JP4747493B2 - 難削材の高速切削が可能な軸物切削工具 - Google Patents
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(a)Co:5〜15%、
炭化クロム(以下、Cr3C2で示す)および炭化バナジウム(以下、VCで示す)のいずれか、または両方:0.1〜2%、
炭化タングステン(以下、WCで示す):残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
(b)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.05〜3%、
TaCおよびNbCのいずれか、または両方:0.1〜3%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
以上(a)または(b)からなる超硬合金の丸棒素材から、研削加工にて、切刃部(切刃面および切粉案内溝面)とシャンク部からなる工具基体を形成し、この工具基体を、例えば通常の物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置に装入し、カソード電極として所定組成のAl−Ti合金を用い、装置内を窒素雰囲気とした状態で前記カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、バイアス電圧を印加した前記工具基体の表面に所定層厚の(Al,Ti)N層を表面硬質層として形成することにより製造されることも知られている。
軸物切削工具の切刃部を構成する工具基体を、切刃面が形成された外側外周部と、切粉案内溝面が形成された内側中心部からなる2重構造とし、前記切刃面には、工具基体表面に蒸着形成された表面硬質層が存在し、前記切粉案内溝面には前記表面硬質層の形成がない構造とすると共に、前記切刃面が形成された工具基体の外側外周部を、
(a)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.05〜3%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
(b)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.1〜2%、
TaCおよびNbCのいずれか、または両方:0.1〜3%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
以上(a)または(b)からなる超硬合金で構成し、一方、上記切粉案内溝面が形成された工具基体の内側中心部を、
(a′)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.1〜2%、
炭素(以下、Cで示す):0.2〜5%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなり、かつ素地に遊離黒鉛が分散分布した組織を有する超硬合金、
(b′)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.1〜2%、
TaCおよびNbCのいずれか、または両方:0.1〜3%、
C:0.2〜5%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなり、かつ素地に遊離黒鉛が分散分布した組織を有する超硬合金、
以上(a′)または(b′)からなる超硬合金で構成すると、上記切刃面では、遊離黒鉛が存在しないので、工具基体表面に強固に密着した表面硬質層によってすぐれた耐摩耗性が確保され、一方上記切粉案内溝面では、工具基体の素地に分散分布する遊離黒鉛によって、上記難削材の高速切削で切粉が高温に加熱されて粘性を増大させても、これが溶着することはなく、スムースに移動するようになることから、前記難削材の高速切削が可能となり、すぐれた切削性能を発揮するようになる、という研究結果を得たのである。
上記切刃部を構成する工具基体を、切刃面が形成された外側外周部と、切粉案内溝面が形成された内側中心部からなる2重構造とし、前記切刃面には、工具基体表面に蒸着形成された表面硬質層が存在し、前記切粉案内溝面には前記表面硬質層の形成がない構造を有し、さらに前記切刃面が形成された工具基体の外側外周部を、
(a)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.1〜2%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
(b)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.1〜2%、
TaCおよびNbCのいずれか、または両方:0.1〜3%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
以上(a)または(b)からなる超硬合金で構成し、一方、上記切粉案内溝面が形成された工具基体の内側中心部を、
(a′)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.1〜2%、
C:0.2〜5%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなり、かつ素地に遊離黒鉛が分散分布した組織を有する超硬合金、
(b′)Co:5〜15%、
Cr3C2およびVCのいずれか、または両方:0.1〜2%、
TaCおよびNbCのいずれか、または両方:0.1〜3%、
C:0.2〜5%、
