JP4740453B2 - 同心シール面を有する非接触型メカニカルフェースシール - Google Patents

同心シール面を有する非接触型メカニカルフェースシール Download PDF

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Description

【0001】
(発明の属する技術分野)
本発明は、一般に、ハウジングと回転軸との間に流体シール(密封又は封止)を設定するためのシールに関し、特に、両シール面の一部分と一部分の間に流体を導入するようになされたメカニカルフェースシールに関する。
【0002】
(従来の技術)
従来のメカニカルシールは、回転軸と静止ハウジングとの間に圧力密及び流体密のシール(封止)を設定するために広範囲な機械類で使用されている。シールは、静止ハウジング内に取り付けられ、かつ、そこから延長している回転軸の周りに配置される。シールは、典型的な例ではハウジングの軸出口にボルトによって固定され、それにより加圧されたプロセス流体がハウジングから漏出するのを防いでいる。従来のメカニカルシールには、軸の周りに同心的に、かつ、互いに軸方向に離隔して配置された1対の環状シールリングを具備した面型のメカニカルシールがある。各シールリングは、互いに物理的に接触するように付勢(偏倚)されたシール面を有する。通常は、一方のシールリングは静止し、他方のシールリングは軸に接触して軸と共に回転する。メカニカルシールは、シールリングのシール面を互いに物理的に接触させるように付勢することにより、加圧された流体が外部環境に漏れ出すことを防止している。面間が繰り返して物理的に接触する結果、シール面の摩耗が生じ、シールは、通常、望ましくない摩耗特性を示し、かつ、漏洩を生じる。
【0003】
従来技術は、シールリング面の間に流体を介在させて摩擦による摩耗を減少させる非接触メカニカルシールを使用することにより、上記の問題点を解決することを試みている。従来の非接触メカニカルフェースシールは、代表的な例では、シールリングの一方のシール面に形成したらせん溝、又は、ローリー段溝のようなポンプ作用溝を使用して、シール面を分離する流体動力学的な持ち上げ力を生じさせている。得られる間隙は、流体がシール面間に配置されるようにして、シール面の摩擦と摩耗を防止する。
【0004】
しかし、従来の非接触フェースシールは、ある性能面で最適とはいえない欠点を有する。例えば、シール面の流体動力学的な分離を得るために主として回転に依存するような非接触シールの設計では、始動時間、又は、軸の低速回転時間中に相当な量のシール面摩耗が起こりうる。このため、これらの従来の非接触メカニカルフェースシールは低速運転あるいは軸の頻繁な始動・停止を必要とする条件に対しては不適当である。
【0005】
純粋に流体動力学的な非接触フェースシールに関連した問題を解決するために、流体静力学的及び流体動力学的なシールの組み合わせが設計されている。このような複合シールは、シール面の流体動力学な分離を行うために静圧力に依存することにより流体静力学的分離と回転を行っている。このような複合シールの性能はシール面間に形成される流体間隙の厚みが回転速度に依存して有意に変動するので、最適とはいえない。かかる従来の複合シールは、らせん溝により提供される実質的な大きさのポンプ力のために、流体静力学的動作(非回転)と流体動力学的動作(回転)の間で流体フィルム厚の実質的な差を生じる。高速度でシール面の間に形成される一層大きい間隙は、所望される以上の漏洩をシール面に沿って生じる。
【0006】
かなりの数の従来型非接触フェースシールは3個以上のシールリングが軸の軸方向に配置された二重シール構造を使用している。このような二重シールは背中合わせで、あるいは向き合って、あるいは縦列構造で配置することができ、典型的にはシールリングの外径部に高圧バリヤー流体を使用する一方、シールリングの内径部にプロセス流体を維持する。バリヤー流体はシールリングの一方に形成したポンプ作用溝を介してシール面に導入される。
【0007】
二重非接触シールは、又、多くの性能面で最適とはいえないことが分かっている。シールの内径部でプロセス流体を封じると、シール面の間にプロセス流体内の汚染物又は他の粒子が存在する結果となり、それによりシールの動作に干渉することがある。更に、バリヤー流体圧力が失われると、ある種の二重シール構造は流体密なシールを維持しなくなり、プロセス流体の漏洩を生じる。二重シール内に追加のシールリングを使用すると、過分にかさばったシールとなり、軸に沿った軸方向の空間が制限されている用途には望ましくない。更に、二重シールは通常ハウジングを修正してシールの増大した寸法を収容することを必要とし、その結果シールの設置と保守が複雑となり、かつ、費用がかさむことになる。
【0008】
上記のように、非接触フェースシールの動作中には、シール面の分離が生じて流体が流れる間隙が形成される。封止流体の流通は避けがたいので、一般に従来のシステムではシール面に沿った流体の漏洩量は制限することが望まれる。
【0009】
従来のメカニカルシールは、典型的な例では、静止シールの後面に二次シール組立体を取り付け、それにより静止シールリングの面を回転シール面に向けて偏倚させている。二次シール組立体は、ばねと、スペーサと、O−リングとを有する。O−リングは一般にスペーサプレートと、静止シールリングと、流体ハウジングとの間に取り付けられる。封止するO−リングが取り付けられる領域はO−リングを望ましくない程度に軸方向及び半径方向に撓ませ、かくして流体はシールリングの流体ハウジング又は他の部材に対する摩擦係合を相当に増大させる。ばね及びプレートは静止シールリングを回転シールリングに対して偏倚させることにより、リングを互いに相対移動させる軸方向の偏倚力を発生する。
【0010】
これらの二次シールの欠点は、シール面のハングアップ(「引っ掛かり」又は「詰まり」)と呼ばれる現象のため、静止シールリングが回転シールリングを精密に追跡できないことである。これは典型的な例では動作中に発生する膨張、収縮又は他の典型的なシールリングの運動により、ロータが静止シールリングからかなり離隔したときに起きる。二次シールO−リングの摩擦係合は、そのシールリングが回転シールリングを追跡しないようにし、それによりこの間隙を閉鎖しないようにする。この問題はメカニカルシールが遮断されたときに悪化し、ロータはステータから軸方向に離隔する。次いでシールが始動したとき、シール面の分離が過剰なシール漏れを生じる。ある場合には、メカニカルシールはシールリングが適正な封止を行うとすることに抵抗する。そうするとシール部品の交換が必要となる。
【0011】
(発明が解決しようとする課題)
上記の、及びその他の従来技術によるシールは最適とはいえないことが分かっているので、本発明の目的は、広範囲な動作範囲で動作しうる改良された非接触メカニカルフェースシールを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、軸速度にあまり依存しない流体密な封止を維持する非接触メカニカルフェースシールを提供することである。
【0013】
本発明の更に他の目的は、低い軸速度でシール面の接触を極小にし、軸の頻繁な始動及び停止を要する用途に適した非接触メカニカルフェースシールを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、小型の構造で、ハウジングの修正なしに設置できる非接触フェースシールを提供することである。
【0015】
本発明の更に他の目的は、流体静力学的及び流体動力学的動作の利益を同時に提供できる非接触型メカニカルシールを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、O−リングの履歴現象を緩和するシール構造を有する非接触型メカニカルシールを提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、シール部材に対して比較的低い摩擦係合をすることにより、シールリングが使用中に適正な間隙を維持できるようにする二次シール組立体を提供することである。
本発明の他の目的は、図面及び以下の説明から明らかになろう。
【0018】
(課題を解決する手段)
本発明のこれら及び他の目的は、ハウジングと回転軸の間に流体シールを行う本発明のメカニカルシールにより達成されるもので、本発明のシールは低い軸速度での動作を含めて広範囲な動作に適している。このシールはシール面の間に流体、好ましくはバリヤー流体を導入するための備えを有する非接触型シールであることが好ましい。本発明のシールは第1シール面を有する第1シールリングと、第2シール面を有する第2シールリングとを含んでいる。第1シールリングの第1の表面と第2シールリングの第2の表面はプロセス流体のような第1流体に露出される。両シール面間の接触を阻止する開放力が第1シール面と第2シール面の間に発生する。シールは更に、両シール面に作用する開放力を、両シール面間に導入される流体の圧力と第1流体の圧力の間の差の関数として調整するための手段を有する。
【0019】
好ましい実施例では、第1シールリングの第1の表面及び第2シールリングの第2の表面はシールの半径方向外側表面である。このようにして、第1流体はシールの半径方向外側の表面で保持される。別法として、第1流体はシールの半径方向内側の表面により維持されても良い。
【0020】
本発明のシールは、又、シールリングの一つの上に閉鎖力を生じさせる手段を含むことができる。好ましくは、シールは更に開放力の閉鎖力に対する比を、シール面の間に導入される流体と第1流体との間の圧力差の関数として調整する手段を含む。
【0021】
本発明のメカニカルシールは、好ましくは、第1シール面の第2の部分に形成された複数のポンプ作用溝を使用して、第1シール面の少なくとも一部と第2シール面の少なくとも一部との間に流体動力学的な流体力を与える。バリヤー流体が第1シール面に形成されたポンプ作用溝に導入され、ポンプ作用溝と流体とにより、第1及び第2シール面の間に、第1シール面の少なくとも一部と第2シール面の少なくとも一部を選択的に分離する流体静力学的及び流体動力学的流体力を発生する。
【0022】
好ましい実施例では、複数の通路を第2シールリングの内部に形成して第1シール面に形成されたポンプ作用溝にバリヤー流体を導入することができる。各通路は一端で第2シール面に開口し、他端で流体供給源に連通することができる。第2シール面には円周方向の溝を形成して、これらの通路が第2シール面上の円周方向の溝に開口するように位置づけても良い。円周方向溝及び通路は好ましくは第1シール面に形成されたポンプ作用溝の少なくとも一部に連通し、それによりこれらの通路及び円周方向溝が流体をポンプ作用溝に供給して流体動力学的流体力を発生するようにする。
【0023】
好ましい実施例では、本発明のシールは、更に、溝に導入されるバリヤー流体の圧力を調整することによりシール面の分離を制御する流体制御手段を含むことができる。好ましくは、流体制御手段はシールの作動中にプロセス流体圧力を超えてバリヤー流体の圧力を調整することにより、シール面間に形成される間隙の厚さを調整する。
【0024】
本発明のメカニカルシールは、第1シールリングを回転軸に固定するためのスリーブを含むことができる。スリーブはフランジ付き端部を有し、回転軸の回りにほぼ同心的に取り付けられるような寸法を有する。シールは更にスリーブ(従って第1シールリング)を回転軸に固定するためにスリーブの周りに同心的に取り付けられた環状ロックリングを含むことができる。ロックリングは回転軸に摩擦係合するファスナーを受けるためにその中に形成された複数の開口を有し、それによりロックリングとスリーブを軸に固定することができる。
【0025】
本発明のメカニカルシールは、軸の周りでハウジングに取り付けられる寸法を有するグランド(パッキン押さえ)組立体を含むことができる。グランド組立体は第2シールリングに結合されていて、第2シールリングをハウジングに結合し、そして、これにより第2シールリングの回転を抑制する。グランド組立体は軸方向の内外側グランドプレートを有することができる。O−リングのような弾性部材が内側グランドプレートと外側グランドプレートとの間に介在されて両者間に封止を形成する。
【0026】
O−リングのような弾性部材を第2シールリングとグランド組立体との間に挿入して第2シールリングとグランド組立体との間を封止することができる。弾性部材を第2シールリングとグランド組立体に接触させるように軸方向及び半径方向に偏倚させるために圧縮部材を使用してもよい。圧縮部材は好ましくは弾性部材に係合する環状内側フランジ部を有する環状圧縮プレートである。内側フランジ部は弾性部材を第2シールリング及びグランド組立体と接触させるように半径方向及び軸方向に偏倚させるための軸方向及び半径方向に延びる傾斜表面を備えることができる。
【0027】
本発明のメカニカルシールは、随意選択として、閉鎖用流体を第2シールリングの後面に導入して第2シールリングに閉鎖力を与える手段を有してもよい。閉鎖力は好ましくは第2シール面が第1シール面に重畳(オーバーラップ)する部分に作用する。この閉鎖用流体手段は外側グランドプレート内に形成された流体管路であって、一端が第2シールリングの後面近くに開口し、他端で流体供給源に連絡している流体管路を含む。好ましくは、共通の流体供給源が閉鎖用流体手段への閉鎖用流体と、シール面に導入するバリヤー流体との両者を供給する。
【0028】
本発明は、又、第1シールリング、第2シールリング、及びグランド組立体と共に使用するための、本発明の二次シール組立体を具備することができる。二次シール組立体は前面と後面とを有する圧縮部材と、圧縮部材の後面とグランド組立体の内表面との間に介在されて圧縮プレートを軸方向に偏倚させる弾性部材と、圧縮部材の前面と第1シールリングの後面との間に介在するシール部材とを含む。圧縮部材の前面はシール部材に軸方向及び半径方向のシール力を付与するように構成されている。この軸方向及び半径方向のシール力は、シール部材を第1シールリング及びグランド組立体の内表面と密封係合させることにより第1シールリング及びグランド組立体との間の流体漏れを防ぐ。
【0029】
圧縮部材の前面は、任意に第1表面及びそれに対して傾斜する第2表面を有してもよい。好ましい実施例では、第1表面と第2表面の角度は鈍角をなし、そのため、第2表面が半径方向と軸方向の力をシール部材に及ぼす。又、第1及び第2表面間の角度は、シール部材に加わる半径方向の力を最小にし、同時にシール部材をグランド部材の内側表面に接触させておくように選択されることが好ましい。このようにして、シール部材と第1シールリング、及びグランド組立体の間の摩擦力が最小になる一方で、第2シールリングとグランド組立体の間の流体密封をを維持することができる。摩擦力を最小にすることにより、シール部材による第1シールリングのハングアップが阻止される。
【0030】
好ましい実施例では、第1シールリングの後面及び圧縮部材の前面はシール部材を受けるチャンバーを形成する。チャンバーと二次シール組立体はシールの動作中にシール部材の軸方向の熱膨張を許容する。このようにして、シール部材と第1シールリングの間に増大した摩擦力を生じるチャンバー内でのシール部材の望ましくない圧縮は防止される。
【0031】
本発明は、又、低い軸速度を含む広範囲の動作条件で動作するのに適したメカニカルシールを提供する。シールは好ましくはシール面の一つの一部に流体静力学的な動作を与え、シール面の他の部分に静流体及び流体動力学的な動作を与える非接触シールであることが好ましい。従って、本発明のメカニカルシールは、流体静力学的な流体力にのみ露呈されるシール面の部分を有する事により、軸速度とは独立して、シール面の部分的な、又は、完全な分離を可能にする。このようにして、始動時又は低軸速度におけるシール面間の接触は最低限に抑制されるか、又は完全に無くなり、シール面の摩擦が減じる。更に、本発明のメカニカルシールは高軸速度において流体動力学的な動作の利点を提供し、それによりシールに対する有利な動作条件の範囲を拡大する。
【0032】
好ましい実施例では、本発明のメカニカルシールは第1シール面を有する第1シールリングと、第2シール面を有する第2シールリングとを含んでいる。第一シール面は更に第1部分と第2部分を有する。第1及び第2シールリングは組み付けられると互いに対向する。シールリングの一方は回転軸と共に回転するように適合し、他方のシールリングは回転を抑制される。両シール面は主として第1シール面の第1部分の少なくとも一部と第2シール面の少なくとも一部との間に流体静力学的流体力を生じる。更に、シール面は第1シール面の第2部分の少なくとも一部と第2シール面の少なくとも一部との間に流体動力学的流体力と流体静力学的流体力とを生じる。
【0033】
