JP4743419B2 - 紡績機、紡績機の切断用部材及び紡績方法 - Google Patents

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Description

本発明は繊維束から紡績糸を製造するのに使用される紡績機に関する。
従来、長繊維を直接紡いで糸を製造する紡績機が開発されており、例えば、繊維束(連続繊維束或いは繊維長の長い不連続繊維束)から一工程で単糸を製造する紡績機が開発されている。この紡績機は、繊維束を形成する複数の連続モノフィラメントを、この連続モノフィラメントを搬送するローラ間に速度差を設けて牽切し、そのままドラフトして所定の太さまで細くした後、加撚して糸を製造するものである。
切断したモノフィラメントを加撚して糸を製造するには、隣り合うモノフィラメントの切断位置が相互に不連続となるように切断する必要があり、このような不連続な切断を、ドラフトに必要な延伸力よりも大きな延伸力を繊維束に与えて切断する上記牽切により実現している。図5はこのような紡績機の具体例である(例えば特許文献1参照)。この紡績機は、牽切と精紡とを分離して行なうようになっている。そして、牽切の際に繊維束101を低温槽107内に充填された−5℃以下の冷却媒体により予め冷却することを特徴としている。繊維束101は、低温槽107内のバックローラ組108及び引き取りローラ組109の回転により低温槽107へと連続的に供給される。繊維束101は、複数の回転ローラ110の案内により低温槽107内を蛇行しながら進行し上記冷却媒体により冷却され、この結果、繊維は、剛性が増加し伸度が抑制された状態とされる。そして、この冷却された繊維束101は、引き取りローラ組109により冷気で圧縮された後、ミドルローラ組103及びブレークローラ組104により延伸力を付与され牽切される。
この結果、切断前と略同等の捲縮を有し平行性、開繊性及びU%の優れた繊維が得られるようになり、また、冷却媒体の温度を調節することにより紡績糸の収縮率を低収縮から中収縮に至る任意の収縮率に設定することが可能となる。繊維束を形成する各モノフィラメントに対してローラ組103、104間においては一回の牽切しか行なえないことから、繊維束を所定長さまで短くすべく、図5(つまり上記特許文献の図1)では省略されているが、ローラ組103、104の下流側に、同様のローラ組が繊椎束101の進行方向に沿って複数組設けられているものと推測される。そして、これらのローラ組よりも下流側であって紡績機の最後尾に精紡機が配設されており、モノフィラメントは上記ローラ組により繰り返し牽切が行なわれて所定長さ及び所定太さとされた後、上記精紡機へと送給されて、加撚され単糸とされる。
なお、図5中の符号111は、繊維束101を機械幅方向(図5において紙面に対して垂直な方向)に分割するためのカッターである。
また、2対のフィードローラにより、マルチフィラメント糸を走行させ、各単糸にランダムな切断が行われ、連続性が維持されつつフィードローラから排出され、撚が与えられながらボビンに巻取られる紡績装置において、内面が砥粒面となっており、マルチフィラメント糸が砥粒面上を走行するように配置された円盤状カッタをそなえ、ランダムな切断が、マルチフィラメント糸と砥粒面との接触により、連続性を維持しつつ行われる紡績装置が提案されている(例えば特許文献2参照)、またモノフィラメント集束物をカットするための回転ドラムであって、カットする際に、小束ごとにカットする位置を長さ方向にずらしてカットするために、外周に、ドラムの軸方向に分割された切断を周方向に一定間隔をおいて設けた回転ドラムの合成繊維のスライバー、ヤーンの製造方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開昭59−163430号公報 実開昭54−32318号公報 特開昭58−180616号公報
