JP4726737B2 - 光コネクタの抜け止め解除補助装置およびプリント基板装置 - Google Patents

Description

本発明は、光ファイバが連結されるプラグとプラグが挿入されるレセプタクルからなる光コネクタの抜け止め解除補助装置に関する。

近年の情報ネットワークの拡大にともなって光ファイバ通信方式が主流となってきたが、さらに光回線の増大と高密度化が要求されている。

光通信システムの各ノードには通信装置が設置され、その架内シェルフには光回線を収容しかつ制御する機能を持たせたプリント基板が実装される。プリント基板には、インタフェース用光コネクタが取り付けられ、光コネクタに光ファイバが着脱可能に接続される。このような光コネクタとして、種々の形状のものが提案されまた規格化されており（特許文献１〜３）、例えば小型かつ高密度化可能なＬＣタイプのコネクタは北米の通信キャリアにおいて標準的に使用されている。

そのような光コネクタは、抜け止めのためのラッチ機構を持っており、光ファイバが接続されたプラグをレセプタクルに挿入することによってラッチ機構が自動的に働き、これらを確実に連結することができる。プラグを引き抜くときは、プラグに設けられたレバーを指先で操作することによってラッチ機構を解除し、その状態でプラグをレセプタクルから引き抜くことができる。
特開２００５−１７６０２ 特開平１１−６４６８２ 特許第３３９０６９７号

しかし、プラグの引き抜きに際して、小さなレバーを指先で操作してラッチ機構を解除することは、十分なスペースが確保された環境においては容易であるが、光コネクタが狭い場所に実装されていた場合には容易ではない。

つまり、通常、上に述べたプリント基板は、多数枚が密集した状態でシェルフに実装される。例えば、多数のプリント基板を互いに隣接してスロットに装着した場合に、各プリント基板に取り付けられた階段状の前面板に光コネクタのレセプタクルが取り付けられる。この場合に、光コネクタに接続される光ファイバの飛び出し領域も含めてシェルフ内の領域に納める必要があるため、必然的に光コネクタの実装位置はシェルフの表面から奥まった位置となる。この状態においては、プラグの着脱のための指を入れ難く、特にラッチ機構の解除のためにレバーを指先で操作することは困難である。

そのため、従来においては、プラグの引き抜きの際に、ラッチ機構の解除のために工具を必要としていた。

本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、光ファイバの接続に用いる光コネクタの抜け止めの解除のための操作性を改善し、光コネクタが狭い場所に設けられていた場合であってもプラグの着脱を容易に行えるようにすることを目的とする。

本発明に係る光コネクタの抜け止め解除補助装置は、光ファイバが連結されるプラグと前記プラグが挿入されるレセプタクルからなる光コネクタの抜け止め解除補助装置であって、前記プラグの本体の正面側には、先端部を指で操作して前記プラグの本体に近づけるように弾性変形させることが可能なレバーが形成されており、前記レバーに形成された係合部と前記レセプタクルに設けられた係合部とが係合することによって互いの抜け止めがなされ、かつ前記操作によって前記レバーをその弾性力に抗して変形させることによって前記係合部同士の係合が解除され、これによって前記プラグを前記レセプタクルから引き抜くことが可能に構成されており、抜け止め解除補助装置は、前記レセプタクルに対して固定的に設けられるベース部材と、前記ベース部材に対して弾性変形可能に設けられた補助レバーと、を含み、前記補助レバーは、前記ベース部材に連続した基部と、前記基部に連続しており前記レバーの先端部に当接することが可能な押当部と、前記押当部に連続しておりかつ前記操作によって前記レバーを変形させる方向に沿う距離が前記レバーの先端部よりも前記プラグの本体に近い位置にある操作部とを有し、前記操作部を指で操作することによって、前記押当部が前記レバーの先端部に押当して移動させ、前記係合部同士の係合を解除することが可能に構成されている。

好ましくは、前記操作部は前記プラグの本体の側面側に配置されており、前記プラグの本体の側面側において前記操作部を指で操作することが可能である。

また、前記操作部は、前記プラグの軸方向に沿って延びる平面状であり、かつ前記操作部と前記押当部との間が平面で繋がっており、側面視において略Ｚ字形を呈している。

また、前記レセプタクルは、少なくとも２つのプラグが横並びで挿入可能となっており、前記抜け止め解除補助装置は、２つのプラグのレバーをそれぞれ操作することができるように、前記ベース部材に２つの前記補助レバーが設けられており、かつ、２つの前記補助レバーのそれぞれの前記操作部は、前記プラグの本体の互いに反対側の側面側に配置されている。

