JP4733506B2 - コンデンサ用防爆弁 - Google Patents

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本発明は、コンデンサもしくはキャパシタ等の密封容器の封口板に設けられ、密封容器内の圧力が、所定の圧力を上回ったときに、開放弁を開放して密封容器の破裂を防ぐコンデンサ用防爆弁に関するものである。
コンデンサ用防爆弁、特に、アルミニウム電解コンデンサ用防爆弁は、逆電圧、過電圧、過電流あるいは、これらに伴う絶縁破壊等で発生した大量のガスを防爆弁の弁膜の破壊によりケース外部に逃がすことにより、コンデンサ自体の破裂を阻止する機能を有している。
コンデンサ用防爆弁は、従来、図4のように、コンデンサの封口板8に防爆弁用貫通穴を設け、コンデンサ内部に開口していて開口端部の外周上には鍔部を設けた合成ゴムの防爆弁用支持体1を、下側(コンデンサ内部側)からその貫通穴に差し込んだ構造になっている。
また、コンデンサの封口板への取り付け作業がしやすいように、閉口端部の外周上には鍔部を設け、開口端部の外周上に肉厚部を設けた合成ゴムの防爆弁用支持体を、封口板の上側(コンデンサ外側)からその貫通穴に差し込んだ構造になっている(たとえば、公開実用昭和57−197635公報)。
公開実用昭和57−197635公報
アルミニウム電解コンデンサは、有限寿命であり、寿命形態を大別すると
(A)静電容量減少、tanδ増加などによる電気的特性寿命
(B)防爆弁開放作動による寿命
となる。
軽負荷時での寿命を想定する場合、実使用条件の多くは周囲温度60℃程度以下、印加電圧<定格電圧×0.8程度あり、本使用状態での寿命は前記寿命形態の(A)である。 電気的特性寿命は、電解液の磨耗によるものであり、これは電解液蒸発とファラデー反応による電解液分解に分けられる。 後者のファラデー反応は漏れ電流によるものであり、漏れ電流は軽負荷となる程低下するので軽負荷での寿命は電解液蒸発に支配される。 従って、軽負荷では気密性が高いコンデンサが必要である。
定格負荷付近での寿命を想定する場合、定格負荷付近では、漏れ電流が大きい為、ファラデー反応が支配的となる。 ファラデー反応では電解液が電気分解され水素等のガスが発生する。 コンデンサは完全な密封状態ではないのでガス発生速度が遅い場合、スローリークとのバランスにてコンデンサ内は危険な圧力に達しない。
しかし定格負荷付近では、漏れ電流が大きくファラデー反応が活発である為、ガス発生速度が速く内圧が防爆弁作動圧力に達すれば防爆弁が作動する。 即ち定格負荷付近での寿命は、前記寿命形態の(A)または(B)であるが、(B)の場合、電気的特性寿命を全うしておらず内圧が除去できれば長寿命化可能である。 従って、低格負荷付近では、内圧増加に応じ適当なスローリークが必要である。
異常時での寿命を想定した場合、過電圧などの過負荷では、急激なファラデー反応や、ショートによってケース内が高圧力となり爆発に至る危険がある。 この為にアルミニウム電解コンデンサには防爆弁が設けられている。
以上を整理すると
(1)内圧が電解液蒸発程度の低圧力の場合:電解液蒸発防止が必要であり気密性が高い必要
(2)ファラデー反応が活発であり内圧増加速度が速い場合:適当なスローリークが必要
(3)急激な内圧増加(異常時):速やかな内圧除去が必要
となる。
上記の課題を解決するために、コンデンサの封口板に設けた、防爆弁用貫通穴と前記貫通穴に差し込まれる防爆弁用支持体からなるコンデンサ用防爆弁において、前記防爆弁用支持体は、前記コンデンサ内部に開口している円筒体のエラストマーで、中央の弁胴部と、閉口端部の外周上には鍔部と、開口端部の外周上には連続または間欠的な肉厚部と、からなり、前記鍔部と前記肉厚部で前記封口板を挟み込むことと、前記閉口端部の端面には薄肉部を設けることと、前記防爆弁用支持体の前記弁胴部の外表面または前記弁胴部の外表面と前記肉厚部と、前記防爆弁用貫通穴とが接触する前記封口板の部分に、前記防爆弁用貫通穴軸方向に伸びる一つまたは複数設けることと、を特徴とするコンデンサ用防爆弁を提供するものである。
また、前記溝部は幅より深さがあることを特徴とする上記のコンデンサ用防爆弁を提供するものである。
ケース内圧力の昇圧が急激な場合、防爆弁の薄肉部が破れコンデンサの破裂を防止する従来の防爆弁の機能のほかに、ケース内圧力の昇圧が速い場合、内圧増加による防爆弁の変形で、防爆弁用貫通穴軸方向に伸びる溝部よりガスをスローリークさせ内部圧力を解除させ、また、防爆弁用支持体が、エラストマーでできていて、封口板を挟み込む構造なので、スローリークさせ内部圧力を解除後、コンデンサの気密性を復帰できるので、コンデンサの長寿命化がはかれる。
また、防爆弁用支持体の鍔部の下面部にテーパー状の部分を設けることにより、ケース内圧力の昇圧が速い場合、内圧増加による防爆弁のテーパー状の部分が変形しやすく、防爆弁用貫通穴軸方向に伸びる溝部よりガスをスローリークさせ内部圧力を解除させやすい。
