JP4744303B2 - 電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置 - Google Patents

電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子制御4輪駆動車両等のトルク伝達機構等で使用される電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置に関する。
例えば、電子制御4輪駆動車両等のトルク伝達機構等では、左右一対のプラネタリギヤセットと、各プラネタリギヤセットに連結されたサンギヤのトルクを可変制御するための一対のブレーキ機構を含んでいる。各ブレーキ機構は、湿式多板ブレーキと、この多板ブレーキを作動する電磁アクチュエータを含んでいる。
電磁アクチュエータは、筒状内部空間に設けられ、磁性体材料から成るコア(ヨーク)と、所定のエアギャップを以ってコアと筒状内部空間の軸方向に対向するように配置された磁性体材料から成るアーマチュアと、コアとアーマチュアとの間の環状空間に挿入された励磁コイルと、アーマチュアに連結されたピストン等から構成される。
励磁コイルに電流を印加すると、コアとアーマチュアとエアギャップとから構成される磁気回路に磁路が形成され、コアとアーマチュア間のエアギャップに電磁力が発生する。この電磁力によりアーマチュアがコアに引き付けられて推力が発生する。この推力により、アーマチュアと一体に連結されたピストンが多板ブレーキを押し付け、多板ブレーキに発生する摩擦力によりブレーキトルクが発生する。このブレーキトルクにより多板ブレーキに連結された車軸のトルクが制御される。
マイクロコンピュータを搭載したECUにより、車両の旋回方向及び操舵力又は操舵角等の走行状態に相当するブレーキトルクを発生するために、左右の電磁ソレノイドに流す目標電流値を算出し、左右の電磁ソレノイドに流す励磁電流がそれぞれの目標電流値に一致するよう制御して、左右の後ろ車軸への出力トルクを可変に制御している。
励磁コイルに流す励磁電流値を目標電流値に高速に収束させるために、車両の走行状態に相当するブレーキトルクに対応する目標電流値がECUにより算出される。ECUは目標電流値と励磁コイルに流れる実電流との差分に応じて、PWM制御を行い、PWM駆動信号をスイッチング素子の制御端子に供給する。
スイッチング素子は、バッテリ電源とグラウンド間に励磁コイルと直列に設けられており、制御端子に印加されるPWM駆動信号のハイ/ローに応じてオン/オフし、励磁コイルの電流が制御される。
電流還流用ダイオード(フライホイールダイオード)が励磁コイルと並列に設けられており、スイッチング素子がオフすると、励磁コイルに発生する逆起電力により電流還流用ダイオードがオンし、励磁コイルに還流電流を流して平滑化する。
励磁コイルに流れる実電流を検出して、PID演算手段により実電流と目標電流とを比較して、実電流が目標電流値に一致するようPWM制御をする。
このように、励磁コイルの電流値が目標電流値に高速に収束するようスイッチング素子に印加するPWM駆動信号のパルス幅を制御している。
一方、多板ブレーキの摩擦力による磨耗によりコアとアーマチュアとの間のエアギャップが狭くなって変動し、エアギャップが狭くなると推力が増大する。上述のように励磁コイルに電流が流れることにより磁気回路に磁束が発生する。エアギャップにかかる推力は磁束により決まるものなので、磁束検出に基づき推力を正確に制御する必要がある。
磁束検出に基づき推力を正確に制御するための先行技術文献としての特許文献1がある。特許文献1は、磁束が通る磁路内にサーチコイルを配設し、パルス波形の実電流を励磁コイルに流し、磁気回路の磁路に発生する磁束の変化によるサーチコイルに発生する起電力を測定し、磁束計算を行い、計算結果の磁束、エアギャップ断面積及コア等の透磁率に基づいて、推力を算出することを開示している。
特開2002−303660号公報
しかしながら、特許文献1では、上述のようにサーチコイルを用いて磁束を検出するものであるため、サーチコイルに係る部品コストが増加する問題がある。また、サーチコイルに発生する起電力は、励磁コイルに対する巻き数が少ないことから、大きな磁気エネルギーを出力することはできない。
