一般に、遊技盤本体に配設される釘は、一端部側が遊技盤本体に打ち込まれる棒状の本体部と、本体部よりも大きな径を有する頭部とを備えており、該頭部が遊技盤本体の前方に位置するようにして配設されている。ところが、所定の釘と該釘に隣接する釘との間を遊技球が通過できるように釘を配設する場合、両本体部間においては遊技球が通過できるのではあるが、両頭部間が遊技球の径よりも小さくなってしまい、場合によっては頭部間において球詰まりが発生してしまうことが懸念される。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、釘間における球詰まりを防止することのできる遊技機を提供することを目的としている。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.所定の発射手段により発射される遊技球が案内される遊技領域を前面側に有する遊技盤本体と、
前記遊技領域に立設される釘とを備えた遊技機であって、
前記釘は、
一端部(基端部)側が前記遊技盤本体に係止されて、他端部(先端部)側が前記遊技領域に突出する棒状の本体部と、
前記本体部の他端部から突出し、前記本体部の他端部の径よりも小径の突出部と、
前記本体部と前記突出部とにより形成された段差部とを具備することを特徴とする遊技機。
手段1によれば、本体部の他端部(先端部)から、該本体部よりも小径の突出部が突出成形されている。つまり、遊技盤本体の前方に本体部よりも大きな径を有する部位(頭部)が存在しない上、さらに、釘(遊技機用釘)の先端部が小径となっている。このため、例えば、遊技盤本体の前方に頭部が存在するような場合において、所定の釘と該釘に隣接する釘との両本体部間においては遊技球が通過できるのではあるが、両頭部間が遊技球の径よりも小さくなってしまい、場合によっては頭部間において球詰まりが発生してしまうといった不具合を回避することができる。また、釘の頭部が遊技盤本体の前方に存在することで、遊技盤本体の前面に装飾が施される場合に該装飾が見えづらくなってしまうといった事態を回避することができる。
また、釘の先端部が小径となっていることにより、遊技盤本体の背面側から釘を遊技盤本体に通して取付けることができる。この場合、釘の取付作業や釘の遊技領域への突出長調整等の作業が主に遊技盤本体の背面側においての作業となるため、当該取付作業時等において遊技盤本体前面が傷付けられてしまうといったおそれを抑制することができ、結果として外観品質の低下を防止することができる。
また、一般に、釘間の距離は、薄板状のゲージを釘間に差込むことで計測するのであるが、このとき、ゲージの前後方向の位置決めを行うために、ゲージを前方にスライドさせて当該ゲージを釘の頭部後面に当てることが行われる。これにより、釘間の距離の測定位置の統一が図られ、正確な測定が図られる。これに対し、本手段では、遊技盤本体の前方に釘の頭部が存在しないのではあるが、その代わりに段差部(突出部の付根部)にゲージを当ててゲージの位置決めを行うことができる。従って、釘先端に頭部がなくても、遊技盤本体前方の所定位置での釘間の距離を正確に測定することができる。さらに、釘間距離の測定に際して、前方からゲージを釘の段差部に当てるだけなので、測定するまでの時間を短縮することができる。
尚、突出部の形状は、本体部の径よりも小径であれば、特に限定されるものではなく、例えば、真直ぐな棒状に構成してもよいし、棒状の基部と、該基部の先端部から突出し、かつ、該基部よりも大径の突部とから構成してもよい。但し、視認性の確保、正確かつ迅速な釘間の測定等といった観点からは、拡径部のない棒状とすることが望ましい。
また、遊技盤本体の背面側から釘を遊技盤本体に通して取付けることとしてもよい。この場合、釘の配設作業に際して釘の先端部(突出部)が叩かれることに起因して、突出部が変形してしまうといったおそれを回避することができる。
また、遊技盤本体に下孔を形成しておくこととしてもよい。このように下孔を形成しておくことで、容易に釘を遊技盤本体に通すことができ、釘の取付作業性の向上が図られる。また、遊技盤本体に無理やり釘を打ち込んだりねじ込んだりすることに起因して、遊技盤本体が変形したりひび割れしたりするおそれを抑制することができる。特に、遊技盤本体が樹脂製である場合には、これらの効果が一層顕著になる。さらに、釘の先端部形状を尖形にしなくても釘を遊技盤本体に通すことができることから、遊技盤本体の前方に露出する釘の先端部形状の設計上の制約を緩和することができる。また、釘の先端部形状を尖形にしないことによって、遊技球に衝突されたり釘調整の際に叩かれたりして、当該先端部が変形したり破損したりしてしまうといったおそれを抑止することができる。なお、本手段では、釘の先端部が小径となっていることから、遊技盤本体の背面側から遊技盤本体(下孔)に釘を通しやすい。
手段2.前記突出部の先端部は断面弧状に構成されていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、例えば、遊技球の衝突に起因して突出部の先端部が傷つけられ(変形、欠け等)てしまったり、逆に、突出部によって遊技球が傷付けられてしまったりする等のおそれを抑制することができる。尚、断面弧状とあるのは「断面円弧状」、「部位によって曲率半径の異なる断面弧状」、「長方形状の角部を面取り加工(又はR加工)した断面弓状」等の形状が含まれる。つまり、断面弧状とあるのは、角部が尖っている形状を除く趣旨である。
手段3.前記突出部は、先端部に向けて縮径するテーパ状に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
手段3によれば、遊技盤本体の前面側からゲージを釘の段差部に押し当てる際に、ゲージが突出部によって段差部までスムースに案内されることになる。従って、測定に際して、ゲージを段差部により当てやすくなり、測定に際しての作業性の向上、及び、測定時間の短縮を図ることができるといった効果が一層確実に奏される。
手段4.前記本体部は円柱状をなすとともに、
前記突出部はその突出方向に直交する断面が円形状をなし、
前記突出部の中心軸と、前記本体部の中心軸とを同一直線上に配したことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段4によれば、突出部の付根部から本体部の外周面までの距離が一定となる。このため、より正確に釘間の距離を計測することができる。
手段5.前記遊技盤本体の背面側から前記本体部の他端部を、前記遊技盤本体に形成された前後方向に貫通する下孔に通し、前記遊技領域に前記本体部の他端部側を突出させる取付構造を有する手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
手段5によれば、遊技盤本体の背面側から釘が下孔に通されて取付けられる。従って、釘の取付作業や釘の遊技領域への突出長調整等の作業が主に遊技盤本体の背面側においての作業となるため、当該取付作業時等において遊技盤本体前面が傷付けられてしまうといったおそれを抑制することができ、結果として外観品質の低下を防止することができる。
さらに、釘の配設作業に際して釘の先端部(突出部)が叩かれることに起因して、突出部が変形してしまうといったおそれを回避することができる。
また、遊技盤本体に下孔が形成されていることにより、容易に釘を遊技盤本体に通すことができ、釘の取付作業性の向上が図られる。また、遊技盤本体に無理やり釘を打ち込んだりねじ込んだりすることに起因して、遊技盤本体が変形したりひび割れしたりするおそれを抑制することができる。特に、遊技盤本体が樹脂製である場合には、これらの効果が一層顕著になる。さらに、釘の先端部形状を尖形にしなくても釘を遊技盤本体に通すことができることから、遊技盤本体の前方に露出する釘の先端部形状の設計上の制約を緩和することができる。また、釘の先端部形状を尖形にしないことによって、遊技球に衝突されたり釘調整の際に叩かれたりして、当該先端部が変形したり破損したりしてしまうといったおそれを抑止することができる。
手段6.前記本体部の他端部は、角部が面取り加工又はR加工されていることを特徴とする手段5に記載の遊技機。
手段6によれば、本体部の他端部(先端部)が小径となることから、遊技盤本体(下孔)に釘をより通しやすくなる。
手段7.前記本体部は、前記一端部側の径が前記他端部側の径よりも大径であることを特徴とする手段5又は6に記載の遊技機。
