JP4747977B2 - 筒内圧センサの校正装置 - Google Patents

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本発明は筒内圧センサの校正装置に係り、特に、多気筒内燃機関の少なくとも二つの気筒に設けられた筒内圧センサを校正する装置に関する。
近年、筒内圧センサにより検出される筒内圧を利用して筒内の燃焼状態を検知し、その結果に基づいて点火時期等の各種制御量を制御する内燃機関の制御装置が開発されるに至っている。多気筒内燃機関の場合、各気筒に筒内圧センサが設けられ、検出された筒内圧に基づく制御が気筒毎に行われる。この筒内圧センサに関連する従来技術として、特許文献1には、燃焼圧力から算出した吸入空気量と吸気管圧力より算出した吸入空気量とを比較し、後者を基準として燃焼圧力センサの感度を算出し、この燃焼圧力センサの感度の算出値が所定範囲に入るか否かにより燃焼圧力センサの異常判断を行う技術が開示されている。
実公平7−55303号公報
ところで、筒内圧センサの感度には個体差や取付荷重等に起因するばらつきが存在する。よって、筒内圧センサにより計測された筒内圧にも気筒間のばらつきが存在する。一方、計測された筒内圧値は全気筒同一の制御ロジックによって処理されるため、かかる筒内圧値にばらつきが存在すると、演算結果としての各種制御量も必然的にばらつき、燃費やエミッションの向上に支障をきたす。
また、一般に筒内圧センサの測定レンジは0〜数MPaというように比較的広範な範囲に亘る。しかしながら、近年では筒内圧センサの応用制御の一つとして筒内空気量を計測することが行われおり、この場合、筒内圧センサの測定レンジのうち数100kPa以下の低圧部分が利用され、数kPaオーダーの計測精度が要求される。よって、このような低圧部分での使用では筒内圧センサの感度ばらつきの影響が必然的に大きくなり、効果的な改善策が待ち望まれている。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、筒内圧センサの感度ばらつきを効果的に解消することができる筒内圧センサの校正装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る筒内圧センサの校正装置は、多気筒内燃機関の少なくとも二つの気筒に設けられた筒内圧センサを校正する装置であって、前記筒内圧センサにより、所定の2点のタイミングにおける筒内圧を気筒毎に計測する計測手段と、該計測手段により計測された前記2点のタイミングの筒内圧の差圧を気筒毎に算出する差圧算出手段と、所定の基準気筒の前記差圧と、前記基準気筒以外の気筒の前記差圧とに基づいて、前記基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出する非基準気筒センサ感度補正係数算出手段とを備えたことを特徴とする。
この本発明の一形態によれば、基準気筒の筒内圧センサを基準として、基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出することができる。即ち、機関運転状態が定常の場合、同一の2点のタイミング間での筒内圧の差圧は基準気筒と基準気筒以外の気筒とで同一となる。よってこのことを利用し、基準気筒の筒内圧センサで計測された筒内圧の差圧と、基準気筒以外の気筒の筒内圧センサで計測された筒内圧の差圧とに基づき、基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出することができる。この算出された基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を用いれば、基準気筒の筒内圧センサと基準気筒以外の気筒の筒内圧センサとのセンサ感度を等しくすることができ、これにより気筒間でのセンサ感度ばらつき、ひいてはこれに基づく筒内圧計測値のばらつきを解消することができる。
ここで、前記所定の2点のタイミングが、圧縮行程中の2点のタイミングであるのが好ましい。こうすることで2点のタイミング間の差圧を大きくすることができ、算出精度を向上できる。
或いは、前記所定の2点のタイミングのうち、一方が、排気行程中であって排気弁が開、吸気弁が閉であるタイミングであり、他方が、吸気行程中であって排気弁が閉、吸気弁が開であるタイミングであるのも好ましい。こうすることで、寸法公差等に起因する製造上のばらつきの影響を解消することができ、センサ感度補正係数が高精度で算出可能となる。
この場合、前記計測手段による前記筒内圧の計測時にフュエルカットを実行するフュエルカット実行手段を備えるのも好ましい。フュエルカットの実行により差圧を増大することができるからである。
好ましくは、前記基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数が、前記基準気筒の差圧を前記基準気筒以外の気筒の差圧で除することにより得られる値からなる。
また好ましくは、前記計測手段が、前記内燃機関の定常運転時に前記筒内圧の計測を複数回繰り返し実行し、前記差圧算出手段が、前記計測手段により計測された各回の筒内圧に基づいて各回の差圧を算出し、且つ、これら各回の差圧を平均化して最終的な前記差圧を算出する。このような平均化処理を行うことにより算出精度を向上することが可能となる。