これにより、サーチコイルに発生する起電力は、車両内で使用される無線機や携帯電話機からの電波によるスパイクノイズの影響を受けてばらつく。サーチコイル出力起電力を積分すると、起電力中のスパイクノイズ値なども積分されるので、積分値から計算された磁束の値が大きく変化し、推力の推定値に大きな誤差を生じるという問題点があった。
また、励磁コイル内での磁束の形成には、磁束回路を構成するヨークとアーマチュアの形状のバラツキによるバラツキがある。更に、エアギャップ長が変化すると、磁気回路のエアギャップに係る磁気抵抗が変化して磁気回路の磁束形成も大きく変化し、サーチコイルを磁束検出のための最適なレイアウトとすることができないという問題点があった。
このように、磁気回路の磁束を算出することにより、推力を推定する方法では、推定誤差が大きくなるという問題点があった。
一方、上述したような電磁アクチュエータにおいて、励磁コイルに流す励磁電流が同一であればエアギャップが小さくなるほど推力は大きくなるという関係にある。よって、コアとアーマチュアとの間のエアギャップが推定できれば、このエアギャップの大きさに応じて励磁電流を制御することにより、所望の推力を得ることができる。
よって、本発明の目的は、簡単な構成でコアとアーマチュアとの間のエアギャップを推定可能な電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置を提供することである。
請求項1記載の発明によると、励磁コイルを有するコアと、エアギャップを介して該コアと対向するように配置されたアーマチュアとを有する電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置であって、車両の停止状態を検出する車両停止状態検出手段と、前記車両停止状態検出手段により車両の停止状態を検出した際に、前記励磁コイルに定電圧を印加する定電圧印加手段と、定電圧の印加により前記励磁コイルに発生する電流の立ち上がりからの時系列データを記憶する記憶手段と、前記時系列データから飽和電流値を計測し、該飽和電流値に対し前記励磁コイルに流れる電流が安定する第1の所定割合に設定された第1閾値と該第1閾値より大きな第2の所定割合の第2閾値を設定する閾値設定手段と、前記時系列データから電流値が前記第1閾値から第2閾値に変化する時間に基づいて時定数を算出する時定数算出手段と、前記飽和電流値から前記励磁コイルの抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、前記抵抗値算出手段で算出した抵抗値と前記時定数算出手段で算出した時定数から前記励磁コイルのインダクタンスを算出するインダクタンス算出手段と、前記インダクタンス算出手段で算出したインダクタンスに基づいて、エアギャップを推定するエアギャップ推定手段とを具備したことを特徴とする電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置が提供される。
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の発明において、前記定電圧印加手段で前記励磁コイルに再度前記定電圧を印加した際に、電流値が前記第1閾値から第2閾値に変化する時間に基づいて時定数を算出したことを特徴とする電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置が提供される。
請求項1記載の発明によると、励磁コイルに発生する磁束に基づいてエアギャップを推定しなくて良いので、電磁アクチュエータからサーチコイルを無くすことができ、電磁アクチュエータのコストを低減可能である。
さらに、電圧を立ち上げる際、立ち上がり時に電圧が不安定になることに起因した時定数計測精度の悪化を防止できるとともに、励磁コイルの抵抗値を精度よく求めることができ、インダクタンスの算出精度が向上する。
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の発明と同様な効果を達成でき、請求項1記載の発明に比較して時定数を求めるために必要な記憶手段の記憶容量を節約でき、記憶手段のコストを下げることができる。