手段7によれば、釘を遊技盤本体の背面側から通して、一端部(基端部)側を遊技盤本体に係止させる場合においても、釘の先端部側を比較的容易に下孔に通すことができるとともに、基端部側を遊技盤本体に対して確実に固定することができる。尚、例えば、本体部を基端部側と先端部側とに分かれるようにして段差状に構成してもよいし、本体部を先端部側に向けて縮径するテーパ状に構成してもよい。また、前者の構成を採用する場合、釘の挿通性を向上させるといった観点から、本体部のうち、釘の挿通側に対面し、釘の挿入方向に対して略直交する面の角部を面取り加工又はR加工することが望ましい。
手段8.前記本体部の一端部側に、ねじ山を突出形成したことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
手段8によれば、本体部の基端部側にねじ山が形成されており、このねじ山が遊技盤本体に対してねじ込まれている。このため、ねじ山が形成されていない釘を遊技盤本体に打ち込む場合に比べて、遊技盤本体に対して釘を強固に取付けることができる。従って、遊技球の衝突や振動、ホールにおける釘を叩いての釘の突出角度調整等に起因して、釘が緩んでしまうといったおそれを抑止することができる。このため、緩んだ状態の釘に遊技球が衝突する等して、釘が大きく傾いてしまったり脱落してしまったりするおそれを防止することができる。結果として、釘が大きく傾いたり脱落したりして、外観品質の低下を招いてしまったり、遊技球の流下経路が大きく変わってしまうことに起因して、遊技者側又はホール側が多大な不利益を被ってしまったりするおそれを防止することができる。また、例えば、遊技盤本体に形成される下孔や釘に若干の製造誤差が生じたとしても(下孔の径が本体部の径よりも若干大きくなってしまっても)、下孔の径がねじ山を含めた本体部の径よりも小さくなる範囲内の誤差であれば取付けることができ、下孔にねじ山のない釘を打付ける場合に比べて、許容できる製造誤差の範囲を広げることができる。
尚、遊技盤本体は樹脂により構成されていることとしてもよい。本手段によれば、釘にねじ山を設けることによって、遊技盤本体がそれほど厚くなくても釘の取付状態を強固に維持することができることから、遊技盤本体の厚みを薄くすることができる。従って、透明又は半透明な樹脂製の遊技盤本体の裏側にセル画等を貼付けたり、液晶装置等の表示装置や役物等を設置したりする場合に、遊技盤本体が厚いことに起因してそれらが見えづらくなるといったおそれを抑制することができる。また、釘を遊技盤本体の背面に没入させることとしてもよい。この場合、遊技盤本体の背面から突出する釘にその他の部材が引っ掛かって傷つけられてしまうといったおそれを回避することができたり、遊技盤本体の後側に設けられる部材を遊技盤本体により近づけて配置することができたりする。
尚、手段5においては、下孔をメスねじの形成されていない孔とし、釘がねじ込まれる際にメスねじが形成される構成とすることで、メスねじを予め形成しておくための別途の作業工程を省略することができる。また、上記手段7においては、ねじ山が突出形成されることで、前記一端部側の径が前記他端部側の径よりも大径となっていることとしてもよい。
手段9.前記本体部の一端部に、工具係合部を形成したことを特徴とする手段8に記載の遊技機。
本手段9によれば、本体部の一端部(釘の基端部)に工具係合部を形成している。これにより、該工具係合部に対して工具の先端部を係合させて釘をねじ込むことができ、遊技盤本体に対して釘を比較的容易に取付けることができる。従って、釘が上手くねじ込まれずに、遊技盤本体に上手くメスねじが形成されなかったり、釘が挿通される孔が大きくなりすぎたり、メスねじが形成された下孔に釘をねじ込む場合にはメスねじが潰れてしまったりして、釘がぐらついてしまうといったおそれを抑止することができる。また、釘の配設作業に際しての時間効率の向上を図ることができる。さらに、ねじ山が設けられた釘を比較的容易に取外すことができることから、リサイクルに際しての分別作業性の向上を図ることができる。尚、釘に頭部を設けなかったり、ねじ山が設けられた釘の基端部を遊技盤本体に没入させたりする場合においても釘を比較的容易に取外すことができる。
また、例えば、上記手段5に記載のように、遊技盤本体の背面側から釘を遊技盤本体に通して取付ける構成を採用することで、釘の基端部に工具係合部を形成した場合にも該基端部が遊技盤本体の前方に露出しないため、外観品質の低下を防止することができる。
手段10.前記本体部のうち、前記ねじ山が形成された部位と、当該ねじ山が形成された部位よりも一端部側の部位とを足した長さを、前記遊技盤本体の厚み以下としたことを特徴とする手段8又は9に記載の遊技機。
手段10によれば、本体部の一端部(基端部)を遊技盤本体の背面と面一又は遊技盤本体の背面に若干没入させたとしても、ねじ山が遊技領域に露出しない。このため、ねじ山が遊技領域に露出し、前方から視認されることで外観品質の低下を招くといったおそれを回避することができる。また、遊技盤本体の背面側から釘を挿入させて取付けることで、遊技盤本体前面の釘周縁部においてメスねじが形成されてしまったり、盛り上がるようにして変形してしまったりするといったおそれを抑止することができる。従って、外観品質の低下を防止することができる。なお、ねじ山が本体部の基端部にまで形成されている場合には、「ねじ山が形成された部位よりも一端部(基端部)側の部位」がないため、「ねじ山が形成された部位」の長さを遊技盤本体の厚み以下とする。また、拡径部(頭部)を形成し、頭部を遊技盤本体の背面に没入させる場合には、拡径部(頭部)についても「ねじ山が形成された部位よりも一端部(基端部)側の部位」に含まれることが好ましい。
手段11.前記本体部の一端部に拡径部(頭部)を備え、
前記拡径部が前記遊技盤本体に略当接した状態で取付けられることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の遊技機。
一般に、遊技に際して釘に遊技球が衝突することで釘が徐々に前方の緩む方向に移動してしまうといった事態が起こりうる。このため、例えば、釘を遊技盤本体の前方から打ち込む構成を採用する場合には、定期的に釘を打ち込んでおかないと遊技に際して遊技球が衝突することで釘が大きく傾いてしまったり、場合によっては脱落してしまったりするおそれがある。また、ホールにおいて釘を叩いて釘の突出角度を調整する際にも釘が前方の緩む方向に移動してしまうことがあり、釘調整の後、釘を打ち付け忘れてしまうと、遊技に際して遊技球が衝突することで釘が大きく傾いてしまったり、脱落してしまったりするおそれがある。この点、本手段11によれば、遊技盤本体の背面側において遊技盤本体と当接する拡径部(頭部)が設けられており、釘の前方への移動が規制されることとなる。従って、釘調整が行われたり、遊技球が衝突したりした場合においても、釘が前方に移動して緩んでしまうといったことがなく、上記不具合を解消することができる。
さらに、拡径部(頭部)が遊技盤本体と当接することで、釘の位置決めが行われるため、釘の遊技領域への突出長を一定に揃えることができる。このように、釘の突出長を一定に揃えることで、外観品質の向上が図られるとともに、段差部の突出位置が一定となることから、釘間の距離をより正確に計測することができる。また、手段9に対応しては、工具係合部をより大きく形成することができ、工具によって付加される応力をより確実に釘に伝達することができる。また、工具とより広い面積で当接することとなり、工具係合部が潰れてしまうといった不具合も抑制することができる。
手段12.遊技機に用いられる遊技機用釘であって、
棒状の本体部と、
前記本体部の先端部から突出し、前記本体部の先端部の径よりも小径の突出部と、
前記本体部と前記突出部とにより形成された段差部とを具備することを特徴とする遊技機用釘。
本手段12によれば、本体部の先端部から、該本体部よりも小径の突出部が突出成形されている。このため、例えば、板状の遊技盤本体等の被取付部材に対して、当該遊技盤本体の前方に本体部の先端部側が突出するようにして配設する場合には、被取付部材の前方に本体部よりも大きな径を有する部位(頭部)が存在しない上、さらに、釘(遊技機用釘)の先端部が小径となる。従って、釘の頭部が遊技盤本体の前方に存在することで、被取付部材の前面に装飾が施される場合に該装飾が見えづらくなってしまうといった事態を回避することができる。また、被取付部材の前方において遊技球等が流下する構成を採用する場合においては、例えば、被取付部材の前方において頭部が存在するような場合に、所定の釘と該釘に隣接する釘との両本体部間においては遊技球が通過できるのではあるが、両頭部間が遊技球の径よりも小さくなってしまい、場合によっては頭部間において球詰まりが発生してしまうといった不具合を回避することができる。
