後の反応機(加熱機)との間の中間工程に着目し、吸水性樹脂の物性向上のためには、かかる中間工程の省略化あるいは簡略化が重要であることを見出したのである。このことにより、吸水性樹脂の性能向上のみならず、中間工程の省略化あるいは簡略化による設備投資の削減をも可能となる。
本発明を達成するための製造設備上の手段としては、例えば、表面架橋処理剤を添加して混合する装置の下に、反応機(加熱機)を設置した設備レイアウトが挙げられる。つまり、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する工程(3)の実施装置から、表面架橋処理剤が混合された吸水性樹脂が排出されて自由落下し、表面処理反応機(加熱機)へ投入される。これにより、工程(3)の終了時点から工程(4)の開始時点までの時間が短縮されるのである。
以上に述べた本発明の吸水性樹脂の製造方法は、以下に述べる新規な吸水性樹脂を提供する。
すなわち、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体成分を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂であって、質量平均粒子径が300〜600μmであり、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂に対して0〜10質量%であり、かつトータル吸収倍率が70(g/g)以上、加圧下吸収効率が70%以上である、ことを特徴とする、本発明の吸水性樹脂を与えるのである。
上記本発明の吸水性樹脂が新規である事実は、数多くの市販品(吸水性樹脂やおむつ)の世界的範囲での現状分析に加え、これまで提案されてきた多くの技術を対比評価することで確認されている。
本発明者が見出した新規な2つのパラメータ、すなわち、トータル吸収倍率および加圧下吸収効率は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(25℃)を吸収させた1時間値に基づき下式で規定されるものであり、1時間値の測定は後述する実施例において詳しく説明される。
トータル吸収倍率(g/g)=無加圧下吸収倍率(g/g)+単層加圧下吸収倍率(g/g)
加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
本発明にかかる新規な吸水性樹脂は、前記の粒子径、トータル吸収倍率、加圧下吸収効率を有する吸水性樹脂であるが、好ましくは、表面架橋されているものであり、また、後述する粒子径要素(質量平均粒子径、粒子径150μm未満の粉末の割合、粒度分布)、無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、トータル吸収倍率、加圧下吸収効率を有しているものである。本発明にかかる新規な吸水性樹脂は、消臭剤、無機粉末などの添加剤と併用されることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂は、粒子径要素(質量平均粒子径、および、粒子径150μm未満の粉末の割合)、トータル吸収倍率、および、加圧下吸収効率において制御されているものでありさえすれば、その製造方法は問わないが、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体成分を重合・架橋後に粒度を前記の範囲に制御し、さらに表面架橋すること、その際に特に、本発明の製造方法について前述した新規な表面架橋処理を施すことで、容易に得ることができる。
以下、本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂、ないし、本発明の新規な吸水性樹脂についてさらに説明する。
前述のようにして、表面架橋処理を行って得られた吸水性樹脂は、本発明の効果を十分に発揮するために、特定の粒度に調整されることが好ましい。
かかる粒度としては、好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、より好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。また、300μm以上の粒子がより好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上とされる。
本発明における吸水性樹脂の質量平均粒子径は、好ましくは200〜700μm、さらに好ましくは300〜600μm、特に好ましくは380〜550μm、最も好ましくは400〜500μmである。吸水性樹脂の質量平均粒子径は必要により造粒などで調整してもよい。
本発明における吸水性樹脂は、粒子径150μm未満の粉末の割合が、当該吸水性樹脂に対して、好ましくは0〜10質量%であり、より好ましくは0〜8質量%、さらに好ましくは0〜5質量%、特に好ましくは0〜3質量%である。
本発明における吸水性樹脂はまた、以下のようにして求められる粒度分布の対数標準偏差(σζ;値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する)が0.25〜0.50の範囲であることが好ましく、0.27〜0.48の範囲であることがより好ましく、0.30〜0.45の範囲であることがさらに好ましい。
粒度分布の対数標準偏差;吸水性樹脂を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした結果からR=84.1質量%の時の粒子径Xおよび、R=15.9質量%の時の粒子径Xを求め、これらの値を下記の式に導入することによって得られる値である。
σζ=0.5×In(X/X
σζが0.50を超えていることは、粉体の粒度分布が広いことを意味し、粉体の取り扱いにおいて、偏析、粉体供給量の誤差などの原因となるため、おむつなどの実使用であまり好ましくない。他方、σζが0.25未満であることは、粒度分布が狭いことを意味し、粉体の取り扱いにおいては好ましいが、粒度調整のために粗大粒子や微粉のリサイクル量が増え、単位時間当たりの生産量が低下する原因となるため、あまり好ましくない。