図1は、本発明のエアギャップ推定装置を適用可能なフロントエンジン・フロントドライブ(FF)車ベースの4輪駆動車両の動力伝達装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、動力伝達系は、車両前方に配置されたエンジン2の動力がトランスミッション4の出力軸4aから伝達されるフロントデファレンシャル装置6と、このフロントデファレンシャル装置6からの動力がプロペラシャフト8を介して伝達される増速装置(変速装置)10と、増速装置10からの動力が伝達されるリヤデファレンシャル装置12と、車両の走行制御などを行うECU13とを主に含んでいる。
フロントデファレンシャル装置6は従来周知の構造となっており、トランスミッション4の出力軸4aからの動力をデフケース6a内の複数のギヤ14と出力軸16,18を介して左右の前輪駆動軸20,22に伝達することにより、各前輪が駆動される。
リヤデファレンシャル装置12は、後で説明するように、一対のプラネリギヤセットと、それぞれ多板ブレーキ機構(多板クラッチ機構)の締結を制御する一対の電磁アクチュエータを含んでおり、電磁アクチュエータを制御して左右の後輪駆動軸24,26に動力を伝達することにより、各後輪が駆動される。
図2は増速装置(変速装置)10と、増速装置10の下流側に配置されたリヤデフンシャル装置12の断面図である。増速装置10はケーシング28中に回転可能に取り付けられた入力シャフト30と、出力シャフト(ハイポイドピニオンシャフト)32を含んでいる。
増速装置10は更に、オイルポンプサブアセンブリ34と、プラネタリキャリアサブアセンブリ38と、直結クラッチサブアセンブリ40と、変速ブレーキ42を含んでいる。
増速装置10の下流側に設けられたリヤデファレンシャル装置12は、ハイポイドピニオンシャフト32の先端に形成されたハイポイドピニオンギヤ44を有している。
ハイポイドピニオンギヤ44はハイポイドリングギヤ48と噛み合っており、ハイポイドリングギヤ48からの動力は左右に一対設けられたプラネタリギヤセット50A,50Bのリングギヤに入力される。
プラネタリギヤセット50A,50Bのサンギヤは左側後ろ車軸24、右側後ろ車軸26周りに回転可能に取り付けられている。プラネタリギヤセット50A,50Bのプラネタリキャリアは、左側後ろ車軸24、右側後ろ車軸26に固定されている。プラネタリキャリアに担持されたプラネットギヤがサンギヤ及びリングギヤに噛み合っている。
左右のプラネタリギヤセット50A,50Bは、サンギヤのトルクを可変制御するために設けられたブレーキ機構51に連結される。ブレーキ機構51は、湿式多板ブレーキ52と、この多板ブレーキ52を作動する電磁アクチュエータ56を含んでいる。
湿式多板ブレーキ52のブレーキプレートはケーシング54に固定され、ブレーキディスクはプラネタリギヤセット50A,50Bのサンギヤに固定されている。
電磁アクチュエータ56は、環状溝を有する磁性材料から成るリング状コア(ヨーク)58と、リング状コア58の環状溝中に挿入された環状の励磁コイル60と、リング状コア58に所定のギャップを持って対向する磁性材料から成るリング状アーマチュア62と、アーマチュア62に連結された環状ピストン64とから構成される。
励磁コイル60に励磁電流を流すと、アーマチュア62が励磁コイル60に流れる励磁電流により磁気回路に発生した磁束によりコア58に引き付けられて推力が発生する。この推力により、アーマチュア62と一体に連結されたピストン64が多板ブレーキ52を押し付けることで、ブレーキトルクが発生する。
これにより、プラネタリギヤセット50A,50Bのサンギヤはそれぞれケーシング54に対して固定され、ハイポイドピニオンシャフト32の駆動力はプラネタリギヤセット50A,50Bのリングギヤ、プラネットギヤ、プラネットキャリアを介して左右の後ろ車軸24,26に伝達される。
このように、励磁コイル60に流す励磁電流を制御することにより、入力シャフト30の駆動力を直結状態で或いは増速装置10で増速して、左右の後ろ車軸24,26に任意に分配することができ、最適な旋回制御を実現することができる。
上述したように、同一の推力を得るためには、エアギャップが大きくなればなる程大きな励磁電流が必要である。よって、適当な方法でエアギャップを推定できれば、必要とする推力を発生する励磁電流の大きさがわかることになる。
以下、図3乃至図11を参照して、本発明実施形態の電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置について説明する。本発明では、励磁コイルに定電圧を印加し、電流立ち上がり時間と励磁コイル抵抗値に基づいて、励磁コイルのインダクタンスを算出し、コアとアーマチュアとの間のエアギャップを推測する。
