JP4729293B2 - 人工心臓弁、再生医療用基材及びその製造方法 - Google Patents

人工心臓弁、再生医療用基材及びその製造方法 Download PDF

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Description

筒状の基体にバルサルバ洞、かつ基体内部に弁尖を備えた人工心臓弁または再生医療用基材、及びその製造方法に関する。
弁狭窄症、弁閉鎖不全症等の心臓弁膜症により、弁の機能障害が生じ、弁を通じての正常な血流が損なわれる。例えば弁狭窄症の場合、心臓弁開口部の面積が小さくなり、弁を通過する血流量が減少する。また弁閉鎖不全症の場合、弁が正常に閉じないため、すきまから血液が逆流して十分な量の血液が流れなくなり、いずれのケースも重度の場合健康を維持できなくなる。こういった場合、弁を交換する必要があり、現在手術に用いられる弁には、1)機械弁、2)生体弁(異種、同種)の2種類がある。機械弁は、耐久性に優れ生涯使用できるものの、患者は抗凝固剤療法が必要であり、妊娠希望の患者や出血性の消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎の患者には使用が制限されている。また、生体弁においては抗凝固剤療法は必要ないが、耐久性に問題があり5〜10年で取替えが必要となる場合がある。
これに対し、近年大きく損傷しさらに失われた生体組織と臓器の治療法として、細胞の分化、増殖能を利用し元の生体組織および臓器に再構築する再生医療の研究が活発になってきている。例えば、皮膚(例えば非特許文献1)、角膜(例えば非特許文献2)、骨(例えば非特許文献3)、軟骨(例えば非特許文献4)、末梢神経(例えば非特許文献5)、血管(例えば非特許文献6)などが挙げられる。
また心臓弁に関しても、再生医療技術による試みが行われている。(例えば特許文献1)しかし、現在検討が行われている人工心臓弁は筒状の基体と弁尖の複合化は具体的には縫合で行われているため、そこから血液が漏洩したり等の問題がある。また同文献において基体と弁尖の複合化を接着により行うことも提案されているが、強度が保持できない等の問題がある。
特開2001-120582号公報 I.V.Yannas,J.F.Burke,J.Biomed.Mater.Res,14,65(1980) G.Pellegrini,C.E.Traverso,A.T.Franzi,M.Zingirian,R.Cancedda,M.deLuca,Lancet,349,990(1997) T.Yoshikawa,H.Ohgushi,T.Uemura,H.Nakajima,K.Ichijima,S.Tamai,T.Tamai,T.Tateishi,Biomed.Mater.Eng,8,311(1998) L.Peterson,T.Minas,M.Brittberg,A.Nilsson,E.Sjogren-Jansson,A.Lindahl,Clinic.Orthop,374,212(2000) (a)F.J.Rodoriguez,N.Gomez,G.Perego,X.Navarro,Biomareials,20,1489(1999);(b)T.Kiyotani,T.Nakamura,Y,Shimizu,K.Endo,ASAIOJ,41,M657(1995) T.Shinoka,C.K.Breuer,R.E.Tanel,G.Zund,T.Miura,P.X.Ma,R.Langer,J.P.Vacanti,J.E.Mayer,Ann.Thorac.Surg,60,S5135(1995)
本発明の課題は、平均繊維径が0.05〜10μmの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞、かつ基体内部に弁尖を備えた人工心臓弁、および静電紡糸法により該人工心臓弁を製造する方法を提供することにある。また本発明のもう一つの課題は、平均繊維径が0.05〜10μmの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞、かつ基体内部に弁尖を備えた心臓弁形状を有する再生医療用基材、および該再生医療用基材と生体細胞とからなる人工心臓弁を提供することにある。
本発明は、以下の通りである。
1.平均繊維径が0.05〜10μmの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞、かつ基体内部に弁尖を備えた人工心臓弁。
2.基体と弁尖との間に継ぎ目がないことを特徴とする1に記載の人工心臓弁。
3.前記繊維構造体が生分解性ポリマーよりなることを特徴とする1〜2のいずれかに記載の人工心臓弁。
4.前記生分解性ポリマーが、脂肪族ポリエステルよりなることを特徴とする3記載の人工心臓弁。
