JP4734383B2 - 広帯域アンテナ - Google Patents

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本発明は、線状導体と平面導体を有し、多共振化および広帯域化が可能な広帯域アンテナに関する。
(背景技術1)
広帯域のアンテナ装置がある(例えば、特許文献1の図10参照。)。この特許文献1のアンテナ装置は、地板6の面と平行に平面状のマイクロストリップアンテナ42が併設され、このマイクロストリップアンテナ42の一端にモノポールアンテナ1の一端を接続した構成となっている。このアンテナ装置は単一共振であり、モノポールアンテナ1の長さは、共振周波数の波長の約半波長である。平面状のマイクロストリップアンテナ42の長さaも約半波長である。平面状のマイクロストリップアンテナ42の幅bを大きく取れば、アンテナの電気的体積が大きくなるため広い帯域幅を得ている。
(背景技術2)
多共振の平面多重アンテナがある(例えば、特許文献2の図5参照。)。この特許文献5の平面多重アンテナは、矩形導体パターン43と線状のU字状導体パターン45を有し、矩形導体パターン43は、グランド基板導体49と同一平面上に配置される。この平面多重アンテナは多共振であり、U字状導体パターン45全体で電流が共振するときの周波数である第1の共振周波数f1と、U字状に形成された部分の内側が共振するときの周波数である第2の共振周波数f2(f1<f2)とを有している。
特開2002−64324号公報(第7頁、段落番号0096〜0102、図10) 特開2005−94501号公報(第4〜5頁、段落番号0021、0022、0031〜0033、図5)
背景技術1の平面アンテナにおいては、広帯域化を実現しているが、多共振化を実現できていない。背景技術2の平面多重アンテナにおいては、多共振の共振周波数は、U字状導体パターン45の全体および内側の部分の長さで決まるが、広帯域化するための具体的な記載がない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、広帯域化かつ多共振化を実現できる広帯域アンテナを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の広帯域アンテナは、第1の辺を有してなる地板と、前記地板のなす面と略同一の面内にあって、互いに交差する第2の辺及び第3の辺を有する多角形をなし、前記第2の辺及び前記第3の辺が交差する一角に給電点が設けられてなると共に、前記第2の辺及び前記第3の辺が前記第1の辺にそれぞれ対向及び略直交する向きに配設された平面導体と、前記地板のなす面と略同一の面内にあり、前記第3の辺の前記給電点と反対側の端近辺に繋がると共に開放端を有してなる線状導体とを備え、前記給電点から前記第2の辺を経由して前記平面導体の前記給電点が設けられた一角の対角までの距離によって定まる第1の共振周波数と、前記給電点から前記第3の辺を経由して前記線状導体の開放端までの距離によって定まり前記第1の共振周波数より低い第2の共振周波数を有することを特徴とすることを特徴とする。
本発明によれば、広帯域化かつ多共振化を実現できると共に、共振周波数とアンテナ各部寸法との関係を明確にした広帯域アンテナを得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお以下の各図を参照しながら上下左右又は水平、垂直(鉛直)をいうときは、特に断らない限り、図が表された紙面における上下左右又は水平、垂直(鉛直)を意味するものとする。また、各図の間で同一の符号は、同一の構成を表すものとする。
以下、図1ないし図4を参照して、本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る広帯域アンテナの構成を説明する図である。
(a)について説明する。アンテナ100は、平面導体1、線状導体2、給電点3、地板4などから構成される。平面導体1は、四角形の平板状であり、その一角に給電点3が設けられて、給電される。この一角に繋がる辺1a(第2の辺)は、地板4の辺4a(第1の辺)と微小なギャップGだけ略並行に離れている。また、この一角に繋がるもう1つの辺1b(第3の辺)は、地板4の辺4aに対して垂直方向にある。そして、この辺1bの給電点3とは反対側の端近辺に線状導体2が繋がる。
なお、線状導体2が繋がるポイントは、辺1bの給電点3とは反対側の端に完全に一致する必要はなく、反対側の端の近辺、例えば、反対側の端から少し給電点3寄りであってもよい。また、線状導体2が反対側の端から給電点3とは反対の垂直方向に少し飛び出して、そこから水平方向に延びる構造であってもよい。
線状導体2は、線状の放射素子であり、地板4の辺4aに対して略平行に配置される。なお、線状導体2は、棒状であっても良いし、幅の狭い平板状であってもよい。平面導体1の面と地板4の面は同一面上にあり、この同一面上に線状導体2も配置される。
点線で示した低域距離Lは、多共振の1つの低域共振周波数に関連した距離であり、給電点3から平面導体1の辺1bを経由して線状導体2の開放端までの距離である。点線で示した高域距離Hは、多共振の1つの高域共振周波数に関連した距離であり、給電点3から平面導体1の辺1aを経由して給電点3の対角までの辺に沿った距離である。
