JP4748352B2 - 圧電アクチュエータの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法に関する。
インクジェットヘッド等に用いられる圧電アクチュエータの一例として、複数の圧力室が形成された圧力室プレートを備え、各圧力室の壁面の一部を構成する振動板をその振動板上に設けた圧電層によって撓ませて、圧力室内のインクを圧力室に連通したノズルから噴射する構成としたものがある。
このような圧電アクチュエータとして、例えば特許文献1に示されるように、圧電層を振動板上の全域にわたって設けるとともに、この圧電層の上面において各加圧室に対応した位置に一方の電極(個別電極)を個々に配置し、この電極と共通電極として用いられる振動板との間に電界を印加することで、圧電層を局所的に撓ませるといった構成をとるものがある。このような構成のものは、例えば特許文献2に示されるように、エアロゾルデポジション法(AD法)、スパッタ法等により圧電層を一時に形成する方法を採用することができるため、製造効率が良いという利点がある。
特開平11−334087号公報 特開平11−330577号公報
しかしながら、このように圧電層を振動板上の全域にわたって設けてある場合、圧電層において駆動対象となっている領域、すなわち特定の個別電極に対応する領域の周囲にも変位が生じ、その結果、隣接した圧力室からのインクの噴射速度や体積がばらつく、いわゆるクロストーク現象が生じることがある。特に、近年では高画質化の要請に対応するためにインク吐出ノズルの配列が高密度化しており、これに伴って圧力室の配列も高密度化しているため、クロストーク現象がいっそう問題となってきている。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電層の撓みが隣接領域に与える影響を低減できるインクジェットヘッド用圧電アクチュエータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、圧電層の撓みが隣接領域に与える影響を低減できるインクジェットヘッド用圧電アクチュエータを開発すべく鋭意研究してきたところ、圧電層において圧力室の開口部に対応する開口領域に圧電特性を向上させる元素を拡散させるか、あるいは、隣り合う開口領域に挟まれた中間領域に圧電特性を低下させる元素を拡散させることにより、開口領域を駆動させる駆動電界では中間領域が変位しないようにし、もってクロストークを低減できることを見出した。本発明はかかる新規な知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、インク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が複数設けられたインク流路形成体の前記一面側に前記開口部を閉じるように設けられるものであって、前記インク流路形成体の前記一面側に複数の前記開口部に跨って設けられた基板と、前記基板上において複数の前記開口部に対応する複数の開口領域に跨って積層された圧電層と、前記圧電層上において前記複数の開口領域に個別に設けられた個別電極とを備えたインクジェットヘッド用圧電アクチュエータを製造する方法であって、前記基板上において隣り合う前記開口領域の中間に位置する中間領域に、前記圧電層中に拡散して前記圧電層の圧電特性を低下させる元素を存在させた拡散材料領域を形成する拡散材料領域形成工程と、前記基板上に圧電材料の粒子を含むエアロゾルを噴き付けて前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、前記圧電層を加熱して前記拡散材料領域に存在する前記元素を前記圧電層に拡散させる拡散工程と、を含み、前記圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記圧電特性を低下させる元素が鉄、クロム、コバルト、マンガン、シリカ、アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法である。
拡散材料領域に存在する圧電特性を低下させる元素は、圧電材料の主成分となる元素とは異種のものであってもよく、圧電材料の主成分となる元素のうち少なくとも1種を含むものであってもよい。
拡散材料領域形成工程において、拡散材料領域は、基板上における中間領域に圧電特性を低下させる元素を含む拡散材料層を形成することにより設けることもできる。あるいは、基板として圧電特性を低下させる元素を含む基板を用いるとともに、拡散材料領域形成工程において基板上における開口領域に圧電特性を低下させる元素の拡散を防止する拡散防止層を形成することによって、この拡散防止層から外れる領域を拡散材料領域とすることもできる。
元素の拡散によって圧電特性が低下するメカニズムについて、圧電材料としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用する場合を例にとり説明する。
PZTはABOで表現されるペロブスカイト型結晶構造をとっており、AサイトにPb2+が、BサイトにZr4+およびTi4+が位置している。電界を印加すると、Bサイトのイオンが電界方向に、O2−イオンが電界方向と逆方向に変位して電気分極が生じる。さて、このPZTに例えばFe3+を拡散させると、Bサイトが置換されるとともに酸素欠損が生じる。そして、酸素空孔が形成されることによってドメインウオールがピン止めされてドメインウオールの移動が制限され、その結果として抗電界が上昇する。なお、例えばAサイトをKに置換しても同様の結果となる。
したがって、本発明の圧電材料と圧電特性を低下させる元素との組み合わせは、上記のような機序が生じるものであれば良い。具体的には、圧電材料としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、あるいはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)にバリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガンのうちいずれかを微量添加したものなどが挙げられる。また、圧電層に拡散して圧電特性を低下させる元素としては、鉄、クロム、コバルト、マンガン、シリカ、アルミニウムが挙げられる。これらの圧電材料および元素は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