本発明における吸水性樹脂は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する無加圧下吸収倍率が好ましくは33g/g以上、より好ましくは35g/g以上、さらに好ましくは38g/g以上、特に好ましくは40g/g以上、最も好ましくは45g/g以上である。0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する無加圧下吸収倍率が33g/gよりも小さいと、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがあり、例えば、オムツに使用した場合に、吸収量が低く、実使用での漏れが多くなる。なお、無加圧下吸収倍率が80g/gを超えるようにすることは、内部架橋剤や表面架橋剤の使用量を少なくすることにつながり、本発明の効果が十分に発揮されなくなる惧れがあるので、あまり好ましくない。
本発明における吸水性樹脂は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する1.9kPaでの単層加圧下吸収倍率が25g/g以上であることが好ましく、より好ましくは30g/g以上、さらに好ましくは35g/g以上である。0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する1.9kPaでの単層加圧下吸収倍率が25g/gよりも小さいと、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがあり、例えば、実使用でオムツ表面の液により肌(お尻)のかぶれが生じたりする。なお、単層加圧下吸収倍率に上限は特になく、高いほうが好ましいが、該吸収倍率を一定以上に高めるのは生産性の極度の低下、物性的にも水可溶分の増加やゲル強度など招く場合があり、コストパフォーマンス(吸収倍率あたりの製造コスト)や物性のバランスから上限は60g/g程度であってもよい。
本発明における吸水性樹脂は、トータル吸収倍率が70g/g以上であることが好ましく、より好ましくは74g/g以上、さらに好ましくは78g/g以上、特に好ましくは82g/g以上である。トータル吸収倍率とは、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する無加圧下吸収倍率と0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する1.9kPaでの単層加圧下吸収倍率との和であり、無加圧状態と加圧状態との総吸収倍率を表す。トータル吸収倍率が70g/gよりも小さいと、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがあり、例えば、オムツに使用した場合に、吸収量が低く、実使用での漏れが多くなったり、実使用でオムツ表面の液により肌(お尻)のかぶれが生じたりする。なお、トータル吸収倍率が140g/gを超えるようにすることは、生産性を著しく落として重合、乾燥、粉砕、粒度調整、表面架橋等の工程を実施することにつながり、コスト的にあまり好ましくない。
本発明における吸水性樹脂は、加圧下吸収効率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは74%以上、さらに好ましくは78%以上、特に好ましくは82%以上である。加圧下吸収効率とは、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する無加圧下吸収倍率に対する0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する1.9kPaでの単層加圧下吸収倍率の百分率で表した割合であり、加圧下での吸収特性を表すものである。加圧下吸収効率が高いと、圧力に対する吸収倍率の変化が少ない。加圧下吸収効率が70%よりも小さいと、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがあり、例えば、オムツに使用した場合に、吸収量が低く、実使用での漏れが多くなったり、実使用でオムツ表面の液により肌(お尻)のかぶれが生じたりする。なお、加圧下吸収効率が150%を超えるようにすることは、生産性を著しく落として重合、乾燥、粉砕、粒度調整、表面架橋等の工程を実施することにつながり、コスト的にあまり好ましくない。
本発明における吸水性樹脂は、特に、トータル吸収倍率が70g/g以上、加圧下吸収効率が70%以上であることが好ましい。
本発明の吸水性樹脂の含水率や水可溶成分量は前述の範囲であり、残存モノマー量は通常0〜1000質量ppm、好ましくは0〜500質量ppm、より好ましくは0〜400質量ppmである。
本発明における吸水性樹脂には、さらに、必要に応じて、消臭剤、抗菌剤、香料、各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、キレート剤、酸化防止剤、水、水溶性高分子、バインダー、塩類等の添加剤を添加して、種々の機能を付与してもよい。
なお、本発明においては、吸水性樹脂に添加剤を加えて複合化させることにより、それら添加剤が吸水性樹脂に実質一体化(吸収、吸着、混合などで吸水性樹脂と複合化)されている場合、これらは1種の混合物ではあるが、この吸水性樹脂添加剤混合物(この混合物は通常、吸水剤と称されている)が前記の粒子径、トータル吸収倍率、加圧下吸収効率を満たす限り、この吸水性樹脂添加剤混合物も、本発明にいう吸水性樹脂とみなす。すなわち、本発明において、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体成分を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂とは、上記添加剤と複合化させてなる通称「吸水剤」を含む概念である。そして、かかる吸水剤において吸水性樹脂が占める割合は、当該吸水剤に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%の範囲であり、微量成分として水を含んでいてもよい。
