JP4724887B2 - 視覚情報をユニバーサルデザイン化する色修正プログラム - Google Patents

視覚情報をユニバーサルデザイン化する色修正プログラム Download PDF

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Description

本発明は、視覚情報をユニバーサルデザイン化するための色修正プログラムに関し、詳細には、障害者支援のために、配色の視認性を改善し、かつ、障害者と健常者が視環境を共有できるように配色を調整することのできる色修正プログラムに関するものである。
色盲や色弱を有する色覚障害者は、色を使って視覚的な情報を表現・伝達する様々な媒体を見ようとしても、これらの媒体に含まれる色を識別できない不具合を経験することがある。例えば、パソコンで閲覧することのできるホームページや、スクリーンに投影して見るプレゼンテーション画面の電子的媒体、公共の建物・道路・公園などに設置された案内標識や、文字・グラフ・イラスト・地図を含む印刷物といった物理的媒体が、これに該当する。特に、赤緑色盲・赤緑色弱を有する色覚障害者は、赤、緑、茶などの色の識別が困難であり、これら色の配色を用いた視覚情報については、色覚障害者には正確に伝わらない恐れがある。
電子的媒体か、物理的媒体かに関わらず、世の中に溢れるほとんどの媒体は、上記「色を使って視覚的な情報を表現・伝達する媒体」であり、色によって情報を識別することを利用者に強要するものである。なかでも、インターネットを介して公開される電子的媒体は、日々、爆発的に数を増加させており、その存在が無視できないばかりか、電子政府の情報伝達で使用されるなど、一方では市民生活にとって欠かせないものになりつつある。万が一、これらの情報源にアクセスして情報を理解できなければ、日常生活にまで支障が生じる恐れがある。にも関わらず、色覚障害に関する認識や対策は、現状では不十分であり、このままの状態が続けば、日本に住む約318万人もの色覚障害者は、深刻な「情報弱者」になると予想される。
こうした問題を解決するためには、色を使って視覚的な情報を表現・伝達する媒体を、色覚障害者にとっても容易に見られて、情報を正しく理解できるように修正する装置・方法・プログラムが必要とされる。実際、この種の装置・方法・プログラムに関して、これまでに数多くの考案がなされている。例えば、特許文献1においては、カラーデザインやカラー信号の中から、色覚障害者が識別し難い色群を検出し、色差を用いた評価関数を最小化するように色群を補正し、色覚障害者にも識別できるように色変換が施されたカラーデザインやカラー信号を出力する装置を提案している。
しかし、特許文献1で提案されている装置は、色覚障害者だけを対象に色変換し、変換後の媒体を一般の色覚健常者が見ることは想定していない。そのため、色覚健常者が当該媒体を見た場合、変換前と変換後では異なる種類の色として認知されたり、また、変換前の色が表していた特定の情報(概念、意味、意図など)が、色変換によって失われたりする恐れがある。具体例で説明すると、例えば、赤色は、地下鉄路線図においては「丸の内線」を、ホームページやプレゼンテーションにおいては「注意」「注目」を、カレンダーにおいては「日曜」「祝日」を、主として表現するために利用される。もし色覚障害者の視認性を改善するために、赤色の輝度、色み、色相などを変化させたとき、色覚健常者にとって変化させた後の色は、以前と同じように赤色に見えているとは限らない。例えば色覚健常者にとっては、変化させた後の色が、茶色、ピンク色、紫色、オレンジ色などに見えているかもしれない。このように、特許文献1で提案されている装置を用いる場合、赤色を用いて伝えようとした情報が、色覚健常者にうまく伝達できない事態が生じても、この事態を回避することはできない。
また、ひとくちに色覚障害と言っても、様々な色覚特性があり、また、障害の程度も人それぞれである。特許文献2においては、この問題に対処するために、色覚障害者がビジュアルコンテンツ表示装置(ターミナル)を利用する際に、色覚特性や障害の程度をきめ細かく質問し、質問によって得られたデータを利用して、ビジュアルコンテンツを色覚特性や障害の程度に応じて適応変換する方法を提案している。