また、本発明のプリント基板装置は、上に述べた光コネクタの抜け止め解除補助装置が、プリント基板の表板に取り付けられた光コネクタに取り付けられてなる。

本発明によると、光ファイバの接続に用いる光コネクタの抜け止めの解除のための操作性を改善し、光コネクタが狭い場所に設けられていた場合であってもプラグの着脱を容易に行うことができる。

図１は本発明に係る光コネクタ５を実装したプリント基板３の正面図、図２はプリント基板３の右側面図、図３は図２に示すプリント基板３において同図の表面側の右下方向から光コネクタ５を見た斜視図、図４は図２に示すプリント基板３において同図の裏面側の右下方向から光コネクタ５を見た斜視図、図５は光コネクタ５を構成するプラグ１２の上面図および正面図、図６は光コネクタ５の右側面図、図７は光コネクタ５の上面断面図、図８は解除補助装置６の正面図、図９は解除補助装置６の平面図、図１０は解除補助装置６の右側面図、図１１は解除補助装置６を取り付けた光コネクタ５の要部を示す断面図である。

図１〜図４において、通信装置の架内シェルフ内に、多数のプリント基板３，３ｂ，３ｃが互いに平行に配置され密集した状態で実装されている。その内のプリント基板３には、薄い金属板などから階段状に形成された前面板７が取り付けられ、その前面板７に光コネクタ５および解除補助装置６が取り付けられている。

本実施形態に示した光コネクタ５は、２つのレセプタクルが一体で形成された２連のものであり、それぞれに光ファイバを連結したプラグが挿入されるようになっている。レセプタクルおよびプラグはいずれも同じ構造であるので、ここでは１つののみについて説明する。

上に述べたように、光コネクタ５は、光ファイバＨＦが連結されたプラグ１２、プラグ１２が挿入されるレセプタクル１１からなるが、このような光コネクタ５それ自体は、従来から公知のＬＣタイプの光コネクタである。したがって、レセプタクル１１およびプラグ１２それ自体の形状、構造、操作方法については公知であるので、ここでは簡単に説明するに留める。

図２によく示されているように、光コネクタ５は、プラグ１２を前面側の斜め下方から斜め上方に向かってレセプタクル１１に挿入することによって接続するように、前面板７から突出して取り付けられている。プラグ１２をレセプタクル１１から引き抜く際には、解除補助装置６を指で操作しながらプラグ１２を下方へ引っ張ることとなる。

図６および図７をも参照して、レセプタクル１１は、外形が直方体状で合成樹脂からなるハウジング２１、内部の中央に設けられたジルコニアなどからなるワリスリーブ２２、および、バネ材料からなるプレート２３などを有する。ハウジング２１には２つの穴２５，２５が設けられており、各穴２５の両側の開口部からプラグ１２がそれぞれ挿入される。同じ穴２５に両側から挿入された２つのプラグ１２は、それぞれの先端部に設けられたＬＣフェルール４３がワリスリーブ２２の端面に当接して光結合される。

レセプタクル１１は、前面板７への取り付けに際し、前面板７に設けられた矩形の穴に、プレート２３の設けられた側を前面板７の裏側から差し込まれる。プレート２３が前面板７の表側に貫通した位置で、プレート２３の端縁とハウジング２１に設けられた鍔部２６とが前面板７を挟むこととなり、これによってレセプタクル１１が前面板７に固定される。ハウジング２１の壁面の一部には、穴２５に貫通するスリット窓２７が設けられている。

ハウジング２１の内面側は、プラグ１２を挿入したときにこれを保持するような形状となっている。例えば、ハウジング２１の穴２５は、プラグ１２の本体４０の断面形状とほぼ同じ形状となっており、かつ、プラグ１２のレバー４１の両側に設けられた係合凸部４２と係合して抜け止めの機能を果たす突起部２８が形成されている（図１１参照）。

図５を参照して、プラグ１２の本体４０は、合成樹脂からなり、断面がほぼ正方形の角柱状である。本体４０の正面側の側面には、上に述べたレバー４１が一体で形成されている。レバー４１は弾力性を有し、先端部を指で操作してプラグ１２の本体４０に近づけるように弾性変形させることが可能である。レバー４１のほぼ中央部の両側端面に、上に述べた係合凸部４２が左右に突出するように設けられている。本体４０の先端部には、ジルコニアなどからなる円柱状のＬＣフェルール４３が設けられ、本体４０の後端部から挿入された光ファイバＨＦと内部において光結合されている。また、本体４０の後端部分にはチューブ４４が被さっており、これによって光ファイバＨＦの引き出し部が保護されている。