好ましくは、第1シールリングは、第1の半径方向に延びる外側シール面を第1シール面の第1部分に有し、又、第2の半径方向に延びる内側シール面を第1シール面の第2部分に有する。これら第1外側シール面と第2シール面はほぼ同一平面内にある。好ましくは、第2シール面は第1シールリングの内側及び外側シール面の一部にオーバーラップ(重畳)し、これにより両シールリングは流体静力学的流体力と流体動力学的流体力を、シール面のオーバーラップによりダム部分が形成される結果として発生することができる。第1外側シール面は第1シール面の外側円周部分に沿って配置され、第2内側シール面は第1シール面の内側円周部分に沿って配置され、それにより単一シールリングの面に二重同心シールを形成することができる。
【0034】
本発明のメカニカルシールは、好ましくは、第1シール面の第2の部分に形成された複数のポンプ作用溝を使用して、第1シール面の少なくとも一部と第2シール面の少なくとも一部との間に流体動力学的な流体力を与える。バリヤー流体が第1シール面に形成されたポンプ作用溝に導入され、ポンプ作用溝と流体とにより、第1及び第2シール面の間に、第1シール面の少なくとも一部と第2シール面の少なくとも一部を選択的に分離する流体静力学的及び流体動力学的流体力を発生する。
【0035】
好ましい実施例では、複数の通路を第2シールリングの内部に形成して第1シール面に形成されたポンプ作用溝にバリヤー流体を導入することができる。各通路は一端で第2シール面に開口し、他端で流体供給源に連通することができる。第2シール面には円周方向の溝を形成して、これらの通路が第2シール面上の円周方向の溝に開口するように位置づけても良い。円周方向溝及び通路は好ましくは第1シール面に形成されたポンプ作用溝の少なくとも一部に連通し、それによりこれらの通路及び円周方向溝が流体をポンプ作用溝に供給して流体動力学的流体力を発生するようにする。
【0036】
好ましい実施例では、本発明のシールは更に溝に導入されるバリヤー流体の圧力を調整することによりシール面の分離を制御する流体制御手段を含むことができる。好ましくは、流体制御手段はシールの作動中にプロセス流体圧力を超えてバリヤー流体の圧力を調整することにより、シール面間に形成される間隙の厚さを調整する。
【0037】
本発明のメカニカルシールは、第1シールリングを回転軸に固定するためのスリーブを含むことができる。スリーブはフランジ付き端部を有し、回転軸の回りにほぼ同心的に取り付けられるような寸法を有する。シールは更にスリーブ(従って第1シールリング)を回転軸に固定するためにスリーブの周りに同心的に取り付けられた環状ロックリングを含むことができる。ロックリングは回転軸に摩擦係合するファスナーを受けるためにその中に形成された複数の開口を有し、それによりロックリングとスリーブを軸に固定することができる。
【0038】
本発明のメカニカルシールは、軸の周りでハウジングに取り付けられる寸法を有するグランド(パッキン押さえ)組立体を含むことができる。グランド組立体は第2シールリングに結合されていて、第2シールリングをハウジングに結合し、そして、これにより第2シールリングの回転を抑制する。グランド組立体は軸方向の内外側グランドプレートを有することができる。O−リングのような弾性部材が内側グランドプレートと外側グランドプレートとの間に介在されて両者間に封止を形成する。
【0039】
O−リングのような弾性部材を第2シールリングとグランド組立体との間に挿入して第2シールリングとグランド組立体との間を封止することができる。弾性部材を第2シールリングとグランド組立体に接触させるように軸方向及び半径方向に偏倚させるために圧縮部材を使用しても良い。圧縮部材は好ましくは弾性部材に係合する環状内側フランジ部を有する環状圧縮プレートである。内側フランジ部は弾性部材を第2シールリング及びグランド組立体と接触させるように半径方向及び軸方向に偏倚させるための軸方向及び半径方向に延びる傾斜表面を備えることができる。
【0040】
本発明のメカニカルシールは、随意選択として、閉鎖用流体を第2シールリングの後面に導入して第2シールリングに閉鎖力を与える手段を有してもよい。閉鎖力は好ましくは第2シール面が第1シール面にオーバーラップする部分に作用する。この閉鎖用流体手段は外側グランドプレート内に形成された流体管路であって、一端が第2シールリングの後面近くに開口し、他端で流体供給源に連絡している流体管路を含む。好ましくは共通の流体供給源が閉鎖用流体手段への閉鎖用流体と、シール面に導入するバリヤー流体との両者を供給する。
【0041】
本発明は、又、第1シールリング、第2シールリング、及びグランド組立体と共に使用するための、本発明の二次シール組立体を具備することができる。二次シール組立体は前面と後面とを有する圧縮部材と、圧縮部材の後面とグランド組立体の内表面との間に介在されて圧縮プレートを軸方向に偏倚させる弾性部材と、圧縮部材の前面と第1シールリングの後面との間に介在するシール部材とを含む。圧縮部材の前面はシール部材に軸方向及び半径方向のシール力を付与するように構成されている。この軸方向及び半径方向のシール力は、シール部材を第1シールリング及びグランド組立体の内表面と密封係合させることにより第1シールリング及びグランド組立体との間の流体漏れを防ぐ。
【0042】
圧縮部材の前面は、随意選択として、第1表面及びそれに対して傾斜する第2表面を有してもよい。好ましい実施例では、第1表面と第2表面の角度は鈍角をなし、そのため、第2表面が半径方向と軸方向の力をシール部材に及ぼす。又、第1及び第2表面間の角度は、シール部材に加わる半径方向の力を最小にし、同時にシール部材をグランド部材の内側表面に接触させておくように選択されることが好ましい。このようにして、シール部材と第1シールリング、及びグランド組立体の間の摩擦力が最小になる一方で、第2シールリングとグランド組立体の間の流体密封をを維持することができる。摩擦力を最小にすることにより、シール部材による第1シールリングのハングアップが阻止される。
【0043】
好ましい実施例では、第1シールリングの後面及び圧縮部材の前面はシール部材を受けるチャンバーを形成する。チャンバーと二次シール組立体はシールの動作中にシール部材の軸方向の熱膨張を許容する。このようにして、シール部材と第1シールリングの間に増大した摩擦力を生じるチャンバー内でのシール部材の望ましくない圧縮は防止される。
本発明のこれらの及び他の特徴と利点は、添付図面に関連した次の詳細な説明からより完全に理解できるであろう。これらの図で同じ参照符号はすべての図面で同様な部材を示す。図面は本発明の原理を例示するものであって、一般に、又は、場合により寸法通りではないが、相対的な寸法の場合がある。
【0044】
(実施形態の説明)
本発明によるメカニカルフェースシール10(以下、「メカニカルシール」又は単に「シール」とも称する)は、図1、2及び3に示されている。図示のメカニカルフェースシール10は、軸12の周りに同心的に装着され、ポンプ等の流体ハウジング11の外壁に固定される。軸12は、軸線13に沿って延長し、少くとも部分的にハウジング11内に取り付けられる。シール10は、ハウジング11と軸12の間に流体密封を設定し、それによってプロセス媒体又はプロセス流体がハウジング11から逃出するのを防止するように構成されている。流体密封は、図7及び8に示されるように、それぞれ半径方向の円弧状シール面(シール面)18,20を有する静止シールリング(「第1シールリング」とも称する)14と回転シールリング16(「第2シールリング」とも称する)によって設定される。静止シールリング14のシール面18は、以下に詳述するように、シールリング16のシール面20と密封関係をなすように付勢(偏倚)されている。従って、これらの個々のシール面は、以下に詳述するように、広範囲の動作条件下で、かつ、広範囲の稼働時間に亘って動作可能な流体シールを形成する。
【0045】
ここでいう「プロセス媒体」及び「プロセス流体」とは、一般に、ハウジング11を通して移送される媒体又は流体のことをいう。例えばポンプ用例の場合は、プロセス媒体は、ポンプハウジングを通して移送される流体である。
ここでいう「軸方向の」及び「軸方向に」という用語は、軸の軸線13に対してほぼ平行な方向を意味し、「半径方向の」及び「半径方向に」という用語は、軸の軸線13に対してほぼ垂直な方向を意味する。
【0046】
このメカニカルシール10は、第1シールリング14のシール面18と第2シールリング16のシール面20との間にバリヤー流体が導入される非接触型のメカニカルフェースシールであることが好ましい。又、本発明のシールに用いられるバリヤー流体は、ガスであることが好ましい。非接触型メカニカルフェースシールにおいては、バリヤー流体シール面18の半径方向部分の大部分とシール面20の半径方向部分の大部分との間の接触を最小限又は抑止又は防止する働きをし、それによってシール面18と20間の摩擦係合を、従って摩耗を少なくする。従って、非接触型メカニカルフェースシールには、シール面間を常時完全分離状態に維持する構成、シール面間を一定の条件下において(即ち、軸の回転中)完全分離状態に維持する構成、あるいは、シール面間を時に応じて又は部分的に分離状態に維持する構成等がある。これに対して、接触型メカニカルフェースシールには、シール面間の部分的な又は完全な接触を維持する構成等がある。いずれのタイプのシールにおいても、バリヤー流体は、シール面に及ぼされる熱応力作用を小さくするためにシール面から熱を搬出するための熱移送媒体として機能する。
【0047】
図1〜5を参照して説明すると、図示のメカニカルシール10は、静止シールリング14及び回転シールリング16の他に、シールグランド組立体30と回転シールリングスリーブ100を含む。シールグランド組立体30は、1対のグランドプレート、即ち、内側グランドプレート(以下、単に「グランド」とも称する)34と外側グランドプレート(以下、単に「グランド」とも称する)36を含む。内側グランドプレート34は、軸12の周りに同心的に装着され、ハウジング11に連結するためにハウジング11に近接して位置づけされる。外側グランドプレート36は、軸線13に近接しそれに沿って軸方向に内側グランドプレート34にほぼ平行に位置づけされる。
【0048】
図4を参照して説明すると、内側グランドプレート34は、内側半径方向表面38及び外側半径方向表面40と、内側軸方向表面42及び外側軸方向表面44を有する。内側軸方向表面42は、ハウジング11に近接して位置づけされ、図1に明示されているように内側半径方向表面38に近接したところにハウジングガスケット溝48を有する。溝48は、好ましくは該溝の深さより大きい軸方向寸法を有する扁平な環状ハウジングガスケット50を座着させ、それによってメカニカルシール10とハウジング11との間に圧力密及び流体密シールを設定する。ハウジングガスケット50は、溝48内に装着し、接着剤によって固定することが好ましい。この構成は、メカニカルシール10とハウジング11が組み合わされたとき、プロセス媒体が両者の合致部分に沿って漏出するのを防止する働きをする。
【0049】
図1〜4を参照して説明すると、半径方向の表面54を有する環状の内側グランドプレート密封部分即ちカラー52が、外側表面44から軸方向外方へ突設されている。内側グランドプレート密封部分52の半径方向表面54は、内側グランドプレート34と外側グランドプレート36とが合着されたとき両者間に密封を設定するようにグランドプレートO−リング56に圧接するように寸法づけされている。
【0050】
外側グランドプレート36は、図1〜及び5Aに示されるように、内側軸方向表面58及び外側軸方向表面60と、内側半径方向表面62及び外側半径方向表面64を有する。内側半径方向表面62は、外側軸方向表面60の側から順に、第1半径方向表面68と、それから半径方向内方へ段をなした第2半径方向表面68を含む。第2半径方向表面68には、第1半径方向表面68に近接した部位にグランドガスケット溝70が形成されている。第2半径方向表面68は、第1軸方向表面72を介して第3内側半径方向表面74に連接している。第3半径方向表面74は、第2軸方向表面76を介して第4内側半径方向表面78に連接している。
【0051】
図5Aに示されるように、静止シールリング14の第1軸方向表面72と、第3半径方向表面74と、第2軸方向表面76とによって静止シールリング受容チャンバー90が形成される。第1表面72には、静止シールリング14に圧接して密封するためのO−リングのような弾性(エラストマー)部材94を座着させるための溝92が形成されている。
【0052】
グランドプレートO−リング56は、外側グランドプレート36のグランドガスケット溝70内に座着される。グランドプレート34と36が組み合わされると、内側グランドプレート密封部分の半径方向表面54がグランドプレートO−リング56に当接しそれを圧縮しグランドガスケット溝70内へ押し込む。かくして、グランドプレートO−リング56は、両グランドプレート間に流体密及び圧力密シールを設定する働きをする。更に、環状カラー52の外径は、溝70の外径より僅かに小さい寸法とされており、それによって、組み立てられたとき、カラー52の外表面が溝70の半径方向外側壁に近接するか、合致するようになされている。
【0053】
グランドプレート34,36は、各々、本発明のメカニカルシール10をハウジング11に取り付けるためのボルト(図示せず)を受容する4つのファスナー(締着具)受容凹部80を有する。あるいは別法として、シール10のハウジング11に対する着脱を容易にするためにシール10の外周縁の周りにボルト挿通耳片を設けてもよい。それに適する耳片の例は、いずれも本出願人自身の米国特許第5,209,496号及び5,571,268号(その記載内容が本明細書に編入されているものとする)に示されている。各グランドプレートは、又、内側グランドプレート34を外側グランドプレート36に結合するためのボルト84を受容する2つの締着孔84を備えている。
【0054】
図1〜3及び6に示されるように、グランド組立体30によって形成されるチャンバー内に回転シールリングスリーブ100が配設される。回転シールリングスリーブ100は、軸方向外端104及び軸方向内端106と、外側表面108及び内側表面110を有する軸方向の円筒形スリーブ本体102を含む。スリーブ100の外側表面108は、外端104に近接した部位に第1外側表面112を有し、内端106に近接した部位に第1外側表面12から半径方向外方に段をなした第2外側表面114を含む。好ましい実施形態では、第1外側表面112の外径を外側グランドプレート36の内側軸方向表面58の直径より小さくする。それによって得られるクリアランスにより、スリーブ100をグランド組立体30内に遊嵌状態で回転自在に座着させることができる。
【0055】
スリーブ100の内側表面110の直径は、図1に示されるように、スリーブ100を装着すべき軸12の直径より僅かに大きい径とすることが好ましい。内側表面110には、軸ガスケット118を装着するための環状チャンネル116が形成されている。ガスケット118は、チャンネル116内に装着されると、軸12に密封嵌合し、スリーブと軸との界面に沿って流体密シールを設定する(図1)。
【0056】
図1及び6を参照して説明すると、軸方向内端106に近接した部位でスリーブ本体102から半径方向外方にフランジ120が突設されている。フランジ120は、内側軸方向表面122と外側軸方向表面124を有し、内側軸方向表面122外側軸方向表面124の間に延長した外側半径方向表面126を有する。外側半径方向表面126の直径は、内側グランドプレート34の内側半径方向表面38の直径より小さくすることが好ましい。それによって得られるクリアランスにより、フランジ120をグランド組立体30内に遊嵌状態で回転自在に座着させることができる。
【0057】
外側表面124には、後述するO−リングのような弾性密封部材130を受容するための環状溝128が形成されている。スリーブ100の外側表面124から軸方向外方へ段をなして第1外側表面132が形成され、環状溝128の半径方向外側に位置している。
【0058】
図1及び6に示されるように、フランジ120には、各々駆動ピン136の一端を受容する複数の孔134が穿設されている。駆動ピン136の他端は、回転シールリング16の対応するスロット138に受容される。駆動ピン136は、回転シールリング16に回転運動を与えるためのものである。
【0059】
スリーブ100の軸方向外端104は、図2、3及び6に示されるように、ねじ142を装着する複数のいろいろなサイズの孔140を有する。それらのねじは、図11に示されるように、ロックリング144を通してスリーブに装着される。ねじ142は、スリーブ100を半径方向及び軸方向に固定し、それによって、回転シールリング16を軸12にそれと一緒に回転するように固定するためのものである。
【0060】
回転シールリングのスリーブ100、グランド組立体30及びロックリング144は、例えばステンレス鋼又はその他の合金等の適当な剛性材料で形成することができる。
【0061】
