印刷の分野においては、コンピュータを利用して編集の作業を行うDTP(DeskTop Publishing)が広範に適用されてきている。DTPが適用されることによって、オペレータは、コンピュータの表示画面上で、印刷物のイメージを確認しながら文字や画像の編集を行うことができる。
また、カラー印刷機を用いた印刷は、フィルム原版を作成し、さらに刷版を作成するなど大がかりなうえコストがかかる作業である。したがって、従来より、印刷を行う前には、カラー印刷機に比べて手軽なプルーファを用いて、そのカラー印刷機で印刷されるカラー画像の色と極力同じ色に似せたプルーフ画像を作成することが行われている。プルーフ画像を作成することによって、編集作業を行うオペレータだけではなく、印刷作業を行うオペレータなども、印刷前に印刷画像の色やレイアウトを確認することができ、印刷作業にかかる手間やコストを大幅に抑えることができる。
ところで、通常、カラー印刷機は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の色材を使って画像を形成するものが多く、このようなカラー印刷機では、CMYK色空間の出力画像データに基づいて画像が出力される。近年では、プルーフ画像を出力するプルーファなどでも、カラー印刷機と同様にCMYKの色材を使って色を表現するものが利用されてきているが、同じCMYK色空間上の同じ値の画像データであっても、装置の種類や機差などによって表現される色が微妙に異なることがある。したがって、プルーファで印刷画像を再現しようとしたとき、カラー印刷機用の画像データをそのままプルーファに送るのではなく、プルーファの前段で画像データを変換する必要がある。ここでは、画像の色に着目しており、この画像データの変換を色変換と称する。
以下では、カラー印刷機用の画像データに色変換処理を施し、プルーファでプルーフ画像を出力する一連の処理の流れについて説明する。尚、ここでは、カラー印刷機用のCMYK色空間の画像データに基づいてCMYK各色の印刷用フィルム版を生成するCTP(Computer To Plate)と、プルーファ用のCMYK色空間(カラー印刷機用の色空間と区別するため、以下では、プルーファ用の色空間には「´」を付してC´M´Y´K´色空間等と称する)の画像データに基づいてプルーフ画像を生成するプルーファとで構成された画像出力システムを例に挙げて説明する。
図1は、画像出力システムの一例を示す図である。
図1のパート(A)には、第1の画像出力システム1の構成図が示されている。
DTPにおいては、オペレータがコンピュータを使って文字や画像で構成されたページを編集すると、その編集されたページのイメージを表わす入力画像データ1000が生成される。この入力画像データ1000は、ページのイメージが、そのページを構成する文字や画像といった部品集合で表現されたものであり、各部品を表わす部品データの集合で構成されている。このような入力画像データ1000を構成する部品データには、例えば、スキャナで読み取られた画像を表わす、スキャナに依存したRGB色空間で色が表現された部品データや、オペレータがパーソナルコンピュータを使って描いたグラフィック画像を表わす、CMYK色空間で色が表現された部品データなど、様々な入力色空間の部品データが混在している。オペレータの編集によって生成された入力画像データ1000は、色分解装置1110に送られる。
色分解装置1110では、入力画像データ1000に含まれる様々な入力色空間の部品データがCTP1170に依存したCMYK色空間の部品データに変換され、それらCMYK色空間の部品データの集合体である印刷画像データが生成される。生成された印刷画像データは、CTP1170に向けて出力されるのに先立って、まずはプルーファ1180,1190用の色変換装置1140に送られる。
色変換装置1140では、印刷画像データに含まれるCMYK色空間の部品データそれぞれに色変換処理が施されてプルーファ1180,1190に適したC´M´Y´K´色空間の部品データに変換され、それらC´M´Y´K´色空間の部品データが含まれたプルーフ画像データが生成される。生成されたプルーフ画像データは、プルーファ1180,1190用のRIP(Raster Image Processor)装置1150に送られる。
プルーファ1180,1190は、ページのイメージを出力するにあたり、ページを走査する走査線ごとに出力するものであり、上述した印刷画像データやプルーフ画像データは、ページを構成する各部品を表わす部品データで構成されているため、このままでは印刷機やプルーファ1180,1190では出力することができない。したがって、RIP装置1150では、プルーフ画像データにラスタライズ化処理が施されてプルーファ1180,1190に適したラスタ形式のプルーフ画像データに変換される。変換後のプルーフ画像データは、階調プルーファ1190に送られて、階調プルーファ1190で色濃度が色材の濃さそのもので表現されたプルーフ画像が出力されたり、網掛装置1160に送られて網掛処理が施され、網点プルーファ1180で色濃度が網点で表現されたプルーフ画像が生成される。
以上のようにして生成されたプルーフ画像を使って、オペレータが印刷画像の色やレイアウトなどを確認し、コンピュータを使って印刷を指示すると、色分解装置1110で生成された印刷画像データが、CTP1170用のRIP装置1120に送られる。
RIP装置1120では、印刷画像データにラスタライズ化処理が施され、網掛装置1130では、ラスタライズ化処理が施された印刷画像データに網掛処理が施される。網掛処理後の印刷画像データは、CTP1170に送られて、C,M,Y,K4色の印刷用フィルム版が生成される。4色の印刷用フィルム版は印刷機に装着されて各色のインクが塗布され、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転移されて印刷画像が生成される。
図1のパート(A)に示す第1の画像出力システム1では、印刷用の画像データをプルーファ用の画像データに変換する色変換装置1140がRIP装置1150よりも前段に設けられているが、色変換装置がRIP装置の後段に設けられた画像出力システムも広く用いられている。
図1のパート(B)には、第2の画像出力システム2の構成図が示されている。
第2の画像出力システム2では、オペレータの編集によって生成された入力画像データ1000が、色分解装置1110でCMYK色空間の印刷画像データに変換された後、CTP1170およびプルーファ1180,1190に共通のRIP装置1120でラスタ形式の印刷画像データに変換される。
ラスタ形式の印刷画像データは、印刷に先立って色変換装置1140に伝えられ、色変換装置1140で色変換処理が施された後、階調プルーファ1190に送られたり、網掛装置1160で網掛処理が施された後で網点プルーファ1180に送られる。
オペレータによって印刷が指示されたときには、RIP装置1120で生成されたラスタ形式の印刷画像データがそのままCTP1170用の網掛装置1130に伝えられ、網掛処理が施された印刷画像データがCTP1170に伝えられて、CTP1170でCMYK各色の印刷用フィルム版が生成される。
図1のパート(A)に示す第1の画像出力システム1では、印刷画像のイメージに対してページを構成する部品ごとに色変換処理が施されるのに対して、図1のパート(B)に示す第2の画像出力システム2では、印刷画像のイメージに対して走査線ごとに色変換処理が施されるため、第1の画像出力システム1と比較して処理時間を要してしまう。しかし、図1のパート(B)に示す第2の画像出力システム2によると、ラスタライズ処理後の印刷画像データに対して色変換処理が施されるため、図1のパート(A)に示す第1の画像出力システム1と比べて、印刷画像の色をより精度良く再現したプルーフ画像を得ることができる。