また、排気空燃比を検出する空燃比センサと、前記基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出する基準気筒センサ感度補正係数算出手段とを備え、前記計測手段が、圧縮行程中の所定の2点のタイミングにおいて前記筒内圧を計測し、前記基準気筒センサ感度補正係数算出手段が、前記差圧算出手段によって算出された前記基準気筒の筒内圧の差圧と、前記空燃比センサによって検出された排気空燃比とに基づいて、前記基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出するのが好ましい。
即ち、内燃機関の固体間でも基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度にばらつきがあるが、この好ましい形態は、そのばらつきを無くすような基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数の算出に有効である。そのばらつきを無くせれば、別々の内燃機関で基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度を等しくすることができ、同一の制御ロジックや制御データを共用して別々のエンジンを精度良く制御できるようになる。
この場合、排気空燃比が所定の目標空燃比となるように予め設定された燃料噴射量を噴射する燃料噴射手段を備え、前記基準気筒センサ感度補正係数算出手段が、前記燃料噴射手段により燃料噴射されたときに前記空燃比センサによって検出された排気空燃比を、前記目標空燃比で除して得られる値を、前記基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数として算出するのが好ましい。
さらに、前記基準気筒センサ感度補正係数算出手段によって算出された前記基準気筒のセンサ感度補正係数に基づき、前記基準気筒以外の気筒のセンサ感度補正係数を補正する補正手段を備えるのが好ましい。これにより、別々の内燃機関の全ての筒内圧センサのセンサ感度を等しくすることができ、気筒間及びエンジン固体間でのセンサ感度ばらつきを解消できる。
本発明によれば、筒内圧センサの感度ばらつきを効果的に解消することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る筒内圧センサの校正装置を含む内燃機関の制御装置を概略的に示している。この制御装置は、一般的な従来装置と異なり、筒内圧センサにより検出される筒内圧に基づいて各種制御量を制御する。即ち、従来装置では、エンジンの各運転状態について、最適と思われる制御量を予め実験等により求めてマップ化しておき、実際のエンジンの運転時に各マップ値を当てはめてエンジンの制御を行うマップ制御が一般的であった。これに対し、本実施形態の制御装置では、エンジン運転時における筒内の燃焼状態を筒内圧センサにより直接的に検出し、この検出された燃焼状態を、予め定められた最適な燃焼状態に合わせ込むように各種制御量を制御する。この新たな手法によれば、従来多大な時間と労力とが費やされていた各種マップの作成、即ち適合という作業を大幅に簡略化することができ、開発期間の大幅な短縮等を図れる利点がある。また、各部の個体差等に起因する気筒間ばらつきをなくし、各気筒で個別に最適な燃焼状態を得られるという利点がある。制御される制御量としては、燃焼開始時期(火花点火式エンジンの場合は点火時期、圧縮着火式エンジンの場合は燃料噴射時期)、燃料噴射量、燃料噴射時期(火花点火式エンジンの場合)等が代表的である。
図示されるように、内燃機関1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生する。内燃機関1は多気筒エンジンとして構成され(但し、1気筒のみ図示)、本実施形態の場合4気筒エンジンとして構成される。本実施形態の内燃機関1は火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
内燃機関1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは図示しないカムシャフトによって開閉させられる。少なくとも吸気側のカムシャフトは、図示しない可変バルブタイミング機構(VVT)によってクランク軸との位相差が可変とされており、よって少なくとも吸気弁のバルブタイミングが可変とされている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気集合通路をなす吸気管L1が接続されており、吸気管L1の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管L1には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、スロットルバルブ(本実施形態では電子制御式)10とが組み込まれている。一方、各気筒の排気ポートは気筒毎の枝管を介して排気集合通路をなす排気管6に接続されており、排気管6には、三元触媒を含む前段触媒装置11aおよびNOx吸蔵還元触媒を含む後段触媒装置11bが取り付けられている。前段触媒装置11aの上流側の排気管6に、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ13が設置されている。
シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が取り付けられている。更に、内燃機関1は、気筒毎にインジェクタ(燃料噴射弁)12を有し、インジェクタ12は、対応する燃焼室3内に臨むようにシリンダヘッドに配設されている。また、内燃機関1の各ピストン4は、いわゆる深皿頂面型に構成されており、その上面には、凹部4aが形成されている。そして、内燃機関1では、各燃焼室3内に空気を吸入させた状態で、各インジェクタ12から各燃焼室3内のピストン4の凹部4aに向けて燃料が直接噴射される。これにより、内燃機関1では、点火プラグ7の近傍に、燃料と空気との混合気の層が周囲の空気層と分離された状態で形成(成層化)されるので、全体として極めて希薄な混合気を用いて安定した成層燃焼を実行することが可能となる。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。ECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、空燃比センサ13、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ7、及びその他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御する。
また、内燃機関1は、半導体素子、圧電素子あるいは光ファイバ検出素子等を含む筒内圧センサ15を各気筒に有している。各筒内圧センサ15は、対応する燃焼室3内に受圧面が臨むようにシリンダヘッドに配設されており、図示されないA/D変換器等を介してECU20に電気的に接続されている。各筒内圧センサ15は、対応する燃焼室3における筒内圧(相対圧)に比例した電圧信号をECU20に与える。更に、内燃機関1は、吸気圧を絶対圧として検出する吸気圧センサ16を有している。吸気圧センサ16は、サージタンク8に取り付けられ、図示されないA/D変換器等を介してECU20に電気的に接続されており、サージタンク8内の圧力に比例した電圧信号をECU20に与える。各筒内圧センサ15および吸気圧センサ16の検出値は、微小時間おきにECU20に順次与えられ、ECU20の所定の記憶領域(バッファ)に所定量ずつ格納保持される。
次に、筒内圧センサの校正について説明する。
本実施形態の筒内圧センサの校正装置によれば、以下のステップ1〜3を経て全気筒の筒内圧センサが校正される。
ステップ1:所定の基準気筒の筒内圧センサを基準として、基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出・決定する。なお便宜上、基準気筒の筒内圧センサを「基準気筒センサ」、基準気筒以外の気筒を「非基準気筒」、基準気筒以外の気筒の筒内圧センサを「非基準気筒センサ」と適宜称する。このステップ1により、基準気筒センサと非基準気筒センサとのセンサ感度が等しくされ、気筒間でのセンサ感度ばらつきひいてはこれに基づく筒内圧計測値のばらつきが解消される。基準気筒は任意に設定できるが、本実施形態では1番気筒に設定される。本実施形態の4気筒エンジンの点火順序は1番気筒→3番気筒→4番気筒→2番気筒である。
ステップ2:基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出・決定する。エンジンの固体間でも基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度にばらつきがあることから、このばらつきを無くすように基準気筒センサのセンサ感度補正係数を算出・決定する。このステップ2により、エンジン固体間でのセンサ感度ばらつきひいてはこれに基づく筒内圧計測値ばらつきの抑制に有利となる。また、同一の制御ロジックや制御データを共用して別々のエンジンを制御した場合に所望の性能を個々のエンジンで得るのに有利となる。
ステップ3:ステップ2で算出・決定された基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数に基づき、基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を補正する。このステップ3により、別々のエンジンの各気筒の筒内圧センサのセンサ感度を等しくすることができ、気筒間及びエンジン固体間でのセンサ感度ばらつきひいてはこれに基づく筒内圧計測値のばらつきを解消できる。
ここで、筒内圧センサのセンサ感度及びその補正係数について説明する。図2は筒内圧センサの出力特性を示し、横軸が出力電圧E(V)、縦軸が入力としての筒内圧P(MPa)を示す。図示されるように、筒内圧Pと出力電圧Eとは比例関係にあり、これらの関係はΔP=k・G・ΔEで表される。Gは、出力電圧Eを筒内圧Pに変換するための変換係数即ち固有センサ感度であり、筒内圧センサが本来的に有する固有の一定値である。即ち、筒内圧センサの出力特性を言うとき一般的にはΔP=G・ΔE±α(%)と表され、α(%)(通常は2〜3%の値である)の製造誤差を含むのが通常である。しかしながら、前述のように高精度の筒内圧計測を行おうとするとき、特に筒内圧センサの測定レンジのうち低圧部分を高精度で計測しようとするとき、その製造誤差が計測精度に大きく影響するようになる。よって、その製造誤差をなくすようにセンサ感度Gを補正するのが補正係数kである。ここで筒内圧センサは圧力変化量の計測を主目的とするものである。従って筒内圧センサの出力特性も圧力変化量と出力電圧変化量との関係で規定されている。