5.前記脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、またはそれらの共重合体よりなることを特徴とする4記載の人工心臓弁。
6.平均繊維径が0.05〜10μmの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞、かつ基体内部に弁尖を備えた心臓弁形状を有する再生医療用基材。
7.基体と弁尖との間に継ぎ目がないことを特徴とする6に記載の再生医療用基材。
8.前記繊維構造体が生分解性ポリマーよりなることを特徴とする6〜7のいずれかに記載の再生医療用基材。
9.前記生分解性ポリマーが、脂肪族ポリエステルよりなることを特徴とする8記載の再生医療用基材。
10.前記脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、またはそれらの共重合体よりなることを特徴とする9記載の再生医療用基材。
11.6〜10のいずれかに記載の再生医療用基材と生体細胞とからなる人工心臓弁。
12.ポリマーを揮発性溶媒に溶解した溶液を製造する工程と、前記溶液を静電紡糸法にて紡糸を行い、コレクタ上に弁尖形状の繊維構造体を得る工程、さらに得られた繊維構造体の上から静電紡糸法にて紡糸を行い弁尖と筒状の基体の複合化を行う工程、さらには同径の筒を重ね合わせ熱処理することで筒状の基体を積層化させる工程による上記に記載の人工心臓弁の製造方法。
13.ポリマーを揮発性溶媒に溶解した溶液を製造する工程と、前記溶液を静電紡糸法にて紡糸を行い、コレクタ上に弁尖形状の繊維構造体を得る工程、さらに得られた繊維構造体の上から静電紡糸法にて紡糸を行い弁尖と筒状の基体の複合化を行う工程、さらには同径の筒を重ね合わせ熱処理することで筒状の基体を積層化させる工程による上記に記載の再生医療用基材の製造方法。
本発明の人工心臓弁および再生医療用基材は、0.05〜10μmの繊維構造体からなることから、細胞の生着性に優れていることが期待される。また本発明によってカスタムメイドの人工心臓弁および再生医療用基材を提供することができ、縫合点や接合点による血液の漏洩を回避可能な人工心臓弁を提供することが可能となる。
以下、本発明について詳述する。なお、これらの実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明は平均繊維径が0.05〜10μmの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞、かつ基体内部に弁尖を備えた人工心臓弁である。
また本発明は、平均繊維径が0.05〜10μmの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞、かつ基体内部に弁尖を備えた心臓弁形状を有する再生医療用基材である。
また本発明は該再生医療用基材と生体細胞とからなる人工心臓弁、すなわち心臓弁形状を有する足場に組織の細胞を播種し培養して自己の組織を再生することによる人工心臓弁である。
本発明で使用される繊維構造体とは、単数または複数の繊維が積層され、集積されて形成された3次元の構造体である。繊維構造体の平均繊維径は0.05〜10μmである。
本発明の人工心臓弁および再生医療用基材はこのようなナノファイバーから繊維構造体とすることにより、1)細胞外マトリックスに近似したサイズの長さ、および/または径、2)繊維径の減少による比表面積の増大、すなわち通常の繊維(マイクロファイバー)と比較すると比表面積が100倍以上となる、また3)それに伴う細胞接着性の向上などの効果を有する。平均繊維径が、0.05μmよりも低いと該繊維構造体の強度が保てないため好ましくない。また平均繊維径が10μmよりも高いと繊維の比表面積が小さく生着する細胞数が少なくなるため好ましくない。さらに好ましくは平均繊維径が0.2〜5μmである。
本発明で使用される繊維構造体は静電紡糸法により得ることができる。静電紡糸法は成型加工が容易であり、ナノファイバーを集積させるコレクタの形状により、容易に基材の形状を変えることが可能である。そのため、心臓弁のような複雑な形状を有するものであっても成型が可能であり、かつ筒状の基体と弁尖を複合化する場合、静電紡糸法は一体成型が可能なため縫合による複合化は必要ない。これより本発明の人工心臓弁および再生医療用基材は基体と弁尖との間に継ぎ目がないという特徴を有する。これにより血液の漏洩が回避可能な人工心臓弁が提供できる。
本発明の繊維構造体を構成するポリマーは生体適合性のあるポリマーであり、非生分解性ポリマーおよび生分解性ポリマーが挙げられる。非生分解性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。