また、近年では、カラー印刷機で表現することができる色再現領域を広げるために、C,M,Y,K4色の色材に加えて、G(グリーン)やO(オレンジ)などといった色材を使って色を表現する多色のカラー印刷機が用いられてきており、その多色のカラー印刷機で印刷される印刷画像の色を精度良く再現する画像出力システムが提案されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4参照)。カラー印刷機で使用される色材の多色化に伴って、プルーファにおける色再現の精度がさらに重要視されてきているため、以下では、図1のパート(B)に示す画像出力システム2を使って多色の色変換処理を行う方法について説明する。
図2は、図1のパート(B)に示す画像出力システム2を使って多色の色変換処理を行う一連の処理を説明するための図である。
図1のパート(B)に示すように、オペレータによって編集された入力画像データ1000は、色分解装置1110で、多色のカラー印刷機に依存したCMYKOG色空間の印刷画像データに変換された後、図2に示すRIP装置1120でラスタ形式の印刷画像データに変換される。ラスタ形式の印刷画像データは、色変換装置1140に送られて、CMYKOG色空間の印刷画像データがCMYKOG/L*a*b*変換部1141に伝えられ、CMYKOG色空間の印刷画像データのうちのK成分がL*a*b*K/C´M´Y´K´O´G´変換部1143に伝えられ、CMYKOG色空間の印刷画像データのうちのCMY成分が純色保存部1144に伝えられる。
CMYKOG/L*a*b*変換部1141では、CMYKOG色空間の画像データがデバイスに非依存な共通色空間であるL*a*b*色空間の画像データに変換され、変換後の画像データがマッピング部1142に伝えられる。
マッピング部1142では、L*a*b*色空間の画像データが表わす色を、プルーファの色再現領域内の色に変換する。変換後の画像データは、L*a*b*K/C´M´Y´K´O´G´変換部1143に伝えられる。
L*a*b*K/C´M´Y´K´O´G´変換部1143では、L*a*b*色空間の画像データがC´M´Y´K´O´G´色空間の画像データに変換されて、さらに、そのC´M´Y´K´O´G´色空間の画像データのK成分が、RIP装置1120から送られてきたCMYKOG色空間の印刷画像データのうちのK成分に置き換えられる(K版保存処理)。C´M´Y´K´O´G´色空間の画像データは、さらに純色保存部1144に伝えられる。
純色保存部1144では、RIP装置1120から送られてきたCMYKOG色空間の印刷画像データのCMY色成分が表わす色が純色である場合に、その画像データに対応するC´M´Y´K´O´G´色空間の画像データのCMY成分が純色成分に置き換えられる(純色保存処理)。
この色変換装置1140においても、CMYKOG色空間の画像データとL*a*b*色空間の画像データとが対応付けられたCMYKOG/L*a*b*ロファイル、およびL*a*b*色空間の画像データとC´M´Y´K´O´G´色空間色空間の画像データとが対応付けられたL*a*b*/C´M´Y´K´O´G´色空間プロファイルが予め記憶されており、CMYKOG/L*a*b*変換部1141、およびL*a*b*K/C´M´Y´K´O´G´変換部1143では、それらのプロファイルを使って高速に画像データの変換が行われる。色変換装置1140で生成されたC´M´Y´K´O´G´色空間の画像データは、図1のパート(B)に示す網点装置1160や、階調プルーファ1190に伝えられる。
以上のように、図1にも示す色分解装置1110や色変換装置1140などで利用される各種プロファイルを多色印刷用のプロファイルに変更することによって、図1のパート(B)に示す画像出力システム2を流用することができ、オペレータは、経験的な知識を必要とせず、多色のカラー印刷機で出力される印刷画像の色が精度良く再現されたプルーフ画像を容易に得ることができる。
特開2005−123797号公報
特開2001−53976号公報
特開2001−36760号公報
特開平8−272081号公報
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明の一実施形態が組み込まれた画像出力システムの全体構成図である。
図3に示す画像出力システムは、主には、原稿画像を読み取るカラースキャナ10、画像データに対して各種処理を施すワークステーション20、C,M,Y,K,O,G各色の印刷用フィルム版を作成するCTP30、CTP30で作成された印刷用フィルム版を使って印刷画像を作成する印刷機40、C,M,Y,K,O,G各色の色材を使って画像を出力する2つのプルーファ51,52で構成されている。CTP30および印刷機40は、本発明にいうターゲットデバイスの一例を構成しており、プルーファ51,52は、本発明にいう出力デバイスの一例に相当する。
カラースキャナ10では、原稿画像が読み取られて、その原稿画像を表わすR、G,B3色の色分解画像データが生成される。このRGBの色分解画像データはワークステーション20に入力される。また、図示しないが、パーソナルコンピュータなどを使って作成されたC,M,Y,K4色の色分解画像データや、デジタルカメラで被写体が撮影されて得られたL*,a*,b*3色の色分解画像データなどもワークステーション20に入力される。このワークステーション20は、接続ケーブルを介して色分解画像データを受け取るものであってもよく、ワークステーション20とカラースキャナ10とが離れた場所に設置されているときは、ワークステーション20から、例えばコンピュータネットワークを介して、あるいは、MOディスク(光磁気ディスク)などといった記憶媒体によって色分解画像データを受け取るものであってもよい。
ワークステーション20は、機能的には、編集装置21、RIP装置22、色変換装置23、印刷用網掛装置24、およびプルーファ用網掛装置25で構成されている。
編集装置21では、オペレータにより、入力された色分解画像データに基づく電子的な集版が行なわれ、印刷用の画像のページを表わすページ画像データが生成される。このページ画像データは、ページのイメージが、そのページを構成する文字や画像といった部品の集合で表現されたものであり、各部品を表わす部品データの集合で構成されている。このため、ページ画像データには、編集装置21に入力された、カラースキャナ10で原稿画像が読み取られて生成されたRGB色空間の部品データや、パーソナルコンピュータなどを使って作成されたC,M,Y,K4色空間の部品データや、デジタルカメラで被写体が撮影されて得られたL*,a*,b*色空間の部品データなどが混在して含まれている。ページ画像データは、RIP装置22に送られる。
RIP装置22では、ページ画像データを構成する部品データそれぞれにラスタライズ化処理が施される。ラスタライズ化処理が施されたラスタ部品データは、色変換装置23に伝えられる。