図2において、製造誤差が0%である中間品としての筒内圧センサの出力特性がIで示される。この場合、筒内圧変化量ΔPに対し出力電圧変化量ΔEとなり、センサ補正係数k=1.0となる。しかしながら、IIで示される筒内圧センサの場合、筒内圧変化量ΔPに対し出力電圧変化量ΔE+e1となっており、中間品より大きい出力電圧変化量が得られている。両者のセンサ感度を等しくしようとした場合、出力電圧変化量ΔE+e1を筒内圧変化量ΔPに対応づけるため、1.0より小さいセンサ補正係数kを設定しなければならない。具体的にはk=ΔE/(ΔE+e1)としなければならない。逆に、IIIで示される筒内圧センサの場合、筒内圧変化量ΔPに対し出力電圧変化量ΔE−e2となっており、中間品より小さい出力電圧変化量が得られている。この筒内圧センサのセンサ感度を中間品と揃えようとした場合、出力電圧変化量ΔE−e2を筒内圧変化量ΔPに対応づけるため、1.0より大きいセンサ補正係数kを設定しなければならない。具体的にはk=ΔE/(ΔE−e2)としなければならない。
[ステップ1:非基準気筒センサのセンサ感度補正係数の算出]
次に、前記ステップ1に関する非基準気筒センサのセンサ感度補正係数の算出について説明する。
まずこの算出の第1の態様を説明する。この第1の態様は、概していうと、圧縮行程中の2点のタイミングにおける筒内圧を気筒毎に計測し、これら2点のタイミングの筒内圧の差圧が全気筒で等しいと仮定して、基準気筒の差圧と非基準気筒の差圧とに基づいて非基準気筒センサのセンサ感度補正係数を算出する、というものである。
図3にはある特定気筒のクランク角θに対する筒内圧(実線)、吸気圧(一点鎖線)及び排気圧(破線)の変化が示されている。なおクランク角θ=0°が圧縮上死点である。見られるように、筒内圧は圧縮行程(−180°〜0°)において上昇し、圧縮上死点付近でピークを迎える。本態様では、図中P1,P2で示されるように、圧縮行程中の2点のタイミングにおいて筒内圧センサにより筒内圧が計測される。この2点のタイミングは、計測される筒内圧の間にできるだけ大きな差圧が生じるようなタイミングとされ、且つ、後のタイミングについては点火時期の前とされる。よって、前のタイミングは、筒内圧が上昇開始する時期付近又はその以前とされ、後のタイミングは点火時期の直前とされるのが好ましい。
さて、エンジンが定常運転している状態で、2点のタイミングにおける筒内圧P1(i)、P2(i)が気筒毎に計測される。ここでiは気筒番号でi=1,2,3,4である。基準気筒についてはi=ix=1とし、非基準気筒についてはi=iy=2,3,4とする。P1(i)、P2(i)は、センサ出力電圧との関係では次のように表される(図2参照)。
P1(i)=k(i)・G・E1(i)
P2(i)=k(i)・G・E2(i)
・・・(2)
k(i)はi番気筒のセンサ感度補正係数である。ここでは基準気筒のセンサ感度補正係数k(ix)を初期値1.0とする。
2点のタイミング間における各気筒の筒内圧の差圧Psub(i)は
Psub(i)=P2(i)−P1(i)
=k(i)・G・(E2(i)−E1(i))・・・(3)
で表される。ここで、非基準気筒の差圧Psub(iy)は基準気筒の差圧Psub(ix)に等しいとみなせるから、次式が成立する。
k(iy)・Psub(iy)=Psub(ix)・・・(4)
従って、非基準気筒のセンサ感度補正係数k(iy)は次式(5)に基づいて算出される。
k(iy)=Psub(ix)/Psub(iy)・・・(5)
こうして算出された非基準気筒のセンサ感度補正係数k(iy)は、既存の値(例えば初期値1.0)と置き換えられる。
以上の説明で理解されるように、この第1の態様によれば、非基準気筒のセンサ感度(k(iy)・G)を基準気筒のセンサ感度(k(ix)・G)と等しくすることができ、筒内圧センサの気筒間感度ばらつきをなくすことができる。そして、内燃機関の制御において、このように算出されたセンサ感度補正係数k(iy)を非基準気筒の筒内圧センサに関して用いることにより、筒内圧計測値の気筒間ばらつきをなくし、精度の高い制御を実現することが可能になる。
次に、ここで述べた第1の態様のより具体的な算出処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。図示される処理はECU20により実行されるもので、ここでは主に精度向上や信頼性確保等の観点から平均化処理が追加されている。この平均化処理によりセンサノイズの影響を少なくできるなどの利点が奏される。
まずステップS101では、処理サイクル数をカウントするカウンタのカウント値jが初期値1にセットされる。次にステップS102では、内燃機関の運転状態が定常運転状態か否かが判断される。定常運転状態とは、エンジン回転速度及びアクセル開度の変動幅が所定値以内にあるときをいい、例えばアイドル運転状態である。ECU20は、クランク角センサ14の検出値に基づいて算出するエンジン回転速度NEが所定のアイドル回転速度NEiを中心に所定回転速度α以内(例えば700±50rpm)にあり、且つアクセル開度センサ7によって検出されるアクセル開度が全閉であるとき、定常運転状態であると判断する。
定常運転状態はアイドル以外の運転状態であってもよい。例えば、吸気脈動が小さく筒内空気量が多い中回転高負荷での定常運転状態であるのも好ましい。吸気脈動が小さい方が筒内圧の変動が少なく、筒内圧計測値がぶれないで済むからであり、また、筒内空気量が多い方が2点間の差圧が大きくなり、誤差が少なくなるからである。このような定常運転状態は、例えば車両の場合、高速道路を登坂走行しているような場合に実現可能である。また、好ましくは、吸排気弁がオーバーラップしないこと、或いはそうなるように可変バルブタイミング機構が制御されていることを条件に含む。これを含めると排気ガスの吹き返しを無くし、各気筒の筒内空気量ひいては差圧を定常に保持することができるからである。
