JP4741064B2 - 光符号分割多元接続方式の送受信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多重通信方式の光通信システムに係り、特に光符号分割多元接続方式の送受信システムの符号誤り特性を改善するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムにおける多重通信方式としては、時分割多重(Time Division Multiplex,TDM)、波長多重(Wavelength Division Multiplex,WDM)、符号分割多重(Code Division Multiplex,CDM)等の方式があるが、それらの中でもフレキシブルな多元接続が可能な光符号分割多元接続(Optical Code Division Multiplex Access,OCDMA「以下光CDMAと呼ぶ」)方式の研究が盛んであり、WDMにおける波長の割当てや、TDMにおけるタイムスロットの割当てなどが必要でなく、ランダムアクセスが可能である。
【0003】
図5は従来の光CDMAシステムを示す。同図において、1はデータ源、2は光CDMAエンコーダ、3は光カプラ、5は光ファイバ、6は光CDMAデコーダ、7はデータ復号器である。
【0004】
一般的な光CDMAシステムでは、図5に示すように、各ユーザが同時に同じ通信路(ファイバ)5を用い、ユーザは、光CDMAエンコーダ2により与えられた固有の符号(シーケンス)にデータ源1からの情報ビットを変換(符号化)し、光カプラ3を介してシーケンスを送信することで多元接続可能にする。このシーケンスは0もしくは1の光パルスから成る(0,1)コードである。受信側では、光CDMAデコーダ6により光受信信号とシーケンスの相関をとり、データ復号器7により得られた相関パルスの閾値判定を行い情報ビットを復号する。したがって、光CDMAシステムの性能はこのシーケンスの自己相関と相互相関の特性に大きく依存する。OCDMAシステムに適した符号には、光直交符号(Optical Orthogonal Code,OOC)がある。また、マルチメディア通信のようなデータ、音声、映像など、伝送する情報のソースに応じたデータレートとビット誤り率が要求される光CDMAシステムのためにマルチレートを実現する方法としてシーケンス長を変える方法や1ユーザに複数シーケンスを割当てる方法が提案されている。
【0005】
一般の光CDMAシステムの多重化信号伝送方法としては、各ユーザ信号4を光カプラ3で単純に加算して通信路の光ファイバ5に伝送する方法が考えられている。そのため、ある時点において複数の干渉信号の光パルスが重なると、強度の大きいパルスが発生し、強度の大きい光パルスが所望ユーザの相関値に影響する時点に発生すると、相関値が判定閾値を越え、誤って復号される確率が高く成る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光CDMAシステムでは、すべてのユーザが等しい強度の送信光を送るものであった。したがって、すべてのユーザの送信における誤り率が等しくなり、マルチメディアのように所望誤り率が異なる信号に対応することが難しくなる。また、すべてのユーザの誤り率を小さくするには信号の多重度を小さくする必要がある。
【0007】
ユーザ信号の多重化伝送方法として光カプラを用いているために、所望ユーザ信号に他ユーザ信号の光パルス強度が、単純加算される。したがって、ユーザ信号の光パルスの強度比を大きくすると、強度の大きいユーザの誤り率は改善されるが、強度の小さいユーザの誤り率が悪くなるという問題が発生する。
【0008】
そこで本発明の目的は、光CDMA方式の送受信システムにおいて、伝送信号の誤り率を改善し、かつ伝送信号の多重度を高めるなど光多重通信システムの特性を改善することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の光符号分割多元接続方式の送受信システムは、複数の光パルスが入力され、誤り率に応じて可変された瞬時光パルス強度が最大である光パルスを選択することにより前記複数の光パルスを多重化した多重化信号を出力する瞬時最大値出力器を有する送信機と、前記多重化信号を受信し、受信した前記多重化信号から取り出したい所望信号の強度に応じた閾値を有し、該閾値に応じて所望信号を取り出す光ハードリミッタを有する受信機と、を備えたことを要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
従来のシステムでは所望誤り率が異なる信号を光CDMAシステムに混在させ多重伝送することは難しかったので、本発明では送信光の強度を送信信号の誤り率に応じて可変にすることにより、様々な所望誤り率の信号を混在させて多重伝送することを可能にした。
【0013】
また、ユーザ信号の多重化には光カプラが用いられており、全ユーザの信号が単純に加算されるために、各ユーザが光パルス強度を自由に選択した場合に、強度が大きいユーザ信号による他ユーザの信号への干渉が大きくなった。そこで、本発明では他ユーザからの干渉を抑制し、ビット誤り率の改善を図るために、光パルス強度セレクタを用いる。
【0014】
更に、本発明では、当該セレクタを送信側に設定し、通信路(ファイバ)を経由して受信側にハードリミッタを設定して光パルス送受信システムを構成することによりビット誤り率特性の改善を図ることができる。
【0015】
上述したように、まず、本発明では光CDMAシステムにおいて送信光の強度を可変にして、所要誤り率が小さい(高品質)信号においては送信信号光の強度を大きくし、また、所要誤り率が大きくてもよい信号の送信信号光の強度を小さくできる。これにより、受信側では所要誤り率が小さい信号は誤り率が小さく、また、所要誤り率が大きい信号は誤り率がわずかに大きくなるものの要求を満たした誤り率の信号として受信できる。
このように各信号で要求される誤り率に応じた信号とすることにより、すべての信号の品質を高めてより伝送信号の多重度を大きくすることができる。
