JP4736629B2 - 表面欠陥検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検物体の表面欠陥の検査を行う表面欠陥検査装置に関する。
半導体ウエハなどの被検物体の表面欠陥の検査は、被検物体の表面に検査用の照明光を様々な角度で照射して、被検物体を回転または揺動させながら検査員が目視観察して行われていた。近年では、検査品質のバラツキを小さくして検査の省力化や効率化を図るために、その検査を自動化することが検討されている(例えば特許文献1を参照)。この装置では、検査用の照明光を照射したときに被検物体の表面から所定方向に出射される散乱光を受光して、表面欠陥の検査を行う。また、散乱光以外のノイズ光(正反射光や回折光など)を受光しないようにするため、照明系や受光系の角度条件を調整することが提案されている。
特開2003−28621号公報
しかし、上記のように角度条件を調整しても、回折光の除去が不十分であったり、回折光の除去が十分でも散乱光の強度が微弱になってしまうことがある。このため、表面欠陥の検査に必要なSN比を確保できないことがあった。
本発明の目的は、回折光を確実に除去して表面欠陥の検査に必要なSN比を確保できる表面欠陥検査装置を提供することにある。
本発明の表面欠陥検査装置は、被検物体の表面を直線偏光によって照明する照明ユニットと、前記直線偏光によって照明されたときに前記表面から出射される散乱光のうち、前記直線偏光の振動面に垂直な偏光成分を受光する受光ユニットとを備え、前記照明ユニットと前記受光ユニットの少なくとも一方に配置される凹面鏡と、前記照明ユニットの発散光束中と前記受光ユニットの収束光束中との少なくとも一方に配置され、かつ光軸に対して傾けて配置された偏光補償板を有し、前記受光ユニットは、前記直線偏光によって照明されたときに前記表面から出射される正反射光の出射角をθo、前記正反射光の開口角をδθo、前記正反射光の光軸から前記受光ユニットの光軸を見込む角度をθr、前記受光ユニットの開口角をδθrとして、次の条件式(1)〜(3)を満足するように設定される。
δθo<(θr−δθr) …(1)
θr≦10度 …(2)
θo≦60度 …(3)
また、前記照明ユニットは前記直線偏光を発生する光源と該光源からの光を反射する第1の凹面鏡を備え、前記受光ユニットは前記被検物体から出射される光を反射する第2の凹面鏡と該第2の凹面鏡で反射された光による前記被検物の像を撮像する撮像部を備え、前記偏光補償板は、前記光源と第1の偏光補償板の間と、前記第2の凹面鏡と前記撮像部との間の少なくとも一方に配置されていることが好ましい。
また、前記受光ユニットの光軸と前記正反射光の光軸とを含む面は、前記照明ユニットの光軸と前記正反射光の光軸とを含む面に対して傾けられ、所定の角度θsを成すことが好ましい。
また、前記所定の角度θsは、90度であることが好ましい。
また、前記被検物体は、前記表面に垂直な軸を中心として回転可能に支持されていることが好ましい。
また、前記直線偏光は、略平行光であることが好ましい。
また、前記照明ユニットは、前記直線偏光によって前記表面を全面一括で照明し、前記受光ユニットは、前記表面の全面から出射される前記散乱光のうち前記直線偏光の振動面に垂直な偏光成分を受光して前記表面を全面一括で撮像することが好ましい。
また、前記照明ユニットおよび前記受光ユニットは、各々の前記表面側がテレセントリックに構成されていることが好ましい。
また、前記被検物体は、繰り返しパターンを有し、該繰り返しパターンが前記照明ユニットの光軸と前記正反射光の光軸とを含む面に対して平行または垂直な方向となるように支持されていることが好ましい。
本発明の表面欠陥検査装置によれば、回折光を確実に除去して表面欠陥の検査に必要なSN比を確保することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の表面欠陥検査装置100は、図1に示す通り、半導体ウエハなどの被検物体5を支持する支持テーブル1と、被検物体5の表面(以下「被検面5a」)に検査用の照明光を照射する照明ユニット10と、被検面5aから出射される散乱光を受光する受光ユニット20と、受光ユニット20に接続された表示ユニット31および画像処理ユニット32とで構成される。支持テーブル1と照明ユニット10と受光ユニット20は不図示のチャンバー内に配置される。