図1〜3、7及び7Aを参照して説明すると、回転シールリング16は、円弧状内側表面162を有する。内側表面162は、回転シールリング16のシール面20から軸方向に延長した第1軸方向表面164を含む。回転シールリング16の第1表面164の内径は、該リングをスリーブ100に取り付けることができるようにスリーブ100の第2外側表面114の直径より大きいか、それに等しい大きさとすることが好ましい。第1表面164は、半径方向の連接表面168を介して第2表面166に連接されている。回転シールリング16の第2表面166は、O−リングのような弾性調心部材170を収容するために第1表面164から半径方向外方に段になされている。弾性調心部材170は、スリーブ100の第2外側表面114並びに回転シールリングの第2表面166及び連接壁168に座着して回転シールリング16をスリーブ100の周りに(スリーブ100を中心として)調心する。
【0062】
回転シールリングは、実質的に平滑な、円弧状の外側軸方向表面172を有している。この外側表面172の直径は、内側グランドプレート34の内側表面38の直径より小さくすることが好ましい。
【0063】
回転シールリング16は、外側表面172と内側表面166との間に半径方向に延長する後面174を有する。弾性密封部材130は、回転シールリング16の外側表面172に密封圧接し、環状溝128内に座着して回転シールリング16とスリーブ100との間に流体密、かつ、圧力密シールを設定する。スリーブ100の第1外側表面132は、又、回転シールリング16の後面174にも当接する。第1外側表面132は、回転シールリングをスリーブ100上に支持するのを助成し、弾性シールリング130の圧縮度を制限するとともに、圧力下での回転シールリングの枢動及びコーニング現象を制御する。
【0064】
図示の実施例では、回転シールリングセグメントのシール面20に、図7に示されるように複数のポンプ作用溝180が形成されている。ここで、「ポンプ作用溝」とは、流体と協同して、シール面間に流体動力学的持ち上げ力のような持ち上げ圧力界を創生する、一方又は両方のシールリングに形成された任意のタイプの表面凹部のことをいう。これらのポンプ作用溝には、使用中、流体と協同して、シール面を持ち上げてシール面同志を互いに分離させる働きをするらせん形溝又はローリー段溝のような任意の適当な凹部を形成することができる。好ましい実施形態では、溝180は、軸12の回転速度に応じてシール面を流体動力学的に互いに分離させる働きをするらせん形溝である。説明の便宜上、以下の説明ではこれらの溝をらせん溝と称するが、他のタイプの溝を用いることができることは当業者には明らかであろう。好ましい実施形態では、らせん溝180は、回転シールリング16の内側表面162と外側表面172との間に半径方向に設けられている。従って、らせん溝180は、回転シールリング16のシール面20を2つの同心シール面20aと20bに分割する。かくして、単一のシールリング上に別個の同心シール面20a,20bを有する二重シールが形成される。図7Aを参照して説明すると、第1同心シール面20aは、外側表面172に端を発し、らせん溝180の半径方向外側縁にまで延長している。第2同心シール面20bは、らせん溝180の半径方向内側縁から回転シールリングの内側表面162にまで、あるいは別法として、らせん溝180の半径方向外側縁から回転シールリングの内側表面162にまで延長させる。従って、第2同心シール面20bは、らせん溝180と、それらより半径方向内側に位置するシール面20bのランド部分又はダム部分を備えたものとすることができる。好ましい実施形態では、これらの同心シールは、同一平面内に配置する。
【0065】
静止シールリング14と回転シールリング16とは、組み立てられると、実質的に心合し、シール面18が、シール面20a、らせん溝180及びシール面20bの少くとも一部分の上に重なる、即ち整合する。この構成により、らせん溝180のどちら側かにシール面18,20を通しての流体の漏れを制御又は調整する働きをするダム部分又はランドが形成される。図示の実施例では、静止シールリング14のシール面18は、第1同心シール面20aの相当大きな部分と、第2同心シール面20bの相当大きな部分に重なる。
【0066】
図1を参照して説明すると、溝180は、静止シールリング14のシール面18に連通している。後に詳述するように、通常、プロセス流体圧Pp及び周囲圧Paより高い所定の調整された圧力のバリヤー流体が、静止シールリング14に形成されたバリヤー流体導管228を通してらせん溝180へ導入される。このバリヤー流体は、シール面18と20に分離力(開放力)を及ぼす働きをする。この分離力は、シール面18の半径方向部分と、シール面20a,20bの半径方向部分との間の接触を最小限にする、又は抑止又は防止する働きをし、それによってシール面18と、20a,20b間の摩擦係合を、従って摩耗を少なくする。
【0067】
シール面間に醸成される分離力のタイプは、回転シール面20の半径方向に沿って異なる。第1同心シール面20aにおいては、分離力は、主として又はほぼ完全に静水圧分離力である。ここで、「流体静力学的分離力」及び「流体静力学的流体力」とは、軸の回転速度とは独立しており、それが作用する面領域に生じる圧力差の大きさに少くとも部分的に、好ましくは著しく依存する大きさを有する力のことをいう。従って、シール面20aに、並びにそれに対応するシール面18に作用する主として流体静力学的な分離力の大きさは、シール面20aに沿ってのバリヤー流体圧Pbとプロセス流体圧PPとの間の圧力差の大きさに少くとも部分的に依存し、軸12、従って回転シールリング16が回転する速度からは独立している。(ここで、「主として流体静力学的な」とは、「流体静力学的な要素が優勢である」、又は、「大部分が流体静力学的である」という意味である。)
【0068】
回転シールリング16の第2同心シール面20b(説明の便宜上らせん溝180を含むものとする)と、静止シールリング14のシール面18との間に醸成される分離力は、流体静力学的流体力成分と流体動力学的流体力成分の両方を含む。ここで、「流体動力学的分離力」及び「流体動力学的流体力」とは、両シール面の相対速度に依存する大きさを有する力のことをいう。従って、第2シール面20bに、並びにそれに対応するシール面18に作用する分離力の大きさは、少くとも2つの要素、即ち、シール面20bに沿ってのバリヤー流体圧Pbと周囲圧Paとの間の圧力差(流体静力学的成分)と、回転シールリングのシール面20bが静止シールリング14のシール面18に対して回転する速度、即ち軸の回転速度(流体動力学的成分)に依存する。回転シールリングの第2シール面20bに作用する分離力の流体動力学的成分は、らせん溝180のポンプ作用によって斯界において周知の態様で創生される圧力差によって醸成される。当業者には明らかなように、上述した力分布は反対にすることができる。即ち、主として流体静力学的な流体力を内径、例えばシール面20bに沿って創生し、流体静力学的流体力と流体動力学的流体力を外径、例えばシール面20aに沿って創生するようにしてもよい。又、当業者には明らかなように、このような反対構成にするには、溝の構成を改変するとともに、静止シールリング14のシール面18上のバリヤー流体導管の半径方向の位置を変更する必要がある。この反対構成は、プロセス流体が外径に沿ってではなく、内径に沿って配される場合のシール用例に特に適している。
【0069】
本発明のメカニカルシール10の力分布特徴の重要な利点は、始動前に、即ち軸が回転する前に、シール面接触の調節を行うこと、従ってシール面18と20の間の間隙厚を調節することを可能にすることである。バリヤー流体圧Pbをプロセス流体圧Ppより高くし、従ってシール面18,20間の圧力差を増大させることによって回転シールリング16の第1シール面20aと第2シール面20bの両方に流体静力学的分離力を創生することができる。シール面20aに作用する閉鎖力は後述するようにプロセス流体圧Ppによってのみ与えられるので、シール面接触の度合、即ち、シール面間の間隙の大きさは、始動の前、又は、低速回転速度時にシール面間のバリヤー流体圧Pbを調節することによって制御することができる。かくして、始動時又は低速軸速度時のシール面18と20a,20b間の接触を最小限又は回避することができ、それによって、低軸速度時には流体静力学的作動の利点を享受し、しかも、流体動力学的作動の高速利点をも享受することができる。
【0070】
本発明のシールの他の利点は、特定のらせん溝形状に限定されないことである。例えば、らせん溝180は、単方向溝であっても、双方向溝であってもよい。周知のように、単方向溝は、一方向の軸回転においてのみシール面分離を可能にし、双方向溝は、両方向の軸回転においてシール面分離を可能にする。好適ならせん溝設計の例は、米国特許第3,499,348号、3,488,348号及び5,529,315号(それらの記載内容が本明細書に編入されているものとする)に開示されている。ここに例示したらせん溝は、バリヤー流体を静止シールリング14の溝234に沿って位置する高圧プロセス領域からリングの内径に沿って位置する定圧領域へポンプ送りする単方向溝である。当業者には明らかなように、図示の実施形態のシールにも、双方向溝を用いることができる。そのような双方向溝の一般的な例は、斯界において周知である。
【0071】
図1、8、8A及び9を参照して説明すると、静止シールリング14は、内側軸方向表面202及び外側軸方向表面204を有する。外側表面204は、静止シールリング14のシール面18から軸方向に延長した第1外側表面206と、第1外側表面206から半径方向内方へ段をなし手更に軸方向に延長した第2外側表面208を含む。第1外側表面206と第2外側表面208とは、協同して、両外側表面間に半径方向に延長する第1環状連接壁210を構成する。
【0072】
内側表面202は、静止シールリング14のシール面18から軸方向に延長した第1内側表面212と、それから半径方向内方へ段をなして更に軸方向に延長した第2内側軸方向表面214を含む。第1内側表面212と第2内側表面214とは、協同して、両内側表面間に半径方向に延長する第1環状連接壁216を構成する。第2内側軸方向表面214から第3内側表面218が、半径方向内方へ段をなして後面220にまで軸方向に延長している。第2内側軸方向表面214は、第2連接壁222を介して第3内側表面218に連接しており、半径方向セクション224と斜切(面取り)セクション226を含む。
【0073】
静止シールリング14の第1内側表面212の内径は、スリーブ100の第1外側表面112の直径より大きく、かつ、回転シールリング16の第1表面164の直径より大きくし、それによって、静止シールリング14に対する軸12と、スリーブ100及び回転シールリング16の両方の回転を可能にする。弾性部材94は、外側グランドプレート溝92内に座着し、第2外側表面208に当接する。静止シールリング14の連接壁222の斜切セクション226及び半径方向セクション224、並びに、外側グランドプレート36の第2表面76に当接するように第2弾性部材236が配置されている。第2弾性部材236は、後に詳述するように、静止シールリング14の内側表面222及び外側グランドプレート36の第2表面76に密封接触するように付勢されている。弾性部材94と236は、静止シールリング14が静止シールリング受容チャンバー90内に位置づけされたとき、外側グランドプレート36と静止シールリング14との間に流体密及び圧力密シールを設定する働きをする。静止シールリング14は、炭素又はセラミック材で形成するのが好ましい。
【0074】
図1、8、8A及び9を参照して説明すると、静止シールリング14には、複数のバリヤー流体孔228が形成されている。これらの孔228は、後面220から軸方向に延長した軸方向セクション230と、軸方向セクション230に連通し、そこからシール面18に形成された連続円周溝234にまで延長した斜めセクション232を含む。バリヤー流体供給源(図示せず)からのバリヤー流体は、孔228及び溝234を通してシールリングのシール面18,20及びシール面20の溝180へ導入される。
【0075】
当業者には明らかなように、バリヤー流体孔228は、ここに図示した個数又は形状に限定されるものではない。例えば、単一のバリヤー流体孔を設けてもよい。同様に、バリヤー流体孔の位置及び配置も、ここに例示したもの限定されるものではなく、同じ結果を得るのに他のいろいろな位置及び配置を用いることが可能である。例えば、バリヤー流体孔は、静止シールリング14にだけではなく回転シールリング16にも形成してもよく、各シール面からシールリングのどの外側表面に延長させてもよい。更に、バリヤー流体孔は、シール面18,20から直線的にシールリングの外側表面へ延長させてもよい。
【0076】
図1、5A及び5Bに明示されているように、バリヤー流体孔228の各軸方向セクション230は、静止シールリング14の後面220において開口し、孔228と、外側グランドプレート36に形成された同様な半径方向のバリヤー流体孔240との間に流体連通(流体を通すことができる連通)を設定する。外側グランドプレート36に形成された孔240は、その一端はグランド組立体30の外側表面60において開口し、他端は外側グランドプレート36の第1表面72において開口している。バリヤー流体供給源(図示せず)からのバリヤー流体は、グランドの孔240を通して静止シールリングセグメントの孔228の各々へ導入される。
【0077】
図1に示されるように、外側グランドプレート36内には、各々保持ピン250の一端を受容する複数の静止シールリング孔252が形成されている。各ピン250の他端は、静止シールリング14のバリヤー流体孔228の1つの軸方向セクション230内に受容される。各ピン250の外径は、バリヤー流体が保持ピン250の周りを流れることができるようにバリヤー流体孔228の軸方向セクション230の内径より小さくすることが好ましい。ピン250は、外側グランドプレート36内で静止シールリング14が回転するのを防止する働きをする回り止めピンである。
【0078】
図1、2、5B、5C、10及び10Aを参照して説明すると、閉鎖用流体チャンバー280内で静止シールリング14の後面に二次シール組立体301が装着されている。この二次シール組立体301は、図1に明示されているように、外側グランドプレート36と2つの流体環境、即ち、プロセス流体チャンバー290と周囲流体チャンバー295との間に流体シールを形成する。二次シール組立体301は、圧力下で静止シールリング14の軸方向の移動を可能にし、かつ、プロセス流体チャンバー290と周囲流体チャンバー295と閉鎖用流体チャンバー280との間の流体の漏れを防止する。二次シール組立体301は、1つ又はそれ以上の、好ましくは複数の機械的ばね270と、スペーサ又は圧縮プレート300と、弾性部材236を含む。ばね270は、図1、5B及び5Cに示されるように外側グランドプレート36内に形成されたばね受容孔272内に収容される。機械的ばね270は、圧縮プレート300に当接し、圧縮プレート300は弾性部材236に当接する。
【0079】
機械的ばね270は、静止シールリング14を弾性的に支持するための軸方向力を圧縮プレート300及び弾性部材236を介して付与し、静止シールリング14を付勢して(偏倚させて)静止シール面18と回転シール面20を互いに圧接する方向に付勢する。図1に示されるように、シールリング14は、グランドプレートの剛性壁及び剛性面に対して離隔関係をなして浮動状態に非剛的に支持される。この浮動的、非剛的支持は、静止シールリング14の、グランドに対する僅かな半径方向並びに軸方向の浮動移動を可能にし、かつ、回転シール面20が静止シール面18に追従し、静止シール面18に密封状態に係合するのを可能にする。
【0080】
圧縮プレート300は、図5B、10及び10Aに明示されているように、内側半径方向表面302と外側半径方向表面304を含む。圧縮プレート300の外側半径方向表面304の直径は、外側グランドプレート36の第1表面72の直径より小さくすることが好ましい。又、圧縮プレート300の内側半径方向表面302の直径は、外側グランドプレート36の第2表面76の直径より大きくすることが好ましい。圧縮プレート300は、更に、前面306と後面307を含む。前面306は、半径方向の第1前面308を含み、第1前面308は、軸方向の連接壁310を介して多段角度を付された、又は斜切された第2前面311に連接されている。連接壁310と第1前面308とは、それらの間にほぼ直角を画定する。
【0081】
図5Bに明示されているように、静止シールリングの半径方向セクション224、斜切セクション226及び内側セクション218と、圧縮プレート300の多段角付き前面311と、グランドプレート36の第2表面76とによって弾性部材受容チャンバー91が画定される。チャンバー91は、弾性部材236を静止シールリング14とグランド30との間に過度に強く、又は圧縮させて嵌める必要なしに収容するように寸法ぎめされている。詳述すれば、弾性部材受容チャンバー91は、弾性部材236に及ぼす圧縮力を、特に圧縮力の半径方向内向き成分をそれほど増大させることなく、弾性部材236の熱膨張を吸収することができるように寸法ぎめされている。好ましくは、チャンバー91は、弾性部材236の圧縮前又は応力負荷前(即ち、弛緩時)の断面積より大きい寸法とする。