図3のRL直列回路において、電圧をE、コイルの抵抗をR、コイルのインダクタンスをLとすると、電流iは、
i=E/R(1−e−(R/L)t
=I(1−e−t/τ) ・・・(1)
ここで、I=E/R,L/R=τ(時定数)である。
図4はコイルに定電圧を印加した時の電流立ち上がり時のタイムチャートである。
図4において、原点における接線の傾きは、
|di/dt|t=0=E/Rτ,|di´/dt|t=0=1/τ
上記原理によって、インダクタンスLは下記のように計算する。
t=0でスイッチをオンすると、i=E/R(1−exp(−R/L×t))であるから、
L=R×時定数=R×(電流値がE/R×0.632に立ち上がるまでの所要時間)
このように、インダクタンスLは励磁コイルの抵抗R×時定数(τ)で求めることができるが、図5に示すように励磁コイルにステップ状の定電圧を加えると、符号70で示すように電圧がオーバーシュートして立ち上がり時の電圧が不安定になることがある。
このように立ち上がり時の電圧が不安定になると、符合72で示すように電流も不安定となり、時定数の計測誤差が生じることになる。さらに、励磁コイルの時定数と抵抗値からインダクタンスを求めるが、抵抗値は励磁コイルの温度に概略比例して増加するため、励磁コイルのインダクタンスを求めるためには、時定数と同時に抵抗値を求める必要がある。
以下、本発明実施形態の電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置を、図面を参照して詳細に説明する。まず検出条件をチェックする。この検出条件の詳細は図6のフローチャートに示されている。
図6のステップS10において、インダクタンスの検出が完了したか否かを判定し、完了していない場合にはステップS11へ進んで車速が0であるか否かを判定する。
ステップS11で車速が0、即ち車両が停止状態にあると判定された場合には、ステップS12へ進んで時定数の計測時に印加する定電圧の電圧値が指定範囲内にあるか否かを判定する。
電圧値が指定範囲内にあると判定された場合には、ステップS13へ進んでブレーキがオン状態か否かを判定する。ここでブレーキをチェックしているのは、車両が完全な停止状態で励磁コイルのインダクタンスを検出したいからである。
ステップS13でブレーキオン状態と判定された場合には、ステップS14へ進んでエンジン回転数が一定値以上か否かを判定する。エンジン回転数が一定値以上の場合に、インダクタンスの検出が可能となる(ステップS15)。
ステップS10が肯定判定の場合及びステップS11〜ステップS14が否定判定の場合には、本処理を終了する。
このように検出条件のチェックが終了したならば、インダクタンスの検出を開始する。このインダクタンスの検出ステップは、図7のフローチャートに示されている。まず、ステップS20で通常の駆動力制御時に励磁コイル60への印加電圧を0にし、電流が0まで低下させる。
次いで、ステップS21へ進んで励磁コイル60に定電圧を印加し、電流時系列データをメモリに保存する(ステップS22)。次いで、ステップS23へ進んで飽和電流値74を計測し、R=V/Iの関係から、飽和電流値より励磁コイル60の抵抗値を計算する。
次いでステップS24へ進んで、図8に示すように時定数の1/2のときの電流値を第1電流閾値に設定し、時定数のときの電流値を第2電流閾値に設定する。ここで、上述した(1)式から、飽和電流時には1−e−t/τ=1であるから、t=τ/2,t=τをそれぞれ1−e−t/τに代入すると、0.392,0.632が得られる。よって、第1電流閾値は飽和電流値の39.2%であり、第2電流閾値は飽和電流値の63.2%となる。
次いで、ステップS25へ進んで、メモリに保存した電流時系列データから、電流が第1閾値を越えたときから第2閾値を越えるまでの時間を計測し、この計測された時間を2倍して時定数を求める。
ステップS26では、時定数=抵抗×インダクタンスの関係から、ステップS23で求めた抵抗値とステップS25で求めた時定数より、励磁コイル60のインダクタンスを計算する。
