JP4747030B2 - アスベスト採取装置及び採取方法 - Google Patents
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Description
詳しくは、空中および気流中を浮遊するアスベストを確実に捕集し、サンプリングから分析までの一連の操作を省力化する採取装置の構造および捕集効率を向上させる方法・構造を提供する。また、この採取装置を用いて建築物内外でアスベストの多点サンプリングを行う方法を提供する。具体的には、空調設備を活用し、空調機の内部(外気取り入れ、給気、還気、排気)や室内吹出口、吸込口などにサンプリング基板を設置し、建築物内やその周囲の空気中を浮遊するアスベストをサンプリングする。
(社)日本空気清浄協会「空気清浄」第43巻第5号、p22-26, 3章, 分散染色法による環境空気中石綿濃度の測定方法
図1は本発明のアスベスト採取装置を示している。
この採取装置は、ガラス製の透明な基板1の片面に、採取すべきアスベストと分散曲線が交差する屈折率を有し、かつ透明で粘着性を有する捕集材2を塗布したものである。詳しくは、基板1の片面に凹部1aを形成し、この凹部1aに捕集材2を充填してある。
捕集材2は、粘着性を有する透明なオイル(例えば、水溶性シリコーンオイル)と、このオイルよりも屈折率の高い透明な液体(例えば、トリアセチン)とを混合してなるもので、両者の配合比を調整によって屈折率が変化する(図14参照)。つまり、捕集材2の屈折率が採取すべきアスベストの屈折率と一致するように両者の配合比の調整してある。図15は捕集材2とアスベストの分散曲線を示している。捕集材2の曲線Lとアスベストの曲線Sが特定の波長λ0で交差するようにしてある。
アスベストの採取後は、基板1に透明なカバー基板3を張り合わせて凹部1aを閉塞する。このカバー基板3は基板1に対してヒンジ等を介して開閉できるようであってもよいし、別体で構成してもよい。カバー基板3で採取面を外気から遮断することで、搬送時の埃の付着や振動によるアスベストの脱落が防止できる。
本実施形態の採取装置を用いると、アスベストの採取から位相差顕微鏡による染色観察までの一連の作業が一つの基板上で行えるとともに、フィルタを透明化したり灰化しておく前処理の手間が省ける。つまり、アスベストを採取した試料の分析業者への送付・分析までに必要な作業が省け、大幅なコストダウンが可能になる。
図3はアスベストの捕集効率を上げるための変形例を示している。
すなわち、捕集材2の塗布面の上流側に断面三角形の整流リブ4を配置して、下流側に気流の乱れ(カルマン渦)を生じさせる。この整流リブ4は、その下流側に渦や乱れた流れを生じさせて低圧部Pをつくる(図4参照)。これにより、整流リブ4の下流側すなわち捕集材2の塗布面近傍が周囲に比べて低圧になり、周囲から捕集材2の塗布面捕集面に向かう気流速度を増大させて捕集効率を向上させる。
すなわち、電池8によって回転するモータ9にプロペラ10を取り付け、このプロペラ10で生じる気流の下流側に基板1を配置してある。この場合、気流がないか、あっても非常に弱い場所でのアスベスト採取が可能になる。電池駆動による補助動力源を用いるため商用電源との接続が不要である。
サンプリングするアスベスト量の計測値は瞬時のアスベスト量の積分値となるため、サンプリング期間中の風量を測定する必要がある。風量の測定については、風速計や風量計を設置することでも良いし、短期間の風速や風量計測と空調機ファン電流を同時に計測し、その相関を元に長期間の電流計測値から風量値を得ることができる。図13はその場合の空調機ファンの電流と風量の相関を示している。また、温度を計測することで、温度の変動から外気導入のON/OFFがわかる。
基板1で採取されたアスベストの本数から単位空気量あたりのアスベストの本数を算出するには、次のようにすればよい。
、単位時間及び単位空気量当りのアスベスト本数An(本/L)は、以下の式で算出される。
An=N×S1/(S2×T×Q×1000)/(η/100)
なお、捕集効率ηは、別途の特性試験により求めておく。
以上のような計測の実施方法及び実施時期として以下のものが挙げられる。
1.稼働中の建物の健全性を確認するための調査(図面情報や建築年数から危険性が指摘された場合に行う実態調査や周囲建築の建て替えによるアスベストの飛散・浸入状況の調査など)
2.アスベスト除去作業中やアスベスト除去作業後のアスベスト浮遊状況調査
3.アスベスト除去作業後に継続的に行う建物の健全性を確認する定期調査
4.建築設備のリニューアル計画に先立ってのアスベスト発生源特定の調査
〔実施例〕
捕集材2の製造には、水溶性シリコーンオイルとトリアセチンを使用した。シリコーンオイルとしては、例えば、信越化学工業(株)信越シリコーンによる
非反応性の変性シリコーンオイルがある。その動粘度(25℃)は20〜1600[mm2/S]の範囲で各種あるが、なるべく値の大きなものを使用するのが好ましい。また、その屈折率(25℃)は1.418〜1.463である。
〔応用例〕
捕集材2の種類を選定することで、花粉や大気汚染物質などの採取に応用することが可能である。
2 捕集材
3 カバー基板
4 整流リブ
5 ハウジング
6 第1のプロペラ
7 第2のプロペラ
8 電池
9 モータ
10 プロペラ
20 外気導入部
21 排気部
22 還気部
23 室内吹出部
24 空調機
Claims (9)
- 採取すべきアスベストと分散曲線が交差する屈折率を有し、かつ透明で粘着性を有する捕集材を透明な基板に塗布したことを特徴とするアスベスト採取装置。
- 上記捕集材は、粘着性を有する透明なオイルと、このオイルよりも屈折率の高い透明な液体とを混合してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のアスベスト採取装置。
- 上記基板に形成した凹部に上記捕集材を充填し、アスベストの採取後、この基板に透明なカバー基板を張り合わせて上記凹部を閉塞することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアスベスト採取装置。
- 上記基板の捕集材塗布面の上流側に整流リブを配置して下流側に渦や乱れた流れを生じさせて、周囲より捕集面近傍の気圧を低くすることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のアスベスト採取装置。
- 気流によって回転する第1のプロペラと、このプロペラと同軸結合されて通過気流の向きを横方向に変換する第2のプロペラとを備え、第2のプロペラの周囲に上記基板を配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のアスベスト採取装置。
- 駆動源によって回転するプロペラの下流側に上記基板を配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のアスベスト採取装置。
- 採取すべきアスベストと分散曲線が交差する屈折率を有し、かつ透明で粘着性を有する捕集材を透明な基板に塗布し、この基板を気流中に配置してアスベストを上記捕集材に付着させ、付着したアスベスト繊維の数を位相差顕微鏡による染色観察法で計測することを特徴とするアスベスト採取方法。
- 空調システムの外気導入部又は排気部、換気部、室内吹出部のうち、少なくても一箇所に上記基板を配置することを特徴とする請求項7に記載のアスベスト採取方法。
- 上記捕集材に付着したアスベスト繊維の数と、上記基板の捕集材塗布面に当る風量とから単位体積当りの空中を浮遊するアスベスト繊維の数を算出することを特徴とする請求項8に記載のアスベスト採取方法。
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