JP4735790B2 - 接合具及びそれを用いた構造部材間の接合構造 - Google Patents

接合具及びそれを用いた構造部材間の接合構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集成材や積層材若しくは木材、又はコンクリートや石材等からなる複数の構造部材を接合する接合具及びそれを用いた構造部材間の接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅等の建築の省力化、合理化等を目的として梁と軒桁、軒桁と柱、胴差しと通し柱等の接合を目的とした接合具が開発されている。
従来の接合具としては、特開平5−331919号公報(以下、イ号公報と呼ぶ)に、「接合具及びそれを用いた構造部材の接合方法並びに構造部材間の接合構造」が開示されている。
イ号公報に開示の接合具は、鉄等の金属製やカーボン繊維,ボロン繊維,ガラス繊維,金属繊維等の有機,無機繊維と合成樹脂で成形加工された直線状又は折曲状等の棒状部材と、棒状部材の長手方向に形成され棒状部材の両端部で開口する中空部と、を備えた構成を有している。
【0003】
また、その他の接合具としては、特開平6−322839号公報(以下、ロ号公報と呼ぶ)に、「接合具」が開示されている。
ロ号公報に開示の接合具は、鉄等の金属製やカーボン繊維,ボロン繊維,ガラス繊維,金属繊維等の有機,無機繊維と合成樹脂との複合材を成型加工したもの、セメント等を用いたセラミックス類及びその複合品で成形加工された棒状部材と、棒状部材の長手方向に形成された凹部と、凹部に嵌合されたパイプ状部と、を備えた構成を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の接合具は以下の課題を有していた。
(1)木造建造物を廃棄して焼却すると木材に蓄えられていた温室効果ガスの一種である二酸化炭素が空気中に放出されて地球の温暖化を促進するため、できる限り焼却することを避けて補修や再利用をすることが望ましい。しかし、イ号公報及びロ号公報に開示の接合具は金属製や有機,無機繊維と合成樹脂等の材質からなるため、その接合具を使って施工された木造建造物を補修や再利用等のために解体する際、接合具が硬くて接合面では切断できないことが多く、切断できても切断面に接合具が露出されるため美観を損ねる、接合具が腐食する、結露の原因となり易い等の課題を有していた。
(2)そのため、そのような木造建造物を補修又は再利用する場合、接合具が固着されている部分を除去しなければならないため、再利用できない部分が発生し産業廃棄物として排出されるという課題や再利用できないことがあるという課題を有していた。
(3)イ号公報及びロ号公報に開示の接合具を使って施工された木造建造物を焼却した場合、金属製や有機,無機繊維と合成樹脂等の材質からなる接合具が焼却炉内に残留又は溶融し、焼却炉内及び大気を汚染してしまうという課題を有していた。
(4)そのため、そのような木造建造物を廃棄又は焼却する場合、接合具を木造建造物から分離しなければならないが、接着剤で固着されているために接合具と分離することができ難い又は困難であるという課題を有していた。
(5)金属製の接合具の酸化や、金属製や合成樹脂製の接合具と木材との熱膨脹差によって、接合具が膨張収縮して木材の接合部に損傷を与えることがあるため、施工時に接合具の表面を完全に覆って空気を遮断することができ、かつ、金属や合成樹脂との熱膨脹差を緩和することができる接着剤の選定と充填方法に留意しなければならないという課題を有していた。
(6)金属製の接合具は比重が大きいため、施工者は一度に大量に運搬できず搬送性に欠くという課題を有していた。
(7)金属製や合成樹脂製の接合具を生産するために多大なエネルギー資源を費やし、また二酸化炭素を発生させ地球温暖化を助長する一因となるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、仕口や継手構造において実用的な接合強度を有するとともに熱膨張差による接合部への損傷を与えず、軽量であるとともに鋸等で容易に切断可能で、植物系素材を用いることにより地球温暖化の一因となる二酸化炭素の発生を抑制するとともに、空気中の二酸化炭素を減らし二酸化炭素の固定化を図ることができる焼却及び埋め立て可能で低原価で量産可能な接合具、及び仕口,継手あるいは接合の加工技術を単純化できるとともに接合部の圧縮強度や引張強度等の機械的強度に優れ耐震性を向上させ信頼性に優れた構造部材間の接合構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために、本発明の接合具及びそれを用いた構造部材間の接合構造は、以下のような構成を有している。
【0007】
本発明の請求項1に記載の接合具は、断面が略円形、略楕円形又は略多角形のいずれかであって外皮側の繊維を残したまま竹材の繊維方向に平行に切断して形成した小角材やひき板をその繊維方向を互いに平行にして集成接着した集成材からなる直線状又は折曲状の形状に形成された棒状部材又は外皮側の繊維を残したヒゴ状のストランドを集成接着して直線状又は折曲状の形状に形成された棒状部材と、前記棒状部材の軸方向の長手方向に形成され前記棒状部材の両端部又は一端部で開口する中空部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)棒状部材が世界各地で生産され入手しやすく切削等の加工が容易な竹材からなるので、低原価で量産可能であり、日曜大工、家具、玩具等や看板等の接合にも容易に適用が可能となる。
(2)棒状部材が金属と比べて軽量な竹材からなるので、製造者及び施工者が運搬する際の負担を小さくでき低原価で運搬可能であるとともに作業性に優れる。
(3)棒状部材が竹材からなるので、構造部材が集成材や積層材若しくは木材である場合は棒状部材と構造部材との熱膨張差はゼロに等しいため、熱膨脹差による接合部への損傷はなく、熱膨脹差は考慮せずに親和性だけを考慮した接着剤を選択すればよいため、接着性に優れるとともに接合部の信頼性に優れる。
(4)棒状部材が竹材からなるので、接合具を使って接合された構造部材を補修や再利用する際、接合具の挿着された接合面でノコギリ等で容易に切断することができ再利用性に優れる。
(5)接合具を使って施工された構造部材を廃棄しなければならない場合であっても、竹材からなる接合具は容易に焼却できるので、焼却炉内に残留又は溶融することがなく焼却炉内及び大気を汚染せず環境保全性に優れる。また、植物系素材を用いているので土壌中で分解され埋め立て可能である。
(6)棒状部材の長さ、口径、本数を変えることにより多様な長さ及び大きさの構造部材の接合ができ汎用性に優れる。
(7)端材や鋸屑等の廃材や屑材も集成材や積層材として棒状部材の原料として使用できるため、竹材資源の有効利用ができ省資源性に優れるとともに、ゴミの排出量を減少させることができ環境保全性に優れる。
(8)種類によっては形状や大きさが一定でないため棒状部材としてそのまま利用することができない竹材でも、竹の種類に応じて集成材や積層材に加工することで、一定の形状、大きさ及び品質の規格化された棒状部材を生産することができ生産性に優れる。
(9)接合具を挿着する場所が限られている構造部材間の接合部であっても、棒状部材の中空部の開口部が一端部に設けられたもの又は両端部に設けられたものを必要に応じて選択して、構造部材間の接合をすることができ汎用性に優れる。
(10)棒状部材の原料として植物系素材の竹材を用いているので、金属製や合成樹脂製の場合に生産時に発生する地球温暖化の一因となる二酸化炭素の発生を抑制するとともに、空気中の二酸化炭素を減らし二酸化炭素の固定化を図ることができ環境保全性に優れる。
(11)竹材は引張強度や曲げ強度に優れるため、実用的な接合部の接合強度が得られ、また棒状部材を接合部に応じて種々の形状に形成することで、接合部に生じる曲げ,せん断,引張,圧縮の各応力に抗することができる。
(12)棒状部材として構造部材の材質よりも高剪断性の竹材(竹材は木材の約2倍の抗剪断性を有す)を使用するので、接合部の強度を著しく向上させることができる。
