JP4739372B2 - 羊毛マット及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、断熱性及び防音性に優れていて長期間の使用に耐える強度を有し、自動車用断熱材・住宅用断熱材等の断熱材や、防音材等として応用することができる羊毛マット及びその製造方法に関するものである。
従来、自動車用断熱材、住宅用断熱材等の断熱材としては、グラスウールやロックウール、アルミナ質繊維、ジルコニア質繊維、シリカ・アルミナ質繊維等の工業無機繊維を主成分とした断熱材が多く用いられてきたが、これらの工業無機繊維を内蔵した断熱材は切断や切欠き作業の際に粉塵が発生し、取扱いを誤ると作業者の皮膚に針状の無機繊維が刺さって皮膚炎を起こしたり、呼吸によって気管や肺に取り込まれて呼吸器系に障害を与えたりする恐れがあるため、作業時には防塵マスク・防塵服の着用が必須であり、細心の注意を払う必要があった。
そこで、近年、これらの工業無機繊維を内蔵した断熱材に代わる断熱材として、天然物である羊毛を主体とした断熱材が開発されつつある。羊毛は天然素材であり、タンパク質からなるため、廃棄する際にも腐食して生分解することから環境負荷物質とならず、VOC(揮発性有機化合物)等の有害物質を発生する恐れもない。それどころか、逆に羊毛の表面を覆っているキューティクル(スケール)の中にVOCを吸着して無毒化する性質を持っているため、住宅用断熱材や自動車用断熱材として極めて好ましい。
更に、自重の約30%の水分を取り込んだり発散したりする特性を有しており、吸湿性・調湿性に優れている。そして、羊毛自体は難燃性であり、直火を当てると燃えるものの直火を当てるのを止めると直ちに消火し、基本的に不燃性であることからも、住宅建材や自動車部材の用途に極めて適していると言える。
そこで、羊毛を主体とした断熱材として、特許文献1に、羊毛を主材としてこれにポリエステル繊維を混合してマット状に形成した羊毛層と、合成樹脂発泡体からなる樹脂層とを、一体に積層して形成した断熱材の発明が開示されている。これによって、羊毛層は天然物である羊毛を主材としているため、無臭で刺激性がなく粉塵やアレルギーの発生、VOCの発生を防止でき、非常に扱い易い断熱材となるとともに、廃材は有機系の肥料として使うことができリサイクルが容易で、しかも、これにポリエステル繊維を混合することによって、保形性・弾力性・平面性・強度を向上させることができるとしている。
特開平11−152808号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の断熱材を構成する羊毛層は、羊毛を主材としてこれにポリエステル繊維を混合してマット状に形成したものであるため、ポリエステル繊維を少なからず含有しており、したがって加熱されるとポリエステル繊維がガス化して燃焼し、羊毛100%のものに比較して不燃性に劣る。また、ポリエステル繊維は、吸湿性・VOC吸着性を有しないため、これらの点においても羊毛100%のものに比較して劣るという問題点があった。
そこで、本発明においては、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れた羊毛マット及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明に係る羊毛マットは、羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛及び/またはリサイクルウール(再生羊毛)を洗浄・乾燥してなる羊毛をバインダーで接合して成形してなる羊毛マットであって、前記羊毛は、NZS8716法で測定した前記羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値が15cm3 /gを超えて50cm3 /g以下の範囲内、好ましくは25cm3 /g〜40cm3 /gの範囲内、より好ましくは30cm3 /g〜35cm3 /gの範囲内で、かつ、平均繊維長が10mm〜300mmの範囲内、好ましくは20mm〜100mmの範囲内であり、前記バインダーは繊維形状の接着剤、いわゆるバインダー繊維を使用し、かつ、前記バインダー繊維はポリ乳酸繊維であり、加熱成形段階で完全に溶融して前記バインダー繊維としての形態を保持しておらず、繊維として存在するのは羊毛繊維のみであって羊毛100%であるものである。
ここで、バインダー繊維としては、ポリ乳酸繊維を主成分とした公知の熱溶融性繊維を用いることができる。また、「羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛」は、一般に「バージン・ウール(新毛)」と呼ばれるものであり、リサイクルウール(再生羊毛)のように織成されたり染色されたりして損傷を受けてはいないため、羊毛を構成するキューティクル(スケール)も損傷せず残っており、キューティクルによる調湿効果及び空気中のVOC(揮発性有機化合物)の吸収・無毒化効果にも優れているため、羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛(バージン・ウール)のみをバインダー繊維で成形してなる羊毛マットであることが、より好ましい。
更に、「NZS8716法で測定した羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値」とは、ウール・リサーチ・オーガナイゼーション・オブ・ニュージーランド(WRONZ)のNZS8716法に基づいて、試料として羊毛10gを採取してカーディングを施し、測定機器としてWRONZのAuto-Bulkometerを使用して、10gf/cm2 の圧力を30秒間かけた後に回復させ、この圧縮・回復を5回繰り返した後、最後に30gf/cm2 の圧力をかけて回復させた羊毛の体積を測定して、羊毛のかさ高性をcm3 /gの単位で表した値である。また、「平均繊維長」は、IWTO(国際羊毛繊維機構)のIWTO5−60に基づいて測定した値である。
特に、前記バインダー繊維は、ポリ乳酸繊維としたものである。
請求項2の発明に係る羊毛マットは、請求項1の構成において、前記バインダー繊維の割合は、前記羊毛と前記バインダー繊維の合計量に対して3重量%〜20重量%の範囲内、より好ましくは5重量%〜12重量%の範囲内であるものである。
請求項3の発明に係る羊毛マットは、請求項1または請求項2の構成において、前記羊毛は、前記羊毛の太さが10μm〜80μmの範囲内、好ましくは20μm〜40μmの範囲内、より好ましくは29μm〜38μmの範囲内であるものである。ここで、「羊毛の太さ」は、JIS−L−1081に基づいて、自動繊度測定機によって測定した平均繊度の値によって示される。ここでいう自動繊度測定機としては、例えばバイヤー社製FDA−200がある。自動繊度測定機は、主に羊毛繊維の繊度(繊維の太さ)をレーザー光で試料を走査することによって自動測定する装置である。
請求項の発明に係る羊毛マットは、請求項1乃至請求項のいずれか1つの構成において、前記羊毛マットの密度は、10kg/m3〜100kg/m3の範囲内、より好ましくは15kg/m3〜40kg/m3の範囲内であるものである。
請求項の発明に係る羊毛マットは、請求項1乃至請求項のいずれか1つの構成において、前記バインダー繊維は、融点の異なる二種類の樹脂からなるものである。
請求項の発明に係る羊毛マットは、請求項の構成において、前記バインダー繊維は、前記融点の異なる二種類の樹脂のうち融点の高いものが芯部を構成し融点の低いものが鞘部を構成する芯鞘構造を有するものである。