また、釘の先端部が小径となっていることにより、被取付部材の背面側から釘を被取付部材に挿して取付けることができる。この場合、釘の取付作業や釘の被取付部材前方への突出長調整等の作業が主に被取付部材の背面側においての作業となるため、当該取付作業時等において被取付部材前面が傷付けられてしまうといったおそれを抑制することができ、結果として外観品質の低下を防止することができる。また、被取付部材の背面側から釘を被取付部材に通して本体部の先端部を突出させる構成を採用することで、釘の配設作業に際して釘の先端部(突出部)が叩かれることに起因して、突出部が変形してしまうといったおそれを回避することができる。
釘(遊技機用釘)間の距離を計測する場合に、段差部にゲージ等の計測器具を当てて計測器具の位置決めを行うことができ、釘間の距離を正確に測定することができる。
また、突出部が本体部の先端部よりも小径となっていることから、下孔に釘を通す場合に通しやすくなる。さらに、釘間距離の測定に際して、釘(突出部)の先端側からゲージを釘の段差部(突出部の根元部)に当てるだけなので、測定するまでの時間を短縮することができる。
手段13.前記突出部の先端部は断面弧状に構成されていることを特徴とする手段12に記載の遊技機用釘。
手段13によれば、釘の先端部が尖っていないため、安全性を確保することができる。また、例えば、被取付部材の前方において遊技球等が流下する構成を採用する場合においては、遊技球の衝突に起因して突出部の先端部が傷つけられてしまったり、逆に、突出部によって遊技球が傷付けられてしまったりする等のおそれを抑制することができる。
手段14.前記突出部は、先端部に向けて縮径するテーパ状に構成されていることを特徴とする手段12又は13に記載の遊技機用釘。
手段14によれば、釘の先端側からゲージを釘の段差部に押し当てる際に、ゲージが突出部によって段差部までスムースに案内されることになる。従って、測定に際して、ゲージを段差部により当てやすくなり、測定に際しての作業性の向上、及び、測定時間の短縮を図ることができるといった効果が一層確実に奏される。
手段15.前記本体部は円柱状をなすとともに、
前記突出部はその突出方向に直交する断面が円形状をなし、
前記突出部の中心軸と、前記本体部の中心軸とを同一直線上に配したことを特徴とする手段12乃至14のいずれかに記載の遊技機用釘。
手段15によれば、突出部の付根部から本体部の外周面までの距離が一定となる。このため、より正確に釘間の距離を計測することができる。
手段16.前記本体部の基端部側に、ねじ山を突出形成したことを特徴とする手段12乃至15のいずれかに記載の遊技機用釘。
手段16によれば、本体部の先端部とは反対側の端部である基端部側にねじ山が形成されており、このねじ山が、例えば、被取付部材に対してねじ込み固定されることとなる。このため、ねじ山が形成されていない釘を被取付部材に打ち込む場合に比べて、被取付部材に対して釘を強固に取付けることができる。従って、振動等に起因して釘が緩んでしまい、釘が大きく傾いてしまったり脱落してしまったりするおそれを防止することができる。また、例えば、被取付部材に形成された下孔や釘に若干の製造誤差が生じたとしても(下孔の径が本体部の径よりも若干大きくなってしまっても)、下孔の径がねじ山を含めた本体部の径よりも小さくなる範囲内の誤差であれば取付けることができ、下孔にねじ山のない釘を打付ける場合に比べて、許容できる製造誤差の範囲を広げることができる。
手段17.前記本体部の基端部に、工具係合部を形成したことを特徴とする手段16に記載の遊技機用釘。
本手段17によれば、工具係合部に工具を係合させて釘をねじ込むことができ、例えば、釘を打付けることで徐々にねじ込む場合に比べて、釘を比較的容易に取付けることができる。従って、釘が上手くねじ込まれずに、被取付部材に上手くメスねじが形成されなかったり、釘が挿通される孔が大きくなりすぎたり、メスねじが形成された下孔に釘をねじ込む場合にはメスねじが潰れてしまったりして、釘がぐらついてしまうといったおそれを抑止することができる。さらに、ねじ山が設けられた釘を比較的容易に脱着することができることから、釘の配設作業性や、リサイクルに際しての分別作業性の向上を図ることができる。また、例えば、前面側が視認可能な被取付部材の前面側に本体部の先端部側を突出させて取付けたとしても、工具係合部が視認されることがないため、外観品質の低下を防止することができる。
手段18.前面側に遊技球の流下する遊技領域を形成する板状の遊技盤本体と、
前記遊技盤本体の前面側に立設された手段12乃至17のいずれかに記載の遊技機用釘とを備えた遊技盤であって、
前記遊技盤本体に対して前記本体部の基端部側が係止され、前記本体部の先端部側が前記遊技領域に突出していることを特徴とする遊技盤。
手段18によれば、上記手段1〜4、8、9と同様の作用効果が奏される。尚、手段16又は手段17に対応しては、「前記本体部のうち、前記ねじ山が形成された部位と、当該ねじ山が形成された部位よりも基端部側の部位とを足した長さを、前記遊技盤本体の厚み以下としたこと」としてもよい。この場合、本体部の基端部を遊技盤本体の背面と面一又は遊技盤本体の背面に若干没入させたとしても、ねじ山が遊技領域に露出しないため、ねじ山が前方から視認されることで外観品質の低下を招くといったおそれを回避することができる。また、遊技盤本体の背面側から釘を挿入させて取付けることで、遊技盤本体前面の釘周縁部においてメスねじが形成されてしまったり、盛り上がるようにして変形してしまったりするといったおそれを抑止することができる。
手段19.前記本体部の基端部に拡径部(頭部)を備え、
前記拡径部が前記遊技盤本体に略当接した状態で取付けられることを特徴とする手段18に記載の遊技盤。
手段19によれば、上記手段11と同様の作用効果が奏される。
手段20.手段18又は19に記載の遊技盤を備える遊技機の製造方法であって、
前記遊技盤の製造に際しては、
前記遊技盤本体に対して、前記釘の配設位置に対応して、前後方向に貫通する下孔を形成する下孔形成工程と、
前記遊技盤本体の背面側から前記突出部を前記下孔形成工程によって形成された下孔に通し、前記遊技領域に前記本体部の先端部側を突出させる取付工程とを備えることを特徴とする遊技機の製造方法。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する始動操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該指導操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(発射モータ、発射ソレノイド等)と、当該発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(レールユニットの球案内通路)と、前記遊技領域内に配置された各遊技部品(一般入賞口、可変入賞装置、作動口、可変表示ユニット等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機。」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は、可変表示装置を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する始動操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該指導操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(発射モータ、発射ソレノイド等)と、当該発射された遊技球を所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤本体前面等により構成される)に導く球通路(レールユニットの球案内通路)と、前記遊技領域内に配置された作動口、可変表示装置及び可変入賞装置とを備え、前記作動口へ遊技球の入賞が検知されることに基づいて、前記可変表示装置に表示される識別情報(図柄)を変動表示せしめ、所定時間後停止表示させるとともに、停止表示された識別情報(図柄)が特定態様である場合に前記可変表示装置を所定態様で開放させるように構成した弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図である。図2は、パチンコ機10より前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図2では便宜上、遊技盤本体30前面側の遊技領域内の構成を空白で示している)。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。内枠12は、パチンコ機10の正面から見て左側に上下に延びる開閉軸線を軸心に、前方側に開放できるようになっている。