【0082】
チャンバー91を弾性部材236に比して過大寸法とすることにより、弾性部材236を過度に圧縮又は圧搾することを回避し、従って、弾性部材236と外側グランドプレート36の表面76との間に大きな摩擦力が発生するのを防止することができる。特に、チャンバー91の寸法・形状は、シールの作動中熱応力を受けたとき、弾性部材236を半径方向外方へ、即ち静止シールリング14の内側セクション218の方へ膨張させることができるようになされている。半径方向のこの膨張自在性は、シールの動作中、弾性部材236にかかる、特に半径方向の圧縮力の著しい増大を防止する。従って、弾性部材236を外側グランドプレート36の表面76に圧接して座着させる働きをする、弾性部材236に作用する半径方向内向き力は、シールの動作中実質的に一定のままである。又、このことにより、弾性部材236と外側グランドプレート36の表面76との間の軸方向の摩擦力も、シールの動作中実質的に一定値に維持される。なぜなら、この軸方向の摩擦力は、弾性部材236に作用する半径方向内向き力に依存するからである。従って、弾性部材236は、静止シールリング14の摩擦作用による軸方向の”引っ掛り”(詰まり)運動に左右されるようにはなされていない。
【0083】
引き続き図5Bを参照して説明すると、圧縮プレート300の多段角付き前面311は、弾性部材236を外側グランドプレート36及び静止シールリング14との密封接触状態へ直接付勢する接触表面であり、複数の、好ましくは2つの角度付き表面312と314を含む。これらの角度付き表面312と314とは、互いに交差関係にあり、斜角又は直角、好ましくは鈍角を画定するように形成されている。前面314は、内側前面302と第2前面312の間に半径方向に延長している。好ましい実施例では、角度付き前面312及び314は、圧縮プレート300を閉鎖用流体チャンバー280内に座着させたとき、弾性部材236に直接当接する構成とされる。圧縮プレート300には、静止シールリング保持ピン250を通すための保持ピン孔316が形成されている。圧縮プレート300の図示の例の組立体及び構成では、弾性部材236を所望の圧縮度とするために所定の方向に付勢するのを助成するための第2の弾性又は撓み部材を設ける必要性を排除する。
【0084】
機械的ばね270は、図5Bに明示されているように、圧縮プレート300を弾性部材236に接触させるように軸方向に付勢するために圧縮プレート300の後面307に連結されている。ばね270は、プレート300を介して、静止シールリング14を回転シールリング16に向けて押圧する閉鎖力を該静止シールリング14に付与する。角度付き表面312と314とは、協同して、弾性部材236を静止シールリングの表面224,226,218と、外側グランドプレート36の表面76の両方に密封係合させるための所定の圧縮力Fを弾性部材236に付与する。この圧縮プレート300の角度付き前面312と314は、弾性部材236を静止シールリング14に密封接触するように付勢する働きをする軸方向成分と、弾性部材236を外側グランドプレート36に密封接触するように付勢する働きをする半径方向成分を有する圧縮力Fを醸成する。更に、静止シールリング14の斜切表面226と半径方向表面224によって合成圧縮力F’が弾性部材236に付与される。前面314に対する前面312の角度、並びに、静止シールリング14の表面224に対する表面226の角度は、弾性部材236に付与される半径方向力の大きさが該弾性部材236を、それと外側グランドプレート36との間に過度の軸方向摩擦又は抗力を創生することなく、外側グランドプレート36に密封圧接させるのに十分な大きさとなるように定めることが好ましい。弾性部材236と外側グランドプレート36との間の抗力を制限することにより、弾性部材236の機械的ヒステリシス又はO−リングのヒステリシスが抑止される。かくして、静止シールリング14の軸方向の移動を不当に制限することなく、広範囲の動作条件において静止シールリング14と外側グランドプレート36との間に流体密及び圧力密シールを維持することができる。
【0085】
二次シール組立体301の重要な利点は、弾性部材236が、それと外側グランドプレート36との間に静止シールリング14の軸方向の運動を禁止するような大きい摩擦力を醸成することなく、静止シールリング14に座着することができ、かつ、静止シールリング14と外側グランドプレート36との意仇に密封を維持することである。更に、二次シール組立体301は、静止シールリング14に及ぼす軸方向の付勢力を創生するのに必要とされるシール部品の個数を少なくする。例えば、二次シール組立体301は、O−リングを圧搾して適当な流体シールを形成するために圧縮プレートと協同する追加の撓み部品を必要としない。
【0086】
圧縮プレート300の変型実施形態が、図5Cに示されている。この変型例では、前面313が内側表面304と連接壁310の間に半径方向に延長している。又、この実施形態では、弾性部材236に主として軸方向の圧縮力を付与する。これを受けて、静止シールリング14の斜切表面226と半径方向表面224は、弾性部材236を外側グランドプレート36に密封係合させる働きをする圧縮力F”付与する。この合成圧縮力F”は、軸方向成分と、圧縮プレート300の上述した第1実施形態の場合と同様の態様で弾性部材236を外側グランドプレート36に密封接触するように付勢する働きをする半径方向成分を含む。あるいは別法として、圧縮プレートに2つの角度付き表面を設けることができ、静止シールリング14は、弾性部材236に接触するための半径方向の表面を1つだけ有する構成とすることもできる。その場合、圧縮プレートの2つの角度付き表面が、弾性部材に半径方向と軸方向の両方の圧縮力を与える。
【0087】
本発明のシール10には、機械的ばね270によって与えられる機械的付勢力に加えて、追加の流体付勢システムが設けられる。図1、5A及び5Bを参照して説明すると、この流体付勢システムは、静止シールリング14に閉鎖力を与えるためにバリヤー流体を静止シールリング14の後面220へ導入する半径方向の流体孔240と、弾性部材94,236と、静止シールリング14の後面220と、外側グランドプレート36の第3半径方向表面74の間に形成された流体密、圧力密の環状閉鎖用流体チャンバー280を含む。
【0088】
図5B及び14Aに明示されているように、調整された圧力の閉鎖用流体が、流体供給源(図示せず)から入力流体孔240を通して閉鎖用流体チャンバー280へ供給される。チャンバー280内に導入された流体は、静止シールリング14に流体閉鎖力FBを及ぼす。この流体閉鎖力FBは、機械的ばね閉鎖力FSと、プロセス流体力FP(プロセス流体圧は静止シールリング14の第1環状連接壁210に作用する)と協同して、合計閉鎖力FCを創生し、シール面18をシール面20a,20bに向けて密封係合させるように付勢する。流体閉鎖力FBと、流体閉鎖力FBと、機械的ばね閉鎖力FSと、プロセス流体力FPの合計が、シール面18と20の分離を制御するためにそれらのシール面のところに創生される総分離力即ち開放力Foとバランス(平衡化)するように定めることが好ましい。かくして、過度の流体漏れを惹起する可能性がある、シール面の開きすぎ(過度の分離)を防止することができる。しかも、シール面の摩擦による摩耗を少なくするためにどのような回転速度においてもシール面の接触を最小限にすることができる。
【0089】
流体閉鎖力Fbの大きさは、閉鎖用流体チャンバー280内の閉鎖用流体の圧力を制御することによって調節することができる。回転シールリング16に作用する流体閉鎖力Fbを調節することができるということは、重要な利点を提供する。例えば、動作条件が変化した場合、シール面18と20の間の密封関係を維持するために流体閉鎖力Fbの大きさを変更することができる。ここに例示した特定の実施形態においては、バリヤー流体が閉鎖用流体として用いられるので、流体閉鎖力は、開放力(分離力)に依存する。従って、本発明のメカニカルシール10は、フィードバックシステムと連携して、動作中の漏れ度合を制御するためにシール面18と20の間の流体シール及び、又は間隙を動的に調整することができる。このための適当なフィードバックシステムについては後述する。
【0090】
軸方向の孔228及び溝180を含む、ここに例示した流体付勢システムは、シール面間の流体シールを調整するためにシール面間の分離度を制御する簡単な一体統合システムを提供する。従って、このシステムは、シール面18,20へ導入されたバリヤー流体によって設定される分離力即ち開放力Foと協同してシール面の接触度を調節することができる。従って、本発明のメカニカルシール10は、広範囲の動作条件において、シール面間に形成される流体シールのみならず、シール面間の分離度をも調整又は調節することができる。それによって、シールの融通性を増大し、シールをいろいろな環境下で用いることを可能にする。
【0091】
当業者には明らかなように、本発明のメカニカルシールは、ここに例示した特定の流体閉鎖システムに限定されるものではなく、流体閉鎖システムのいろいろな変型が可能である。例えば、シール面へバリヤー流体を供給する流体供給源と、静止シールリングの後面へ流体を供給する流体供給源とを共通にせず、別々にしてもよい。又、閉鎖用流体として、バリヤー流体、プロセス流体又はその他の流体を用いることができる。更に、機械的ばね270又は閉鎖用流体システムも唯一の軸方向付勢力源として使用し、他の軸方向閉鎖力の必要性を排除することもできる。
【0092】
図14A及び14Bを参照して説明すると、閉鎖力Fcに対抗して作用する総開放力Foは、2つの力、即ち、同心シール面20aと静止シールリング面18との間に醸成される流体静力学的流体力に相当する力F1と、溝180を含むものとして定義された場合のシール面20bとシール面18との醸成される流体静力学的流体力と流体動力学的流体力に相当する力F2との合計である。好ましい実施例によれば、流体付勢システムを通してシール面18,20へ導入されたバリヤー流体は、第1同心シール面20aと、シール面18の対応部分の両方に主として流体静力学的な持ち上げ力(分離力)F1を及ぼし、静止シールリング面18の少くとも一部分を回転シールリング面20aの少くとも一部分から分離して両者の間に間隙hoを形成する。シール面20aとシール面18に作用する、この主として流体静力学的な持ち上げ力F1の大きさは、シール面20aに沿ってのバリヤー流体圧Pbとプロセス流体圧PPとの間の圧力差の大きさに少くとも部分的に依存する。流体静力学的分離力F1は、シール面間の流体圧がバリヤー流体圧Pbに等しくなる、らせん溝180の外側半径方向縁における最大値から回転シールの外側半径方向縁(例えば、第1シール面20aと外側表面172との交差部)における最小値にまで減少する。この部位では、シール面間の流体圧は、プロセス流体圧Ppに等しくなる。力F1は、シール面の、静止シールリング14の第1連接壁210にオーバーラップする部分、即ち、線Dから半径方向外方へ延長した環状のシール面に作用する。流体静力学的分離力F1は、軸12の、従って回転シールリング16の回転速度とは独立しており、従って、回転速度の関数として変化しない。
【0093】
軸方向の孔228を通して溝180へ、従ってシール面18,20へ導入されたバリヤー流体は、それらの面に流体静力学的持ち上げ力(分離力)F2を及ぼす。この力F2は、溝180を含むものとして定義された場合の同心シール面20bの少くとも一部分と、シール面18の対応部分に作用し、静止シールリング面18の少くとも一部分を回転シールリングの第2シール面20bの少くとも一部分から分離して両者の間に間隙hoを形成する。この持ち上げ力F2は、流体静力学的成分と流体動力学的成分の両方を含む。第2シール面20bとシール面18に作用するこの分離力F2の大きさは、少くとも2つの要素、即ち、シール面20bに沿ってのバリヤー流体圧Pbと周囲圧Paとの間の圧力差(流体静力学的成分)と、回転シールリングの第2シール面20bが静止シールリング14のシール面18に対して回転する速度、即ち軸12の回転速度(流体動力学的成分)に依存する。主として流体静力学的な持ち上げ力F1と、流体静力学的及び流体動力学的流体力F2とが組合わさって、シール面18,20に開放力FOを及ぼす。
【0094】
開放力FOによって形成される間隙は、図14Aに示されるように、シール面間の漏れを最少限にするために、かつ、摩耗を少なくするようにシール面を分離するために、所定の厚さhoに維持されるか、あるいは、調節自在とされる。この所定の厚さhoは、シール面18,20に作用する開放力FOを閉鎖力Fcによってバランスさせる本発明のメカニカルシール10の独特のバランス(平衡化)システムによって維持される。閉鎖力Fcは、静止シールリング14の第1連接壁210に作用するプロセス流体力Fpと、静止シールリング14の後面220及び第2連接壁222に作用するバリヤー流体閉鎖力Fbと、静止シールリング14の第2連接壁222に作用する機械的ばね閉鎖力Fsを含む。
【0095】
動作中、開放力Foは、間隙を好ましい標準厚さhoに維持するように閉鎖力Fcによってバランスされる。間隙が好ましい厚さhoにあるときの第2シール面20bにかかる持ち上げ力F2の大きさは、図14Aに実線で示されている。線Aの曲線部分は、持ち上げ力F2の流体動力学的成分を表し、溝180内の最高圧力領域の位置に対応する最大値を有する。動作条件の変化により間隙の厚さhが1点鎖線Bで表されるように、好ましい値hoより低い値(h<ho)に低下したとすると、本発明のシール10のバランスシステムは、間隙を好ましい値hoに戻すことによって補償する。この操作は、間隙厚の減小の結果として、線Bによって示されるように持ち上げ力F2の流体動力学的成分の増大が起こることによって自動的に行われる。即ち、持ち上げ力F2が増大した結果として、シール面をそれらの間の好ましい間隙厚hoが復原されるまで分離させるからである。
【0096】
同様にして、動作条件の変化により間隙の厚さhが好ましい値hoより高い値(h>ho)に増大したとすると、やはり、本発明のシール10のバランスシステムは、間隙を好ましい値hoに戻すことによって補償する。即ち、間隙厚の増大の結果として、図14Aに点線Cによって示されるように持ち上げ力F2の流体動力学的成分が減小する。持ち上げ力F2の減小の結果として、シール面をそれらの間の好ましい間隙厚hoが復原されるまで引き寄せる。
【0097】
更に、本発明のメカニカルシール10は、所望の分離隔隙を得るためにバリヤー流体圧、従って流体静力学的持ち上げ力F1の大きさを調節することによって軸の回転速度とは独立して、シール面間の直接的摩擦接触の度合の調節又は直接的摩擦接触の回避を行うことを可能にする。
【0098】
図14Bは、開放力Foを2つのシステム流体の圧力差、例えばバリヤー流体圧Pbとプロセス流体圧Pcとの差の関数として調節、調整又は変更することができることを説明する図である。更に、低速軸回転中メカニカルシール10の静止シールリング14に作用する閉鎖力Fcの効果も図示されている。図に示されるように、バリヤー流体圧をPb1からPb2へ増大させると、それに対応して、静止シールリング14の、閉鎖用流体に露呈されている部分Eに沿っての閉鎖力Fcが増大する。第1連接壁210に対応する静止シールリング14の外側半径方向部分に沿っての閉鎖力部分Fpは増大しない。なぜなら、O−リング94が静止シールリング14の外側半径方向部分を閉鎖用流体から隔離しており、従って、静止シールリング14の外側半径方向部分はプロセス流体圧にしか露呈されないからである。
【0099】
溝180内の、従ってシール面18,20間のバリヤー流体圧がPb1からPb2に増大すると、初期バリヤー流体圧Pb1に対応する力線F11及びF21、及び、増大したバリヤー流体圧Pb2に対応する力線F12及びF22によって図14Bに示されるように、シール面の全半径方向表面に沿って開放力Foが増大する。シールの流体動力学的及び流体静力学的領域(例えば、線Dからシールリングの外径まで以外の領域)における開放力の増大は、閉鎖力Fb1からFb2への増大に対応する。しかしながら、開放力のF11からF12への増大は、Fpの閉鎖力の対応する増大によって相殺されない。詳述すれば、増大した主として流体静力学的な持ち上げ力F12のうち、シール面20aに及ぼされる力部分と、シール面18の、静止シールリング14の第1連接壁210と半径方向に整列している部分に及ぼされる力部分は、閉鎖力の対応する増大によってバランスされない。なぜなら、静止シールリング14の第1連接壁210はプロセス流体チャンバー290の一部を構成しているので、プロセス流体にしか露呈されず、バリヤー流体には露呈されないからである。この独特の構成は、バリヤー流体圧を増大させることによってのみ、シール面の、例えば線Dからシールリングの外径までの外側半径方向部分に沿ってのみ開放力Foを増大させることを可能にする。この外側半径方向部分は同心シール面20aに沿っての流体静力学的領域に対応するので、開放力の増大は、軸の回転速度とは独立している。