ステップS102で定常運転状態でないと判断された場合、ステップS101に戻る。他方、ステップS102で定常運転状態であると判断された場合、ステップS103において2点のタイミングの筒内圧P1(i,j)、P2(i,j)を筒内圧センサ15により計測する。この計測は点火気筒順に行われ、全気筒の計測が終わるとステップS103が終了する。これら筒内圧P1(i,j)、P2(i,j)は記憶装置(バッファ)に一時的に記憶される。
次いで、ステップS104において、これら筒内圧P1(i,j)、P2(i,j)に基づき、差圧Psub(i,j)が次式により算出される。
Psub(i,j)=P2(i,j)−P1(i,j)・・・(6)
こうして得られた今回サイクルの差圧Psub(i,j)は記憶装置(バッファ)に一時的に記憶される。なお差圧Psub(i,j)を記憶装置にサイクル毎に順次記憶していく様子を図5に示す。
この後、ステップS105においてカウンタのカウント値jが1だけカウントアップされ、ステップS106ではこのカウント値jが所定値N(例えば128)と比較される。カウント値jが所定値Nを超えていなければステップS102に戻ってステップS102〜S105が繰り返し実行される。なお、この反復処理の最中でエンジンが定常運転状態でなくなったときは処理は中止され(S102:NO)、処理はS101からやり直しとなる。また、反復処理の途中で得られた差圧Psub(i,j)が初回の差圧Psub(i,1)に対し所定値以上乖離したとき、差圧変動が大きすぎるとみなして処理を中止してもよい。
カウント値jが所定値Nを超えた場合、図5に示すように、ECU20の記憶装置には各気筒N個ずつの差圧データが格納されることになる。そしてステップS107が実行され、これら各気筒N個ずつの差圧データに基づき、各気筒の平均差圧Psubav(i)が次式により算出される。
Psubav(i)=ΣPsub(i,j)/N・・・(7)
そして次に、ステップS108において、各気筒の平均差圧Psubav(i)に基づき、非基準気筒のセンサ感度補正係数k(iy)が次式(8)により算出される。
k(iy)=Psubav(ix)/Psubav(iy)・・・(8)
こうして算出された非基準気筒のセンサ感度補正係数k(iy)は、既存の値(例えば初期値1.0)と置き換えられ、以降の筒内圧計測に用いられる。
次に、非基準気筒センサのセンサ感度補正係数算出の第2の態様を説明する。
前記第1の態様では、2点のタイミングの筒内圧の差圧が全気筒で等しいという仮定の下で処理が行われている。即ち、エンジン運転状態が定常である限り、筒内には全気筒同一の空気量が流入し、同一タイミングで筒内圧を計測する限り全気筒の筒内圧の差圧は等しいという前提がある。しかしながら、寸法公差等に起因する製造上のばらつきが気筒間に存在し、例えば同一タイミングでも筒内容積が異なるなどの理由で筒内空気量が等しくならない場合がある。こうなると、同一の2点のタイミング間における筒内圧差圧は気筒間で異なり、最終的に算出されるセンサ感度補正係数に誤差が生じる。
そこでこの問題を解決するため、第2の態様は、前記第1の態様と比較して2点のタイミングを異ならせている。
図6には第2の態様における2点のタイミングを示す。図から理解されるように、2点のタイミングのうち、先に筒内圧P1が計測される1点は、排気行程中(−540〜−360°)であって排気弁Veが開、吸気弁Viが閉であるタイミングである。また、後に筒内圧P2が計測される1点は、吸気行程中(−360〜−180°)であって排気弁が閉、吸気弁が開であるタイミングである。本実施形態では、先の1点及び後の1点ともに、筒内の空気流動の影響を無くすためできるだけ遅いタイミングとされ、先の1点については排気弁Veが閉じる直前のタイミング、後の1点については吸気下死点(−180°)のタイミングに設定されている。
先の1点について、排気弁Veが開、吸気弁Viが閉の場合だと、燃焼室3は排気系に開放されており、筒内圧は排気圧と平衡している。また、後の1点について、排気弁Veが閉、吸気弁Viが開の場合だと、燃焼室3は吸気系に開放されており、筒内圧は吸気圧と平衡している。エンジン運転状態が定常である限り、排気圧及び吸気圧は全気筒で同一とみなせるから、これら2点のタイミングを採用することにより、製造ばらつきの影響を無くし、同一条件で各気筒の筒内圧を計測することができる。
非基準気筒センサのセンサ感度補正係数は、以下の点を除き、前記第1の態様と同様の方法で算出される。即ち、この第2の態様では先後のタイミングの筒内圧P1,P2の大小関係が第1の態様と逆であるから、前記ステップS104に関する差圧Psubの算出の際には、先のタイミングの筒内圧P1から後のタイミングの筒内圧P2を減じた値か、又は(P2−P1)の絶対値を差圧Psubとする。
また、前記ステップS102に関連して、定常運転状態としては、スロットルバルブ開度が最小で吸気圧が低く、比較的大きな差圧が得られるアイドル運転状態であるのが好ましい。