しかしながら、上述した図5に示すような従来技術では、上述したように繊維束を所定長さまで短くするために牽切用のローラ組を直列に複数組配設して繰り返し牽切を行なう必要があるため機長が長くなってしまうという課題がある。また、牽切を行なうためには、ローラ組103を構成するローラ103A、103Bのニップ圧及びローラ組104を構成するローラ104A、104Bのニップ圧を高圧にしなければならない。ローラ組103、104には所定のニップ圧を得るために加圧装置(図示略)が取り付けられているが、上述したような高ニップ圧を得るためには、極めて容量の高い圧力装置が必要となり、紡績機が大掛りなものとなってしまう。
特に上述した図5に示す装置では、繊維を牽切する前に繊維を冷却することで牽切の際に繊維に生じる塑性変形ひいては残留歪を抑制することができるが、繊維を冷却するための設備(低温槽107)が必要となって、さらに装置が大掛りなものになり、また装置構成が複雑になってしまうという課題がある。
また上述した特許文献2及び特許文献3の紡績装置には、単糸の製造において、切断安定性、紡績性、糸品質に問題があるという課題がある。
本発明者は、このような課題に鑑み創案されたもので、紡績性の高い紡績糸を効率よく製造する工程を構築して、装置の簡素化及び装置のコンパクト化を実現できるようにした紡績機を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、複数のモノフィラメントからなる繊維束を走行させながらドラフト、ランダムカット及び加撚して紡績糸を製造する紡績機であって、該繊維束と切断用部材の刃部との接触により連続的に該繊維束をランダムカットする紡績機において、該切断用部材の刃部がベルト状部材に複数の砥粒を不規則に付着させた切断用ベルトから構成され且つ該切断用部材が該繊維束の走行経路を挟んで対向して配設された一対の荷重されたトップローラ及びボトムローラとから構成されることを特徴とする紡績機に係る。
本発明に供する切断用部材の刃部としては、ベルト状部材に複数の砥粒を不規則に付着させた切断用ベルトから構成されるものである。なかでも複数の砥粒を不規則に付着させた切断用ベルトとしてはベルト状部材に研磨紙又は研磨布を貼った切断用ベルトが好ましく、切断用部材の刃部がベルト状部材にメッシュ#40〜#60の研磨紙又は研磨布を貼った切断用ベルトがより好ましい。
本発明に供する切断用部材としては、前記した切断用ベルトから構成される刃部を切断用部材の外周面に有する切断用ローラとして構成されるものである。本発明では、前記した切断用部材が繊維束の走行経路を挟んで対向して配設された一対の荷重されたトップローラ及びボトムローラとから構成される。
本発明では、複数のモノフィラメントからなる繊維束を走行させながらドラフト、ランダムカット及び加撚して紡績糸を製造する。かかる相互に対向して配設された一対の荷重されたトップローラ及びボトムローラからなり相互間に供給された該繊稚束を送り出すローラ組が、該繊維束の走行方向に沿って少なくとも2組以上そなえられ、該ローラ組の該繊維束の送り出し速度を、該走行方向下流側に配置されるほど高速に設定することにより、該ドラフトが行なわれる場合には、上記の2組以上のローラ組の内、該走行方向で最下流側に配設されたローラ組よりも該走行方向上流側に配置されたローラ組の少なくとも1組において、該ローラ組を該切断用ローラとして構成する。第一発明は、複数のモノフィラメントからなる繊維束を走行させながらドラフト、ランダムカット及び加撚して紡績糸を製造する紡績機
発明の実施形態
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。本発明は、繊維束〔例えば、トウやマルチフィラメントなどの連続繊維の束、羊毛その他の獣毛や絹(特に副蚕を使用したもの)や麻などの繊維長の長い不連続繊維の束〕から一工程で紡績糸を製造しうるものである。