【0100】
図示のシール10のもう1つの利点は、図15に示されるように、たとえシール面18に供給されたバリヤー流体圧に損失が生じたとしても、動作し続けることができることである。流体静力学的開放力Foは、プロセス流体圧Pbと周囲圧Paとの圧力差によりシール面18と20aの間に発生する。この流体静力学的開放力Foは、プロセス流体力成分Fpとばね力成分Fsから成る閉鎖力Fcによって対抗される。らせん溝180は、その中にはバリヤー流体が存在しないので、もはや流体静力学的持ち上げ力を創生しない。プロセス流体に露呈された外径領域と、周囲圧に露呈された内径領域との間に比較的大きい圧力差が生じるが、それによって、シール面に沿ってのプロセス流体をシールの周囲環境側への過度の量の搬出又はポンプ送り作用が起こることはない。なぜなら、流体静力学的閉鎖力によってシール面間に流体バリヤーが創生されるからである。従って、バリヤー流体の損失が生じたときは、本発明のシールは、部分接触状態の液体シールとして動作する。
【0101】
本発明のメカニカルシール10には、シールリング14,16のシール面18,20のところに所望の条件を維持するために、シールに供給される閉鎖用流体の圧力とバリヤー流体の圧力の一方又は両方を調整する圧力フィードバックシステム(「圧力制御システム」とも称する)を含めることができる。この圧力制御システムは、動作中バリヤー流体圧及び閉鎖用流体圧をモニターするためにシール内又はシールの近傍に設置された圧力センサーを備えたものとすることができる。これらの圧力センサーは、動作条件の変化に起因する圧力変動に応答してバリヤー流体圧及び、又は閉鎖用流体圧を調節するための閉鎖型又は開放型フィードバックシステム中の制御装置等に接続することができる。圧力フィードバックシステムの例は、米国特許第2,834,619号及び3,034,797号(それらの記載内容が本明細書に編入されているものとする)に記載されている。
【0102】
あるいは別法として、圧力フィードバックシステムは、調整用流体入力としてバリヤー流体、プロセス流体又は閉鎖用流体のようなシステム流体を用いることができ、この調整された入力に基づいてバリヤー流体圧又は閉鎖力を調整することができる。かくして、圧力フィードバックシステムは、選択された特定の流体圧力間の変化を検出し、不均衡を修正することができる。そのような修正は、圧力フィードバックシステムを高圧流体供給源に接続し、システム内の圧力を上昇させるためにシステムに流体を補給するか、又は、システムの内部圧が所定値を越えたときはシステムから圧力を放出することによって実施することができる。そのような圧力フィードバックシステム400が図12及び13に示されている。
【0103】
図12は、本発明のメカニカルシール10に使用するのに適した流体フィードバック式圧力調整システムの一実施形態を示す。このフィードバックシステム400は、別のシステムの圧力に基づいてシステム流体を調整するのに用いるのに好適である。一実施例によれば、バリヤー流体圧をばね圧に対応する所定の量に応じてプロセス流体圧に対して選択された所定のレベルに初期設定し、このバリヤー流体圧を、このシステム400に閉鎖用流体を選択的に追加するためのシステム流体センサーとして機能するシステム出力調整流体(システム出力によって調整される流体)として用いることができる。この調整された閉鎖用流体は、上述した閉鎖用流体伏石捨てないに収容された閉鎖用流体に相当する。
【0104】
図示のフィードバックシステム400は、内側グランドプレート34及び外側グランドプレート36内に設置することができる寸法とすることが好ましい。システム400は、上述したメカニカルシール10に結合される。従って、メカニカルシール10の各部品中上述したものと同様な部品は同じ参照番号を付して説明する。静止シールリング14は、一端において静止シール面18に連通し、他端においてバリヤー流体供給源に連通する軸方向孔228を有する。回転シールリング16は、軸方向孔228に直接流体連通する位置に配置されたポンプ作用溝180を有する。溝180及び孔228は、バリヤー流体を直接シール面18,20へ通し、シール面間に両者を分離して両者間に間隙を形成する流体動力学的持ち上げ力を創生する。
【0105】
図示の流体フィードバック式圧力調整システム(フィードバックシステム)400は、グランド34,36内に形成された適当な大きさのチャンバー内に配設された可動差圧弁408を用いる。この可動弁は、スプール又はシャットル弁、ポペット弁、針弁、ダイアフラム、ベローズ、及び、加圧流体を搬送することができる、又は加圧流体によって作動される他の同様な弁を含むいろいろな弁のうちの任意のものであってよい。このチャンバーに環状の流体マニホールド414を取り付ける。このマニホールドは、流体フィードバック式圧力調整システム400の各圧力通路と孔の間に流体連通を設定することができるように形成された複数の孔を有する。詳述すれば、図示のマニホールド414は、可動差圧弁408を座着させる中央孔を有する。中央孔は、可動弁408を該孔内で開放位置と閉鎖位置の間で軸方向に比較的自由に移動させることができるように可動弁の最大外径より僅かに大きい寸法とされている。流体マニホールド414は、又、特定の加圧流体を上記グランド内のチャンバーへ選択的に連通させることができるように複数個の半径方向の流体孔410,412を有している。このチャンバーの内壁と流体マニホールド414の選択された部分との間に圧力密、流体密シールを形成するためにマニホールドの外表面に形成されたそれぞれの溝内にO−リング422,424のようなシール部材が装着されている。
【0106】
可動弁408はチャンバーを入力流体チャンバー(「入力調整チャンバー」とも称する)402と出力流体チャンバー404とに分割し、該弁のフランジ付き両端部兼に形成された中間チャンバー413を有する。弁408は、一端を手動調節自在のねじ406に取り付けられた調節自在ばね404に結合される。図示の調節自在ねじ406は、オペレータがばね404の張力を工場出荷時の初期設定値から調節したり、いじったりするのを防止又は禁止するために制限されたアクセス位置(アクセスし難い位置)に装着されている。随意選択として、システムオペレータは、このねじ406に所定の態様でアクセスし、回すことによってばね張力を調節することができる。かくして、ねじ406及びばね404は、協同して、図示の圧力調整サブシステム400のための初期圧力又は圧力設定値を規定するのを助成することができる。
【0107】
ねじ406及びばね404は、グランドの内表面から入力流体チャンバー402内へ延長している。入力流体チャンバー402は、シール10のプロセス流体を該入力調整チャンバー402に連通させることができるようにするためにプロセス流体分配ネットワークに連通させることができる。流体フィードバック式圧力調整サブシステム400のプロセス流体分配ネットワークは、メカニカルシール10内又はその周りに形成された、プロセス流体チャンバー290及びプロセス流体孔421(仮想線で示されている)のような適当なプロセス流体チャンバーを備えたものとすることができる。プロセス流体孔421は、プロセス流体チャンバー290からのプロセス流体を入力流体チャンバー402へ連通させる。当業者には明らかなように、プロセス流体分配ネットワークは、プロセス流体を必要に応じて所定の態様で可動弁408に連通させることができるように、グランド内に形成された一群の内孔を備えたものとすることができる。圧力調整システム400は、又、システム流体を該システムの特定の部分又は部品に連通させるためにグランドの外部に設けられた導管又は接続管を用いることができる。例えば、プロセス流体を流体ハウジング11から入力流体チャンバー402へ移送するために外部流体導管をグランドに接続することができる。
【0108】
図12を参照して説明すると、流体フィードバック式圧力調整システム400は、又、バリヤー流体を高圧バリヤー流体供給源(図示せず)から流体マニホールド414へ連通させるバリヤー流体分配ネットワークを備えたものとすることができる。バリヤー流体分配ネットワークは、バリヤー流体をグランドチャンバーからシール10の別の部分へ連通させる適当なバリヤー流体通路を備えたものとすることができる。シール10の別の部分とは、バリヤー流体付勢システム、例えば軸方向孔228及び溝180、グランド内に設置することができる他のフィードバックシステム、及び、流体供給源420及びバリヤー通路430等の他の流体通路及び孔等である。可動弁408は、入力供給孔420及び入力チャンバー孔410を通してバリヤー流体供給源に連通することができる中間チャンバー又はチャンネル413を画定する。中間チャンバー又はチャンネル413は、出力バリヤー孔412,240を通してバリヤー流体分配ネットワークに流体連通するように選択的に切り換えられる。
【0109】
動作中、ハウジング11からのプロセス流体は、プロセス流体分配ネットワークを通して入力チャンバー402に連通する。一実施例によれば、プロセス流体は、プロセスチャンバー290から入力プロセス流体圧孔421を通して入力チャンバー402へ差し向けられる。このプロセス流体は、所定の動作圧下にある。入力流体チャンバー402内のプロセス流体は、可動弁408の入力側、即ち左側に圧力を及ぼす。それに加えて、調節自在ばね404も、可動弁408に圧力を及ぼす。これらの2つの力又は圧力の合計が入力圧力を構成し、可動弁408を右方へ付勢(偏倚)する初期入力軸方向力を及ぼす。
【0110】
バリヤー流体供給源からバリヤー流体が、バリヤー流体分配ネットワークによって流体フィードバック式圧力調整システム及びメカニカルシールへ導入される。バリヤー流体供給源からのバリヤー流体は、入力供給通路420を通して入力バリヤー流体孔410及び中間チャンバー413へ選択的に導入される。次いで、バリヤー流体は、可動弁408を開放位置と閉鎖位置の間で選択的に偏倚させることによって出力チャンバー404へ選択的に導入される。図では可動弁408は、閉鎖位置にあるところが示されている。
【0111】
出力流体チャンバー404内に収容されたバリヤー流体は、可動弁408の右側に反対方向の、即ち軸方向内向きの圧力を及ぼし、出力圧を創生する。このバリヤー流体によって与えられた出力圧がプロセス流体圧と、調節自在ばね圧との和より小さいときは、差圧可動弁408は、その開放位置へと右方へ移動する。それによって、中間チャンバー413を出力バリヤー孔412に連通させることができ、バリヤー流体供給源から流体供給導管を通して出力流体導管412への流体経路を設定する。次いで、バリヤー流体は、通路240を通って軸方向孔228へ、従って、バリヤー流体分配ネットワークの残りの部分へ流入する。通路240は、更に、閉鎖用流体チャンバー280をも加圧する(チャンバーに流体圧を導入する)。
【0112】
バリヤー流体分配ネットワークが供給源からのバリヤー流体で満たされると、出力流体チャンバー404内のバリヤー流体圧は、プロセス流体と調節自在ばね404によって及ぼされる圧力の和に等しくなるか、それを越えるまで増大する。そうすると、可動弁408が図示の閉鎖位置へ偏倚され、バリヤー流体供給源を出力バリヤー通路240から遮断する。かくして、流体フィードバック式圧力調整システム内のバリヤー流体が、プロセス圧と調節自在ばね404の可変圧によって及ぼされる圧力の和にほぼ等しいレベルにまで加圧される。
【0113】
図示のシステム400には、更に、閉鎖用流体分配ネットワークから閉鎖用流体を放出するためのサブシステムを含めることができる。そのようなサブシステムは、プロセス流体孔421とバリヤー流体孔240を除いては、図示のシステム400と同じ部品の大部分を備えたものとすることができる。これらのサブシステムは、シール面18,20に直接又は間接的に作用する特定の流体圧を制御するために、全部合わせて一緒に、又は任意の組み合わせで使用することができる。図示のシステム400は、又、バリヤー流体システムとは独立して閉鎖用流体供給源を閉鎖用流体システム(閉鎖力付勢システム)に選択的に接続するのに用いることもできる。閉鎖用流体システムは、バリヤー流体分配ネットワーク内の圧力及び、又はバリヤー流体付勢システム、例えば軸方向孔228及び溝180内の圧力の関数として閉鎖力を静止シールの裏面に及ぼす。
【0114】
このサブシステムの閉鎖用流体分配ネットワーク(単に「閉鎖用流体ネットワーク」とも称する)は、閉鎖用流体の供給源を静止に接続する。このサブシステムの閉鎖用流体ネットワークは、静止シールリング14と回転シールリング16の間の分離度を調節又は調整するために閉鎖用軸方向付勢力をシールリング14に及ぼす。閉鎖用流体分配ネットワークは、又、静止シールリング14と回転シールリング16の間の分離度を調節するために少くとも一方のリングへ閉鎖用流体を導入する任意の適当な数及び配置の流体導管及び孔を備えたものとすることができる。特に、図示のネットワークは、入力閉鎖力供給通路420、入力閉鎖用流体孔410、中間チャンネル413、出力閉鎖用流体孔412、閉鎖用流体通路240、及び閉鎖用流体チャンバー280のうちの1つ又はそれ以上を備えたものとすることができる。従って、バリヤー流体システムと閉鎖用流体分配ネットワークを同時に加圧するために別個の専用の一連の流体接続された通路を用いることができる。好ましい実施例によれば、閉鎖用流体として、任意の適当なバリヤー流体を用いることができる。
【0115】
図13は、本発明の流体フィードバック式圧力調整システム401の別の実施形態を示す。図示のシステム401は、可動弁としてダイアフラムDを用いる。一実施例によれば、システム401は、入力バリヤー流体圧をプロセス流体圧とばね454によって与えられる圧力に対して所定の選択されたレベルに設定し、かつ、閉鎖用流体をも該システムに供給することが好ましい。図示のシステム401の動作及び機能は、図12のフィードバック式圧力調整システム400と同様である。図12及び13において同じ参照番号は同様な部品を示す。
【0116】
グランドプレート34,36は、互いに軸方向に離隔した1対のチャンバー470,471を形成するように孔を備えている。これらのチャンバーは、互いに選択的に流体連通状態に設定される。ダイアフラムDは、チャンバー470内に装着することができる寸法とされ、チャンバー470を入力流体チャンバー402と出力流体チャンバー404に分割する。ダイアフラムDは、ベロー部分480と、両端が開口した中央孔を有する軸方向のスピンドル部分481を有する。図示のダイアフラムDは、一端を手動調節自在のねじ456に取り付けられた調節自在ばね454に結合される。ねじ456は、アクセスし難い部位にグランドの内表面に沿って装着されるヘッド部分456Aを有する。外部環境とチャンバー470の間に流体シールを設定するために溝内にヘッド部分456Aの周りに環状O−リング457が装着される。ねじ456は、ばね454の張力、従って圧力を増減させるとともに、入力流体チャンバー402内の圧力を増大させるためにばね454の張力を調節することができる。かくして、ねじ456とばね454は、協同して、図示の圧力調整システム401内に初期圧力又は圧力設定値を規定する。ねじ456がアクセスし難い位置に装着されていることにより、システムオペレータがばね454の張力を調節するのを防止又は禁止される。ばね454の張力は、工場で予め設定しておくことができる。当業者には明らかなように、調節自在ねじ456は、グランドの外表面に沿って装着することができる。
【0117】
ねじ456及びばね454は、グランドプレート34の内側軸方向表面から入力流体チャンバー402内へ延長している。入力流体チャンバー402は、シール10のプロセス流体を該入力調整チャンバー402に連通させることができるようにするためにプロセス流体分配ネットワークに連通させることができる。流体フィードバック式圧力調整システムのプロセス流体分配ネットワークは、メカニカルシール10内又はその周りに形成された、プロセス流体チャンバー290、及び、プロセス流体チャンバー290からのプロセス流体を入力流体チャンバー402へ連通させる入力プロセス流体通路462(仮想線で示されている)のような適当なプロセス流体チャンバーを備えたものとすることができる。当業者には明らかなように、プロセス流体分配ネットワークは、プロセス流体を所定の態様でダイアフラムDに連通させることができるように、グランド内に形成された一群の内孔及び通路を備えたものとすることができる。圧力調整システムは、又、システム流体を該システムの特定の部分又は部品に連通させるためにグランドの外部に設けられた導管又は接続管を用いることができる。例えば、プロセス流体を流体ハウジング11から入力流体チャンバー402へ移送するために外部流体導管をグランドに接続することができる。あるいは変型実施形態として、外部の導管又は接続管を用いることなく、プロセス流体を完全にグランド内のプロセス流体孔に連通させることができるようにグランドの内部に孔を形成することができる。