吸気の排気系への吹き抜け或いは排気の吸気系への吹き返しを防止するため、吸排気弁がオーバーラップされない状態、或いはそうなるように可変バルブタイミング機構が制御されている状態で算出が実行される。これら吹き抜けや吹き返しがあると排気圧又は吸気圧と筒内圧との平衡状態が気筒間でばらつく可能性があるからである。
次に、非基準気筒センサのセンサ感度補正係数算出の第3の態様を説明する。
前記第2の態様において説明したように、センサ感度補正係数を精度良く算出するためには、吸気圧と排気圧との差圧ができるだけ大きいのが望ましい。前記第2の態様ではスロットルバルブ開度が最小で吸気圧が低くなるアイドル運転時に筒内圧計測を行うようにしたが、この第3の態様ではさらに差圧を大きくするため、フュエルカット時に筒内圧計測を行うようにする。即ち、フュエルカット時もスロットルバルブ開度が最小であり、しかもエンジン回転速度がアイドル回転速度よりも高速であることから、吸気圧はより低くなり、排気圧はより高くなる。よって、差圧をより大きくし、センサ感度補正係数算出精度を向上することが可能になる。
図7には、第3の態様の算出処理に関するフローチャートが示されている。この図示される処理は図4に示した第1の態様の処理と大略同様であり、以下相違点を中心に説明する。
この第3の態様において、ステップS201、S203〜S208は第1の態様のステップS101、S103〜S108と同様である。但しステップS204において、先後のタイミングの筒内圧P1,P2の大小関係が第1の態様と逆であるため、差圧Psubが次式(6)’により算出されるようになっている。
Psub(i,j)=P1(i,j)−P2(i,j)・・・(6)’
第3の態様では、以下のステップS202が第1の態様のステップS102に置き換わる。即ち、ステップS202では、内燃機関の運転状態がフュエルカット状態か否かが判断される。本実施形態の制御装置において、ECU20は、アイドル回転速度よりも僅かに高い所定回転速度に比べて実際のエンジン回転速度が高く、且つアクセル開度が全閉(即ちスロットルバルブ開度が全閉)のとき、インジェクタ12への通電を停止しフュエルカットを行う。従ってECU20は、自らがフュエルカットを行っているときフュエルカット状態であると判断する。
或いは、次のような方法でエンジンのフュエルカット状態を判断してもよい。即ち、図8には、燃焼が行われているとき(ファイアリング時)の筒内圧波形と、燃焼が行われていないとき(モータリング時、即ちこれはフュエルカット時に相当)の筒内圧波形とが示される。これから分かるように、圧縮上死点TDC付近の波形は、ファイアリング時では圧縮上死点TDCの前から後にかけて徐々に圧力値が上昇しているのに対し、モータリング時では圧縮上死点TDCでピークとなりその前後で圧力値が上昇・下降している。
そこでこの特性を利用し、図9に示されるように、ECU20は、ある所定気筒(例えば基準気筒)において圧縮上死点TDCで計測した筒内圧力Pc(TDC)と、圧縮上死点TDCからd1(°)前のタイミングで計測した筒内圧力Pc(TDC−d1)と、圧縮上死点からd2(°)後のタイミングで計測した筒内圧力Pc(TDC+d2)との間に以下の関係が成立したとき、エンジンがフュエルカット状態であると判断する。なお、本実施形態ではd1=d2=5(°)であるが、他の値にも設定可能である。
(TDC−d1)<Pc(TDC)且つ(TDC+d2)<Pc(TDC)
・・・(9)
また、図7に戻って、この第3の態様では、ステップS204とステップS205の間にステップS204Aが追加されている。このステップS204Aでは、jサイクル目の処理で得られた各気筒の差圧Psub(i,j)と、1サイクル目の処理で得られた各気筒の差圧Psub(i,1)との差ΔPsub(i,j)=(Psub(i,j)−Psub(i,1)の絶対値が計算されると共に、この差ΔPsub(i,j)の絶対値が比較的小さな値である所定のしきい値εと比較される。
差ΔPsub(i,j)がしきい値εより小さい場合、筒内圧の差圧Psubの変動が許容範囲内、即ちエンジンの運転状態が定常であるとして処理を続行し、ステップS205に進む。他方、差ΔPsub(i,j)がしきい値ε以上の場合、筒内圧の差圧Psubの変動が許容範囲外、即ちエンジンの運転状態が定常でないとして処理を中止し、ステップS201に進む。このように本実施形態においては、筒内圧の差圧の差に基づいて内燃機関が定常運転状態にあるか否かを判断する手段が設けられている。
以上説明したように、このステップ1によれば、非基準気筒センサのセンサ感度を基準気筒センサのセンサ感度と等しくなるように設定することができ、言い換えれば、基準気筒センサのセンサ感度を基準として非基準気筒センサのセンサ感度のばらつきを無くすことができる。よって、気筒間でのセンサ感度のばらつきひいてはこれに基づく筒内圧計測値のばらつきを解消することが可能となる。
[ステップ2:基準気筒センサのセンサ感度補正係数の算出]
次に、前記ステップ2に関する基準気筒センサのセンサ感度補正係数の算出について説明する。この算出は、空燃比センサ13により検出された排気空燃比を利用する点に主な特徴がある。また、ここでの算出処理は機関運転状態がアイドル運転状態のような定常運転状態のときに実行される。
図3を参照して、圧縮行程における圧縮が断熱圧縮であるとみなすと、圧縮行程中の2点のタイミングにおける筒内圧P1,P2の間には次式が成立する。
(P1+ΔP)V1κ=(P2+ΔP)V2κ ・・・(10)