また、本発明の他の製造方法は、インク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が複数設けられたインク流路形成体の前記一面側に前記開口部を閉じるように設けられるものであって、前記インク流路形成体の前記一面側に複数の前記開口部に跨って設けられた基板と、前記基板上において複数の前記開口部に対応する複数の開口領域に跨って積層された圧電層と、前記圧電層上において前記複数の開口領域に個別に設けられた個別電極とを備えたインクジェットヘッド用圧電アクチュエータを製造する方法であって、前記開口領域に、前記圧電層中に拡散して前記圧電層の圧電特性を向上させる元素を存在させた拡散材料領域を形成する拡散材料領域形成工程と、前記基板上に圧電材料の粒子を含むエアロゾルを噴き付けて前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、前記圧電層を加熱して前記拡散材料領域に存在する前記元素を前記圧電層に拡散させる拡散工程と、を含み、前記圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記圧電特性を向上させる元素がカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、カドミウム、ランタン、ネオジム、ニオブ、アンチモン、ビスマス、トリウム、タングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
元素の拡散によって圧電特性が向上するメカニズムについて、上記と同様にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を例にとり説明する。
PZTに例えばNb5+を拡散させると、Bサイトが置換されるとともにAサイトに空孔が形成される。この空孔を介してドメインウォールが移動しやすくなり、抗電界が低下する。なお、例えばAサイトをLa3+に置換しても同様の結果となる。
したがって、本発明の圧電材料と圧電特性を向上させる元素との組み合わせは、上記のような機序が生じるものであれば良い。圧電材料としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、あるいはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)にバリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガンのうちいずれかを微量添加したものなどが挙げられる。また、圧電層に拡散して圧電特性を向上させる元素としては、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、カドミウム、ランタン、ネオジム、ニオブ、アンチモン、ビスマス、トリウム、タングステンが挙げられる。これらの圧電材料および元素は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明によれば、圧電アクチュエータの圧電層において圧力室の開口部に対応する開口領域に圧電特性を向上させる元素を拡散させるか、あるいは、隣り合う開口領域に挟まれた中間領域に圧電特性を低下させる元素を拡散させる。
中間領域に圧電特性を低下させる元素を拡散させた場合、この拡散領域では元素の影響によって抗電界が高くなるため、駆動電界強度が上昇する。すなわち、拡散領域は通常の駆動電界では動作しない領域となっている。このため、特定の開口領域に電界を印加して撓ませたときに、その周囲にある中間領域が変位して隣接する開口領域に影響を与えることを抑制できる。一方、開口領域に圧電特性を向上させる元素を拡散させた場合、この拡散領域では元素の影響によって抗電界が低くなるため、駆動電界強度が低下する。すなわち、開口領域は低い駆動電界で動作する領域となる。このため、開口領域は駆動するが非開口領域は駆動しない電界強度で圧電アクチュエータを駆動させれば、特定の開口領域を撓ませたときに、その周囲にある中間領域が変位して隣接する開口領域に影響を与えることを抑制できる。これにより、クロストークを低減したインクジェットヘッド用圧電アクチュエータを提供することができる。
基板の表面に拡散材料領域を設ける方法としては、(1)この基板の表面に圧電特性を低下または向上させる元素を含む拡散材料層を形成する方法、あるいは、(2)基板として圧電特性を低下または向上させる元素を含む基板を用いるとともに、この基板の表面に元素の拡散を防止する拡散防止層を形成することによって、拡散防止層から外れた領域を拡散材料領域とする方法のいずれも採用することができる。特に、圧電層に拡散して圧電特性を低下させる元素を含む基板は、従来、圧電アクチュエータ用の基板としては利用しづらいものであったが、上記(2)のような方法を採用することによって、拡散材料の供給源として積極的に活用することができるのである。
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図3を参照しつつ詳細に説明する。
図1には、本実施形態のインクジェットヘッド10を示す。インクジェットヘッド10は、インク20が収容される複数の圧力室16を備えた流路ユニット11(本発明のインク流路形成体に該当する)と、この流路ユニット11上に圧力室16を閉じるように接合されたアクチュエータプレート1(本発明の圧電アクチュエータに該当する)とを備えている。
流路ユニット11は、全体として平板状をなしており、ノズルプレート12、マニホールドプレート13、流路プレート14、および圧力室プレート15を順に積層するとともに、各プレート12、13、14、15を互いにエポキシ系の熱硬化性接着剤にて接合した構成となっている。