色変換装置23では、各種入力色空間のラスタ部品データが、CTP30と印刷機40とで構成されるターゲットデバイスに依存したターゲット色空間(ここでは、CMYKOG色空間)のラスタ部品データに変換され、それらターゲット色空間のラスタ部品データが合成されて印刷用画像データが生成される。生成された印刷用画像データは、印刷用網掛装置24において網点画像を表す製版用の印刷画像データに変換され、さらにCTP30に送られて、その製版用の印刷画像データに対応した、CMYKOGの各版の印刷用フィルム版が作成される。作成された印刷用フィルム版は印刷機40に装着されてインクが塗布され、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転移されてその用紙上に印刷画像40aが形成される。
CTP30により印刷用フィルム版を作成し、さらに印刷用フィルム版を印刷機40に装着して用紙上に印刷を行なう一連の作業は、大がかりな作業である上、コストもかかる。このため、実際の印刷作業が行なわれる前に、プルーファ51,52によってプルーフ画像51a,52aが作成され、印刷画像40aの仕上りの事前確認が行なわれる。
プルーフ画像51a,52aの作成にあたっては、印刷の場合と同様に、編集装置21で作成されたページ画像データに含まれる部品データが、RIP装置22においてラスタ形式のラスタ部品データに変換され、さらに、色変換装置23においてプルーファ51,52に依存した出力色空間(ここでは、C´M´Y´K´O´G色空間)のラスタ部品データに変換されて、それら出力色空間のラスタ部品データが合成されてプルーフ画像データが生成される。生成されたプルーフ画像データは、階調プルーファ52に送られたり、プルーファ用網掛装置25で網掛処理が施された後で網点プルーファ51に送られる。網点プルーファ51では、画像の色濃度が網点によって表現されたプルーフ画像51aが生成され、階調プルーファ52では、画像の色濃度が色材の濃さそのもので表現されたプルーフ画像52aが生成される。
このようにして作成されたプルーフ画像51a,52aを確認することにより、印刷の仕上りを事前に確認することができる。
ここで、図3に示す画像出力システムにおける本発明の一実施形態としての特徴は、ワークステーション20で実行される処理内容にある。まずは、このワークステーション20について詳しく説明する。
図4は、図3に示すワークステーション20の外観斜視図、図5は、そのワークステーション20のハードウェア構成図である。
ワークステーション20は、大型のパーソナルコンピュータであり、図4に示すように、外観構成上、本体装置201、その本体装置201からの指示に応じて表示画面202a上に画像を表示する画像表示装置202、本体装置201に、キー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード203、および、表示画面202a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示されたアイコン等に応じた指示を入力するマウス204を備えている。また、本体装置201は、外観上、フレキシブルディスク(以下では、FDと省略する)を装填するためのFD装填口201a、およびCD−ROMを装填するためのCD−ROM装填口201bを有する。
本体装置201の内部には、図5に示すように、各種プログラムを実行するCPU211、ハードディスク装置213に格納されたプログラムが読み出されCPU211での実行のために展開される主メモリ212、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置213、FD100が装填され、その装填されたFD100をアクセスするFDドライブ214、CD−ROM110をアクセスするCD−ROMドライブ215、図3のカラースキャナ10と接続され、カラースキャナ10から画像データを受け取る入力インタフェース216、図3のCTP30やプルーファ51,52と接続され、CTP30やプルーファ51,52に画像データを送る出力インタフェース217が内蔵されており、これらの各種要素と、さらに図4にも示す画像表示装置202、キーボード203、およびマウス204は、バス205を介して相互に接続されている。
ここで、ワークステーション20上にRIP装置22を構築するRIPプログラム、および色変換装置23を構築する色変換プログラムが各CD−ROMに記憶されている。これらの各プログラムが記憶されたCD−ROM110A,110B(図6参照)はCD−ROMドライブ215に装填され、それらCD−ROM110A,110Bに記憶されたRIPプログラムおよび色変換プログラムがこのワークステーション20にアップロードされてハードディスク装置213に記憶される。そして、それらRIPプログラムおよび色変換プログラムが起動されて実行されることにより、ワークステーション20内に、本発明の色変換システムの一実施形態を構成するRIP装置22および色変換装置23が構築される。
尚、上記では、RIPプログラムおよび色変換プログラムを記憶する記憶媒体としてCD−ROM110A,110Bが例示されているが、RIPプログラムおよび色変換プログラムを記憶する記憶媒体はCD−ROMに限られるものではなく、それ以外の光ディスク、MO、FD、磁気テープなどの記憶媒体であってもよい。また、RIPプログラムおよび色変換プログラムは、記憶媒体を介さずに、入力インタフェース216を介して直接にワークステーション20に供給されるものであってもよい。
次に、RIPプログラムおよび色変換プログラムについて説明する。
図6は、RIPプログラムが記憶されたCD−ROM110A、および色変換プログラムが記憶されたCD−ROM110Bを示す概念図である。
図6のパート(A)に示すように、CD−ROM110Aに記憶されたRIPプログラム310は、色空間判定部311、CMYKラスタライズ部312、第1共通変換部313、共通ラスタライズ部314で構成されており、図6のパート(B)に示すように、CD−ROM110Bに記憶された色変換プログラム320は、色空間分離部321、ターゲット変換部322、ターゲット出力部323、第1プルーフ変換部324、第2プルーフ変換部325、第2共通変換部326、純色保存部327、プルーフ出力部328で構成されている。
RIPプログラム310、および色変換プログラム320の各部の詳細については、RIP装置22、および色変換装置23の作用と一緒に説明する。
図7は、RIP装置22、および色変換装置23の機能ブロック図である。
RIP装置22は、色空間判定部411と、CMYKラスタライズ部412と、第1共通変換部413と、共通ラスタライズ部414と、画像バッファ415とを有しており、色変換装置23は、色空間分離部421と、ターゲット変換部422と、ターゲット出力部423と、第1プルーフ変換部424と、第2共通変換部425と、第2プルーフ変換部426と、純色保存部427と、プルーフ出力部428とを有している。
RIP装置22を構成する、色空間判定部411と、CMYKラスタライズ部412と、第1共通変換部413と、共通ラスタライズ部414は、図6に示すRIPプログラム310を構成する、色空間判定部311、CMYKラスタライズ部312、第1共通変換部313、共通ラスタライズ部314にそれぞれ対応し、色変換装置23を構成する、色空間分離部421と、ターゲット変換部422と、ターゲット出力部423と、第1プルーフ変換部424と、第2共通変換部425と、第2プルーフ変換部426と、純色保存部427と、プルーフ出力部428は、図6に示す色変換プログラム320を構成する、色空間分離部321、ターゲット変換部322、ターゲット出力部323、第1プルーフ変換部324、第2共通変換部326、第2プルーフ変換部325、純色保存部327、プルーフ出力部328にそれぞれ対応する。