上述した実施形態では、ステップS24で時定数の1/2のときの電流値を第1電流閾値に設定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば時定数の1/3、又は1/4のときの電流値を第1電流閾値に設定するようにしてもよい。第2電流閾値は、時定数のときの電流値を設定するようにするのが好ましい。
時定数の1/3のときの電流値を第1電流閾値に設定した場合には、ステップS25で電流が第1閾値を超えたときから第2閾値を越えるまでの時間を計測し、この計測された時間を3/2=1.5倍して時定数を求める。
本実施形態によると、電圧を立ち上げる際、立ち上がり時に電圧が不安定になることに起因する時定数計測精度の悪化を防止できる。さらに、抵抗値を精度よく求めることができ、インダクタンス算出精度が向上する。
次に、図9及び図10を参照して、本発明第2実施形態のインダクタンス算出方法について説明する。まず、図10のフローチャートのステップS30で、通常の駆動力制御時に励磁コイル60に流している電流を停止する。
次いで、ステップS31へ進んで励磁コイル60にステップ状(パルス状)の定電圧を印加する。次いで、ステップS32で飽和電流値を計測する。ステップS33では、R=V/Iの関係から、飽和電流値より励磁コイル60の抵抗値を計算する。
次いでステップS34へ進んで、時定数の1/2のときの電流値、すなわち飽和電流値の39.2%を第1電流閾値に設定し、時定数のときの電流値、すなわち飽和電流値の63.2%のときの電流値を第2電流閾値に設定する。
上述した第1実施形態と同様に、第1電流閾値は時定数の1/2のときの電流値に限定されるものではなく、例えば時定数の1/3,1/4,1/5等の電流値を採用することができる。
ステップS31でコイルに定電圧を印加すると、コイルが自己発熱するが、図9に示すように、その発熱を放熱できる時間Tを設定し、ステップS35で励磁コイル60に再度定電圧を印加する。
ステップS36では、電流が第1閾値を越えたときから第2閾値を越えるまでの時間を計測し、この計測した時間を2倍して時定数を算出する。ステップS37では、時定数=抵抗×インダクタンスの関係から、ステップS33で計算した抵抗値とステップS36で計算した時定数から、励磁コイル60のインダクタンスを計算する。
本実施形態は、上述した第1実施形態と同様な効果を達成できるのに加えて、第1実施形態に比較して時定数を求めるために必要なメモリ容量を節約でき、メモリのコストを下げることができる。
図7に示したステップS26でのインダクタンスの算出、又は図10に示したステップS37でのインダクタンスの算出が終了すると、図11に示すインダクタンス−エアギャップテーブルから電磁アクチュエータのエアギャップを推定することができる。
次に、図12〜図15を参照して、本発明のエアギャップ推定方法で推定したエアギャップから励磁コイル60に流す励磁電流を制御する方法について説明する。
図12は、図2中の電磁アクチュエータ56の励磁コイル60に流れる励磁電流を制御するための励磁コイル60及び周辺回路図である。電磁ソレノイド70は、図12に示すように、スイッチ手段(第1のスイッチ手段)80と、フライホイールダイオード(第2のスイッチ手段)82と、励磁コイル60を有する。
第1のスイッチ手段80は、バッテリ電源90から励磁コイル60への電流の供給のオン/オフをするためのスイッチであり、制御電極に印加されるPWM駆動信号のハイレベル/ローレベルに応じて、オン/オフする、例えば、Nチャネル型FET(以下、FETと略す)で構成する。
FET80と励磁コイル60は、バッテリ電源90とグラウンド間に直列に接続されている。例えば、FET80は、ドレインが所定の正電圧、例えば12Vのバッテリ電源90に接続され、ソースが励磁コイル60の一端(以下、第1端)に接続されている。ゲートには、PWM駆動信号が印加される。
フライホイールダイオード82は、励磁コイル60と並列に接続されている。例えば、ダイオード82は、アノードがグラウンドに接続され、カソードが励磁コイル60の第1端に接続されている。
フライホイールダイオード82は、FET80がオフすると励磁コイル60の両端に発生する逆起電力により順バイアスされてオンして、図12に示すように、励磁コイル60に還流電流aを流す。フライホイールダイオード82は、FET80がオンすると、逆バイアスされてオフする。