(b)について、(a)との相違点について説明する。線状導体2は、地板4の辺4aに対して略垂直に配置されるところが異なる。点線で示した低域距離Lは、(a)と同様に、給電点3から平面導体1の辺1bを経由して線状導体2の開放端までの距離である。点線で示した高域距離Hは、(a)と同じく、給電点3から平面導体1の辺1aを経由して給電点3の対角までの辺に沿った距離である。
(a)(b)の低域距離Lと低域共振周波数との関係、高域距離Hと高域共振周波数との関係、ギャップGなどについて、次に説明する。図2は、実施例1(図1(a)(b))に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図である。条件は、高域距離H=19mm、低域距離L=30mm、ギャップG=0.5mmである。
(a)はVSWRのシミュレーション図である。VSWRが3以下の良好な領域が低域と高域に表れる。その双方共、広帯域になっている。
(b)は、入力インピーダンスのシミュレーション図である。入力インピーダンスのリアクタンス分=0の負から正へのクロス点が共振点である。低域共振周波数fL=2.36GHzであり、その波長λL=127.1mmである。低域距離L=30mmは、波長λLに対して、0.24倍、すなわち、略4分の1である。高域共振周波数fH=5.02GHzであり、その波長λH=59.8mmである。高域距離H=19mmは、波長λHに対して、0.32倍、すなわち、略0.3倍である。
図3は、実施例1(図1(a)(b))に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図である。条件は、図1の平面導体1の幅に相当する辺1aを6〜14mmと変化させている。平面導体1の高さ部分は11mmであり、従って、高域距離H=(11+6)〜(11+14)mmで変化する。低域距離L=30mm、ギャップG=0.5mm固定である。
(a)はVSWRのシミュレーション図である。低域の領域に注目すると、VSWRが3以下の良好な帯域幅が、辺1a=6mmの場合に比べて、辺1a=14mmの方が帯域幅が広がっている。
(b)は、入力インピーダンスのシミュレーション図である。辺1aを変化、すなわち、高域距離Hを変化させても、低域共振周波数fL=2.36GHzと変わらず、その波長λL=127.1mmである。低域距離L=30mmは、波長λLに対して、0.24倍、すなわち、略4分の1である。すなわち、低域距離Lで独立に低域共振周波数fLを決めることができる。
高域共振周波数fHは、辺1a=14mm(高域距離H=25mm)のとき、略3.6GHzであり、その波長λH=83mmである。高域距離H=25mmは、波長λHに対して、0.30倍である。また、辺1a=6mm(高域距離H=17mm)のとき、略5.8GHzであり、その波長λH=51.7mmである。高域距離H=17mmは、波長λHに対して、0.33倍、すなわち、略0.3倍である。
図4は、実施例1(図1(a)(b))に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図である。条件は、図1のギャップGを1〜6mmと変化させている。高域距離H=19mm、低域距離L=30mm固定である。
低域と高域に共振点が発生する。この低域と高域の共振点が共にVSWR=3以下の良好な状態になるのは、ギャップGが5mm以下である。ギャップGが6mmでは、高域の共振点がNGとなる。
低域共振周波数fLは、ギャップGの変化により多少ばらつくが、略2.1〜2.6GHzであり、その波長λLは、115〜142mmである。低域距離L=30mmは、波長λLに対して、0.21〜0.26倍、すなわち、略4分の1λLである。
高域共振周波数fHは、ギャップGの変化により多少ばらつくが、略4.3〜5.3GHzであり、その波長λHは、57〜70mmである。高域距離H=19mmは、波長λHに対して、0.27〜0.34倍、すなわち、略0.3λHである。
ギャップGは、高域距離H=19mmの略0.3倍以下、すなわちギャップG=5.4mm以下であれば、VSWR=3以下の良好な状態が得られる。
実施例1によれば、広帯域化かつ多共振化を実現できると共に、共振周波数とアンテナ各部寸法との関係を明確にした広帯域アンテナを得ることができる。
図5及び図6を参照して、本発明の実施例2を説明する。図5は、実施例2に係る広帯域アンテナの構成を説明する図である。図1(a)との相違点について説明する。アンテナ200の平面導体1は、矩形ではなく、左辺が斜めになり、上側の辺1cの幅が広がっているところが異なる。辺1cは、辺1aより長い。点線で示した高域距離Hは、多共振の1つの高域共振周波数に関連した距離であり、図1と同様に、給電点3から平面導体1の辺1aを経由して給電点3の対角までの辺に沿った距離である。
図6は、実施例2(図5)に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図である。条件は、高域距離H=25mm、この内、辺1a=10mm、低域距離L=30mm、ギャップG=0.5mmである。
(a)はVSWRのシミュレーション図である。VSWRが3以下の良好な領域が低域と高域とで繋がり、超広帯域になっている。
(b)は、入力インピーダンスのシミュレーション図である。共振点が3箇所発生している。低域共振周波数fL=2.30GHzであり、その波長λL=130.4mmである。低域距離L=30mmは、波長λLに対して、0.23倍、すなわち、略4分の1である。高域共振周波数fH=3.61GHzであり、その波長λH=83.1mmである。高域距離H=25mmは、波長λHに対して、0.30倍である。