図7の各要素は、コンピュータのハードウェアとそのコンピュータで実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図6に示すRIPプログラム310および色変換プログラム320の各要素はそれらのうちのアプリケーションプログラムのみにより構成されている点が異なる。
ここで、図7に示すRIP装置22および色変換装置23には、図3に示すカラースキャナ10の入力色空間(RGB色空間)からデバイス非依存の共通色空間(L*a*b*色空間)への座標変換が定義された第1共通プロファイル413a、編集装置21で使用される編集用プログラムに依存した入力色空間(CMYK色空間)からデバイス非依存の共通色空間(L*a*b*色空間)への座標変換が定義された第2共通プロファイル425b、デバイス非依存の共通色空間(L*a*b*色空間)からターゲット色空間(CMYKOG色空間)への座標変換が定義されたターゲットプロファイル422a、共通色空間(L*a*b*色空間)から出力色空間(C´M´Y´K´O´G´色空間)への座標変換が定義された第1プルーフプロファイル424b、共通色空間(L*a*b*色空間)から出力色空間(C´M´Y´K´色空間)への座標変換が定義された第2プルーフプロファイル426aが予め用意されており、これら各種プロファイルのうち、第2共通プロファイル425b、および第1プルーフプロファイル424bを除くプロファイルは、カラースキャナ10や印刷機40やプルーファ51,52を製造しているメーカ等から予め提供されることが多く、第2共通プロファイル425b、および第1プルーフプロファイル424bは、メーカ等から提供される基本プロファイルに基づいて作成される。ここでは、各種プロファイルの基本的な作成方法について説明する。
図8は、ターゲットプロファイル422aの概念図である。
ターゲットプロファイル422aを生成する場合には、図3に示す編集装置21において、CMYKOG6色の色データとして、C,M,Y,K,O,Gそれぞれの値を順次変化させた色データを生成し、そのようにして発生させた色データに基づくカラーパッチ画像をCTP30と印刷機40とで構成されるターゲットデバイスを使って印刷する。さらに、印刷されたカラーパッチ画像を構成する各色パッチを測色計で測色し、L*,a*,b*値を取得して、C,M,Y,K,O,G値と、まずは単純に対応付ける。
ここで、ターゲットプロファイル422aでは、1つのL*a*b*色空間の色データに対して、1つのCMYKOG色空間の色データが対応付けられる必要があるが、CMYKOG色空間の次元はL*a*b*色空間の次元よりも大きいため、この段階では、複数のC,M,Y,K,O,G値に対して同じL*,a*,b*値が重複して取得されている。また、L*a*b*色空間全体では、ターゲットデバイスでは表現することができない色も含まれているため、この段階でC,M,Y,K,O,G値と単純に対応付けられているL*,a*,b*値は、ターゲット変換部422に入力されると想定されるL*,a*,b*値を網羅しておらず、不足が生じている。
図9は、L*a*b*色空間におけるカラースキャナ10の色再現領域、およびCTP30と印刷機40とで構成されるターゲットデバイスの色再現領域を示している。
本実施形態においては、印刷機40でC,M,Y,K4色の色材に加えてO,G2色の色材が使用されることによって、ターゲットデバイスの色再現領域510の拡大が図られているが、R,G,B3色の光で画像を表現するカラースキャナ10の色再現領域520をカバーするには不十分である。したがって、上述した単純な対応付け段階においては、ターゲットデバイスの色再現領域510外のL*,a*,b*値は、C,M,Y,K,O,G値と対応付けられておらず、カラースキャナ10で生成された画像データがターゲットデバイスの色再現領域510内に含まれていない場合には、この段階で得られた対応関係を使ってもC,M,Y,K,O,G値に変換することができない。このため、ターゲットデバイスの色再現領域510外のL*a*b*色空間の色データを、CMYKOG色空間の色データと対応付けて、ターゲット変換部422に入力されると想定されるL*a*b*色空間の色データを網羅させる必要がある。
色データを最低限度に網羅するのであれば、すでにC,M,Y,K,O,G値と対応付けられているL*,a*,b*値はそのままで、ターゲットデバイスの色再現領域510外のL*,a*,b*値のみを新たにC,M,Y,K,O,G値と対応付ければよいが、そのように色再現領域510外のL*,a*,b*値のみを単純にマッピングすると、色再現領域510の境界付近でトーンジャンプなどが生じてしまう。したがって、色再現領域510の境界付近のL*,a*,b*値も含めて全体的にマッピングを行い、さらに、同じL*a*b*色空間の色データに対して重複して対応付けられた複数のCMYKOG色空間の色データのうちの1つを選択するなどして、抜けがなく網羅されたL*a*b*色空間の色データそれぞれに対して、1つのCMYKOG色空間の色データを対応付けて、ターゲットプロファイル422aを構築する。
続いて、第1プルーフプロファイル424b、および第2プルーフプロファイル426aの作成方法について説明する。
図10は、第1プルーフプロファイル424b、および第2プルーフプロファイル426aの概念図である。
第1プルーフプロファイル424bは、L*a*b*色空間上の色データをターゲットデバイスの色再現領域510内の色データにマッピングするためのマッピングプロファイルと、L*a*b*色空間の色データをC´M´Y´K´O´G´色空間の色データに変換するための基本プルーフプロファイルとが連結されたものである。
マッピングプロファイルを生成するときには、まず、図3に示す編集装置21で、L*a*b*色空間の色データとして、L*,a*,b*それぞれの値を順次変化させた色データを生成させる。続いて、図8に示すターゲットプロファイル422aに従って、編集装置21で生成されたL*a*b*色空間の色データをCMYKOG色空間の色データに変換させて、変換後のCMYKOG色空間の色データに基づくカラーパッチ画像を、CTP30と印刷機40とで構成されるターゲットデバイスを使って印刷させる。さらに、印刷されたカラーパッチ画像を構成する各色パッチを測色計で測色して、編集装置21で生成された色データのL*,a*,b*値と、測定計で測色されたL*,a*,b*値とを対応付けることによって、マッピングプロファイルが構築される。
また、基本プルーフプロファイルを新たに生成する場合には、ターゲットプロファイル422aを生成する場合と同様に、図3に示す編集装置21から、C´M´Y´K´O´G´それぞれの値を順次変化させた色データを生成し、そのようにして発生させた色データに基づくカラーパッチ画像をプルーファ51,52を使ってプリント出力する。続いて、プリント出力されたカラーパッチ画像を構成する各色パッチを測色計で測色してL*,a*,b*値を取得し、C´,M´,Y´,K´,O´,G´値と、まずは単純に対応付ける。本実施形態においては、ターゲットデバイスで出力される画像の色を再現するためのマッピング処理が、基本プルーフプロファイルではなくマッピングプロファイルを使って行われるため、この基本プルーフプロファイルでは、L*,a*,b*値が、その値が表現する色を忠実に出力するためのC´,M´,Y´,K´,O´,G´値に変換されることが求められる。したがって、上述したターゲットプロファイル422aを生成する場合のようなマッピング処理は行われず、同じL*,a*,b*値が重複して取得されたC´M´Y´K´O´G´色空間の色データの選択などが行われた後、L*a*b*色空間上の色データに対して1つのC´M´Y´K´O´G´色空間の色データが対応付けられて、基本プルーフプロファイルが構築される。