請求項の発明に係る羊毛マットは、請求項または請求項の構成において、前記融点の異なる二種類の樹脂の融点の差は、5℃〜60℃の範囲内、好ましくは10℃〜40℃の範囲内、より好ましくは30℃〜40℃の範囲内であるものである。
請求項の発明に係る羊毛マットの製造方法は、羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛及び/またはリサイクルウール(再生羊毛)を洗浄・乾燥してなる羊毛をバインダーで接合して成形してなる羊毛マットの製造方法であって、前記羊毛は、NZS8716法で測定した前記羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値が15cm3/gを超えて50cm3/g以下の範囲内、好ましくは25cm3/g〜40cm3/gの範囲内、より好ましくは30cm3/g〜35cm3/gの範囲内で、かつ、平均繊維長が10mm〜300mmの範囲内、好ましくは20mm〜100mmの範囲内であり、前記羊毛を前記バインダーとして機能するバインダー繊維と混合して混合繊維とする混合工程と、前記混合繊維をほぐして開繊繊維とする開繊工程と、前記開繊繊維をカーディングしてカードウェブとするカーディング工程と、前記カードウェブを積層してフリースとする積層工程と、前記フリースを前記バインダー繊維の融点以上に加熱しながら圧縮して前記バインダー繊維を完全に溶融させて前記羊毛を接合するバインダーとし、繊維としての形態を保持していない状態として、繊維として存在するのは羊毛繊維のみであるマットとする加熱成形工程と、前記マットを加圧して所定厚さ及び/または密度とする加圧工程とを具備するものである。
ここで、バインダー繊維としては、ポリ乳酸繊維を主成分とした公知の熱溶融性繊維を用いることができる。また、「羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛」は、一般に「バージン・ウール(新毛)」と呼ばれるものであり、リサイクルウール(再生羊毛)のように織成されたり染色されたりして損傷を受けてはいないため、羊毛を構成するキューティクル(スケール)も損傷せず残っており、キューティクルによる調湿効果及び空気中のVOC(揮発性有機化合物)の吸収・無毒化効果にも優れているため、羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛(バージン・ウール)のみをバインダー繊維で成形してなる羊毛マットであることが、より好ましい。
更に、「NZS8716法で測定した羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値」とは、ウール・リサーチ・オーガナイゼーション・オブ・ニュージーランド(WRONZ)のNZS8716法に基づいて、試料として羊毛10gを採取してカーディングを施し、測定機器としてWRONZのAuto-Bulkometerを使用して、10gf/cm2の圧力を30秒間かけた後に回復させ、この圧縮・回復を5回繰り返した後、最後に30gf/cm2の圧力をかけて回復させた羊毛の体積を測定して、羊毛のかさ高性をcm3/gの単位で表した値である。また、「平均繊維長」は、IWTO(国際羊毛繊維機構)のIWTO5−60に基づいて測定した値である。
特に、前記バインダー繊維は、ポリ乳酸繊維としたものである。
請求項の発明に係る羊毛マットの製造方法は、請求項の構成において、前記バインダー繊維の割合は、前記羊毛と前記バインダー繊維の合計量に対して3重量%〜20重量%の範囲内、より好ましくは5重量%〜12重量%の範囲内であるものである。
請求項10の発明に係る羊毛マットの製造方法は、請求項または請求項の構成において、前記羊毛は、前記羊毛の太さが10μm〜80μmの範囲内、好ましくは20μm〜40μmの範囲内、より好ましくは29μm〜38μmの範囲内であるものである。ここで、「羊毛の太さ」は、JIS−L−1081に基づいて、自動繊度測定機によって測定した平均繊度の値によって示される。ここでいう自動繊度測定機としては、例えばバイヤー社製FDA−200等がある。自動繊度測定機は、主に羊毛繊維の繊度(繊維の太さ)をレーザー光で試料を走査することによって自動測定する装置である。
請求項11の発明に係る羊毛マットの製造方法は、請求項乃至請求項10のいずれか1つの構成において、前記羊毛マットの密度は、10kg/m3〜100kg/m3の範囲内、より好ましくは15kg/m3〜40kg/m3の範囲内であるものである。
請求項12の発明に係る羊毛マットの製造方法は、請求項乃至請求項11のいずれか1つの構成において、前記バインダー繊維は、融点の異なる二種類の樹脂からなるものである。
請求項13の発明に係る羊毛マットの製造方法は、請求項12の構成において、前記バインダー繊維は、前記融点の異なる二種類の樹脂のうち融点の高いものが芯部を構成し融点の低いものが鞘部を構成する芯鞘構造を有するものである。
請求項14の発明に係る羊毛マットの製造方法は、請求項12または請求項13の構成において、前記融点の異なる二種類の樹脂の融点の差は、5℃〜60℃の範囲内、好ましくは10℃〜40℃の範囲内、より好ましくは30℃〜40℃の範囲内であるものである。
請求項1の羊毛マットにおいては、バインダー繊維が成形段階で完全に溶融してバインダー繊維としての形態を保持しておらず、繊維として存在するのは羊毛繊維のみであって羊毛100%である。すなわち、製品としての羊毛マットが羊毛100%であるか否かは、繊維として残っているもののうち羊毛繊維が100%を占めるか否かによって決定されるものであり、羊毛を羊毛マットとして成形するために混入されるバインダー繊維としてのポリ乳酸繊維は、加熱成形段階で完全に溶融して繊維としては残らないため、羊毛100%の羊毛マットとなるものである。
また、NZS8716法によって測定された原料となる羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値が15cm3/gを超えて50cm3/g以下の範囲内であることから、羊毛の空隙率が大きいのみならず、羊毛中に天然のクリンプ(縮れ毛)が多く弾性力に富み、羊毛マットに加工された場合に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性に優れたものとなり、住宅等の断熱材・防音材等として適したものとなる。
すなわち、NZS8716法によって測定された羊毛のかさ高性を示すバルク値が15cm3 /g以下の場合には、羊毛の空隙率が小さくなるとともに、羊毛中に天然のクリンプが少ししか存在せず、羊毛マットに加工された場合に細かい空気層を保持することができず、厚みの保持力と弾力回復性に劣るものとなる恐れがあるため、好ましくない。一方、羊毛のバルク値が50cm3/gを超える場合には、特殊な種類の羊から刈り取った羊毛しか用いることができず、原料コストが大幅に上昇するために、やはり好ましくない。