【0008】
ここで、棒状部材の断面形状は、略円形、略楕円形、又は三角形,四角形,六角形等の略多角形等に形成される。断面形状が略楕円形や略多角形に形成されると、棒状部材の回転によるねじれ等の発生が防止され、作業に熟練を要さなくても接合部を設計図どおりに接合することができ、また作業時間も短縮できるため好ましい。
また、棒状部材の長手方向に形成された接着剤流入用の中空部の径は、接着剤の流入を阻害しない程度に小さく形成されるのが望ましい。棒状部材の曲げ,せん断,引張強度等の機械的強度を低下させないためである。なお、例えば竹材の天然の中空部を棒状部材の中空部として使用する等の場合は、中空部の径は大きくても良い。竹材は外皮側の強度が内皮側の強度に比べて著しく高いため、中空部の径が大きくても強度が大きく低下せず、中空部の径と強度との間にほとんど関係がないからである。
さらに、棒状部材の端部の形状は膨出状、フラット状、凹状等のいずれでも良いが、棒状部材の断面積を大きくして高い強度を確保するためにフラット状の端面が好ましく用いられる。なお、注入された接着剤を外表面へと案内する溝等の接着剤案内部を形成すると接着剤をスムーズに棒状部材の表面と連通孔の周壁間に案内することができ接着剤の注入の作業性を高めることができるので、接着剤流出用のスリット状の溝をつけた形状が好ましく用いられる。また、一方の端部を接着剤注入用ノズルの先端の形状に応じた凹状にすると、接着剤注入用ノズルの先端を嵌挿しやすくなり接着剤の注入が容易になるので好ましい。
また、棒状部材の中空部は、中実の棒状部材の端面から穿孔したり、木材や竹材を薄片状にしたものや紙材を芯材を中心にして接着剤等を使って巻き固めた後に芯材を除去したり、小角材や竹材等を芯材とともに圧縮成形した後に芯材を除去等して形成することができる。また、集成材や積層板等の一面に断面がV字形の溝を複数形成し、該V字形溝に接着剤を塗布した後に巻いて該V字形溝で接着して形成したり、積層単板の一面に断面が半円状の溝を複数形成したものを2枚用意し、半円状の溝同士を合わせて接着した後に切断し外周面を研削して形成することができる。なお、中空部の内壁は接着剤の流入抵抗を軽減化させるため鏡面化仕上げをするのが好ましい。
【0009】
ここで、棒状部材の材料としては、マダケ,ハチク,モウソウチク,クロチク,メダケ等の竹やネザサ,スズダケ,ヤダケ,クマザサ等の笹等の竹材が用いられる。
【0010】
竹材は、その機械的強度が機械的強度の高い代表的な木材であるブナよりも高いため、木材同士の接合具として使用することで、木材同士の仕口、継手あるいは接合加工による接合構造に比べ、高い機械的強度を有する接合構造を得ることができる。竹は外皮側に近い部分の繊維の密度が高い強靭な材質であって、例えば、マダケの機械的強度(曲げ強さ186Mpa、圧縮強さ73Mpa、引張強さ243Mpa、せん断強さ17Mpa)は、ブナの機械的強度(曲げ強さ98Mpa、圧縮強さ44Mpa、引張強さ132Mpa、せん断強さ13Mpa)に比べ高いからである。
さらに、竹を産業用部材として使用することで竹の伐採量が増加すると、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の竹林への固定を促進して地球環境の保全ができる。木や竹のもつ二酸化炭素の固定能力は老齢になると衰えてしまうが、竹は発筍から数か月で10〜20mの背丈に達し3〜4年で成長がほぼ完了してしまう成長の非常に早い竹材資源であり、現存する竹林から毎年発筍しその発生量に相当する伐採量であれば恒常的に利用できる竹材資源なので、発筍から約4年を経過した竹を伐採し竹材として利用すれば竹材資源は枯渇させずに、その竹林のもつ二酸化炭素の固定能力を常に最大にできるからである。
なお、竹は外皮側に近いほど繊維の密度が高く強靭なので、外皮側に近い部分を残したまま長手方向に平行に切り出して加工して、棒状部材として使用するのが好ましい。また、竹は節と節との間に天然の中空部を有する竹材資源なので、外皮側に近い部分を残したまま竹の天然の中空部をそのまま中空部とする棒状部材とすれば、強靭な棒状部材が得られるとともに中空部の穿設が不要となるため好ましい。
【0011】
また、集成材や積層材としては、ひき板又は小角材をその繊維方向を互いに平行にして長さ,厚さ,あるいは幅方向に集成接着した集成材、竹材の表面から連続的に剥ぎ取って形成したシート状の竹材の繊維方向をそろえて又は互いに直交するように積層接着した単板積層材や合板、を圧縮成形した単板の繊維方向をそろえて又は互いに直交するように積層接着した単板積層材、ヒゴ状のストランドに方向性を与え表層と芯層を直交配向させ接着成形した配向性ストランドボード、ヒゴ状のストランドを集成接着して棒状にしたもの、破砕された小片に接着剤を加えて成形したパーティクルボード、解繊された繊維に接着剤を加えて成形したファイバーボード等が用いられる。さらに、竹材の表面から連続的に剥ぎ取って形成したシート状の竹材を芯材を中心にして巻回して接着して中空部の形成された棒状部材として成形したもの、竹材等の中空部を有する外筒又は中空部を穿設した外筒内に内筒を嵌入して棒状部材として成形したもの、ひき板,小角材,鋸屑等を棒状部材の形状をした金型に接着剤とともに充填して加圧成形したもの等も用いられる。加圧成形は、直線状や折曲状等の多様な形状や長さ,厚み等を有する棒状部材を成形することができ、中空部や枝管も一体的に成形することができ好ましい。なお、集成材や積層材は、カーボン繊維,メタル繊維,セラミック繊維等を混合して成形すると剛性が向上するので好ましい。また、カーボン繊維,メタル繊維,セラミック繊維等を布状に形成したものを巻き込んで成形すると、さらに剛性が向上するので好ましい。
ここで、集成材や積層材の製造時に防虫処理薬剤,防腐処理薬剤,防菌処理薬剤,難燃処理薬剤等を接着剤に混合しておくと、集成材や積層材の製造と同時に防虫,防腐,防菌,難燃等の処理を行うことができ好ましい。
なお、防虫,防腐,防菌,難燃等の処理は集成材や積層材の製造時に接着剤に混合するだけでなく、竹材,集成材や積層材,又はそれらから形成された棒状部材に、防虫処理薬剤,防腐処理薬剤,防菌処理薬剤,難燃処理薬剤等の薬剤の塗布,吹き付け,浸漬等の表面処理や薬液に浸す拡散処理や温冷浴処理、あるいは減圧,加圧処理等を行うと、防虫,防腐等の抵抗性を効果的に高めることができ好ましい。防虫処理としては、竹材,集成材や積層材からデンプンや糖等の養分を除去するのも効果的な方法である。
【0013】
棒状部材が、両端部又は一端部で開口する外筒と、外筒に内挿され軸方向の長手方向に形成され両端部又は一端部で開口する中空部を有する少なくとも1種以上の内筒と、を備えた構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)引張強度や曲げ強度の大きな木材や竹材等で外筒を形成し、外筒の内部に圧縮強度の大きな紙材や集成材等で形成された内筒を嵌挿する等、接合部に応じて種々の材質からなる外筒や内筒を組み合わせ機械的特性を補完することによって、接合部にかかるせん断,圧縮,引張,曲げ等の様々な応力に抗することができ接合部の信頼性に優れ、資源の有効利用性に優れる。
(2)中空部を有する天然の竹材を棒状部材として利用する場合、中空部の径が大きいと接着剤の注入時間や注入量が大きくなり施工や接着剤のコストが大きくなるという問題があるが、天然の竹材を外筒としてその中空部内に小径の中空部を有する内筒を嵌挿することで、棒状部材の中空部の径を小さくすることができ接着剤の注入時間を短くし注入量を少なくすることができ、生産性に優れる。
(3)また、中空部の外径を小さくし棒状部材を中実に近づけることができるので、せん断強度に優れる。
(4)さらに、中空部の外径寸法を揃えることができ、その外径寸法にあった口径を有する接着剤注入用ノズルを用意すればいいので、接着剤注入の際の作業性に優れる。
【0014】
ここで、外筒と内筒は、構造部材内で接着剤によって構造部材とともに一体的に接着されるので、多様な接合方法及び接合状態を用いることができ、例えば接着,嵌入,紐等で緊縛等されて接合される。
【0015】
