JP4727482B2 - 合成セグメント - Google Patents
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上記特許文献1に記載の合成セグメントは、湾曲形成された主桁板や平面状の継手板が断面視コの字形状の鋼板で形成され、これらをスキンプレートに結合して、スキンプレートの対向側に開口部を有する箱形構造の鋼殻を備えている。
また、特許文献2に記載の合成セグメントは、断面コの字形状の主桁板と継手板とスキンプレートとを結合してスキンプレートの対向側に開口部を有する円弧板状の箱形に形成されると共に、2つの主桁板間に複数の略H字状のずれ止めを配置した構成の鋼殻を備えている。
そこで、本願の発明者は、先行する特願2004−207350号出願や特願2005−69020号出願によって、鋼殻を構成する外周面と内周面の対向する二辺に、それぞれ略円弧状に湾曲する略L字形状断面または四角形状断面の各一対の第一鋼材と第二鋼材を対向配置すると共に、一対の第一鋼材の両端部どうし、一対の第二鋼材の両端部どうしをそれぞれ継手部材で連結した構成として、鋼殻の鋼材の使用量を少なくし、低コストであると共に薄肉構造であっても高強度である合成セグメントを提案した。
しかし、先行する特願出願の合成セグメントでは、合成セグメントの外周面側と内周面側に独立して配置された第一鋼材と第二鋼材が、合成セグメントに作用する外力によってそれぞれ自由に圧縮歪みと引張り歪みを生じるため、大きな外力が作用した場合には、鋼殻とコンクリートの一体化が損なわれるおそれがあり、合成セグメントの高強度化が難しい。
本発明によれば、合成セグメントの鋼殻が、外周面と内周面の各二辺にそれぞれ設けた第一鋼材と第二鋼材の継手面側における両端部どうしを端部プレートで連結された構成とされているので、合成セグメントに外部から高荷重が作用して、外周面側に圧縮歪みが、内周面側に引っ張り歪みが生じ、それらの歪みの差により鋼殻とコンクリートとの一体化が崩れようとする場合でも、前記端部プレートによって第一鋼材と第二鋼材の個々の自由な歪みが拘束され、これにより、合成セグメントにおける鋼殻とコンクリートの一体化が損なわれることが無く、合成セグメントの高強度化を図ることができる。また、鋼殻として使用する鋼材が、主桁面と継手面の全面を覆うような従来の合成セグメントと比較して少ないために低コストであり、合成セグメントが軽量化されて取扱性が向上される。
しかも、一対の端部プレート間の継手面にセグメント間継手を設けるスペースが容易に確保される。
このようにすると、幅広の合成セグメントであっても鋼殻とコンクリートの一体化が良好に行える。
また、前記合成セグメントにおいて、前記第三鋼材と第四鋼材がそれぞれ対向して配設されて接続部材によって連結された構成とすることができる。
これによれば、鋼殻の厚み方向における鋼材の連結強度が高められ、鋼殻とコンクリートの一体化が一層向上される。
しかも、一対の端部プレート間の継手面にセグメント間継手を設けるスペースが容易に確保される。
図1〜図5は本発明の第一の実施の形態に係る合成セグメント1を示す。この合成セグメント1は、例えば、シールド工法によって大断面の道路用トンネルの内壁に構築されるトンネル覆工体を形成するものであり、薄肉の略長方形板状のものが略円筒周面形状(以下、「円弧板状」という)に湾曲され、図1〜図3、図5に示すように、鋼殻2とその内部に充填されるコンクリート3とを有して構成されている。
そして、合成セグメント1の短辺側(トンネルの軸方向に沿う辺側)の側面である継手面4には、トンネルの周方向の連結のためのセグメント間継手5が設けられ、このセグメント間継手5は中継継手部5aとインサート継手部5bとを有している。また、長辺側(トンネルの周方向に沿う辺側)の側面である主桁面6には、トンネルの軸方向の連結のためのリング間継手7の雄部7aが複数個(図示の例では4個)設けられ、対向する主桁面6には雄部7aが嵌合する雌部7bが設けられている。対向する各主桁面6,6には互いに嵌合するほぞ8としてほぞ凸部8aとほぞ凹部8bとが設けられている(図3参照)。
前記外側枠体部9は長辺が略円弧板状に湾曲して形成されていて横断面(トンネルの軸方向に沿う断面)が略長方形をなす一対の第一鋼材11,11を備え、前記内側枠体部12は長辺が略円弧板状に湾曲して形成されていて横断面が略長方形をなす一対の第二鋼材12,12を備えている。
前記継手板14,14は例えば第一、第二鋼材11,12の厚みと同一厚み、同一幅に設定されている。前記外側枠体部9と内側枠体部10はいずれも鋼材で構成されていて、好ましくは同一寸法とされている。
そして、鋼殻2の厚み方向に対向する第三鋼材15と第四鋼材16とは、例えば略V字状をなすラチス(接続部材)17によって互いに連結されている。前記ラチス17は第三鋼材15と第四鋼材16の長手方向(鋼殻2の周方向)に連続して複数配列されている。
そして、前記鋼殻2の外側枠体部9においては、図5に示すように、スキンプレート20が前記第一鋼材11,11の外周にそれぞれ溶接により水密に固着されている。また、前記鋼殻2の内側枠体部12においては、前記第二鋼材12,12及び第四鋼材16,16の内周面に、塗装、その他による防錆処理が施されている。
また、第一鋼材11と第二鋼材12は例えば圧延によって製造される。即ち、板状の鋼材を加熱圧延ロール間で挟んで繰り出すことにより、鋼材を第一、第二鋼材11,12を所定厚み及び幅寸法に引き延ばす。これと同時に、鋼材の第一、第二鋼材11,12の前記外端面11a、12aに相当する面にシール溝形成用の車輪状の圧延部材を押し当てることにより、鋼材の長さ方向に凹溝が形成されて前記シール溝18とされ、この鋼材を所定の曲率で湾曲させることにより、第一鋼材11及び第二鋼材12が形成される。