ここで、筒内圧P1,P2は筒内圧センサ15で検出されるような相対圧であり、ΔPは絶対圧補正値である。なお吸気圧センサ16によって検出される絶対圧としての吸気圧を用いることにより筒内圧センサ15で検出される圧力値を絶対圧補正することが可能である。V1,V2はそれぞれ先後のタイミングにおける筒内容積で、クランク角θに基づいて算出可能である。
(10)式を変形すると次式(11)が得られ、圧縮行程中の筒内圧P1,P2(相対圧)の差圧が筒内圧P2の絶対圧に比例することが分かる。
P2−P1=(P2+ΔP){1−(V2/V1)κ} ・・・(11)
ここで、基準気筒に関し、基準気筒センサのセンサ感度補正係数k(ix)=1.0(初期値)とすると、(11)式左辺の筒内圧P1,P2(相対圧)の差圧は次式(12)で表される(図2参照)。
P2−P1=k(ix)・G・E2−k(ix)・G・E1
=k(ix)・G・(E2−E1) ・・・(12)
一方、筒内空気量の充填率KL(%)が圧縮圧に比例することから、充填率KLがECU20により筒内圧計測値の差圧(P2−P1)を用いて次式(13)により算出される。
KL=a・(P2−P1)+b ・・・(13)
a,bは所定の定数で、実験等により予め求められる。充填率とは、筒内に実際に入っている空気量と筒内に入り得る最大空気量との比であり、例えば筒内に最大空気量が実際に入っていると充填率は100%となる。ここで、吸排気弁のバルブタイミングにオーバーラップがあると残留ガスによる筒内圧上昇分を差し引く必要がある。オーバーラップがないとき、例えばアイドル運転時には、そのような残留ガスによる筒内圧上昇分がないので、かかる減算を省略できる。
ところで、本実施形態においては、実際の排気空燃比が所定の目標空燃比となるような燃料噴射量が予め設定されている。即ち、ECU20は、所定の目標空燃比AFt(例えばストイキ空燃比=14.6)に実際の排気空燃比AFを一致させるような燃料噴射量Qを、(13)式により求められた充填率KLに基づき、所定のマップ又は関数を用いて決定し、且つその燃料噴射量Qをインジェクタ12から噴射させる。
そしてECU20は、このときに空燃比センサ13により排気空燃比AFを計測する。そして基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数k(ix)を次式(14)により算出する。
k(ix)=AF/AFt ・・・(14)
そしてECU20は、基準気筒センサのセンサ感度補正係数k(ix)を、既存の値(例えば初期値1.0)から(14)式により算出された値へと変更する。
ここで一例を挙げて説明すると、例えば目標空燃比AFtがストイキ空燃比=14.6であると仮定して、計測された実際の排気空燃比AFが目標空燃比AFtよりリッチ側(AF<14.6、例えばAF=13)であった場合を考える。排気空燃比を14.6にする燃料噴射量Qが噴射されているにも拘わらず実際の排気空燃比AFが13になっていることから、筒内空気量の実際量は予定量よりも少なかったことを意味する。よって(13)式により、筒内圧の差圧(P2−P1)は予定値より少ない値を示していたことになる。従って(12)式により、k(ix)を初期値1.0より小さい値に変更すればよいことになる。一方、ECU20は、(14)式により求めたセンサ感度補正係数k(ix)=13/14.6=0.89を初期値1.0と置き換える。こうすることによりセンサ感度補正係数k(ix)はより小さな適切な値に変更されることになり、以降、正確な筒内圧計測値を得て正確な制御を実現することが可能になる。そしてこの例でいえば、排気空燃比を14.6にする燃料噴射量Qを噴射したときに実際の排気空燃比AFも14.6にすることができる。
また、逆の場合、即ち計測された実際の排気空燃比AFが目標空燃比AFtよりリーン側(AF>14.6、例えばAF=16)であった場合を考える。排気空燃比を14.6にする燃料噴射量Qが噴射されているにも拘わらず実際の排気空燃比AFが16になっていることから、筒内空気量の実際量は予定量よりも多かったことを意味する。よって(13)式により、筒内圧の差圧(P2−P1)は予定値より多い値を示していたことになる。従って(12)式により、k(ix)を初期値1.0より大きい値に変更すればよいことになる。一方、ECU20は、(14)式により求めたセンサ感度補正係数k(ix)=16/14.6=1.10を初期値1.0と置き換える。こうすることによりセンサ感度補正係数k(ix)はより大きな適切な値に変更されることになり、以降、正確な筒内圧計測値を得て正確な制御を実現することが可能になる。そして、排気空燃比を14.6にする燃料噴射量Qを噴射したときに実際の排気空燃比AFも14.6にすることができる。
以上説明したように、このステップ2にかかる基準気筒センサのセンサ感度補正係数の算出処理によれば、エンジン固体間における基準気筒センサのセンサ感度ばらつきを解消することができ、エンジン固体間でのセンサ感度ばらつきひいてはこれに基づく筒内圧計測値ばらつきの抑制に有利となる。また、同一の制御ロジックや制御データを共用して別々のエンジンを制御した場合に所望の性能を個々のエンジンで得るのに有利となる。
[ステップ3:非基準気筒センサのセンサ感度補正係数の補正]
次に、前記ステップ3に関する非基準気筒センサのセンサ感度補正係数の補正について説明する。ここでは単純に、ECU20が、(14)式により求めた基準気筒センサのセンサ感度補正係数k(ix)に基づき、ステップ1で算出・決定された非基準気筒センサのセンサ感度補正係数k(iy)を次式(15)の通り補正ないし更新する。
