JP4742644B2 - 血液量測定方法、測定装置及び生体信号モニタ装置 - Google Patents

血液量測定方法、測定装置及び生体信号モニタ装置 Download PDF

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Description

本発明は、心臓の拍動により駆出される血液量を測定する血液量測定方法、測定装置及
び生体信号モニタ装置に関する。
医療施設において、その手術室,集中治療室,救急処置室,人工透析室などにいる患者
に対して、循環動態の変動に対する監視は、できる限り連続的に行う必要がある。
従来、このような患者の循環動態の変動に対する監視は、主として、直接的な血圧監視
をすることによって行われていた。
生体は中枢部の血圧が一定の範囲に収まるように心拍出量、血管抵抗を調節しているも
のである。
したがって、早期に患者の循環動態の変動を知るためには、直接的な血圧監視のみでは
充分でなく、また血圧に変化が見られたときに、その原因を知る必要がある。
そのために、血圧の変化を監視する以外に、心拍出量の変化を監視する必要がある。
患者に対する循環動態の変動を監視するため、心拍出量の変化を測定する方法としては
、以下に述べるような、従来行われている方法として、熱希釈法,色素希釈法,超音波法
等の方法が挙げられる。
まず、熱希釈法について説明する。
熱希釈法は、主に、頸静脈からスワンガンツカテーテルを挿入して、中心静脈または右
房から一定量の冷えた生理食塩水または冷えたブドウ糖溶液を注入して、肺動脈にてそれ
による温度変化から心拍出量を測定する方法である。
また、最近では、カテーテルを通して血液を暖め、それによる温度変化から心拍出量を
測定する熱希釈法もあり、この方法によれば、一定時間毎に自動的に測定ができる。
次に、色素希釈法について説明する。
色素希釈法は、一定量の色素を静脈から注入して、色素が一様に希釈してその濃度が一
定になった部位で色素濃度を観血的あるいは非観血的に測定して心拍出量を測定する方法
である。
次に、超音波法について説明する。
超音波法は、経食道的に超音波を用いて、下行大動脈等の動脈血管の内径と,血流速度
とを測定して、心拍出量を測定する方法である。
また、血液量の測定方法として、患者の循環動態の変動を非侵襲で連続的に常時監視す
ることができる生体信号モニタ装置における心臓の拍動により駆出される血液量を測定す
る技術が知られている。(特許文献1参照)
また、観血的に測定される動脈血圧波形から一回拍出量さらには心拍出量を計算から求
める装置の測定精度について、下記の報告がなされている。(非特許文献1参照)
「手術後のICU(集中治療室)に入室した患者において、血管収縮薬フェニレフリンの
投与によって血管抵抗が約60%変化したときに先に示した装置の測定値は、スタンダードとして用いられている熱希釈方式の心拍出量計の測定値よりも顕著に高いバイアスが現れたので、そのような時には熱希釈方式の心拍出量計により再校正する必要がある。」
特開2002−253519号公報(請求項1) G Roodig; Continuous cardiac output measurement: pulse contur analysis vs thermodilution technique in cardiac surgical patients British Journal of Anaesthesia 82(4): 525-30(1999)
上述のような、従来の患者に対する循環動態変動の監視として行われている心拍出量の
測定方法は以下に述べるような問題点がある。
熱希釈法は、測定が間欠的であり、連続測定ができないという問題点がある。
また、熱希釈法におけるカテーテルの挿入は、患者にとって、侵襲度が高く、感染の問
題等が伴う。
さらに、この熱希釈法は、その測定およびカテーテルの挿入に際して、熟練した医療従
事者の技術が要求される方法である。