以上のようにして作成された、L*a*b*色空間の色データをL*a*b*色空間の色データに変換するマッピングプロファイルと、L*a*b*色空間の色データをC´M´Y´K´O´G´色空間の色データに変換する基本共通プロファイルとが連結されることによって、図10のパート(A)に示す第1プルーフプロファイル424bが構築される。この第1プルーフプロファイル424bは、L*a*b*色空間の色データを、図9に示すターゲットデバイスの色再現領域510内にマッピングするとともに、その色データの色空間をL*a*b*色空間からC´M´Y´K´O´G´色空間に変換するためのものである。第1プルーフプロファイル424bを予め構築しておくことによって、L*a*b*色空間の色データを、ターゲットデバイスの色再現領域510内に含まれるC´M´Y´K´O´G´色空間の色データに直接変換することができ、ターゲットデバイスで出力される印刷画像の色を精度良く再現することができる。
また、例えば、1色を33階調の色濃度で表現する場合、C,M,Y,K4色の印刷機が利用される図1のパート(B)に示す第2の画像出力システム2では、色変換装置1140で利用されるCMYK/L*a*b*プロファイルのデータサイズは、334×4=約4.7MB程度である。しかし、印刷機での色再現領域を広げるために、C,M,Y,K4色のインクに加えてO,G色のインクも使用する場合、図2のCMYKOG/L*a*b*変換部1141で利用されるCMYKOG/L*a*b*プロファイルのデータサイズは、336×3=約3.9GBにもなり、CMYKOG/L*a*b*変換部1141とL*a*b*K/C´M´Y´K´O´G´変換部1143とで利用されるプロファイルを連結したCMYKOG/C´M´Y´K´O´G´プロファイルのデータサイズは、336×6=約7.7GBにもなってしまう。本実施形態で利用される第1プルーフプロファイル424bのデータサイズは、333×6=約0.2MBであり、大幅にデータサイズが抑えられている。このため、本実施形態では、1色を表現する色濃度の階調数を減少させる必要がなく、高精度に印刷画像の色を再現することができるうえ、第1プルーフプロファイル424bを予めメモリに記憶しておくことができ、高速な色変換処理を実行することができる。
また、図10のパート(B)には、第2プルーフプロファイル426aの概念図が示されている。第2プルーフプロファイル426aは、図3に示す編集装置21で生成される色データがC´M´Y´K´それぞれの値を順次変化させた色データであること以外は、第1プルーフプロファイル424bに先駆けて作成された基本プルーフプロファイルと同様の手順で作成される。
続いて、第1共通プロファイル413a、および第2共通プロファイル425bの作成方法について説明する。
図11は、第1共通プロファイル413a、および第2共通プロファイル425bの概念図である。
図11のパート(A)には、第1共通プロファイル413aの概念図が示されている。
第1共通プロファイル413aを生成するときには、多数の色パッチからなるカラーパッチ画像を用意し、そのカラーパッチ画像を図3に示すカラースキャナ10で読み取って、各色パッチごとのRGB色空間上の色データを得るとともに、そのカラーパッチ画像を測色計で測色して、各色パッチについて、L*a*b*色空間上の座標を表わす色データを得る。これらRGB色空間上の色データと、L*a*b*色空間上の色データとを対応付けることによって第1共通プロファイル413aが得られる。
図11のパート(B)には、第2共通プロファイル425bの概念図が示されている。
第2共通プロファイル425bは、CMYK色空間の色データをL*a*b*色空間上の色データに変換するための基本共通プロファイルと、図10のパート(A)に示す第1プルーフプロファイル424bの作成時にも用いられたマッピングプロファイルとが連結されたものである。
従来より、印刷機でC,M,Y,K色材を使って印刷される画像のイメージをつかみやすいように、画像をC,M,Y,K色を使って編集する編集用ソフトウェアが広く知られている。CMYK色空間上の色データと、その色データが所定の式に基づいて変換されたL*a*b*色空間上の色データとが対応付けられて基本共通プロファイルが作成され、編集用ソフトウェアとともに基本共通プロファイルが提供される。
以上のようにして作成された、CMYK色空間の色データをL*a*b*色空間の色データに変換する基本共通プロファイルと、L*a*b*色空間の色データをL*a*b*色空間の色データに変換するマッピングプロファイルとが連結されることによって、図11のパート(B)に示す第2共通プロファイル425bが構築される。この第2共通プロファイル425bは、CMYK色空間の色データを、図9に示すターゲットデバイスの色再現領域510内にマッピングするとともに、その色データの色空間をCMYK色空間からL*a*b*色空間に変換するためのものである。予め基本共通プロファイルとマッピングプロファイルとを連結しておくことによって、高速に色変換処理を実行することができる。
本実施形態のRIP装置22および色変換装置23では、以上のように作成された、あるいはメーカから提供された各種プロファイルが予め用意され、それらのプロファイルを使って色変換処理が実行される。
図12は、プルーフ画像と印刷画像とが作成される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
以下では、この図12に従って、図7のRIP装置22および色変換装置23を構成する各種要素と、それら各種要素で実行される処理について詳しく説明する。
図3の編集装置21を使ってオペレータが印刷物を編集すると、編集した印刷物のページを表わすページ画像データが生成される。生成されたページ画像データは、図7に示すRIP装置22の色空間判定部411で取得される(図12のステップS101)。色空間判定部411は、本発明にいう画像取得部の一例に相当する。
上述したように、ページ画像データは、ページが部品の集合で表現されたものであり、様々な入力色空間の部品データが混在している。
色空間判定部411は、ページ画像データのうちRGB色空間の部品データを第1共通変換部413に伝え、L*a*b*色空間の部品データを共通ラスタライズ部414に伝え(図12のステップS102:No)、CMYK色空間の部品データをCMYKラスタライズ部412に伝える(図12のステップS102:Yes)。
第1共通変換部413は、図11のパート(A)に示す第1共通プロファイル413aを使って、RGB色空間の部品データをL*a*b*色空間の部品データに変換する(図12のステップS104)。変換後のL*a*b*色空間の部品データは、共通ラスタライズ部414に伝えられる。
共通ラスタライズ部414は、色空間判定部411から伝えられたL*a*b*色空間の部品データ、および第1共通変換部413でRGB色空間の部品データが変換されたL*a*b*色空間の部品データにラスタライズ化処理を施す(図12のステップS105)。ラスタライズ化処理が施されたL*a*b*色空間のラスタ部品データは、画像バッファ415に一旦保存される(図12のステップS106)。