また生分解性ポリマーからの繊維構造体とすることにより、心臓弁形状を有する再生医療用基材として用いた場合に組織再生後には分解され、異物として体内に残存しない。
生分解性ポリマーとしては、好ましくは主として脂肪族ポリエステルからなる。脂肪族ポリエステルとしては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート及びこれらの共重合体などが挙げられる。これらのうち、脂肪族ポリエステルとしては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の繊維構造体には、生分解性ポリマー以外の第2成分をさらに含有しても良い。該成分としては、リン脂質類、糖質類、糖脂質類、ステロイド類、ポリアミノ酸類、タンパク質類、およびポリオキシアルキレン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。具体的な第2成分としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールなどのリン脂質類および/またはポリガラクチュロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルキチン、ガラクトマンナン、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、硫酸化ジェラン、カラヤガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、カードラン、プルラン、セルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グルコマンナン、キチン、キトサン、キシログルカン、レンチナンなどの糖質類および/またはガラクトセレブロシド、グルコセレブロシド、グロボシド、ラクトシルセラミド、トリヘキソシルセラミド、パラグロボシド、ガラクトシルジアシルグリセロール、スルホキノボシルジアシルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、グリコシルポリプレノールリン酸などの糖脂質類および/またはコレステロール、コール酸、サポゲニン、ジギトキシンなどのステロイド類および/またはポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジンなどのポリアミノ酸類および/またはコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、カゼイン、ケラチン、セリシン、トロンビンなどのタンパク質類および/またはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエーテルなどのポリオキシアルキレン類、FGF(繊維芽細胞増殖因子)、EGF(上皮増殖因子)、PDGF(血小板由来増殖因子)、TGF−β(β型形質転換増殖因子)、NGF(神経増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、BMP(骨形成因子)などの細胞増殖因子などが挙げられる。
また本発明はポリマーを揮発性溶媒に溶解した溶液を製造する工程と、前記溶液を静電紡糸法にて紡糸を行い、コレクタ上に弁尖形状の繊維構造体を得る工程、さらに得られた繊維構造体の上から静電紡糸法にて紡糸を行い弁尖と筒状の基体の複合化を行う工程、さらには同径の筒を重ね合わせ熱処理することで筒状の基体を積層化させる工程による、上記の人工心臓弁、または再生医療用基材の製造方法である。
静電紡糸法にて紡糸することにより上記にも述べたとおり、ナノファイバーを集積させるコレクタの形状により、容易に基材の形状を変えることが可能である。そのため、心臓弁のような複雑な形状を有するものであっても成型が可能であり、かつ筒状の基体と弁尖を複合化する場合、静電紡糸法は一体成型が可能なため縫合による複合化は必要ない。これより本発明の人工心臓弁および再生医療用基材を縫合することなく製造できるという特徴を有する。またカスタムメイドの人工心臓弁および再生医療用基材の提供が可能である。
本発明で溶液を形成する揮発性溶媒とは、ポリマーを溶解し常圧で沸点が200℃以下であり、室温で液体である物質である。ポリマーが脂肪族ポリエステルであるときの具体的な揮発性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、テトラヒドロフラン、1,1,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、水、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどが挙げられる。これらのうち、脂肪族ポリエステルの溶解性等から、塩化メチレン、クロロホルム、アセトンが特に好ましい。これらの溶媒は単独で用いても良く、複数の溶媒を組み合わせても良い。また本発明においては、本目的を損なわない範囲で他の溶媒を併用しても良い。