この表面欠陥検査装置100は、ICチップや液晶表示パネルなどの製造工程において、被検物体5の表面欠陥の検査を行う装置である。ICチップや液晶表示パネルは、半導体ウエハなどの表面に種々の回路パターンを何層にも積み重ねて構成される。回路パターンの形成にはフォトリソグラフィ工程などが用いられ、この形成に際して半導体ウエハなどの表面に傷などの欠陥(表面欠陥)があると、最終製品の動作不良などに結びつく。このため、製造工程における表面欠陥の検査は非常に重要である。
表面欠陥の検査時、半導体ウエハなどの被検物体5は、回路パターンなどが形成された被検面5aを水平な状態にして、支持テーブル1の上に真空吸着などによって固定保持される。この状態で照明ユニット10から検査用の照明光が照射されると、被検面5aでは、そこに付着した塵やゴミなどの異物または凸状や凹状の傷など(総じて「表面欠陥」)に起因して散乱光が発生する。この散乱光を効率よく受光ユニット20に導くことができれば、被検物体5の表面欠陥の検査を良好に行うことができる。
ところが、被検面5aは滑らかな平面であるため、被検面5aに照明ユニット10からの検査用の照明光を照射すると、被検面5aからは正反射光も発生する。さらに、被検面5aには多数の回路パターンが形成され、回路パターンは所定ピッチで配列されたアルミや銅などの配線用の金属薄膜(繰り返しパターン)を含む。このため、被検面5aに検査用の照明光を照射すると、被検面5aからは繰り返しパターンのピッチなどに応じて回折光も発生する。これらの正反射光や回折光はノイズ光である。
第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、被検面5aからのノイズ光を確実に除去して散乱光を効率よく受光ユニット20に導くため、照明ユニット10の光軸C1や受光ユニット20の光軸C4の角度条件を調整すると共に、照明ユニット10と受光ユニット20との各々に偏光ユニット13,22を設けている。以下、第1実施形態の表面欠陥検査装置100の構成を具体的に説明する。
支持テーブル1は、被検面5aの中心を通って垂直方向に延びる軸AX1を中心として水平面内で回転可能である。軸AX1を中心とする支持テーブル1の回転は、被検面5aに形成された繰り返しパターンの方位(例えば繰り返し方向)を調整するときに行われる。繰り返しパターンの方位は、通常、図2に示す通り、照明ユニット10の光軸C1と被検面5aの法線C2との成す面(以下「入射面P1」)に対して平行または垂直な方向となるように調整される。ただし、繰り返しパターンの方位が入射面P1に対して斜めであっても構わない。
また、支持テーブル1は、水平方向に延びる軸AX2を中心として回転(揺動)可能である。軸AX2は、照明ユニット10の光軸C1と被検面5aとの交点を通り、上記した入射面P1(光軸C1と被検面5aの法線C2との成す面)に垂直である。軸AX2を中心とする支持テーブル1の回転は、照明ユニット10の光軸C1の角度条件などを調整するときに行われる。
照明ユニット10は、光源11と、波長選択ユニット12と、偏光ユニット13と、照明レンズ14とで構成される。照明ユニット10の光軸C1は、被検面5aの法線C2に対して傾けられ、法線C2との成す角度(つまり入射角θi)が次の条件式(4)を満足するように設定される。
θi≦60度 …(4)
照明ユニット10の光軸C1の入射角θiの設定は、上記の支持テーブル1を軸AX2を中心として回転(揺動)させることにより行うことができる。また、支持テーブル1を回転させる代わりに(あるいは支持テーブル1の回転と併せて)照明ユニット10自体を軸AX2を中心として回転(揺動)させても、照明ユニット10の光軸C1の入射角θiの設定を同様に行うことができる。
光源11は、メタルハライドランプ,水銀ランプ,ハロゲンランプなどである。波長選択ユニット12は、例えば種々のダイクロイックミラーや干渉フィルタなどを切り換えることによって波長選択を行うものであり、光源11からの光のうち、所定の波長域の光を選択的に透過させる。
偏光ユニット13は、例えばシートフィルムの偏光板や液晶素子などであり、波長選択ユニット12からの光を直線偏光に変換する。照明レンズ14は、偏光ユニット13からの直線偏光を平行光に変換し、検査用の照明光として被検面5aの全面に照射する。また、照明ユニット10は、その被検面5a側がテレセントリックに構成されている。
このため、被検面5aは、照明ユニット10からの直線偏光(検査用の照明光)によって全面一括で照明される。この直線偏光の振動面の方向は、偏光ユニット13によって、上記の入射面P1と平行または垂直な方向に設定される。ただし、その方向が入射面P1に対して斜めであっても構わない。また、直線偏光の波長は、波長選択ユニット12によって設定される。直線偏光の入射角は、照明ユニット10の光軸C1の入射角θiに相当し、被検面5aの全面で一定となる。