ノズルプレート12は、ポリイミド系の合成樹脂材料にて形成されており、その内部にはインク20を噴射するための複数のインク吐出ノズル19が整列して形成されている。マニホールドプレート13は、ステンレス等の金属材料にて形成され、その内部には、インク吐出ノズル19に接続する複数のノズル流路18が設けられている。流路プレート14は、同じくステンレス等の金属材料にて形成されており、内部にノズル流路18に連通した複数のプレッシャ流路17が設けられている。圧力室プレート15はやはりステンレス等の金属材料にて形成され、その内部にはプレッシャ流路17に連通した複数の圧力室16が設けられている。圧力室16は、流路プレート14およびマニホールドプレート13に設けられた図示しないマニホールド流路および共通インク室を介してインクタンクに接続されている。このようにして、インクタンクに接続された共通インク室から、マニホールド流路、圧力室16、プレッシャ流路17およびノズル流路18を経てインク吐出ノズル19へと至る経路が形成されている。
この流路ユニット11に積層されるアクチュエータプレート1は、圧力室16の壁面の一部を構成する振動板2と、この振動板2上に形成された下部電極3と、この下部電極3上に積層された圧電層4と、この圧電層4上に設けられた上部電極5とで構成されている。
振動板2は、ステンレス(SUS430、SUS304等)、42A合金等の金属材料にて矩形状に形成されており、流路ユニット11の上面にエポキシ系の熱硬化性の接着剤によって接合されて、流路ユニット11の上面全体を覆う形態、ずなわち、複数の圧力室16に跨って設けられた形態となっている。
この振動板2において流路ユニット11に接する面と反対側の面には、複数の下部電極3が形成されている。下部電極3は、振動板2の面上において各圧力室16の開口部16Aに対応する開口領域A1にそれぞれ設けられており、駆動回路IC(図示せず)のグランドに接続されている。この下部電極3は、振動板2に含まれる元素が圧電層4に拡散するのを防止する拡散防止層を兼ねており、例えばAu、Pt、Ti、Ag−Pd合金、Ag−Pt合金、Rh、In、La、Nd、Nb、Sb、Th、W、Ca、Sr、Mg等の金属の薄膜、LiNiO、LiCoO、ReO、SnO、TiO、LiTi、LiV、WO、MWO(Mは任意の金属、以下同じ)、M、M、NiO、V、FeO、MgIn、RuO、La1−xSrMnO(LSMO)、(La1−xSr)(Ga1−yMg)O3−δ(LSGM)、インジウム−スズ酸化物(ITO)、SrRuO(SRO)、La2−xSrCoO(LSCO)等の導電性酸化膜、アルミナ、グラファイト等により形成することができる。
圧電層4は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体の圧電セラミックス材料から形成されており、振動板2との間で下部電極3を挟み込むようにしながら、振動板2の表面に均一な厚みで積層されている。この圧電層4は、エアロゾルデポジション法により形成されたものであって、その厚み方向に分極するように分極処理が施されている。この圧電層4は、振動板2の表面全体を覆う形態、すなわち、振動板2と同様に複数の圧力室16に跨って設けられた形態となっている。
この圧電層4において拡散防止層が設けられた領域を外れる領域、すなわち圧力室16の各開口部16Aから外れる非開口領域A2(本発明の中間領域に該当する)は、振動板2と直接に接しており、この振動板2に含まれる元素であるFe、Crが拡散された拡散領域となっている。このFe、Crは圧電層4を構成するPZTに含まれる元素とは異なる種類の元素(異種元素)であって、圧電層4の圧電特性を低下させる役割を果たす。すなわち、拡散領域ではFe、Crの影響によって抗電界が高くなるため、駆動電界強度が上昇し、通常の駆動電界では動作しないようになっている。
この圧電層4上において振動板2に密着されている側と逆側の面上には、複数の上部電極5(本発明の個別電極に該当する)が備えられている。この上部電極5は、下部電極3と同様に、各圧力室16の開口部16Aに対応する開口領域A1にそれぞれ設けられるとともに、駆動回路ICに接続されている。
次に、このインクジェットヘッド10用のアクチュエータプレート1を製造する方法について説明する。
まず、図2Aに示すように、ステンレスにより形成された振動板2を流路ユニット11における圧力室プレート15の上面に位置合わせした状態で重ねて接合し、振動板2によって各圧力室16を閉鎖する。
次に、図2Bに示すように、振動板2上において圧力室16の開口に対応する開口領域A1に、拡散防止層を兼ねる複数の下部電極3を形成する(拡散材料領域形成工程)。下部電極3は、例えばスクリーン印刷法によって形成することができる。そして、振動板2においてこの下部電極3から外れた非開口領域A2、すなわちその表面が露出した領域が、次工程で形成される圧電層4にFe、Crを供給する拡散材料領域とされる。
次に、図2Cに示すように、圧電層4をエアロゾルデポジション法(AD法)によって形成する(圧電層形成工程)。図3には、圧電層4を形成するための成膜装置30の概略図を示した。この成膜装置30は、材料粒子Mをキャリアガスに分散させてエアロゾルZを形成するエアロゾル発生器31、およびエアロゾルZを噴射ノズル37から噴出させて基板に付着させるための成膜チャンバ35を備えている。
エアロゾル発生器31には、内部に材料粒子Mを収容可能なエアロゾル室32と、このエアロゾル室32に取り付けられてエアロゾル室32を振動する加振装置33とを備えている。エアロゾル室32には、キャリアガスを導入するためのガスボンベBが導入管34を介して接続されている。導入管34の先端はエアロゾル室32内部において底面付近に位置し、材料粒子M中に埋没するようにされている。キャリアガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや空気、酸素等を使用することができる。