本発明で使用する静電紡糸法とは、ポリマーまたはポリマーと第2成分を揮発性溶媒に溶解した溶液を電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液を電極に向けて曵糸することにより、繊維状物質を製造する方法である。繊維状物質とは既に溶液の溶媒が留去され、繊維状物質となっている状態のみならず、いまだ溶液の溶媒を含んでいる状態も示している。
ここで用いられる電極は、金属、無機物、または有機物のいかなるものでも導電性を示すものであれば良い。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物の薄膜を持つものであっても良い。本発明における静電場は一対又は複数の電極間で形成されており、いずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは例えば電圧値が異なる高電圧の電極が2つ(例えば15kVと10kV)と、アースに繋がった電極の合計3つの電極を用いる場合も含み、または3本を超える数の電極を使う場合も含むものとする。
ポリマー溶液中のポリマーの濃度は、1〜30重量%であることが好ましい。ポリマーの濃度が1重量%より低いと、濃度が低すぎるため繊維状物質を形成することが困難となり好ましくない。また、30重量%より高いと得られる繊維状物質の繊維径が大きくなり好ましくない。より好ましいポリマーの濃度は2〜20重量%である。
該溶液を静電場中に吐出するには、任意の方法を用いることが出来る。例えば、一例として図1を用いて以下説明する。溶液2をノズルに供給することによって、溶液を静電場中の適切な位置に置き、そのノズルから溶液を電解によって曵糸して繊維化させる。このためには適宜な装置を用いることができ、例えば注射器の筒状の溶液保持槽3の先端部に適宜の手段、例えば高電圧発生器6にて電圧をかけた注射針状の溶液噴出ノズル1を設置して、溶液をその先端まで導く。接地した繊維状物質捕集電極5から適切な距離に該噴出ノズル1の先端を配置し、溶液2が該噴出ノズル1の先端を出るときにこの先端と繊維状物質捕集電極5の間にて繊維状物質を形成させる。
また当業者には自明の方法で該溶液の微細滴を静電場中に導入することもできる。一例として図2を用いて以下に説明する。その際の唯一の要件は液滴を静電場中に置いて、繊維化が起こりうるような距離に繊維状物質捕集電極11から離して保持することである。例えば、ノズル7を有する溶液保持槽9中の溶液8に直接、直接繊維状物質捕集電極に対抗する電極10を挿入しても良い。
該溶液をノズルから静電場中に供給する場合、数個のノズルを用いて繊維状物質の生産速度を上げることもできる。電極間の距離は、帯電量、ノズル寸法、紡糸液流量、紡糸液濃度等に依存するが、10kV程度のときには5〜20cmの距離が適当であった。また、印加される静電気電位は一般に3〜100kV、好ましくは5〜50kV、一層好ましくは5〜30kVである。所望の電位は任意の適切な方法で作れば良い。
上記説明は、電極がコレクタを兼ねる場合であるが、電極間にコレクタとなりうる物を設置することで、電極と別にコレクタを設けることが出来る。またコレクタの形状を選択することで、シート、チューブなどが得られる。さらに、例えばベルト状物質を電極間に設置してコレクタすることで、連続的な生産も可能となる。本発明においては、該溶液をコレクタに向けて曵糸する間に、条件に応じて溶媒が蒸発して繊維状物質が形成される。通常の室温であればコレクタ上に捕集されるまでの間に溶媒は完全に蒸発するが、もし溶媒蒸発が不十分な場合は減圧条件下で曵糸しても良い。また、曵糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、通常は0〜50℃である。
本発明の弁尖の作製は、弁尖形状のコレクタ上で静電紡糸法により紡糸を行い作製する。または、円筒体を弁尖形状のコレクタに合わせて折り合わせて作製する。
本発明の弁尖と筒状の基体との複合化は、弁尖のコレクタをオス型とした場合それに対応するメス型のコレクタと弁尖とを接合させた後、静電紡糸法により紡糸を行い複合化させる。または、熱処理によって弁尖と基体の接合を行う。さらに人工心臓弁の壁厚を厚くするために、人工心臓弁と同径の円筒体を重ね合わせて熱処理を行うことで積層化を行う。積層化温度は、40〜90℃であることが好ましい。40℃より低いと、繊維構造体の積層が効率良く行えないことがあり、また90℃より高いとポリマーが一部融解してしまい繊維構造が破壊されることがある。