このようにして照明されたとき、被検面5aからの正反射光は、光軸C3で示す方向に、出射角θoで出射する。この出射角θoは、正反射光の光軸C3と被検面5aの法線C2との成す角度であり、上記した直線偏光の入射角θiと等しい。したがって、入射角θiが上記の条件式(4)を満足すれば、出射角θoも同様の条件式(5)を満足する。
θo≦60度 …(5)
受光ユニット20は、第1の受光レンズ21と、偏光ユニット22と、第2の受光レンズ23と、CCD撮像素子24とで構成される。受光ユニット20の光軸C4は、正反射光の光軸C3に対して傾けられ、光軸C3との成す角度(つまり光軸C3から光軸C4を見込む角度θr)が次の条件式(6)を満足するように設定される。
θr≦10度 …(6)
また、受光ユニット20の光軸C4は、照明ユニット10の光軸C1および正反射光の光軸C3と同一面内に含まれる。この面は上記の入射面P1に相当し、図1の紙面に平行である。
さらに、光軸C4を見込む角度θrは、図3に示す通り、正反射光が光軸C3を中心として開口角δθoの円錐状の広がりを有する場合でも、この開口角δθoと、受光ユニット20の光軸C4を中心とする開口角δθrとが重ならないように、つまり、次の条件式(7)を満足するように設定される。
δθo<(θr−δθr) …(7)
このように設定すれば、被検面5aからの正反射光が受光ユニット20の円錐状の受光範囲(開口角δθr)に入射することはなく、受光ユニット20は正反射光に対して暗視野の光学系となる。つまり、被検面5aの表面欠陥の検査に不要なノイズ光の1つである正反射光を確実に除去することができる。
なお、正反射光の出射角θoは、照明ユニット10の光軸C1の入射角θiを設定すれば自動的に決まる。つまり、支持テーブル1と照明ユニット10との少なくとも一方を軸AX2を中心として回転(揺動)させることにより、入射角θiおよび出射角θoを設定できる。また、受光ユニット20の光軸C4を見込む角度θrの設定は、受光ユニット20自体を軸AX2を中心として回転(揺動)させることにより行うことができる。
また、受光ユニット20において、受光レンズ21,23は、被検面5aから出射された光(散乱光や正反射光や回折光など)を集光する。偏光ユニット22は、上記の偏光ユニット13と同様の偏光板や液晶素子などであり、検査用の照明光である直線偏光の振動面に垂直な偏光成分を通過する(平行な偏光成分を遮断する)ように配置されている。いわゆるクロスニコルの配置である。受光ユニット20の被検面5a側はテレセントリックに構成されている。CCD撮像素子24は、被検面5aを全面一括で撮像可能である。
被検面5aからの正反射光は、被検面5aの表面欠陥の検査に不要なノイズ光の1つであり、上記のように、受光ユニット20の光軸C4を中心とする開口角δθrの受光範囲から外れた方向(つまり光軸C3を中心とする開口角δθo内)を通過する。このため、受光レンズ21,23により集光されても、正反射光がCCD撮像素子24の受光面に入射することはない。つまり、正反射光を確実に除去することができる。
一方、被検面5aの繰り返しパターンからの回折光は、被検面5aの表面欠陥の検査に不要なノイズ光の1つであるが、通常、正反射光とは異なる方向に出射する。また、繰り返しパターンのピッチによっては、正反射光の光軸C3から回折光の光軸を見込む角度が、受光ユニット20の光軸C4を見込む角度θrに近くなることがある。この場合、回折光も光軸C4を中心とする開口角δθrの受光範囲内を通過することになり、偏光ユニット22が無ければ、CCD撮像素子24の受光面に入射してしまう。
しかし、第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、偏光ユニット22を設け、検査用の照明光である直線偏光の振動面に垂直な偏光成分を通過する(平行な偏光成分を遮断する)ようにしたので、被検面5aの繰り返しパターンからの回折光が、受光ユニット20の光軸C4を中心とする開口角δθrの受光範囲内を通過する場合でも、その回折光を偏光ユニット22によって遮断し、CCD撮像素子24の受光面に入射しないようにすることができる。
被検面5aの繰り返しパターンからの回折光を偏光ユニット22によって遮断できるのは、検査用の照明光である直線偏光が被検面5aの繰り返しパターンによって回折されるときに、その振動面が回転しないからである。つまり、被検面5aの繰り返しパターンからの回折光も直線偏光であり、回折光の振動面は照明用の直線偏光の振動面と平行である。ここで、繰り返しパターンの方位を図2に示すように入射面P1に対して平行または垂直な方向とした場合、回折光の振動面は照明側での振動面と正確に平行となる。