成膜チャンバ35には、圧電層を形成する基板を取り付けるためのステージ36と、このステージ36の下方に設けられた噴射ノズル37が備えられている。噴射ノズル37は、エアロゾル供給管38を介してエアロゾル室32に接続されており、エアロゾル室32内のエアロゾルZが、エアロゾル供給管38を通って噴射ノズル37に供給されるようになっている。また、この成膜チャンバ35には、粉体回収装置39を介して真空ポンプPが接続されており、その内部を減圧できるようにされている。
この成膜装置30を用いて圧電層4を形成する際には、まず、振動板2をステージ36にセットする。次いで、エアロゾル室32の内部に材料粒子Mを投入する。材料粒子Mとしては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用することができる。
そして、ガスボンベBからキャリアガスを導入して、そのガス圧で材料粒子Mを舞い上がらせる。それととともに、加振装置33によってエアロゾル室32を振動することで、材料粒子Mとキャリアガスとを混合してエアロゾルZを発生させる。そして、成膜チャンバ35内を真空ポンプPにより減圧することにより、エアロゾル室32と成膜チャンバ35との間の差圧により、エアロゾル室32内のエアロゾルZを高速に加速しつつ噴射ノズル37から噴出させる。噴出したエアロゾルZに含まれる材料粒子Mは振動板2に衝突して堆積し、圧電層4を形成する。
続いて、形成した圧電層4のアニール処理を行う。このアニール処理工程は、振動板2に含まれるFe、Crを圧電層4に拡散させる拡散工程を兼ねている。すなわち、加熱によって圧電層4のアニーリングが行われるとともに、ステンレス製の振動板2に含まれているFe、Crが圧電層4中に拡散していく。このとき、拡散防止層を兼ねる下部電極3が形成されている開口領域A1では、Fe、Crの拡散が防止され、圧電層4と直接に接している非開口領域A2(拡散材料領域)からのみFe、Crが圧電層4中に拡散される。これにより、圧電層4において圧力室16の開口を外れる非開口領域A2が、Fe、Crが拡散された拡散領域となる(図2D)。このように、拡散工程がアニール工程を兼ねることにより、一度の加熱によってFe、Crの拡散と圧電層4のアニール処理とを同時に行うことが出来るため、生産効率を向上できる。
次に、図2Eに示すように、各圧電層4の上面に上部電極5、および各上部電極5に接続した複数のリード部を形成する。上部電極5及びリード部を形成するには、例えば、圧電層4上の全域に導体膜を形成した後、フォトリソグラフィ・エッチング法を利用して所定のパターンに形成してもよく、あるいは圧電層4の上面に直接スクリーン印刷によりパターン形成しても良い。
この後、上部電極5−下部電極3間に通常のインク噴射動作時よりも強い電界を印加して、両電極間の圧電層4を厚み方向に分極する(分極処理)。以上によりアクチュエータプレート1が完成する。
続いて、以上のように構成されたインクジェットヘッド10の作用及び効果について説明する。
印刷を行う際には、駆動回路ICから所定の駆動信号が発せられると、上部電極5の電位が下部電極3よりも高い電位とされ、圧電層4の分極方向(厚み方向)に電界が印加される。すると、圧電層4が厚み方向に膨らむとともに、面方向に収縮する。これにより、圧電層4および振動板2(即ちアクチュエータプレート1)における開口領域A1が、圧力室16側に凸となるように局所的に変形する(ユニモルフ変形)。このため、圧力室16の容積が低下して、インク20の圧力が上昇し、インク吐出ノズル19からインク20が噴射される。その後、上部電極5が下部電極3と同じ電位に戻されると、圧電層4と振動板2とが元の形状になって圧力室16の容積が元の容積に戻るので、インク20をインクタンクに連通するマニホールド流路より吸い込む。
このとき、圧力室16の開口を外れる非開口領域A2は、Fe、Crが拡散された拡散領域となっており、通常の駆動電界では動作しないようになっている。したがって、インク20を吐出させたい特定の圧力室16の開口部16Aに対応する特定の上部電極5に電圧を印加すると、アクチュエータプレート1のうちでその特定の圧力室16の開口に対応する開口領域A1に撓みが生じるが、その領域の周囲に存在する非開口領域A2は通常の駆動電界では動作しない拡散領域となっているため、ほとんど撓みが生じない。したがって、非開口領域A2の変位により隣接した圧力室16へクロストークが生じることを防止することができる。
以上のように本実施形態によれば、圧電層4において圧力室16の開口部16Aを外れる非開口領域A2に、圧電層4の圧電特性を低下させる元素を拡散する。すると、元素が拡散した拡散領域は抗電界が高くなるため、通常の駆動電界では動作しない領域となる。このため、圧電層4のうち特定の圧力室16に対応する開口領域A1に電界を印加して撓ませたときに、その周囲にある非開口領域A2が変位して隣接する圧力室16に影響を与えることを抑制できる。これにより、クロストークを低減することができる。
また、振動板2として、圧電層4に拡散して圧電特性を低下させる元素を含むものを用いるとともに、この振動板2と圧電層4との間に元素の拡散を防止する拡散防止層を兼ねる下部電極3を形成する。これにより、従来は圧電アクチュエータ用の振動板として利用しづらかった材料を、圧電層4の非開口領域A2への拡散材料の供給源として積極的に活用することができる。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図4を参照しつつ説明する。本実施形態と第1実施形態との主たる相違点は、圧電層43の圧電特性を低下させる元素を振動板41から供給するのではなく、振動板41上に設けた拡散材料層42から供給する点である。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態のアクチュエータプレート40を製造するためには、まず、振動板41を第1実施形態と同様に圧力室プレート15の上面に位置合わせした状態で重ねて接合し、振動板41によって各圧力室16を閉鎖する(図4A)。この振動板41は、圧電層43に拡散して圧電特性を低下させる元素を含まない導電性材料、例えばチタン等により形成されており、下部電極を兼ねるものである。
