JP4748037B2 - メッキ用ハンガー、ワークの部分メッキ装置及び方法並びにピストン - Google Patents

メッキ用ハンガー、ワークの部分メッキ装置及び方法並びにピストン Download PDF

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Description

本発明は、ワークとしてのピストンの所定の領域に限定して部分メッキを行うために用いられるメッキ用ハンガー、ワークの部分メッキ装置及び方法、並びにこの方法により部分メッキされたワークとしてのピストンに関するものである。
例えば、自動車用のレシプロエンジンにおけるエンジンシリンダは、シリンダ内を摺動するピストンを有するものであるが、ピストンは、軽量化等の点から、アルミニウムやアルミニウム合金等により形成したものは従来から実用化されている。このピストンの外面に摺動性及び耐磨耗性等を改善するために、Fe,Fe−Cr合金,Cr,Ni等の電解メッキが施される。
ここで、シリンダ内面を摺動するピストンには、シール部材が装着される部位が設けられている。即ち、ピストンの外周面に1乃至複数箇所に円環状の溝が形成されて、シール部材はこの円環状の溝により保持させるようにしている。そして、シリンダ内面にはシール部材が摺接するが、溝を形成した部位は非接触状態に保たれる。また、ピストンの直進性を確保し、円滑な作動を可能にするために、ピストンには限定した摺動面部を設けて、この摺動面部をシリンダ内面に対して摺動させる。つまり、ピストンの外周面には、シリンダ内壁と直接摺動する部位と、シリンダ内面とは接触しない部位とが形成され、シリンダ内面と接触しない部位には必ずしもメッキを施す必要はない。むしろ、シール部材が装着されている部位は、溝が形成されて凹凸形状となっているために、この部位をメッキすると、部分的に電流密度が変化して、メッキの膜厚が均一にならない。従って、このシール部材の装着部等は精密加工を施して、表面状態をこのように機械加工した状態に維持される。要するに、ピストンには、その外周面のうち、耐摩耗性等を改善するためのメッキは摺動面部に限定するようになし、シール部材が装着される部位等はメッキを施さない部分メッキとする。
電解メッキを行う場合において、部分メッキとするには、ワークの一部、即ち非メッキ領域をマスキングした状態でメッキ槽に浸漬させることになる。ワークにマスキング部材を貼り付けるようにすると、この貼り付け及び剥離作業が面倒となる。そこで、マスキングテープ等を貼り付けることなく部分メッキを行う方式は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1では、ワークに対してシールド部材を対面させて配設し、このシールド部材とワークとの間の隙間を調整することによって、メッキされる領域を限定するようにしている。
一般に、電解液を充填したメッキ槽内に陽極と陰極とを平行に配置し、これら陽極と陰極との間に電流を流すことによって、陰極側にメッキ用金属を析出させて、ワークの表面にメッキ層を形成する。陽極と陰極との間における電流密度を一定にすれば、均一な厚みのメッキ層が形成される。陽極と陰極との間に電気絶縁性を有する遮蔽物を配置すると、電流はこの遮蔽物を迂回するように流れる。陰極側を遮蔽物で部分的に覆うと、遮蔽物に対面する部位と陽極が直接対面する部位とで電流密度が異なってくる。遮蔽物を陰極側に接近させると、陰極側には電流が流れない部位が生じる。遮蔽物と陰極との間を、例えば数mmというように、極めて微小な空間を介して対面させると、陰極の遮蔽領域の境界部では、遮蔽物で覆われていない部位から覆われた部位に向けてメッキ層の厚みが連続的に減少することになり、遮蔽物で覆った部位であって、ある位置からは全くメッキの付着がない領域が形成される。
メッキ槽内において、ワークを陰極とし、このワークに陽極板を対向配置し、かつワークをシールド部材で覆うようになし、メッキしない領域、つまり非メッキ領域では、シールド部材とワークとの間に微小空間を介在させる。一方、メッキすべき領域、つまりメッキ領域では、シールド部材とワークとの距離を離すか、より好ましくはシールド部材に開口部を形成して、メッキ領域をこの開口部内に位置させる。ワークの表面とシールド部材との間を微小隙間とした部位では、ワーク表面にメッキ用金属が析出されず、間隔を広げた部位のワーク表面にメッキ用金属が析出される。これによって、マスキング機能を有する部材をワークに対して非接触状態にして、必要な部分に限定して部分メッキを行うことができる。
特開2004−190128号公報
前述したように、ワークがピストンである場合、その全体形状が概略円筒形状となるために、シールド部材も実質的に円筒形状として、メッキを行う前の段階で、ワークをシールド部材の内部に挿入するようにして組み込まれる。また、メッキ処理が完了した後は、シールド部材からワークを取り外して、新たなワークが組み込まれる。そして、組み込み状態では、ワークの非メッキ領域とシールド部材との間には、全周にわたって均等で、しかも微小な間隙を介して対面させ、かつ安定した状態に固定されなければならない。ワークとシールド部材と間が僅かでもずれたり、傾いたりすると、ワークにおけるシール部材の装着部からなる非メッキ領域のシールド部材との間隔が部分的に広がってしまい、間隔によっては非メッキ領域にもメッキ用金属が析出されてしまうことがある。