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられているとともに、下皿ユニット13を除く範囲に対応して、前面枠セット14が、内枠12に対して開閉可能に取り付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側に上下に延びる開閉軸線を軸心に、前方側に開放できるようになっている。
下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。なお、符号24はスピーカからの音出力口であり、符号25は下皿15内から遊技球を下方へと排出する球抜きレバーである。
下皿15よりも右方には、手前側に突出して遊技球発射ハンドル(以下単に「ハンドル」という)18が配設されている。また、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。一方、下皿15の上方においては、球受皿としての上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置(球発射手段)の方へ導出する球受皿である。
また、図2において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤を構成する遊技盤本体30(図3参照)が着脱可能に装着されている。遊技盤本体30は四角形状をなし、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤本体30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。本実施形態における遊技盤本体30は、無色透明の樹脂により構成されている。また、遊技盤本体30の背面にはセル画401が貼付けられており、前方から遊技盤本体30越しにセル画401を視認可能となっている(図6参照)。加えて、遊技盤本体30の前面においても、部分的にセル画が貼付けられている。尚、本実施形態では、例えば、遊技盤本体30の厚みが9.9mmとなっている。なお、樹脂ベース20には、前面枠セット14の開放を検知する開放検知センサ22が設けられている。また、図示しないが内枠12の開放を検知する開放検知スイッチも設けられている。
次に、遊技盤の構成について図3を用いて説明する。遊技盤は、ルータ加工によって遊技盤本体30に形成された貫通穴に配設され、遊技盤本体30前面側からネジ等により取付けられた一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等を備えている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、後述する検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤は、遊技盤本体30に設けられたアウト口36を備えており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。また、遊技盤は、遊技盤本体30の前面側において、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するための多数の釘を備えるとともに、風車27等の各種部材(役物)を備えている。
本実施形態では、遊技盤本体30に配設される釘及び釘の取付構造に特徴があるので、ここで図面を参照しつつ説明する。なお、図6は、遊技盤本体30に取付状態にある釘の構成を示す断面図である。図7(a)は釘の構成を示す側面図であり、図7(b)は頭部側(釘の基端部側)から見た釘の正面図である。
図6、7に示すように、釘411は、略円柱状の本体部412と、本体部412よりも小さな径を有し、本体部412の先端部から突出する突出部413とを備えている。また、本体部412の基端部には、当該本体部412の一般部414よりも大きな径を有する拡径部としての頭部415が形成されている。本実施形態では、例えば、釘411の全長が28.2mm、本体部412の一般部414の長さL1が25.6mm、頭部415の長さL2が1.1mm、突出部413の突出長L3が1.5mmとなっている。
本体部412(一般部414)の基端部側には、本体部412の外周面から突出するねじ山421が形成されている。本実施形態では、本体部412のうち、一般部414と頭部415との連接部から本体部412の先端側に向けて8.5mmの範囲L4にねじ山421が螺旋状に連続的に形成されている。以下、当該ねじ山421が形成された範囲をねじ山形成区間と称する。また、本体部412(一般部414)の先端部には、面取り加工が施されている。本実施形態では、本体部412(一般部414)の径W1が1.9mm、ねじ山421を含めた本体部412の径W2が2.5mmとなっている。
頭部415は、本体部412の基端部にかけて次第に拡径するテーパ状に構成されている(図7(a)参照)。また、頭部415には、ドライバー(工具)の先端部を係合可能な工具係合部としての十字穴431が形成されている(図7(b)参照)。本実施形態では頭部415の最大外径W3が4.0mmとなっている。
突出部413は略円柱状をなしており、本体部412の先端部から突出して本体部412との間に段差部441を形成している。また、本体部412の中心軸と突出部413の中心軸とが同一直線上に配されている。このため、突出部413と本体部412との連接部(突出部413の付根部)から本体部412の外周面までの距離W4は一定である。本実施形態では、突出部413の径W5が1.0mmとなっている。加えて、突出部413の先端部は断面円弧状になっている。
また、以上のように構成されてなる釘411が配設される遊技盤本体30には、釘411の配設箇所に対応して、前後方向に貫通する下孔451が形成されている(図6参照)。下孔451は、略鉛直に立設される遊技盤本体30に対して前側上方に向けて約3〜5度傾斜して形成されている。本実施形態では、下孔451の径は、本体部412の径W1よりも若干大きく、かつ、ねじ山421を含めた本体部412の径W2よりも小さく(例えば2.0mm〜2.2mm)なっている。また、下孔451は、釘411の頭部415を遊技盤本体30に没入させるために、遊技盤本体30の背面側がテーパ状に拡径している。この下孔451には、メスねじが形成されておらず、当該下孔451に対して釘411のねじ山421がねじ込まれる際にメスねじが形成される。なお、必ずしも下孔451の径を本体部412の径W1よりも大きくする必要はなく、本体部412の径W1と同じ大きさとしたり、本体部412の径W1よりも若干小径としたりしてもよい。
次に、釘411の取付工程について説明すると、まず、遊技盤本体30の背面側において、下孔451に対して釘411の先端部(突出部413)が対向するようにして釘411を配置する。それから、釘411の先端部(突出部413)を遊技盤本体30の背面側から下孔451に挿通する。本体部412のねじ山421が形成された部位については、頭部415の十字穴431にドライバーの先端部を係合し、ドライバーを回してねじ山421を遊技盤本体30にねじ込んでいく。そして、頭部415が遊技盤本体30の背面に没入して該遊技盤本体30と略当接するまで釘411をねじ込んで取付けが完了する。