したがって、被検面5aの繰り返しパターンからの回折光は、受光ユニット20の光軸C4を中心とする開口角δθrの受光範囲内を通過する場合でも、照明側の偏光ユニット13に対してクロスニコルの状態で配置された偏光ユニット22を通過することができず、そこで遮断され、CCD撮像素子24の受光面に入射することはない。つまり、回折光を確実に除去することができる。
これに対し、検査用の照明光である直線偏光が被検面5aの異物や傷など(表面欠陥)によって散乱されるときには、その振動面が回転する。つまり、表面欠陥からの散乱光には、照明用の直線偏光の振動面に垂直な偏光成分も含まれる。そして、この偏光成分のみが偏光ユニット22を通過し、受光レンズ21,23により集光されてCCD撮像素子24の受光面に入射する。
このように、第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、受光ユニット20を正反射光に対して暗視野の光学系とし、さらに、照明ユニット10と受光ユニット20とに偏光ユニット13,22を設けることにより、被検面5aの表面欠陥の検査に不要なノイズ光(正反射光や回折光など)を確実に除去することができ、被検面5aの異物や傷など(表面欠陥)からの散乱光のみをCCD撮像素子24の受光面に入射させることができる。
したがって、CCD撮像素子24では、被検面5aの異物や傷など(表面欠陥)によって生じる散乱光に基づいて、被検面5aを全面一括で撮像し、表面欠陥の画像を取り込むことができる。CCD撮像素子24によって撮影された画像情報は、表示ユニット31および画像処理ユニット32に出力される。
表示ユニット31は、CRTモニタや液晶ディスプレイなどから構成され、CCD撮像素子24からの画像情報(表面欠陥の画像)を画面に表示する。検査員は、この画面表示を見て、被検物体5の表面欠陥の有無を判断可能である。
画像処理ユニット32は、CCD撮像素子24からの画像情報について画像処理を行い、撮影画像における輝度が所定輝度を超える部分に、異物や傷などの表面欠陥が存在すると判断する。このため、被検物体5の表面欠陥の有無を自動的に検査可能である。
第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、照明ユニット10と受光ユニット20とに偏光ユニット13,22を設けて被検面5aからの回折光を除去するため、回折光の光軸が受光ユニット20の光軸C4に重なってしまう場合でも、その回折光を確実に除去して表面欠陥からの散乱光のみを選択することができ、表面欠陥の検査に必要なSN比を確保することができる。
特に、被検面5aにピッチの異なる多数の繰り返しパターンが存在する場合、繰り返しパターンからの回折光は様々な方向に発生するため、従来のような角度条件の調整では、回折光を取り込まないように受光ユニット20の光軸C4や開口角δθrを設定することが難しい。しかし、第1実施形態のように偏光ユニット13,22を用いれば、被検面5aにピッチの異なる多数の繰り返しパターンが存在する場合でも、確実に回折光を除去することができ、表面欠陥の検査に必要なSN比を確保することができる。
さらに、第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、照明ユニット10の光軸C1の入射角θiが条件式(4)を満足する(つまり正反射光の出射角θoが条件式(5)を満足する)ように設定した。このため、検査用の照明光(直線偏光)を被検面5aに対して比較的小さな角度で上方から入射させることができる。したがって、被検面5aに形成された凹状の傷であっても、そこから確実に散乱光を発生させることができ、凹状の傷の検査に必要なSN比を確保することができる。
そして、第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、被検面5aに付着した塵やゴミなどの異物または凸状や凹状の傷などの検査に必要なSN比を確保できるため、その検査を良好に行うことができる。
なお、本発明者は、正反射光の出射角θoを約21度、受光ユニット20の光軸C4を見込む角度θrを約2度、開口角δθoを約0.6度、開口角δθrを約0.15度とした装置、および、出射角θoを約16度、見込む角度θrを約2度、開口角δθoを約0.5度、開口角δθrを約0.15度とした装置において、種々の半導体ウエハ(被検物体5)の表面欠陥の検査を良好に行えることを確認した。