再び図１１を参照して、プラグ１２をレセプタクル１１に挿入する際には、プラグ１２をそのままレセプタクル１１の穴２５に挿入することによって、レバー４１はレセプタクル１１の壁面により押されて弾性変形し、係合凸部４２が突起部２８に係合して抜け止めがなされた状態となる。プラグ１２をレセプタクル１１から引き抜く際には、レバー４１の先端を指で押さえてレバー４１をその弾性力に抗して変形させ、これによって係合凸部４２と突起部２８との係合を解除し、この状態でプラグ１２をレセプタクル１１から引き抜く。

次に、図８〜図１０を参照して、解除補助装置６は、合成樹脂によって一体に形成されたベース部材５１および補助レバー５２を有する。ベース部材５１は、レセプタクル１１に対して固定的に設けられるものであり、補助レバー５２は、ベース部材５１に対して弾性変形可能に設けられている。

ベース部材５１は、矩形であってレセプタクル１１が貫通する矩形の穴が設けられた平板部５５と、平板部５５の一端縁から垂直方向に延びた垂直板部５６とからなる。平板部５５および垂直板部５６には、穴５８が設けられており、穴５８にネジ５９を挿入して前面板７に設けられたネジ穴にネジ込むことによって、解除補助装置６が前面板７に取り付けられ、これによって解除補助装置６はレセプタクル１１に対して固定的に設けられる。

補助レバー５２は、ベース部材５１に連続した基部６１、基部６１に連続しておりレバー４１の先端部に当接することが可能な押当部６２、および、押当部６２に連続しておりレバー４１の先端部よりもプラグ１２の本体４０に近い位置にある操作部６３を有する。これら基部６１、押当部６２、および操作部６３は、いずれも薄い板状に形成されている。

つまり、図９によく示されるように、基部６１および押当部６２の部分は幅が広いが、操作部６３の部分は幅が狭くなり、操作部６３を操作した場合にプラグ１２と干渉しないようになっている。

図１１において、位置Ｐ１において、操作部６３を指で押すように操作することによって、基部６１が撓み、位置Ｐ２において、押当部６２がレバー４１の先端部に押当しレバー４１を矢印の方向に移動させる。これによって、レバー４１の係合凸部４２とレセプタクル１１の突起部２８との係合が解除され、プラグ１２を容易に引き抜くことができるのである。なお、自由状態においては、押当部６２はレバー４１とは接触しておらず、操作部６３を操作したときに接触するようになっている。

解除補助装置６についてさらに詳しく説明する。

操作部６３は、プラグ１２の本体４０の側面側、つまりプラグ１２のレバー４１が設けられた面に対する側面側に配置される。これによって、ユーザは、プラグ１２の本体４０の側面側において操作部６３を指で操作することが可能であり、光コネクタ５が狭い場所に取り付けられた場合であっても、操作部６３を操作するに必要な隙間が確保され、また指がプラグ１２に当たってしまって干渉するということがなく、容易な操作でレバー４１の係合を解除することができる。

操作部６３は、プラグ１２の軸方向に沿って延びる平面状であり、かつ操作部６３と押当部６２との間が平面で繋がっており、側面視において略Ｚ字形を呈している。なお、本実施形態においては、押当部６２は側面視においてＶ字形を呈しているが、Ｖ字形でなく、操作部６３と平行な平面状であってもよい。

なお、本実施形態のレセプタクル１１は、最初に述べたように２連のものであるので、２つのプラグ１２が横並びで挿入可能となっており、図９によく示されるように、解除補助装置６は、２つのプラグ１２のレバー４１をそれぞれ操作することができるように、ベース部材５１に２つの補助レバー５２が設けられており、かつ、２つの補助レバー５２のそれぞれの操作部６３操作部は、プラグ１２の本体４０の互いに反対側の側面側に配置されている。

しかし、解除補助装置６は、レセプタクル１１の連数に応じて３つ以上の補助レバー５２を設けてもよい。また、レセプタクル１１の連数に合わせることなく、例えば単独のレバー４１を有するものとしてもよい。その場合に、前面板７にネジで固定するのではなく、レセプタクル１１に被せることによってレセプタクル１１に弾性的に係合させて固定するようにしてもよい。