消臭剤としては、例えば、米国特許第6469080号明細書や国際公開第2003/104349号パンフレットに例示されているツバキ科植物の葉抽出物や、特願2003−280373号明細書に例示の亜鉛と珪素あるいは亜鉛とアルミニウムの複合含水酸化物、特願2004−1778号明細書に例示されている特定のゼオライトなどが好ましく、その使用量は、吸水性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部の範囲が好ましく、0.05〜5質量部の範囲がさらに好ましく、0.1〜3質量部の範囲が特に好ましい。消臭剤の添加量が0.001質量部未満であることは、所望する消臭効果が得られない惧れがあるため、あまり好ましくない。他方、10質量部を越えて消臭剤を添加することは、消臭効果の優れたものになる利点があるが、得られる吸水性樹脂組成物自体が著しく高価なものになり、紙おむつ/生理用ナプキンなどの使い捨て衛生材料/吸収物品に使用するには、コスト的にあまり好ましくない。
吸水性樹脂の高湿下での取り扱い性改善を目的として、吸水性樹脂に無機粉末として微粒子状の二酸化珪素粉末を添加したり、塩類として微粒子状のステアリン酸多価金属塩粉末を添加したりすることも好ましく、その使用量は、吸水性樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.05〜5質量部の範囲がさらに好ましく、0.1〜1質量部の範囲が特に好ましい。微粒子状の二酸化珪素粉末および/または微粒子状のステアリン酸多価金属塩粉末の添加量が0.01質量部未満であることは、所望する高湿下での取り扱い性改善効果が得られない惧れがあるため、あまり好ましくない。他方、微粒子状の二酸化珪素粉末および/または微粒子状のステアリン酸多価金属塩粉末を10質量部を越えて添加することは、高湿下での取り扱い性の優れたものになる利点があるが、得られる吸水性樹脂組成物自体が著しく高価なものになり、紙おむつ/生理用ナプキンなどの使い捨て衛生材料/吸収物品に使用するには、コスト的にあまり好ましくない。
本発明における吸水性樹脂は、その粒子形状が、本発明の製造方法で得られるような不定形破砕状であっても良いが、たとえば、逆相懸濁重合で得られるそのままの形状、すなわち、球状などであっても良い。
ただし、逆相懸濁重合では、得られた吸水性樹脂の形状が球状ないしその凝集物であるため、パルプとの混合や固定(ひっかかり)が不十分となる場合が多く、特に近年はやりの高濃度吸水性樹脂のおむつに適さないため、本発明の吸水性樹脂の形状は好ましくは不定形破砕状(すなわち粉砕粉末)である。
本発明の製造方法で得られた吸水性樹脂や本発明の新規な吸水性樹脂は、衛生材料用、土木・建築用、廃液固化用、農業・植物用、食品用など、吸水性樹脂の各種用途に使用可能である。
なお、本発明で吸収性物品とは、吸水性樹脂を含んで成型された最終消費材をさし、紙おむつ、生理ナプキン、失禁パットに代表される。かかる吸収性物品は、好ましくは成型のために繊維材料が使用される。本発明の吸水性樹脂は、吸水性樹脂と繊維材料に対する吸水性樹脂の質量比が好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜90質量%の範囲、特に好ましくは30〜60質量%の範囲であり、また、吸収性物品1枚あたりの吸水性樹脂の使用量が好ましくは5〜25g、より好ましくは8〜15gの範囲であれば、かかる吸収性物品において最大の効果を発揮することができる。さらに、本発明の吸水性樹脂は、該吸水性樹脂と繊維材料が均一に混合される(吸水性樹脂の分布に偏りが少ない状態)ほど、かかる吸収性物品において最大の効果を発揮することができる。
以下に本発明の実施例と比較例を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
おむつの中の吸水性樹脂など、市販の吸水性樹脂が流通過程で吸湿している場合は、乾燥(例えば、60℃での減圧乾燥で16時間)して平衡含水状態(その量は、例えば、5質量%前後)とした後に物性を測定すればよい。
以下、詳細なデータは省略するが、本発明で得られた吸水性樹脂は、実質水不溶性であり、含水率がいずれも7質量%以下(固形分93%以上)、残存モノマー量が400質量ppm以下であった。
なお、吸水性樹脂および吸収性物品の諸性能は以下の方法で測定した。
(a)無加圧下吸収倍率
吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋(60mm×80mm)に均一に入れ、25℃に調温した0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、袋の質量W(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの質量W(g)を測定した。そして、これら質量W、Wから、次式、
無加圧下吸収倍率(g/g)=((質量W(g)−質量W(g))/吸水性樹脂の質量(g))−1
に従って、無加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
(b)単層加圧下吸収倍率
400メッシュのステンレス製金網(目の大きさ38μm)を円筒断面の一辺(底)に溶着させた内径60mmのプラスチック製支持円筒の底の金網上に、吸水性樹脂0.20gを均一に散布し、その上に外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒の内壁面との間に隙間が生じずかつ上下の動きは妨げられないピストン(cover plate)を載置し、支持円筒と吸水性樹脂とピストンの質量W(g)を測定した。このピストン上に、吸水性樹脂に対して、ピストンを含め20g/cm(1.96kPa)の荷重を均一に加えることができるように調整された荷重を載置し、測定装置一式を完成させた。直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmのガラスフィルターを置き、25℃の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)をガラスフィルターの上部面と同レベルになるように加えた。その上に直径9cmの濾紙(トーヨー濾紙(株)No.2)を載せ表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置一式を上記湿った濾紙上にのせ、液を荷重下で吸収させた。液面がガラスフィルターの上部から低下したら液を追加し、液面レベルを一定に保った。1時間後、測定装置一式を持ち上げ、荷重を取り除いた質量W(g)(支持円筒と膨潤した吸水性樹脂とピストンの質量)を再測定した。
これら質量W、Wから、次式、
単層加圧下吸収倍率(g/g)=(質量W(g)−質量W(g))/吸水性樹脂の質量(g)