ワークの外径とシールド部材の内径との径差を極めて小さくすれば、ワークとシールド部材との間に相対位置ずれがあっても、確実にメッキ用金属が析出されない間隔に保持できる。ただし、そうすると、ワークとシールド部材との間の着脱が困難になる。しかも、メッキを行なうに当っては、脱脂工程、酸洗工程、アルカリエッチング工程、酸活性工程、亜鉛置換工程等といった複数工程の前処理を必要とし、これら各工程間には水洗工程が加わる。従って、これらの各工程を経る間にもワークがシールド部材に対して相対位置ずれしないように安定的に保持しなければならない。このように、シールド部材内にワークを着脱するだけでなく、装着したワークを固定する作業も必要であるために、これらの作業が著しく困難かつ面倒になるという問題点もある。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、マスキングテープ等を貼り付けることなく、ワークの部分メッキを高精度に行うことができ、しかもワークの着脱作業を容易に行えるようにすることにある。
前述した目的を達成するために、メッキ用ハンガーの発明は、外周面に円環状溝が形成されたピストンクラウン部と、このピストンクラウン部に連設され、ピストンピンが取り付けられるボス孔を形成した2箇所のボス部と、これら両ボス部間に形成した摺動面部とからなるピストンをワークとして、前記円環状溝の部位を非接触でマスキングして、前記摺動面部にメッキを行うために、このワークが着脱可能に装着されて、メッキ槽に浸漬させるものであって、メインロッドと、このメインロッドに連結して設けられ、前記両ボス孔に挿通される1または複数の丸棒からなる支持杆を有するハンガー本体と、前記支持杆に装着した前記ワークを囲繞させたときに、前記円環状溝の部位である非メッキ領域はメッキ用金属が析出不能な微小隙間となし、前記摺動面部であるメッキ領域にはメッキ用金属が析出可能な隙間若しくは開口部を形成した筒状の電気絶縁部材から構成され、前記メインロッドに着脱可能に連結されるシールド部材とからなり、前記ハンガー本体側には前記ボス部の前記支持杆への挿入長を規制するストッパが設けられ、また前記シールド部材の内面に押動部材が設けられ、これらストッパと押動部材とを前記ワークのメッキ領域及び非メッキ領域以外の部位に当接させることによって、前記ワークの前記シールド部材に対して位置調整可能に固定する構成としたことをその特徴とするものである。
ここで、一般的に、ピストンクラウン部の外周面に形成した円環状溝の形成部からなる非メッキ領域はピストンの上部位置であり、ボス部及び摺動面部はピストンクラウン部の下方に延在させたスカート状の部位に位置している。シールド部材の内面とピストンクラウン部との間に形成され、メッキ用金属が析出されない微小隙間は、メッキ用金属の種類、作用させる電流条件やワークと陽極との距離等にも依存するが、4mm以下とするのが望ましい。そして、メッキ用金属の付着を確実に防止し、かつシールド部材の着脱作業に支障を来たさないようにするために、微小隙間は2mm程度とするのが最も好ましい。また、メッキ領域である摺動面部とシールド部材の内面との間隔は4〜6mm程度とするのが好ましく、さらに摺動面部と対面する位置に開口部を形成するのが最も望ましい。従って、シールド部材としては、その内面が、上部側は厚肉となし、下部側は薄肉化させて、その間に段差を設け、摺動面部の部位より僅かに小さい面積の開口部を形成したものから構成することができる。また、メッキ槽の内部では、これら両開口部と等しい間隔をもって対面するようにして2枚の陽極板を平行に配置すると、摺動面部に形成されるメッキ層の厚みを均一化する上でさらに望ましい。
ワークは、そのボス孔を支持杆に挿通させるが、支持杆はメインロッドの下端部またはその近傍に連結されて、このメインロッドの軸線と直交する水平方向若しくは斜め上方に延在させる。支持杆は1本でも良いが、重量バランスを考慮して、左右に向けて2本設けることもできる。また、3本以上設ける場合には、メインロッドを中心として等間隔の放射状に配列するのが望ましい。
