JP4743428B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、所定の搬送方向へ被記録材を搬送する被記録材搬送手段による被記録材の搬送経路において被記録材の記録面に記録を実行する記録実行手段を備えた記録装置、所定の搬送方向へ被噴射材を搬送する被噴射材搬送手段による被噴射材の搬送経路において被噴射材の液体噴射面に液体噴射を実行する液体噴射実行手段を備えた液体噴射装置に関する。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
また、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
記録装置及び液体噴射装置の一例として公知のインクジェットプリンタは、記録ヘッドから記録紙等の被記録材の記録面へインクを噴射して記録を実行する構成を有しているが、このインクジェットプリンタにおいては、被記録材へ噴射したインクが被記録材へ吸収されることによって生じるいわゆるコックリングという現象が問題となる。このコックリングという現象は、被記録材のインクを吸収した部分が伸びることによって被記録材が波打ち変形する現象である。波打ち変形した被記録材がプラテン等の搬送案内部材の摺接支持面から浮き上がった状態となり、記録実行手段を構成する記録ヘッドに接触するいわゆるヘッド擦れ等の虞が生ずる。
このような課題を解決可能な従来技術の一例としては、弾性軸線よりなる軸に保持され、周面に鋸歯状の歯を有する紙押さえ用のスターホイールが、記録実行済みの被記録材を排出するための排出手段より被記録材の搬送方向下流側に配設されたインクジェットプリンタの排紙装置が公知である。この紙押さえ用スターホイールによって、多量のインクを吸収することによりカール状に波打ち変形しつつ排出されてきた被記録材が上から押圧されるので、その被記録材のカール状の波打ち変形を軽減させることができる(例えば、特許文献1を参照)。
特開平10−129910号公報
例えば、上記の特許文献1に開示されているように、従来の一般的な浮き押さえ従動ローラは、棒ばね等の弾性軸線とその弾性軸線に軸支されるスターホイールとの二つの部品で構成されている。このような構成の浮き押さえ従動ローラは、小さなスターホイールの軸受け孔に棒ばね等の細くて短い弾性軸線を手作業で挿通させた状態からプリンタ本体のフレーム等に組み付けなければならない。そのため、取り付け作業に熟練を要するとともに多くの作業時間を要し、組み立て性が良好でないという課題があった。
また、このような構成の浮き押さえ従動ローラは、棒ばね等の弾性軸線に軸支されたスターホイールが被記録材に接しながら被記録材の搬送に従って従動回転する構成であるため、スターホイールの軸受け孔の内周面と棒ばね等の弾性軸線の外周面との間の僅かな隙間によってガタツキが生ずる。そして、そのガタツキによって、被記録材に接した状態のスターホイールが棒ばね等の弾性軸線に対して僅かに傾いた状態となる可能性が生ずる。このような状態になると、被記録材に接して搬送方向へ従動回転するスターホイールは、回転抵抗が不規則に増減変動して従動回転が不安定となり、それによって、スターホイールの歯が記録実行済みの被記録材の記録面を傷付けて記録画質が低下してしまう虞があった。
さらに、従来の一般的な浮き押さえ従動ローラは、上記の不安定なスターホイールの従動回転に起因してスターホイールの歯先で記録実行済みの被記録材の記録面を傷付けてしまう虞を極力低減させるべく、棒ばね等の弾性軸線による押圧力を極力弱く設定するのが一般的であった。そのため、多種多様な被記録材が利用可能な近年の記録装置においては、写真用紙等の比較的剛性の高い被記録材へ記録を実行する際に、前記のコックリング現象等による被記録材の波打ち変形により生ずる被記録材の浮き上がりを十分に押さえきれない場合があり、依然としてヘッド擦れ等の問題が生ずる可能性があった。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、組み立て性が良好であり、コックリング現象等による被記録材の波打ち変形により生ずるヘッド擦れ等の虞がより少なく、かつ記録実行済みの被記録材の記録面を傷付ける虞がより少ない浮き押さえ従動ローラを実現することにある。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、所定の搬送方向へ被記録材を搬送する被記録材搬送手段と、該被記録材搬送手段の搬送経路上にある被記録材の記録面に記録を実行する記録実行手段とを備えた記録装置において、前記被記録材搬送手段による被記録材の搬送方向へ従動回転可能に前記搬送経路に軸支され、前記被記録材搬送手段により搬送される被記録材の記録面の記録実行済み部分に接して従動回転しつつ当該被記録材の浮き上がりを抑制するように当該被記録材の姿勢を規制する浮き押さえ従動ローラであって、回転体と該回転体を従動回転可能に軸支するための軸部とが弾性を有する合成樹脂で一体成形され、前記軸部の弾性力によって前記回転体が所定の押圧力をもって当該被記録材に接する形状を有している、ことを特徴とした浮き押さえ従動ローラである。