以上詳述したように、本実施形態では、遊技盤本体30の背面側から本体部412(一般部414)よりも小径の突出部413を下孔451に通し、遊技領域に本体部412の先端部側を突出させている。つまり、遊技盤本体30の前方に本体部412よりも大きな径を有する部位(頭部)が存在しない上、さらに、釘411の先端部が小径となっている。このため、例えば、遊技盤本体30の前方に頭部が存在するような場合において、所定の釘と該釘に隣接する釘との両本体部間においては遊技球が通過できるのではあるが、両頭部間が遊技球の径よりも小さくなってしまい、場合によっては頭部間において球詰まりが発生してしまうといった不具合を回避することができる。また、釘411の先端部が小径となっていることから、遊技盤本体30の前方に頭部が存在する場合に比べて、遊技盤本体30の前面に施された装飾を見やすくすることができる。
また、遊技盤本体30の背面側から釘411を遊技盤本体30(下孔451)に通して取付けることにより、釘411の取付作業や釘411の遊技領域への突出長調整等の作業が主に遊技盤本体30の背面側においての作業となるため、当該取付作業時等において遊技盤本体30前面が傷付けられてしまうといったおそれを抑制することができ、結果として外観品質の低下を防止することができる。また、釘411の配設作業に際して釘411の先端部(突出部413)が叩かれることに起因して、突出部413が変形してしまうといったおそれを回避することができる。
また、一般に、釘間の距離は、薄板状のゲージを釘間に差込むことで計測するのであるが、このとき、ゲージの前後方向の位置決めを行うために、ゲージを前方にスライドさせて当該ゲージを釘の頭部後面に当てる。これにより、釘間の距離の測定位置の統一が図られ、正確な測定が図られる。これに対し、本実施形態では、遊技盤本体30の前方に釘の頭部が存在しないのではあるが、その代わりに段差部441(突出部413の付根部)にゲージを当ててゲージの位置決めを行うことができる。従って、釘411先端に頭部415がなくても、遊技盤本体30前方の所定位置での釘411間の距離を正確に測定することができる。さらに、釘411間距離の測定に際して、前方からゲージを釘411の段差部441に当てるだけなので、測定するまでの時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態では、本体部412(一般部414)及び突出部413が円柱状をなすとともに、本体部412の中心軸と突出部413の中心軸とが同一直線上に配されており、突出部413の付根部から本体部412の外周面までの距離W4が一定となっている。このため、より正確に釘間の距離を計測することができる。
加えて、釘411の先端部が小径に構成される上、本体部412の先端部には面取り加工が施されていることから、釘411を下孔451により通しやすくなっている。また、突出部413の先端部が断面円弧状に構成されていることから、遊技球に衝突されたり釘調整の際に叩かれたりして、突出部413が変形したり破損したりしてしまうといったおそれを抑止することができる。併せて、遊技球が釘411に衝突することで、突出部413によって遊技球が傷付けられてしまうといったおそれを抑制することができる。
また、本実施形態では、本体部412(一般部414)の基端部側(取付状態にある釘411の根元側に位置する本体部412の端部)にねじ山421が形成されており、このねじ山421が遊技盤本体30に対してねじ込まれている。このため、ねじ山が形成されていない釘を遊技盤本体30に打ち込む場合に比べて、遊技盤本体30に対して釘411を強固に取付けることができる。従って、遊技球の衝突や振動、ホールにおける釘411を叩いての釘411の突出角度調整等に起因して、釘411が緩んでしまうといったおそれを抑止することができる。このため、緩んだ状態の釘411に遊技球が衝突する等して、釘411が大きく傾いてしまったり脱落してしまったりするおそれを防止することができる。結果として、釘411が大きく傾いたり脱落したりして、外観品質の低下を招いてしまったり、遊技球の流下経路が大きく変わってしまうことに起因して、遊技者側又はホール側が多大な不利益を被ってしまったりするおそれを防止することができる。
また、遊技盤本体30に対してねじ山421をねじ込むことから、遊技盤本体30がそれほど厚くなくても釘411の取付状態を強固に維持することができ、結果として、遊技盤本体30の厚みを薄くすることができる。従って、本実施形態のように遊技盤本体30の背面にセル画401を貼付けた場合に、遊技盤本体30が厚いことに起因してセル画401が見えづらくなるといったおそれを抑制することができる。
また、遊技盤本体30の背面側において遊技盤本体30と当接する頭部415が設けられていることにより、釘411の前方への移動が規制されることとなる。従って、釘調整が行われたり、遊技球が衝突したりした場合においても、釘が前方に移動して緩んでしまうといったことがなく、遊技に際して遊技球が衝突することで釘が大きく傾いてしまったり、脱落してしまったりするおそれをより確実に防止することができる。
さらに、頭部415が遊技盤本体30と当接することで、釘411の位置決めが行われるため、釘411の遊技領域への突出長を一定に揃えることができる。このように、釘411の突出長を一定に揃えることで、外観品質の向上が図られるとともに、段差部441の突出位置が一定となることから、釘間の距離をより正確に計測することができる。また、頭部415がない場合に比べて、十字穴431をより大きく形成することができ、ドライバーによって付加される応力をより確実に釘411に伝達することができる。また、これによって、十字穴431が潰れてしまうといった不具合も抑制することができる。
また、頭部415に十字穴431が形成されていることにより、該十字穴431に対してドライバーの先端部を係合させて釘411をねじ込むことができ、遊技盤本体30に対して釘411を比較的容易に取付けることができる。従って、釘411が上手くねじ込まれずに、遊技盤本体30に上手くメスねじが形成されなかったり、下孔451が大きくなりすぎたりして、釘411がぐらついてしまうといったおそれを抑止することができる。また、釘411の配設作業に際しての時間効率の向上を図ることができる。さらに、ねじ山421が設けられた釘411を比較的容易に取外すことができることから、リサイクルに際しての分別作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、遊技盤本体30の背面側から釘411を下孔451に挿通させて取付けるため、頭部415が遊技領域に露出しなくなり、十字穴431も前方から視認不可能となる。結果として、外観品質の低下を防止することができる。
また、本実施形態によれば、本体部412のうちねじ山421が形成された部位の長さL4(8.5mm)と頭部415の長さL2(1.1mm)とを足した長さが、遊技盤本体30の厚み(9.9mm)以下となっている。すなわち、頭部415を遊技盤本体30の背面と面一又は遊技盤本体30の背面に若干没入させたとしても、ねじ山421が遊技領域に露出しない。このため、ねじ山421が遊技領域に露出し、前方から視認されることで外観品質の低下を招くといったおそれを回避することができる。また、遊技盤本体30前面の釘411周縁部にメスねじが形成されてしまったり、盛り上がるようにして変形してしまったりするといったおそれを抑止することができる。従って、外観品質の低下を防止することができる。
また、遊技盤本体30に予め下孔451が形成されていることで、容易に釘411を遊技盤本体30に挿通させることができ、釘411の取付作業性の向上が図られる。また、遊技盤本体30に無理やり釘411を打ち込んだりねじ込んだりすることに起因して、遊技盤本体30が変形したりひび割れしたりするおそれを抑制することができる。特に、本実施形態では、遊技盤本体30が樹脂製であるため、これらの効果が一層顕著になる。さらに、釘411(突出部413)の先端部形状を尖形にしなくても釘411を遊技盤本体30に挿通させることができることから、遊技領域に露出する釘411の先端部形状の設計上の制約を緩和することができる。加えて、下孔451はメスねじの形成されていない孔であり、釘411がねじ込まれる際にメスねじが形成されるため、メスねじを予め形成しておくための別途の作業工程を省略することができる。また、本実施形態では、下孔451の径が本体部412の径W1よりも若干大きいため、ねじ山421が設けられていない本体部412を容易に下孔451に挿通させることができる。また、下孔451の径がねじ山421を含めた本体部412の径W2よりも小さいため、ねじ山421が確実に遊技盤本体30にねじ込まれ、釘411を遊技盤本体30に強固に取付けることができる。また、下孔451や釘411に若干の製造誤差が生じたとしても、下孔451の径がねじ山421を含めた本体部412の径W2よりも小さくなる範囲内の誤差であれば取付けることができ、下孔451にねじ山のない釘を打付ける場合に比べて、許容できる製造誤差の範囲を広げることができる。