また、第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、照明ユニット10によって被検面5aを全面一括で照明し、受光ユニット20のCCD撮像素子24によって被検面5aを全面一括で撮像する。このため、表面欠陥の検査を短時間で行うことができ、スループットが向上する。
さらに、第1実施形態の表面欠陥検査装置100では、照明ユニット10と受光ユニット20との各々の被検面5a側をテレセントリックに構成した。このため、照明ユニット10による照明条件と受光ユニット20による受光条件とを被検面5aの全面で均一とすることができ、表面欠陥の検査をさらに良好に行える。
なお、上記と同様の効果は、被検面5aの繰り返しパターンの方位が入射面P1に対して平行または垂直な場合に限らず、入射面P1に対して斜めの場合であっても得ることができる。ただし、入射面P1に対して平行または垂直とする場合の方が、直線偏光の振動面の変化を確実に回避できるため好ましい。
(第2実施形態)
第2実施形態の表面欠陥検査装置200は、図4に示す通り、第1実施形態の表面欠陥検査装置100(図1)の照明レンズ14および受光レンズ21に代えて球面反射鏡15,25を設け、球面反射鏡15,25と偏光ユニット13,22との間の光路中に偏光補償板16,26を斜めに挿入したものである。
偏光補償板16,26は、高屈折率ガラスの平行平面板であり、屈折率が1.8以上(例えば1.9程度)の材料を用いることが好ましい。さらに、屈折率は高い方が好ましいが、最適な屈折率は光の波長によって異なる。例えば紫外光の場合には、透過率を考慮すると、屈折率1.8程度が好ましい。
第2実施形態の表面欠陥検査装置200でも、上記の条件式(4)〜(7)を満足するように各部の設定を行い、受光ユニット(22〜26)を正反射光に対して暗視野の光学系とし、さらに、照明ユニット(11〜13,15,16)と受光ユニット(22〜26)とに偏光ユニット13,22を設けるため、被検面5aの表面欠陥の検査に不要なノイズ光(正反射光や回折光など)を確実に除去することができる。
また、偏光ユニット13,22によって被検面5aからの回折光を除去するため、回折光の光軸が受光ユニット(22〜26)の光軸C4に重なってしまう場合でも、その回折光を確実に除去して表面欠陥からの散乱光のみを選択することができ、表面欠陥の検査に必要なSN比を確保することができる。さらに、被検面5aに形成された凹状の傷であっても、そこから確実に散乱光を発生させることができ、凹状の傷の検査に必要なSN比を確保することができる。その結果、表面欠陥の検査を良好に行うことができる。
また、第2実施形態の表面欠陥検査装置200では、球面反射鏡15,25と偏光ユニット13,22との間に偏光補償板16,26を設けるため、被検面5aの全面における消光比を略均一にすることができる。なお、偏光補償板16,26の表面をガラス材料と同程度の屈折率の保護膜でコートしてヤケを防止することが好ましい。
(第3実施形態)
第3実施形態の表面欠陥検査装置300は、図5に示す通り、第1実施形態の表面欠陥検査装置100(図1)の照明レンズ14および受光レンズ21に代えて大口径のレンズ17を設けたものである。
第3実施形態の表面欠陥検査装置300では、照明ユニット(11〜13,17)と受光ユニット(17,22〜24)とが大口径のレンズ17を共用しているので、装置構成を簡単にすることができる。ただし、照明ユニット(11〜13,17)と受光ユニット(17,22〜24)とを近づけて配置する必要があり、検査用の照明光の入射角θiおよび正反射光の出射角θoは小さな角度となる。
第3実施形態の表面欠陥検査装置300でも、上記の条件式(4)〜(7)を満足するように各部の設定を行い、受光ユニット(17,22〜24)を正反射光に対して暗視野の光学系とし、さらに、照明ユニット(11〜13,17)と受光ユニット(17,22〜24)とに偏光ユニット13,22を設けるため、被検面5aの表面欠陥の検査に不要なノイズ光(正反射光や回折光など)を確実に除去することができる。
また、偏光ユニット13,22によって被検面5aからの回折光を除去するため、回折光の光軸が受光ユニット(17,22〜24)の光軸C4に重なってしまう場合でも、その回折光を確実に除去して表面欠陥からの散乱光のみを選択することができ、表面欠陥の検査に必要なSN比を確保することができる。さらに、被検面5aに形成された凹状の傷であっても、そこから確実に散乱光を発生させることができ、凹状の傷の検査に必要なSN比を確保することができる。その結果、表面欠陥の検査を良好に行うことができる。