しかし、特許文献2の方法は、色覚障害者本人が1人で装置を用いることを想定しており、同一のビジュアルコンテンツを見るために、多くの人々が同時に装置を共有することは想定していない。そのため、単一の方法で、同一の情報を、できるだけ多くの人々に、同時に伝達する場合や、個人個人の色覚特性を入力したり、考慮したりすることができない場合には、特許文献2の方法は利用できない。例えば、公共施設や道路に設置された案内標識や、スクリーンに投影して多くの人々に披露される映像プレゼンテーション、あるいはマスメディアを介して提供される放送番組・印刷物などは、特許文献2の方法が利用できない代表的な事例である。これらの場合においては、自分以外の他者と媒体・装置を共用せざるを得ないため、障害者個人に対して個別に情報を提示することは難しく、また障害者個人の色覚特性を個別に入力したり、考慮したりすることも、ほぼ不可能である。
現状では、色盲や色弱を考慮する必要がある場合には、特許文献1や特許文献2に類する方法を使用せざるを得ない。しかしそうすると、上述したように、一般の色覚健常者が考慮されない問題や、他者と媒体・装置を共用できない問題が、新たに生じる。この相反する課題の克服は、特許文献1や特許文献2だけでなく、色覚障害者向けに色修正する装置・方法・プログラム全般が、同様に抱える問題である。
上述の問題に着目し、当該問題を解決する方法の1つとして、特許文献3で提案されている方法がある。特許文献3の方法は、一般の色覚健常者が色覚障害者向け装置を使用しても違和感を感じさせず、一般の色覚健常者と色覚障害者が、同一装置を共用することができる方法である。具体的には、色覚障害者が識別し難い配色があった場合には、配色そのものは変化させず、配色に対してテクスチャ(微小な点、線、面図形)を割り当て、異なる色に対しては異なるテクスチャが対応するように描画する(散りばめる、付加する)ことにとって、配色された領域の識別性を高めようとするものである。
しかし、特許文献3の方法は、配色そのものは、修正することができない。また、配色された領域にテクスチャを描画・付加できない場合には、利用できない。この方法を利用する場合は、もともと存在しないテクスチャを配色領域に付加するため、利用者に違和感を感じさせたり、適用対象の印象が変わって奇異に見えたりする不具合を回避できない。また、色は属性を連続的に変化させると非常に多種(RGB信号が各8ビットならば、それらの組み合わせで表現できる約1千600万種)の情報を表現可能であるが、テクスチャの種別には限りがある。そのため、対象となる色数が多い場合には、異なる色に対して異なるテクスチャを割り当てることができず、特許文献3の方法が使えない。
特開2005−173634号公報 特表2005−524154号公報 特開2004−178513号公報
本発明は、上記実情を鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、色覚障害の有無、種別、程度を個別に考慮しなくても、統一的に色覚障害者の配色視認性を改善し、また色が表現、伝達する情報や、色覚健常者の色認知を一定に保ち、広く一般の人々が目にする視覚情報、公共の表示物、情報メディアをユニバーサルデザイン化するための色修正プログラムを提供することにある。
上記のような目的を達成するため、本発明による色情報メディアをユニバーサルデザイン化するための色修正処理を行う色修正プログラムは、次のような原理に基づき、色修正の処理を行うように構成される。
色覚障害の有無、種別、程度を個別に調べることなく、色覚障害者の配色視認性を改善するためには、特定の色覚障害者を予め想定して色修正を行うことが必要とされる。調査統計によれば、先天色覚異常者のうち、約25%が第1色盲・色弱であり、約75%が第2色盲・色弱であり、合わせるとほぼ100%になることが知られている。その他の先天色覚異常(第3色盲や全色盲など)は非常に希であり、先天色覚異常に占める割合は、合わせて0.1%に満たない。
第1色盲に識別できる配色は第1色弱にも識別可能であること、第2色盲に識別できる配色は第2色弱にも識別可能であることが、色覚理論から論証されている。この性質を応用すれば、第1色盲と第2色盲に識別できる配色を生成することによって、色覚障害の程度を個別に調べなくても、色弱に識別可能な配色を生成することが可能である。