最近では、熱希釈法においても、連続的に測定する方法も開発されてはいるが、カテー
テルの挿入は必要であり、カテーテルの挿入における上記の問題は解決出来ない。
色素希釈法もまた、連続測定ができないという問題点がある。
また、その測定には熟練した医療従事者の技術が要求される方法である。
超音波法は、経食道的にトランスジューサを装着するため、患者に対する負担が大きい
という問題点がある。
なお、最近、超音波法の一種で、体表面から非侵襲的に行う方法もあるが、連続測定は
不可能である。
上述のいずれの方法も、高度な医療従事者の技術が要求されること、患者への侵襲度の
高さを考えると、到底、手軽に連続して行えることができず、これらの方法により、患者
の循環動態の変動を連続的に常時監視することは困難である。
本発明の課題(目的)は、患者の循環動態の変動を非侵襲で連続的に常時監視すること
ができ、さらに、カテーテルの挿入など、熟練した医療従事者の技術が不要で、患者に対
する苦痛が少なく、侵襲しないので感染の恐れがなく、且つ低コストの血液量測定方法、
測定装置及び生体信号モニタ装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、脈波伝播時間から心拍出量を求める血液量測定方法であって、
CO=(αK*PWTT+βK)*HR
式から心拍出量を求めることを特徴とする血液量測定方法。
但し、COは心拍出量、PWTTは、心電図のR波から末梢まで脈波が伝播する脈波伝播時間、HRは心拍数、α,β,Kは患者固有の係数である。
また、請求項2に記載の発明では、前記係数α,β,Kの少なくとも1つの係数を校正
用血圧測定によって得られた測定値に基づいて校正することを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明では、心電図を計測するECG計測手段と、末梢脈波計測手段と、
前記ECG計測手段及び末梢脈波計測手段の計測結果から脈波伝播時間を求めるPWTT計測手段と、
血液量算出手段と、
を備える血液量測定装置であって、
前記血液量算出手段は、
CO=(αK*PWTT+βK)*HR
式から血液量を求めることを特徴とする血液量測定装置。
但し、COは心拍出量、PWTTは心電図のR波から末梢まで脈波が伝播する時間である脈波伝播時間、HRは心拍数、α,β,Kは患者固有の係数である。
また、請求項4に記載の発明では、前記係数α,β,Kの少なくとも1つの係数を校正用血圧測定によって得られた測定値に基づいて校正する校正手段を備えることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の血液量測定装置を含むことを特徴とする生体信号モニタ装置。
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の生体信号モニタ装置と、血管収縮薬投与装置と、からなる生体信号モニタシステム。
請求項1〜8に記載の発明では、患者の循環動態の変動を非侵襲で連続的に常時監視す
ることができ、さらに、カテーテルの挿入など、熟練した医療従事者の技術が不要であり
、患者に対する苦痛が少なく、侵襲しないので感染の恐れがなく、且つ低コストの血液量
測定方法、測定装置及び生体信号モニタ装置が実現できる。
本発明で心臓の拍動により駆出される血液量(心拍出量)を測定する原理について以下
に説明する。
図1に示すウィンドケッセルモデルを用いると大動脈に収縮期に流入した流量、つまり
一回拍出量SVから収縮期に末梢に流れ出た流量Qsを差し引いた流量SV−Qsは、大動脈コンプライアンスCと脈圧(この明細書では、脈圧とは、収縮期血圧値と拡張期血圧値との差を云う。)PPで表される。
SV−Qs=C*PP 式1
拡張期に末梢に流れ出る流量Qdは、SV−Qsと等しい。
またQs、Qdはそれぞれ収縮期、および拡張期の動脈圧Vを血管抵抗Rで割って、収縮期時間Ts及び拡張期時間Tdを掛け合わせたものになるが、簡易的にそれぞれ、Ts、Tdに比例すると考えると、