また、本実施形態では、釘411(頭部415)が遊技盤本体30の背面に没入しているため、例えば、遊技盤本体30の背面から突出する釘にその他の部材が引っ掛かって傷つけられてしまうといったおそれを回避することができたり、遊技盤本体30の後側に設けられる部材を遊技盤本体30により近づけて配置することができたりする。加えて、頭部415に十字穴431が形成されているため、本実施形態のように頭部415を遊技盤本体30に没入させても、釘411を比較的容易に取外すことができる。結果として、リサイクルに際しての分別作業性の向上が図られる。
図3の説明に戻り、可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとしてLEDを色換え表示(変動表示)する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて装飾図柄を変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で切換表示(変動表示)し、その変動表示が「○」図柄(当選図柄)で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41による普通図柄の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
なお、普通図柄は、複数のランプの点灯態様を切換えることにより変動表示される構成の他、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であってもよい。保留ランプ44も同様に、装飾図柄表示装置42の一部で表示される構成であってもよい。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の普通図柄の右側方に設けられ、赤、緑、青の発光色を有する三色発光ダイオード(三色LED)により構成されている。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。本実施形態では、この特別表示装置43によって大当たりか否かが確定的に表示されるようになっている。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、サブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。なお、本実施形態では、装飾図柄表示装置42は8インチサイズの液晶ディスプレイを備える。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。より詳しくは、第1契機対応口33に対し遊技球が入賞すると、特別表示装置43は、3色LEDを赤→緑→青→赤→・・・という具合に高速で色換え表示(変動表示)し、所定時間が経過すると、いずれかの色に決定表示する。高速の色換え表示とは、例えば4msec毎に赤、緑、青を順番に表示するという具合である。このとき、大当たり抽選に当選したことを意味する赤又は緑で決定表示(例えば数秒間停止)されると、大当たり状態が発生する。また、特別表示装置43が3色LEDを赤又は緑で決定表示する場合、これを受けて、装飾図柄表示装置42には、特定の図柄の組合わせが補助的に表示されることになる。そして、可変入賞装置32の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
また、遊技盤(遊技盤本体30)には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤本体30上部へ案内するレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50は内レール構成部51と外レール構成部52とを有する。
内レール構成部51の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール構成部51及び外レール構成部52間の球案内通路から遊技盤本体30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、外レール構成部52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図3の右上部:外レール構成部52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって例えば遊技盤本体30の略中央部側へ戻される。
図2の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤本体30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内する発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62と一体的に樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて遊技領域に案内されるようになっている。
また、発射レール61とレールユニット50との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として球案内通路内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。また、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置している。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされる。また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。
また、図2中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられている。当該シャッタ68は、その下辺部に沿って設けられた軸部を軸心として回動可能となっており、前面枠セット14を開放した状態(図2の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉じた状態(図1の状態)では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋(図示略)により、シャッタ68が押し開けられるようになっており、排出口67と上皿19とが連通された状態となる。なお、前面枠セット14の開放状態においては、遊技球は下皿15へ排出されるようになっている。
次に、前面枠セット14について図1を参照しつつ説明する。前面枠セット14には遊技領域(レールユニット50の内周部により略円形状に区画形成された領域)のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。
また、前面枠セット14にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図られる。
なお、図面の開示は省略するが、前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の補強板が設けられており、この補強板はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えている。より詳しくは、補強板の一部が後方に折り返されて前後2列のガラス保持溝が形成されており、矩形状をなす前後一対の透明なガラス137が各ガラス保持溝にて保持されようになっている。なお、ガラス137(ガラス137のうち前面側に配設されたガラス)に代えて、例えば、透明な樹脂板を採用することもできる。
