JP4744703B2 - 汚泥消化槽の撹拌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理場の汚泥消化槽で用いられる撹拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水処理場で汚泥の嫌気性処理に使用される消化槽としては、例えば、亀甲形または算盤形の汚泥消化槽や、卵形汚泥消化槽等が用いられている。
このうち、亀甲形または算盤形の汚泥消化槽では、汚泥を撹拌するためにガス撹拌方式が採用されてきた。しかし、このガス撹拌方式では撹拌力が弱く、汚泥消化槽の下部に砂や汚泥が堆積してしまう等の問題があり、更に最近では下水汚泥の機械濃縮による減量化(高濃度化)が進み、ガス撹拌方式では益々力不足になっている。このため、亀甲形または算盤形の汚泥消化槽において、撹拌力の優れた機械撹拌方式を採用することが望まれている。
【0003】
一方、卵形汚泥消化槽には、撹拌力の優れた機械撹拌方式が採用されている。具体的には、汚泥消化槽の内部にドラフトチューブを垂直状態に設けて、ドラフトチューブの上端開口から撹拌機のスクリューを挿入し、スクリューの回転によってドラフトチューブ内に下向きあるいは上向きの流れを発生させ、これにより汚泥消化槽内に強制対流による循環流を発生させて汚泥を全体的に撹拌するようになっている。
【0004】
撹拌機は、汚泥消化槽のドラフトチューブ直上のコンクリートスラブに埋め込まれた軸受箱と、この軸受箱の上側に配置されたモータとを具備し、このモータの出力軸とスクリューのシャフトとを軸受箱を介して接続している。
卵形汚泥消化槽は、このような機械撹拌方式を採用することを前提としているので、汚泥消化槽の頂部のコンクリートスラブが撹拌機を設置できるような強度に予め設計されている。
【0005】
これに対し、既設の亀甲形または算盤形の汚泥消化槽では、ガス撹拌方式が採用されてきたため、汚泥消化槽の頂部のコンクリートスラブが撹拌機を設置できるような強度に予め設計されていない。
従って、撹拌力の優れた機械撹拌方式を採用することが望まれているにも拘わらず、既設の亀甲形または算盤形の汚泥消化槽では、機械撹拌方式に変更することができなかった。
【0006】
そこで、汚泥消化槽の内壁下部から支持脚を介して支持されたドラフトチューブの上端部を汚泥消化槽の頂部に設けられた点検口の蓋体に至るまで延設するとともに、撹拌機をドラフトチューブ内に挿抜可能に設置した汚泥消化槽の撹拌装置が提案されている(特願2000−133056参照)。
この汚泥消化槽の撹拌装置では、ドラフトチューブ及び撹拌機の荷重が支持脚を介して汚泥消化槽の内壁下部によって支持されるので、亀甲形あるいは算盤形の既設の汚泥消化槽でも、その頂部のコンクリートスラブに負担をかけることなく撹拌機を設置することができる。従って、既設の亀甲形または算盤形の汚泥消化槽において、機械撹拌方式の採用が可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この汚泥消化槽の撹拌装置では、撹拌機はドラフトチューブ内に挿抜可能に設置され、運転時には汚泥の液面下に位置し、メンテナンス時には吊り上げるようになっている。このため、攪拌機をドラフトチューブの軸心に合わせて固定するのが困難であり、運転時に異常振動が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、汚泥消化槽の撹拌装置における上記課題を解決するものであって、攪拌機を容易にドラフトチューブの軸心に合わせて固定でき、運転時の異常振動の発生を防止することのできる汚泥消化槽の撹拌装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、汚泥消化槽の内壁下部から支持脚を介して支持されたドラフトチューブの上端部を汚泥消化槽の頂部に至るまで延設するとともに、撹拌機をドラフトチューブ内に挿抜可能に設置する汚泥消化槽の撹拌装置において、前記ドラフトチューブには、その内側に下方に向けて縮径された凹テーパリングを設け、前記攪拌機には、その外側に前記凹テーパリングに嵌合する凸テーパリングを設け、これら凹テーパリングおよび凸テーパリングを、前記攪拌機を前記ドラフトチューブ内に挿入して設置するときに、前記攪拌機の軸心が、その外側の前記凸テーパリングが前記ドラフトチューブの内側の前記凹テーパリングに嵌合されることにより、前記ドラフトチューブの軸心に合わせて位置決めされるように構成されており、さらに、前記攪拌機上に同軸に立設されるガイドサポートを有し、該ガイドサポートには、その上部を前記ドラフトチューブの上部に固定する固定具が周方向に所定間隔で配置されており、各固定具は、半径方向に張出して先端部が前記ドラフトチューブの内面に当接するクランプと、該クランプの張出し量を調整するウェッジと、該ウェッジを上下に移動させるジャッキボルトとを備えたことにより上記課題を解決している。
【0010】