【0118】
チャンバー471は、チャンバー470に対して軸方向外方に形成される。チャンバー471は、更に、一側において入力流体供給通路420に連通している。チャンバー471には、ばね472を有するばね付勢組立体469と、断面U字形の中間プレート473と、固定環状シールプラグ474が装着される。ばね472の一端は、チャンバー471の軸方向最外方部分に座着し、他端は、プレート473に形成された凹部内に座着する。中間プレート473は、シールプラグ474の一端に形成された座着面475に当接するシール表面473Aを有する。シールプラグ474は、チャンバー470と471の間に流体密封を設定するO−リング476を装着するための環状溝を有する。プラグ474は、該プラグを所定位置に固定的に座着させるために、チャンバー壁に形成された嵌合溝に座着する肩部分477を有することが好ましい。プラグ474は、ダイアフラムDのスピンドル部分481を摺動自在に座着させるように寸法づけされた中央孔477を有する。プラグ474は、プレート473が座部475に密着面接触しているときは、流体通路420からチャンバー471へ供給された流体が出力チャンバー404に連通するのを防止する働きをする。
【0119】
図示の中間プレート473は、流体力及び機械的力を選択することによって開放位置と閉鎖位置の間で選択的に移動される。ばね付勢組立体469が図示の閉鎖位置におかれているときは、シール表面473Aは、プラグ474の座着表面475に密封関係に接触する。この位置では、チャンバー471内に収容されている流体が出力チャンバーと連通するのを防止される。組立体469が開放位置に置かれると、プレート473はプラグ474から軸方向に離隔され、チャンバー471内の流体を中央孔474を通して出力チャンバー404内へ通す。
【0120】
図13を参照して説明すると、軸方向スピンドル481は、閉鎖位置に置かれたとき、中間プレート473のシール表面473Aに座着する外端を有する。スピンドル481は、開放位置に置かれると、シール表面473Aから脱係合し、それによって、出力チャンバー404内内に流体をスピンドルの中央孔を通してチャンバー402に連通させる。
【0121】
図示のシステム401では、入力流体チャンバー402は、プロセス流体孔462を介してプロセス流体チャンバー290に流体接続されている。出力流体チャンバー404は、流体孔240を介してバリヤー流体分配ネットワーク及び閉鎖用流体ネットワークに流体接続されている。本発明の流体フィードバック式圧力調整システムは、高圧バリヤー流体供給源からのバリヤー流体をダイアフラムD及び、又はバリヤー流体付勢ネットワークへ連通させるバリヤー流体分配ネットワークを含む。更に、このシステムは、バリヤー流体のような閉鎖用流体を閉鎖用流体チャンバー280へ連通させる閉鎖用流体ネットワークを含む。
【0122】
動作中、流体ハウジング11からのプロセス流体は、入力プロセス流体圧通路462を通し、更に、プロセス流体を入力チャンバー402内に流入させることができるシール及び、又はグランド内に適当に形成された通路を通して入力チャンバー402に連通する。プロセス流体は、所定の動作圧下にある。入力流体チャンバー402内のプロセス流体は、ダイアフラムDの入力側、例えば左側に圧力を及ぼす。加えて、調節自在ばね454も、ダイアフラムDに圧力を及ぼす。これらの2つ乗り気即ち圧力の組み合わせ(和)が、入力圧力を構成し、ダイアフラムDを右方へ付勢する初期入力軸方向力を及ぼす。
【0123】
バリヤー/閉鎖用流体供給源(図示せず)からのバリヤー流体は、バリヤー流体分配ネットワークによって調整システム401及びメカニカルシール10へ導入される。一実施例によれば、バリヤー用流体供給源からのバリヤー流体は、フィードバックシステムへ、詳述すれば、供給孔420を通して出力チャンバー404へ導入される。従って、中間プレート473の位置が、バリヤー流体が出力チャンバー404へ導入されるかどうかを決定する。出力流体チャンバー404内に収容された流体は、ダイアフラムDの右側に反対方向の、即ち軸方向内向きの圧力を及ぼし、出力圧を創生する。
【0124】
プロセス流体とばね454によって及ぼされる入力圧が出力流体チャンバー404内の出力圧より大きいときは、ダイアフラムDは、右へ動き、スピンドル481はプレート表面473Aを座着表面475から分離させる。流体供給源からバリヤー流体がチャンバ471へ導入され、そこからバリヤー流体は、プラグ474中央孔477を通って出力流体チャンバー404へ流入する。次いで、バリヤー流体は、そこから出力通路240を経て軸方向孔280及びチャンバー280に流入する。
【0125】
バリヤー流体分配ネットワークが供給源からのバリヤー流体で満たされると、出力流体チャンバー404内のバリヤー流体圧は、ダイアフラムDを反対方向に、例えば左方へ押圧するためにダイアフラムDに及ぼす圧力を漸増させる。出力流体チャンバー404内のバリヤー流体圧がプロセス流体と調節自在ばね454によって及ぼされる圧力の和にほぼ等しくなると、ダイアフラムDが左方へ押圧される。ばね472及び中間プレート473は、チャンバー471内のバリヤー流体圧と協同して、プレートのシール表面473Aを座部475に接触すする位置へ押し戻し、それによって、バリヤー流体供給源を出力チャンバー404から遮断する。かくして、流体フィードバック式圧力調整システム内のバリヤー流体が、プロセス圧と調節自在ばね454の可変圧によって及ぼされる圧力の和にほぼ等しいレベルにまで加圧される。従って、出力流体チャンバー404内のバリヤー流体圧は、プロセス流体の圧力より、ばね454の張力即ち圧力に対応する量だけ高いレベルにまで加圧される。当業者には明らかなように、出力流体チャンバー404内のバリヤー流体圧のこの増大は、シール面でのバリヤー流体圧が低くなっていることを表し、従って、シール面がまさに接触しようとしていることを表す。バリヤー流体が軸方向孔228及び溝180を通してシール面に供給されると、シール面間の間隙が加圧されシール面を分離する。
【0126】
組み立てにおいては、回転シールリング16の駆動スロット138をホルダ組立体の駆動孔134から突出している軸方向の駆動ピン136に心合させることによって回転シールリング16をスリーブ100に取り付ける。弾性調心部材170をスリーブ100の周りに同心的に配置し、更に回転シールリング16の内側表面166に接触させる。同様にして、O−リング130をスリーブ100に形成された環状溝128内に配置し、回転シールリング16の後面174に密封接触させる。
【0127】
機械的ばね270を外側グランドプレート36のばね孔272内に挿入して圧縮プレート300の後面307に当接させることによって静止シールリング14と圧縮プレート300を外側グランドプレート36の静止シールリング受容チャンバー90内に装着する。流体孔228の軸方向セクション228と圧縮プレート300の孔316を外側グランドプレート36に形成された孔252から突出した保持ピン250に心合させる。O−リング236を外側グランドプレート36の第2表面76の周りに同心的に装着し、静止シールリング14の半径方向セクション224及び斜切セクション226に密封接触させる。圧縮プレート300の表面312,314は、O−リング236を静止シールリング14及び外側グランドプレート36の両方に密封接触させるように付勢する。O−リング94は、外側グランドプレート36の溝92内に装着され、静止シールリング14の第2外側表面208に接触させる。O−リング94及び236は、かくして、外側グランドプレート36と静止シールリング14の間に流体密、圧力密シールを設定する。
【0128】
当業者には明らかなように、機械的ばねとしては、圧縮プレート300なしの構成を含むいろいろなな変型機械的ばねが可能である。圧縮プレート300なしとした場合は、機械的ばねを直接静止シールリング14の表面に接触させる。
【0129】
次に、グランドプレートO−リング56をグランドガスケット溝70内に装着し、外側グランドプレート36、スリーブ100、静止シールリング14及び回転シールリング16を軸12の周りに同心的に装着する。次いで、ロックリング144をスリーブ100の外端104の周りに同心的に装着する。ねじ142をロックリング144を通してスリーブ100の締着具受容孔140に挿入し、ねじ142を締めつけて軸12に摩擦係合させ、それによってスリーブ100並びに回転シールリング16を軸12に固定する。
【0130】
次いで、内側グランドプレート34を軸12の周りに同心的に装着する。次いで、回転シールリングスリーブ100のフランジ120と回転シールリング16を内側グランドプレート34内に装着する。図1に示されるように、回転シールリング16とスリーブ100のフランジ120は、内側グランドプレート34から離隔されており、それによって、内側グランドプレート34に対して回転シールリング16及びスリーブ100のフランジ120の回転を可能にする。次に、グランドプレート34,36をそれらのグランドプレートの締着具受容孔82によって保持されたねじ84によって結合し固定する。グランドガスケット溝70が、内側グランドプレート34の半径方向表面54に当接し、グランドプレート34と36の間に圧力密、流体密シールを設定する。
【0131】
グランド組立体30をハウジング11に完全に固定する前に、軸12、スリーブ100、静止シールリング14及び回転シールリング16をグランド組立体30内に心合させる。この目的のための調心機構の1例が図1に調心クリップ15として示されている。その他のタイプの調心機構の例は、本出願人の米国特許第5,571,268号(その記載内容が本明細書に編入されているものとする)に記載されている。
【0132】
シール10を組み立て、ポンプハウジング11に取り付けたならば、プロセス媒体を図1に示されるようにプロセス流体チャンバー290内に封入する。プロセス流体チャンバー290は、内側グランドプレート34の内側表面38と、外側グランドプレート36の第2表面68と、O−リング56,94と、スリーブ100の外側表面と、回転シールリング16の外側表面172と、静止シールリング14の第1及び第2外側表面206,208及び第1連接壁210とによって画定される。周囲媒体、通常は空気が、プロセス流体チャンバー290から通常は封止されている周囲流体チャンバー295を満たす。プロセス流体チャンバー290は、静止シールリング14の内側表面162と、回転シールリング16の内側表面202と、O−リング130,236と、スリーブ100の外側表面112,114によって画定されている。ここで、「周囲」及び「周囲媒体」とは、プロセス環境又はプロセス媒体以外の任意の外部環境又は媒体を意味する。
【0133】
引き続き図1を参照して説明すると、O−リング118は、プロセス流体が軸12に沿って滲出するのを防止する。扁平なガスケット50は、プロセス流体がハウジング11及びシール10の界面に沿って滲出するのを防止する。グランドプレートO−リング56は、プロセス流体がグランドプレートの界面に沿って滲出するのを防止する。O−リング94,130は、プロセス流体がスリーブ100及びグランド組立体30を経て周囲流体チャンバー295に侵入するのを防止する。
【0134】
作動において、バリヤー流体が静止シールリング14のバリヤー流体孔228を通してらせん溝180及びシール面18,20a,20bへ導入される。バリヤー流体は、これらのシール面間の間隙を満たし、それによってシール面18と20を分離して、プロセス流体チャンバー290内のプロセス媒体と周囲流体チャンバー295内の周囲流体との間に流体シールを形成する。この間隙は、シール面に沿っての流体漏れを最少限にし、かつ、摩耗を抑止するためにシール面を分離しておくように所定の厚さに維持されるか、あるいは、調節自在とされる。
【0135】
シール10に対するバリヤー流体の作用は、二通りある。第1に、バリヤー流体は、シール面18と20a,20bとの間の直接的摩擦接触の度合を軽減することによってシール面の摩耗を少なくし、その結果として、各シール部品の使用寿命を長くすることができる。第2に、バリヤー流体は、シール面間の直接的摩擦接触によって生じる熱をシール面から移送する量を最少限にし、その結果、シール10全面の温度分布をより均一にし、従って、各シール部品が受ける熱応力を小さくすることによってシール部品の使用寿命を長くすることができる。
【0136】
バリヤー流体は、回転シールリング16の第1同心シール面20a並びに静止シールリングシール面18の対応部分に主として流体静力学的な持ち上げ力を及ぼす。本発明のシール10は、又、溝180に、そして内側同心シール面20bに沿って混在流体動力学的及び流体静力学的流体力(流体動力学的流体力と流体静力学的流体力とが混在した力)を醸成する。又、バリヤー流体は、回転シールリング16の第2シール面20b並びに静止シールリングシール面18の対応部分に、静止シールリングシール面18の少くとも一部分を回転シールリング16の第2シール面20bの少くとも一部分から分離させて両者の間に間隙を形成する働きをする持ち上げ力を及ぼす。
【0137】
本発明のメカニカルフェースシール10の重要な利点は、1対の同心シール面を単一のシールリング上に、好ましくは、非接触型メカニカルフェースシールに形成することができることである。同心シールの形成は、1対だけのシールリングを用いて二重のシール設計を可能にする。(ただし、随意選択として、追加のシールリングを用いることができる。)この構造は、既存の流体機械類の既存のシールスペース内に設置することができる非常にコンパクトなメカニカルシール、好ましくは非接触型メカニカルフェースシールの構成を可能にする。従って、このメカニカルシールを収容するためにポンプハウジングや周りの構造体をほとんど改変する必要がない。
【0138】
回転シールリングのシール面の一部分に沿って主として流体静力学的な流体力を醸成し、該シール面の他の一部分に沿って混在流体動力学的及び静力学的流体力を醸成することのもう1つの利点は、そのメカニカルシールが、シール面の摩耗を増進させることなく比較的低速の軸速度で動作することが可能なことである。更に、シール面の一部分、好ましくは同心シール面のうちの一方のシール面に沿って純粋に流体静力学的な部分を設けることによって、バリヤー流体の放出中にもシールを維持することを可能にする。この利点が得られるのは、本発明のメカニカルシールは、主として流体静力学的なシール領域がプロセス流体環境と周囲環境との間に有効な流体シールを設定することを可能にするバランス機構を用いるからである。
【0139】
本発明の更に他の利点は、シール領域においてプロセス流体に対してバリヤー流体圧の増減が生じると、それに対応して、シールの流体静力学的部分に沿ってのみシール面を分離させる開放力に正味変化を起こすようにメカニカルシールを構成することができることである。この圧力構成は、システムオペレータがバリヤー流体とプロセス流体との間の圧力差を変えることによって開放力を調節することを可能にする。この圧力制御特徴は、使用中、間隙の厚さの正確な調節を可能にする。
【0140】
加えて、本発明のメカニカルシール10は、バリヤー流体圧を調節することによって軸の回転速度とは独立してシール面間の接触度即ちシール面間に形成される間隙の厚さを調節することを可能にし、それによって流体静力学的な持ち上げ力F1の大きさを調節し、所望の分離隔隙を設定することができる。従って、始動時に、即ち、軸が回転していないとき、バリヤー流体圧を増大させることによってシール面を完全に又は部分的に分離をさせることが可能である。同様にして、低速軸速度においてもバリヤー流体圧を増大させることによってシール面を完全に又は部分的に分離をさせることができる。
【0141】
本発明の更に他の利点は、二次シール構造体がシール面のハングアップ(引っ掛かりや詰まり)又はO−リングのヒステリシスを防止、抑止又は最少限にすることである。従って、本発明のシールは、そのシール面の分離がシステムの限界内に維持されるので密封特性を向上させることができる。
【0142】
当業者には明らかなように、本発明のメカニカルシール10は、例えばグランド組立体、スリーブ、静止シールリング、回転シールリング、O−リング等の各シール部品の一部分を分割した完全なスプリット型メカニカルシールとして構成することができる。そのようなスプリット型シールは、例えばポンプ等の関連装置を完全に分解する必要なしに、又、シールを軸の端部から外す必要なしに、割りシール部品を着脱することによって損傷したシール部品の交換又は修理を容易にすることができる。
【0143】
当業者には明らかなように、ここでは単一のシール構造を例示して説明したが、本発明のメカニカルシール10は、多数個を軸に沿って軸方向に並べて配置する二重又は縦列又は多重シール構成とすることができる。