次に、パチンコ機10の背面の構成を図4に基づいて詳しく説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤本体30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤本体30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤本体30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
また、前面枠セット14の施錠機構は、内枠12の施錠機構と一体的となっており、当該一体となった施錠機構G1の本体部は内枠12の背面側に設けられている。そのため、図2では、施錠機構G1から内枠12の前面側に突出した係止爪T1,T2のみが示されている。そして、係止爪T1,T2が前面枠セット14の背面側に係止されることにより、前面枠セット14が施錠された状態となる。
図5は、内枠12に遊技盤(遊技盤本体30)を組み付けた状態における構成を示す背面図である。同図に示すように、遊技盤本体30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。
遊技盤本体30の中央には可変表示装置ユニット35が配置されている。可変表示装置ユニット35においては、センターフレーム47(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤本体30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤本体30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33(それぞれ図3参照)の遊技盤本体開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤本体30よりも下方の内枠12には、樹脂製の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内する排出通路218が形成されている。従って、図5に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
上記構成では、遊技盤本体30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤本体30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。
また、遊技盤本体30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤本体30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、カウントスイッチ223が設けられている。カウントスイッチ223は可変入賞装置32への入賞球をカウントするスイッチである。また、第1契機対応口33に対応する位置には第1契機対応口スイッチ224が設けられ、第2契機対応口34に対応する位置には第2契機対応口スイッチ225が設けられている。第1契機対応口スイッチ224が本実施形態における特定の検出手段(球検出手段)に相当する
入賞口スイッチ221及び第2契機対応口スイッチ225は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。また、カウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続され、さらにこの大入賞口中継基板227がやはり主基板に接続されている。これに対し、第1契機対応口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放する大入賞口ソレノイドが設けられ、第1契機対応口33には、当該第1契機対応口33に装備された電動役物を開放する第1契機対応口ソレノイドが設けられている。なお、図5において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
また、裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付ける取付機構が設けられている。さらに、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付ける取付機構が設けられている。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤本体30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分ける遊技球分配部245が設けられている。また、内枠12の下端部には、下皿15に向けて設置された上記スピーカの背後を囲む樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
図4の説明に戻り、第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、副制御装置としてのサブ制御装置262とを具備している。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、本実施形態では、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨を容易に発見することができる。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。サブ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介してサブ制御装置262及び表示制御装置45に出力される。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施形態では、前述のサブ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置(払出手段)358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は前記上皿19に供給される。また、タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するバイブレータ360が取り付けられており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりの解消が図られる。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
また、裏パックユニット203は、外部中継端子板230用の開口部391が設けられており、裏パックユニット203の固定された状態でも、外部中継端子板230の取外し及び操作が可能となっている。
なお、上述してきた構成により、主制御装置261(基板ボックス263)の取外しは、まず裏パックユニット203を開け、次に第1制御基板ユニット201を開け、そして、主制御装置261を固定している固定具を解除操作するという複雑な過程をふむことにより、ようやく行うことができる。このため、主制御装置261(基板ボックス263)の取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。
なお、本実施形態では、主制御装置261は、厳重に封印された基板ボックス263に格納されているため、主制御装置261に何らかの不正な信号を送ったりする等の不正行為は困難である。このため、主制御装置261によって直接的に制御される特別表示装置43のLEDを「赤」又は「緑」の大当たりの態様で不正に点灯させることは困難である。従って、装飾図柄表示装置42に大当たりとなったかのような表示を行わせるとともに、セルなどを用いて大入賞口を強制的に開放し、大当たりとなっていないにもかかわらず出玉を獲得するというような不正行為が行われる場合にも、特別表示装置43の点灯態様を確認することによって、そのような不正行為が簡単に発見できる。
以上、本発明は、上記実施の形態には何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の形態で実施できることは言うまでもない。