操作例について説明すると、例えば図１において、指をプリント基板３ｃと操作部６３との間に挿入し、操作部６３を図の左側へ移動させる。これによってレバー４１の係合が解除されるので、プラグ１２を容易に引き抜くことができる。操作部６３がプラグ１２の本体４０の側面側にあるので、指を挿入して操作部６３を操作するためのスペースが確保される。

上の実施形態においては、ベース部材５１を２つのネジで前面板７に固定したが、ネジでの固定は１箇所とし、他の１箇所は突起などで係合させてもよい。上に述べた解除補助装置６は、合成樹脂を用いた成形によって製作したが、他の方法、例えば金属板の板金加工によって製作してもよい。

上に述べた解除補助装置６において、基部６１、押当部６２、操作部６３、補助レバー５２、ベース部材５１、その他、解除補助装置６の全体または各部の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。また、光コネクタ５として種々の形状および構造の光コネクタに適用することが可能である。

本発明に係る光コネクタを実装したプリント基板の正面図である。 プリント基板の右側面図である。 図２の光コネクタの斜視図である。 図２の光コネクタの斜視図である。 光コネクタを構成するプラグの上面図および正面図である。 光コネクタの右側面図である。 光コネクタの上面断面図である。 解除補助装置の正面図である。 解除補助装置の平面図である。 解除補助装置の右側面図である。 解除補助装置を取り付けた光コネクタの要部を示す断面図である。

符号の説明

３ プリント基板（プリント基板装置）
５ 光コネクタ
６ 解除補助装置（抜け止め解除補助装置）
７ 前面板
１１ レセプタクル
１２ プラグ
２１ ハウジング
２８ 突起部（係合部）
４０ 本体
４１ レバー
４２ 係合凸部（係合部）
５１ ベース部材
５２ 補助レバー
６１ 基部
６２ 押当部
６３ 操作部

Claims (5)

1. 光ファイバが連結されるプラグと前記プラグが挿入されるレセプタクルからなる光コネクタの抜け止め解除補助装置であって、
   前記プラグの本体の正面側には、先端部を指で操作して前記プラグの本体に近づけるように弾性変形させることが可能なレバーが形成されており、前記レバーに形成された係合部と前記レセプタクルに設けられた係合部とが係合することによって互いの抜け止めがなされ、かつ前記操作によって前記レバーをその弾性力に抗して変形させることによって前記係合部同士の係合が解除され、これによって前記プラグを前記レセプタクルから引き抜くことが可能に構成されており、
   抜け止め解除補助装置は、
   前記レセプタクルに対して固定的に設けられるベース部材と、
   前記ベース部材に対して弾性変形可能に設けられた補助レバーと、を含み、
   前記補助レバーは、前記ベース部材に連続した基部と、前記基部に連続しており前記レバーの先端部に当接することが可能な押当部と、前記押当部に連続しておりかつ前記操作によって前記レバーを変形させる方向に沿う距離が前記レバーの先端部よりも前記プラグの本体に近い位置にある操作部とを有し、
   前記操作部を指で操作することによって、前記押当部が前記レバーの先端部に押当して移動させ、前記係合部同士の係合を解除することが可能に構成されている、
   ことを特徴とする光コネクタの抜け止め解除補助装置。
2. 前記操作部は前記プラグの本体の側面側に配置されており、前記プラグの本体の側面側において前記操作部を指で操作することが可能である、
   請求項１記載の光コネクタの抜け止め解除補助装置。
3. 前記操作部は、前記プラグの軸方向に沿って延びる平面状であり、かつ前記操作部と前記押当部との間が平面で繋がっており、側面視において略Ｚ字形を呈している、
   請求項２記載の光コネクタの抜け止め解除補助装置。
4. 前記レセプタクルは、少なくとも２つのプラグが横並びで挿入可能となっており、
   前記抜け止め解除補助装置は、
   ２つのプラグのレバーをそれぞれ操作することができるように、前記ベース部材に２つの前記補助レバーが設けられており、かつ、２つの前記補助レバーのそれぞれの前記操作部は、前記プラグの本体の互いに反対側の側面側に配置されている、
   請求項１記載の光コネクタの抜け止め解除補助装置。
5. 請求項１ないし４のいずれかに記載の光コネクタの抜け止め解除補助装置が、プリント基板の表板に取り付けられた光コネクタに取り付けられてなる、
   ことを特徴とするプリント基板装置。