支持杆の外径とボス部のボス孔内径との径差は、好ましくは、ワークの挿脱に支障を来たさない範囲でできるだけ小さくする。これによって、ワークは支持杆から抜け出す方向及び支持杆を中心として回転する方向以外は実質的に固定される。支持杆にストッパを設けて、挿入長を規制するが、このストッパは例えば支持杆に段差を設ける等として構成することもでき、また支持杆の外面に1乃至複数個所の突起を形成することもできる。シールド部材はワークに嵌合させるようにしてハンガー本体に装着される。このときに、シールド部材内面に設けた押動部材がワークを支持杆の軸線方向において、ストッパの形成部側に向けて押動するようになし、これによりワークは支持杆から抜け出す方向に固定される。押動部材は左右一対設けられており、これらとストッパとの間でワークが挟持されて、ワークは支持杆から抜け出す方向及び回転方向に固定される。その結果、ワークとシールド部材とは正確に隙間管理が行われた状態にして安定的に固定される。ここで、ワークには、ピストンクラウン部における非メッキ領域と、摺動面部を構成するメッキ領域とがあるが、これら以外の部位は、メッキ用金属が析出して良く、またメッキ用金属が付着しなくても格別問題とはならない任意領域である。そこで、この任意領域にストッパ突起及び押動部材を当接させるようにする。
メッキ槽内に浸漬させたワークは給電部材としての直流電源に接続することになるが、その給電経路はハンガー本体に設けることができる。例えば、ワークのピストンクラウン部における上面に接離可能に当接する電極ピンを設ける構成とする等によりワークが給電部材と接続されておれば良い。電極ピンをピストンクラウン部と当接する方向に付勢するばね等の付勢手段を装着すれば、ワークと電極ピンとを確実に接続することができる。
次に、本発明によるメッキ装置の特徴としては、前述のように構成した部分メッキ用ハンガーと、ワークの円環状溝の部位をマスキングして、摺動面部にメッキを行うためのメッキ槽とから構成されるものであり、前記ハンガーは、メインロッドに前記ワークの両ボス孔内に挿通される2本の支持杆を取り付けたハンガー本体と、このハンガー本体に着脱可能に連結され、前記各支持杆に装着した前記各ワークを囲繞し、前記円環状溝の部位である非メッキ領域はメッキ用金属を析出不能とする微小隙間となし、前記両摺動面部であるメッキ領域に開口部を形成した筒状の電気絶縁部材からなるシールド部材と、前記各ワークに着脱可能に接続される給電部材から構成され、前記各支持杆にはストッパを設け、また前記シールド部材の内面に押動部材を設けて、前記ワークのメッキ領域及び非メッキ領域以外の部位にこれらストッパと押動部材とを当接させるように装着されるものであり、前記メッキ槽の内部に2枚の陽極板を設け、これら各陽極板は前記シールド部材の各開口部にそれぞれ等しい間隔で対面するように配置されるように構成している。
さらに、部分メッキ方法の発明は、外周面に円環状溝が形成されたピストンクラウン部と、このピストンクラウン部に連設され、ピストンピンが取り付けられるボス孔を形成した2箇所のボス部と、これら両ボス部間に形成した摺動面部とを有するピストンをワークとして、メインロッドに丸棒状の支持杆を設けたハンガー本体と、このハンガー本体に着脱可能に連結した筒状の電気絶縁部材からなるシールド部材とから構成したハンガーに着脱可能に装着してメッキ槽内に浸漬させて、前記ワークの前記円環状溝の部位を非メッキ領域とし、かつ前記摺動面部にメッキ領域としてメッキを行うものであって、前記ハンガー本体の支持杆に、前記ワークの前記ボス部の両ボス孔に挿通させて、このワークに直流電源の陰極側を接続し、前記シールド部材を前記ワークに嵌合させて、前記円環状溝の部位からなる非メッキ領域はメッキ用金属を析出不能とする微小隙間となし、前記両摺動面部からなるメッキ領域は前記シールド部材に設けた開口部に対面させ、前記ワークのメッキ領域及び非メッキ領域以外の部位に前記支持杆に設けたストッパと前記シールド部材に設けた押動部材とで挟持させて前記ワークを固定的に保持させて、前記シールド部材を前記ハンガー本体に連結し、前記メッキ槽の内部に前記直流電源の陽極側に接続した2枚の陽極板を平行に設けて、前記ハンガーを、そのシールド部材の前記両開口部がこれら両陽極板間に等しい間隔をもって対向配置して、電解液に前記ワークを浸漬させて、前記両陽極板と前記ワークとの間に直流電流を流して部分メッキを行うことを特徴としている。
本発明によれば、マスキングテープ等を貼り付けることなく、ワークに極めて高精度に部分メッキを行うことができ、しかもワークのシールド部材の内部へのワークの装着及び取り外しを容易に行える。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。ここで、メッキが施されるワークとしては、自動車用のレシプロエンジン等において、シリンダ内を摺動するピストンであり、その外周面には、メッキ領域と非メッキ領域とが形成されており、またこれらメッキ領域でもなく、また非メッキ領域でもない任意領域を有している。
図1乃至図3にピストン1の構成を示す。図中において、ピストン1はピストンクラウン部2とスカート部3とからなり、ピストンクラウン部2はピストン1の上部側の概略有蓋円筒形状とした部位であり、その外周面には円環状のピストンリング溝4が複数段にわたって形成されている。このピストンクラウン部2に形成したピストンリング溝4にはシール部材としてのピストンリングが装着される。ピストンクラウン部2の下部に連設したスカート部3は、円周方向に交互に各2箇所形成した摺動面部5とボス部6とから構成される。ボス部6にはボス孔6aが形成されており、両ボス部6のボス孔6a間にピストンピン(図示せず)が掛け渡すように取り付けられる。ピストン1はシリンダ内を往復動するものであり、このピストン1の作動によりボス部6に取り付けたピストンピンに連結したコンロッドが上下動する。摺動面部5はピストン1がシリンダ内を往復動する際に、シリンダ内面と摺動する部位である。