次に、図4Bに示すように、振動板41上において圧力室16の開口部16Aから外れた非開口領域A2に、拡散材料層42を形成する(拡散材料領域形成工程)。拡散材料層42は、圧電層43に拡散して圧電特性を低下させる元素、例えばFeを含む。この拡散材料層42は、例えばスクリーン印刷法によって形成させてもよく、あらかじめ樹脂あるいは金属によるマスキングを施した振動板41上にAD法によって形成させても良い。
次に、図4Cに示すように、拡散材料層42を形成した振動板41の面上に、第1実施形態と同様の成膜装置30を用いて、エアロゾルデポジション法(AD法)により圧電層43を形成する(圧電層形成工程)。
続いて、形成した圧電層43のアニール処理を行う。このアニール処理工程は、拡散材料層42に含まれるFeを圧電層43に拡散させる拡散工程を兼ねる。本実施形態では、加熱によって圧電層43のアニーリングが行われるとともに、拡散材料層42に含まれているFeが圧電層43中に拡散していく。これにより、圧電層43において圧力室16の開口部16Aを外れる非開口領域A2が、Feが拡散された拡散領域となる(図4D)。
この後、第1実施形態と同様に上部電極5の形成、分極処理を行ってアクチュエータプレート40が完成する(図4E)。
以上のように本実施形態によっても、圧電層43において圧力室16の開口部16Aを外れる非開口領域A2に圧電特性を低下させるFeが拡散されたアクチュエータプレート40を備えるインクジェットヘッド44を製造できる。したがって、第1実施形態と同様、隣接した圧力室16へのクロストークを低減することができる。
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について図5を参照しつつ説明する。本実施形態と上記各実施形態との主たる相違点は、圧電層53において圧力室16の開口部16Aに対応する開口領域A1に、この圧電層53の圧電特性を向上させる元素を拡散させる点である。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態のアクチュエータプレート50を製造するためには、まず、振動板51を第1実施形態と同様に圧力室プレート15の上面に位置合わせした状態で重ねて接合し、振動板41によって各圧力室16を閉鎖する(図5A)。この振動板41は、圧電層43に拡散して圧電特性を低下または向上させる元素を含まない導電性材料、例えばチタン等により形成されており、下部電極を兼ねるものである。
次に、拡散材料領域形成工程において、第2実施形態と同様に、振動板51上において圧力室16の開口部16Aから外れた非開口領域A2に、第1の拡散材料層52Aを形成する。第1の拡散材料層52Aは、圧電層53に拡散して圧電特性を低下させる元素、例えばFeを含む。これとともに、振動板51上において圧力室16の開口部16Aに対応する開口領域A1に、第2の拡散材料層52Bを形成する。第2の拡散材料層52Bは、圧電層53に拡散して圧電特性を向上させる元素、例えばNbを含む(図5B)。
次に、図5Cに示すように、2種の拡散材料層52A、52Bを形成した振動板51の面上に、第1実施形態と同様の成膜装置30を用いて、エアロゾルデポジション法(AD法)により圧電層53を形成する(圧電層形成工程)。
続いて、形成した圧電層53のアニール処理を行う。このアニール処理工程は、拡散材料層52A、52Bに含まれるFeおよびNbを圧電層53に拡散させる拡散工程を兼ねる。本実施形態では、加熱によって圧電層53のアニーリングが行われるとともに、第1の拡散材料層52Aに含まれているFeが圧電層43における非開口領域A2に、第2の拡散材料層52Bに含まれているNbが開口領域A1に、それぞれ拡散していく。(図5D)。
この後、第1実施形態と同様に上部電極5の形成、分極処理を行ってアクチュエータプレート50が完成する(図5E)。
以上のように本実施形態では、圧電層53において圧力室16の開口部16Aを外れる非開口領域A2に、この圧電層53の圧電特性を低下させる元素を拡散させる。これにより、非開口領域A2は抗電界が高くなり、駆動電界強度が上昇する。一方、圧力室16の開口部16Aに対応する開口領域A1には、この圧電層53の圧電特性を向上させる元素を拡散させる。これにより、開口領域A1は抗電界が低くなり、駆動電界強度が低下する。このように、開口領域A1と非開口領域A2との駆動電界強度の差を大きくすることができるため、クロストーク低減効果のいっそう大きなインクジェットヘッド54を提供できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>1.圧電膜の形成1)成膜
基板としてはステンレス(SUS430)板を、材料粒子としては平均粒子径0.3〜1μmのPZTを用いた。成膜装置としては上記実施形態と同様のものを使用した。
ノズル開口0.4mm×10mm、成膜チャンバー内圧力200Pa、エアロゾル室内圧力30000Pa、キャリアガス種類He、ガス流量は2.0リットル/min、ノズル−基板間距離10〜20mmとして、エアロゾルの吹き付けを行い、基板上に圧電膜を形成した。圧電膜の厚さは表面粗さ計による段差測定で概ね8μmであった。
2)アニール処理
続いて形成した圧電膜のアニール処理を、次の条件で行った(以下、「アニール条件A」と称する)。マッフル炉(ヤマト工業株式会社製 fpシリーズ)の炉内温度を850℃まで昇温した。この炉内に圧電膜を成膜した基板を入れ、0.5分間保持した後、炉外に取り出して自然冷却により室温になるまで冷却した。
2.試験
圧電膜上に粘着性樹脂テープを用いてマスキングを行い、有効面積3.6mm以上の上部電極をAu蒸着機を用いて形成し、基板であるステンレス(SUS430)板を下部電極とした圧電アクチュエータを構成した。次いで、印加電界300kV/cmで分極処理を行った。
この圧電アクチュエータについて、強誘電体測定器(TFANALYZER2000;AiXACT社製)により、電圧を印加しながら静電容量を測定し、残留分極(Pr)と抗電界(Ec)とを測定した。
<実施例2>
実施例1と同様にして厚さ約8.5μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Aでアニール処理を行った。但し、アニール時間(最高温度(850℃)で保持する時間)を1分間とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。