WC:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなり、かつ素地に遊離黒鉛が分散分布した組織を有する超硬合金、
以上(a′)または(b′)からなる超硬合金で構成してなる、難削材の高速切削を可能とする軸物切削工具に特徴を有するものである。
(a)Co
Coには焼結性を向上させ、もって工具基体の強度を向上させる作用があるが、その割合が5%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その割合が15%を越えると、特に切粉案内溝面での切粉の親和性が増大し、溶着し易くなることから、その割合を5%〜15%と定めた。
Cr3C2およびVCには、いずれも焼結時に素地を構成するCoに固溶して、WC粒の形成に際して、これを微細化し、もって工具基体の強度を向上させる作用があるが、その割合が0.1%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その割合が2%を越えると、強度が急激に低下するようになることから、その割合を0.1%〜2%と定めた。
TaCおよびNbCには、微細な炭化物として分散分布して、工具基体の硬さを向上させ、もって耐摩耗性の向上に寄与する作用があるので、必要に応じて含有させるが、その割合が0.1%未満では所望の耐摩耗性向上効果が得られず、一方その割合が3%を越えると、強度が急激に低下するようになることから、その割合を0.1%〜3%と定めた。
Cには、工具基体の内側中心部に形成された切粉案内溝面に遊離炭素として分散分布し、高温加熱された切粉の溶着を防止し、スムースな切粉移動を可能にする作用があるが、その割合が0.2%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その割合が5%を越えると、工具基体の強度に低下傾向が現れるようになることから、その割合を0.2%〜5%と定めた。
(a)原料粉末として、WC粉末、Cr3C2粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、炭素粉末、およびCo粉末を用い、
(b)これら原料粉末を所定の配合組成に配合し、混合して、工具基体の外側外周部形成用混合粉末および内側中心部形成用混合粉末を調製し、
(c)これら両混合粉末から所定寸法の円柱状同心構造の圧粉体をプレス成形し、さらに前記圧粉体を押出し成形して所定寸法の丸棒圧粉体とし、この丸棒圧粉体を焼結して丸棒焼結体とし、
(d)上記丸棒焼結体に研削加工にて切刃面を形成して工具基体とし、
(e)上記工具基体をアークイオンプレーティング装置に装入し、例えばカソード電極として所定組成のAl−Ti合金を用い、装置内を窒素雰囲気とした状態で前記カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、バイアス電圧を印加した前記工具基体の表面に所定層厚の(Al,Ti)N層を表面硬質層として形成し、
(f)ついで、上記表面硬質層形成の工具基体に同じく研削加工にて切粉案内溝面を形成する、
以上(a)〜(f)の工程により製造される。
上述のように、この発明の軸物切削工具は、各種の鋼や鋳鉄などの通常の条件での切削加工は勿論のこと、特にステンレス鋼や軟鋼などの難削材の切削加工を、高速切削条件で行なった場合にも、すぐれた切削性能を長期に亘って発揮するものであるから、切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
Claims (1)
- 切刃面と切粉案内溝面が形成された切刃部、およびシャンク部からなる軸物切削工具において、
上記切刃部を構成する工具基体を、切刃面が形成された外側外周部と、切粉案内溝面が形成された内側中心部からなる2重構造とし、前記切刃面には、工具基体表面に蒸着形成された表面硬質層が存在し、前記切粉案内溝面には前記表面硬質層の形成がない構造を有し、さらに前記切刃面が形成された工具基体の外側外周部を、質量%で、
(a)Co:5〜15%、
炭化クロムおよび炭化バナジウムのいずれか、または両方:0.1〜2%、
炭化タングステン:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
(b)Co:5〜15%、
炭化クロムおよび炭化バナジウムのいずれか、または両方:0.1〜2%、
炭化タンタルおよび炭化ニオブのいずれか、または両方:0.1〜3%、
炭化タングステン:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなる超硬合金、
以上(a)または(b)からなる超硬合金、
前記切粉案内溝面が形成された工具基体の内側中心部を、同じく質量%で、
(a′)Co:5〜15%、
炭化クロムおよび炭化バナジウムのいずれか、または両方:0.1〜2%、
炭素:0.2〜5%、
炭化タングステン:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなり、かつ素地に遊離黒鉛が分散分布した組織を有する超硬合金、
(b′)Co:5〜15%、
炭化クロムおよび炭化バナジウムのいずれか、または両方:0.1〜2%、
炭化タンタルおよび炭化ニオブのいずれか、または両方:0.1〜3%、
炭素:0.2〜5%、
炭化タングステン:残り、
の配合組成を有する圧粉体を焼結してなり、かつ素地に遊離黒鉛が分散分布した組織を有する超硬合金、
以上(a′)または(b′)からなる超硬合金で構成したことを特徴とする難削材の高速切削を可能とする軸物切削工具。
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