ピストン1のうち、シリンダに対して摺動するのは、ピストンクラウン部2のうちのピストンリング溝4に装着したピストンリングであり、またスカート部3のうちの摺動面部5である。従って、ピストン1の本体部分の摺動するのは、スカート部3における摺動面部5のみである。ピストン1の軽量化を図るために、素材そのものはアルミニウムやアルミニウム合金等から構成され、摺動面部5は摺動性及び耐磨耗性の向上を図るために、鉄メッキ(または鉄クロム合金メッキ)が施される。
このように、ピストン1の外周面には、その摺動面部5はメッキされる領域、つまりメッキ領域である。また、ピストンクラウン部2にはピストンリング溝4が形成され、複雑な凹凸形状となり、仕上げ加工精度を維持するために、通常、機械加工が行われる。従って、ピストンリング溝4の部位はコーナー部を有する形状となっており、この部位をメッキすると、コーナー部に電流密度が集中して部分的に厚盛りとなってしまう。そこで、ピストンクラウン部2は、その全体をメッキが施されない非メッキ領域とする。さらに、ボス部6は、このボス孔6aの内部及びそのエッジ部分にはメッキ用金属が析出しないようにするが、外面はメッキ用金属が析出されても、またメッキされなくても良い任意領域である。
以上のように、ピストン1に対しては、摺動面部5に領域を限定してメッキするようになし、ピストンリング溝4を形成したピストンクラウン部2の部位はメッキ用金属を付着させない非メッキ領域とする。メッキは電解メッキによるが、後述するメッキ槽40(図10参照)内にワークとしてのピストン1を浸漬させて部分メッキを行う。このために、図4乃至図9に示したハンガー10が用いられる。
図4及び図5から明らかなように、ハンガー10はハンガー本体11とシールド部材30とから大略構成される。ハンガー本体11は断面が四角形のメインロッド12を有し、図6に示したように、このメインロッド12の先端部に移載用フック部13aと給電用フック部13bとが連結して設けられている。メッキを行うために、メッキ槽40と、このメッキ槽の前処理を行う複数の処理槽及び後処理を行う複数の処理槽が配列される。これら各槽にピストン1を装架したハンガー10を順次浸漬させるための搬送手段を備えており、移載用フック部13aはこの搬送手段に係合させて、ピッチ送りされ、かつ昇降動作が行われる。なお、この搬送手段の構成は、従来から周知であるので、その図示及び説明は省略する。
メインロッド12の下端近傍位置には2本の支持杆14,14が、このメインロッド12の軸線と直交する方向において、左右に張り出すように連結されている。これら各支持杆14には、それぞれワークとしてのピストン1を支持するためのものであり、ハンガー本体11には2個のピストン1が装着される。図7及び図8に示したように、ピストン1は、そのボス部6におけるボス孔6aが支持杆14に所謂串刺し状態にして挿通される。支持杆14は丸棒状の部材であって、その外径はボス孔6の内径とはほぼ一致しており、支持杆14はピストン1のボス孔6に実質的に隙間がない状態にして挿通される。
メインロッド12には、支持杆14の上部位置であって、上端近傍の部位と、支持杆14の近傍位置とに、ガイド棒15a,15bが連結されて、支持杆14と平行な方向に延在されている。これらガイド棒15a,15bには電極ピン16を挿通ガイドするガイド孔(図示せず)が形成されている。ガイド棒15a,15bに昇降可能に挿通させた電極ピン16の上端部には、可撓性を有するケーブル17が連結されており、このケーブル17の他端は給電用フック部13bに接続されている。ケーブル17は絶縁被覆内に導電線を挿通させたものであり、導電線の一端は給電用フック部13bに、他端は電極ピン16に接続されている。また、この給電用フック部13b(及びこの給電用フック部13bと当接している移載用フック部13a)は、曲折された先端部分は露出しているが、メインロッド12への連結部等は絶縁部材により覆われている。また、電極ピン16にはばね受け部18が取付けられており、このばね受け部18と上部側のガイド棒15aとの間には、この電極ピン16を下方に向けて付勢する付勢手段としてのばね19が設けられており、さらに電極ピン16のガイド棒15aより上部側の位置にはストッパリング20が取付けられている。電極ピン16は所定のストローク分だけ上下方向に移動可能となっている。従って、支持杆14にピストン1を挿通させる際には、電極ピン16を持ち上げておき、ピストン1を挿通した後において、電極ピン16への外力の作用を解除すると、ばね19の付勢力でピストンクラウン部2の上面に電極ピン16が圧接され、その間が確実に電気的に導通することになる。