そこで、本発明においては、第1色盲と第2色盲に特化し、第1色盲の視認性を改善するための縮退面αと、第2色盲の視認性を改善するための縮退面βの2つを用意し、これら2つの縮退面を同時に用いて配色を修正する。これによって、第1色盲と第2色盲だけでなく、第1色弱と第2色弱にも識別可能な配色を生成することができる。また、第1色盲・色弱と、第2色盲・色弱をカバーすることによって、先天色覚異常のほぼ100%が識別可能な配色を生成することが可能になり、色覚障害の有無、種別、程度を個別に調べる必要がなく、色情報についてユニバーサルデザイン化するための色修正を行うことができる。
色が表現、伝達する情報を一定に保つためには、色がどのような情報(概念、意味、意図など)を表すのか特定し、それに応じて色修正プログラムの処理を変えることが必要とされる。しかし、色が表す情報は、その色がどのような状況(文脈、形態、目的など)で用いられるかによって、様々に異なる。このような状況を媒体から読み取るためには、種々の状況を記録した膨大なデータベースと、複雑多岐な情報処理が必要であり、これを実現することは困難である。
本発明においては、色が表す情報そのものではなくて、色が表す情報と色の認知(例えば、色のカテゴリー)が密接に関連することに着目し、色認知を一定に保つことによって、間接的に、色が表す情報を保持できるようにする。
また、色覚健常者の色認知を一定に保つためには、人が色をどのように認知するのか、あるいはどの程度の強度で認知するのかについて、心理学的に計量(官能評価)したデータが必要であり、当該データは、色修正の際に参照できなければならない。
そこで、本発明においては、色カテゴリーへの帰属度など色認知の程度を、多数の被験者に基づく官能評価により調査し、調査結果を数値化した心理尺度値のデータを予めデータベース化しておき、色修正に際してそのデータベースを参照し、当該心理尺度値を一定に保つという制約の下で配色を修正することによって、修正前と修正後の色認知を変えないようにする。
具体的には、本発明は一つの態様として、上記のような原理に基づき色修正の処理を行うプログラムとして構成される。すなわち、色情報をユニバーサルデザイン化する色修正処理を行うためにコンピュータを次のような各手段として機能させるためのプログラムとして構成される。ここで備えられる各手段は、第1色盲が識別する色を表現する2次元均等色空間(縮退面α)の座標値と色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間の座標値との対応関係をテーブル化して格納する第1色盲特性データベースと、第2色盲が識別する色を表現する2次元均等色空間(縮退面β)の座標値と色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間の座標値との対応関係をテーブル化して格納する第2色盲特性データベースと、色覚健常者の色認知に関する複数の心理尺度値と色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間の座標値との対応関係を、テーブル化して格納する色認知特性データベースと、配色を含む視覚情報をコンピュータ上で操作できるデータ形式に変換して入力情報として取得する入力手段と、前記入力情報から配色の構造属性を分析する構造分析手段と、前記構造分析手段の分析結果に基づいて識別できない配色の縮退面αにおける色差(α色差)の閾値と配色の縮退面βにおける色差(β色差)の閾値とを算出するパラメータ決定手段と、前記第1色盲特性データベースを参照して配色のα色差を算出し、当該α色差と前記パラメータ決定手段によって算出されたα色差の閾値とを比較するα色差検査手段と、前記第2色盲特性データベースを参照して配色のβ色差を算出し、当該β色差と前記パラメータ決定手段によって算出されたβ色差の閾値とを比較するβ色差検査手段と、前記の色認知特性データベースを参照して処理対象色の色認知に関する心理尺度値を検査する色認知検査手段と、前記第1色盲特性データベースを参照して、配色のα色差が前記パラメータ決定手段によって算出されたα色差の閾値以上になるように保持するα色差保持手段と、前記第2色盲特性データベースを参照して、配色のβ色差が前記パラメータ決定手段によって算出されたβ色差の閾値以上になるように保持するβ色差保持手段と、前記色認知特性データベースを参照して処理対象色の色認知に関する心理尺度値が修正前と修正後とで変化しないように保持する色認知保持手段と、入力情報における配色を含む視覚情報について、前記構造分析手段、前記パラメータ決定手段、前記α色差検査手段、前記β色差検査手段、前記色認知検査手段、前記α色差保持手段、前記β色差保持手段、および前記色認知保持手段を制御して、色修正の処理を行う処理制御手段と、色修正がなされた処理済みの視覚情報データを出力する出力手段として、コンピュータを機能させるプログラムとして構成される。
また、この色修正プログラムにおいては、さらに、最適化問題を解くことによって、修正する色を探索する最適色探索手段として、コンピュータを機能させるサブプログラムを備えており、前記最適色探索手段は、修正後の色と隣接する色とのα色差が一定値以上になるという第1制約条件と、修正後の色と隣接する色とのβ色差が一定値以上になるという第2制約条件と、特定の色認知に関して修正前の色と修正後の色の心理尺度値が同じになるという第3制約条件との下で、CIELAB色空間における修正前の色と修正後の色の色差Eを最小にする最適色を見つけ、見つけた最適色を前記処理制御手段に出力するように構成される。
また、この色修正プログラムにおいては、前記の場合と同様、最適化問題を解くことによって、修正する色を探索する最適色探索手段としてコンピュータを機能させるサブプログラムを備えており、前記最適色探索手段は、修正後の色と隣接する色とのα色差が一定値以上になるという第1制約条件と、修正後の色と隣接する色とのβ色差が一定値以上になるという第2制約条件との下で、特定の色認知に関して修正前色と修正後の色の心理尺度値の差を最小にする最適色を見つけ、当該心理尺度値の差を最小にする最適色の候補が複数ある場合は、複数候補の中からCIELAB色空間における修正前の色と修正後の色の色差Eを最小にする最適色を見つけ、見つけた最適色を前記の処理制御手段に出力するように構成される。
上記のように構成される本発明による色修正プログラムによれば、その色修正処理によって、第1色盲・色弱者、あるいは第2色盲・色弱者、あるいはその両者が識別困難な配色を、配色が一定の色差を有するように加工されるので、当該色覚障害者が共に識別可能な配色を出力することができる。
また、本発明による色修正プログラムによれば、その色修正処理によって、個別に色覚障害の有無、種別、程度を調べなくても、先天色覚異常者のほぼ100%が識別可能な配色を出力することができる。
また、本発明による色修正処理により、色覚障害者向けに修正した配色であっても、色覚健常者への配慮がなされ、具体的には、色覚健常者の色認知を一定に保つように修正されるため、色認知変化が原因で知覚される違和感を無くし、あるいは、色認知変化が原因で配色が表現・伝達すべき情報が変質するのを避けることができる。
すなわち、本発明により修正された配色を用いれば、色覚障害の有無、種別、程度を個別に考慮しなくても、統一的に配色の視認性を改善し、広く一般の人々が目にする視覚情報や、公共の表示物、情報メディアなどを、ユニバーサルデザイン化することができる。
以下、本発明を実施する場合の形態について、実施例により具体的に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に係る色修正プログラムがインストールされたシステム構成を示すブロック図である。ここでのシステムを構成するそれぞれの処理要素は、一部はプログラムのサブプログラムの処理モジュールとして構成される。
ここでのシステム処理要素としては、入力手段101、処理制御手段102、出力手段103、構造分析手段111、パラメータ決定手段112、最適色探索手段113、検査手段(α色差検査手段、β色差検査手段、色認知検査手段)121、保持手段(α色差保持手段、β色差保持手段、色認知保持手段)122、第1色盲特性データベース131、第2色盲特性データベース132、色認知特性データベース133が設けられる。