以下の各実施形態では、従来のリング精紡機に切断用部材を組み込んで本発明の紡績機を具現した例を示し、特に化学繊維のような連続繊維から単糸を製造する場合には、この精紡機の上流側にカーデイングやコーミングや練条を行なう設備が不要となることから、従来精紡機と略等価の構成で紡績機全体の機能を具現できる(但し、特に獣毛や絹などの繊維長の長い不連続繊維から単糸を製造する場合は、カーデイングやコーミングなどを行なう梳毛設備が必要となる)。
(1)第1実施形態
(1−1)構成
図1は本発明の第1実施形態としての紡績機の構成を示す模式図である。
本実施形態の紡績機は、図1に示すように構成されており、図示しない原料繊維供給部から供給される繊維束(複数のモノフィラメント11からなる撚りのない束)1の走行経路に沿って、バックローラ組2、ミドルローラ組3及びフロントローラ組4の3組のローラ対が、上記繊維束1の走行方向上流側からこの順に配設されている。
バックローラ組2は、繊維束1の走行経路を挟んで対向して配設された一対のトップバックローラ(切断用部材、切断用ローラ)2A及びボトムバックローラ(切断用部材、切断用ローラ)2Bからなる。同様に、ミドルローラ組3は上記走行経路を挟んで対向して配設された一対のトップミドルローラ3A及びボトムミドルローラ3Bからなり、フロントローラ組4は上記走行経路を挟んで対向して配設された一対のトップフロントローラ4A及びボトムフロントローラ4Bからなる。また、ミドルローラ3A、3Bにはそれぞれエプロン5A、5Bがループ状に掛け渡され、繊維束1の走行経路においてこれらのエプロン5A、5Bのニップが形成されている。なお、図示しないが、各ローラ組2、3、4にはそれぞれ加圧力を調整可能な加圧装置が取り付けられており、各ローラ組2、3、4に掛ける荷重MB、MM、MFを個別に調整できるようになっている。
また、各ローラ組2、3、4にはそれぞれ別々に図示しない駆動装置がそなえられており、対向配置されたローラは同期回転するようになっている。そして、バックローラ組2の繊維束1の送り速度(=バックローラ2A、2Bの周速)VBよりも、ミドルローラ組3の送り速度(=ミドルローラ3A、3B及びエプロン5A、5Bの周速)VMのほうが高速に設定され、さらに、ミドルローラ組3の送り速度VMよりも、フロントローラ組4の送り速度(=フロントローラ4A、4Bの周速)VFのほうが高速に設定されている(VB<VM<VF)。
つまり、ローラ組2、3、4の送り速度は、下流側のローラ組になるほど高くなるように設定されているのである。これにより、ローラ組2、3の相互間(バックドラフトゾーン)ZB及びローラ組3、4の相互間(メインドラフトゾーン)ZMにおいてそれぞれ繊維束1に延伸力が作用することとなり、繊維束1が二段階にドラフトされて所定太さまで細くされるようになっている。
また、メインドラフトゾーンZMにおいては繊維束1がエプロン5A、5Bにより挟持されながら搬送されるので繊維束1の浮遊繊維が制御されることとなるそして、本発明の大きな特徴であるが、ここでは各バックローラ2A、2Bのローラ本体の円周面には研磨紙や研磨布のような研磨材(ここでは研磨布)がそれぞれ巻き付けられており、各バックローラ2A、2Bの円周面(以下、粗面部又は刃部ともいう)2Aa、2Baは、それぞれ、全周及び全軸長に渡って連続して表面の粗い粗面状に形成されている。換言すれば、円周面2Aa,2Baは、繊維束1を形成するモノフィラメント11を切断する刃物に相当する多数の砥粒が不規則に配置された刃部として形成されているのである。
この結果、バックローラ2A、2Bのニップを通過する際、繊維束1を形成する各モノフィラメント11は、平面図2に示すように、破線で示すその切断位置が、隣り合うモノフィラメント11の切断位置に対し不連続となるように切断される(以下、このような切断をランダムカットという)ようになっている〔このような状態は、モノフィラメント11について見れば切断された状態となるが、各モノフィラメント11は隣合うモノフィラメント11に対し重なり合っているので繊維束1について見れば切断されていない(長さ方向に対し連続した)状態となる〕。そして、このようなランダムカットが、バックローラ2A、2Bのニップを通過する繊維束1に対し連続的に行なわれるようになっている。
