JP4732372B2 - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、エンジンの出力軸にキャリアが接続されると共に車軸側にリングギヤが接続されたプラネタリギヤと、プラネタリギヤのサンギヤに接続されたモータMG1と、変速機を介して車軸側に接続されたモータMG2とを備える車両において、走行抵抗を測定するために惰行走行が指示されたときには、エンジンとモータMG1とを停止すると共に変速機の変速を禁止してモータMG1の回転数変化に伴うイナーシャトルクがプラネタリギヤを介して車軸側に出力されるトルクを打ち消すようモータMG2を駆動制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、こうした制御により、車軸側を完全な非駆動状態としている。
特開2006−44630号公報
車軸側にプラネタリギヤを介してエンジンとモータMG1とが接続されている車両では、上述の車両のようにモータMG1の回転数変化に伴うイナーシャトルクがプラネタリギヤを介して車軸側に出力されるトルクを打ち消すようモータMG2を駆動制御するなど、何らかの制御が必要となる。上述の車両では、モータMG1の回転数変化に伴うイナーシャトルクがプラネタリギヤを介して車軸側に出力されるトルクを演算する必要があるが、その演算精度によっては車軸側が完全な非駆動状態とはならない場合もある。
本発明の車両およびその制御方法は、車軸側に遊星歯車などの3軸式動力入出力器を介して内燃機関と発電機とが接続された車両において、走行抵抗を測定するために上述の車両とは異なる手法により車軸側を非駆動状態とすることを目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える車両であって、
前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段と、
車両の走行抵抗を測定するための指示がなされたときには、前記発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に前記所定回転数と前記検出された駆動軸の回転数とに応じた回転数で前記内燃機関が自立運転するよう前記発電機と前記内燃機関とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、車両の走行抵抗を測定するための指示がなされたときには、発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に所定回転数と駆動軸の回転数とに応じた回転数で内燃機関が自立運転するよう発電機と内燃機関とを制御する。即ち、発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に駆動軸が検出された回転数で回転したときに3軸式動力入出力手段を介して発電機の回転軸や駆動軸に接続された内燃機関の出力軸の回転数でこの内燃機関が自立運転するよう発電機と内燃機関とを制御するのである。この場合、発電機は所定回転数で回転するから発電機の回転数変化によるイナーシャトルクは発生しない。このため、こうしたイナーシャトルクが3軸式動力入出力手段を介して駆動軸に出力されることはない。そして、内燃機関は自立運転されるから内燃機関からもトルクが出力されることもない。したがって、駆動軸側(即ち、車軸側)は非駆動状態となる。この結果、車軸側を非駆動状態として走行抵抗を測定することができる。
こうした本発明の車両において、前記制御手段は、前記所定回転数と前記検出された駆動軸の回転数とにより前記内燃機関を運転すべき目標回転数を演算すると共に該演算した目標回転数で前記内燃機関が自立運転するよう制御する手段であるものとすることもできる。
また、本発明の車両において、前記所定回転数は、車両を停止した状態で前記内燃機関を安定して自立運転可能な最低回転数で運転したときの前記発電機の回転数以上の回転数であるものとすることもできる。こうすれば、車両が停車するまで車軸側を非駆動状態として走行抵抗を測定することができる。
本発明の車両の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える車両の走行抵抗を測定する際の制御方法であって、
前記発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に前記所定回転数と車速の変化に伴って変化する前記駆動軸の回転数とに応じた回転数で前記内燃機関が自立運転するよう前記発電機と前記内燃機関とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、車両の走行抵抗を測定する際には、発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に所定回転数と車速の変化に伴って変化する駆動軸の回転数とに応じた回転数で内燃機関が自立運転するよう発電機と内燃機関とを制御する。即ち、発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に駆動軸が検出された回転数で回転したときに3軸式動力入出力手段を介して発電機の回転軸や駆動軸に接続された内燃機関の出力軸の回転数でこの内燃機関が自立運転するよう発電機と内燃機関とを制御するのである。この結果、車軸側を非駆動状態として走行抵抗を測定することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両の駆動系全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に走行抵抗を測定する際の動作について説明する。図2は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行抵抗測定時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。なお、走行抵抗測定時にはモータMG2からはトルクが出力されないようモータMG2が制御される。
走行抵抗測定時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出された回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。
続いて、モータMG1が測定用回転数Nsetで回転するよう次式(1)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算すると共に(ステップS110)、モータMG2の回転数Nm2に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じて得られる駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数と測定用回転数Nsetとに基づいてモータMG1を測定用回転数Nsetで回転駆動したときのキャリア34の回転数を式(2)によりエンジン22の目標回転数Ne*として計算する(ステップS120)。ここで、測定用回転数Nsetは、車両が停車してもエンジン22を安定して自立運転できるサンギヤ31の回転数以上の回転数として設定されており、エンジン22の性能や動力分配統合機構30のギヤ比ρにより定めることができる。式(1)は、モータMG1を測定用回転数Nsetで回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(1)中、右辺第1項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「k2」は積分項のゲインである。式(2)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。走行抵抗を測定している最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図3に示す。図3の二つの実線は、走行抵抗の測定を開始したときと停車して走行抵抗の測定が終了したときとを示しており、二つの破線は走行抵抗の測定を開始してか停車するまでの状態の一例を示している。また、図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(2)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。
Tm1*=k1(Nset-Nm1)+k2∫(Nset-Nm1)dt (1)
Ne*=(Nm2・Gr+ρ・Nset)/(1+ρ) (2)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*を計算すると、目標回転数Ne*についてはエンジンECU24に、トルク指令Tm1*についてはモータECU40に、それぞれ送信して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*を受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*で自立運転するよう吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動するようインバータ41のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