(第4実施形態)
第4実施形態の表面欠陥検査装置400は、図6に示す通り、第3実施形態の大口径のレンズ17に代えて凹面反射鏡18を設け、凹面反射鏡18と偏光ユニット13,22との間の光路中に第2実施形態と同様の偏光補償板16,26を斜めに挿入したものである。
第4実施形態の表面欠陥検査装置400では、照明ユニット(11〜13,16,18)と受光ユニット(18,22〜24,26)とが凹面反射鏡18を共用しているので、装置構成を簡単にすることができる。また、第3実施形態のようにレンズ17を用いた構成と比較して装置をコンパクトにすることができる。
第4実施形態の表面欠陥検査装置400でも、上記の条件式(4)〜(7)を満足するように各部の設定を行い、受光ユニット(18,22〜24,26)を正反射光に対して暗視野の光学系とし、さらに、照明ユニット(11〜13,16,18)と受光ユニット(18,22〜24,26)とに偏光ユニット13,22を設けるため、被検面5aの表面欠陥の検査に不要なノイズ光(正反射光や回折光など)を確実に除去することができる。
また、偏光ユニット13,22によって被検面5aからの回折光を除去するため、回折光の光軸が受光ユニット(18,22〜24,26)の光軸C4に重なってしまう場合でも、その回折光を確実に除去して表面欠陥からの散乱光のみを選択することができ、表面欠陥の検査に必要なSN比を確保することができる。さらに、被検面5aに形成された凹状の傷であっても、そこから確実に散乱光を発生させることができ、凹状の傷の検査に必要なSN比を確保することができる。その結果、表面欠陥の検査を良好に行うことができる。
(変形例)
上記した実施形態では、受光ユニット20の光軸C4が入射面P1(照明ユニットの光軸C1と被検面5aの法線C2との成す面)に含まれる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図1,図2の矢視IIIを示す図7(a)のように、正反射光の光軸C3と受光ユニット20の光軸C4とを含む面P2が入射面P1に対して傾けられ、所定の角度θsを成すようにしてもよい。この場合、受光ユニット20の光軸C4を見込む角度θrは、面P2内で条件式(6),(7)を満足するように設定される。
また、図1,図2の矢視IIIを示す図7(b)のように、正反射光の光軸C3と受光ユニット20の光軸C4とを含む面P3が入射面P1に対して角度θs=90度を成すようにしてもよい。このようにすれば、光軸C4を見込む角度θrを一定に保持したまま、照明ユニットの光軸C1の入射角θiや正反射光の光軸C3の出射角θoを容易に変化させることが可能となる。
図7(a),(b)のように、正反射光の光軸C3と受光ユニット20の光軸C4とを含む面P2,P3を入射面P1に対して傾ける場合、光軸C4を見込む角度θrの設定は、受光ユニット20自体を、次のような軸AX3を中心として回転(揺動)させることにより行うことができる。軸AX3は、照明ユニット10の光軸C1と被検面5aとの交点を通り、面P2,P3に垂直な軸である。
さらに、上記した実施形態では、偏光ユニット13,22によって被検面5aからの回折光を除去する例を説明したが、これに加えて次のような角度条件の調整を行ってもよい。つまり、受光ユニット20の光軸C4を見込む角度θrの設定に際し、正反射光に対して暗視野の光学系を構成するような角度範囲内で可能な限り小さな角度(つまり正反射光の光軸C3に近い角度)に設定し、かつ、回折光に対しても暗視野の光学系を構成するような角度に設定する。このような角度調整を行うことで、より確実に回折光を除去できる。
また、回折光の出射方向は、被検面5aに形成された繰り返しパターンのピッチと、照明光の波長に応じて定まるため、照明光の波長を変えることによって回折光が受光ユニット20に導かれないように調整してもよい。この場合、照明ユニット10の波長選択ユニット12により照明光の波長を選択的に設定し、回折光が受光ユニット20に導かれないように回折角を調整すればよい。ただし、同様の波長選択ユニットを受光ユニットに設け、受光側で回折光の波長を選択しても構わない。
第1実施形態の表面欠陥検査装置100の構成を示す概略図である。 被検面5aに形成された繰り返しパターンの方位を説明する図である。 各光軸の方向および開口角の関係を説明する図である。 第2実施形態の表面欠陥検査装置200の構成を示す概略図である。 第3実施形態の表面欠陥検査装置300の構成を示す概略図である。 第4実施形態の表面欠陥検査装置400の構成を示す概略図である。 照明ユニットの光軸C1と受光ユニットの光軸C4との関係を図1,図2の矢印IIIの方向から見て示す説明図である。