このように、本発明の第1の態様に記載の浮き押さえ従動ローラは、回転体と回転体を従動回転可能に軸支するための軸部とが弾性を有する合成樹脂で一体成形されている。そのため、従来のように小さなスターホイールの軸受け孔に棒ばね等の細くて短い弾性軸線を手作業で挿通させた状態で組み付けるといった必要がなく、そのまま簡単に組み付けることができるので、より良好な組み立て性を実現することができる。
また、本発明の第1の態様に記載の浮き押さえ従動ローラは、回転体と回転体を従動回転可能に軸支するための軸部とが弾性を有する合成樹脂で一体成形されているので、回転体が支持軸に対して傾いた状態で従動回転することがない。そのため、回転体の回転抵抗が不規則に増減変動する虞がなく、回転体の安定的な従動回転を実現することができ、それによって、記録実行済みの被記録材の記録面を傷付けてしまう虞を低減させることができる。
さらに、本発明の第1の態様に記載の浮き押さえ従動ローラは、上記のように回転体を安定的に従動回転させることができるので、従来のように、不安定な回転をするスターホイールによって記録面が傷付くことを防止するべく押圧力を極力弱く設定するといった必要がない。そのため、被記録材の浮き上がりを従来よりも高い押圧力で剛的に規制することができるので、コックリング現象等による被記録材の波打ち変形により生ずるヘッド擦れ等の虞をより低減させることができる。
このようにして、本発明の第1の態様に記載の浮き押さえ従動ローラによれば、所定の搬送方向へ被記録材を搬送する被記録材搬送手段と、被記録材搬送手段の搬送経路上にある被記録材の記録面に記録を実行する記録実行手段とを備えた記録装置において、組み立て性が良好であり、コックリング現象等による被記録材の波打ち変形により生ずるヘッド擦れ等の虞がより少なく、かつ記録実行済みの被記録材の記録面を傷付ける虞がより少ない浮き押さえ従動ローラを実現することができるという作用効果が得られる。
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様に記載の浮き押さえ従動ローラにおいて、前記回転体の外周面に周方向へ等間隔に形成された複数の凸部の先端が当該被記録材の記録面に接して従動回転する形状を有している、ことを特徴とした浮き押さえ従動ローラである。
回転体と軸部とが一体に形成された浮き押さえ従動ローラにおいて、回転体がこのような形状を有していることによって、回転体と被記録材の記録実行済みの記録面との接触面積を大幅に小さくすることができる。それによって、回転体と記録実行済みの記録面との接触面において記録済みの記録面が傷付いてしまう虞をより低減させることができる。また、浮き押さえ従動ローラ全体が合成樹脂で形成されているので、回転体の外周面に形成された各凸部の先端形状をより滑らかで引っ掛かりにくい形状とすることが容易になる。
本発明の第3の態様は、所定の搬送方向へ被記録材を搬送する被記録材搬送手段と、該被記録材搬送手段の搬送経路上にある被記録材の記録面に記録を実行する記録実行手段と、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の浮き押さえ従動ローラとを備えた記録装置である。
本発明の第3の態様に記載の記録装置によれば、所定の搬送方向へ被記録材を搬送する被記録材搬送手段と、被記録材搬送手段の搬送経路上にある被記録材の記録面に記録を実行する記録実行手段とを備えた記録装置において、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の発明による作用効果を得ることができる。
本発明の第4の態様は、前述した第3の態様に記載の記録装置において、前記浮き押さえ従動ローラは、前記記録実行手段による記録実行領域と記録実行後の被記録材の排出手段との間に配設されている、ことを特徴とした記録装置である。
このように、記録実行手段による記録実行領域と記録実行後の被記録材を排出する手段との間の搬送経路に浮き押さえ従動ローラを配設することによって、被記録材搬送手段により搬送される記録実行中の被記録材の先端が排出手段へ到達するまでの間においても、記録実行済みの被記録材の先端部分がコックリング現象により浮き上がってしまうことを防止することができる。
本発明の第5の態様は、前述した第3の態様又は第4の態様に記載の記録装置において、前記浮き押さえ従動ローラは、被記録材の搬送方向と直交する方向へ所定の間隔で複数配設され、かつコックリング現象等により生ずる被記録材の搬送方向と直交する方向への被記録材の波打ち変形の山部分に接する位置に配設されている、ことを特徴とした記録装置である。
このように、コックリング現象等による被記録材の波打ち変形の山部分に対応させて浮き押さえ従動ローラを配設することによって、コックリング現象等による被記録材の浮き上がりをより効果的に低減させることができる。