この汚泥消化槽の撹拌装置では、攪拌機をドラフトチューブ内に挿入し設置するとき、攪拌機の外側の凸テーパリングをドラフトチューブの内側の凹テーパリングに嵌合させることにより、容易にドラフトチューブの軸心に合わせて位置決めして固定でき、運転時の異常振動の発生が防止される。メンテナンス時には攪拌機を吊り上げて簡単に抜き出せる。
【0011】
さらに、本発明に係る汚泥消化槽の撹拌装置によれば、攪拌機上にガイドサポートを立設し、ガイドサポートの上部をドラフトチューブの上部に固定する固定具を周方向に所定間隔で設けるとともに各固定具が、半径方向に張出して先端部が前記ドラフトチューブの内面に当接するクランプと、該クランプの張出し量を調整するウェッジと、該ウェッジを上下に移動させるジャッキボルトとを備える構成としたので、攪拌機をより確実に固定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態を示す汚泥消化槽の撹拌装置の縦断面図、図2は、図1の撹拌装置の撹拌機付近の詳細を示す拡大図、図3は、ガイドサポート上部の横断面図である。
汚泥消化槽1は、図1に示すように断面形状が亀甲形をなし、その内部にはドラフトチューブ10が設けられ、汚泥消化槽1の内壁下部2から支持脚20を介して垂直状態に支持されている。この汚泥消化槽1の頂部スラブ3には、汚泥消化槽1の内部と外部とを連通する点検口4が設けられている。
【0013】
ドラフトチューブ10は、上下端に開口を備えた比較的細い内外径の小径管部11と、小径管部11よりも内外径の大きい、上下端に開口を備えた大径管部12と、小径管部11と大径管部12とを接続する中間管部13とからなっており、下方に配置された小径管部11が支持脚20により汚泥消化槽1の内壁下部2に固定されている。
【0014】
また、上方に配置された大径管部12の上端部は、点検口4の上面にある蓋体5の貫通孔を貫通して上方に突出している。
大径管部12の上端部は、ここでは、蓋体5の貫通孔を貫通して上方に突出しているが、少なくとも蓋体5の貫通孔に至るまで延設されていればよい。なお、大径管部12の上端部が、蓋体5の貫通孔を貫通して上方に突出させることで、大径管部12の上端開口の蓋部材14を容易に取付けることができる。この蓋体5の貫通孔と大径管部12との間には、汚泥消化槽1内と外気が遮断されるよう気密性が保たれている。大径管部12の上端開口は、取り外し可能な蓋部材14によって閉鎖可能となっている。
【0015】
中間管部13は、大径管部12と小径管部11との間に配置され、図2に示すように、大径管部12の内径から小径管部11の内径に至るまでその内径を漸次減少させる傾斜面を有している。中間管部13の側面には、汚泥流入出用開口15が形成されている。この中間管部13の上部の内側には、下方に向けて縮径された凹テーパリング16が取付けられている。
【0016】
ドラフトチューブ10の内部には、汚泥消化槽1内の汚泥を撹拌するための撹拌機30が挿抜可能に設置される。撹拌機30は、図2に示すように、モータ31と、そのモータ31の回転軸に取り付けられて回転自在のスクリュー32とを備えている。また、モータ31の上部ケーシング33の外側には、凹テーパリング16に嵌合する凸テーパリング34が取付けられている。
【0017】
さらに、攪拌機30の上部ケーシング33の上に管状のガイドサポート35が立設されており、ガイドサポート35の上部には、ドラフトチューブ10の大径管部12に固定するための固定具40が設けられている。この固定具40は、周方向に所定間隔で配置され、半径方向に張出して先端部が大径管部12の内面に当接するクランプ41と、クランプ41の張出し量を調整するウェッジ42と、ウェッジ42を上下に移動させるジャッキボルト43とを備えている。
【0018】
撹拌機30を汚泥消化槽1に設置する場合には、先ず、ドラフトチューブ10の上端開口にある蓋部材14を取り外し、クレーン等の揚重装置を用いて撹拌機30をドラフトチューブ10の上端開口からその内部に挿入する。撹拌機30はドラフトチューブ10内を下降して、凸テーパリング34が凹テーパリング16に嵌合するので、撹拌機30はドラフトチューブ10の軸心Xに合わせて位置決めされる。
【0019】
次に、ガイドサポート35の上部の固定具40のクランプ41を張出して先端部を大径管部12の内面に当接させ、ジャッキボルト43でウェッジ42を上下に移動させてクランプ41の張出し量を調整することにより、ガイドサポート35をドラフトチューブ10の軸心Xに一致させて固定する。
この撹拌機30の設置状態では、スクリュー32は、ドラフトチューブ10の小径管部11内であって汚泥流入出用開口15の下方に位置する。撹拌機30をドラフトチューブ10内に設置した後は、汚泥を汚泥消化槽1内に満たして、撹拌機30の運転を開始する。
【0020】
汚泥消化槽1内の汚泥は、ドラフトチューブ10の小径管部11の下端開口及び中間管部13の汚泥流入出用開口15からドラフトチューブ10内に流入し、撹拌機30の周囲は汚泥で満たされている。撹拌機30の運転に伴いスクリュー32が回転すると、ドラフトチューブ10の小径管部11の内部に下向きあるいは上向きの流れが発生し、これにより汚泥消化槽1内に強制対流による循環流が発生して汚泥が全体的に撹拌される。