次に、シールド部材30は合成樹脂等の電気絶縁性部材からなり、左右に延在させた支持杆14に装着した2個のピストン1を囲繞する概略円筒形状のシールド本体31,31と、これら両シールド本体31,31間に設けた連結部32とから構成される。シールド本体31は上部側31aが厚肉部で、下部側31bは薄肉部となり、内面側に傾斜面からなる段差部31cが形成されている。支持杆14にピストン1を挿通させて、所定の位置に固定的に保持した状態では、図8に示したように、シールド本体31の上部側31aの内周面と、ピストン1のピストンクラウン部2の外周面との間隔は概略2mm程度の微小隙間D1となり、また下部側31bとスカート部3における摺動面部5の外面との間の間隔は少なくとも4mmといった拡大隙間D2となる。
さらに、シールド本体31には、ピストン1の両摺動面部5と対面する位置に開口部33が形成されている。これらの開口部33は、摺動面部5の面積より僅かに狭い面積を有する空間であり、特に下部側においては、シールド本体31により摺動面部5の下端部が覆われて、前述した拡大空間D2を置いて対面している。また、開口部33における上端側の端壁33aは傾斜面となっており、これによりメッキ液及びメッキ中に発生するガスの流れを円滑にして、メッキ領域と非メッキ領域との境界部分に気泡によるピット等が派生しないようにしている。
シールド部材30はハンガー本体11に対して着脱可能であって、このハンガー本体11のメインロッド12に固定的に保持される。このために、両シールド本体31,31間に設けられている連結部32には、メインロッド12の下部側が挿通される挿通路34が形成されている。そして、挿通路34を構成する左右の壁部には、支持杆14を所定の深さ位置まで進入させるための切り欠き部34aが形成されている。この切り欠き部34aが形成されている壁部は円筒形状のシールド本体31の壁面を構成するものであり、従ってこの切り欠き部34aによりシールド本体31の部位では円筒部分の一部が欠落することになる。このために、メインロッド12には、この切り欠き部34aを補間するように、表面が円弧状となった補間駒21が固着して設けられている。
挿通路34における前後の壁部のうちの一方側にはガイド部34bが内向きに突出するようにして形成されており、このガイド部34bは、メインロッド12の一側表面に形成したガイド溝12aに係合されるものである。このガイド部34bとガイド溝12aとの係合によって、シールド部材30はハンガー本体11に対して正確に位置合わせされた状態で組み込まれる。また、組み込み状態でシールド部材30が下方に脱落しないように保持するために、図9に示したように、メインロッド12における下端近傍位置には、キー挿入孔22が形成されており、このキー挿入孔22にはキー23が挿入されるようになっている。キー23をキー挿入孔22内に挿入したときには、その前後の部位がキー挿入孔22から突出する状態となり、シールド部材30はこれら突出部に当接することによって、メインロッド12の脱落防止が図られる。
さらに、支持杆14の外周面には、その軸線方向における所定の位置にストッパ用突起24が設けられており、これによってピストン1を支持杆14に挿通させると、このストッパ用突起24に当接する位置まで進入して、この位置でピストン1の支持杆14への挿入長が規制される。また、シールド本体31の内面には、ストッパ用突起24とほぼ対面する位置に内方に突出する薄い縦板からなる押動板35,35が設けられている。ハンガー本体11にワークとしてのピストン1を組み込んで、シールド部材30を連結したときに、ピストン1はストッパ用突起24と押動板35との間で挟持される。ここで、ピストン1に対する押動板35及びストッパ用突起24の当接部は、ボス部6におけるボス孔6aの形成部の両側の任意領域である。
以上のように構成されるハンガー10にピストン1を組み込むには、ハンガー本体11からシールド部材30を取り外した状態で、ハンガー本体11のメインロッド12に連結した支持杆14の先端側からピストン1のボス部6におけるボス孔6aを挿入する。ここで、ハンガー本体11には電極ピン16が装着されており、この電極ピン16はばね19の作用で下方に突出している。従って、電極ピン16をばね19の付勢力に抗して持ち上げるようにしてピストン1を支持杆14に沿って挿入する。ピストン1が支持杆14に設けたストッパ用突起24に当接する位置まで挿入されると、電極ピン16に作用する力を解除する。
これによって、電極ピン16はピストンクラウン部2の上端面に当接して、ピストン1は支持杆14から脱落しないように、仮に保持される。そして、支持杆14とボス孔6aとはほぼ隙間のない状態に挿入され、かつピストン1のボス部6が支持杆14のストッパ用突起24と当接している。その結果、ピストン1は支持杆14の回りを回転する方向及び支持杆14から引き出す方向には可動であるが、それ以外の方向には固定的に保持されて、みだりに位置ずれを起こすことはない。