入力手段101は、視覚情報データを媒体から取得する。入力手段101が取得する視覚情報は、印刷媒体、電子媒体、その他の視覚情報媒体から、視覚を用いて確認できる情報(例えば、文字や図形などの、形、色、構図など)であり、コンピュータ上で操作できるデータ形式に変換して取得する。
処理制御手段102は、入力手段101、出力手段103、構造分析手段111、パラメータ決定手段112、最適色探索手段113の情報処理要素(処理モジュール)の各手段を必要に応じて呼び出し、これらの処理モジュールの動作タイミングとデータのやりとりを制御しながら、データ処理を進める。処理制御手段102におけるデータ処理が終了すると、出力手段103は、処理済みの視覚情報データを媒体へ出力する。
構造分析手段111は、処理制御手段102から取得した情報を、視覚的特徴(形、色、構図、他)および属性(図と地などの構造情報や、文字、図形、写真などの種別情報、他)に応じて分類し、情報を構造化する。例えば、HTMLやCSSによって入力情報が予め構造化されているホームページの場合、視覚的特徴と属性に応じて入力情報を構造分析する処理を行う。
しかし、入力情報が図版や画像の場合には、領域分割する作業や、領域の視覚的特徴や属性を推定する作業が、別途必要である。このような場合には、ベイズ推定に基づくベイジアンネットワークなどを用いることによって、分割された領域の視覚的特徴や属性を推定することができる。構造分析手段111で構造化された情報には、各領域間のα色差とβ色差(後述する)と、領域色がどのような色認知を与えるかに関する情報も含まれるが、これらは検査手段121によって検査される。
構造分析手段111は、パラメータ決定手段112と、検査手段121および処理制御手段102と協調して動作し、色盲が識別困難な配色領域を特定する。例えば、隣合う領域の属性が文字と背景と判断された場合には、可読性を良くするため、文字と背景の色差は大きめに設定される。その場合、処理制御手段102は、パラメータ決定手段112に指示して、文字と背景の間に必要な大きめのα色差閾値とβ色差閾値を決定する。決定されたα色差閾値とβ色差閾値は、パラメータ決定手段112から検査手段121へ伝えられ、識別困難な配色かどうかを、α色差閾値とβ色差閾値に従って検査する。
また、別の例としては、文字色が赤色で、かつ色カテゴリーへの帰属度(後述する)が高いと評価されている場合には、文字が重要な情報を表している可能性が高いと判断されるため、文字色は変化させずに、背景色のみを修正するように、処理制御手段102が処理内容を決定する。パラメータ決定手段112は背景色の修正に係るパラメータの詳細を決める。その際、処理制御手段102は、当該文字および背景と、他の領域についても、構造分析手段111から受け取った視覚的特徴や属性に関する情報を比較し、処理の重複と循環を避け、効率よく処理を進められるように、色修正の有無や順番を決め、当該処理を監視する。
処理制御手段102が、遂行する処理プロセスに従って、構造分析手段111、パラメータ決定手段112、最適色探索手段113は、必要に応じて複数回呼び出されるが、その順番は決まっていない(例えば、最適色探索手段113でプロセスが進行している最中に、パラメータ決定手段112が呼び出される場合もある)ため、システム構成を示すブロック図において、これらの3つの手段は並列に記載される。
パラメータ決定手段112は、上述した検査手段121で用いるα色差、β色差、色認知に関するパラメータの他に、保持手段122で用いるパラメータ、および最適色探索手段113で用いるパラメータ、例えば、色認知に関する心理尺度の選択(後述する)などを、処理制御手段102の指示に基づき決定する。
最適色探索手段113は、パラメータ決定手段112からパラメータを受け取り、修正色を探索する。ここで探索され、修正色として選択される色は、以下に示す最適化問題1の解に一致する。なお、ξとηは、パラメータ決定手段112によって算出される定数を表す。
<最適化問題1>
(最適化の目標)
修正前の色と修正後の色の、CIELAB色空間における色差Eを最小化する。
(同時に満たすべき制約条件)
条件1)修正後の色と隣接する色の、α色差は一定の閾値ξ以上である。