コンデンサ用防爆弁は、コンデンサの封口板に設けていて、防爆弁用貫通穴と貫通穴に差し込まれる防爆弁用支持体からなっている。この防爆弁は、キャパシタ等の密封容器にも使用できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、コンデンサの封口板に設けた防爆弁用貫通穴に防爆弁用支持体差し込んだ状態の一例の断面図を示している。
1は、防爆弁用支持体で、シリコンゴム、ブチルゴムなどのエラストマーからなる。その形状は、コンデンサ内部に開口している円筒体からなり、中央の弁胴部2と、閉口端部3の外周上には鍔部4と、開口端部5の外周上には連続または間欠的な肉厚部6とからなっている。また、閉口端部3の端面には薄肉部7を設ける。
8は、封口板で、フェノールやポリフェニルサルファイドなどの成型体からなり、封口板の表面から裏面(コンデンサ内部面)まで貫通する一箇所程度の防爆弁用貫通穴9を設ける。防爆弁用貫通穴9の穴形は、防爆弁用支持体1と接する部分の外形と同形状からなっている。
鍔部4と肉厚部6とで封口板8を挟み込むことでコンデンサの気密性をもたせている。気密性は、鍔部4と封口板8の接触している部分でもたせている。
10は、溝部で、防爆弁用支持体1の弁胴部2の外表面または弁胴部2の外表面と肉厚部6と、防爆弁用貫通穴9とが接触する防爆弁用支持体1か封口板8のどちらかの部分に、防爆弁用貫通穴軸面方向に伸びる一つまたは複数設ける。
通過するガスの流量が安定するように溝部4の形状は、防爆弁用支持体1の変形により溝がつぶれないように、防爆弁用支持体1に設ける場合は、深さより幅のある形状にするのが好ましいし、封口板8に設ける場合は、幅より深さある形状にするのが好ましい。また、溝部10は、上記の溝のように、ある程度確定された(計算された)隙間であってもかまわない。たとえば、防爆弁用貫通穴9の断面積から防爆弁用支持体1の円筒体部2の外断面積を引いた面積が隙間断面積となる。
図1(b)は、防爆弁用支持体1に、溝部10を設けた一例の斜視図を示している。
図1(c)は、封口板8に、溝部10を設けた一例の断面斜視図を示している。
図2は、コンデンサの封口板に設けた防爆弁用貫通穴に防爆弁用支持体差し込んだ状態の別例の断面図を示している。
鍔部4と封口板8とが接触する面にテーパー状の部分11aを設けていて、これによりケース内圧力の昇圧が速い場合、内圧増加による防爆弁のテーパー状の部分が変形しやすく、防爆弁用貫通穴軸方向に伸びる溝部よりガスをスローリークさせ、内部圧力を解除させやすい。
また、肉厚部6にテーパー状の部分11b、11cを設けることにより、防爆弁用支持体1の挿入がしやすく、また防爆弁用支持体1が固定しやすくなる。
図3により防爆弁の作動状況を説明する。
図3(a)の通り,防爆弁用貫通穴9への防爆弁用支持体1の装着において、鍔部4と肉厚部6の内側間距離が封口板8の厚さまで伸ばされるこの伸びによる収縮力により、鍔部4は、封口板8に押し付けられる。 この押し付け力により、電解液蒸気圧力程度の微圧に対して、密封する構造となる。
図3(b)の通り,ファラデー反応にてケースの圧力が増すと、防爆弁用支持体1は、その薄肉部6の中央部がより上側に引っ張られるように膨らむと共に軸方向に伸び、鍔部4は封口板8から離れ、溝部10を通じ内部圧力が解除される。 内圧が解除されると図3(a)の状態に戻り密封性は回復する。
図3(c)の通り,異常時での急激な内圧上昇では、薄肉部7が破れ、防爆を防止する。
本願発明のコンデンサ用防爆弁を示している。 本願発明の、別のコンデンサ用防爆弁の断面図を示している。 本願発明の弁動作を示している。 従来のコンデンサ用防爆弁の断面図を示している。
符号の説明
1…防爆弁用支持体、2…弁胴部、3…閉口端部、4…鍔部、5…開口端部、6…肉厚部、7…薄肉部、8…封口板、9…防爆弁用貫通穴、10…溝部、11a,11b,11c…テーパー状の部分。

Claims (2)

  1. コンデンサの封口板に設けた、防爆弁用貫通穴と前記貫通穴に差し込まれる防爆弁用支持体からなるコンデンサ用防爆弁において、前記防爆弁用支持体は、前記コンデンサ内部に開口している円筒体のエラストマーで、中央の弁胴部と、閉口端部の外周上には鍔部と、開口端部の外周上には連続または間欠的な肉厚部と、からなり、
    前記鍔部と前記肉厚部で前記封口板を挟み込むことと、
    前記閉口端部の端面には薄肉部を設けることと、
    前記防爆弁用支持体の前記弁胴部の外表面または前記弁胴部の外表面と前記肉厚部と、前記防爆弁用貫通穴とが接触する前記封口板の部分に、前記防爆弁用貫通穴軸方向に伸びる一つまたは複数の溝部を設けることと、を特徴とするコンデンサ用防爆弁。
  2. 前記溝部は幅より深さがあることを特徴とする請求項1のコンデンサ用防爆弁。
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