この状態で、ハンガー本体11の下方からシールド部材30のシールド本体31をピストン1に嵌合させ、かつ連結部32の挿通路34にメインロッド12を挿入する。シールド本体31の内面部には押動板35が取り付けられており、シールド部材30の挿入操作に応じて押動板35がピストン1のボス部6におけるボス孔6aの形成部の両側に当接して、ピストン1は2枚の押動板35と2箇所のストッパ用突起24との間に挟持されることになり、回転方向及び支持杆14から引き出す方向にも固定的に保持される。なお、この押動板35の上部内側端部に丸味を持たせることによって、ピストン1が多少位置ずれしたり、傾いたりしていても、この押動板35により姿勢の矯正が行われる。
シールド部材30がハンガー本体11に対して所定の位置まで嵌合されると、具体的にはキー挿入孔22がシールド部材30より下方位置になったときに、このキー挿入孔22にキー23を挿入する。これによって、シールド部材30はハンガー本体11に連結されるようになり、ピストン1のハンガー10への組み込みが完了する。このようにしてピストン1がハンガー10に組み込まれると、ピストン1はシールド本体31に対して正確に位置調整され、シールド本体31の上部側31aの内周面と、ピストン1のピストンクラウン部2の外周面との間に全周にわたって均一な微小隙間D1が形成される。
以上のようにして2個のピストン1を装着したハンガー10は、その摺動面部5に部分メッキを行うために、メッキ装置に送り込まれる。ここで、ピストン1に部分メッキを行う際には、その前処理として、例えば脱脂、水洗、酸洗、水洗、アルカリエッチング、水洗、酸活性化、水洗、亜鉛置換、水洗、酸洗、水洗、亜鉛置換、水洗という工程を順次経るのが一般的である。従って、前述した各前処理工程を行なうために、それぞれの処理液を充填した槽を配列して、ハンガー10をこれら各槽に順次浸漬させる。
この前処理を行った後に、図10に示したように、メッキ槽40内でピストン1の摺動面部3aに鉄メッキを施す。メッキ槽40には電解液が充填されると共に、陽極板41,41が電解液内に浸漬するように設けられており、メッキ槽40の上部位置には給電バー42が設けられている。直流電源装置43は、その陽極がこれら陽極板41と接続され、陰極は給電バー42に接続されている。従って、ハンガー10の給電用フック部13bをこの給電バー42に係合させると、この給電フック部13bに接続したケーブル17及び電極ピン16を介してピストン1が陰極と接続されることになる。この状態で、直流電源装置43をONすると、ピストン1と陽極板41との間に直流電流が流れ、このピストン1におけるメッキ領域としての摺動面部5に鉄メッキが施される。
ここで、ピストン1においては、摺動面部5がメッキ領域となり、このメッキ領域には均一な膜厚のメッキを行うために、ハンガー10の給電用フック部13bを給電バー42に係合させたときに、シールド本体31に形成した両側の開口部33がそれぞれ陽極板41と対面するようにしている。しかも、両摺動面部5と両陽極板41との間隔が等しくなるように設定されている。
而して、メッキ条件、即ち電解液の種類、陽極板からの距離、電流密度、温度、電解液への浸漬時間等を一定にして、メッキすべき部材をシールド部材で非接触状態にして遮蔽すると、図11に示したように、鍍金すべき部材とシールド部材との間隔に応じてメッキ領域とメッキ層の厚みとが変化する。間隔を5mmにすると、同図に線Aで示したように、シールド部材で覆われている部位の7mm手前からメッキ膜厚の減少が始まり、シールド部材で覆われている部位の内部に4mm入り込んだ位置であっても、シールド部材で覆われていない部位のメッキ層における厚みに対して約10%程度の厚みのメッキが形成される。そして、同図に線Bで示したのは間隔を4mmとしたものであり、シールド部材で覆われる6mm手前からメッキ膜厚の減少が始まり、シールド部材で覆われた部位のメッキ膜厚は、間隔が5mmの場合と比較するとやや減少するが、ほぼ同じ傾向の厚みのメッキが形成される。さらに、間隔を3mmに詰めると、同図に線Cで示したように、シールド部材で覆われている部位の内側6mmで殆どメッキが付着しなくなる。さらにまた、同図の線Dで示したように、間隔を2mmまで狭めると、シールド部材の境界部における外側の3mm付近から急激にメッキ層の厚みが減少し、シールド部材の境界部における外側の3mm付近から急激にメッキ層の厚みが減少し、境界部の内側5mmでは全くメッキ層が形成されなくなる。
以上のことから、ピストン1を囲繞するように配置したシールド本体31の上部側31aの内面とピストン1におけるピストンリング溝4を設けた非メッキ領域との間の微小間隔を概略2〜3mmとする。摺動面部5へのメッキ厚を15μm程度にする場合、メッキ領域から非メッキ領域への移行部が約10mm程度のものとなり、しかもこの移行部では連続的にメッキ層の厚みが減少する。この間隔をさらに小さくすれば、移行部の幅を狭くすることができるが、ピストン1においては、この程度の移行部が存在しても格別の問題とはならない。また、この微小間隔が2mm程度あれば、ピストン1のハンガー10への着脱が困難になる不都合はない。そして、ピストン1のハンガー10への着脱の容易性等を勘案して、シールド本体31の上部側31aの内面とピストン1の非メッキ領域における外面との間隔を2mm〜4mm程度とすると、極めて精度の高い部分メッキを行うことができる。そして、ピストン1の外面とシールド本体31の内面との間隔は、全周にわたってほぼ均一になっているので、非メッキ領域にメッキ用金属が付着するおそれはない。