一定のクロック周期に対するPWM駆動信号のハイレベルの時間の割合をディーティ比と呼ぶ。PWM駆動信号がハイレベルのとき、FET80がオンして、励磁コイル60に励磁電流が流れ、デューティ比%に相当する励磁電流が増加する。また、PWM駆動信号がローレベルのとき、FET80がオフし、励磁コイル60の両端に逆起電力が発生して、還流電流aが流れる。一方、デューティ比が0になると、還流電流aが0になるまで減少する。
励磁コイル60は、第1端がFET80のソースに接続され、他端(以下、第2端)が後述する電流検出手段122に設けられた抵抗260を介してグラウンドに接続されている。バッテリ電源90よりFET80、励磁コイル60及び抵抗260を介してグラウンドへ電流が流れる。このように、電磁アクチュエータ56からはサーチコイルが無くなっている。
ECU13は、旋回方向、舵角、スロットル開度及び車速等の車両の走行状態に応じたトルク配分のための制御等を行う。ECU13は電磁アクチュエータ56が発生するブレーキトルクが走行状態に応じて最適なものとなるように電磁アクチュエータ56を制御する電磁アクチュエータ制御手段100として機能するプログラムを実行する。
図13は本発明の実施形態による電磁アクチュエータ制御手段100の機能ブロック図である。図13に示すように、電磁アクチュエータ制御手段100は、本発明によるエアギャップ長推定手段110と、目標伝達トルク算出手段112と、目標制御電流値算出手段114と、PID演算手段116と、選択手段118と、PWM駆動信号生成手段120と、電流検出手段122を有する。
図13中の目標伝達トルク算出手段112は、旋回方向、図示しない操舵角センサより出力される操舵角、図示しないスロットル開度センサより出力されるスロットル開度及び図示しない車速センサ等より出力される車両の走行状態に応じて、左右の後輪車軸24,26に分配する目標伝達トルクを算出する。
図14は目標制御電流値算出手段114の機能ブロック図である。図14に示すように、目標制御電流値算出手段114は、目標制御電流変換マップ250と、目標制御電流変換手段252を有する。
目標制御電流変換マップ250には、各目標伝達トルク及び各エアギャップの組み合わせに対して、対応する目標制御電流値が予め記憶されている。このマップ250は、電磁アクチュエータ56の実験により、各エアギャップでの目標制御電流値に対する推力によるブレーキトルク(目標伝達トルク)を求めることにより作成する。
目標制御電流変換手段252は、図示しない記憶手段に記憶されているエアギャップ長及び目標伝達トルク算出手段112により算出された目標伝達トルクの組み合わせから、目標制御電流変換マップ250を参照して、対応する目標制御電流値に変換する。
図13中のPID演算手段116は、電流検出手段122により検出された実電流値が目標電流値に収束するようにPWM駆動信号のデューティ比を決定する。即ち、電流検出手段122により検出された実電流と目標電流値との差分に応じて、目標値が実電流よりも大であれば、実電流が増加するよう、目標値が実電流よりも小であれば、実電流が減少するよう、目標値が実電流と一致すれば、実電流が維持されるようにデューティ比を決定する。
選択手段118は、エアギャップ長推定手段110及びPID演算手段116より出力されたデューティ比のいずれか一方の有効なデューティ比を選択して、PWM駆動信号生成手段120に出力する。
PWM駆動信号生成手段120は、選択手段118より出力されるデューティ比のPWM駆動信号を電磁ソレノイド70に出力する。
電流検出手段122は、図12に示すように、抵抗260、オペアンプ262、平均化手段264及びA/D変換器266を有する。抵抗260は一端が励磁コイル60及びオペアンプ262のマイナス端子に接続され、他端が接地されオペアンプ262のプラス端子に接続されている。
オペアンプ262は、抵抗260の両端の電圧を算出することにより、励磁コイル60に流れた電流値を検出する。平均化手段264は、オペアンプ262より出力された電流値(アナログ)を、例えば、CRフィルタにより平均化する。A/D変換器266は一定のサンプリング周期で平均化手段264より出力されるアナログ電圧値をデジタル電圧値に変換する。
電磁アクチュエータ56の通常制御においては、まず、目標伝達トルク算出手段112で車両の走行状態に応じて左右の後輪車軸24,26に分配する目標伝達トルクを算出する。