条件2)修正後の色と隣接する色の、β色差は一定の閾値η以上である。
条件3)修正前の色と修正後の色の、特定の色認知に関する心理尺度値は同じである。
最適色探索手段113は、まず、最初に、上記目標を達成する解を見つけるプロセスを実行する。このとき、最適色探索手段113と協調して動作し、条件1)を満たすようにプロセスをチェックするのが、保持手段122のα色差保持手段であり、条件2)を満たすように、プロセスをチェックするのが、保持手段122のβ色差保持手段であり、条件3)を満たすように、プロセスをチェックするのが、保持手段122の色認知保持手段である。
上記制約条件により、探索すべきCIELAB色空間の範囲は、認知曲面S(後述する)、あるいは、色認知に関する心理尺度値が一定である領域に限定され、探索範囲はかなり狭くなる。そのため、もしCIELAB色空間の格子点のみを探索するならば、全ての格子点で制約条件を満たすかどうか検査し、最適化目標を満たす解を見つけることは難しくない。
なお、条件3の色認知の尺度として、例えば、色カテゴリーへの帰属度、色の誘目度、SD法で得られた特定の因子尺度など(後述する)から、どの尺度を選択するかによって、上記最適化の解は異なってくる。パラメータ決定手段112は、構造分析手段111から得た情報をもとに、どの尺度を選択するか決定し、最適色探索手段113にそれを伝達する。
場合によっては、最適化問題1の解が存在しない場合もある。その場合、最適色探索手段113は処理を一端終了し、処理制御手段102のプロセスに移行する。処理制御手段102は、パラメータ決定手段112に対して、設定した色認知尺度に関するパラメータを変更するように指示すると共に、最適色探索手段113に対して、以下に示す最適化問題2を解くように指示する。なお、ξとηは、パラメータ決定手段112によって算出される定数を表す。
<最適化問題2>
(最適化の目標)
修正前の色と修正後の色の、色認知に関する心理尺度値の差を最小化する。
(同時に満たすべき制約条件)
条件1)修正後の色と隣接する色の、α色差は一定の閾値ξ以上である。
条件2)修正後の色と隣接する色の、β色差は一定の閾値η以上である。
最適色探索手段113は、まず、最初に、上記目標を達成する解を見つけるプロセスを実行する。このとき、最適色探索手段113と協調して、条件1)を満たすようにプロセスをチェックするのが、保持手段122のα色差保持手段であり、条件2)を満たすようにプロセスをチェックするのが、保持手段122のβ色差保持手段である。
但し、色認知に関する心理尺度値とCIELAB色空間の格子点との対応は、被験者を用いた官能評価(後述する)の結果に左右され、尺度値を連続的に変化させることは、必ずしもできない。また、最適化問題2が、CIELAB色空間の格子点のみを対象に解かれ場合、最適化問題2の解として、複数の修正色の候補が見つかる場合も想定される。その場合には、検索された修正色の候補のみを対象に、以下に示す最適化問題3を解く。
<最適化問題3>
(最適化の目標)
修正前の色と修正後の色の、CIELAB色空間における色差Eを最小化する。
(満たすべき制約条件)
最小化の対象は、最適化問題2で見つかった修正色の候補である。
上記3つの最適化問題は、CIELAB色空間における色差よりも、色認知の方を優先する(後述する)ように目標設定されているため、条件1と条件2で色盲および色弱の配色視認性を確保(後述する)した上で、健常者にとって色認知が最も近い修正候補が検索される。
最適色探索手段113における最適化プロセスが終了し、修正色候補が1つ決まると、最適色探索手段113は処理を終え、処理制御手段102に処理を移行する。処理制御手段102は、構造分析手段111を用いて視認性に問題があることが判明した配色を、最適色探索手段113との協調によって修正し、修正が全て終了したら、出力手段103へ視覚情報データを出力するように指示する。
検査手段121は、識別困難な配色が無いか、対象色がどのような色認知を与えるか、などを検査する。この時、α色差検査手段は、第1色盲特性データベースに格納された縮退面α(後述する)の色分布に関する情報を用いて、α色差を検査をする。同様に、β色差検査手段は、第2色盲特性データベースに格納された縮退面β(後述する)の色分布に関する情報を用いて、β色差を検査をする。同様に、色認知検査手段は、色認知特性データベースに格納された幾つかの色認知尺度の1つを用いて、色認知を検査する。