そして、メッキ領域に均一な厚みのメッキ層を形成するために、シールド本体31に形成した開口部33の構成を適宜のものとする。開口部33は非メッキ領域とメッキ領域との境界部となるものであるが、この開口部33にはメッキ領域である摺動面部5の全体が露出しているのではなく、この摺動面部5より僅かに小さい開口形状となっている。これは、前述したように、境界部におけるメッキの回り込みを考慮してのものである。そして、摺動面部5の下端部は概略エッジ形状となっているので、この下端部が開口部33されていると、このエッジ部分に電流密度が高くなるので、シールド本体31により部分的に覆うことによって、メッキ層が厚肉化するのを防止している。
また、シールド本体31の上部側31aは厚肉になっているので、その端壁の形状によっては、メッキ領域と非メッキ領域との間の境界部近傍でメッキ液の乱れる可能性があり、メッキ液中に発生するガスが滞留する可能性がある。しかしながら、シールド本体31における厚肉となった上部側31aにおける開口部33の形成部は傾斜壁33aとなっているので、メッキ液やガスの流れが円滑に行われて、ピット等のおそれがなく、境界部が高精度になり、シャープで直線的な境界線が形成されることになる。
なお、ピストン1にメッキ層が形成された後には、水洗、錫メッキ、水洗、乾燥の各工程からなる後処理が行なわれる。ここで、鉄メッキを行った後に錫メッキを行なうのは、ピストン1における摺動面部3aのシリンダに対する馴染みを良くするためのものであり、必ずしも後処理としての錫メッキを行なわなくても良い。
前述のように、ワークであるピストン1の外面は何等の部材と接触させることなく、完全に露出した状態としているので、前処理段階において、例えば酸処理、アルカリ処理等を行う処理液は、それらの後に行われる水洗工程で完全に除去できることになり、メッキ槽40内に導入したときには、前述した処理液は全く付着していない状態でメッキ処理を行なうことができる。従って、メッキ処理後のピストン1には不純物の付着がなくなり、外観上で好ましいだけでなく、腐食等の発生を抑制できる。
さらに、ハンガー本体11におけるメインロッド12の上端部には、メッキ槽40にピストン1を装着したハンガー10を浸漬させる際に、給電バー42に係合させる給電用フック部13bが設けられており、この給電用フック部13bは、ハンガー10全体の重心位置より上方に装着されている。これによって、ハンガー10を鉛直状態に保持されることから、ピストン1のメッキ領域である摺動面部5は正確に陽極板41と対面する状態に保持される。一方、槽間を移載するための移載用フック部13aはハンガー10の重心位置から偏寄した位置に形成されているので、この移載用フック部13aを搬送手段に係合させると、ハンガー10は傾いた状態になり、この状態で各槽からハンガー10が引き上げられることになる。このために、メッキ液を含めて、各槽内に貯留されている各々の処理液が付着したハンガー10が槽から引き上げられる際に、槽内に戻されるようになり、次槽への処理液の持ち出しを抑制することができ、各槽の処理液の汚損が防止される。また、ハンガー10の各槽間における移載時には、移載用フック部13a及び給電用フック部13bのいずれかが単独で、また必要に応じてこれらを同時に搬送手段に係合させることができる。
本発明におけるワークの正面図である。 図1のA−A断面図である。 図2のB−B断面図である。 ワークを装着したハンガーの正面図である。 ハンガー本体とワーク及びシールド部材を分離して示す要部構成図である。 ハンガー本体の上部を示す右側面図である。 ハンガーにワークを装着した状態を示す要部断面図である。 図7のC−C断面図である。 図7の底面図である。 ワークとしてのピストンに対してメッキを行っている状態を示す説明図である。 シールド部材とワークとの間隔に応じて、シールド部材の端部近傍に形成されるメッキ層の厚みの変化を示す線図である。
符号の説明
1 ピストン 2 ピストンクラウン部
3 スカート部 4 ピストンリング溝
5 摺動面部 6 ボス部
6a ボス孔 10 ハンガー
11 ハンガー本体 12 メインロッド
13a 移載用フック部 13b 給電用フック部
14 支持杆 16 電極ピン
23 キー 24 ストッパ用突起
30 シールド部材 31 シールド本体
31a 上部側 31b 下部側
31c 段差部 32 連結部
33 開口部 35 押動板
40 メッキ槽 41 陽極板
42 給電バー 43 直流電源装置

Claims (5)