( Qd = )SV−Qs=SV*Td/(Ts+Td) 式2
で表される。
式1、式2より
SV*Td/(Ts+Td)=C*PP
∴SV=C*PP*(1+Ts/Td) 式3
ここで、測定期間中、CとTs/Tdが変わらないとしてC*(1+Ts/Td)をKとおくと、
SV=K*PP 式4
∴PP=SV*1/K 式5
このようにウィンドケッセルモデルに従うと脈圧はSVに比例することになる。
実際には実測される脈圧PP1は式5に基づく脈圧PP2(式5ではPPとおいたが、以下の説明ではPP2とおく)と血管収縮薬を用いたときなどに見られる脈圧の増高分PP3から成り立ち式6のようになる。
PP1=PP2+PP3 式6
仮にPP3がないとしたら、式4、式6から
SV=K*PP1 式7
となり、実測した血圧からSVが実測できることになるが、血管収縮薬を用いるときなどはPP1がPP3を含んでしまうので、SVを過大に評価してしまう。
そのことが血圧からSVを算出する場合の問題点となっていた。
また、上述の如く、観血的に測定される動脈血圧波形から一回拍出量さらには心拍出量
を計算から求める装置の測定精度について、「手術後のICU(集中治療室)に入室した
患者において、血管収縮薬フェニレフリンの投与によって血管抵抗が約60%変化したときに先に示した装置の測定値は、スタンダードとして用いられている熱希釈方式の心拍出量計の測定値よりも顕著に高いバイアスが現れたので、そのようなに時には熱希釈方式の心拍出量計により再校正する必要があること。」が報告されている。尚血管収縮薬を用いるときなどは末梢側からの反射波の影響で脈圧が増高することが知られており、PP3はそれらに相当するものである。
心電図から末梢のSPO2脈波までの到達時間である脈波伝播時間(以下PWTT)は以下の成分から成り立つ。
PWTT=PEP+PWTT1+PWTT2 式8
ここで、図6に示す如く、PEPは心臓の前駆出時間で、心臓が電気的な興奮を開始して
から大動脈弁が開くまでの時間である。
また、PWTT1は大動脈弁が開いて大動脈に脈波が発生してから通常観血的に血圧測定等を行っている末梢側の動脈に伝播するまでの時間である。
また、PWTT2は脈波が末梢側の動脈からさらに末梢の光電脈波を計測している血管に伝播するまでの時間である。
我々は、成犬10頭でPEP+PWTT1としてECGのR波から大腿動脈脈波の立ち上がりまでの時間を測定して、PEP+PWTT1の時間と血圧の関係を血管収縮薬投与を条件として含んで、血管拡張薬投与や心臓の収縮力増強、心臓の収縮力減弱、脱血の各条件下で測定して、脈圧PP1とPEP+PWTT1の時間の間に良い相関のあることを見出した。
図2は、代表的なPWTTと脈圧(PP)(Pulse-Pressure)の関係を示す図である。
したがって、脈圧PP1とPEP+PWTT1の間の関係は式9のように表すことができる。
PEP+PWTT1=a*PP1+b 式9
またPWTT2とPP1の関係を式10のようにおいた。
PWTT2=c*PP1+d+e 式10
血管収縮薬を用いること等によりPP3が現れた時にはその他の条件の時に比べてPWTT2は、延長する傾向があることを見出したので、その延長に相当する分をeとおいた。(ここで、eは定数とは限らない。)
そこで、式8を式9、式10で書き換えると
PWTT=(a*PP1+b)+(c*PP1+d+e)
∴ PP1=1/(a+c)*(PWTT−b−d−e) 式11
式6におけるPP2に式5の右辺を代入すると
PP1=SV*1/K+PP3 式12
式11、式12より
1/(a+c)*PWTT−(b+d)/(a+c)=SV*1/K+PP3+e/(a+c)
∴SV=K*(1/(a+c)*PWTT−(b+d)/(a+c))−K*(PP3+e/(a+c)) 式13
上述の如く、血管収縮薬を用いるなどしてPP3が現れる時にはPWTT2が延長傾向になることを実験的に見出したので、その関係を図5に示す。