保持手段122は、最適化問題1と2の制約条件として設定される色差および色認知を一定に保つように動作し、最適色探索手段113のプロセスをチェックする。この時、α色差保持手段は、第1色盲特性データベースに格納された縮退面αの色分布に関する情報を用いて、α色差を一定に保つ。同様に、β色差保持手段は、第2色盲特性データベースに格納された縮退面βの色分布に関する情報を用いて、β色差を一定に保つ。同様に、色認知保持手段は、色認知特性データベースに格納された幾つかの色認知尺度の1つを用いて、色認知を一定に保つ。
図2は、第1色盲特性データベース131に格納されるデータを説明する図である。第1色盲特性データベース131には、図2として図示したように、第1色盲が識別する色を表現する2次元均等色空間(縮退面α)の座標値(α1、α2)と、色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間(CIELAB色空間)の座標値(L、a*、b*)の対応関係に関するデータが格納される。当該対応関係は、第1色盲の被験者を用いた官能評価によってのみ得ることができ、数式によって表現できないために、データベース化されている。但し、データの追加や変更が行われることはないため、データベースが書き換え可能な磁気ディスク上に存在する必要はなく、図12のようにROMに記録したり、図13のようにプログラムの一部(数値配列)としてRAMに展開する方が、利便性が良い。
図3は、第2色盲特性データベース132に格納されるデータを説明する図である。第2色盲特性データベース132には、図3に図示したように、第2色盲が識別する色を表現する2次元均等色空間(縮退面β)の座標値(β1、β2)と、色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間(CIELAB色空間)の座標値(L、a*、b*)の対応関係に関するデータが格納される。当該対応関係は、第2色盲の被験者を用いた官能評価によってのみ得ることができ、数式によって表現できないために、データベース化されている。その他の特徴は、第1色盲特性データベース131と同様である。
図4は、色認知特性データベース133に格納されるデータを説明する図である。色認知特性データベース133には、図4として図示したように、色覚健常者の色認知に関する心理尺度、例えば「色カテゴリーへの帰属度」「色の誘目度」「色から感じられる緊急度」「SD法によって得られる活動性因子の値」など複数の心理尺度値(後述する)と、色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間(CIELAB色空間)の座標値(L、a*、b*)の対応関係に関するデータが格納される。当該対応関係は、色覚健常な(色盲や色弱を有しない)被験者を用いた官能評価によってのみ得ることができ、数式によって表現できないために、データベース化されている。その他の特徴は、第1色盲特性データベース131と同様である。
以下、これまでの説明に使用した用語と、本発明の独自の概念について整理して説明する。具体的に図面を参照して説明する。
<先天色覚異常、第1色盲、第1色弱、第2色盲、第2色弱>
先天色覚異常は、ほとんどの場合、網膜にある錐体と呼ばれる視細胞(分光特性の異なるL、M、Sの3種類がある)のうち、L錐体かM錐体のいずれかが存在しないか、あるいはL錐体とM錐体の分光特性が異常に似通ってしまうために生ずる。一般の色覚健常者は3色型色覚である。しかし、L錐体かM錐体が無い場合には、2色型色覚(俗に赤緑色盲と呼ばれる第1色盲、第2色盲)となる。またL錐体とM錐体の分光特性が異常に似通ってしまう場合には、異常3色型色覚(第1色弱、第2色弱)となる。その他の先天色覚異常としては、S錐体が欠損した2色型色覚(第3色盲)や、2種類以上の錐体が欠損した1色型色覚(全色盲)が知られている。なお、第3色弱については症例がない。