なお、NZS8716法によって測定された羊毛のかさ高性を示すバルク値が25cm3/g〜40cm3/gの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより多く存在し、羊毛マットに加工された場合に、より確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により優れたものとなるため、より好ましい。更に、NZS8716法によって測定された羊毛のかさ高性を示すバルク値が30cm3/g〜35cm3/gの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプが更に多く存在し、羊毛マットに加工された場合に、より一層確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により一層優れたものとなるため、より一層好ましい。
更に、羊毛の平均繊維長が10mm〜300mmの範囲内であることから、羊毛の太さが適切な範囲内となり、羊毛中に天然のクリンプ(縮れ毛)が多く弾力性に富み、羊毛マットに加工された場合に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性に優れたものとなり、住宅等の断熱材・防音材等として適したものとなる。
なお、羊毛の平均繊維長が20mm〜100mmの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより多く存在し、羊毛マットに加工された場合に、より確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により優れたものとなるため、より好ましい。
このように、所定の範囲内のバルク値及び平均繊維長を有する羊毛を原料として用いるとともに羊毛100%の羊毛マットとすることによって、繊維として羊毛より燃え易いバインダー繊維は完全に溶融しているため、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と羊毛の不燃性、更には調湿性・VOC吸着性とを十分に生かした、極めて優れた住宅用や自動車用の断熱材や防音材として応用することができ、バインダー繊維を混合することによって成形性にも優れた羊毛マットを得ることができる。
特に、バインダー繊維は、生分解性を有するポリ乳酸繊維であることから、羊毛マットを構成する材料全てが生分解性を有するため、廃棄処分しても環境負荷物質とならず、しかも羊毛は天然素材であり、ポリ乳酸繊維も植物を原料として製造される天然物由来の素材であるため、断熱材等として住宅等に使用された場合に人体に有害な物質を放出する恐れが全くなく、非常に環境に優しい羊毛マットとなる。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、環境にも極めて優しい羊毛マットとなる。
請求項2の羊毛マットにおいては、バインダー繊維の割合が羊毛とバインダー繊維の合計量に対して3重量%〜20重量%の範囲内であることから、羊毛マットの全体に亘って羊毛同士が確実に接合されて、かつ、成形段階においてバインダー繊維が確実に溶融して、強度を有するとともに羊毛100%の羊毛マットとなる。すなわち、バインダー繊維の割合が3重量%未満であると、バインダー繊維の割合が少な過ぎて、羊毛同士が羊毛マットの全体に亘って確実に接合されない恐れがあり、一方、バインダー繊維の割合が20重量%を超えるとバインダー繊維の割合が多過ぎて、成形段階においてバインダー繊維の全てが確実に溶融しない恐れがある。
なお、バインダー繊維の割合が羊毛とバインダー繊維の合計量に対して5重量%〜12重量%の範囲内であれば、羊毛マットの全体に亘って羊毛同士がより確実に接合されて、かつ、成形段階においてバインダー繊維がより確実に溶融して、強度を有するとともにより確実に羊毛100%の羊毛マットとなるため、より好ましい。
このようにして、より確実に羊毛100%の羊毛マットとすることができ、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができて、成形性にも優れた羊毛マットとなる。
請求項3の羊毛マットにおいては、原料となる羊毛の太さが10μm〜80μmの範囲内であるため、羊毛中に天然のクリンプ(縮れ毛)が多く弾力性に富み、羊毛マットに加工された場合に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性に優れたものとなり、住宅等の断熱材・防音材等として適したものとなる。
なお、羊毛の太さが20μm〜40μmの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより多く存在し、羊毛マットに加工された場合に、より確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により優れたものとなるため、より好ましい。更に、羊毛の太さが29μm〜38μmの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより一層多く存在し、羊毛マットに加工された場合に、より一層確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により一層優れたものとなるため、より一層好ましい。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れた羊毛マットとなる。
請求項の羊毛マットにおいては、羊毛マットの密度が10kg/m3〜100kg/m3の範囲内であることから、空隙率が大きく、かつ、強度的にも優れたものとなり、住宅等の断熱材・防音材として使用するのに極めて適した羊毛マットとなる。すなわち、羊毛マットの密度が10kg/m3未満であると、空隙率については大きくなるが、密度が小さ過ぎて強度的に不足する可能性があり、一方、羊毛マットの密度が100kg/m3を超えると、密度が大き過ぎて空隙率が不足する可能性があり、また製造も困難となる。
なお、羊毛マットの密度が15kg/m3〜40kg/m3の範囲内であれば、空隙率についてもより適切な範囲となって断熱性及び防音性に優れた羊毛マットとなるとともに、強度的にも充分な値が得られるため、より好ましい。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、強度的にも優れた性能を有する羊毛マットとなる。
請求項の羊毛マットにおいては、バインダー繊維が融点の異なる二種類の樹脂から構成されているため、羊毛とバインダー繊維とを混合して成形する段階において、まず融点の低い繊維の融点以上に加熱しながら圧縮することによって、羊毛同士が溶融した融点の低いバインダー繊維で接合され、かつ、その時点では融点の高い繊維はまだ繊維状態を保っていることから、羊毛が空隙率の高い状態を保つことができ、羊毛マットの製造工程における成形がより容易になる。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、製造がより容易な羊毛マットとなる。
請求項の羊毛マットにおいては、バインダー繊維が融点の異なる二種類の樹脂のうち融点の高いものが芯部を構成し融点の低いものが鞘部を構成する芯鞘構造を有することから、融点の異なる二種類の繊維が必ず均一な分布を有することになり、しかも融点の低い繊維が外側に位置するため、羊毛とバインダー繊維とを混合して成形する段階において、まず融点の低い繊維の融点以上に加熱しながら圧縮することによって、羊毛同士が溶融した融点の低いバインダー繊維で接合され、かつ、その時点では融点の高い繊維はまだ繊維状態を保っていることから、羊毛が空隙率の高い状態を保つことができ、羊毛マットの製造工程における成形がより容易になるとともに、細かい安定した空気層の均一な分布を確実に保持することができる。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、製造がより容易で細かい空気層が均一に分布した羊毛マットとなる。