【0144】
以上、本発明を実施形態に関連して説明したが、本発明は、ここに例示した実施形態の構造及び形状に限定されるものではなく、いろいろな実施形態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明による非接触型メカニカルシールの部分断面図である。
【図2】 図2は、図1に示した本発明による非接触型メカニカルシールの分解斜視図である。
【図3】 図3は、図1に示した本発明による非接触型メカニカルシールのシール構成部材の図2とは異なる分解斜視図である。
【図4】 図4は、図1に示した本発明の非接触型メカニカルシールの内側グランド(パッキング)プレートの斜視図である。
【図5】 図5は、図1に示した本発明の非接触型メカニカルシールの外側グランド(パッキング)プレートの斜視図である。
【図5A】 図5Aは、図5の外側グランドプレートの側断面図である。
【図5B】 図5Bは、図5の外側グランドプレートの部分側断面図であり、外側グランドプレートの内部の静止シールリング及び外側グランドプレートの内部に座着している圧縮プレートを示す。
【図5C】 図5Cは、図5の外側グランドプレートの部分即断面図であり、静止シールリングと、外側グランドプレートの内部に座着している他の例の圧縮プレートを示す。
【図6】 図6は、図1の本発明の非接触型メカニカルシールの回転シールリングを支持するためのスリーブの斜視図である。
【図7】 図7は、図1の本発明の非接触型メカニカルシールの回転シールリングの斜視図である。
【図7A】 図7Aは、図7の回転シールリングの側断面図である。
【図8】 図8は、図1の本発明の非接触型メカニカルシールの静止シールリングの斜視図である。
【図8A】 図8Aは、図8の静止シールリングの側断面図である。
【図9】 図9は、図8の本発明の静止シールリングの破断斜視図である。
【図10】 図10は、図1の本発明の非接触型メカニカルシールの圧縮プレートの斜視図である。
【図10A】 図10Aは、図10の圧縮プレートの側面図である。
【図11】 図11は、図1の本発明の非接触型メカニカルシールのロックリングの斜視図である。
【図12】 図12は、図1の本発明の非接触型メカニカルシールを、グランド内部に取り付けた圧力フィードバック手段と共に示す破断断面図である。
【図13】 図13は、他の実施例による圧力フィードバック手段を使用する図12の非接触型メカニカルシールの破断図である。
【図14A】 図14Aは、図1の非接触型メカニカルシールの回転及び静止シールリングの概略的な側断面図であり、本発明によるシールリングに作用する各種の力を例示する。
【図14B】 図14Bは、図1の非接触型メカニカルシールの回転及び静止シールリングの概略的な側断面図であり、本発明によるシールリングに作用する各種の力を例示する。
【図15】 図15は、図1の非接触型メカニカルシールの回転及び静止シールリングの概略的な側断面図であり、本発明によりバリヤー流体圧力の喪失状態中にシールリングに作用する各種の力を例示する。
【符号の説明】
10 メカニカルフェースシール、メカニカルシール、シール
11 流体ハウジング、ポンプハウジング、ハウジング
12 軸
13 軸線
14 静止シールリング、シールリング
16 回転シールリング、シールリング
18 シール面、静止シールリング面、静止シール面
20 シール面、回転シールリング面、回転シール面
20a,20b 同心シール面、シール面
30 シールグランド組立体、グランド組立体、グランド、
34 内側グランドプレート、グランドプレート
36 外側グランドプレート、グランドプレート
38 内側半径方向表面
40 外側半径方向表面
42 内側軸方向表面
44 外側軸方向表面
48 ハウジングガスケット溝
50 環状ハウジングガスケット
52 環状カラー
52 内側グランドプレート密封部分
54 半径方向表面
56 リング
58 内側軸方向表面
60 外側軸方向表面
62 内側半径方向表面
64 外側半径方向表面
70 グランドガスケット溝
72 軸方向表面
74 内側半径方向表面、半径方向表面
76 軸方向表面
78 内側半径方向表面
80 受容凹部
84 ボルト
84 締着孔
90 静止シールリング受容チャンバー
91 弾性部材受容チャンバー
92 外側グランドプレート溝
94 弾性部材
100 回転シールリングスリーブ、スリーブ
102 円筒形スリーブ本体
104 軸方向外端
106 軸方向内端
108 外側表面
110 内側表面
112 外側表面
114 外側表面
116 環状チャンネル
118 軸ガスケット
120 フランジ
122 内側軸方向表面
124 外側軸方向表面
126 外側半径方向表面
128 環状溝
130 弾性シールリング、弾性密封部材
132 外側表面
134 駆動孔
136 駆動ピン
138 駆動スロット
140 孔
144 ロックリング
162 円弧状内側表面
164 軸方向表面
166 内側表面
168 連接表面
168 連接壁
170 弾性調心部材
172 外側軸方向表面
174 後面
180 ポンプ作用溝、溝
202 内側軸方向表面
204 外側軸方向表面
206 外側表面
208 外側表面
210 環状連接壁
212 内側表面
214 内側軸方向表面
216 環状連接壁
218 内側セクション、内側表面
220 後面
222 内側表面、連接壁
224 半径方向セクション、半径方向表面
226 斜切セクション、斜切表面
228 バリヤー流体孔、バリヤー流体導管
228 軸方向セクション、軸方向孔、流体孔
230 軸方向セクション
232 セクション
234 連続円周溝
236 リング
236 弾性部材
240 バリヤー流体孔
240 出力バリヤー通路、出力通路
240 入力流体孔、閉鎖用流体通路、流体孔
250 静止シールリング保持ピン、保持ピン
252 静止シールリング孔
272 受容孔
280 環状閉鎖用流体チャンバー、チャンバー、軸方向孔
290 プロセス流体チャンバー、プロセスチャンバー
295 周囲流体チャンバー
300 圧縮プレート
301 二次シール組立体
302 内側前面、内側半径方向表面
304 外側半径方向表面、内側表面
306 前面
307 後面
308 前面
310 連接壁
311 前面
312 前面
313 前面
314 前面
316 保持ピン孔
400 流体フィードバック式圧力調整システム、圧力フィードバックシステム、フィードバックシステム、圧力調整サブシステム、圧力調整システム
401 流体フィードバック式圧力調整システム、圧力調整システム、調整システム
402 入力調整チャンバー、入力流体チャンバー、入力チャンバー
404 出力流体チャンバー、出力チャンバー
408 可動差圧弁、可動弁
410 入力閉鎖用流体孔、入力バリヤー流体孔、入力チャンバー孔
412 出力閉鎖用流体孔、出力バリヤー孔、出力流体導管
413 中間チャンネル、中間チャンバー
414 流体マニホールド
420 入力閉鎖力供給通路、入力流体供給通路入力供給孔、供給孔、入力供給通路
421 入力プロセス流体圧孔、プロセス流体孔
430 バリヤー通路
456A ヘッド部分
457 リング
462 入力プロセス流体圧通路、入力プロセス流体通路、プロセス流体孔
469 付勢組立体
470 チャンバー
471 チャンバー
473A シール表面
473A プレート表面
473 中間プレート
474 固定環状シールプラグ、シールプラグ
474 中央孔
475 座着表面、座着面、座部
476 リング
477 肩部分
477 中央孔
480 ベロー部分
481 軸方向スピンドル、スピンドル、スピンドル部分

Claims (67)

  1. プロセス流体圧のプロセス流体に露呈されるハウジング(11)と回転軸(12)との間に流体シールを設定するためのメカニカルフェースシール(10)であって、
    第1圧力の第1流体に露呈される第1表面(172)と第2表面(164)の間に延長した、第1部分(20a)及び第2部分(20b)を有する第1シール面(20)を備えた第1シールリング(16)と、
    前記第1流体に露呈される第1表面(206)と第2表面(212)の間に延長しており、組み立てられた状態では前記第1シール面(20)に対向する第2シール面(18)を備えた第2シールリング(14)と、
    前記第1シール面(20)と第2シール面(18)の間に第2圧力の第2流体を導入し、前記第1圧力と第2圧力の差によって該第1シール面と第2シール面(18)の間に開放力を醸成するための第2流体導入手段(228)と、
    該シールに結合されている圧力調整システム(400)にして、可動弁によって入力流体チャンバーと出力流体チャンバーとに分割され、入力流体チャンバー内のプロセス流体が可動弁に対し前記第1圧力に対応する力を及ぼし、出力流体チャンバー内のバリヤー流体が可動弁に対し前記第2圧力に対応する反対方向の力を及ぼし、これにより、前記開放力を前記第1流体の圧力と第2流体の圧力の間の差の関数として調整するための圧力調整システム(400)と、
    から成り、前記第1シールリング(16)と第2シールリング(14)の一方が前記軸と共に回転し、他方が回転しないように固定されていることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 前記第1流体はプロセス流体であり、前記第2流体はバリヤー流体であることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  3. 前記第1シールリング(16)の前記第1表面(172)は、外側半径方向表面であり、前記第2シールリング(14)の前記第1表面(206)は、外側半径方向表面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のメカニカルシール。
  4. 前記第1シールリング(16)と第2シールリング(14)の一方に作用する閉鎖力を醸成するための閉鎖力醸成手段(240)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
  5. 前記圧力調整システム(400)は、前記両シール面の接触を阻止し、前記ハウジングと回転軸との間に流体シールを維持するために前記閉鎖力に対する前記開放力の比を前記第1流体と第2流体の間の圧力差の関数として調節することを特徴とする請求項4に記載のメカニカルシール。
  6. 前記軸の回転中前記第1シール面(20)の一部分と第2シール面(18)の一部分とを分離させる流体動力学的流体力を該第1シール面(20)の前記第2部分(20b)の少くとも一部分と第2シール面(18)との間に創生するための流体動力学的流体力創生手段(180)を含むことを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  7. 前記第1圧力と第2圧力の差が、前記第1シール面(20)の少くとも一部分と第2シール面(18)の間に流体静力学的流体力を創生し、前記圧力調整システム(400)は、前記第2流体の圧力を調節することによって前記第1及び第2シール面(18)に作用する前記流体静力学的流体力を調節することを特徴とする請求項6に記載のメカニカルシール。
  8. 前記第2シールリング(14)に閉鎖流体力を作用させるために該第2シールリング(14)の後面(220)に閉鎖流体圧の閉鎖用流体を導入するための閉鎖用流体導入手段(240)を含むことを特徴とする請求項7に記載のメカニカルシール。
  9. 第2シールリング(14)に閉鎖用流体を導入するための前記閉鎖用流体導入手段(240)は、該閉鎖用流体が、前記第2シール面(18)の、前記第1シール面(20)の前記第2部分(20b)にオーバーラップする部分に作用するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のメカニカルシール。
  10. 第2シールリング(14)に閉鎖用流体を導入するための前記閉鎖用流体導入手段(240)は、該閉鎖用流体が、前記第2シール面(18)の、前記第1シール面(20)の前記第1部分(20a)にオーバーラップする部分に作用しないように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のメカニカルシール。
  11. 前記圧力調整システム(400)は、前記閉鎖用流体圧を調節することによって前記閉鎖力を調整することを特徴とする請求項9に記載のメカニカルシール。
  12. 前記圧力調整システム(400)は、動作中前記両シール面の接触を阻止し、前記ハウジングと回転軸との間に流体シールを維持するために前記閉鎖力を前記流体静力学的流体力と前記流体動力学的流体力の和とバランスさせることを特徴とする請求項11に記載のメカニカルシール。
  13. 前記圧力調整システム(400)は、前記第2流体の圧力を調節することによって前記第1及び第2シール面に作用する流体静力学的流体力を調整するか、又は、前記閉鎖用流体の圧力を調節することによって前記閉鎖力を調整することを特徴とする請求項9に記載のメカニカルシール。
  14. 前記第2シールリング(14)を前記ハウジング(11)に連結するために該第2シールリング(14)に結合されたグランド組立体(30)を含み、該グランド組立体は、軸方向内側グランドプレート(34)と、軸方向外側グランドプレート(36)を含み、前記閉鎖用流体導入手段は、前記外側グランドプレート(36)に形成された流体導管(240)を含み、該流体導管は、一端において前記第2シールリング(14)の前記後面(220)近傍に開口し、他端において流体供給源に連通していることを特徴とする請求項8に記載のメカニカルシール。
  15. 第1シール面(20)の第2部分(20b)の少くとも一部分と第2シール面(18)との間に流体動力学的流体力を創生するための前記流体動力学的流体力創生手段(180)は、該第1シール面(20)の第2部分(20b)に形成された複数のポンプ作用溝(180)を含むことを特徴とする請求項7に記載のメカニカルシール。
  16. 第1シール面と第2シール面の間に第2流体を導入するための前記第2流体導入手段(228)は、該第2流体を前記複数のポンプ作用溝(180)へ導入し、前記軸の回転中該ポンプ作用溝と該第2流体とが協同して前記第1シール面(20)の一部分と第2シール面(18)の一部分とを分離させる前記流体動力学的流体力を創生することを特徴とする請求項15に記載のメカニカルシール。
  17. 第2流体を導入するための前記第2流体導入手段は、前記第2シールリング(14)に形成された複数の軸方向通路(228)を含み、該各軸方向通路は、一端において前記第2シール面(18)上に開口し、他端において流体供給源に連通していることを特徴とする請求項16に記載のメカニカルシール。
  18. 第2流体を導入するための前記第2流体導入手段は、更に、前記第2シールリング(14)に形成された円周溝(234)を含み、該円周溝は、前記軸方向通路(228)を該円周溝に開口させるように該第2シール面(18)上に位置ぎめされていることを特徴とする請求項17に記載のメカニカルシール。
  19. 前記円周溝(234)及び前記軸方向通路(228)は、前記第2流体を前記ポンプ作用溝(180)へ供給して前記流体動力学的流体力を創生するように、前記第1シール面(20)の前記第2部分(20b)上に形成された前記ポンプ作用溝(180)の少くとも一部分と整合していることを特徴とする請求項18に記載のメカニカルシール。
  20. 前記第1シールリング(16)と第2シールリング(14)の一方を前記回転軸(12)に固定するためのスリーブ(100)を含み、該スリーブは、該回転軸の周りにほぼ同心的に取り付けるように寸法づけされたフランジ付き端部と、該スリーブを前記回転軸と共に回転するように該軸に固定するための固定手段(144)を有ることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  21. 前記スリーブ(100)を固定するための前記固定手段は、該スリーブの周りに同心的に取り付けられた環状のロックリング(144)を含み、該ロックリングには、前記回転軸に摩擦係合して該ロックリング及びスリーブを該回転軸に固定するための締着具(142)を受容するための複数の孔(140)が形成されていることを特徴とする請求項20に記載のメカニカルシール。
  22. 前記軸(12)を囲繞して前記ハウジング(11)に取り付けるために寸法づけされており、前記第1シールリング(16)と第2シールリング(14)の一方を該ハウジングに連結するために該一方のシールリングに結合されたグランド組立体(30)を含むことを特徴とする請求項21に記載のメカニカルシール。
  23. 前記第1シールリング(16)は、前記スリーブ(100)と共に回転するように該スリーブに固定されており、前記第2シールリング(14)は、前記グランド組立体(30)に固定されていることを特徴とする請求項22に記載のメカニカルシール。