に従って単層加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
(c)質量(重量)平均粒子径(D50)
吸水性樹脂を目開き850μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μmなどのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率を対数確率紙にプロットした。これにより、質量平均粒子径(D50)を読み取った。
篩分けは、吸水性樹脂粉末ないし吸水性樹脂10.00gを目開き850μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μmなどのJIS標準ふるい(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)に仕込み、ロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製ES−65型ふるい振盪機)により10分間分級した。なお、質量平均粒子径(D50)とは、米国特許5051259号公報などにあるように一定目開きの標準ふるいで粒子全体の50質量%に対応する標準ふるいの粒子径のことであり、本実施例では、目開き850μm、600μm、300μm、150μmのJIS標準ふるいを用いて計算した。
(d)加圧下吸収効率
吸水性樹脂の無加圧下吸収倍率と単層加圧下吸収倍率を(a)および(b)記載の方法で測定し、次式に従って加圧下吸収効率(%)を算出した。
加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
(e)トータル吸収倍率
吸水性樹脂の無加圧下吸収倍率と単層加圧下吸収倍率を(a)および(b)記載の方法で測定し、次式に従ってトータル吸収倍率(g/g)を算出した。
トータル吸収倍率(g/g)=単層加圧下吸収倍率(g/g)+無加圧下吸収倍率(g/g)
(f)吸収性物品の評価(戻り量テスト)
後述する実施例および比較例で得られた吸収性物品を用い、吸収性物品全体に荷重1.96kPaをかけ室温で放置した。吸収性物品の中心部から直径70mm、高さ100mmの円筒より、37℃に調整した0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)を75gを入れた。荷重をかけたまま1時間放置後、同様の操作を行い、4回目の生理食塩水(生理食塩水を入れた総量300g)を入れた後、30分後、吸収性物品から荷重を外して、ペーパータオル(製造元:王子製紙株式会社、キッチンタオル エキストラドライ、120mm×450mmに裁断して30枚重ねたもの)を吸収性物品にのせ、その上に、37g/cm(3.63kPa)の荷重を1分間かけ、ペーパータオルに戻る液量を測定した。
[製造例1]
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.1gを溶解し反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で30分間除去した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で50分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(1)の無加圧下吸収倍率は57(g/g)、質量平均粒子径は425μm、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して2質量%であった。
[製造例2]
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度36質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.2gを溶解し反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で30分間除去した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で50分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(2)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(2)の無加圧下吸収倍率は56(g/g)、質量平均粒子径は370μm、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して5質量%であった。
[実施例1]
粉末温度60℃の製造例1で得られた吸水性樹脂粉末(1)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して2分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、45分間加熱処理することにより吸水性樹脂(1)を得た。
得られた吸水性樹脂(1)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
[実施例2]
粉末温度60℃の製造例2で得られた吸水性樹脂粉末(2)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して1分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、45分間加熱処理することにより吸水性樹脂(2)を得た。
得られた吸水性樹脂(2)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
[比較例1]
粉末温度60℃の製造例1で得られた吸水性樹脂粉末(1)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して1時間後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、55分間加熱処理することにより比較用吸水性樹脂(1)を得た。
得られた比較用吸水性樹脂(1)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
[比較例2]