前記中空部に代えて、前記棒状部材の外周の長手方向に一端部又はその近傍の所定部から他端部又はその近傍の所定部にかけて形成された凹部と、前記凹部に一端部が前記棒状部材の端部又は所定部近傍で開口し他端部が前記棒状部材の他端部又は所定部から所定長さ延設されて嵌合されるパイプ状部と、を備えた構成によって、以下のような作用が得られる。
(1)棒状部材の外表面にパイプ状部の当接用又は嵌合用の凹部を形成するだけなので、極めて簡単に接合具を作ることができる。
(2)接合場所に応じたパイプ状部を選定できるので、施工性及び施工の自由性を向上又は拡大することができる。
【0016】
ここで、パイプ状部は管状物からなり、木材や竹材、集成材や積層材、若しくは紙材、又はそれらの組み合わせからなる材質で形成される。
また、パイプ状部の形状としては、断面が丸型,三角・四角形等の多角型,カマボコ型等に形成される。パイプ状部の表面にも棒状部材と同様に凹凸部や粗面部等を形成してもよい。接着剤のバッファとしての機能や、アンカー効果を付与し接着強度を向上させる機能が得られるからである。
また、棒状部材とパイプ状部とは、構造部材内で接着剤によって構造部材とともに一体的に接着されるので、多様な接合方法及び接合状態を用いることができ、例えば接着,嵌入,紐や針金等の紐状物で巻着等されて接合される。
なお、パイプ状部の内壁は接着剤の流入抵抗を軽減化させるため鏡面化仕上げをするのが好ましい。
【0017】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の接合具であって、前記中空部の一開口部に、又は、前記中空部の長手方向の所定部に軸方向に略直交して穿設された孔部に、管状物からなる枝管が固着された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)継手、仕口の接合部に挿着された棒状部材の中空部やパイプ状部へ構造部材の外側から接着剤を容易に注入することができ、作業性と接合の信頼性に優れる。
(2)施工場所に応じて枝管を適宜用いることにより、棒状部材の中空部やパイプ状部へ接着剤を容易に注入することができ汎用性に優れる。
(3)構造部材が集成材や積層材若しくは木材である場合に枝管を木材や竹材等で形成すると、枝管と構造部材との熱膨張差がゼロに等しくなり、枝管を構造部材内に封入した場合でも熱膨脹差による接合部への負荷が加えられず信頼性に優れる。
【0018】
ここで、枝管の外径は棒状部材やパイプ状部と略同一か又はそれより小さく形成される。枝管と棒状部材若しくはパイプ状部とは、枝管を棒状部材若しくはパイプ状部に形成した螺孔に螺着する、枝管と棒状部材若しくはパイプ状部とを当接させて接着剤で接着する、棒状部材若しくはパイプ状部に穿設された孔部に枝管を嵌入する、棒状部材若しくはパイプ状部の端部に嵌着溝部を備えた枝管を嵌合する等の方法で固着又は脱着自在に固定される。また、金型内で加圧成形等を行って一体物として形成してもよい。
また、枝管の形状としては、断面が丸型,三角・四角形等の多角型等に形成される。枝管の表面にも棒状部材と同様に凹凸部や粗面部等を形成してもよい。接着剤のバッファとしての機能や、アンカー効果を付与し接着強度を向上させる機能が得られるからである。
また、枝管の材質としては、木材や竹材、集成材や積層材、若しくは紙材、又はそれらの組み合わせからなることが好ましいが、枝管が棒状部材やパイプ状部に脱着自在に固着されている場合は、金属や合成樹脂で枝管を形成しても良い。接着剤の注入を終えた後に棒状部材やパイプ状部から金属製や合成樹脂製の枝管を取り外せば、構造部材内に枝管が残留しないからである。
さらに、枝管の一端部にドライバー等の嵌挿されるスリット状又は十字状等の溝部を形成しておき、他端部を棒状部材やパイプ状部に螺設された孔部に螺着しておくと、接着剤注入後に棒状部材やパイプ状部から枝管を取り外すときに、ドライバー等で容易に取り外すことができ利便性に優れる。また、枝管の外周面に複数の環状の溝部を形成しておくと、構造部材に形成された連通孔や枝管挿着部から突出した枝管を、接着剤注入後に溝部から折り曲げて除去することができ利便性に優れる。なお、枝管の内壁は接着剤の流入抵抗を軽減化させるため鏡面化仕上げをするのが好ましい。
【0019】
棒状部材の表面の全部又は一部に凹凸部や粗面部が形成された構成により、以下のような作用が得られる。
(1)棒状部材の表面に形成された凹凸部は、棒状部材の他端部等から流出した接着剤のバッファとして機能し、接着剤が棒状部材の外表面と構造部材に設けられた連通孔の周壁との間に充填し接着面積を広げるとともにアンカー効果を付与し、接合具と構造部材との接着強度を向上させ接合性と信頼性に優れる。
(2)棒状部材の表面に形成された粗面部は、棒状部材の外表面と接着剤との接着強度を向上させるアンカー効果を付与し、接合具と構造部材との接着強度を向上させ接合性と信頼性に優れる。
(3)粗面部を棒状部材の表面の油脂膜を除去する化学的処理等によって形成すると、接合具と構造部材との接着強度を向上させるとともに、虫やカビによる生物劣化の原因であるといわれている木材中の糖等の養分も取り除くことができるため、接合具の生物劣化を抑制でき耐久性に優れる。
(4)棒状部材の表面の油脂膜を除去した粗面部は、接着剤の種類によっては棒状部材と接着剤の親和性を高め接合性に優れる。
【0020】
ここで、凹凸部としては、連続状や非連続状のランダムな凹凸部又は螺旋状の規則的な凹凸部等が形成される。
なお、用途や接着剤の種類や粘度に応じて、接着剤が棒状部材の表面と連通孔の周壁間に良好に充填されるように、螺旋状等の凹凸部の幅や深さや数量を変えることができる。
【0021】
ここで、凹凸部や粗面部を形成する方法としては、鋸,旋盤,サンドブラスト,グラインダー,サンダー等を使って凹凸部や粗面部を形成する機械的方法、アルカリ性又は酸性の水溶液中に浸漬又は水溶液中で煮沸する化学的方法、紫外線照射処理等の方法等の1乃至複数の方法が用いられる。
このうちサンドブラストは、任意の部分に選択的に細砂等を吹き付けて凹凸部や粗面部を形成することができ、また、細砂等の粒度や材質等,吹き付ける強さ等を選択することで凹凸部や粗面部の大きさや粗さを変えることができるので、好ましく用いられる。
また、アルカリ性の水溶液中で煮沸する化学的方法は、外表面と接着剤との接着強度を向上させるアンカー効果を付与する粗面部を形成できるとともに、木材や竹材等の虫やカビによる生物劣化の原因であるといわれている糖等の養分も取り除くことができ防虫・防菌効果を付与するため、好ましく用いられる。木材や竹材等の柔細胞中に含まれる遊離糖分やデンプン等は、高湿度環境下での平衡含水率を高めカビ等の菌類や害虫による生物劣化の原因となるからである。
なお、紫外線照射処理は、木材や竹材等表面の美観や質感を比較的損なわずに、均質に表面の油脂膜層を除去して粗面部を形成することができるので、好ましく用いられる。
【0022】
前記棒状部材,前記パイプ状部,前記枝管の少なくとも1以上の少なくとも表面に防虫処理,防腐処理,防菌処理,若しくは難燃処理,又はそれらの組み合わせからなる処理が施された構成により、以下のような作用が得られる。
(1)カビ等の菌類や害虫による生物劣化による接合具の強度劣化や腐食による強度劣化、延いては構造部材の接合部の強度劣化を防止でき信頼性と耐久性に優れる。
(2)竹材は、生物劣化の原因となる柔細胞中に含まれる遊離糖分やデンプン等の量が木材よりも多いので、高湿度環境下での平衡含水率が高くなり生物劣化が起こりやすいため、防虫,防菌,防腐処理は効果的で信頼性と耐久性に優れる。
(3)木材や竹材等は燃焼性を有するので、難燃処理を施すと火災の際にそれらからなる接合具が燃焼して接合部の強度低下が起こるのを抑制することができ、安全性に優れる。
【0023】
ここで、防腐処理に使用される薬剤としては、クレオソート油等の油状防腐剤、トリブロモフェノール,3−ヨード−プロビニルブチルカルボナート,ナフテン酸銅等の油溶性防腐剤、CCA防腐剤等の水溶性防腐剤、乳化性防腐剤等が用いられる。