また、CMYKラスタライズ部412は、色空間判定部411から伝えられたCMYK色空間の部品データにラスタライズ化処理を施す(図12のステップS103)。ラスタライズ化されたCMYK色空間のラスタ部品データも、画像バッファ415に一旦保存される(図12のステップS106)。CMYK色空間は、本発明にいう第1種の色空間の一例にあたり、CMYK色空間の部品データは、本発明にいう第1種データの一例にあたり、L*a*b*色空間やRGB色空間の部品データは、本発明にいう第2種データの一例に相当する。第1共通変換部413、共通ラスタライズ部414、およびCMYKラスタライズ部412を合わせたものは、本発明にいうデータ形式変換部の一例に相当する。
本実施形態のRIP装置22では、RGB色空間、およびL*a*b*色空間の部品データはL*a*b*色空間の部品データに揃えられた後でラスタライズ化処理が施されるが、CMYK色空間の部品データは、L*a*b*色空間の部品データに変換されずに、CMYK色空間の部品データのままでラスタライズ化処理が施される。このように、ラスタライズ化されたCMYK色空間のラスタ部品データが後段の色変換装置23に送られることによって、K版保存処理や純色保存処理で必要なC,M,Y,K成分が色変換装置23に確実に伝えられ、所望の色を有する画像を高精度に再現することができる。
画像バッファ415では、CMYKラスタライズ部412から伝えられたCMYK色空間のラスタ部品データと、共通ラスタライズ部414から伝えられたL*a*b*色空間のラスタ部品データとが保存され、それらが1つにまとめられて、CMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データとして色変換装置23に伝えられる。
RIP装置22から伝えられたCMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データは、色変換装置23の色空間分離部421で取得される。色空間分離部421は、RIP装置22から一緒にセットで送られてきたCMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データを、CMYK色空間のラスタ部品データとL*a*b*色空間のラスタ部品データに分離する。
ここで、通常は、実際の印刷が行われる前に、プルーファ51,52において事前確認用のプルーフ画像51a,52aが作成される。オペレータがワークステーション20のキーボードやマウスを操作して、プルーフ画像の生成を指示した場合には(図12のステップS107:Yes)、色空間分離部421は、RIP装置22から送られてきたCMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データのうちL*a*b*色空間のラスタ部品データを第1プルーフ変換部424に伝え(図12のステップS108:Yes)、CMYK色空間のラスタ部品データを第2共通変換部425に伝え、CMYK色空間のラスタ部品データのK成分を第2プルーフ変換部426に伝え、CMYK色空間のラスタ部品データのCMY成分を純色保存部427に伝える(図12のステップS108:No)。
第1プルーフ変換部424は、色空間分離部421からL*a*b*色空間のラスタ部品データが伝えられると、図10のパート(A)に示す第1プルーフプロファイル424bを使って、L*a*b*色空間のラスタ部品データを、図10に示すターゲットデバイスの色再現領域510内にマッピングし(図12のステップS109)、C´M´Y´K´O´G´色空間のプルーフ部品データに変換する(図12のステップS110)。尚、本実施形態においては、第1プルーフプロファイル424bによって、これらステップS109およびステップS110の処理が同時に行われる。変換後のプルーフ部品データは、プルーフ出力部428に伝えられる。
また、第2共通変換部425は、図11のパート(B)に示す第2共通プロファイル425bを使って、色空間分離部421から伝えられたCMYK色空間のラスタ部品データを、L*a*b*色空間のラスタ部品データに変換し(図12のステップS111)、図10に示すターゲットデバイスの色再現領域510内にマッピングする(図12のステップS112)。尚、これらステップS111およびステップS112においても、第2共通プロファイル425bによって同時に行われる。変換後のL*a*b*色空間のラスタ部品データは、第2プルーフ変換部426に伝えられる。
第2プルーフ変換部426には、第2共通変換部425からL*a*b*色空間のラスタ部品データが伝えられるとともに、色空間分離部421からCMYK色空間のラスタ部品データのK成分が伝えられる。第2プルーフ変換部426は、図10のパート(B)に示す第2プルーフプロファイル426aを使って、L*a*b*色空間のラスタ部品データをC´M´Y´K´色空間のプルーフ部品データに変換するとともに(図12のステップS113)、変換後のプルーフ部品データのK成分を、色空間分離部421から伝えられたCMYK色空間のラスタ部品データのK成分に置き換える(K版保存処理)。この結果、印刷画像においてK版で出力される色がプルーフ画像においても確実にK色で出力される。K版保存処理が施されたプルーフ部品データは、純色保存部427に伝えられる。
純色保存部427には、第2プルーフ変換部426からK版保存処理が施されたプルーフ部品データが伝えられるとともに、色空間分離部421からCMYK色空間のラスタ部品データのCMY成分が伝えられる。純色保存部427は、第2プルーフ変換部426から伝えられたC´M´Y´K´色空間のプルーフ部品データの色成分のうち、色空間分離部421から伝えられたC,M,Y成分が純色(各色が最大データ値)である色成分を純色(最大データ値)に置き換える(図12のステップS114)。純色保存処理が施されたプルーフ部品データは、プルーフ出力部428に伝えられる。C´M´Y´K´O´G´色空間は、本発明にいう出力色空間の一例にあたり、ターゲット変換部422および第1プルーフ変換部424は、本発明にいう色変換部の一例にあたり、第2共通変換部425と第2プルーフ変換部426と純色保存部427とを合わせたものも、本発明にいう色変換部の一例に相当する。
本実施形態では、ラスタライズ化処理が施された後の部品データに対して各種色変換処理が実行されるため、印刷画像の色を高精度に再現することができる。
プルーフ出力部428は、第1プルーフ変換部424、および純色保存部427それぞれから伝えられたC´M´Y´K´O´G´色空間のプルーフ部品データを合成し、それらプルーフ部品データが表わす部品で構成されたページを表わすプルーフ画像データを生成する。生成されたプルーフ画像データは、図3の階調プルーファ52や、プルーファ用網掛装置25に向けて出力される(図12のステップS115)。
階調プルーファ52では、プルーフ画像データに基づいて、色濃度が色材の濃さそのもので表現されたプルーフ画像52aが出力される。また、プルーファ用網掛装置25では、プルーフ画像データに網掛処理が施され、網掛後のプルーフ画像データが網点プルーファ51に送られる。網点プルーファ51では、色濃度が網点で表現されたプルーフ画像51aが生成される。
本実施形態の色変換装置23では、図2に示す画像出力システム2で実行されるような、入力色空間の画像データをターゲットデバイス用のCMYKOG色空間の画像データに変換してからマッピング処理を行う過程を経ずに、入力色空間の画像データがC´M´Y´K´O´G´色空間の画像データに変換される際に直接マッピング処理が行われるため、変換回数を軽減して処理時間を向上させることができるとともに、変換の際に含まれる誤差による色再現精度の劣化を抑えることができる。また、本実施形態では、ターゲット色空間(本実施形態では、CMYKOG色空間)の画像データを共通色空間(本実施形態では、L*a*b*色空間)の画像データに変換するための、6次元×3次元の膨大なデータサイズのプロファイルが不要であり、印刷機で多色の色材が使用されているが、再現精度を劣化させずにプルーフ画像を生成することができる。