フェニレフリンを投与すると、図5に示す如く、PP3が現れて、PP1は増大していくが、
PWTT2 とPP1の間には脱血時やペントバルビタール投与時のような関係はもはやフェニレフリン投与時には見られなくなり、PWTT2は延長傾向になる。
したがって、図4のようにフェニレフリン投与時でもSVとPWTTの間には他の条件下と同様な負の相関関係が保たれているので、式13の右辺第二項 K*(PP3+e/(a+c))はほぼ無視できることを実験的に見出した。
そこで1/(a+c)=α、−(b+d)/(a+c)=β とおくと
SV=K*(α*PWTT+β) 式14
α、βは実験的に求められる患者に固有の係数である。
さらに心拍出量を以下の式で計算できる。
esCO= K*(α*PWTT+β)*HR 式15
ここでesCOはL/minで表される心拍出量であり、Kは実験的に求められる患者に固有な定数である。
なお、式15は式16のようにも置き換えられる。
esCO=(αK*PWTT+βK)*HR 式16
αK、βKは実験的に求められる患者に固有な係数である。
式14,式15及び式16のようにPWTTを用いてSV及びesCOを算出すると、図3に示すように血管収縮薬を用いるなどの脈圧が増高するような時でも、図4に示すようにSVとPWTTの間には他の条件と同様な関係が保たれているので、従来の血圧を用いてSVを算出する場合に見られる問題点が解決できる。
当然COも過大に評価されることはない。
図3、図4は動物実験で血管収縮時、脱血、心抑制時に測定したSVとPP1、及びSVとPWTTの関係である。
なお、フェニレフリン投与時には、60%を超える血管抵抗の増加があった。
次に、本発明に係る血液量測定方法を適用した生体信号モニタ装置の実施形態を、図面
を参照しながら詳細に説明する。
図7は生体信号モニタ装置の一実施形態の構成を説明するためのブロック図であり、図
8は、本発明に係る生体信号モニタ装置による測定形態の一例を説明する模式図である。
図6は、測定された各脈波の波形を示す図である。
収縮・拡張期血圧測定手段20は、図7に示すように、カフ25、加圧ポンプ27、圧
力センサ28、カフ圧検出部29、A/D変換器22等により構成されている。
具体的には、図8に示すように、カフ25を患者の上腕部に装着して測定を行う。
このカフ25は、生体信号モニタ装置本体10内に設けられた排気弁26によってその
内部が大気に対して開放または閉塞される。
また、カフ25には、生体信号モニタ装置本体10内に設けられた加圧ポンプ27によ
って空気が供給される。
生体信号モニタ装置本体10内には圧力センサ28(カフ脈波センサ)が取り付けられ
ており、このセンサ出力がカフ圧検出部29によって検出される。
このカフ圧検出部29の出力は、A/D変換器22によってディジタル信号に変換され
、心拍出量演算手段40に取り込まれる(図8においては、カフ圧検出部29、A/D変
換器22、心拍出量演算手段40は、生体信号モニタ装置本体10内に含まれる)。
図6(a)は心電図波形であり、心臓から出た直後の大動脈圧は、図6(b)に示すよ
うな波形となる。
また、図6(c)(d)に示すような末梢側動脈波形及び末梢脈波波形が得られる。
脈波伝播時間測定手段30は、図7に示すように、時間間隔検出基準点測定手段31、A/D変換器32、光電脈波検出センサ33、脈波検出部34、A/D変換器35、等により構成されている。
時間間隔検出基準点測定手段31は、心電図のR波の発生時点を検出するためのもので
あり、この検出部の出力は、A/D変換器32によりディジタル信号に変換されて、心拍
出量演算手段40に取り込まれる。
この時間間隔検出基準点測定手段31は、具体的には、図8に示すような、被験者の胸
部に装着される心電図電極31a(心電図測定手段)からなる。
この心電図電極31aと電気的に接続された測定データ送信器50から、測定データが
生体信号モニタ装置本体10に無線送信される。
この送信された測定データは、生体信号モニタ装置本体10内のA/D変換器32によ