以下の実施例により本発明の詳細をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例に使用したポリカプロラクトン−ポリ乳酸共重合体(CL/L-LA(mol%):23/77)は多木化学(株)製、塩化メチレンおよびエタノールは和光純薬工業(株)製を使用した。
[実施例1]
ポリカプロラクトン−ポリ乳酸共重合体(CL/L-LA(mol%):23/77)1g、塩化メチレン/エタノール=8/1(重量部/重量部)9gを室温(25℃)で混合し濃度10%のドープ溶液を調整した。図2に示す装置を用いて、弁尖の形状をした繊維状物質捕集電極5に5分間吐出し、弁尖形状の繊維状物質を得た(外径:2cm)。噴出ノズル1の内径は0.8mm、電圧は14kV、噴出ノズル1から繊維状物質捕集電極までの距離は10cmであった。さらに、弁尖と筒状の基体との複合化を行うために、弁尖のコレクタをオス型とした場合それに対応するメス型のコレクタと弁尖とを接合し、繊維状物質捕集電極5に5分間吐出し、基体内部に弁尖を備えた人工心臓弁を得た。さらに膜厚を厚くするために、外径2cm、膜厚200μmの円筒体を4つ重ね合わせて80℃で10分間熱処理を行い、目的物を得た。得られた人工心臓弁に3L/分の流量の水を流したところ弁の開閉が確認され、さらに弁と基体の接合部からの水の漏洩は確認されなかった。
[比較例1]
弁尖と筒状の基体との複合化を縫合で行った以外、実施例1と同様に目的物を得た。得られた人工心臓弁に3L/分の流量の水を流したところ弁と基体の接合部から水の漏洩が確認され、弁の開閉は確認できなかった。
本発明の人工心臓弁は、縫合による血液の漏洩を回避可能である。
本発明の製造方法のなかで、紡糸液を静電場中に吐出する静電紡糸法で用いる装置の一例である。 本発明の製造方法のなかで、紡糸液の微細液を静電場中に導入する静電紡糸法で用いる装置の一例である。 本発明の製造方法のなかで用いる心臓弁鋳型の一例である。
符号の説明
1. 溶液噴出ノズル
2. 溶液
3. 溶液保持層
4. 電極
5. 繊維状物質捕集電極
6. 高電圧発生器
7. 溶液噴出ノズル
8. 溶液
9. 溶液保持層
10. 電極
11. 繊維状物質捕集電極
12. 高電圧発生器
13. 弁尖形状の繊維状物質補集電極(オス型)
14. 弁尖形状の繊維状物質補集電極(メス型)

Claims (9)

  1. 平均繊維径が0.05〜10μmである生分解性脂肪族ポリエステルの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞様構造を備え、かつ基体内部に弁尖を備えた人工心臓弁。
  2. 基体と弁尖との間に継ぎ目がないことを特徴とする請求項1に記載の人工心臓弁。
  3. 生分解性脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、またはそれらの共重合体である請求項1または2に記載の人工心臓弁。
  4. 平均繊維径が0.05〜10μmである生分解性脂肪族ポリエステルの繊維構造体からなり、筒状の基体にバルサルバ洞様構造を備え、かつ基体内部に弁尖を備えた心臓弁形状を有する再生医療用基材。
  5. 基体と弁尖との間に継ぎ目がないことを特徴とする請求項に記載の再生医療用基材。
  6. 生分解性脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、またはそれらの共重合体である請求項4または5に記載の再生医療用基材。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の再生医療用基材と生体細胞とからなる人工心臓弁。
  8. 生分解性脂肪族ポリエステルを揮発性溶媒に溶解した溶液を製造する工程と、前記溶液を静電紡糸法にて紡糸を行い、コレクタ上に弁尖形状の繊維構造体を得る工程、さらに得られた繊維構造体の上から静電紡糸法にて紡糸を行い弁尖と筒状の基体の複合化を行う工程、さらには同径の筒を重ね合わせ熱処理することで筒状の基体を積層化させる工程による請求項1に記載の人工心臓弁の製造方法。
  9. 生分解性脂肪族ポリエステルを揮発性溶媒に溶解した溶液を製造する工程と、前記溶液を静電紡糸法にて紡糸を行い、コレクタ上に弁尖形状の繊維構造体を得る工程、さらに得られた繊維構造体の上から静電紡糸法にて紡糸を行い弁尖と筒状の基体の複合化を行う工程、さらには同径の筒を重ね合わせ熱処理することで筒状の基体を積層化させる工程による請求項に記載の再生医療用基材の製造方法。
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