本発明の第6の態様は、所定の搬送方向へ被噴射材を搬送する被噴射材搬送手段と、該被噴射材搬送手段の搬送経路上にある被噴射材の液体噴射面に液体噴射を実行する液体噴射実行手段と、前記被噴射材搬送手段による被噴射材の搬送方向へ従動回転可能に前記搬送経路に軸支され、前記被噴射材搬送手段により搬送される被噴射材の液体噴射面の液体噴射済み部分に接して従動回転しつつ当該被噴射材の浮き上がりを抑制するように当該被噴射材の姿勢を規制する浮き押さえ従動ローラとを備えた液体噴射装置であって、前記浮き押さえ従動ローラは、回転体と該回転体を従動回転可能に軸支するための軸部とが弾性を有する合成樹脂で一体成形され、前記軸部の弾性力によって前記回転体が所定の押圧力をもって当該被噴射材に接する形状を有している、ことを特徴とした液体噴射装置である。
本発明の第6の態様に記載の液体噴射装置によれば、所定の搬送方向へ被噴射材を搬送する被噴射材搬送手段と、被噴射材搬送手段の搬送経路上にある被噴射材の液体噴射面に液体噴射を実行する液体噴射実行手段とを備えた液体噴射装置において、前述した第1の態様に記載の発明による作用効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」及び「液体噴射装置」の一例としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置の要部側面図である。
インクジェット式記録装置50は、所定の搬送方向(副走査方向Y)へ「被記録材(被噴射材)」としての記録紙Pを搬送する「被記録材(被噴射材)搬送手段」として、搬送駆動ローラ53及び搬送従動ローラ54を備えている。搬送駆動ローラ53は、外周面に高摩擦抵抗を有する皮膜が施されており、PFモータ(図示せず)の回転駆動力が歯車伝達されて回転する。搬送従動ローラ54は、搬送従動ローラホルダ541に従動回転可能に軸支された状態で複数設けられており、図示していない押圧手段によって、それぞれ個々に搬送駆動ローラ53に押圧されている。自動給紙装置(図示せず)から自動給紙された記録紙Pは、搬送従動ローラ54によって搬送駆動ローラ53の外周面に押しつけられ、その外周面の摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ53の外周面に密着し、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向に搬送される。このとき、搬送従動ローラ54は、記録紙Pを搬送駆動ローラ53の外周面に押圧しながら記録紙Pの搬送に従動して回転する。
インクジェット式記録装置50は、搬送駆動ローラ53及び搬送従動ローラ54による搬送経路上にある記録紙Pの記録面に記録を実行する「記録実行手段」として、記録紙Pにインクを噴射して記録を行う記録ヘッド62を有している。この記録ヘッド62は、主走査方向(記録紙Pの記録面と並行に副走査方向Yと直交する方向)へ往復動可能にキャリッジガイド軸51に軸支されたキャリッジ61に設けられている。記録ヘッド62は、搬送駆動ローラ53及び搬送従動ローラ54によってプラテン52上を搬送される記録紙Pの記録面とヘッド面が一定の間隔をもって対面するようにキャリッジ61に搭載されている。キャリッジ61は、図示していないCRモータの回転駆動力が図示していないベルト伝達機構によって伝達されて前記の主走査方向に往復動する構成を有している。
インクジェット式記録装置50は、記録実行後の記録紙Pを排出する「排出手段」として、排紙駆動ローラ55及び排紙従動ローラ56を備えている。排紙駆動ローラ55は、前記のPFモータ(図示せず)の回転駆動力が歯車伝達されて回転する排紙駆動軸551に複数設けられている。排紙従動ローラ56は、各排紙駆動ローラ55に対応する位置に複数個設けられており、排紙従動ローラホルダ58に従動回転可能に軸支されている。各排紙従動ローラ56は、外周面に周方向へ等間隔に形成された複数の凸部の先端が、記録紙Pの記録実行後の記録面に接して記録紙Pを排紙駆動ローラ55へ押圧する構成を有している。排紙駆動ローラ55の回転により、記録実行後の記録紙Pは副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ56は、複数設けられており、図示していない押圧手段によってそれぞれ個々に排紙駆動ローラ55に押圧され、記録紙Pが排紙駆動ローラ55の回転により排紙される際に記録紙Pに接して記録紙Pの排紙に従動して回転する。