粉末温度60℃の製造例2で得られた吸水性樹脂粉末(2)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して10分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、55分間加熱処理することにより比較用吸水性樹脂(2)を得た。
得られた比較用吸水性樹脂(2)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
[比較例3]
粉末温度60℃の製造例2で得られた吸水性樹脂粉末(2)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して20分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、55分間加熱処理することにより比較用吸水性樹脂(3)を得た。
得られた比較用吸水性樹脂(3)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
[実施例3]
実施例1で得られた吸水性樹脂(1)50質量部と、木材粉砕パルプ50質量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを圧力196.14kPaで5秒間プレスすることにより、坪量が約0.05g/cmの吸収体を得た。
続いて、液不透過性のポリプロピレンからなる、いわゆる背面シート(液不透過性シート)、上記吸収体、および、液透過性のポリプロピレンからなる不織布の表面シート(液透過性シート)を、両面テープを用いてこの順に互いに貼着することにより、衛生吸収性物品(つまり、紙オムツ)(1)を得た、この吸収性物品(1)の質量は45gであった。
得られた吸収性物品(1)の戻り量テストを行なった。結果を表2にまとめた。
[実施例4]
実施例3において、吸水性樹脂(1)を実施例2で得られた吸水性樹脂(2)に変更すること以外は実施例3と同様に行い、吸収性物品(2)を得た。
得られた吸収性物品(2)の戻り量テストを行なった。結果を表2にまとめた。
[比較例4〜6]
実施例3において、吸水性樹脂(1)を、比較例1、2、3で得られた比較用吸水性樹脂(1)、(2)、(3)に変更すること以外は実施例3と同様に行い、比較用吸収性物品(1)、(2)、(3)を得た。
得られた比較用吸収性物品(1)、(2)、(3)の戻り量テストを行なった。結果を表2にまとめた。
Figure 0004749679
Figure 0004749679
〔実施例5〕
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.5gを溶解し反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を、製造例1と同様にして除去したのち、製造例1と同一の反応器に供給し、反応液温度を30℃に保ちながら、系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を攪拌しながら、過硫酸ナトリウム2.98gおよびL一アスコルビン酸0.015gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、25〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約1〜5mmの粒子に細分化されていた。この含水ゲル状重合体を製造例1と同様にして乾燥した。次いで、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、目開き850μmの金網で分級し、該分級物から微粉を取り除くために目開き150μmの金網でさらに分級することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(3)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(3)の無加圧下吸収倍率は55g/g、質量平均粒子径は約420μm、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して0.8質量%であった。
次いで、粉末温度60℃の上記で得られた吸水性樹脂粉末(3)100質量部に、プロピレングリコール0.5質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.3質量部、水2.5質量部からなる表面架橋剤水溶液をレディゲミキサーで混合して1分後に、得られた混合物を、195℃に調温した加熱処理装置に入れて40分間加熱処理することにより、吸水性樹脂(3)を得た。
得られた吸水性樹脂(3)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率およびトータル吸収倍率と、目開き850μm、600μm、300μm、150μmのJIS標準ふるいで篩分けして求めた質量平均粒子径(D50)を表3に示した。また、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けして求めた粒度分布の対数標準偏差(σζ)を表4に示した。
なお、表4には、実施例1、2と比較例1〜3とでそれぞれ得られた吸水性樹脂の粒度分布およびその対数標準偏差(σζ)も、併記されている。
Figure 0004749679
Figure 0004749679
〔実施例6〕
実施例3において、吸水性樹脂(1)を実施例5で得られた吸水性樹脂(3)に変更すること以外は実施例3と同様に行い、吸収性物品(3)を得た。
得られた吸収性物品(3)の戻り量テストを実施例3と同様にして行ったところ、戻り量は8gであった。
[実施例7]
実施例5で得られた吸水性樹脂(3)35質量部と、木材粉砕パルプ65質量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、実施例3と同様の装置を用いて120mm×400mmの大きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを実施例3と同様の条件でプレスすることにより、坪量が約0.04g/cmの吸収体を得た。
続いて、実施例3と同様の操作を行い、質量37gの吸収性物品(4)を得た、