<実施例3>
実施例1と同様にして厚さ約5μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Aでアニール処理を行った。但し、アニール時間を3分間とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を400kV/cmとした。
<実施例4>
実施例1と同様にして厚さ約5μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Aでアニール処理を行った。但し、アニール温度を750℃とし、アニール時間を3分とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を400kV/cmとした。
<実施例5>
実施例1と同様にして厚さ8.5μmの圧電膜を成膜した。
この圧電膜について、次のようにしてアニール処理を行った(以下、アニール条件Bと称する)。上記実施例1で使用したのと同じマッフル炉内に圧電膜を形成した基板を入れ、300℃/hにて炉内温度を850℃まで昇温した。850℃で2分間保持した後、炉内を自然冷却により室温まで冷却し、その後基板を取り出した。
アニール処理終了後の圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を400kV/cmとした。
<実施例6>
実施例1と同様にして厚さ約8μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Bでアニール処理を行った。但し、アニール時間を5分間とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を400kV/cmとした。
<実施例7>
実施例1と同様にして厚さ約8μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Bでアニール処理を行った。但し、アニール時間を30分間とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を400kV/cmとした。
<実施例8>
実施例1と同様にして厚さ約8.5μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Bでアニール処理を行った。但し、アニール温度を800℃とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を400kV/cmとした。
<実施例9>
基板としてはステンレス(SUS304)板を用いた。
この基板上に、実施例1と同様にして厚さ約8μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Bでアニール処理を行った。但し、アニール温度を700℃とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を400kV/cmとした。
<実施例10>
基板としてはステンレス(SUS430)板を用い、この基板上にNi−Crを含む拡散材料層を設けた。
この拡散材料層を設けた基板上に、実施例1と同様にして厚さ約10μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Bでアニール処理を行った。但し、アニール温度を800℃とした。この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を350kV/cmとした。
<実施例11>
基板としてはステンレス(SUS430)板を用い、この基板上にNiを含む拡散材料層を設けた。
この基板上に、実施例1と同様にして厚さ約10μmの圧電膜を成膜し、アニール条件Bでアニール処理を行った。但し、アニール温度を800℃とした。
この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。
<比較例1>
基板としてはアルミナ基板を用いた。この基板上にAuペースト(田中貴金属工業製;TR1533)を用いて厚さ8μmのペースト層を形成し、850℃で焼き付けることにより下部電極を形成した。
この下部電極を設けた基板上に、実施例1と同様にして圧電膜を成膜し、アニール条件Bでアニール処理を行った。但し、アニール時間を30分間とした。
この圧電膜について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、印加電界を286kV/cmとした。
[結果と考察]
実施例および比較例についての実験結果を表1に示す。
Figure 0004748352
圧電層に圧電特性を低下させる元素を拡散させなかった比較例1においては、抗電界Ecは約50であり、角形比Pr/Ecは約0.54であった。
実施例1〜実施例9では、基板であるステンレス板に含まれるFe、Cr元素がアニール処理により圧電層に拡散されていた。アニール条件Aでアニール処理を行った場合(実施例1〜実施例4)では、圧電層へのFe、Cr元素の拡散が少なかったため、抗電界Ecはわずかに増大したものの、角形比Pr/Ecはわずかに減少し、元素を拡散させなかった場合と大きな差異は見られなかった。一方、アニール条件Bでアニール処理を行った場合(実施例5〜実施例9)では、圧電層へのFe、Cr元素の拡散が大きかったため、抗電界Ecの大幅な増大が見られ、角形比Pr/Ecは低下し、圧電特性が大きく低下していることが分かった。
実施例10では、拡散材料層に含まれるNiおよびCrが、圧電層を通り抜けて圧電層上面で薄く広がっていた。抗電界Ecは元素を拡散させなかった場合と比較して増大していたが、その増大割合は、ステンレス板からFe、Crを拡散させた場合と比較してあまり大きくはなかった。また、実施例11では、Niの拡散によると考えられるリーク電流が大きく、圧電特性の測定ができなかった。
以上のように本実施例によれば、圧電特性を低下させる元素を適切なアニール条件で圧電層に拡散させることにより、圧電特性を低下させ、変位を抑制できることが分かる。