また、防虫処理に使用される薬剤としては、8ホウ酸ナトリウム4水和物等のホウ素化合物、カルバリル,プロポクスル等のカーバメート系化合物、パーメスリン,サイパメスリン等のピレスロイド系化合物、クロルピリホス等の有機リン系化合物等が用いられる。
さらに、防菌処理としては、乾燥により木材や竹材等に含まれる水分含有率を繊維飽和点(25〜30%)以下にする方法等が用いられる。さらに、水分の除去された繊維の間にフェノール樹脂を含浸させると、防虫効果も同時に得られるため好ましい。
また、難燃処理としては、H3BO3等の無機系ホウ素化合物を木材や竹材等に注入,浸漬等を行うものが用いられる。
木材や竹材等からなる接合具にこれらの薬剤を塗布,吹き付け,浸漬等の表面処理を行うことによって少なくとも表面が、薬液に浸す拡散処理や温冷浴処理、あるいは減圧,加圧処理等を行うことによって表面及び内部が防虫処理,防腐処理,防菌処理,難燃処理がなされる。
なお、防虫処理や防腐処理としては、上述の処理方法以外に、沸騰水中で煮沸する熱水処理、水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液中で煮沸するアルカリ処理、酢酸を沸騰させて発生した蒸気を140℃程度に保った反応管内に置いた接合具と反応させた後に接合具内に残留した酢酸を恒温高湿器内等で除去し乾燥させるアセチル化処理等も用いられる。
【0024】
本発明の請求項3に記載の構造部材間の接合構造は、仕口や継手接合される集成材や積層材若しくは木材、又はコンクリートや石材等からなる縦横の構造部材と、前記構造部材間の当接面を介して前記縦構造部材の外周面から前記横構造部材に穿設された連通孔と、前記連通孔に挿着された請求項1又は2に記載された接合具と、前記接合具の前記中空部の一端部、又は前記中空部と連通された前記枝管の開口部から注入され前記中空部の他端部から流出し少なくとも前記棒状部材の表面と前記連通孔の周壁間に略充填された接着剤と、を備えた構成を有している。
また、本発明の請求項4に記載の構造部材間の接合構造は、仕口や継手接合される集成材や積層材若しくは木材、又はコンクリートや石材等からなる複数の構造部材と、前記構造部材間の当接面に一対に穿孔される連通孔及び前記当接面を切削して形成された枝管挿着部と、前記連通孔や前記枝管挿着部に挿着された請求項2に記載された接合具と、前記枝管の開口部から注入され前記中空部若しくは前記パイプ状部の少なくとも一端の開口部から流出し少なくとも前記棒状部材の表面と前記連通孔の周壁間に略充填された接着剤と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)構造部材間に挿着された接合具は、酸化を起こさず、膨張率も木材や集成材等とほぼ同じであるため、酸化や熱膨張差による体積の膨張収縮によって接合部に損傷を与えることがないため、施工時に接合具の表面を完全に覆うことができ、かつ、熱膨張差を緩和することができるような接着剤の選定や充填方法に留意しなくても、作業性や信頼性に優れる接合構造を得ることができる。
(2)接合具や接着剤が構造部材内に収納されるため、紫外線による接着剤の劣化を防止することができ信頼性に優れる。
(3)接合具として植物系の天然材を用いているので、家屋等の解体時にノコギリ等で接合部を容易に切断でき、構造部材の再利用性に優れる。
【0025】
ここで、構造部材としては角柱等の材木や集成材又は積層板等の木材製の柱,梁,壁等、コンクリートや石材等が用いられる。
また、連通孔は接合具の形状に合わせて複数の構造部材間の当接面に1乃至複数穿孔され、その径は接合具の棒状部材の最大径と略同一か少し大きめに形成され、その深さは少なくとも収納される接合具の長さよりも少し深めに形成される。接着剤の接合具と連通孔の周壁部間への流動を容易にするためである。連通孔や枝管挿着部の形成は現場でドリル等で穿孔や切削等するか、又は工場でプレカット方式等で予め形成してもよい。連通孔は施工場所に応じて当接面に対し略垂直、斜交、平行等に形成されるが、構造部材間に働く応力に対し斜交状等に形成することにより接着剤の接合力を最大限に生かすことができる。
なお、連通孔の周壁に凹凸面を形成すると、棒状部材の他端部等から流出した接着剤のバッファとして機能し、接着剤が棒状部材の外表面と構造部材に設けられた連通孔の周壁との間に充填し接着面積を広げるとともにアンカー効果を付与し、接合具と構造部材との接着強度を向上させ接合性と信頼性に優れるため好ましい。
また、連通孔の周囲の当接面に接着剤を塗布しておくと構造強度を更に向上させることができるので好ましい。連通孔に接着剤の注入を終了した後には込栓又は埋木等で覆設し面一にするかパテ等で補修して仕上げ面を美麗にすることができる。
【0026】
ここで、接着剤としては、ユリア樹脂系接着剤,メラミン樹脂系接着剤,レゾシノール樹脂接着剤等のフェノール樹脂系接着剤,エポキシ樹脂系接着剤,ビニルウレタン接着剤,ポリ酢酸ビニル接着剤,エチレン−酢酸ビニル共重合接着剤等のなかから、棒状部材と構造部材の材質に応じて適宜選択される。
また、接着剤は、必要に応じて2段注入や加圧注入等を行うのが好ましい。木材や集成材等の種類によっては接着剤が吸収され、接着剤の量が不足し接着力が低下するのを防止するためである。
さらに、接着剤の種類を選択してプライマー処理を施すと、棒状部材と接着剤、構造部材と接着剤の各々の親和性を高め接合性に優れる。
【0027】
仕口や継手接合される集成材や積層材若しくは木材、又はコンクリートや石材等からなる複数の構造部材と、前記構造部材間の当接面を介して一対に穿孔された連通孔と、前記連通孔に挿着された断面が略円形、略楕円形又は略多角形のいずれかであって、スギ、ヒノキ、カシ等の木材、マダケ、ネザサ等の竹材、集成材や積層材、若しくは紙材、又はそれらを組み合わせて直線状又は折曲状等の形状に形成された棒状部材と、前記連通孔の両端部付近に前記構造部材の外表面から連通して穿設された2箇所の接着剤充填用孔部と、前記接着剤充填用孔部の1箇所から注入され前記接着剤充填用孔部の他の個所から流出又は視認され少なくとも前記棒状部材の表面と前記連通孔の周壁間に略充填された接着剤と、を備えた構成により、一方の接着剤充填用孔部から注入された接着剤が他の接着剤充填孔部から流出することにより接着剤の充填が確認できるとともに、接着剤の充填斑を防止できるという作用が得られる。
【0028】
断面が略円形、略楕円形又は略多角形のいずれかであって、スギ、ヒノキ、カシ等の木材、マダケ、ネザサ等の竹材、集成材や積層材、若しくは紙材、又はそれらを組み合わせて直線状又は折曲状等の形状に形成された棒状部材と略同径乃至少し大きめの連通孔を形成する一対の孔部を集成材や積層材若しくは木材、又はコンクリートや石材等からなる複数の構造部材の当接面の所定部に各々穿設する工程と、前記構造部材の前記当接面を除く外表面から各々の前記孔部の端部付近に連通する接着剤充填用孔部を穿設する工程と、前記工程で穿設された各々の前記孔部に前記棒状部材を挿着し各構造部材を当接させる工程と、1の前記接着剤充填用孔部から接着剤を注入し他の前記接着剤充填用孔部から流出又は視認され少なくとも前記棒状部材の表面と前記孔部の周壁間に接着剤を充填させる工程と、を備えた構成により、孔部間に接合具を挿着し、接着剤充填孔部から接着剤を充填し、他の該充填孔から接着剤の流出を確認するだけで接合できるので接合作業の作業性を向上できるという作用が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1における接合具の斜視図であり、図2は図1のA−A線の断面の要部端面図であり、図3(a)〜(f)は図1のB−B線の断面の要部端面図である。
図1,図2において、1は本実施の形態1の接合具、2はスギ、ヒノキ、カシ等の木材、マダケ等の竹材の繊維方向に平行に切断して形成した小角材やひき板をその繊維方向を互いに平行にして中空円柱状に集成接着した集成材からなる棒状部材、3はフラット状に形成された棒状部材2の端部、4は棒状部材2の中央部長手方向の両端が開口した接着剤流入用の中空部、5はサンドブラスト等で粗面部が形成された棒状部材2の表面、6は棒状部材2の中央部に螺着または嵌入接着された竹材や木材製の枝管、7は枝管6に形成された棒状部材2の中空部4と連通する枝管中空部、4aはフラット状に形成された端部3に中空部4と連通してスリット状に形成された接着剤案内部である。