得られた吸収性物品(4)の戻り量テストを実施例3と同様にして行ったところ、戻り量は25gであった。
[比較例7]
実施例7において、吸水性樹脂(3)を、比較例1で得られた比較用吸水性樹脂(1)に変更すること以外は実施例7と同様に行い、比較用吸収性物品(4)を得た。
得られた比較用吸収性物品(4)の戻り量テストを実施例3と同様にして行ったところ、戻り量は39gであった。
本発明にかかる吸水性樹脂は、優れた吸収特性を有するため、広い用途に使用できるが、特に、本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂は、表面架橋処理において親水性有機溶媒を用いていないので、紙おむつ/生理用ナプキンなどの衛生材料/吸収物品に好適であり、粉砕パルプ等の親水性繊維材料と複合化され衛生材料として好ましく使用することができる。

Claims (12)

  1. アクリル酸および/またはその塩を主成分(ただし、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、0〜30モル%)とする単量体成分を水溶液重合または逆相懸濁重合して含水ゲル状重合体を得る工程(1)、
    得られた含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して、質量平均粒子径が300〜600μmで粒子径150μm未満の粉末の割合が0〜10重量%の吸水性樹脂粉末を得る工程(2)、
    得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤0.001〜10質量%と水0.5〜20質量%とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が該処理剤に対し0〜10質量%である表面架橋処理剤を混合機中で添加する工程(3)、および、
    加熱機中で加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)、
    を含み、
    前記表面架橋処理剤を添加する時の吸水性樹脂粉末の温度が40〜80℃の範囲内であり、
    前記工程(3)の終了時から工程(4)の開始時までの時間が0秒を超えて5分以内である、
    ことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。
  2. 上記吸水性樹脂粉末が、中和率50〜90モル%のポリアクリル酸ナトリウムである、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  3. 加熱温度が80〜240℃で、加熱時間は1分〜120分である、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  4. 前記吸水性樹脂粉末の無加圧下吸収倍率が40g/g以上である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 表面架橋剤が多価アルコール化合物を必須に含み、表面架橋処理剤中の水の量が吸水性樹脂に対して0.5〜20重量%である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  6. アクリル酸および/またはその塩を主成分(ただし、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、0〜30モル%)とする単量体成分を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂であって、質量平均粒子径が300〜600μmであり、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂に対して0〜10質量%であり、かつ、トータル吸収倍率が70(g/g)以上140(g/g)以下、加圧下吸収効率が70%以上、無加圧下吸収倍率が33g/g以上80g/g以下、吸収性樹脂の粒度分布の対数標準偏差σζが0.25〜0.50の範囲である、ことを特徴とする、吸水性樹脂。
    ただし、トータル吸収倍率および加圧下吸収効率は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(25℃)を吸収させた1時間値に基づき下式で規定される。
    トータル吸収倍率(g/g)=無加圧下吸収倍率(g/g)+単層加圧下吸収倍率(g/g)
    加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
    そして、粒度分布の対数標準偏差は、吸水性樹脂を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした結果からR=84.1質量%の時の粒子径Xおよび、R=15.9質量%の時の粒子径Xを求め、これらの値を下記の式に導入することによって得られる。
    σζ=0.5×In(X/X
  7. 上記吸水性樹脂粉末が、中和率50〜90モル%のポリアクリル酸ナトリウムである、請求項6に記載の吸水性樹脂。
  8. 粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂に対して0〜3質量%である、請求項6または7に記載の吸水性樹脂。
  9. 質量平均粒子径が380〜550μmである、請求項6から8までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
  10. 粒子形状が不定形破砕状である、請求項6から9までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
  11. 吸水性樹脂の粒度が850μm未満で150μm以上の粒子の割合が全体の90重量%以上でかつ300μm以上の粒子が全体の60重量%以上である、請求項6から10までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
  12. 請求項6から11までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂を含む、紙おむつ。
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