図示しないが、ローラ組2、3、4を通過する過程でドラフトされ切断された繊維束1は、その後、装置幅方向(図1においては紙面に垂直な方向であり、図2においては上下方向)に対し複数に仕分けされ、加撚・巻取部に送給されるようになっている。加撚・巻取部は、ここでは一般的なリング精紡機のものと同じように構成されており、ランダムカットされた繊維束1は、高速回転しているスピンドルの回転で撚りがかけられて単糸とされると同時に、リング状のトラベラを介してスピンドルにはめられたボビンに巻き取られようになっている。
従来の一般的なリング精紡装置では、バックローラが、円周面が滑らかに形成されたプレーンローラにより構成されており、本実施形態の紡績機は、丁度、このような一般的な精紡装置に対し、バックローラを周面が粗面状のものに置き換えた構成に相当する。
(1−2)作用・効果
本発明の第1実施形態としての紡績機は、上述したように構成されており、繊維束1を形成する各モノフィラメント11は、ローラ組2、3、4及びエプロン5A、5Bを通過する際にドラフトされ、同時にバックローラ組2を通過する過程でランダムカットされる。このランダムカットは、粗面部(刃部)として形成されたローラ円周面2Aa、2Baとの接触により、バックローラ2A、2Bのニップを通過中のモノフィラメント11に対し連続的に行なわれる。
この結果、上記の従来技術(図5参照)では各モノフィラメントに対し隣り合うローラ組の相互間において一回の牽切しか行なえなかったため複数組のローラ組を繊維送り方向に並べる構成となっていたのに対し、本紡績機では、バックローラ組2だけで各モノフィラメントに対し多数回の切断を行なえることからローラ組の配置数を大幅に減少させることができる。つまり、上記従来技術の牽切部(図5に示す部分)を、本実施形態では、一般的なリング精紡機と略同等の構成でこのリング精紡機と一体に構成でき、上記の従来技術の牽切部分を不要にできるのである。したがって、紡績機のコンパクト化及び紡績機のコストの低減を実現できる利点がある。
また、上記の図5に示す従来技術、牽切を行なうべく各ローラの大きな荷重を掛ける必要があったが、本紡績機では、粗面によりローラ周面2Aa、2Abに具現された刃によって切断が行なわれるため、ローラに掛ける荷重を大幅に低減でき、荷重を掛けるための加圧装置の容量を大幅に低減できるようになる利点がある。
さらに、上記図5に示す従来紡績機では低温槽107を設けることにより繊維束に発生する塑性変形や残留歪を抑制するようにしていたが、本紡績機では、ランダムカットするために繊維束大きな牽引力を作用させることが不要となるので、低温槽107にような特別な設備を付帯させることなく上記の塑性変形や残留歪を抑制できるようになる利点がある。
(1−3)変形例
なお、上記では、各バックローラ円周面2Aa、2Baに、全周及び全軸長に渡って連続して粗面部(刃部)を形成したが、刃部は、ローラ軸方向に対しては、全繊維束1と接触する範囲で形成されていれば良く、例えば両軸端側の周面は平滑でも良い。また、周方向に対しては、上記のように全周に渡って連続して設けることが好ましいが、間隔をあけて粗面部を形成した構成でも良い。
さらに、上記では、各バックローラ2A、2Bのローラ本体周面に研磨布を巻き付けることによりローラ周面を粗面部として形成したが、外周部或いはローラ全体を、砥粒と結合材とを混合してなる砥石により構成しても良い。このような砥石では、摩耗に応じて新しい砥粒が自然と露出するようになるので、研磨布を使用するのに較べ、粗面のメンテナンス頻度が少なくて済む利点がある。
また、上記では、バックローラ2A、2Bの周面を粗面部にしたが、バックローラ2A、2Bの代わり又はバックローラ2A、2Bとともに、ミドルローラ3A、3Bの少なくとも一方の周面を粗面部にしても良い。但し、このようにミドルローラ3A、3Bの少なくとも一方の周面を粗面部にする場合には、当然ながら、ミドルローラ3A、3Bにエプロン5A、5Bを巻き付けることはできない