【0016】
また、光CDMAシステムのような多重通信システムにおいてはあるユーザの信号は他ユーザの信号の干渉となり、品質を劣化させる大きな要因となる。本発明においては、光セレクタを用いることにより光強度の最大値の信号を送信することになる。これにより、光ファイバには、すべての多重化された信号を受信するために必要最小限の信号のみを送ることになる(これに対し、従来法では光カプラで単純にすべての信号を加算していたため、不必要な信号まで送っていた。)。すなわち、他ユーザにとって干渉となる信号成分が最小化されることになり、すべてのユーザにとり誤り率を最小化することができる。
【0017】
更に、本発明では、受信側で光ファイバの受光端にハードリミッタをつけることにより、受信側においても信号の判定前に除去できうる干渉成分を除去でき、誤り率を小さく、また、多重度を高めるなど、システムの特性を改善することができる。
【0018】
【実施例】
図1は本発明による光CDMA方式の送受信システムの一実施例を示す。同図において、1はデータ源、2は光CDMAエンコーダで、その光源2aは光強度可変の光源であり、誤り率の小さい高品質の信号を送信する場合には、光強度を大きく、また誤り率が大きくてもよい信号を送信する場合には光強度を小さくする。データ源1からのデータの情報ビットは光エンコーダ2により、所定シーケンスの光強度可変の光パルスから成る送信信号光に変換され、光セレクタ9に入力されるが、該光セレクタ9には他のユーザの送信信号光4も入力されて多重化して出力する。
【0019】
光セレクタ9は複数の入力チャンネルの送信信号光を多重化する機能を有するが、従来の光カプラとは違って各入力チャンネルの送信信号光の光パルスのうち最も強度の大きい光パルスのみを光ファイバ5に出力する。
【0020】
図2は光セレクタによる3チャンネル入力の送信信号光の光パルスの多重化の様子を示す。同図において、P1〜P3は各チャンネル入力の光パルスを表わし、夫々の高さが光パルス強度を表わす。図2のように、信号光の多重化を光セレクタで行うと、同時に入力された3チャンネルの光パルスのうち最大の強度を有するチャンネルの光パルスを選択して多重化した出力光パルスP4を通信路5に伝送する。
【0021】
受信側では、入力される光パルスを、まず、光ハードリミッタ10で前処理され、光ハードリミッタ10の閾値に強度が達しない光パルスは後段の光CDMAデコーダ6に送られない。強度が上記閾値以上の光パルスは強度1の光パルスに変換され、後段の光CDMAデコーダ6に送られる。
【0022】
図3は光ハードリミッタの作用の様子を示す。同図において、10aは閾値が1の光ハードリミッタ、10bは閾値が2の光ハードリミッタで、上記出力光パルスP4が各光ハードリミッタに並列に入力され、夫々の光ハードリミッタからP5,P6の光パルスが出力される。図3から明らかなように、閾値が2の光ハードリミッタ10bを通った光パルスP6は強度1の光パルスの干渉が排除されている。
【0023】
上述したように、本発明では、送信信号光の多重化において、光パルスの強度を単純に加算することなく、光ハードリミッタを用いて閾値に達しない光パルス強度の信号による干渉を除去できる。
【0024】
図4は光セレクタ9の具体的構成例として2チャンネルの入力光パルスの強度セレクタを示す。同図において、9a及び9bは閾値が2の光ハードリミッタ、9c〜9fは閾値が1の光ハードリミッタ、9g〜9iは光カプラである。
上記各光ハードリミッタの閾値は、各信号光強度に応じた値に設定される。また入力チャンネル数Nに応じて光ハードリミッタの数と光カプラの数はNとなる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、受信側では所要誤り率が小さい信号は誤り率が小さく、また、所要誤り率が大きい信号は誤り率がわずかに大きくなるものの要求を満たしたり誤り率の信号として受信できる。このように各信号で要求される誤り率に応じた信号とすることにより、すべての信号の品質を高めるより多重度を大きくすることができる。
【0026】
また、光セレクタを用いることにより、光強度の最大値を送信することになる。これにより、光ファイバに送られる光は、すべての多重化された信号を受信するために必要最小限の信号のみを送ることになり、特性の劣化要因である干渉を抑えることができる。その結果、誤り率特性や多重度が向上する。
【0027】
更に、受信側で光ファイバの受光端にハードリミッタを設けることにより、受信側においても信号の判定前に除去できうる干渉成分を除去でき、誤り率を小さく、また、多重度を高めるなど、システムの特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光CDMAシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】光セレクタによる光パルスの多重化の様子を示す説明図である。
【図3】光ハードリミッタの作用の様子を示す説明図である。
【図4】光セレクタの具体的構成例を示すブロック図である。
【図5】従来の光CDMAシステムの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 データ源
2 光CDMAエンコーダ
5 光ファイバ
6 光CDMAデコーダ
7 データ復号器
9 光セレクタ
10 光ハードリミッタ
Claims (1)
- 複数の光パルスが入力され、誤り率に応じて可変された瞬時光パルス強度が最大である光パルスを選択することにより前記複数の光パルスを多重化した多重化信号を出力する瞬時最大値出力器を有する送信機と、
前記多重化信号を受信し、受信した前記多重化信号から取り出したい所望信号の強度に応じた閾値を有し、該閾値に応じて所望信号を取り出す光ハードリミッタを有する受信機と、
を備えたことを特徴とする光符号分割多元接続方式の送受信システム。
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