(a)上記実施形態における突出部413の形状は特に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、突出部413を、本体部412の先端部から突出する円柱状の基部481と、基部481の先端部から突出し、該基部481よりも大きな径を有する突部482とから構成してもよい。但し、突部482は、本体部412(一般部414)の径よりも小さな径を有するものとする。また、突部482の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、図8(a)に示すように、断面楕円形状としてもよいし、図8(b)に示すように、笠形状(断面略半円形状)としてもよい。但し、視認性の確保、正確かつ迅速な釘間距離の測定等といった観点からは、拡径部のない棒状とすることが望ましい。
(b)また、上記(a)のように突部482を設ける場合以外にも、突出部413の先端部の断面形状を、例えば、略長方形状としてもよいし、長方形状の角部を面取り加工又はR加工した弓形状としてもよいし、部位によって曲率半径の異なる弧状としてもよい。但し、突出部413の先端部には角部がない方が望ましく、この場合には、例えば、遊技球の衝突に起因して突出部413の先端部が傷つけられて(欠けて)しまったり、逆に、突出部413によって遊技球が傷付けられてしまったりする等のおそれを抑制することができる。
(c)さらに、図9に示すように、突出部413を先端部に向けて縮径するテーパ状に構成してもよい。この場合、図9(a)に示すように、遊技盤本体30の前面側から同図二点鎖線で示すゲージ491を同図矢印方向に移動させ、図9(b)に示すように釘411の段差部441に押し当てる際に、ゲージ491が突出部413によって段差部441までスムースに案内されることになる。従って、測定に際して、ゲージ491を段差部441により当てやすくなり、測定に際しての作業性の向上、及び、測定時間の短縮を図ることができるといった効果が一層確実に奏される。尚、距離W4を一定とするべく、突出部413は、その突出方向に直交する断面が円形状に構成されることが望ましい。
(d)上記実施形態では、本体部412(一般部414)にねじ山421が形成されているが、当該ねじ山421を省略してもよい。また、本体部412(一般部414)の形状は真直ぐな棒状に構成される以外にも、例えば、基端部側と先端部側とに分かれるようにして段差状に構成してもよいし、本体部412を先端部側に向けて縮径するテーパ状に構成してもよい。このように、本体部412の基端部側の径を先端部側の径よりも大径とすることで、(ねじ山のない釘を遊技盤本体30に取付ける場合においても)下孔451に対して先端部側を比較的スムースに挿通させるとともに、基端部側を確実に固定することができる。尚、本体部412を段差状にする場合、釘411の挿通性を向上させるといった観点から、本体部412のうち、釘411の挿通側に対面し、釘411の挿入方向に対して略直交する面の角部を面取り加工又はR加工することが望ましい。
(e)上記実施形態における頭部415を省略してもよい。この場合、本体部412の一般部414の基端部(後端面)に十字穴431を形成してもよい。
(f)上記実施形態では、工具係合部として十字穴431が形成されているが、特にこれに限定されるものではなく、釘411の取付けに際して使用される工具に適応した工具係合部を形成することが望ましい。例えば、工具係合部としてすりわりを形成してもよいし、六角柱状の突起を設けてもよい。また、十字穴431を省略してもよい。この場合、頭部415を打付けて釘411を徐々にねじ込むことになる。
(g)上記実施形態において、例えば、遊技盤本体30の奥側に液晶装置等の表示装置や役物等を設置してもよい。この場合、前方から遊技盤本体30越しにそれらを視認することができる。また、上記実施形態における頭部415を、遊技盤本体30の背面側と当接して釘411の前方への移動を規制できる程度に小径としたり、上記(b)のように頭部415を省略したりする場合には、頭部415によって遊技盤本体30の奥側に設置された表示装置や役物等が見えにくくなってしまうといったおそれを抑制することができる。
また、上記実施形態によれば、遊技盤本体30がそれほど厚くなくても釘411の取付状態を強固に維持することができることから、遊技盤本体30の厚みを薄くすることができ、この場合、遊技盤本体30が厚いことに起因して遊技盤本体30の奥側に液晶装置等の表示装置や役物等が見えづらくなるといったおそれを抑制することができる。
また、遊技盤本体30の背面側から釘411がねじ込まれているとはいえ、釘411が遊技盤本体30の背面に没入していることから、遊技盤本体30の背面から突出する釘411(頭部415)に遊技盤本体30の奥側に液晶装置等の表示装置や役物等が引っ掛かって傷つけられてしまうといったおそれを回避することができたり、前記液晶装置等の表示装置や役物等を遊技盤本体30により近づけて配置することができたりする。尚、液晶装置等の表示装置や役物等と遊技盤本体30とを近づけて配置することにより、液晶装置等の表示装置や役物等をより見やすくすることができたり、パチンコ機10の厚みを薄くすることができたり、その他の部材を配設するためのスペースが確保できたりするといった効果が奏される。
(h)上記実施形態における遊技盤本体30は、無色透明の樹脂により構成されているが、遊技盤本体30の素材は特に限定されるものではない。例えば、有色透明(半透明)の樹脂により構成されてもよい。また、透明又は半透明な樹脂にラメ等の粒状物等を混入させて形成してもよい。加えて、木や不透明な樹脂によって遊技盤本体30を構成してもよい。但し、遊技盤本体30の奥側を視認可能とした場合、より煌びやかな装飾を施したり、より多彩な演出を行ったりすることができ、興趣の向上を図ることができる。
(i)上記実施形態おけるセル画401は、遊技盤本体30の背面にのみ貼付けてもよいし、遊技盤本体30の前面にのみ貼付けてもよい。なお、遊技盤本体30の釘411の配設部位においてもセル画401を貼付ける場合であって、上記実施形態のように、遊技盤本体30の背面側から釘411を挿通させる構成を採用する場合には、該セル画401を遊技盤本体30の背面に貼付ける方が好ましい。この場合、釘411の挿通に際して、セル画401が剥離して浮き上がってしまうといったおそれを抑止することができる。
(j)上記実施形態では特に言及しなかったが、釘411間の距離の計測に際し、上記実施形態のように段差部441が設けられた釘専用のゲージを用いてもよい。つまり、上記実施形態では、釘411間(本体部412間)の距離とは言っても、実際には突出部413間の距離を計測しているため、突出部413の根元部から本体部412の外周面までの距離W4分だけ長く計測される。従って、その距離(0.9mm×2)を補正(突出部413間の距離−1.8mm)した長さを示すゲージを用いることによって、釘411間(本体部412間)の距離を一目で認識することができる。なお、ゲージの形状は、四角形であってもよいし、テーパ状であってもよい。また、遊技盤本体30の前面側に頭部が存在しないことによって、例えば、四角形状のゲージを用いて釘間距離を測定する際には、ゲージが両釘に確実に当接しているか否かを一目で判断することができ、テーパ状のゲージを用いて釘間距離を測定する際には、対応するゲージの目盛を正確に読み取ることができる。
(k)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等として実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当り図柄が表示された後に所定の領域に遊技球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、羽根モノと称されるパチンコ機に適用することも可能である。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機や、それに類する雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。ただし、これらの遊技機には、液晶表示装置やドットマトリクス表示装置等の可変表示装置が搭載されているものとする。
10…遊技機としてのパチンコ機、30…遊技盤本体、411…釘、412…本体部、413…突出部、415…拡径部としての頭部、421…ねじ山、431…工具係合部としての十字穴、441…段差部、451…下孔。