図3の(a)はスギ、ヒノキ、カシ等の木材、マダケ、ネザサ等の竹材のひき板又は小角材をその繊維方向を互いに平行にして中空円柱状に集成接着して形成された棒状部材であり、(b)は木材や竹材の表面から連続的に剥ぎ取って形成したシート状の木材や竹材等の薄板を巻回し接着して中空部が形成され断面形状が略円形の棒状部材であり、(c)は天然の竹材からなる外筒2a内にシート状の紙材等を中空状に巻回して接着して形成された内筒2bを嵌挿して形成された棒状部材であり、(d)は木材、竹材、ひき板又はこれらや集成材の小角材を集成し加熱接着して形成された集成材からなり断面形状が略楕円形の棒状部材であり、(e)は破砕された小片に接着剤及び熱を加えてパーティクルボード状に成形した断面形状が略四角形の棒状部材であり、(f)は竹材の中空部を押しつぶすように圧縮成形された単板の繊維方向をそろえて積層接着した断面形状が略円形に成形された棒状部材、(g)は積層材を八角形状に圧縮集成し接着して形成した棒状部材である。
【0030】
以上のように構成された本実施の形態1の接合具について、以下その棒状部材の製造方法を図面を用いて説明する。なお、棒状部材の製造方法は、これらの方法に限られるものではない。
図4及び図5は本実施の形態1における接合具の棒状部材の製造方法を示す斜視図であり、図4(a)は集成材や積層板等に断面形状が略V字形の溝を形成した状態を示す斜視図であり、図4(b)は溝が形成された集成材や積層板等を巻き回して得られた中空部を有する棒状部材の斜視図であり、図5(a)は集成材や積層板等に断面形状が半円形の溝を形成した状態を示す斜視図であり、図5(b)は溝が形成された集成材や積層板等を接着した状態を示す斜視図であり、図5(c)は接着された集成材や積層板等を切断して外周面を研削して得られた棒状部材の斜視図である。
図4(a)(b)において、2cは木材、竹材、ひき板又はこれらや集成材の小角材を集成し加熱接着して形成された集成材や積層板等の板状部材、2dは板状部材2cの一面に所定間隔をあけて板状部材2cの短辺方向と略平行に長辺の端面に渡って形成された断面形状が略V字形のV溝、2d´は板状部材2cの短辺の端面に形成されV溝2dの一面と略平行に形成された斜面、2eはV溝2dや斜面2d´が形成された板状部材2cから形成された中空部を有する棒状部材である。
まず、板状部材2cの一面に所定間隔をあけてV溝2dを複数形成し、短辺の端面には斜面2d´を形成し、V溝2d及び斜面2d´にポリウレタン樹脂系やポリエステル系の接着剤を塗布する。次いで、V溝2dや斜面2d´が当着されるように板状部材2cを巻き回しV溝2d及び斜面2d´を接着して中空部を有する棒状部材2eが得られる。
中空部をドリル等で穿孔して形成すると竹繊維等のササクレができ易く内壁面の平滑性に劣るが、この方法によれば板状部材の一面が中空部の内壁面を構成するため研磨や修正が容易で鏡面が得易く、内壁面の平滑性に優れた中空部を有する棒状部材を得ることができる。また、板状部材の厚みやV溝の角度を変えることで、棒状部材の口径の制御が容易である。
【0031】
図5(a)(b)(c)において、2fは木材、竹材、ひき板又はこれらや集成材の小角材を集成し加熱接着して形成された集成材や積層板等の板状部材、2gは板状部材2fの一面に所定間隔をあけて板状部材2fの短辺方向と略平行に短辺方向に渡って形成された断面形状が略半円形の半円溝、2hは板状部材2fの一面に形成された半円溝2g間に形成された接着面、2iは接着された一対の板状部材2fから切断及び研削されて形成された棒状部材である。
まず、一対の板状部材2fの一面に所定間隔をあけて半円溝2gを複数形成する。次いで、接着面2hにポリウレタン樹脂系やポリエステル系の接着剤を塗布し、一対の板状部材2fを接着する。完全に接着された後、接着面2hと略垂直に切断し外周面を研削して円筒状の棒状部材2iが得られる。
この方法によれば、半円溝を形成する際に発生する竹繊維等のササクレの修正や研磨が容易で鏡面が得易く、内壁面の平滑性に優れる中空部を有する棒状部材を得ることができる。また、製造方法が簡便で量産性に優れる。
【0032】
次に、本実施の形態1における接合具について、以下その接合構造を図面を用いて説明する。
図6は実施の形態1における接合具を用いた突付け継ぎ接合構造を示す構成図であり、図7は突付け継ぎ接合構造を示す要部正面図であり、図8は突付け継ぎ接合構造を示す図7のC−C線断面図である。
図6乃至図8において、8,8´は突付け継ぎ加工をした木材や集成材等で形成された柱や梁、桁等の構造部材、9,9´は構造部材8,8´の端部の当接面、10,10´は接合具1の棒状部材2を挿着する構造部材8,8´に形成された各一対の孔部、11は孔部10,10´が当接して形成され接合具1の棒状部材2が挿着され埋設される連通孔、11´は螺旋状に凹凸部が形成された連通孔11の周壁、12は当接面9に構造部材8の端部外周面から孔部10にかけて溝状に形成された接合具1の枝管6を装着する枝管挿着部、12´は枝管装着部12の周壁、13は構造部材8と同一の材質で作成され枝管挿着部12に覆設され仕上げ処理に構造部材8の表面と面一に挿入される込栓、14は連通孔11の周壁11´及び枝管挿着部12の周壁12´と接合具1の表面との間に充填された接着剤である。
【0033】
以上のように構成された本実施の形態の接合具について、以下その接合方法を図面を用いて説明する。
図9は接着剤の流れを模式的に示した図7のC−C線の断面図である。
図9において、まず、構造部材8、8′に接合具1の棒状部材2より少し太めの径とそれより少し深めの長さを有した孔部10,10´を各ドリル等で穿孔する。次に、接合具1を孔部10及び枝管挿着部12に挿着し、次いで、構造部材8′の当接面に必要に応じて接着剤を塗布した後、孔部10´に接合具1の他端側を挿着させ、構造部材8,8'の各当接面9,9´を衝合させる。次いで外見から見え難い部分に仮釘打ちやビス等で接合部が離れないように保持した後、枝管6の枝管中空部7から接着剤14としてポリウレタン樹脂系やポリエステル系の接着剤をカートリッジガン(図示せず)を用いて、枝管6の周壁と枝管挿着部12の周壁12´との間から接着剤14が視認できるか溢出するまで注入する。次いで、枝管挿着部12に込栓13又はウッドパテ等のシーリング処理を行う。接着剤14が硬化した後に必要に応じて仮釘やビスを除去する。
【0034】
以上のように構成された接合具及び接合方法について、以下その接合構造を説明する。
図8及び図9において、接着剤14は矢印に示すように枝管6の枝管中空部7から注入され、枝管中空部7及び中空部4の空気を追い出しながら接着剤が流入し、連通孔11内に中空部4の端部から連通孔11の底部に流出し、空気を追い出しながら底部に充填される。次いで、中空部4を通り棒状部材2の表面5と連通孔11の周壁11´の間の隙間を充填していく。この際、連通孔11の周壁11´には螺旋状に凹凸部が形成されているので、凹凸部のバッファ効果により接着剤14のチャンネリングやショートパスが防止され、棒状部材2の表面5と連通孔11の周壁11´の間の隙間にほとんど洩れなく接着剤14が充填される。更に接着剤14の注入を続けると接着剤14が枝管6の外表面と枝管挿着部12の周壁12´の隙間を充たしながら上昇してくるのが枝管挿着部12の外部から視認できるので充填斑を防止できる。なお、棒状部材2の表面5には粗面部が形成されているので、接着剤14の硬化後は粗面部のアンカー効果により、接着剤14と接合具1との強固な接合が得られる。
【0035】
ここで、本実施の形態では突付け継ぎの場合を説明したが、大込れ継ぎ加工や相欠け継ぎ加工等も同様に行うことができる。また、構造部材として角板を重ね合わせ接合具を斜交状に挿着接合すれば、機械的強度に優れた大断面の角材を製造することができる。生産量が少なく入手が困難な大断面の角材も容易に製造することができ、日曜大工や家具、玩具、看板等の製造にも用いることができる。
【0036】