りディジタル信号に変換されて、心拍出量演算手段40に取り込まれる。このようにして
、図6(a)に示すような心電図波形が得られる。
一方、光電脈波検出センサ33は、図8に示すように、指など患者の末梢部に装着し、
例えば、SPO2測定等を行い、脈波伝播時間を得るものである。
この光電脈波検出センサ33は、測定データ送信器50と電気的に接続され、測定デー
タ送信器50は、生体信号モニタ装置本体10に測定データを無線送信する。
この測定データが、生体信号モニタ装置本体10内の脈波検出部34に送られることで
、患者の装着部位の脈波(光電脈波)が検出される。
脈波検出部34の出力は、A/D変換器35によりディジタル信号に変換されて、心拍
出量演算手段40に取り込まれる。
このようにして、図6(d)に示すような光電脈波の波形(末梢部の波形)が得
られる。
次に、前記式16、esCO=(αK*PWTT+βK)*HRからesCOを求める演算処理について
図9〜12を用いて説明する。
先ず、初期値のαKを用いて、βKを校正で求めて、esCOを演算する手順を図9を用いて説明する。
・αKの初期値を読み込む。(ステップS1)
・PWTT及びHRを取得する。(ステップS2)
・次に、βKはあるか否かの判断をする。(ステップS3)
・ステップS3の判断がNOの場合には、校正用のCO値の入力要求を表示する。(ステップS4)
・校正用のCO値が入力されたか否かの判断をする。(ステップS5)
・ステップS5の判断でYESの場合には、入力されたCO値と、取得したPWTT及びHRを、CO1,PWTT1及びHR1としてレジスタに格納する。(ステップS6)
・βK=CO1/HR1−αK*PWTT1の式によりβKを求める。(ステップS7)
・求めたβKを用いて、esCO=(αK*PWTT+βK)*HRからesCOを求める演算する。(ステップS8)
・ステップS3の判断がYESの場合も同様に、esCO=(αK*PWTT+βK)*HRからesCOを求める演算する。(ステップS8)
・演算で求めたesCOを表示する。(ステップS9)
上記処理を逐次繰り返す。
次に、αK及びβKを校正で求めて、esCOを演算する手順を図10を用いて説明する。
・αKの初期値を読み込む。(ステップS1)
・PWTT及びHRを取得する。(ステップS2)
・次に、βKはあるか否かの判断をする。(ステップS3)
・ステップS3の判断がNOの場合には、校正用のCO値の入力要求を表示する。(ステップS4)
・校正用のCO値が入力されたか否かの判断をする。(ステップS5)
・ステップS5の判断でYESの場合には、入力されたCO値と、取得したPWTT及びHRを、CO1,PWTT1及びHR1としてレジスタに格納する。(ステップS6)
・βK=CO1/HR1−αK*PWTT1の式によりβKを求める。(ステップS7)
・求めたβKを用いて、esCO=(αK*PWTT+βK)*HRからesCOを求める演算する。(ステップS8)
・ステップS3の判断がYESの場合αKの再校正を行うか否かの判断をする。(ステップS10)
・ステップS10の判断でNOの場合には、上記と同様に、esCO=(αK*PWTT+βK)*HRからesCOを求める演算する。(ステップS8)
・ステップS10の判断がYESの場合には、校正用のCO値の入力要求を表示する。(ステップS11)
・校正用のCO値が入力されたか否かの判断をする。(ステップS12)
・ステップS12の判断でYESの場合には、入力されたCO値と、取得したPWTT及びHRを、CO2,PWTT2及びHR2としてレジスタに格納する。(ステップS13)
・αK及びβKを
CO1=(αK*PWTT1+βK)*HR1
CO2=(αK*PWTT2+βK)*HR2
の2式より算出する。(ステップS14)
・求めたαK及びβKを用いて、esCO=(αK*PWTT+βK)*HRからesCOを求める演算する。(ステップS8)