また、上記では、三組のローラ組2、3、4によりドラフトを行なう三線式としたが、ドラフト用のローラとして、二組は勿論、四組以上のローラ組を有する構成でもよく、フロントローラ組4よりも上流側のローラ組において、ローラの周面を粗面部としたローラ組が一組以上あれば良い。また、上記では、バックローラ組2即ち繊維束1をドラフトするためのローラ組に対し周面を粗面状としてドラフトと同時にモノフィラメント11の切断を行なわせる構成としたが、ドラフト用のローラ組とは別に(ドラフト機能を有しないローラ組として)、モノフィラメント11の切断を行なわせるための粗面状の周面を有するローラ組を設けた構成でもよい。ドラフト機能を有しないローラ組とは、例えば、繊維束1に従動する或いはそのニップ部を通過する繊維束1と略同速度の周速で回転するローラ組である。
さらに、上述したように本紡績機ではバックローラ2A、2Bの粗面部2Aa、2Baでモノフィラメント11の切断が行なわれるが、このような粗面部2Aa、2Baによる切断に加え、補助的な切断として、各ローラ組2、3、4の相互間においてモノフィラメント11を従来と同様に牽切するようにしても良い。各ローラ組2、3、4により牽切を行なうか否かは、荷重MB、MM、MFの設定により設定することができる。
(2)第2実施形態
(2−1)構成
図3は本発明の第2実施形態としての紡績機の構成を示す模式図である。上述した第1実施形態で既に説明した部品については同一の符号を付しその説明を省略する。
本第2実施形態の紡績機は、上記第1実施形態に対し、バックローラ2A′、2B′を従来同様に周表面の平滑なプレーンローラとした点、及び、切断用部材としてエンドレス切断用ベルト(以下、単に切断用ベルトという)6aを有するベルト機構6A、6Bをフロントローラ組4よりも上流側(ここではバックローラ組2とミドルローラ組3との間)にそなえた点で異なる。
各ベルト機構6A、6Bは、図3に示すように、繊維束1の走行経路を介して対向して配置されており、ベルトローラ6b、6cと、これらのベルトローラ6b、6cに掛け渡された上記切断用ベルト6aとをそれぞれそなえて構成される。各切断用ベルト6aは、一方の面が、ループ全周及び幅方向(図3で紙面に垂直な方向)全体に砥粒を連続的に付着させた切断面(粗面部)として形成されたもので、この面を外方に向けてローラ6b、6cに掛け渡されている。また、ベルトローラ6b、6cの何れか一方が駆動装置をそなえた駆動ローラとして構成されており、各切断用ベルト6aは、この駆動ローラにより駆動されループ状に走行するようになっている。また、各ベルトローラ6b、6cは、切断用ベルト6aを介して繊維束1の走行経路に面して配置されており、繊維束1を形成するモノフィラメント11は、これらのベルトローラ6b、6cの間に形成される切断用ベルト6a、6cのニップにおいてランダムカットされるようになっている。
なお、ベルトローラ6b、6cの何れか一方には、加圧力を調整可能な加圧装置が取り付けられており、ベルトローラ6b、6bに掛ける荷重MRを調整できるようになっている。また、各ベルトローラ6b、6cには、繊維束1の走行経路に対する位置を調整できるように位置調整機構がそなえられており、かかる位置調整により、切断用ベルト6aのテンション調整や、ベルトローラ6b、6cの相互間に作業用のスペースをあけて切断用ベルト6aの交換作業を行なえるようになっている。
(2−2)作用・効果
本発明の第2実施形態としての紡績機は、上述したように構成されており、繊維束1を形成する各モノフィラメント11は、ローラ組2、3、4及びエプロン5A、5Bを通過する際にドラフトされ、同時に切断用ベルト6aのニップを通過する過程で連続的にランダムカットされるので、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