以上のように本実施の形態1の接合具及び接合部材間の接合構造は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)接合具が木材又は紙材からなるので、木造建造物の接合は、木材又は紙材との親和性だけを考慮した接着剤を選択すればよいため、接合を容易に行うことができ、機械的強度の高い接合構造を得ることができる。
(2)棒状部材の長さや口径及び本数を変えることにより多様な長さ及び大きさの木造構造物の接合ができる。
(3)接合部に埋設された接合具は酸化を起こさず膨張率も木材等の構造部材とほぼ同じであるため、接合具の酸化や構造部材と接合具との熱膨張差による体積膨張によって接合部に損傷を与えることがなく、施工条件に左右されない信頼性の高い接合構造を得ることができる。
(4)接合された構造部材を当接面で切断して再利用する場合でも接合具の酸化等の問題が発生しないため、接合具が埋設されたままで構造部材を再利用できるため、再利用性と省資源性に優れる。
(5)当接面の角度を自由に設定できるため、略多角形,略円弧状に接合された構造部材を容易に得ることができ、デザイン性に優れる構造部材間の接合構造を得ることができる。
【0037】
(実施の形態2)
図10は本実施の形態2の接合具の断面図であり、図11は本実施の形態2の接合具を用いた柱の根継ぎ接合の施工時の構成図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1aは図3で説明したのと同様の形状,材料で作製された実施の形態2の接合具、2jは天然の竹材からなり一端部に節を有する外筒内にシート状の紙材等を中空状に巻回して接着して形成された内筒を嵌挿して形成され一端部で開口する中空部4を有する断面略円形の棒状部材、6aは棒状部材2jの他端部側の側面に穿設され中空部4と連通する孔部に嵌着された枝管で、枝管6aの外周面に複数の環状の溝部6bが形成されている。8aは柱等からなる構造部材、8bは根つぎ用の束柱等からなる構造部材、10aは構造部材8aに丸孔状に形成された連通用の孔部、21は構造部材8bに形成された埋木溝、22は接合具1aの枝管6周りの空間を残して構造部材8bの壁と密着して埋木溝21の中に挿着され孔部10aと連通孔を形成し接合具1aを埋設する埋木、23は束石である。
【0038】
以上のように構成された実施の形態2の接合具について、柱と束柱の継手接合における接合方法を以下説明する。
まず、構造部材8aに接合具1aの棒状部材2jの略半分を埋設する連通用の孔部10aを穿孔し、構造部材8bには接合具1aの棒状部材2jの略半分及び枝管6aの一部を埋設する埋木溝21を穿設する。構造部材8aの連通用の孔部10aに接着用治具1aの棒状部材2jを差し込む。構造部材8bを構造部材8aと束石23の間に真横から接着用治具1aを傷めないように入れ、接合具1aの棒状部材2jの略半分及び枝管6aの一部を埋木溝21に挿着し、埋木22の両側部等に接着剤を塗付して埋木溝21内にたたき込む。仮釘で構造部材8aと構造部材8bを固定して枝管中空部7より接着剤を注入し枝管6aと埋木溝21の開口壁面から接着剤が溢れるのを視認した後、構造部材8bから突出した枝管6aを外周面に複数形成された環状の溝6bで折り取り、埋木22と構造部材8bの隙間を栓材又はシーリング材で補修する。
【0039】
以上のように本実施の形態2の接合具及び接合構造は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)接合具挿着用の開きがとれない場所でも、例えば埋木用の溝を座堀りする等して容易に部材間の接合を行うことができる。
(2)例えば床下等の柱や束材等の一部が腐食して健全な部分はそのまま残して腐食した部分のみを交換する根継ぎ接合をする場合に、従来のように腐食した部分を切断除去した後に健全な部分のジャッキアップをするという工法をとることなく、根継ぎ用の構造部材で健全な部分を受けながら腐食した部分を切断除去する工法をとることができ作業性に優れる。
【0040】
(実施の形態3,4)
図12は本実施の形態3,4における接合具の断面図であり、図13は大入れ接合の施工時の構成図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
1bは本実施の形態3の枝管を有さない接合具、1cは本実施の形態4の一端部に枝管が係合された接合具、2k,2lは接合具1b,1cの両端に開口部を有する棒状部材、3aは膨出状に形成された棒状部材2k,2lの端部、3bは凹状に形成された棒状部材2kの端部、3cはフラット状に形成された棒状部材2lの端部、6bは端部3cへの嵌着溝部6b´を一端側に備えた枝管である。8cは大梁や妻梁等からなる構造部材、8dは桁等からなる構造部材、10bは構造部材8cに貫通して形成された孔部、10cは構造部材8dに形成された孔部、11aは孔部10b,10cが当接された連通孔で、連通孔11aの長さは接合具1b,1cと込栓(図示せず)の長さになるように形成されている。9aは構造部材8c,8dの各当接面、24は構造部材8cに形成された大入れ用の欠け部、25は構造部材8dに形成された大入れ用のほぞ部である。
【0041】
以上のように構成された実施の形態3,4の接合具を用いた大入れ接合における接合方法を以下説明する。
構造部材8c,8dを当接面9aにて当接させた後、構造部材8cの外周面から当接面9aに向けて孔部10b,10cを穿設し連通孔11aを形成する。次いで、構造部材8cの連通孔11aの開口部(孔部10bの開口部)から接合具1b,1cの端部3aを孔部10bを貫通して孔部10cに挿着する。次いで、接合具1bの端部3b又は接合具1cの枝管6bから中空部4へ接着剤を注入し端部3aから返流して注入側に溢れるのを視認した後、枝管6bを封入した後、もしくは枝管6bを外した後、開口部を込栓(図示せず)等で補修する。
【0042】
なお、本実施の形態では大入れ接合における接合構造について説明したが、突付け継ぎ接合等の場合もある。また、構造部材として平板を複数枚重ね合わせ、接合具を斜交状に挿着接合すれば、機械的強度に優れた極めて長い積層角柱や板材を製造することができ、日曜大工でも長大スパンの桁や梁等を製造することができる。これらの積層角柱や板材は、家具、玩具や看板等の製造や接合にも用いることができる。
【0043】
以上のように本実施の形態3,4の接合具及び接合構造は構成されているので、以下のような作用を有する。
(1)大梁や妻梁と桁や通し柱等の接合を従来のようにほぞやかま継ぎ、あり継ぎ等の複雑な仕口加工をすることなしに構造強度に優れ仕上がりの美麗な接合構造を得ることができる。
(2)長ほぞを作成しないで構造部材間の接合ができるため、断面欠損を少なくすることができ、強固で安全な構造部材の接合構造を得ることができる。
【0044】
(実施の形態5,6)
図14は本実施の形態5における接合具の斜視図であり、図15(a)はその側面図であり、図15(b)はその端部の要部斜視図であり、図16は棒状部材に形成された凹部の形状を示す断面端面図であり、図17は本実施の形態6における接合具の斜視図である。
図14,図15(a),図15(b)において、1dは本実施の形態5の接合具、2mは竹材の中空部を押しつぶすように圧縮成形された単板の繊維方向をそろえて積層接着した丸棒状の棒状部材、3dは膨出状に形成された棒状部材2mの端部、4bは端部3dに形成され凹部7a(後述する)と連通する溝状の接着剤案内部、7aは棒状部材2mの外周の端部から端部に渡って略U字状に穿設された凹部、7bは一端部が棒状部材2mの端部3dに配設され他端部が棒状部材2mの端部より延設して凹部7aに嵌合され接着剤で接着固定されたパイプ状部である。
図16において、パイプ状部の形状や接着剤の種類や施工場所等に応じて、棒状部材2mに形成される凹部7aの形状は適宜選択される。
図17において、1eは本実施の形態6の接合具、2nは端部がフラット状に形成された竹材の中空部を押しつぶすように圧縮成形された単板の繊維方向をそろえて積層接着した丸棒状の棒状部材、7cは一端部が棒状部材2nの端部に配設され他端部が棒状部材2nの他端部よりわずかに延設して凹部に嵌合され線条物2n´で巻着され固定されたパイプ状部、6cはパイプ状部7cの一開口部に螺着された枝管である。