・ステップS10の判断でNOの場合には、上記と同様に、esCO=(αK*PWTT+βK)*HRからesCOを求める演算する。(ステップS8)
・演算で求めたesCOを表示する。(ステップS9)
上記処理を逐次繰り返す。
また、αが初期値で、β及びKを校正で求めて、esCOを演算する手順を図11を用いて説明する。(βの校正は、血管収縮薬投与等による脈圧の増高がない時に行う。)
・αの初期値を読み込む。(ステップS1)
・PWTT及びHRを取得する。(ステップS2)
・次に、βはあるか否かの判断をする。(ステップS15)
・ステップS15の判断でNOの場合には、校正用血圧測定要求を表示する。(ステップS16)
・校正用血圧測定が行われたか否かの判断をする。(ステップS17)
・ステップS17の判断でYESの場合には、測定されたPP値と、取得したPWTT及びHRをPP1,PWTT1,HR1としてレジスタに格納する。(ステップS18)
・β=PP1−α*PWTT1の式によりβを算出する。(ステップS19)
・ステップS15での判断がYESの場合及び、ステップS19でβを算出した後に、Kがあるか否かの判断をする。(ステップS20)
・ステップS20での判断がNOの場合には、校正用のCO値の入力要求を表示する。(ステップS21)
・校正用のCO値が入力されたか否かの判断をする。(ステップS22)
・ステップ22の判断でYESの場合には、入力されたCO値をCO1としてレジスタに格納する。(ステップS23)
・K=CO1/(α*PWTT1+β)*HR1の式によりKを求める。(ステップS24)
・ステップS20での判断がYESの場合及び、ステップS24でKを算出した後に、
esCO=K*(α*PWTT+β)*HRの式からesCOを求める演算する。(ステップS25)
・演算で求めたesCOを表示する。(ステップS26)
上記処理を逐次繰り返す。
また、α,β及びKを校正で求めて、esCOを演算する手順を図12を用いて説明する。
(α,βの校正は、血管収縮薬投与等による脈圧の増高がない時に行う。)
・αの初期値を読み込む。(ステップS1)
・PWTT及びHRを取得する。(ステップS2)
・次に、βはあるか否かの判断をする。(ステップS15)
・ステップS15の判断でNOの場合には、校正用血圧測定要求を表示する。(ステップS16)
・校正用血圧測定が行われたか否かの判断をする。(ステップS17)
・ステップS17の判断でYESの場合には、測定されたPP値と、取得したPWTT及びHRをPP1,PWTT1,HR1としてレジスタに格納する。(ステップS18)
・β=PP1−α*PWTT1の式によりβを算出する。(ステップS19)
・ステップS15の判断でYESの場合には、αを再校正するか否かの判断をする。(ステップS27)
・ステップS27の判断でYESの場合には、校正用血圧の測定要求を表示する。(ステップ
S28)
・校正用血圧測定が行われたか否かの判断をする。(ステップS29)
・ステップS29の判断でYESの場合には、測定されたPP値と、取得したPWTT及びHRをPP2,PWTT2,HR2としてレジスタに格納する。(ステップS30)
・PP1=α*PWTT1+β
PP2=α*PWTT2+β
の2式よりα及びβを算出する。(ステップS31)
・ステップS27の判断がNOの場合及び、ステップS19及びステップS31の処理後、Kはあるか否かの判断をする。(ステップS20)
・ステップS20での判断がNOの場合には、校正用のCO値の入力要求を表示する。(ステップS21)
・校正用のCO値が入力されたか否かの判断をする。(ステップS22)
・ステップS22の判断でYESの場合には、入力されたCO値をCO1としてレジスタに格納する。(ステップS23)
・K=CO1/(α*PWTT1+β)*HR1の式によりKを求める。(ステップS24)
・ステップS20での判断がYESの場合及び、ステップS24でKを算出した後に、
esCO=K*(α*PWTT+β)*HRの式からesCOを求める演算する。(ステップS25)