(2−3)変形例
上記では、切断用ベルト6aのループ周面には、全周及び全幅に渡って連続して粗面部を形成したが、粗面部は、幅方向に対しては、切断用ベルト6aのニップを通過する全繊維束1と接触する範囲で形成されていれば良く、例えば幅方向両端は粗面部で無くとも良い。また、ループ周方向に対しては、上記のように全周に渡って連続して設けることが好ましいが、間隔をあけて粗面部を形成した構成でも良い。
また、上記では、ベルト機構6A、6Bをバックローラ組2とミドルローラ組3との間にそなえたが、ベルト機構6A、6Bは、フロントローラ組4よりも上流側に配設されていれば良く、フロントローラ組4とエプロン5との間に配設しても良い。
また、上記では対向配置されたベルト機構6A、6Bからなるベルト機構組を一組設けているが、このようなベルト機構組を、繊維束の走行経路に沿って複数組配設しても良い。さらに、上記では、三組のローラ組2、3、4によりドラフトを行なう三線式としたが、ドラフト用のローラとして、二組は勿論、四組以上のローラ組を有する構成でもよい。
また、上記各実施形態は、上述したように、切断用部材としての切断用ローラ2A、2B又は切断用ベルト6aを有するベルト機構6A、6Bを、従来リング式精紡機に一体に組み込んだ例を説明したが、精紡機とは別に、この精紡機の上流側に上記切断用ローラ2A、2B又は切断用ベルト6aを配設しても良い。この場合、精紡機の形式は、リング式に限定されず、ロータオープンエンド形式,空気渦流オープンエンド形式,結束紡績形式,空気渦流コアヤーン形式,吸着加撚形式,セルフツイスト形式,無撚紡績形式など公知の種々の形式を使用することが可能である。
発明の効果
以上詳述したように、本発明によれば、切断用部材の刃部との接触により繊維束が連続的にランダムカットされるので、従来のように牽切によりランダムカットするのに較べ極めて効率よく製造工程を構築して、装置の簡素化及び装置のコンパクト化を実現できる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を超えない範囲で適宜変更可能である。
(1)紡績装置の構成
本実施例で使用された紡績装置は、上記第1実施形態と同様に構成され(図1参照)、また、各主要寸法は下表1の通りである。
Figure 0004743419
(2)実施例
(2−1)実施例1
下表2に示す条件において、太さが1.3デジテックス(1.2デニール)(1デニールは、9000mで1gである)の耐炎化繊維(旭化成製の酸化ポリアクリロニトリル(PAN)繊維、登録商標:ラスタンA60)をモノフィラメント11として使用し、この耐炎化繊維11の6000本の束を繊維束1として、図1及び上表1に要部仕様を示す紡績機により単糸の製造を行なった。
また、加撚部により加撚され製造された単糸(最終製品)は、紡績機の最後尾の巻取り部において直径28mmの巻取り芯(ボビン)に11000rpmの回転速度で巻き取られた(この他の条件は下表2参照)。
Figure 0004743419
各バックローラ2A、2Bのローラ本体の円周面(粗面)2Aa、2Baを形成する研磨材として、砥粒の粒度(メッシュ)の異なる下表3に示す五種類の研磨紙〔何れも岡田紙鑢工業(株)製〕を使用して、上記条件により、耐炎化繊維(モノフィラメント)11により単糸を製造した。その結果を、▲1▼切断安定性(ランダムカットの安定性),▲2▼紡績性(紡績機の稼働安定性),▲3▼糸品質(最終製品である単糸の品質)の3つの項目について下表3に纏めた。