  24. 前記第2シールリング(14)と前記グランド組立体(30)の間にシールを設定するために該第2シールリングとグランド組立体の間に介設された弾性部材(236)と、
    該弾性部材を該第2シールリング及びグランド組立体に接触させるように軸方向及び半径方向に付勢するための圧縮手段(300)を含むことを特徴とする請求項23に記載のメカニカルシール。
  25. 前記圧縮手段は、前記弾性部材(236)に係合するための環状の内側フランジ付き部分を有する環状圧縮プレート(300)から成ることを特徴とする請求項24に記載のメカニカルシール。
  26. 前記環状の内側フランジ付き部分は、前記弾性部材(236)を前記第2シールリング及び前記グランド組立体に接触させるように軸方向及び半径方向に付勢するための軸方向及び半径方向に延長した角度付き表面(311)を含むことを特徴とする請求項25に記載のメカニカルシール。
  27. 前記第1シールリング(16)は、前記第1シール面(20)の前記第1部分において半径方向に延長した第1外側シール面(20a)と、該第1シール面(20)の前記第2部分において半径方向に延長した第2内側シール面(20b)を有し、該第1外側シール面(20a)と第2内側シール面(20b)とは、ほぼ同一平面内にあることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  28. 前記第2シール面(18)は、前記第1シールリング(16)の前記内側シール面(20b)と外側シール面(20a)の少くとも一部分の上に重なるように寸法づけされていることを特徴とする請求項27に記載のメカニカルシール。
  29. 前記第1外側シール面(20a)は、前記第1シール面(20)の外円周部分に沿って配置され、前記第2内側シール面(20b)は、前記第1シール面(20)の内円周部分に沿って配置されて単一シールリング上に二重の同心シールを形成するようになされていることを特徴とする請求項27に記載のメカニカルシール。
  30. 第1部分(20a)と第2部分(20b)を有する第1シール面(20)を備えた第1シールリング(16)と、組み立てられたとき前記第1シール面(20)に対向する第2シール面(18)を備えた第2シールリング(14)とを含む、ハウジング(11)と回転軸(12)の間に流体シールを設定するためのメカニカルシール(10)の該両シール面(14,16)間の接触を阻止する方法であって、
    前記第1シール面(20)の少くとも一部分と前記第2シール面(18)の少くとも一部分の間に流体静力学的流体力を創生するために該第1シール面(20)と該第2シール面(18)の間に流体を導入する工程と、
    前記軸の高速回転中前記第1シール面(20)と第2シール面(18)を分離させる働きをする流体動力学的流体力を該第1シール面(20)の前記第2部分(20b)の少くとも一部分と該第2シール面(18)の少くとも一部分の間に創生する工程と、
    前記軸の低速回転中前記第1シール面(20)の前記第1部分(20a)の少くとも一部分と前記第2シール面(18)の少くとも一部分の間の接触を阻止するために該第1シール面(20)の該第1部分(20a)と該第2シール面(18)の間の前記流体静力学的流体力を増大させる工程と、
    から成る方法。
  31. 第1シール面(20)の該第1部分(20a)と第2シール面(18)の間の流体静力学的流体力を増大させる前記工程は、該第1シール面の該第1部分と該第2シール面に作用する流体静力学的流体力を増大させるために該第1シール面の該第1部分と第2シール面の間に導入された前記流体の圧力を増大させる工程を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
  32. 前記第2シール面(18)の、前記第1シール面(20)の前記第2部分(20b)にオーバーラップする部分に作用させるために閉鎖流体力を前記第2シールリング(14)の後面(220)に創生する工程を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
  33. 動作中前記第1シール面と前記第2シール面の間の接触を阻止するために前記主として流体静力学的な流体力と閉鎖流体力の一方を調節する工程を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. 前記軸の低速回転中前記第1シール面(20)の前記第1部分(20a)の少くとも一部分を前記第2シール面(18)の少くとも一部分から分離させるために該第1シール面(20)の該第1部分(20a)と該第2シール面(18)の間の前記流体静力学的流体力を増大させる工程を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
  35. 前記第1シール面(20)と第2シール面(18)へ導入される、前記プロセス流体とは別個のバリヤー流体を受け取るために該第1シール面(20)に形成された複数の溝(180)と、
    該第1シール面(20)に形成された該複数の溝(180)へバリヤー流体を導入するために前記第2シール面(18)に形成された円周溝(234)とを更に備え、
    前記複数の溝(180)は、前記第1シール面(20)上に2つの同心シール面(20a,20b)を形成するように該第1シール面(20)の外側ランドと内側ランドの間に配置されており、前記第2シール面(18)は、組み立てられ状態では該溝(180)と、該内側ランドの少くとも一部分と、該外側ランドの少くとも一部分を覆って座着するように寸法づけされていることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  36. 前記第2シールリング(14)内に形成された複数の軸方向通路(234)を含み、該各軸方向通路は、一端において前記第2シール面上に開口し、他端において流体供給源に連通していることを特徴とする請求項35に記載のメカニカルシール。
  37. 前記円周溝(234)及び前記軸方向通路(228)は、該軸方向通路と該円周溝が前記第1シール面(20)に形成された前記複数の溝(180)に流体を供給するように、該複数の溝の少くとも一部分と整合していることを特徴とする請求項36に記載のメカニカルシール。
  38. 前記第1シールリング(16)と前記第2シールリング(14)の一方を前記回転軸(12)に固定するためのスリーブ(100)を含み、該スリーブ(100)は、フランジ付き端部を有し、該回転軸(12)の周りにほぼ同心的に取り付けるように寸法づけされており、該スリーブを該回転軸と共に回転するように該軸に固定するための固定手段(144)を含むことを特徴とする請求項35に記載のメカニカルシール。
  39. スリーブ(100)を回転軸(12)に固定するための前記固定手段(144)は、該スリーブの周りに同心的に取り付けられた環状のロックリング(144)を含み、該ロックリングには、前記回転軸に摩擦係合して該ロックリング及びスリーブを該回転軸に固定するための締着具(142)を受容するための複数の孔(140)が形成されていることを特徴とする請求項38に記載のメカニカルシール。
  40. 前記軸(12)を囲繞して前記ハウジング(11)に取り付けるために寸法づけされており、前記第1シールリング(16)と第2シールリング(14)の一方を該ハウジングに連結するために該一方のシールリングに結合されたグランド組立体(30)を含むことを特徴とする請求項35に記載のメカニカルシール。
  41. 前記グランド組立体(30)は、軸方向内側グランドプレート(34)と、軸方向外側グランドプレート(36)を含むことを特徴とする請求項40に記載のメカニカルシール。
  42. 前記軸方向内側グランドプレート(34)と軸方向外側グランドプレート(36)の間にシールを設定するために該軸方向内側グランドプレートと軸方向外側グランドプレートの間に介設された弾性部材(56)を含むことを特徴とする請求項41に記載のメカニカルシール。
  43. 前記第2シールリング(14)を前記ハウジング(11)に連結するために該第2シールリングに結合されたグランド組立体(30)と、
    前記第1シールリング(16)を前記回転軸(12)に固定するためのスリーブ(100)と、
    該スリーブを前記回転軸と共に回転するように該軸に固定するためのロックリング(144)を含み、該スリーブは、フランジ付き端部を有し、該回転軸の周りにほぼ同心的に取り付けるように寸法づけされていることを特徴とする請求項35に記載のメカニカルシール。
  44. 前記第2シールリング(14)と前記グランド組立体(30)の間にシールを設定するために該第2シールリングとグランド組立体の間に介設された弾性部材(226)と、
    該弾性部材を該第2シールリング及びグランド組立体に接触させるように軸方向及び半径方向に付勢するための圧縮手段(300)を含むことを特徴とする請求項43に記載のメカニカルシール。
  45. 前記該圧縮手段(300)は、前記弾性部材(226)に係合するための環状の内側フランジ付き部分を有することを特徴とする請求項44に記載のメカニカルシール。
  46. 前記内側フランジ付き部分は、前記弾性部材(226)を前記第2シールリング(14)及びグランド組立体(30)に接触させるように軸方向及び半径方向に付勢するための軸方向及び半径方向に延長した角度付き表面(311)を含むことを特徴とする請求項45に記載のメカニカルシール。
  47. 前記第2シールリング(14)を貫通して形成された流体導管(228)を含み、該流体導管は、前記複数の溝(180)にバリヤー流体を供給するために該複数の溝に連通するための開口を前記第2シール面(18)上に有していることを特徴とする請求項35項に記載のメカニカルシール。
  48. 前記複数の溝(180)によって受け取られた前記バリヤー流体は、前記第1シール面(20)の少くとも一部分を前記第2シール面(18)の少くとも一部分から分離させるために該第1シール面(20)の該少くとも一部分と該第2シール面(18)の該少くとも一部分の間に流体動力学的流体力及び流体静力学的流体力を創生することを特徴とする請求項35又は47に記載のメカニカルシール。
  49. 前記バリヤー流体とプロセス流体との圧力差が、前記第1シール面(20)の前記外側ランド部分(20a)と第2シール面(18)の少くとも一部分の間に主として流体静力学的な流体力を創生することを特徴とする請求項35又は48に記載のメカニカルシール。
  50. 前記両シール面へ導入された前記バリヤー流体の圧力を調節することによって該両シール面間の分離度を制御するための圧力調整システム(400)を含むことを特徴とする請求項35又は49に記載のメカニカルシール。
  51. 前記第2シールリング(14)に作用する閉鎖力を創生するために該第2シールリングの後面(220)へ閉鎖用流体を導入するための閉鎖用流体導入手段(240)を含むことを特徴とする請求項35に記載のメカニカルシール。
  52. 前記閉鎖力は、前記第2シール面(18)の、前記第1シール面(20)に形成された前記複数の溝(180)にオーバーラップする部分に作用するように構成されていることを特徴とする請求項51に記載のメカニカルシール。
  53. 前記閉鎖力は、前記第2シール面(18)の、前記第1シール面(20)の前記外側ランド部分(20a)にオーバーラップする部分に作用しないように構成されていることを特徴とする請求項52に記載のメカニカルシール。
  54. 前記第1シール面(20)に形成された前記複数の溝(180)は、該第1シール面の少くとも一部分を前記第2シール面(18)の少くとも一部分から分離させるために該第1シール面と第2シール面との間に流体動力学的流体力を創生することを特徴とする請求項35に記載のメカニカルシール。
  55. 前記第2シールリング(14)を貫通して形成された流体導管(228)を含み、該流体導管は、前記複数の溝(180)に前記バリヤー流体を供給するために該複数の溝に連通するための開口を前記第2シール面上に有していることを特徴とする請求項54に記載のメカニカルシール。
  56. 前記第2シールリング(14)を前記ハウジング(11)に連結するために該第2シールリングに結合されたグランド組立体(30)を含み、該グランド組立体は、軸方向内側グランドプレート(34)と、軸方向外側グランドプレート(36)を含むことを特徴とする請求項55に記載のメカニカルシール。
  57. 前記外側グランドプレート(36)に形成された第2流体導管(240)を含み、該第2流体導管は、一端において前記第2シールリング(14)の前記後面近傍に開口し、他端において流体供給源に連通していることを特徴とする請求項56に記載のメカニカルシール。
  58. 前記外側グランドプレート(36)に形成された前記第2流体導管(240)は、前記流体供給源からの流体を前記第2シールリング(14)に形成された前記流体導管(228)へ供給するように該流体導管(228)に連通していることを特徴とする請求項57に記載のメカニカルシール。
  59. 請求項30の方法の動作中にメカニカルシール(10)の第2及び第1シール面(18,20)間の接触を阻止する方法であって、
    前記第1シール面(20)の前記第2部分(20b)の少くとも一部分と前記第2シール面(18)の少くとも一部分の間に流体静力学的流体力を創生する工程が、前記第1シール面(20)の前記第2部分(20b)の少くとも一部分を前記第2シール面(18)の少くとも一部分から分離させるために該第1シール面(20)の該第2部分の少くとも一部分と該第2シール面(18)の少くとも一部分の間に流体動力学的流体力及び流体静力学的流体力を創生する工程を含む方法。
  60. 前記第1シールリングを前記ハウジング(11)に連結するための、内側表面(74,76)を有するグランド組立体(30)と、
    前記第2シールリングとグランド組立体の間に流体シールを設定するための二次シール組立体とを更に備え、
    該二次シール組立体は、
    前面(306)と後面(307)を有する圧縮部材(300)と、
    該圧縮部材(300)を軸方向に付勢するために該圧縮部材の後面(307)と前記グランド組立体(30)の前記内側表面(74,76)の間に配置されたばね(270)と、
    前記圧縮部材(300)の前記前面(306)と前記第1シールリング(14)の前記後面(220)の間に介設されたシール部材(236)とを備え、
    前記第1シールリングの前記後面と前記圧縮部材の前記前面のうちの一方は、2つ以上の角度付き表面を有し、該角度付き表面のうちの少くとも2つの表面は、前記シール部材に密封力を付与するために該シール部材に接触しており、該少くとも2つの角度付き表面のうちの1つは、半径方向に延長していて該シール部材にほぼ軸方向の力を付与し、前記密封力は、前記第1シールリング(14)と前記グランド組立体(30)との間の流体漏れを防止するために前記シール部材を該第1シールリング及び該グランド組立体の前記内側表面(71)に密封係合させることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルフェースシール。
  61. 前記圧縮部材(300)の前記前面(306)は、第1表面(314)と、該第1表面に対して角度をなして延長した第2表面(312)を有することを特徴とする請求項60に記載のメカニカルフェースシール。
  62. 前記第1表面と第2表面との間の前記角度は、鈍角であることを特徴とする請求項61に記載のメカニカルフェースシール。
  63. 前記第1表面(314)は、半径方向に延長しており、前記シール部材(236)にほぼ軸方向の力を付与することを特徴とする請求項62に記載のメカニカルフェースシール。
  64. 前記第2表面(312)は、前記シール部材(236)に半径方向及び軸方向の力を付与することを特徴とする請求項63に記載のメカニカルフェースシール。
  65. 前記第1表面と第2表面との間の前記角度は、前記シール部材(236)に付与される半径方向の力を最少限にし、該シール部材(236)を前記グランド組立体(30)の前記内側表面(76)に密封接触した状態に維持するように選定されていることを特徴とする請求項61に記載のメカニカルフェースシール。
  66. 前記第1シールリングの前記後面と、前記圧縮部材の前記前面とで、前記シール部材を受容するチャンバーを構成し、該チャンバーは、該シールの動作中前記圧縮部材の前記半径方向の熱膨張を可能にするように寸法づけされていることを特徴とする請求項61に記載のメカニカルフェースシール。
  67. 前記角度付き表面の向きは、前記シール部材(236)と協同して他の構造体とは独立して該シール部材に作用する実質的に一定の半径方向内向き力を及ぼすように規定されていることを特徴とする請求項61に記載のメカニカルフェースシール。
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