・演算で求めたesCOを表示する。(ステップS26)
上記処理を逐次繰り返す。
なお、校正用血圧測定を行わずに、他の血圧計で測定した血圧値をキー入力しても良い。
また、末梢の脈波はSpO2脈波以外にも容積変化を表すものを含む。
請求項1〜8に記載の発明では、患者の循環動態の変動を非侵襲で連続的に常時監視す
ることができ、さらに、カテーテルの挿入など、熟練した医療従事者の技術が不要であり
、患者に対する苦痛が少なく、侵襲しないので感染の恐れがなく、且つ低コストの血液量
測定方法、測定装置及び生体信号モニタ装置が実現できるので産業上の利用可能性は極め
て大きい。
本発明に適用されるウィンドケッセルモデルを示す図である。 代表的なPWTTと脈圧(PP)(Pulse-Pressure)の関係を示す図である。 動物実験で血管収縮時、脱血、心抑制時に測定したSVとPP1の関係を示す図である。 動物実験で血管収縮時、脱血、心抑制時に測定したSVとPWTTの関係を示す図である。 動物実験で血管収縮時、脱血、心抑制時に測定したPP1とPWTT2の関係を示す図である。 PEP,PWTT1,PWTT2,PWTTの関係を示す図である。 生体信号モニタ装置の一実施形態の構成を説明するためのブロック図である。 心電図計測手段及び末梢脈波検出手段の患者への装着状態の1例を示す図である。 初期値のαKを用いて、βKを校正して、esCOを演算する手順を示すフローチャートである。 αK,βKを校正して、esCOを演算する手順を示すフローチャートである。 初期値のαを用いて、β,Kを校正して、esCOを演算する手順を示すフローチャートである。 K,α,βを校正して、esCOを演算する手順を示すフローチャートである。
符号の説明
17 入力手段
20 収縮・拡張期血圧測定手段
22 A/D変換器
25 カフ
26 排気弁
27 加圧ポンプ
28 圧力センサ
29 カフ圧検出部
30 脈波伝播時間測定手段
31 時間間隔検出基準点測定手段
32 A/D変換器
33 光電脈波検出センサ
34 脈波検出部
35 A/D変換器
36 脈拍周期検出手段
40 心拍出量演算手段
41 表示部
42 アラーム

Claims (6)

  1. 脈波伝播時間から心拍出量を求める血液量測定方法であって、
    CO=(αK*PWTT+βK)*HR
    式から心拍出量を求めることを特徴とする血液量測定方法。
    但し、COは心拍出量、PWTTは、心電図のR波から末梢まで脈波が伝播する脈波伝播時間、HRは心拍数、α,β,Kは患者固有の係数である。
  2. 前記係数α,β,Kの少なくとも1つの係数を校正用血圧測定によって得られた測定値
    に基づいて校正することを特徴とする請求項1に記載の血液量測定方法。
  3. 心電図を計測するECG計測手段と、末梢脈波計測手段と、
    前記ECG計測手段及び末梢脈波計測手段の計測結果から脈波伝播時間を求めるPWTT計測手段と、血液量算出手段と、を備える血液量測定装置であって、
    前記血液量算出手段は、
    CO=(αK*PWTT+βK)*HR
    式から血液量を求めることを特徴とする血液量測定装置。
    但し、COは心拍出量、PWTTは心電図のR波から末梢まで脈波が伝播する時間である脈波伝播時間、HRは心拍数、α,β,Kは患者固有の係数である。
  4. 前記係数α,β,Kの少なくとも1つの係数を校正用血圧測定によって得られた測定値
    に基づいて校正する校正手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の血液量測定装置
  5. 請求項3又は4に記載の血液量測定装置を含むことを特徴とする生体信号モニタ装置。
  6. 請求項5に記載の生体信号モニタ装置と、血管収縮薬投与装置と、からなる生体信号モニタシステム。
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