請求項の羊毛マットにおいては、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が5℃〜60℃の範囲内であることから、羊毛とバインダー繊維とを混合して成形する段階において、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮することが容易に、かつ、省エネルギーで可能になるため、羊毛マットの製造コストをより低減することができる。
すなわち、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が5℃未満である場合には、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮するための加熱制御が困難になり、一方、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が60℃を超える場合には、最終的に融点の高い繊維を完全に溶融するために多大な加熱エネルギーが必要となって、製造コストの増大につながるものである。
なお、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が10℃〜40℃の範囲内であれば、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮するための加熱制御がより容易になるとともに、最終的に融点の高い繊維を完全に溶融するための加熱エネルギーをより節約できるため、より好ましい。更に、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が30℃〜40℃の範囲内であれば、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮するための加熱制御がより一層容易になるため、より一層好ましい。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、製造がより容易で、かつ、省エネルギーで製造することができる羊毛マットとなる。
請求項の羊毛マットの製造方法においては、まず混合工程において羊毛がバインダーとして機能するバインダー繊維と略均一に混合され、羊毛中にバインダー繊維が略均一に分散した状態となり、開繊工程において羊毛とバインダー繊維がほぐされて、カーディング工程においてカーディングされてカードウェブとなり、更に積層工程において積層されてフリースとなる。
そして、加熱成形工程においてバインダー繊維の融点以上に加熱されながら圧縮されることによって、バインダー繊維が溶融してバインダーとして羊毛同士を接合して、マット状に成形される。ここで、原料の羊毛は、NZS8716法によって測定された羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値が15cm3/gを超えて50cm3/g以下の範囲内であることから、羊毛の空隙率が大きいのみならず、羊毛中に天然のクリンプ(縮れ毛)が多く弾性力に富むため、加熱成形工程において圧縮されても細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性に優れたマットとなる。
すなわち、NZS8716法によって測定された羊毛のかさ高性を示すバルク値が15cm3/g以下の場合には、羊毛の空隙率が小さくなるとともに、羊毛中に天然のクリンプが少ししか存在せず、圧縮された場合に細かい空気層を保持することができず、厚みの保持力と弾力回復性に劣るものとなる恐れがあるため、好ましくない。一方、羊毛のバルク値が50cm3/gを超える場合には、特殊な種類の羊から刈り取った羊毛しか用いることができず、原料コストが大幅に上昇するために、やはり好ましくない。
なお、NZS8716法によって測定された羊毛のかさ高性を示すバルク値が25cm3/g〜40cm3/gの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより多く存在し、圧縮された場合に、より確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により優れたものとなるため、より好ましい。更に、NZS8716法によって測定された羊毛のかさ高性を示すバルク値が30cm3/g〜35cm3/gの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプが更に多く存在し、圧縮された場合に、より一層確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により一層優れたものとなるため、より一層好ましい。
更に、羊毛の平均繊維長が10mm〜300mmの範囲内であることから、羊毛の太さが適切な範囲内となり、羊毛中に天然のクリンプが多く弾力性に富み、加熱成形工程において圧縮されても細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性に優れたマットとなる。
なお、羊毛の平均繊維長が20mm〜100mmの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより多く存在し、圧縮された場合に、より確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により優れたものとなるため、より好ましい。
そして、最後に加圧工程においてマットが更に加圧されて所定厚さ及び/または密度とされ、羊毛マットが製造される。こうして製造された羊毛マットは、加熱成形工程においてバインダー繊維が完全に溶融して羊毛を接合するバインダーとなり、繊維としての形態を保持していない状態とされて、繊維として存在するのは羊毛繊維のみであるため、羊毛100%である。すなわち、製品としての羊毛マットが羊毛100%であるか否かは、繊維として残っているもののうち羊毛繊維が100%を占めるか否かによって決定されるものであり、羊毛を羊毛マットとして成形するために混入されるバインダー繊維は、成形段階で完全に溶融して繊維としては残らないため、羊毛100%の羊毛マットとなるものである。
このように、所定の範囲内のバルク値及び平均繊維長を有する羊毛を原料として用いるとともに羊毛100%の羊毛マットとすることによって、繊維として羊毛より燃え易いバインダー繊維は完全に溶融しているため、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と羊毛の不燃性、更には調湿性・VOC吸着性とを十分に生かした、極めて優れた住宅用や自動車用の断熱材や防音材として応用することができ、バインダー繊維を混合することによって成形性にも優れた羊毛マットを得ることができる。
特に、バインダー繊維が生分解性を有するポリ乳酸繊維であることから、羊毛マットを構成する材料全てが生分解性を有するため、廃棄処分しても環境負荷物質とならず、しかも羊毛は天然素材であり、ポリ乳酸繊維も植物を原料として製造される天然物由来の素材であるため、断熱材等として住宅等に使用された場合に人体に有害な物質を放出する恐れが全くなく、非常に環境に優しい羊毛マットとなる。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、環境にも極めて優しい羊毛マットの製造方法となる。