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。その他、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
(1)上記各実施形態では、圧電層4、43、53に拡散させる元素を、この圧電層4、43、53を構成する元素とは異なる元素としたが、圧電層に拡散して圧電特性を低下または向上することが可能なものであれば、圧電層を構成する元素と同種の元素であっても構わない。
(2)上記各実施形態では、圧力室16の開口部16Aから外れた非開口領域A2全体に圧電特性を低下させる元素が拡散されたが、必ずしも非開口領域A2全体に元素を拡散する必要はなく、非開口領域A2のうち隣り合う開口領域A1に挟まれた領域のみに元素が拡散されていれば良い。
(3)第1実施形態では、スクリーン印刷法によって下部電極3(拡散防止層)を形成したが、拡散防止層の形成方法は上記実施形態の限りではなく、例えばあらかじめ非開口領域A2にマスクを設けておき、AD法によって拡散防止層を形成しても良い。
(4)第1実施形態では、下部電極3が拡散防止層を兼ねていたが、例えば図6に示すアクチュエータプレート60のように、振動板61上に拡散防止層62を設け、その拡散防止層62上に、下部電極63を別体に形成しても構わない。
(5)第2実施形態および第3実施形態では、振動板41が導電性材料により形成されて下部電極を兼ねていたが、振動板上に下部電極を別体に設けてあっても良い。この場合、振動板としては、例えばアルミナ、ジルコニア等の非導電性の基板を使用することもできる。
(6)第3実施形態では、非開口領域A2には圧電層53に拡散して圧電特性を低下させる元素を拡散し、開口領域A1には圧電層53に拡散して圧電特性を向上させる元素を拡散したが、非開口領域A2には圧電特性を低下させる元素を拡散せず、開口領域A1のみに圧電特性を向上させる元素を拡散しても良い。
(7)第1実施形態〜第3実施形態では、振動板2、41、51を圧力室プレート15に接合した後に、振動板2、41、51上に下部電極3、圧電層4、43、53、上部電極5などを形成したが、下部電極、圧電層、上部電極を振動板上に全て形成した後、最後に振動板と圧力室プレートとを接合しても良い。
第1実施形態におけるインクジェットヘッドの側断面図 第1実施形態における圧電アクチュエータの製造工程を示す側断面図 (A)振動板を圧力室プレートに接合した様子を示す図 (B)振動板上に下部電極を形成した様子を示す図 (C)圧電層を形成した様子を示す図 (D)圧電層の非開口領域に元素を拡散させた様子を示す図 (E)上部電極を形成した様子を示す図 成膜装置の概略図 第2実施形態における圧電アクチュエータの製造工程を示す側断面図 (A)振動板を圧力室プレートに接合した様子を示す図 (B)振動板上に拡散材料層を形成した様子を示す図 (C)圧電層を形成した様子を示す図 (D)圧電層の非開口領域に元素を拡散させた様子を示す図 (E)上部電極を形成した様子を示す図 第3実施形態における圧電アクチュエータの製造工程を示す側断面図 (A)振動板を圧力室プレートに接合した様子を示す図 (B)振動板上に拡散材料層を形成した様子を示す図 (C)圧電層を形成した様子を示す図 (D)圧電層の開口領域および非開口領域に元素を拡散させた様子を示す図 (E)上部電極を形成した様子を示す図 他の実施形態における圧電アクチュエータの側断面図
1、40、50、60・・・アクチュエータプレート(圧電アクチュエータ)
2、41、51・・・振動板(基板)
3・・・下部電極(拡散防止層)
4、43、53・・・圧電層
5・・・上部電極(個別電極)
10、44、54・・・インクジェットヘッド
11・・・流路ユニット(インク流路形成体)
16・・・圧力室
16A・・・開口部
19・・・インク吐出ノズル
42、52A、52B・・・拡散材料層
A1・・・開口領域
A2・・・非開口領域(中間領域)
M・・・材料粒子(圧電材料の粒子)
Z・・・エアロゾル

Claims (9)

  1. インク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が複数設けられたインク流路形成体の前記一面側に、前記開口部を閉じるように設けられるものであって、前記インク流路形成体の前記一面側に複数の前記開口部に跨って設けられた基板と、前記基板上において複数の前記開口部に対応する複数の開口領域に跨って積層された圧電層と、前記圧電層上において前記複数の開口領域に個別に設けられた個別電極とを備えたインクジェットヘッド用圧電アクチュエータを製造する方法であって、
    前記基板上において隣り合う前記開口領域の中間に位置する中間領域に、前記圧電層中に拡散して前記圧電層の圧電特性を低下させる元素を存在させた拡散材料領域を形成する拡散材料領域形成工程と、
    前記基板上に圧電材料の粒子を含むエアロゾルを噴き付けて前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記圧電層を加熱して前記拡散材料領域に存在する前記元素を前記圧電層に拡散させる拡散工程と、
    を含み、
    前記圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記圧電特性を低下させる元素が鉄、クロム、コバルト、マンガン、シリカ、アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法。
  2. 前記拡散材料領域に存在する前記圧電特性を低下させる元素は、前記圧電材料の主成分となる元素とは異種のものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法。
  3. 前記拡散材料領域に存在する前記圧電特性を低下させる元素は、前記圧電材料の主成分となる元素のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法。