k(iy)=k(ix)・k(iy) ・・・(15)
このステップ3により、別々のエンジンの全ての筒内圧センサ、特に非基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度をも等しくすることができ、気筒間及びエンジン固体間でのセンサ感度ばらつきひいてはこれに基づく筒内圧計測値のばらつきを解消できる。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば上述の内燃機関1は火花点火式内燃機関(ガソリンエンジン)であったが、これに限られるものではなく、本発明は圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)にも適用可能である。また、前記実施形態では検出された筒内圧に基づいて各制御量をいわば直接的に制御する例を示したが、本発明の適用はこれのみに限られず、従来より一般的なマップ制御方式を採用する制御装置にも本発明は適用可能である。前記実施形態では多気筒内燃機関の全気筒に筒内圧センサを設けたが、必ずしも全気筒とする必要はなく、二以上の気筒に筒内圧センサが設けられていれば本発明は適用可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明に係る筒内圧センサの校正装置を含む内燃機関の制御装置を概略的に示す構成図である。 筒内圧センサの出力特性を示すグラフである。 ある特定気筒のクランク角に対する筒内圧、吸気圧及び排気圧の変化と、ステップ1の第1の態様における2点のタイミングとを示すグラフである。 ステップ1の第1の態様の処理を示すフローチャートである。 ECUの記憶装置に各サイクル毎に記憶されていく各気筒の筒内圧の差圧Psub(i,j)と、これから求められる平均差圧Psubav(i)とを示す図である。 ある特定気筒のクランク角に対する筒内圧、吸気圧及び排気圧の変化と、ステップ1の第1の態様における2点のタイミングとを示すグラフである。 ステップ1の第3の態様の処理を示すフローチャートである。 ファイアリング時とモータリング時との筒内圧波形を示すグラフである。 図8のモータリング時筒内圧波形のTDC付近の拡大図であって、フュエルカット判断を説明するための図である。
符号の説明
1 内燃機関
3 燃焼室
7 点火プラグ
12 インジェクタ
13 空燃比センサ
15 筒内圧センサ
Vi 吸気弁
Ve 排気弁
P1,P2 2点のタイミングにおける筒内圧
k センサ感度補正係数
Psub 筒内圧の差圧
Psubav 平均差圧
i 気筒番号
ix 基準気筒の気筒番号
iy 基準気筒以外の気筒(非基準気筒)の気筒番号
AF 排気空燃比
AFt 目標空燃比
Q 燃料噴射量
KL 充填率

Claims (3)

  1. 多気筒内燃機関の少なくとも二つの気筒に設けられた筒内圧センサを校正する装置であって、
    前記筒内圧センサにより、所定の2点のタイミングにおける筒内圧を気筒毎に計測する計測手段と、
    該計測手段により計測された前記2点のタイミングの筒内圧の差圧を気筒毎に算出する差圧算出手段と、
    所定の基準気筒の前記差圧と、前記基準気筒以外の気筒の前記差圧とに基づいて、前記基準気筒以外の気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出する非基準気筒センサ感度補正係数算出手段と
    前記基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出する基準気筒センサ感度補正係数算出手段と、
    排気空燃比を検出する空燃比センサと、
    排気空燃比が所定の目標空燃比となるように予め設定された燃料噴射量を噴射する燃料噴射手段と、
    を備え、
    前記計測手段が、圧縮行程中の所定の2点のタイミングにおいて前記筒内圧を計測し、
    前記差圧算出手段が、前記計測手段により計測された圧縮行程中の2点のタイミングにおける差圧を算出し、
    前記燃料噴射手段が、前記圧縮行程中の2点のタイミングにおける差圧を用いて算出された充填率に基づき、排気空燃比が前記目標空燃比となるような燃料噴射量を噴射し、
    前記基準気筒センサ感度補正係数算出手段が、前記燃料噴射手段により燃料噴射されたときに前記空燃比センサによって検出された排気空燃比と、前記目標空燃比とに基づいて、前記基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数を算出する
    ことを特徴とする筒内圧センサの校正装置。
  2. 前記基準気筒センサ感度補正係数算出手段が、前記燃料噴射手段により燃料噴射されたときに前記空燃比センサによって検出された排気空燃比を、前記目標空燃比で除して得られる値を、前記基準気筒の筒内圧センサのセンサ感度補正係数として算出する
    ことを特徴とする請求項1記載の筒内圧センサの校正装置。
  3. 前記基準気筒センサ感度補正係数算出手段によって算出された前記基準気筒のセンサ感度補正係数に基づき、前記基準気筒以外の気筒のセンサ感度補正係数を補正する補正手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の筒内圧センサの校正装置。
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