また、主走査方向へ往復動するキャリッジ61に搭載された記録ヘッド62からのインク噴射による記録実行領域と、排紙駆動ローラ55及び排紙従動ローラ56と間の搬送経路には、図示の如く本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57が配設されている。浮き押さえ従動ローラ57は、記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)へ従動回転可能に排紙従動ローラホルダ58に軸支されている。この浮き押さえ従動ローラ57は、搬送駆動ローラ53及び搬送従動ローラ54並びに排紙駆動ローラ55及び排紙従動ローラ56により副走査方向Yへ搬送される記録紙Pの記録面の記録実行済み部分(インクが噴射された部分)に接して従動回転しつつ、その記録紙Pのコックリング現象による浮き上がりを抑制するように記録紙Pの姿勢を押圧規制するものである。
このような構成を有するインクジェット式記録装置50において、搬送駆動ローラ53及び排紙駆動ローラ55を回転駆動するPFモータ(図示せず)並びにキャリッジ61を主走査方向に駆動するCRモータ(図示せず)は、図示していない記録制御部により駆動制御される。また、記録ヘッド62も同様に、この記録制御部により駆動制御されて記録紙Pの表面にインクを噴射する。記録制御部は、キャリッジ61を主走査方向へ往復動させながら記録ヘッド62から記録紙Pへインクを噴射する動作と、記録紙Pを副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返しながら記録紙Pへの記録を行う制御を実行する。
つづいて、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57について、スターホイールと棒ばねとの二つの部品からなる従来の浮き押さえ従動ローラと対比しつつ説明する。
図2は、浮き押さえ従動ローラ57の第1実施例を図示した外観斜視図である。図3は、従来技術における一般的な浮き押さえ従動ローラ8の斜視図である。
本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57(図2)は、回転体571と回転体571を従動回転可能に軸支するための軸部573とが弾性を有する合成樹脂で一体成形されており、軸部573の弾性力によって、回転体571の一部を構成する歯部572に形成されている複数の歯(凸部)Hの先端が所定の押圧力をもって記録紙Pに接する形状を有している。この浮き押さえ従動ローラ57は、インクジェット式記録装置50に組み付けた状態で所望の押圧力をもって搬送経路の記録紙Pに接するように、原材料となる合成樹脂を選択するとともに、その形状、特に軸部573の長さ、太さ、形状等を設定する。
尚、合成樹脂は、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂等の汎用プラスチック類が好適であるが、浮き押さえ従動ローラ57を一体形成可能なものであれば、どのような合成樹脂を選択しても本発明の実施は可能であることは言うまでもない。
一方、従来技術における一般的な浮き押さえ従動ローラ8(図3)は、金属部材からなる一般的な棒ばね81とステンレス部材等をプレス加工して形成したスターホイール82との二つの部品で構成されている。このような構成の従来技術における一般的な浮き押さえ従動ローラ8は、スターホイール82の軸受け孔821に棒ばね81を手作業で挿通させた状態からインクジェット式記録装置50の排紙従動ローラホルダ58(図1)等に組み付けられて記録紙Pの搬送経路に配設される。
図4は、インクジェット式記録装置50の排紙従動ローラホルダ58に組み付けた状態の浮き押さえ従動ローラと搬送経路の記録紙Pとの係合状態を図示したものである。
図4(a)は従来技術における浮き押さえ従動ローラ8の棒ばね81の両端を、それぞれ係止部586で凹部585に軸部分を固定させて組み付けた状態であり、図4(b)は本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57の軸部573の両側を、それぞれ係止部586で凹部585に一定の僅かな隙間を設けて支持することで従動回転可能に軸支した状態である。尚、浮き押さえ従動ローラを回転可能に支持可能な如く凹部585及び係止部586は一つの浮き押さえ従動ローラの両端に対応する位置にそれぞれ設けられている。
図5は、コックリング現象による記録紙Pの波打ち変形を浮き押さえ従動ローラが規制している状態を、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57と従来技術における浮き押さえ従動ローラとのそれぞれについて対比しつつ図示したものである。
前記の通り、従来の一般的な浮き押さえ従動ローラ8は、不安定なスターホイール82の従動回転に起因してスターホイール82の歯先で記録実行済みの記録紙Pの記録面を傷付けてしまう虞を極力低減させるべく、棒ばね81による押圧力を極力弱く設定するのが一般的である。そのため、比較的剛性の高い記録紙Pへ記録を実行する際には、コックリング現象による波打ち変形が生じた記録紙P1(図5)に対して、符号Aで示した大きな変位量で浮き上がり方向へ変位してしまう(図4(a))。したがって、コックリング現象による波打ち変形が生じた記録紙P1の浮き上がりを符号Cで示した程度しか押し下げることができず、その浮き上がりを充分に押さえることができない(図4(a)及び図5における記録紙P2)。そのため、記録ヘッド62のヘッド面に波打ち変形が生じた記録紙P2が接触するヘッド擦れ等が依然として生ずる虞があった(図5)。