オペレータがプルーフ画像51a,52aの色やレイアウトを確認し、ワークステーション20のキーボードやマウスを操作して印刷を指示すると、印刷が開始される(図12のステップS107:No)。
まず、画像バッファ415に保存されたCMYK色空間のラスタ部品データとL*a*b*色空間のラスタ部品データとが色変換装置23に送られる。
プルーフ画像の作成時にラスタライズ化処理が施された後のラスタ部品データが色空間分離部421に伝えられることによって、何度も同じ処理を実行する手間を省き、処理時間を向上させることができる。
色空間分離部421では、RIP装置22から送られてきたCMYK色空間、およびL*a*b*色空間のラスタ部品データが分別され、CMYK色空間のラスタ部品データがターゲット出力部423に伝えられるとともに(図12のステップS116:No)、L*a*b*色空間のラスタ部品データがターゲット変換部422に伝えられる(図12のステップS116:Yes)。
ターゲット変換部422は、図8に示すターゲットプロファイル422aを使って、色空間分離部421から伝えられたL*a*b*色空間のラスタ部品データをCMYKOG色空間のラスタ部品データに変換し、変換後のCMYKOG色空間のラスタ部品データをターゲット出力部423に伝える(図12のステップS117)。
ターゲット出力部423は、色空間分離部421から伝えられたCMYK色空間のラスタ部品データと、ターゲット変換部422から伝えられたCMYKOG色空間のラスタ部品データとを合成し、それらラスタ部品データが表わす部品で構成されたページを表わす印刷画像データを生成する。生成された印刷画像データは、図3に示す印刷用網掛装置24に送られて網掛処理が施された後、CTP30に送られる(図12のステップS118)。CTP30では、印刷画像データに基づいてC,M,Y,K,O,G6色の印刷用フィルム版が生成され、それら印刷用フィルム版が印刷機40に装着されて、印刷機40において印刷画像40aが作成される。
以上のように、本実施形態のRIP装置22および色変換装置23によると、多色の印刷機で印刷される印刷画像も高精度に再現することができる。
以上で、本発明の第1実施形態の説明を終了し、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、RIP装置から色変換装置にCMYK色空間のラスタ部品データが送られる代わりに、CMYK色空間のラスタ部品データのC,M,Y,K成分を表わすプロセス情報が送られる点が第1実施形態とは異なる。以下では、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図13は、本発明の第2実施形態におけるRIPプログラムが記憶されたCD−ROM110A´、および色変換プログラムが記憶されたCD−ROM110B´を示す概念図である。
本実施形態のRIPプログラム310´は、図6に示す第1実施形態のRIPプログラム310とほぼ同様の構成を有しているが、RIPプログラム310´には、プロセス情報生成部315、および第2共通変換部326が備えられている。
また、本実施形態の色変換プログラム320´も、図6に示す第1実施形態の色変換プログラム320とほぼ同様の構成を有しているが、色変換プログラム320´には、図6に示す色空間分離部321、および第2共通変換部326が備えられておらず、図6に示す純色保存部327に代えて、第1純色保存部3271、および第2純色保存部3272が備えられている。
図14は、第2実施形態におけるRIP装置22´、および色変換装置23´の機能ブロック図である。
RIP装置22´は、図7に示す第1実施形態のRIP装置22の各種要素に加えて、画像バッファ415に保存されたCMYK色空間のラスタ部品データに基づいてプロセス情報を生成するプロセス情報生成部416、図7に示す色変換装置23に備えられていた第2共通変換部425が備えられている。尚、この第2共通変換部425には、図11のパート(B)に示す、ターゲットデバイスの色再現領域510へのマッピング機能を有する第2共通プロファイル425bに代えて、第2共通プロファイル425bの構築に先駆けて生成あるいは提供される、マッピング機能を有していない基本共通プロファイル425aが備えられている。
また、色変換装置23´には、図7に示す第1実施形態の色変換装置23に備えられている第2共通変換部425、第2プルーフ変換部426が備えられておらず、図7の純色保存部427に代えて、第1純色保存部4271、および第2純色保存部4272が備えられている。
図15は、図14に示すRIP装置22´および色変換装置23´でプルーフ画像と印刷画像とが作成される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
図12に示す第1実施形態と同様に、オペレータによって編集されたページ画像データが図15に示すRIP装置22の色空間判定部411で取得される(図15のステップS201)。ページ画像データのうちのRGB色空間の部品データは、第1共通変換部413においてL*a*b*色空間の部品データに変換され(図15のステップS202:No、ステップS204)、変換後のL*a*b*色空間の部品データとページ画像データのうちのL*a*b*色空間の部品データは、共通ラスタライズ部414に伝えられ、ページ画像データのうちのCMYK色空間の部品データは、CMYKラスタライズ部412に伝えられる(図15のステップS202:Yes)。
共通ラスタライズ部414では、色空間判定部411および第1共通変換部413から伝えられたL*a*b*色空間の部品データにラスタライズ化処理が施され(図15のステップS205)。ラスタライズ化処理が施されたL*a*b*色空間のラスタ部品データが画像バッファ415に保存される(図15のステップS206)。
また、CMYKラスタライズ部412では、色空間判定部411から伝えられたCMYK色空間の部品データにラスタライズ化処理が施され(図15のステップS203)、ラスタライズ化されたCMYK色空間のラスタ部品データも、画像バッファ415に保存される(図15のステップS206)。
画像バッファ415にL*a*b*色空間、およびCMYK色空間のラスタ部品データが保存されると、それらのラスタ部品データが1つにまとめられて、CMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データとしてプロセス情報生成部416に伝えられる。
プロセス情報生成部416では、CMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データに基づいて、プロセス情報が生成される(図15のステップS207)。このプロセス情報は、そのラスタ部品データが表わす色がプロセス色であるか否かを示す第1のフラグ、C色を純色とするか否かを示す第2のフラグ、M色を純色とするか否かを示す第3のフラグ、およびY色を純色とするか否かを示す第4のフラグで構成されており、各画素について、これら第1のフラグから第4のフラグまでの計4ビットの情報が生成される。