しかも、合成セグメント1の主桁面6において、長手方向の角部に第一、第二鋼材11,12を配設してシール溝18を形成した外端面11a、12aを位置させたから、内外周面の角部からシール溝18までの距離が短く、前記外端面11a、12a間のほぞ8やリング間継手7を相対的に大きく形成することができ、合成セグメント1を厚みの小さい薄肉板状に形成してもセグメント1、1どうしの軸方向における連結強度が高い。
さらに、前記端部プレート13は、継手面4の長手方向において中間部が間隔をあけて分離されており、分離された端部プレート13,13どうしが継手面4の厚み方向における両端側に配置された継手板14,14によって連結された構成とされているので、一対の端部プレート13,13間の継手面4にセグメント間継手5を設けるスペースが容易に確保される。このため、大きなセグメント間継手の採用により、合成セグメント1,1どうしの周方向における連結強度も高められる。
さらに、第三鋼材15と第四鋼材16をそれぞれラチス17で接続すると共に、第一鋼材11と第三鋼材15、及び第二鋼材12と第四鋼材16をそれぞれ一体化する構成としているので、合成セグメント1の製造時に型枠内での構造部材の位置ずれを生じることが無く、合成セグメント1を安価に安定して製造することができる。
また、第一鋼材11及び第二鋼材12及び端部プレート13,13と継手板14、14にシール溝18、19をそれぞれ形成してシール材を設けることにより、他の合成セグメント1と連結して道路用トンネル等の内側への地下水等の漏水を確実に防止することができる。しかも、この合成セグメント1を道路用トンネルに適用するとセグメント1の厚み分だけ桁高を小さくできる。
この第二の実施形態に係る合成セグメント1Aは、第一の実施の形態に係る合成セグメント1では、前記第一鋼材11と第二鋼材12を連結する端部プレート13が、継手面4の長手方向で2つに分離され、分離された一対の端部プレート13,13が一対の継手板14,14によって連結されているのに対して、端部プレート13Aが2つに分離されることなく、継手面4の長手方向に一体に形成された構成となっている。そして、端部プレート13Aの合成セグメント1Aの厚み方向における両端部には、前記シール溝19,19が継手面4の長手方向に沿って連続して形成されており、該シール溝19,19の両端部は前記主桁面6,6のシール溝18,18に連絡されている。
その他の構成は、前記合成セグメント1と同様であるので、同一または同様の構成部分には同一の符号を付してそれらについての説明は省略する。
この実施の形態に係る合成セグメント1Aによれば、前記合成セグメント1と同様な作用、効果が奏されるほかに、端部プレート13Aが、一対の第一鋼材11,11と一対の第二鋼材12,12に一体に連結されて鋼殻2の継手面4側を完全に閉じるので、合成セグメント1Aに高荷重が作用するときでも、鋼殻2とコンクリートの一体化が確実に図れ、合成セグメント1Aの強度が一層向上される。
また、前記各実施の形態に係る合成セグメント1,1Aにおいて、ラチス17は、合成セグメント1の製造時に型枠内に鋼殻2を配置する際、第三鋼材15と第四鋼材16を繋ぐために設けられるものであるが、必ずしも設けなくても良い。また、第三鋼材15及び第四鋼材16自体も必ずしも設けなくてもよい。
また、前記各実施形態に係る合成セグメント1,1Aにおいて、第一、第二、第三、第四鋼材11,12,15,16は、共に合成セグメントの構造材を構成しており、合成セグメントが薄肉、幅広構造であってもそれに高強度を発揮させる。前記ラチス17は、複数の板状または棒状部材を略V字状に配列した構造とされているが、コンクリート3の充填性が良好な隙間を有する形状であれは、必ずしも当該形状である必要はなく、任意の形状の接続部材を採用することができる。
また、主桁面6,6にほぞ8としてほぞ凸部8aとほぞ凹部8bを配設したが、リング間継手7だけでもよい。
2 鋼殻
3 コンクリート
4 継手面
6 主桁面
11 第一鋼材
12 第二鋼材
14 継手板(継手部材)
15 第三鋼材
16 第四鋼材
17 ラチス(接続部材)
20 スキンプレート
Claims (3)
- 鋼殻の内部にコンクリートを充填して略円弧板状に形成され、周方向及び軸方向に複数連結されることにより筒状壁体を構成する合成セグメントであって、
前記鋼殻は、略円弧状に湾曲して外周面の対向する主桁面側の二辺に設けられた一対の第一鋼材と、略円弧状に湾曲して内周面の対向する主桁面側の二辺に設けられた一対の第二鋼材と、前記第一鋼材と第二鋼材の継手面側における両端部どうしを連結する端部プレートとを備え、
前記端部プレートは、継手面の長手方向において中間部が間隔をあけて分離されており、分離された端部プレートどうしが継手面の厚み方向における両端側に配置された継手部材によって連結されていることを特徴とする合成セグメント。 - 前記第一鋼材の内側には、該第一鋼材にそれぞれ連結または分離して円弧状に湾曲する第三鋼材が設けられ、前記第二鋼材の内側には、該第二鋼材にそれぞれ連結または分離して円弧状に湾曲する第四鋼材が設けられており、前記第三鋼材と第四鋼材の両端部は前記端部プレートに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の合成セグメント。
- 前記第三鋼材と第四鋼材は、それぞれ対向して配設されて接続部材によって連結されていることを特徴とする請求項2に記載の合成セグメント。
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