  1. 外周面に円環状溝が形成されたピストンクラウン部と、このピストンクラウン部に連設され、ピストンピンが取り付けられるボス孔を形成した2箇所のボス部と、これら両ボス部間に形成した摺動面部とからなるピストンをワークとして、前記円環状溝の形成部を非接触でマスキングして、前記摺動面部にメッキを行うために、このワークが着脱可能に装着されて、メッキ槽に浸漬させるメッキ用ハンガーであって、
    メインロッドと、このメインロッドに連結して設けられ、前記両ボス孔に挿通される1または複数の丸棒からなる支持杆を有するハンガー本体と、
    前記支持杆に装着した前記ワークを囲繞させたときに、前記円環状溝の部位である非メッキ領域はメッキ用金属が析出不能な微小隙間となし、前記摺動面部であるメッキ領域にはメッキ用金属が析出可能な隙間若しくは開口部を形成した筒状の電気絶縁部材から構成され、前記メインロッドに着脱可能に連結されるシールド部材とからなり、
    前記ハンガー本体側には前記ボス部の前記支持杆への挿入長を規制するストッパが設けられ、また前記シールド部材の内面に押動部材が設けられ、これらストッパと押動部材とを前記ワークのメッキ領域及び非メッキ領域以外の部位に当接させることによって、前記ワークの前記シールド部材に対して位置調整可能に固定する
    構成としたことを特徴とするメッキ用ハンガー。
  2. 前記ストッパは前記支持杆に設けられ、前記押動部材は前記シールド部材の内面に設けた一対の板状の部材からなり、これらストッパ部と押動部材とは前記ワークの前記ボス孔の左右両側で、前記摺動面部の領域外に当接する構成としたことを特徴とする請求項1記載のメッキ用ハンガー。
  3. 前記ハンガー本体には、前記ワークの前記ピストンクラウン部上面に接離可能な電極ピンを設け、この電極ピンには前記ピストンクラウン部に当接する方向に付勢する付勢手段を装着する構成としたことを特徴とする請求項1記載のメッキ用ハンガー。
  4. 外周面に円環状溝が形成されたピストンクラウン部と、このピストンクラウン部に連設され、ピストンピンが取り付けられるボス孔を形成した2箇所のボス部と、これら両ボス部間に形成した摺動面部とからなるピストンをワークが着脱可能に装着されるハンガーと、このワークの前記円環状溝の部位をマスキングして、前記摺動面部にメッキを行うためのメッキ槽とからなるメッキ装置において、
    前記ハンガーは、メインロッドに前記ワークの両ボス孔内に挿通される2本の支持杆を取り付けたハンガー本体と、このハンガー本体に着脱可能に連結され、前記各支持杆に装着した前記各ワークを囲繞し、前記円環状溝の部位である非メッキ領域はメッキ用金属を析出不能とする微小隙間となし、前記両摺動面部であるメッキ領域に開口部を形成した筒状の電気絶縁部材からなるシールド部材と、前記各ワークに着脱可能に接続される給電部材から構成され、前記各支持杆にはストッパを設け、また前記シールド部材の内面に押動部材を設けて、前記ワークのメッキ領域及び非メッキ領域以外の部位にこれらストッパと押動部材とを当接させるように装着されるものであり、
    前記メッキ槽の内部に2枚の陽極板を設け、これら各陽極板は前記シールド部材の各開口部にそれぞれ等しい間隔で対面するように配置される
    構成としたことを特徴とするワークの部分メッキ装置。
  5. 外周面に円環状溝が形成されたピストンクラウン部と、このピストンクラウン部に連設され、ピストンピンが取り付けられるボス孔を形成した2箇所のボス部と、これら両ボス部間に形成した摺動面部とを有するピストンをワークとして、メインロッドに丸棒状の支持杆を設けたハンガー本体と、このハンガー本体に着脱可能に連結した筒状の電気絶縁部材からなるシールド部材とから構成したハンガーに着脱可能に装着してメッキ槽内に浸漬させて、前記ワークの前記円環状溝の部位を非メッキ領域とし、かつ前記摺動面部にメッキ領域としてメッキを行うワークの部分メッキ方法であって、
    前記ハンガー本体の支持杆に、前記ワークの前記ボス部の両ボス孔に挿通させて、このワークに直流電源の陰極側を接続し、
    前記シールド部材を前記ワークに嵌合させて、前記円環状溝の部位からなる非メッキ領域はメッキ用金属を析出不能とする微小隙間となし、前記両摺動面部からなるメッキ領域は前記シールド部材に設けた開口部に対面させ、
    前記ワークのメッキ領域及び非メッキ領域以外の部位に前記支持杆に設けたストッパと前記シールド部材に設けた押動部材とで挟持させて前記ワークを固定的に保持させて、前記シールド部材を前記ハンガー本体に連結し、
    前記メッキ槽の内部に前記直流電源の陽極側に接続した2枚の陽極板を平行に設けて、前記ハンガーを、そのシールド部材の前記両開口部がこれら両陽極板間に等しい間隔をもって対向配置して、電解液に前記ワークを浸漬させて、前記両陽極板と前記ワークとの間に直流電流を流して部分メッキを行う
    ことを特徴とするワークの部分メッキ方法。
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