以上のように構成された本実施の形態5,6の接合具を用いた接合方法及び構造部材の接合構造は、実施の形態3,4で説明したものと同様のものなので説明を省略する。
【0045】
(実施の形態7)
図18は本実施の形態7における接合具の斜視図であり、図19はその一部の断面端面図である。
本実施の形態7の接合具1fが、実施の形態5や実施の形態6の接合具と異なるのは、棒状部材2oの凹部に嵌合され接着及び線条物2n´で巻着され固定されたパイプ状部7dの両端部が棒状部材2oの両端部で開口されている点と、管状物からなる枝管6dがパイプ状部7dの中心部に穿設された枝管用孔部7eに螺着されている点である。
以上のように構成された実施の形態7の接合具を用いた接合方法及び接合構造は、実施の形態1で説明したものと同様のものなので説明を省略する。
【0046】
(実施の形態8)
図20は本実施の形態8における構造部材の突付け継ぎ接合における接合構造を示す構成図であり、図21は接合部の断面模式図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、2pは外皮側の繊維を残し節を含まない複数の棒状に形成された竹材等の棒状部材、11bは孔部10,10’が連通して形成された連通孔、16,17は連通孔11bの両端部に構造部材8,8’の外周面から穿設して連通された接着剤充填用孔部である。なお、孔部10,10´を加えた長さが棒状部材2pの長さよりもわずかに長くなるように、孔部10,10´は穿孔されている。
【0047】
以上のように構成された本実施の形態8における構造部材の突付け継ぎ接合の接合方法を以下説明する。
構造部材8と構造部材8’の各々の当接面9,9’から、孔部10と孔部10´を穿孔し、連通孔11bの両端部に向けて構造部材8,8’の外周面から穿孔し接着剤充填用孔部16,17を形設する。孔部10に棒状部材2pの略半分を挿着した後、当接面9又は当接面9’に接着剤を塗布し、構造部材8’の孔部10´に孔部10から略半分が突出した棒状部材2pを挿着しつつ孔部10,10´が連通するように構造部材8と構造部材8’の当接面9,9’を当接させる。仮釘又はビス等で固定した後、構造部材8の接着剤充填用孔部16から接着剤を注入し構造部材8’の接着剤充填用孔部17から溢れるのを視認した後、注入口を込栓(図示せず)等で補修する。
【0048】
ここで、棒状部材2pとして竹材を用いた場合は、外皮側の繊維を残し節を含まない複数の棒状に形成されたものの場合を説明したが、節を含まない外皮側の繊維を残した管状の竹材を使用する場合もある。節を含まない竹を使用するのは、節を含む竹は節の部分で繊維が不連続となり、強度が低下するからである。また、外皮側の繊維を残した竹材を用いるのは、竹材は外皮側に近い部分の繊維の密度が高く強度が高いからである。なお、外皮に凹凸部や粗面部を形成する場合もある。
【0049】
以上のように本実施の形態8における接合構造及び接合方法は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)棒状部材として構造部材の材質よりも高剪断性(竹材は木材の約2倍の抗剪断性を有す)を使用するので、接合部の強度を著しく向上させることができる。
(2)棒状部材として植物系の天然材を用いているので、家屋等の解体時にノコギリ等で接合部を容易に切断でき、構造部材を再利用できる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の接合具を用いた接合部の接合強度試験について、試料の作成、試験結果の順に説明し、本発明を具体的に説明する。
(試料の作成)
まず、接合具を作成した。接合具は、実施の形態1に示した棒状部材の長手方向の中央部に枝管を螺着したもので、外径5mmφ、中空部の外径2mmφの枝管と、外径15mmφ、中空部の外径5mmφ、全長9cmの以下の(a)〜(d)に示す棒状部材とを備えたものである。
(a)自然の竹の節を落として所定の長さに切断したものについて、その表皮を#200のサンドペーパーで削り落とした棒状部材。
(b)自然の竹の節を落として所定の長さに切断したものについて、その表皮にグラインダーで、長手方向に略直交して深さ0.5mm、幅1.0mmの溝を5.0mm間隔に形成した棒状部材。
(c)自然の竹の節を落として所定の長さに切断したものについて、0.03%NaOH水溶液中で20分間煮沸したものをn−ヘキサン中で洗浄した後、紫外線照射処理を行った棒状部材。なお、紫外線照射処理は、紫外線照射装置(東芝電材製トラキュア4000)を用い、光源の水銀灯(4000W、出力80W/cm)から15cmの距離に置いた棒状部材に、光を15分間照射して行った。
(d)従来の接合具の構成である金属製の棒状部材。
次に、(a)〜(d)の棒状部材を有する接合具を用いて、図6に示すような構造部材の突付け継ぎ接合を行った。図6に示すような構造部材としては、10cm角の集成材を用い、当接面の中央部にドリルで各々φ18mm深さ5cmの孔部を穿孔した。さらに一方の構造部材の当接面に孔部と連通する枝管挿着部を形成した。この孔部中に上記(a)〜(d)の棒状部材からなる接合具を1本ずつ挿着し当接面を当接させ、接着剤としてA.H.C(ポリウレタン樹脂系接着剤、日本ポリウレタン工業(株)製)をカートリッジガンで充填し接合固定して試料とした。(a)(b)(c)(d)の棒状部材を有する接合具を用いて作成した試料を、各々(A)(B)(C)(D)と呼ぶ。なお、(A)(B)(C)は本発明の実施例、(D)は比較例である。
(試験結果)
作成した試料(A)〜(D)の引張試験を行った。図22は本試験における(A)〜(D)の最大耐力を示した図であり、図23は本試験における(A)(D)の荷重変位曲線を示した図である。
図22において、本発明の実施例(A)〜(C)は、比較例(D)とほぼ同じ最大耐力を示すことがわかった。また、図23において、実施例(A)は、比較例(D)とほぼ同じ約2mmの変形が起こるまで耐力を維持することがわかった。
この実施例から明らかなように、本発明の接合具により、従来の金属製の接合具で得られるのとほぼ同じ引張強度が得られることが明らかになった。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明の接合具及びそれを用いた構造部材間の接合構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)棒状部材が世界各地で生産され入手しやすく切削等の加工が容易な竹材からなるので、低原価で量産可能であり、日曜大工、家具、玩具等や看板等の接合にも容易に適用が可能となる接合具を提供することができる。
(2)棒状部材が金属と比べて軽量な竹材からなるので、製造者及び施工者が運搬する際の負担を小さくでき低原価で運搬可能であるとともに作業性に優れた接合具を提供することができる。
(3)棒状部材が竹材からなるので、構造部材が集成材や積層材若しくは木材である場合は棒状部材と構造部材との熱膨張差はゼロに等しいため、熱膨脹差による接合部への損傷はなく、熱膨脹差は考慮せずに親和性だけを考慮した接着剤を選択すればよいため、接着性に優れるとともに接合部の信頼性に優れた接合具を提供することができる。
(4)棒状部材が竹材からなるので、接合具を使って接合された構造部材を補修や再利用する際、接合具の挿着された接合面でノコギリ等で容易に切断することができ再利用性に優れた接合具を提供することができる。
(5)接合具を使って施工された構造部材を廃棄しなければならない場合であっても、竹材からなる接合具は容易に焼却できるので、焼却炉内に残留又は溶融することがなく焼却炉内及び大気を汚染せず環境保全性に優れた接合具を提供することができる。また、植物系素材を用いているので土壌中で分解され埋め立て可能で環境保全性に優れた接合具を提供することができる。
(6)棒状部材の長さ、口径、本数を変えることにより多様な長さ及び大きさの構造部材の接合ができ汎用性に優れた接合具を提供することができる。