表1は、プロセス情報を構成する各種フラグと、各フラグを判定する判定方法とを示している。
本実施形態においては、プロセス情報生成部416において、以下のようにして各種フラグの値が設定される。
まず、第1のフラグから第4のフラグまでの各値が「0」に初期化される。
続いて、CMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データのL*,a*,b*各色成分が取得され、それらL*,a*,b*全ての色成分が「0」であった場合は、そのラスタ部品データが表わす色がプロセス色であると判定され、第1のフラグの値が「1」に設定される。
また、CMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データのL*,a*,b*全ての色成分が「0」であり、かつC成分が「0(最小値)」または「100(最大値)」である場合は、C色は純色であると判定され、第2のフラグの値が「1」に設定される。
以下、同様に、CMYK−L*a*b*形式のラスタ部品データのL*,a*,b*全ての色成分が「0」であり、かつM成分が「0」または「100」である場合は、第3のフラグの値が「1」に設定され、Y成分が「0」または「100」である場合は、第4のフラグの値が「1」に設定される。
以上のようにして生成されたプロセス情報は、色変換装置23´の第1プルーフ変換部424、第1純色保存部4271、および第2純色保存部4272に伝えられる。
また、画像バッファ415に保存されたCMYK色空間のラスタ部品データは、第2共通変換部425に伝えられる。第2共通変換部425では、CMYK色空間の色データをL*a*b*色空間の色データに変換する基本共通プロファイル425aを使って、CMYK色空間のラスタ部品データがL*a*b*色空間のラスタ部品データに変換される(図15のステップS208)。変換後のL*a*b*色空間のラスタ部品データは、画像バッファ415に保存されたL*a*b*色空間のラスタ部品データとともに色変換装置23´に送られ、画像バッファ415に保存されたCMYK色空間のラスタ部品データのK成分も色変換装置23´に送られる。
プルーフ画像が生成される場合は(図15のステップS209:Yes)、L*a*b*色空間のラスタ部品データ、およびCMYK色空間のラスタ部品データのK成分が第1プルーフ変換部424に伝えられる。
第1プルーフ変換部424では、図10のパート(A)に示す第1プルーフプロファイル424bを使って、L*a*b*色空間のラスタ部品データが、図10に示すターゲットデバイスの色再現領域510内にマッピングされた(図15のステップS210)、C´M´Y´K´O´G´色空間のプルーフ部品データに変換される(図15のステップS211)。さらに、変換後のプルーフ部品データのK成分が、RIP装置22´から伝えられたCMYK色空間のラスタ部品データのK成分に置き換えられる(K版保存処理)。K版保存処理後のC´M´Y´K´O´G´色空間のプルーフ部品データは、第2純色保存部4272に伝えられる。
第2純色保存部4272では、第1プルーフ変換部424から伝えられたC´M´Y´K´O´G´色空間のプルーフ部品データのうち、RIP装置22´から送られてきたプロセス情報において第1のフラグが「1」であるプルーフ部品データの、第2のフラグ、第3のフラグ、および第4のフラグのうち「1」であるフラグに対応する色が純色に置き換えられる(図15のステップS212)。例えば、(第1のフラグ,第2のフラグ,第3のフラグ,該4のフラグ)=(1,1,0,0)といったプロセス情報が取得された場合には、プロセス情報中の第2のフラグ「1」に対応する「シアン」が純色であると判定され、プルーフ部品データ中のシアンのデータ値が「0」に近い値である場合には「0」に置き換えられ、「100」に近い値である場合には「100」に置き換えられる。純色保存処理が施されたプルーフ部品データは、プルーフ出力部428に伝えられる。
プルーフ出力部428では、純色保存処理が施されたプルーフ部品データが合成されてプルーフ画像データが生成され、プルーフ画像データが図3の階調プルーファ52やプルーファ用網掛装置25に向けて出力されて(図15のステップS213)、プルーフ画像51a,52aが作成される。
また、印刷が行われる場合には(図15のステップS209:No)、RIP装置22´から送られてきたL*a*b*色空間のラスタ部品データがターゲット変換部422で取得され、プロセス情報とK色成分が第1純色保存部4271に伝えられる。
ターゲット変換部422では、図8に示すターゲットプロファイル422aを使って、L*a*b*色空間のラスタ部品データがCMYKOG色空間のラスタ部品データに変換され、変換後のCMYKOG色空間のラスタ部品データが第1純色保存部4271に伝えられる(図15のステップS214)。
第1純色保存部4271では、ステップS212と同様にして、CMYKOG色空間のラスタ部品データに対してK版保存処理と純色保存処理とが施される(図15のステップS215)。K版保存処理および純色保存処理が施されたCMYKOG色空間のラスタ部品データは、ターゲット出力部423に伝えられる。
ターゲット出力部423では、伝えられたCMYKOG色空間のラスタ部品データが合成されてターゲット画像データが生成され、生成されたターゲット画像データが、図3に示す印刷用網掛装置24に送られた後、CTP30に送られる(図15のステップS216)。CTP30では、印刷画像データに基づいてC,M,Y,K,O,G6色の印刷用フィルム版が生成され、それら印刷用フィルム版が印刷機40に装着されて、印刷機40において印刷画像40aが作成される。
このように、予めプロセス情報を生成しておくことによって、CMYK色空間のラスタ部品データもL*a*b*色空間のラスタ部品データに変換してから色変換装置23´でまとめて処理を行うことができ、所望の色を有する画像を効率よく取得することができる。また、本実施形態においては、RIP装置22と色変換装置23とが同じワークステーション20上に構築されているが、RIP装置および色変換装置は別々のパーソナルコンピュータ上などに構築されることも多い。RIP装置と色変換装置とが別々のマシン上に構築され、それらがネットワークで接続された画像出力システムにおいては、RIP装置から色変換装置に、CMYK色空間の画像データに代えてプロセス情報が送信されることによって、通信データ量を軽減させて、処理速度を向上させることができる。
ここで、上記では、出力デバイスとしてプルーファを適用する例について説明したが、本発明にいう出力デバイスは、電子写真方式やインクジェット方式のカラープリンタや、印刷機であっても良く、あるいは表示画面上に画像を表示するCRTディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置などといった画像表示装置であってもよい。
また、上記では、出力色空間としてC´M´Y´K´O´G´色空間が適用され、共通色空間としてL*a*b*色空間が適用され、ターゲット色空間としてCMYKOG色空間が適用される例について説明したが、本発明にいう出力色空間、共通色空間、およびターゲット色空間はこれらの色空間に限らず、例えば、出力色空間としてRGB色空間が適用され、共通色空間としてLuv色空間が適用され、ターゲット色空間としてCMYK色空間などが適用されてもよい。
また、上記では、1つの色変換装置内で、印刷用画像データとプルーフ用画像データとを生成する例について説明したが、これらの各データは別々の装置で生成されてもよい。