更に高域側に、共振周波数fH=7.06GHzが発生し、その波長λH=42.5mmである。この共振点は、辺1a=10mmに関連しており、辺1a=10mmは、波長λH=42.5mmに対して、0.24倍、すなわち、略4分の1である。
これは、平面導体1の上辺部分の幅を調整することにより、線状導体2の部分の低域共振と平面導体1の高域共振の間のマッチング調整が可能であり、これにより超広帯域化を得ることができる。
実施例2によれば、共振点同士が繋がり、超広帯域が可能となると共に、共振周波数とアンテナ各部寸法との関係を明確にした広帯域アンテナを得ることができる。
以下、図7を参照して、本発明の実施例3を説明する。 図7は、実施例3に係る広帯域アンテナの構成を説明する図である。実施例1、実施例2のアンテナの平面導体1の他の形状例である。地板4の図示は省略する。
(a)は、アンテナ300は、平面導体1の辺1aが地板4の辺4aと完全に平行ではなく、多少傾いている。この部分の平均的なギャップGが、図4で説明したように、高域距離Hの略0.3倍以下であれば、良好な多共振を発生することができる。
(b)は、平面導体1が5角形である。点線で示した高域距離Hは、高域共振周波数に関連した距離であり、図5と同様に、給電点3から平面導体1の辺1aを経由して給電点3の対角までの辺に沿った距離である。
(c)は、(b)を更に変形したものであり、平面導体1hは5角形である。点線で示した高域距離Hは、高域共振周波数に関連した距離であり、図5と同様に、給電点3から平面導体1の辺1aを経由して給電点3の対角までの辺に沿った距離である。
なお、図示しないが、平面導体1の角の部分を多少丸みを持った形状としてもよい。また、点線で示した高域距離Hに関連する辺は直線だけではなく、丸みを持った円弧状であってもよい。同様に、点線で示した低域距離Lに関連する辺1bも直線だけではなく、丸みを持った円弧状であってもよい。その場合、高域距離Hや低域距離Lは、円弧状に沿った距離となる。また、線状導体2は、地板4の辺4aに対して平行、又は垂直だけではなく、斜めであってもよい。
実施例3によれば、実施例1や実施例2と同様に、広帯域化かつ多共振化を実現できると共に、共振周波数とアンテナ各部寸法との関係を明確にした広帯域アンテナを得ることができる。
以下、図8を参照して、本発明の実施例4を説明する。図8は、実施例4に係る広帯域アンテナの構成を説明する図である。実施例4は、実施例1〜3に比べて、線状導体2の形状が異なる。アンテナ400の線状導体2は開放されずに折り返されて、先端が給電点3の近傍で地板4の辺4aに接地される。一般に、線状導体と地板が近接して設置された場合に、アンテナの入力インピーダンスが低下し、インピーダンスマッチングが取れなくなり、アンテナ特性が劣化する。
実施例4によれば、線状導体2を図8に示すように折り返した構成にすることにより、入力インピーダンスの低下を低減することが可能となり、良好なアンテナ特性を得ることが可能となる。
なお、各実施例の平面導体1と線状導体2は、組合わせを色々と変えてもよい。
本発明の実施例1に係る広帯域アンテナの構成を説明する図。 本発明の実施例1に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図。 本発明の実施例1に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図(辺1aを変化)。 本発明の実施例1に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図(ギャップGを変化)。 本発明の実施例2に係る広帯域アンテナの構成を説明する図。 本発明の実施例2に係る広帯域アンテナのVSWRのシミュレーション図。 本発明の実施例3に係る広帯域アンテナの構成を説明する図。 本発明の実施例4に係る広帯域アンテナの構成を説明する図。
符号の説明
1 平面導体
1a、1b、1c 辺
2 線状導体
3 給電点
4 地板
4a 辺
100、200、300、400 アンテナ

Claims (3)

  1. 第1の辺を有してなる地板と、
    前記地板のなす面と略同一の面内にあって、互いに交差する第2の辺及び第3の辺を有する多角形をなし、前記第2の辺及び前記第3の辺が交差する一角に給電点が設けられてなると共に、前記第2の辺及び前記第3の辺が前記第1の辺にそれぞれ対向及び略直交する向きに配設された平面導体と、
    前記地板のなす面と略同一の面内にあり、前記第3の辺の前記給電点と反対側の端近辺に繋がると共に開放端を有してなる線状導体とを備え、
    前記給電点から前記第2の辺を経由して前記平面導体の前記給電点が設けられた一角の対角までの距離によって定まる第1の共振周波数と、前記給電点から前記第3の辺を経由して前記線状導体の開放端までの距離によって定まり前記第1の共振周波数より低い第2の共振周波数を有することを特徴とする広帯域アンテナ。
  2. 前記第1の辺及び前記第2の辺は、互いに略平行することを特徴とする請求項1に記載の広帯域アンテナ。
  3. 前記第1の辺と前記第2の辺の平均の間隔が、前記給電点から前記第2の辺を経由して前記平面導体の前記給電点が設けられた一角の対角までの距離の略0.3倍に相当する値以下であることを特徴とする請求項1に記載の広帯域アンテナ。
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