請求項の羊毛マットの製造方法においては、バインダー繊維の割合が羊毛とバインダー繊維の合計量に対して3重量%〜20重量%の範囲内であることから、羊毛マットの全体に亘って羊毛同士が確実に接合されて、かつ、成形段階においてバインダー繊維が確実に溶融して、強度を有するとともに羊毛100%の羊毛マットとなる。すなわち、バインダー繊維の割合が3重量%未満であると、バインダー繊維の割合が少な過ぎて、羊毛同士が羊毛マットの全体に亘って確実に接合されない恐れがあり、一方、バインダー繊維の割合が20重量%を超えるとバインダー繊維の割合が多過ぎて、成形段階においてバインダー繊維の全てが確実に溶融しない恐れがある。
なお、バインダー繊維の割合が羊毛とバインダー繊維の合計量に対して5重量%〜12重量%の範囲内であれば、羊毛マットの全体に亘って羊毛同士がより確実に接合されて、かつ、成形段階においてバインダー繊維がより確実に溶融して、強度を有するとともにより確実に羊毛100%の羊毛マットとなるため、より好ましい。
このようにして、より確実に羊毛100%の羊毛マットとすることができ、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができて、成形性にも優れた羊毛マットの製造方法となる。
請求項10の羊毛マットの製造方法においては、原料となる羊毛の太さが10μm〜80μmの範囲内であるため、羊毛中に天然のクリンプ(縮れ毛)が多く弾力性に富み、羊毛マットの製造工程に亘って細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性に優れたものとなり、住宅等の断熱材・防音材等として適した羊毛マットとなる。
なお、羊毛の太さが20μm〜40μmの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより多く存在し、羊毛マットの製造工程に亘って、より確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により優れた羊毛マットとなるため、より好ましい。更に、羊毛の太さが29μm〜38μmの範囲内であれば、羊毛中に天然のクリンプがより一層多く存在し、羊毛マットの製造工程に亘って、より一層確実に細かい安定した空気層を保持することができるとともに、厚みの保持力と弾力回復性により一層優れた羊毛マットとなるため、より一層好ましい。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れた羊毛マットの製造方法となる。
請求項11の羊毛マットの製造方法においては、羊毛マットの密度が10kg/m3〜100kg/m3の範囲内であることから、空隙率が大きく、かつ、強度的にも優れたものとなり、住宅等の断熱材・防音材として使用するのに極めて適した羊毛マットとなる。すなわち、羊毛マットの密度が10kg/m3未満であると、空隙率については大きくなるが、密度が小さ過ぎて強度的に不足する可能性があり、一方、羊毛マットの密度が100kg/m3を超えると、密度が大き過ぎて空隙率が不足する可能性があり、また製造も困難となる。
なお、羊毛マットの密度が15kg/m3〜40kg/m3の範囲内であれば、空隙率についてもより適切な範囲となって断熱性及び防音性に優れた羊毛マットとなるとともに、強度的にも充分な値が得られるため、より好ましい。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、強度的にも優れた性能を有する羊毛マットの製造方法となる。
請求項12の羊毛マットの製造方法においては、バインダー繊維が融点の異なる二種類の樹脂から構成されているため、羊毛とバインダー繊維とを混合して成形する段階において、まず融点の低い繊維の融点以上に加熱しながら圧縮することによって、羊毛同士が溶融した融点の低いバインダー繊維で接合され、かつ、その時点では融点の高い繊維は繊維状態を保っていることから、羊毛が空隙率の高い状態を保つことができ、羊毛マットの製造工程における成形がより容易になる。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、製造がより容易な羊毛マットの製造方法となる。
請求項13の羊毛マットの製造方法においては、バインダー繊維が融点の異なる二種類の樹脂のうち融点の高いものが芯部を構成し融点の低いものが鞘部を構成する芯鞘構造を有することから、融点の異なる二種類の樹脂が必ず均一な分布を有することになり、しかも融点の低い繊維が外側に位置するため、羊毛とバインダー繊維とを混合して成形する段階において、まず融点の低い繊維の融点以上に加熱しながら圧縮することによって、羊毛同士が溶融した融点の低いバインダー繊維で接合され、かつ、その時点では融点の高い繊維はまだ繊維状態を保っていることから、羊毛が空隙率の高い状態を保つことができ、羊毛マットの製造工程における成形がより容易になるとともに、細かい安定した空気層の均一な分布を確実に保持することができる。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、製造がより容易で細かい空気層が均一に分布した羊毛マットの製造方法となる。
請求項14の羊毛マットの製造方法においては、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が5℃〜60℃の範囲内であることから、羊毛とバインダー繊維とを混合して成形する段階において、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮することが容易に、かつ、省エネルギーで可能になるため、羊毛マットの製造コストをより低減することができる。
すなわち、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が5℃未満である場合には、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮するための加熱制御が困難になり、一方、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が60℃を超える場合には、最終的に融点の高い繊維を完全に溶融するために多大な加熱エネルギーが必要となって、製造コストの増大につながるものである。
なお、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が10℃〜40℃の範囲内であれば、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮するための加熱制御がより容易になるとともに、最終的に融点の高い繊維を完全に溶融するための加熱エネルギーをより節約できるため、より好ましい。更に、融点の異なる二種類の樹脂の融点の差が30℃〜40℃の範囲内であれば、まず融点の低い繊維の融点以上で融点の高い繊維の融点未満に加熱しながら圧縮するための加熱制御がより一層容易になるため、より一層好ましい。
このようにして、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れている上、製造がより容易で、かつ、省エネルギーで製造することができる羊毛マットの製造方法となる。