この表3に示すように、メッシュ#30のサンドペーパを使用した場合には、ランダムカットは行なえたものの未切断のモノフィラメントが観察され、切断安定性は低かった。また、繊維束1が完全に切断されてしまい上流側と下流側で分断されてしまう、いわゆる糸切れが発生したため紡績機を一旦停止して補修を行なわなければならず、紡績性も悪かった。また、製造された単糸には、スラブ(他の部分より太いも比較的長い節)やネップ(他の部分よりも太い比較的短い節)が多発し品質も低かった。紡績では、ランダムカットされたモノフィラメントが長さ方向にずれた状態で撚り合わされて均質化されるのが理想的であるが、切断されないモノフィラメントが残ったため、モノフィラメントの平行度が取れず、その結合具合にむらが出て、スラブやネップが多発したと推測される。
また、メッシュ#40、50、60のサンドペーパを使用した場合には、何れの場合も、切断安定性が高く、また、糸切れがなく紡績性が高く、さらに、製造された単糸にはスラブやネップがなく、牽切によりランダムカットを行なっていた従来紡績機により製造したものと同等の品質が得られた。そして、メッシュ#70のサンドペーパを使用した場合には、ランダムカットは行なえたものの僅かに未切断のモノフィラメントが観察され、切断安定性が不十分であった。また、糸切れが発生し、紡績性も不十分であり、さらに、製造された単糸には、スラブが発生し品質も不十分であった。
Figure 0004743419
(2−2)実施例2
下表4に示す条件において、太さが2.2デジテックス(2デニール)のフェノール系繊維(群栄化学社製,登録商標:カイノール)をモノフィラメント11として使用し、このフェノール系繊維11の4000本の束を繊維束1として、図1及び上表1に要部仕様を示す紡績機により単糸の製造を行なった。
また、加撚部により加撚され製造された単糸(最終製品)は、紡績機の最後尾の巻取り部において直径28mmの巻取り芯に10000rpmの回転速度で巻き取られた(この他の条件は下表4参照)。
Figure 0004743419
そして、各バックローラ2A、2Bのローラ本体の円周面(粗面)2Aa、2Baを形成する研磨材として、メッシュ#50の研磨紙〔岡田紙鑢工業(株)製〕を使用して、フェノール系繊維(モノフィラメント)11により単糸を製造した。結果は、下表5に示すように、切断安定性,紡績性,糸品質の何れも良好な結果が得られた。
Figure 0004743419
本発明の第1実施形態としての紡績機の要部構成を示す模式的な側面図である 繊維束のランダムカットを説明するための図であって、紡績機に送給された繊維束の模式的な平面図である。 本発明の第2実施形態としての紡績機の要部構成を示す模式的な側面図である 従来の紡績機の要部構成を示す模式的な側面図である。
1 繊維束
11 モノフィラメント
2 バックローラ組
2A トップバックローラ(切断用部材,切断用ローラ)
2B ボトムバックローラ(切断用部材,切断用ローラ)
2A′ トップバックローラ(プレーンローラ)
2B′ ボトムバックローラ(プレーンローラ)
2Aa、2Ba 円周面(刃部)
3 ミドルローラ組
3A トップミドルローラ
3B ボトムミドルローラ
4 フロントローラ組
4A トップフロントローラ
4B ボトムフロントローラ
5A、5B エプロン
6A、6B ベルト機構
6a 切断用ベルト(切断用部材)
6b、6c ベルトローラ

Claims (3)

  1. 複数のモノフィラメントからなる繊維束を走行させながらドラフト、ランダムカット及び加撚して紡績糸を製造する紡績機であって、該繊維束と切断用部材の刃部との接触により連続的に該繊維束をランダムカットする紡績機において、該切断用部材の刃部がベルト状部材に複数の砥粒を不規則に付着させた切断用ベルトから構成され且つ該切断用部材が該繊維束の走行経路を挟んで対向して配設された一対の荷重されたトップローラ及びボトムローラとから構成されることを特徴とする紡績機。
  2. 切断用部材の刃部がベルト状部材に研磨紙又は研磨布を貼った切断用ベルトである請求項1記載の紡績機。
  3. 切断用部材の刃部がベルト状部材にメッシュ#40〜#60の研磨紙又は研磨布を貼った切断用ベルトである請求項1記載の紡績機。
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