【0021】
この汚泥の撹拌時には、ドラフトチューブ10の中間管部13に形成された汚泥流入出用開口15は、ドラフトチューブ10内に下向きの流れが発生する際に、汚泥40の流入口として機能し、ドラフトチューブ10内に上向きの流れが発生する際に、汚泥の流出口として機能する。このため、汚泥消化槽1内に汚泥の循環流を確実に発生させることができる。
【0022】
なお、この流入出用開口15の高さ位置は、図1に示すように、汚泥の液面WLの下方であって、汚泥の下向き流れ時に空気(ガス)の巻き込みの発生しない位置である。このため、汚泥の下向き流れ時に、流入出用開口15において空気を巻き込むことはない。
撹拌機30をメンテナンスのために引き上げるときには、汚泥消化槽1内の汚泥を空にする必要はなく、汚泥を汚泥消化槽1内に入れた状態で、ドラフトチューブ10の上端開口にある蓋部材14を取り外し、ジャッキボルト43でウェッジ42を弛め、クランプ41を大径管部12の内面から離脱させてから、クレーン等の揚重装置により攪拌機30を吊り上げれば、簡単に抜き出せる。
【0023】
ドラフトチューブ10の大径管部12の上端部は点検口4の蓋体5に至るまで延設しているため、この撹拌機30の引き上げの際に、ドラフチューブ10自体が汚泥消化槽1内に残留する消化ガスを遮断することができる。このため、消化ガスの槽外への流出を確実に防止することができる。
この撹拌装置では、撹拌機30がドラフトチューブ10内に設置されると、ドラフトチューブ10及び撹拌機30の荷重は支持脚20を介して汚泥消化槽1の内壁下部2によって支えられる。このため、汚泥消化槽1の頂部スラブ3に負担をかけることが無くなり、亀甲形あるいは算盤形の形状をした既設の汚泥消化槽1でも機械撹拌方式の撹拌機30を設置することができる。
【0024】
また、攪拌機30は、ドラフトチューブ10内に挿入し設置するとき、凸テーパリング34を凹テーパリング16に嵌合させ、さらにガイドサポート35をドラフトチューブ10の軸心Xに一致させて固定することにより、容易にドラフトチューブ10の軸心Xに合わせて位置決めして固定できるので、軸心狂いによる運転時の異常振動の発生が防止され、安定した運転が可能となる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の汚泥消化槽の撹拌装置によれば、攪拌機を容易にドラフトチューブの軸心に合わせて固定でき、運転時の異常振動の発生を防止することができる。
また、攪拌機上にガイドサポートを立設し、ガイドサポートの上部をドラフトチューブの上部に固定する固定具を設けることにより、攪拌機をより確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す汚泥消化槽の撹拌装置の縦断面図である。
【図2】図1の撹拌装置の撹拌機付近の詳細を示す拡大図である。
【図3】ガイドサポート上部の横断面図である。
【符号の説明】
1 汚泥消化槽
2 内壁下部
3 頂部スラブ
4 点検口
5 蓋体
10 ドラフトチューブ
11 小径管部
12 大径管部
13 中間管部
14 蓋部材
15 汚泥流入出用開口
16 凹テーパリング
20 支持脚
30 撹拌機
31 モータ
32 スクリュー
33 上部ケーシング
34 凸テーパリング
35 ガイドサポート
40 固定具
41 クランプ
42 ウェッジ
43 ジャッキボルト
WL 汚泥の液面
X 軸心

Claims (1)

  1. 汚泥消化槽の内壁下部から支持脚を介して支持されたドラフトチューブの上端部を汚泥消化槽の頂部に至るまで延設するとともに、撹拌機をドラフトチューブ内に挿抜可能に設置する汚泥消化槽の撹拌装置であって、
    前記ドラフトチューブは、その内側に下方に向けて縮径された凹テーパリングを有し、前記攪拌機は、その外側に前記凹テーパリングに嵌合する凸テーパリングを有し、これら凹テーパリングおよび凸テーパリングは、前記攪拌機を前記ドラフトチューブ内に挿入して設置するときに、前記攪拌機の軸心が、その外側の前記凸テーパリングが前記ドラフトチューブの内側の前記凹テーパリングに嵌合されることにより、前記ドラフトチューブの軸心に合わせて位置決めされるように構成されており、
    さらに、前記攪拌機上に同軸に立設されるガイドサポートを有し、該ガイドサポートには、その上部を前記ドラフトチューブの上部に固定する固定具が周方向に所定間隔で配置されており、
    各固定具は、半径方向に張出して先端部が前記ドラフトチューブの内面に当接するクランプと、該クランプの張出し量を調整するウェッジと、該ウェッジを上下に移動させるジャッキボルトとを備えていることを特徴とする汚泥消化槽の撹拌装置。
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