以下、本発明の実施の形態に係る羊毛マットについて、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する部分を意味し、実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1に係る羊毛マットについて、図1乃至図5を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットに使用される羊毛の断熱性を他の材料と比較して示すグラフである。図2(a)は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットに使用される羊毛の微細構造を示す模式図、(b)は更に微細な構造を示す模式図である。図3は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットの製造方法の概略を示すフローチャートである。図4は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットの内部構造を従来の羊毛マットと比較して示す模式図である。図5は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットの吸音性についての試験結果を示すグラフである。
最初に、本実施の形態1に係る羊毛マットに使用される羊毛の断熱性について、図1を参照して説明する。図1に示されるように、羊毛は、他の繊維材料(ナイロン、レーヨン、ポリエステル、等)と比較しても、際立って熱伝導率が小さい。すなわち、断熱性に優れた繊維材料である。それとともに、羊毛自体は難燃性(発火点570℃〜600℃)であり、直火を当てると燃えるものの直火を当てるのを止めると直ちに消火し、基本的に不燃性であることから、他の繊維材料(ナイロン、レーヨン、ポリエステル、等)と比較して、耐火性にも優れている。
次に、羊毛の微細構造とその性質について、図2を参照して説明する。図2(a)に示されるように、羊毛2は人の髪の毛と同じくタンパク質からなるものであって、二種類のコルテックス(皮質)4A,4Bの周囲をキューティクル(スケール、毛小皮)5が表皮のように包んだ構造を有している。そして、このキューティクル5は、図2(b)に示されるように、上小皮5A,外小皮5B,内小皮5Cの三層構造からなっており、内小皮5Cは水に対する膨潤性が極めて高い。
したがって、このキューティクル5の内面を形成する内小皮5Cにおいて、水分の吸収及び放出が行われることによって、羊毛2は優れた湿度の調整機能(調湿機能)を示す。また、内小皮5Cは、VOC(揮発性有機化合物)の吸着機能をも有しており、しかも一旦内小皮5Cに吸着されたVOCは無害な化学物質に変化するため、内小皮5CにVOCが濃縮されて有害物質の発生源となる恐れもない。このように、羊毛2は、断熱材・防音材を始めとする建築材料等として、理想的な性質を備えている。
このような羊毛の特性を生かした本実施の形態1に係る羊毛マットの製造方法について、図3を参照して説明する。まず、原料となる羊毛2(羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなるバージン・ウール)とバインダー繊維3としてのポリ乳酸繊維とを計量・混合して(ステップS10)、この混合物を開繊機のフィードコンベアへ供給して開繊機内で開繊して、密着していた繊維同士がほぐされる(ステップS11)。このとき、開繊機にはダクトによって風圧が供給されて、開繊が促進される。
ここで、羊毛2としては、NZS8716法で測定したバルク値が35cm3 /gである、羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛(バージン・ウール)を使用した。NZS8716法で測定したバルク値が35cm3 /gである羊毛が得られる羊の種類としては、スーパーダウン種・ダウン種・ダウンクロス種・シャボー種等が挙げられる。また、バインダー繊維3としては、ポリ乳酸(PLA)繊維である、東レ(株)製のエコディア(登録商標)を使用した。バインダー繊維3の配合割合は、羊毛2とバインダー繊維3の合計量に対して、5重量%とした。
バルク(Bulk)値の測定は、ウール・リサーチ・オーガナイゼーション・オブ・ニュージーランド(WRONZ)のNZS8716法に基づいて、試料として羊毛10gを採取してカーディングを施し、測定機器としてWRONZのAuto-Bulkometer(試験用のピストンの直径:49mm)を使用して、10gf/cm2 の圧力を30秒間かけた後に回復させ、この圧縮・回復を5回繰り返した後、最後に30gf/cm2 の圧力を30秒間かけた後に、圧力を取り去ってから30秒後の回復させた羊毛の体積を測定することによって行った。
また、羊毛2の太さは32μmであり、より好ましい29μm〜38μmの範囲内であった。ここで、「羊毛の太さ」は、JIS−L−1081に基づいて、自動繊度測定機(バイヤー社製FDA−200)によって測定した平均繊度の値である。バイヤー社製FDA−200自動繊度測定機は、主に羊毛繊維の繊度(繊維の太さ)をレーザー光で試料を走査して自動測定する装置である。更に、羊毛2の平均繊維長は、IWTO(国際羊毛繊維機構)のIWTO5−60に基づいて測定したところ、60mmであった。
また、東レ(株)製のエコディア(登録商標)は、融点が10℃〜20℃異なる二種類のポリ乳酸繊維からなり、融点の高いポリ乳酸繊維が芯部を構成し、融点の低いポリ乳酸繊維が鞘部を構成する芯鞘構造を有するものである。
次に、この開繊された繊維がカード機へ供給されて、カードウェブに形成される(ステップS12)、すなわちカーディングが行われる。形成されたカードウェブは、所定幅・所定厚さのフリースとして予備押圧コンベアにおいて積層されて(ステップS13)、加熱コンベア(成形機)に連続的に供給されて、加熱成形される(ステップS14)。
この加熱コンベアは上コンベアと下コンベアとからなり、これらの上下コンベアはパンチングメタル(網目状多穴プレート)によって構成されている。これらのパンチングメタルの穴から、上コンベアと下コンベアの間を通るフリースの繊維層間に熱風を強制的に通過させて加熱する構造であって、具体的には、上コンベアの穴から熱風を吹き出して下コンベアの穴から熱風を吸引する循環方式となっている。そして、フリースを一定厚さに押圧しながら加熱するために、加熱コンベアの入口側から出口側に向かって、上コンベアと下コンベアの間隔が次第に狭くなっている。
この加熱コンベアの熱風によって、フリースは150℃〜180℃の範囲内に加熱され、最初入口に入った時点では、バインダー繊維3としてのエコディアの鞘部を構成する融点の低いポリ乳酸繊維の融点以上に加熱されて、鞘部を構成するポリ乳酸繊維のみが溶融して羊毛繊維同士を接着するバインダーとして機能する。この時点では、まだ芯部を構成する融点の高いポリ乳酸繊維は溶融していないため、羊毛が空隙率の高い状態を保つことができ、この状態で加熱コンベアの中を進むに従って次第に圧縮されて行くことになる。
そして、出口付近に到達して所定の厚さに圧縮される時点においては、マット状態となったフリースは、内部までエコディアの芯部を構成する融点の高いポリ乳酸繊維の融点以上に加熱されて、バインダー繊維3としてのエコディアは芯部まで完全に溶融する。このようにして、羊毛2の細かい安定した空気層の均一な分布を確実に保持することができる。