  4. 前記拡散材料領域形成工程において、前記拡散材料領域を、前記基板上における前記中間領域に前記圧電特性を低下させる元素を含む拡散材料層を形成することにより設けることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法。
  5. 前記基板として前記圧電特性を低下させる元素を含む基板を用いるとともに、
    前記拡散材料領域形成工程において前記基板上における前記開口領域に前記圧電特性を低下させる元素の拡散を防止する拡散防止層を形成することによって、この前記拡散防止層から外れる領域を前記拡散材料領域とし、
    その後に、前記圧電層形成工程において前記基板の表面に前記圧電層を形成することを特徴とする請求項1〜請求項3に記載のインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法。
  6. インク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が複数設けられたインク流路形成体の前記一面側に、前記開口部を閉じるように設けられるものであって、前記インク流路形成体の前記一面側に複数の前記開口部に跨って設けられた基板と、前記基板上において複数の前記開口部に対応する複数の開口領域に跨って積層された圧電層と、前記圧電層上において前記複数の開口領域に個別に設けられた個別電極とを備えたインクジェットヘッド用圧電アクチュエータを製造する方法であって、
    前記開口領域に、前記圧電層中に拡散して前記圧電層の圧電特性を向上させる元素を存在させた拡散材料領域を形成する拡散材料領域形成工程と、
    前記基板上に圧電材料の粒子を含むエアロゾルを噴き付けて前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記圧電層を加熱して前記拡散材料領域に存在する前記元素を前記圧電層に拡散させる拡散工程と、
    を含み、
    前記圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記圧電特性を向上させる元素がカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、カドミウム、ランタン、ネオジム、ニオブ、アンチモン、ビスマス、トリウム、タングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法。
  7. 前記拡散材料領域形成工程において、前記拡散材料領域を、前記基板上における前記開口領域に前記圧電特性を向上させる元素を含む拡散材料層を形成することにより設けることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド用圧電アクチュエータの製造方法。
  8. インクを吐出するためのインク吐出ノズルと、
    前記インク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が複数設けられたインク流路形成体と、
    前記インク吐出ノズルの一面側に前記開口部を閉じるように設けられるものであって、前記インク流路形成体の前記一面側に複数の前記開口部に跨って設けられた基板と、前記基板上において複数の前記開口部に対応する複数の開口領域に跨って積層された圧電層と、前記圧電層上において前記複数の開口領域に個別に設けられた個別電極とを備えた圧電アクチュエータと、
    を備えるインクジェットヘッドを製造する方法であって、
    前記基板上において隣り合う前記開口領域の中間に位置する中間領域に、前記圧電層中に拡散して前記圧電層の圧電特性を低下させる元素を存在させた拡散材料領域を形成する拡散材料領域形成工程と、
    前記基板上に圧電材料の粒子を含むエアロゾルを噴き付けて前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記圧電層を加熱して前記拡散材料領域に存在する前記元素を前記圧電層に拡散させる拡散工程と、
    を含み、
    前記圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記圧電特性を低下させる元素が鉄、クロム、コバルト、マンガン、シリカ、アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  9. インクを吐出するためのインク吐出ノズルと、
    前記インク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が複数設けられたインク流路形成体と、
    前記インク吐出ノズルの一面側に前記開口部を閉じるように設けられるものであって、前記インク流路形成体の前記一面側に複数の前記開口部に跨って設けられた基板と、前記基板上において複数の前記開口部に対応する複数の開口領域に跨って積層された圧電層と、前記圧電層上において前記複数の開口領域に個別に設けられた個別電極とを備えた圧電アクチュエータと、
    を備えるインクジェットヘッドを製造する方法であって、
    前記開口領域に、前記圧電層中に拡散して前記圧電層の圧電特性を向上させる元素を存在させた拡散材料領域を形成する拡散材料領域形成工程と、
    前記基板上に圧電材料の粒子を含むエアロゾルを噴き付けて前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記圧電層を加熱して前記拡散材料領域に存在する前記元素を前記圧電層に拡散させる拡散工程と、
    を含み、
    前記圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記圧電特性を向上させる元素がカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、カドミウム、ランタン、ネオジム、ニオブ、アンチモン、ビスマス、トリウム、タングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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