符号の説明
100,200,300,400 表面欠陥検査装置 ; 10 照明ユニット ;
20 受光ユニット ; 5 被検物体 ; 5a 被検面 ;
13,22 偏光ユニット ; C1 照明ユニットの光軸 ;
C3 正反射光の光軸 ; C4 受光ユニットの光軸 ;
P1 入射面 ; 16,26 偏光補償板

Claims (9)

  1. 被検物体の表面を直線偏光によって照明する照明ユニットと、
    前記直線偏光によって照明されたときに前記表面から出射される散乱光のうち、前記直線偏光の振動面に垂直な偏光成分を受光する受光ユニットとを備え、
    前記照明ユニットと前記受光ユニットの少なくとも一方に配置される凹面鏡と、
    前記照明ユニットの発散光束中と前記受光ユニットの収束光束中との少なくとも一方に配置され、かつ光軸に対して傾けて配置された偏光補償板を有し、
    前記受光ユニットは、前記直線偏光によって照明されたときに前記表面から出射される正反射光の出射角をθo、前記正反射光の開口角をδθo、前記正反射光の光軸から前記受光ユニットの光軸を見込む角度をθr、前記受光ユニットの開口角をδθrとして、次の条件式(1)〜(3)を満足するように設定される
    δθo<(θr−δθr) …(1)
    θr≦10度 …(2)
    θo≦60度 …(3)
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  2. 請求項1に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記照明ユニットは前記直線偏光を発生する光源と該光源からの光を反射する第1の凹面鏡を備え、
    前記受光ユニットは前記被検物体から出射される光を反射する第2の凹面鏡と該第2の凹面鏡で反射された光による前記被検物の像を撮像する撮像部を備え、
    前記偏光補償板は、前記光源と第1の偏光補償板の間と、前記第2の凹面鏡と前記撮像部との間の少なくとも一方に配置されている
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記被検物体は、繰り返しパターンを有し、該繰り返しパターンが前記照明ユニットの光軸と前記正反射光の光軸とを含む面に対して平行または垂直な方向となるように支持されている
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記受光ユニットの光軸と前記正反射光の光軸とを含む面は、前記照明ユニットの光軸と前記正反射光の光軸とを含む面に対して傾けられ、所定の角度θsを成す
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  5. 請求項4に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記所定の角度θsは、90度である
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記被検物体は、前記表面に垂直な軸を中心として回転可能に支持されている
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記直線偏光は、略平行光である
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  8. 請求項7に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記照明ユニットは、前記直線偏光によって前記表面を全面一括で照明し、
    前記受光ユニットは、前記表面の全面から出射される前記散乱光のうち前記直線偏光の振動面に垂直な偏光成分を受光して前記表面を全面一括で撮像する
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
  9. 請求項7または請求項8に記載の表面欠陥検査装置において、
    前記照明ユニットおよび前記受光ユニットは、各々の前記表面側がテレセントリックに構成されている
    ことを特徴とする表面欠陥検査装置。
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