この加熱成形処理に続いて、1対の内部水循環水冷方式ロールからなるカレンダーロールによって冷却されながら加圧(プレス)が行われ、マット内部の余熱によってポリ乳酸繊維が完全に溶融するとともにマットの厚さが所定の値に固定されて(ステップS15)、マットの内部に残存した高音部が風冷式の冷却ゾーンで冷却された後(ステップS16)、所定の幅にカットされて(ステップS17)、不織布状態の本実施の形態1に係る羊毛マット1が得られる。得られた羊毛マット1の厚さは100mm、密度は30kg/m3 (0.03g/cm3)であった。
この羊毛マット1の内部構造を拡大して見た模式図を図4(a)に、NZS8716法で測定したバルク値が15cm3 /gで、本実施の形態1に係る羊毛マット1の原料羊毛(35cm3 /g)よりもバルク値が小さい羊毛を原料として、本実施の形態1に係る羊毛マット1と同様の方法で製造した羊毛マットの内部構造を拡大して見た模式図を図4(b)に、それぞれ示す。
図4(a)に示されるように、本実施の形態1に係る羊毛マット1は、羊毛のクリンプ(縮れ)が強く、内部の空隙が多い構造となっている。これに対して、図4(b)に示されるように、バルク値が15cm3 /gと小さい羊毛を原料として製造された羊毛マットは、羊毛のクリンプが殆どなく直毛状態であるため、内部の空隙が少なく含まれる空気の量が少ない構造となっていることが分かる。
また、本実施の形態1に係る羊毛マット1の羊毛含有率をウールマーク基準に基づいて測定したところ、含有される繊維は全て羊毛であり、製品としては羊毛100%(ウールマーク認定)であることが分かった。更に、羊毛マット1の熱伝導率を測定したところ0.035W/m・Kであり、図1に示される羊毛そのものの熱伝導率と同一の値であって、極めて断熱性に優れていることが明らかになった。
更に、本実施の形態1に係る羊毛マット1の防音特性を測定した。羊毛マット1から供試体3点を採取し、JIS−A−1405−1(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第1部)の定在波比法に従って、垂直入射吸音率測定装置によって吸音率を測定した。供試体3点の測定結果の平均を、図5に示す。図5に示されるように、本実施の形態1に係る羊毛マット1は、特に周波数650Hz〜5000Hzの周波数帯において非常に吸音性に優れており、防音材として適していることが明らかとなった。
このようにして、本実施の形態1に係る羊毛マット1においては、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れた羊毛マットとなる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係る羊毛マットについて、図6を参照して説明する。図6は本発明の実施の形態2に係る羊毛マットの製造方法の概略を示すフローチャートである。
図6に示されるように、本実施の形態2に係る羊毛マットの製造方法は、大部分は上記実施の形態1に係る羊毛マット1の製造方法と同様である。異なるのは、本実施の形態2に係る羊毛マットの製造方法においては、加熱成形の段階において加熱方法として高周波加熱を用いることによって、より厚い羊毛マットを製造する点である。
すなわち、上記実施の形態1に係る製造方法においては、加熱成形の段階において熱風による加熱を行っているため、内部まで充分に加熱するためには、一定以上の厚さの羊毛マットを製造することは困難であった。しかし、本実施の形態2に係る製造方法においては、高周波加熱を用いることによって、厚く積層されたフリースの内部まで容易に加熱することができ、より厚い羊毛マットを製造することができる。
本実施の形態2においても、羊毛マットの原料としては、上記実施の形態1と同様に、NZS8716法で測定したバルク値が35cm3 /gである、羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛(バージン・ウール)2を使用し、ポリ乳酸(PLA)繊維である東レ(株)製のエコディア(登録商標)を、バインダー繊維3として使用した。バインダー繊維3の配合割合は、羊毛2とバインダー繊維3の合計量に対して、10重量%とした。
図6に示されるように、まず、原料となる羊毛2とバインダー繊維3としてのポリ乳酸繊維とを計量・混合して(ステップS20)、この混合物を開繊機のフィードコンベアへ供給して開繊機内で開繊して、密着していた繊維同士をほぐす(ステップS21)。このとき、開繊機にはダクトによって風圧が供給されて、開繊が促進される。続いて、開繊された繊維がカード機へ供給されて、カードウェブに形成される(ステップS22)、すなわちカーディングが行われる。形成されたカードウェブは、予備押圧コンベアにおいて、より厚くなるように、フリースとして多層に積層される(ステップS23)。
積層されたフリースは、コンベアと高周波加熱装置から構成される成形機に連続的に供給されて、高周波加熱成形される(ステップS24)。すなわち、入口側から出口側に行くに従って次第に上下の間隔が狭くなっているコンベアで圧縮されながら、高周波加熱装置によって厚いフリースの内部まで充分に加熱される。
この高周波加熱成形処理に続いて、1対の内部水循環水冷方式ロールからなるカレンダーロールによって冷却されながら加圧(プレス)が行われ、マット内部の余熱によってポリ乳酸繊維が完全に溶融するとともにマットの厚さが所定の値に固定されて(ステップS25)、マットの内部に残存した高音部が風冷式の冷却ゾーンで冷却された後(ステップS26)、所定の幅にカットされて(ステップS27)、不織布状態の本実施の形態2に係る羊毛マット11が得られる。得られた羊毛マット11の厚さは150mm、密度は30kg/m3(0.03g/cm3)であった。
この羊毛マット11の内部構造を拡大して見たところ、上記図4(a)に示される実施の形態1に係る羊毛マット1と同様に、羊毛のクリンプ(縮れ)が強く、内部の空隙が多い構造となっていた。また、羊毛マット1の熱伝導率を測定したところ0.035W/m・Kであり、図1に示される羊毛そのものの熱伝導率と同一の値であって、極めて断熱性に優れていることが明らかになった。
更に、本実施の形態2に係る羊毛マット11の防音特性を測定したところ、上記図5に示される実施の形態1に係る羊毛マット1と同様の吸音性を有することが確認され、防音材としても適していることが明らかとなった。
このようにして、本実施の形態2に係る羊毛マット11においては、羊毛100%の羊毛マットとすることによって、羊毛の大きな空隙率による断熱性・防音性と、羊毛の不燃性・調湿性・VOC吸着性とを十分に生かすことができ、成形性にも優れ、しかも極めて厚い羊毛マットとすることができる。
上記各実施の形態においては、羊毛2として、NZS8716法で測定したバルク値が35cm3/gで平均繊維長が60mmであり、羊毛の太さが32μmであって、羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛(バージン・ウール)を使用した場合について説明したが、これに限られるものではなく、NZS8716法で測定したバルク値が15cm3/gを超えて50cm3/g以下の範囲内で、羊毛の平均繊維長が10mm〜300mmの範囲内の羊毛であれば、その他の種類のバージン・ウールや、リサイクルウールを洗浄・乾燥してなる羊毛を使用しても良い。
また、上記各実施の形態においては、バインダー繊維3として、ポリ乳酸繊維である東レ(株)製のエコディア(登録商標)を使用した場合のみについて説明したが、バインダー繊維3としてはこれに限られるものではなく、その他のポリ乳酸繊維を始めとして、ポリエステル繊維、アクリル繊維、等を使用することもできる。