(7)端材や鋸屑等の廃材や屑材も集成材や積層材として棒状部材の原料として使用できるため、竹材資源の有効利用ができ省資源性に優れるとともに、ゴミの排出量を減少させることができ環境保全性に優れた接合具を提供することができる。
(8)種類によっては形状や大きさが一定でないため棒状部材としてそのまま利用することができない竹材でも、竹の種類に応じて集成材や積層材に加工することで、一定の形状、大きさ及び品質の規格化された棒状部材を生産することができ生産性に優れた接合具を提供することができる。
(9)接合具を挿着する場所が限られている構造部材間の接合部であっても、棒状部材の中空部の開口部が一端部に設けられたもの又は両端部に設けられたものを必要に応じて選択して、構造部材間の接合をすることができ汎用性に優れた接合具を提供することができる。
(10)棒状部材の原料として植物系素材の竹材を用いているので、金属製や合成樹脂製の場合に生産時に発生する地球温暖化の一因となる二酸化炭素の発生を抑制するとともに、空気中の二酸化炭素を減らし二酸化炭素の固定化を図ることができ環境保全性に優れた接合具を提供することができる。
(11)竹材は引張強度や曲げ強度に優れるため、実用的な接合部の接合強度が得られ、また棒状部材を接合部に応じて種々の形状に形成することで、接合部に生じる曲げ,せん断,引張,圧縮の各応力に抗することができる接合具を提供することができる。
(12)棒状部材として構造部材の材質よりも高剪断性の竹材(竹材は木材の約2倍の抗剪断性を有す)を使用するので、接合部の強度を著しく向上させることができる。
【0054】
本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)継手、仕口の接合部に挿着された棒状部材やパイプ状部へ構造部材の外側から接着剤を容易に注入することができ、作業性と接合の信頼性に優れた接合具を提供することができる。
(2)施工場所に応じて枝管を適宜用いることにより、棒状部材やパイプ状部へ接着剤を容易に注入することができ汎用性に優れた接合具を提供することができる。
(3)構造部材が集成材や積層材若しくは木材である場合に枝管を木材や竹材等で形成すると、枝管と構造部材との熱膨張差がゼロに等しくなり、枝管を構造部材内に封入した場合でも熱膨脹差による接合部への負荷が加えられず信頼性に優れた接合具を提供することができる。
【0057】
本発明の請求項3、4に記載の発明によれば、
(1)構造部材間に挿着された接合具は、酸化を起こさず、膨張率も木材や集成材等とほぼ同じであるため、酸化や熱膨張差による体積の膨張収縮によって接合部に損傷を与えることがないため、施工時に接合具の表面を完全に覆うことができ、かつ、熱膨張差を緩和することができるような接着剤の選定や充填方法に留意しなくても、作業性や信頼性に優れた構造部材の接合構造を提供することができる。
(2)接合具や接着剤が構造部材内に収納されるため、紫外線による接着剤の劣化を防止することができ信頼性に優れた構造部材の接合構造を提供することができる。
(3)接合具として植物系の天然材を用いているので、家屋等の解体時にノコギリ等で接合部を容易に切断でき、構造部材の再利用性に優れた構造部材の接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における接合具の斜視図
【図2】図1のA−A線の断面の要部端面図
【図3】図1のB−B線の断面の要部端面図
【図4】(a)集成材や積層板等に断面形状が略V字形の溝を形成した状態を示す斜視図(b)溝が形成された集成材や積層板等を巻き回して得られた中空部を有する棒状部材の斜視図
【図5】(a)集成材や積層板等に断面形状が半円形の溝を形成した状態を示す斜視図
(b)溝が形成された集成材や積層板等を接着した状態を示す斜視図
(c)接着された集成材や積層板等を切断して外周面を研削して得られた棒状部材の斜視図
【図6】実施の形態1における接合具を用いた突付け継ぎ接合構造を示す構成図
【図7】突付け継ぎ接合構造を示す要部正面図
【図8】突付け継ぎ接合構造を示す図5のC−C線断面図
【図9】接着剤の流れを模式的に示した図5のC−C線の断面図
【図10】本実施の形態2の接合具の断面図
【図11】本実施の形態2の接合具を用いた柱の根継ぎ接合の施工時の構成図
【図12】(a)本実施の形態3における接合具の断面図
(b)本実施の形態4における接合具の断面図
(c)本実施の形態4における接合具の斜視図
【図13】大入れ接合の施工時の構成図
【図14】本実施の形態5における接合具の斜視図
【図15】(a)本実施の形態5における接合具の側面図
(b)本実施の形態5における接合具の端部の要部斜視図
【図16】棒状部材に形成された凹部の形状を示す断面端面図
【図17】本実施の形態6における接合具の斜視図
【図18】本実施の形態7における接合具の斜視図
【図19】本実施の形態7における接合具の一部の断面端面図
【図20】本実施の形態8における構造部材の突付け継ぎ接合における接合構造を示す構成図
【図21】接合部の断面模式図
【図22】本試験における(A)〜(D)の最大耐力を示した図
【図23】本試験における(A)(D)の荷重変位曲線を示した図
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d 接合具
2,2e,2i,2j,2k,2l,2m,2n,2o,2p 棒状部材
2a 外筒
2b 内筒
2c,2f 板状部材
2d V溝
2d´ 斜面
2g 半円溝
2h 接着面
2n´ 線条物
3,3a,3b,3c,3d 端部
4 中空部
4a,4b 接着剤案内部
5 表面
6,6a,6c,6d 枝管
6b 溝部
7 枝管中空部
7a 凹部
7b,7c,7d パイプ状部
7e 枝管用孔部
8,8’,8a,8b,8c,8d 構造部材
9,9’,9a 当接面
10,10’,10a,10b,10c 孔部
11,11a,11b 連通孔
11’,12´ 周壁
12 枝管挿着部
13 込栓
14 接着剤
16,17 接着剤充填用孔部
21 埋木溝
22 埋木
23 束石
24 欠け部
25 ほぞ部

Claims (4)

  1. 断面が略円形、略楕円形又は略多角形のいずれかであって外皮側の繊維を残したまま竹材の繊維方向に平行に切断して形成した小角材やひき板をその繊維方向を互いに平行にして集成接着した集成材からなる直線状又は折曲状の形状に形成された棒状部材又は外皮側の繊維を残したヒゴ状のストランドを集成接着して直線状又は折曲状の形状に形成された棒状部材と、前記棒状部材の軸方向の長手方向に形成され前記棒状部材の両端部又は一端部で開口する中空部と、を備えていることを特徴とする接合具。
  2. 前記中空部の一開口部に、又は、前記中空部の長手方向の所定部に軸方向に略直交して穿設された孔部に、管状物からなる枝管が固着されていることを特徴とする請求項1に記載の接合具。
  3. 仕口や継手接合される集成材や積層材若しくは木材、又はコンクリートや石材等からなる縦横の構造部材と、前記構造部材間の当接面を介して前記縦構造部材の外周面から前記横構造部材に穿設された連通孔と、前記連通孔に挿着された請求項1又は2に記載された接合具と、前記接合具の前記中空部の一端部、又は前記中空部と連通された前記枝管の開口部から注入され前記中空部の他端部から流出し少なくとも前記棒状部材の表面と前記連通孔の周壁間に略充填された接着剤と、を備えていることを特徴とする構造部材間の接合構造。
  4. 仕口や継手接合される集成材や積層材若しくは木材、又はコンクリートや石材等からなる複数の構造部材と、前記構造部材間の当接面に一対に穿孔される連通孔及び前記当接面を切削して形成された枝管挿着部と、前記連通孔や前記枝管挿着部に挿着された請求項2に記載された接合具と、前記枝管の開口部から注入され前記中空部若しくは前記パイプ状部の少なくとも一端の開口部から流出し少なくとも前記棒状部材の表面と前記連通孔の周壁間に略充填された接着剤と、を備えていることを特徴とする構造部材間の接合構造。
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