上述の走行抵抗測定時制御ルーチンの実行により定常状態を考える。この場合、モータMG1は上述の式(1)のフィードバック制御により測定用回転数Nsetで安定して回転駆動し、エンジン22は目標回転数Ne*で安定して自立運転(無負荷運転)する。走行抵抗により車速が徐々に低下すると、車速の低下に伴って駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数も低下するが、式(2)によりリングギヤ軸32aの回転数の低下に応じてエンジン22の目標回転数Ne*が計算されてエンジン22が自立運転されるから、リングギヤ軸32a側、即ち、車軸側は非駆動状態となる。しかも、車両が停車してもエンジン22を安定して自立運転することができるサンギヤ31の回転数以上の回転数として設定された測定用回転数Nsetで回転するようモータMG1が制御されるから、走行抵抗の測定を介して停車により測定を終了するまで、モータMG1の回転数変化に伴う影響を受けることがない。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、走行抵抗を測定する際には、車両が停車してもエンジン22を安定して自立運転することができるサンギヤ31の回転数以上の回転数として設定された測定用回転数Nsetで回転駆動するようモータMG1を制御すると共に駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数と測定用回転数Nsetとに基づいてモータMG1を測定用回転数Nsetで回転駆動したときのキャリア34の回転数を目標回転数Ne*として計算してエンジン22が目標回転数Ne*で自立運転するようエンジン22を制御することにより、走行抵抗の測定を開始してから停車により測定を終了するまでモータMG1の回転数変化に伴う影響を受けることなく、車軸側を非駆動状態として走行抵抗を測定することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2の回転子の回転位置に基づいてモータMG2の回転数Nm2を演算し、この回転数Nm2に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じて駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数としたが、車速センサ88により検出される車速Vに換算係数を乗じて駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数とするものとしてもよいし、リングギヤ軸32aに回転数センサを取り付けて直接検出するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介してモータMG2を取り付けるものとしたが、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに変速機を介してモータMG2を取り付けるものとしてもよく、減速ギヤ35や変速機を有せずにリングギヤ軸32aに直接にモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図4の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図4における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、回転位置検出センサ44と回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2の回転子の回転位置に基づいてモータMG2の回転数Nm2を演算するモータECU40とが「回転数検出手段」に相当し、走行抵抗を測定する際には、車両が停車してもエンジン22を安定して自立運転することができるサンギヤ31の回転数以上の回転数として設定された測定用回転数Nsetで回転駆動するようモータMG1のトルク指令Tm1*を計算すると共に駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数と測定用回転数Nsetとに基づいてモータMG1を測定用回転数Nsetで回転駆動したときのキャリア34の回転数をエンジン22の目標回転数Ne*として計算してエンジンECU24やモータECU40に送信する処理である図2の走行抵抗測定時制御ルーチンのステップS110〜S130を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジン22が目標回転数Ne*で自立運転するようエンジン22を制御するエンジンECU24とモータMG1からトルク指令Tm1*のトルクが出力されてモータMG1が測定用回転数Nsetで回転するようモータMG1を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、入力軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機であっても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「回転数検出手段」としては、回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2の回転子の回転位置に基づいて演算されるモータMG2の回転数Nm2に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じるものに限定されるものではなく、駆動軸の回転数を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるものとしてもよい。また、「制御手段」としては、走行抵抗を測定する際に、車両が停車してもエンジン22を安定して自立運転することができるサンギヤ31の回転数以上の回転数として設定された測定用回転数Nsetで回転駆動するようモータMG1のトルク指令Tm1*を計算してモータMG1を制御すると共に駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数と測定用回転数Nsetとに基づいてモータMG1を測定用回転数Nsetで回転駆動したときのキャリア34の回転数をエンジン22の目標回転数Ne*として計算してエンジン22を制御するものに限定されるものではなく、車両の走行抵抗を測定するための指示がなされたときには、発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に所定回転数と駆動軸の回転数とに応じた回転数で内燃機関が自立運転するよう発電機と内燃機関とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行抵抗測定時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 走行抵抗を測定している最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (4)

  1. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える車両であって、
    前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段と、
    車両の走行抵抗を測定するための指示がなされたときには、前記発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に前記所定回転数と前記検出された駆動軸の回転数とに応じた回転数で前記内燃機関が自立運転するよう前記発電機と前記内燃機関とを制御する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記制御手段は、前記所定回転数と前記検出された駆動軸の回転数とにより前記内燃機関を運転すべき目標回転数を演算すると共に該演算した目標回転数で前記内燃機関が自立運転するよう制御する手段である請求項1記載の車両。
  3. 前記所定回転数は、車両を停止した状態で前記内燃機関を安定して自立運転可能な最低回転数で運転したときの前記発電機の回転数以上の回転数である請求項1または2記載の車両。
  4. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える車両の走行抵抗を測定する際の制御方法であって、
    前記発電機の回転軸が所定回転数で回転すると共に前記所定回転数と車速の変化に伴って変化する前記駆動軸の回転数とに応じた回転数で前記内燃機関が自立運転するよう前記発電機と前記内燃機関とを制御する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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