更に、上記各実施の形態においては、バインダー繊維3の配合割合を、羊毛2とバインダー繊維3の合計量に対して5重量%とした場合について説明したが、これに限られるものではなく、最終的にバインダー繊維が完全に溶融するものであれば良く、特にバインダー繊維の割合が羊毛とバインダー繊維の合計量に対して3重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましい。
また、上記各実施の形態においては、バインダー繊維3として、融点の異なる二種類の繊維のうち融点の高いものが芯部を構成し融点の低いものが鞘部を構成する芯鞘構造を有する東レ(株)製のエコディア(登録商標)を使用した場合のみについて説明したが、バインダー繊維3としてはこれに限られるものではなく、融点の異なる二種類の繊維を別々に混合したものでも良く、更には1種類のバインダー繊維のみを用いることもできる。
なお、本発明においては、羊毛をバインダー繊維と混合して成形してなる羊毛マット及びその製造方法について開示しているが、より広く考えた場合には、羊毛以外の獣毛、例えばカシミア・キャメル・アンゴラ・アルパカ等を同様に用いて、或いは羊毛にこれらの獣毛の適量を混合してマットを製造しても、同様の作用効果を得ることができる場合があるものと考えられる。
羊毛マットのその他の部分の構成、形状、数量、材質、太さ、厚さ、大きさ、製造方法、製造条件等についても、羊毛マットの製造方法のその他の工程についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
図1は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットに使用される羊毛の断熱性を他の材料と比較して示すグラフである。 図2(a)は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットに使用される羊毛の微細構造を示す模式図、(b)は更に微細な構造を示す模式図である。 図3は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットの製造方法の概略を示すフローチャートである。 図4は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットの内部構造を従来の羊毛マットと比較して示す模式図である。 図5は本発明の実施の形態1に係る羊毛マットの吸音性についての試験結果を示すグラフである。 図6は本発明の実施の形態2に係る羊毛マットの製造方法の概略を示すフローチャートである。
1,11 羊毛マット
2 羊毛
3 バインダー繊維

Claims (14)

  1. 羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛及び/またはリサイクルウール(再生羊毛)を洗浄・乾燥してなる羊毛をバインダーで接合して成形してなる羊毛マットであって、
    前記羊毛は、NZS8716法で測定した前記羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値が15cm3/gを超えて50cm3/g以下の範囲内で、かつ、平均繊維長が10mm〜300mmの範囲内であり、
    前記バインダーはバインダー繊維とし、かつ、前記バインダー繊維はポリ乳酸繊維であり、成形段階で完全に溶融して前記バインダー繊維としての形態を保持しておらず、繊維として存在するのは羊毛繊維のみであって羊毛100%であることを特徴とする羊毛マット。
  2. 前記バインダー繊維の割合は、前記羊毛と前記バインダー繊維の合計量に対して3重量%〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の羊毛マット。
  3. 前記羊毛は、前記羊毛の太さが10μm〜80μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の羊毛マット。
  4. 前記羊毛マットの密度は、10kg/m3〜100kg/m3の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の羊毛マット。
  5. 前記バインダー繊維は、融点の異なる二種類の樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の羊毛マット。
  6. 前記バインダー繊維は、前記融点の異なる二種類の樹脂のうち融点の高いものが芯部を構成し融点の低いものが鞘部を構成する芯鞘構造を有することを特徴とする請求項に記載の羊毛マット。
  7. 前記融点の異なる二種類の樹脂の融点の差は、5℃〜60℃の範囲内であることを特徴とする請求項または請求項に記載の羊毛マット。
  8. 羊から刈り取った原毛を洗浄・乾燥してなる羊毛及び/またはリサイクルウール(再生羊毛)を洗浄・乾燥してなる羊毛をバインダーで接合して成形してなる羊毛マットの製造方法であって、
    前記羊毛は、NZS8716法で測定した前記羊毛のかさ高性を示すバルク(Bulk)値が15cm3/gを超えて50cm3/g以下の範囲内で、かつ、平均繊維長が10mm〜300mmの範囲内であり、
    前記羊毛を前記バインダーとして機能するバインダー繊維としてのポリ乳酸繊維と混合して混合繊維とする混合工程と、
    前記混合繊維をほぐして開繊繊維とする開繊工程と、
    前記開繊繊維をカーディングしてカードウェブとするカーディング工程と、
    前記カードウェブを積層してフリースとする積層工程と、
    前記フリースを前記バインダー繊維の融点以上に加熱しながら圧縮して前記バインダー繊維を完全に溶融させて前記羊毛を接合するバインダーとし、繊維としての形態を保持していない状態として、繊維として存在するのは羊毛繊維のみであるマットとする加熱成形工程と、
    前記マットを加圧して所定厚さ及び/または密度とする加圧工程と
    を具備することを特徴とする羊毛マットの製造方法。
  9. 前記バインダー繊維の割合は、前記羊毛と前記バインダー繊維の合計量に対して3重量%〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項に記載の羊毛マットの製造方法。
  10. 前記羊毛は、前記羊毛の太さが10μm〜80μmの範囲内であることを特徴とする請求項または請求項に記載の羊毛マットの製造方法。
  11. 前記羊毛マットの密度は、10kg/m3〜100kg/m3の範囲内であることを特徴とする請求項乃至請求項10のいずれか1つに記載の羊毛マットの製造方法。
  12. 前記バインダー繊維は、融点の異なる二種類の樹脂からなることを特徴とする請求項乃至請求項11のいずれか1つに記載の羊毛マットの製造方法。
  13. 前記バインダー繊維は、前記融点の異なる二種類の樹脂のうち融点の高いものが芯部を構成し融点の低いものが鞘部を構成する芯鞘構造を有することを特徴とする請求項12に記載の羊毛マットの製造方法。
  14. 前記融点の異なる二種類の樹脂の融点の差は、5℃〜60℃の範囲内であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の羊毛マットの製造方法。
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