このような従来技術に対して、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57は、回転体571と回転体571を従動回転可能に軸支するための軸部573とが弾性を有する合成樹脂で一体成形されているので、支持軸に対して回転体571が傾いた状態で従動回転することがない。そのため、回転体571の回転抵抗が不規則に増減変動する虞がなく、回転体571の安定的な従動回転を実現することができ、それによって、記録実行済みの記録紙Pの記録面を傷付けてしまう虞を低減させることができる。
また、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57は、上記のように回転体571を安定的に従動回転させることができるので、従来のように、不安定な回転をするスターホイール82の歯先によって記録紙Pの記録面が傷付くことを防止するべく棒ばね81による押圧力を極力弱く設定するといった必要がない。そのため、コックリング現象による波打ち変形が生じた記録紙P1を従来よりも高い押圧力で剛的に規制することが可能になる。したがって、コックリング現象による波打ち変形が生じた記録紙P1に対して、その浮き上がり力に充分対抗し得る力で波打ち変形を規制することができ、その変位量も符号Bで示したように、従来技術による浮き押さえ従動ローラ8の場合よりも小さくなる。
それによって、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57は、コックリング現象による波打ち変形が生じた記録紙P1の浮き上がりを符号Dで示した程度まで押し下げることができ、その浮き上がりを許容範囲内に押さえることができる(図4(b)及び図5における記録紙P3)。したがって、記録ヘッド62のヘッド面に波打ち変形が生じた記録紙P1が接触するヘッド擦れ等の可能性を大幅に低減することができる(図5)。
以上説明したように、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57によれば、コックリング現象による記録紙Pの波打ち変形により生ずるヘッド擦れ等の虞をより少なくすることができ、かつ記録実行済みの記録紙Pの記録面を傷付ける虞をより少なくすることができる。
また、従来の浮き押さえ従動ローラ8のように、スターホイール82の軸受け孔821に棒ばね81を手作業で挿通させた状態で組み付けるといった必要がなく、そのまま簡単に組み付けることができるので、より良好な組み立て性を実現することができる。
さらに、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57は、回転体571の一部を構成する歯部572に形成されている複数の歯(凸部)Hの先端が所定の押圧力をもって記録紙Pに接する形状を有しているので、回転体571と記録紙Pの記録実行済みの記録面との接触面積を大幅に小さくすることができる。したがって、回転体571と記録実行済みの記録面との接触面において記録済みの記録面が傷付いてしまう虞をより低減させることができる。また、浮き押さえ従動ローラ57全体が合成樹脂で形成されているので、回転体571の外周面に形成された各歯(凸部)Hの先端形状をより滑らかで引っ掛かりにくい形状とすることが容易になる。
さらに、本発明に係るインクジェット式記録装置50は、この浮き押さえ従動ローラ57が記録ヘッド62からのインク噴射による記録実行領域と、排紙駆動ローラ55及び排紙従動ローラ56と間の搬送経路に配設されている。したがって、記録実行中の記録紙Pの先端が排紙駆動ローラ55と排紙従動ローラ56との挟持点へ到達するまでの間においても、記録実行済みの記録紙Pの先端部分がコックリング現象により浮き上がってしまうことを防止することができる。
そして、本発明に係るインクジェット式記録装置50において、この浮き押さえ従動ローラ57は、主走査方向Xへ所定の間隔で複数配設するとともに、図5に図示したように、コックリング現象により生ずる主走査方向Xへの記録紙Pの波打ち変形の山部分に接する位置にそれぞれ配設するのが好ましい。すなわち、コックリング現象による記録紙Pの波打ち変形の山部分に対応させて浮き押さえ従動ローラ57を配設することによって、コックリング現象による記録紙Pの浮き上がりをより効果的に低減させることができる。
図6は、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57の第2実施例を図示した斜視図である。