そして、目標制御電流値算出手段114中の目標制御電流変換手段252は、本発明方法により推定されたエアギャップ及び目標伝達トルク算出手段112により算出された目標伝達トルクから、図15のステップS40で示すように、目標制御電流値算出手段114中の目標制御電流変換マップ250を参照して、目標制御電流を算出する。
PID演算手段116は、電流検出手段122により検出された励磁電流が目標制御電流に一致するようにPWM制御する。これにより、目標伝達トルクが発生し、車両の後輪車軸24,26を駆動することができる。
以上を説明したように、本発明実施形態によれば温度に応じた励磁コイル60のインダクタンスを算出し、このインダクタンスに基づいてエアギャップを推定して、エアギャップに応じて励磁コイル60に流す目標制御電流値を制御しているので、電磁ソレノイド70からサーチコイルを無くすことができ、サーチコイル及びサーチコイルの起電力を検出する回路等が不要となり、電磁アクチュエータ56のコストの削減を図ることができる。
4輪駆動車両の動力伝達系を示す概略図である。 増速装置(変速装置)及びリヤデファレンシャル装置の断面図である。 RL直列回路を示す図である。 電流立ち上がり時のタイムチャートである。 電圧立ち上げ時の問題点を説明する図である。 インダクタンスの検出条件をチェックするフローチャートである。 本発明第1実施形態のインダクタンスの検出を示すフローチャートである。 時定数と第1、第2電流閾値の関係を示す図である。 本発明第2実施形態を説明するタイムチャートである。 本発明第2実施形態のインダクタンスの検出を示すフローチャートである。 励磁コイルのインダクタンスとエアギャップとの関係を示すテーブルである。 電磁ソレノイド及び周辺回路を示す図である。 電磁アクチュエータ制御手段の機能ブロック図である。 図14中の目標制御電流値算出手段の機能ブロック図である。 電磁アクチュエータの通常制御を示すフローチャートである。
符号の説明
10 増速装置(変速装置)
12 リヤデファレンシャル装置
24,26 後ろ車軸
30 入力シャフト
32 出力シャフト
50A,50B プラネタリギヤセット
51 ブレーキ機構
52 湿式多板ブレーキ
56 電磁アクチュエータ
58 コア(ヨーク)
60 励磁コイル
62 アーマチュア
70 電磁ソレノイド

Claims (2)

  1. 励磁コイルを有するコアと、エアギャップを介して該コアと対向するように配置されたアーマチュアとを有する電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置であって、
    車両の停止状態を検出する車両停止状態検出手段と、
    前記車両停止状態検出手段により車両の停止状態を検出した際に、前記励磁コイルに定電圧を印加する定電圧印加手段と、
    定電圧の印加により前記励磁コイルに発生する電流の立ち上がりからの時系列データを記憶する記憶手段と、
    前記時系列データから飽和電流値を計測し、該飽和電流値に対し前記励磁コイルに流れる電流が安定する第1の所定割合に設定された第1閾値と該第1閾値より大きな第2の所定割合の第2閾値を設定する閾値設定手段と、
    前記時系列データから電流値が前記第1閾値から第2閾値に変化する時間に基づいて時定数を算出する時定数算出手段と、
    前記飽和電流値から前記励磁コイルの抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、
    前記抵抗値算出手段で算出した抵抗値と前記時定数算出手段で算出した時定数から前記励磁コイルのインダクタンスを算出するインダクタンス算出手段と、
    前記インダクタンス算出手段で算出したインダクタンスに基づいて、エアギャップを推定するエアギャップ推定手段と、
    を具備したことを特徴とする電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置。
  2. 前記定電圧印加手段で前記励磁コイルに再度前記定電圧を印加した際に、電流値が前記第1閾値から第2閾値に変化する時間に基づいて時定数を算出したことを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータのエアギャップ推定装置。
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