第2実施例における浮き押さえ従動ローラ57は、第1実施例(図2)と比較して軸部573が短くなっているとともに、軸部573の径が小さくなっている。軸部573の長さが短くなれば、軸部573全体としての弾性が小さくなるので、その分軸部573を細くすることで、第1実施例と同程度の押圧力を実現することができる。それによって、浮き押さえ従動ローラ57の横幅寸法を小さくすることができるので、例えば、浮き押さえ従動ローラ57の実装効率をより向上させることができる。
図7は、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57の第3実施例を図示した斜視図である。図8は、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57の第4実施例を図示した斜視図である。
第3実施例における浮き押さえ従動ローラ57は、図示の如く、軸部573が先細りのテーパ形状となっている(図7)。また、第4実施例における浮き押さえ従動ローラ57は、図示の如く、太い径の第1軸部574と細い径の第2軸部575とで構成された先細りの軸部形状を有している。このように回転体571近傍は太く外側へ向けて細くなっていく先細りの軸部形状とすることによって、回転体571の姿勢をより安定的に支持して回転体571の傾きをより強固に抑制することができるので、例えば、浮き押さえ従動ローラ57の従動回転がより安定的なものとなることが期待できる。
図9は、本発明に係る浮き押さえ従動ローラ57の第5実施例を図示した斜視図である。
第5実施例における浮き押さえ従動ローラ57は、図示の如く、貫通孔577を有する略円筒体形状の軸部576を有している。このような形状の軸部576は、貫通孔577の内径の大きさを調整することで、軸部576の径及び長さは一定に維持したまま軸部576の押圧力を調整することができる。すなわち、浮き押さえ従動ローラ57の外形形状を変更することなく浮き押さえ従動ローラ57による押圧力を自由に設定することが可能になる等のメリットがある。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の側面図である。 浮き押さえ従動ローラの第1実施例を図示した外観斜視図である。 従来技術における一般的な浮き押さえ従動ローラの斜視図である。 浮き押さえ従動ローラと記録紙との係合状態を図示したものである。 記録紙の波打ち変形を浮き押さえ従動ローラが規制している状態である 浮き押さえ従動ローラの第2実施例を図示した外観斜視図である。 浮き押さえ従動ローラの第3実施例を図示した外観斜視図である。 浮き押さえ従動ローラの第4実施例を図示した外観斜視図である。 浮き押さえ従動ローラの第5実施例を図示した外観斜視図である。
符号の説明
50 インクジェット式記録装置、51 キャリッジガイド軸、52 プラテン、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排紙駆動ローラ、56 排紙従動ローラ、57 浮き押さえ従動ローラ、58、排紙従動ローラホルダ、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、571 回転体、572 歯部、573 軸部、P 記録紙、Y 副走査方向(被記録材搬送方向)

Claims (4)

  1. 所定の搬送方向へ被記録材を搬送する被記録材搬送手段と、
    該被記録材搬送手段の搬送経路上にある被記録材の記録面に記録を実行する記録実行手段と
    前記被記録材搬送手段による被記録材の搬送方向へ従動回転可能に前記搬送経路に軸支され、前記被記録材搬送手段により搬送される被記録材の記録面の記録実行済み部分に接して従動回転しつつ当該被記録材の姿勢を規制する従動ローラと、
    該従動ローラを従動回転可能に保持する従動ローラホルダと、を備え、
    前記従動ローラは
    回転体と該回転体を従動回転可能に軸支するための軸部とが合成樹脂で一体成形されており
    前記従動ローラホルダは、前記搬送方向の上方において前記軸部と前記従動ローラホルダとの間に隙間を設けて、前記従動ローラの前記軸部を従動回転可能に保持する構成であり、
    前記軸部は、前記隙間によって前記搬送方向の上方に移動できるように軸支されていることを特徴とした記録装置
  2. 請求項1に記載の記録装置において、前記合成樹脂は、弾性を有することを特徴とした記録装置
  3. 請求項1または2に記載の記録装置において、前記従動ローラは、前記記録実行手段による記録実行領域と記録実行後の被記録材の排出手段との間に配設されている、ことを特徴とした記録装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置において、前記従動ローラは、被記録材の搬送方向と直交する方向へ所定の間隔で複数配設され、かつコックリング現象により生ずる被記録材の搬送方向と直交する方向への被記録材の波打ち変形の山部分に接する位置に配設されている、ことを特徴とした記録装置。
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