先天色覚異常のうち、第1色盲・色弱の占める割合が25%、第2色盲・色弱の占める割合が75%であり、合わせるとほぼ100%になる。すなわち先天色覚異常は、ほとんどこれら2つのいずれかに該当することがわかる。その他の先天色覚異常(第3色盲や全色盲)は非常に希であり、全部合わせても、先天色覚異常に占める割合は0.1%に満たない。
本発明による色修正プログラムは、第1色盲と第2色盲を対象として色修正の処理を行う。第1色弱と第2色弱については、2色型色覚と3色型色覚の中間の色覚特性であり、第1色盲と第2色盲を対象とする色修正を行えば、第1色弱と第2色弱に対する効果も得られることが、原理的に説明できる。この原理を利用すれば、第1色盲と第2色盲だけを対象に色修正したとしても、先天色覚異常者のほとんど全て(ほぼ100%)の配色視認性を改善することができる。
<第1色盲をプログラムで扱うための基本的な原理>
図5は、xy色度図を用いて、第1色盲の色の見え方を説明する図である。xy色度図は、色を特定するための、標準規格(JISなど)に定められた座標系である。ここでのxとyは、xy色度図の座標軸を表している。なおxy色度図においては、輝度軸は省略されている。図5に描かれた船の帆に似た形状は、スペクトル軌跡を表し、人はこの軌跡の内側の色だけを見ることができる(軌跡外側の色は見えない)。点Qpと点Rpは、一般の色覚健常者にはそれぞれ異なる色として識別できる2色を表す。しかし、第1色盲を有する者にとっては、QpとRpは互いに仮性同色(混同色)となり、これら2色の区別がつかない。
図5に描かれた放射状の複数の線は、第1色盲にとって互いに仮性同色となる色(例えばQpとRp)が存在する箇所を表したものであり、混同線(混同色軌跡)と呼ばれる。また、混同線が交わる1点Cpは、収束点(混同色中心)と呼ばれる。図5に描かれた収束点Cpの座標(x=0.747、y=0.253)は第1色盲に固有であり、第1、第2、第3色盲では、それぞれ収束点の座標は異なる。また、収束点の座標が互いに異なるため、混同線の角度や位置も、第1、第2、第3色盲では互いに異なる。
xy色度図を用いれば、上述したように、第1色盲の色の見え方を推測することは可能であるが、より的確に第1色盲の色の見え方を特定するため、新たな座標系を導入する。図5に図示したように、互いに仮性同色となる色(例えばQpとRp)は、まとめて1つの点Ppとして表現する。なお点Ppは混同線と1対1対応する。次に、混同線がy軸となす角度θを変化させたとき点Ppが描く軌跡を、収束点Cpを中心とする半径一定の円弧Dpとして表現する。円弧Dpは、1次元軸θを用いて第1色盲の色見えを表現する新たな座標系として機能する。
図5のxy色度図では、輝度軸が省略されているが、輝度軸を考慮するならば、それはxy色度図面に対して垂直に存在する。この輝度軸とθ軸とを合わせて使用すれば、第1色盲の色の見え方を一意に表現する2次元座標系を構成することができる。但し、輝度軸とθ軸で張られる色空間は、第1色盲者が知覚する色差(α色差)に関して等歩度ではない。色差を計算できるようにするためには、輝度軸とθ軸とを非線形的に伸縮させて、2次元の均等色空間を構成する必要がある。このとき、輝度軸とθ軸をどのような具合で、どのような非線形関係を用いて、伸縮させるかについては、第1色盲の被験者を用いた官能評価によって決める。このようにして構成される2次元の均等色空間が、後述する「縮退面α」である。
<第2色盲をプログラムで扱うための基本的な原理>
図6は、xy色度図を用いて、第2色盲の色の見え方を説明する図である。点Qdと点Rdは、一般の色覚健常者にはそれぞれ異なる色として識別できる2色を表す。しかし、第2色盲を有する者にとっては、QdとRdは互いに仮性同色(混同色)となり、これら2色の区別がつかない。点Cdは第2色盲の収束点(混同色中心)であり、固有の座標(x=1.080、y=−0.080)を有する。図5との比較から、第1色盲の収束点Cpと第2色盲の収束点Cdでは座標が異なること、第1色盲の混同線と第2色盲の混同線では軌跡が異なることなどが明らかである。
第2色盲の色の見え方を表現するため、新たな座標系を導入する。図6に図示したように、第2色盲にとって互いに仮性同色となる色(例えばQdとRd)は、まとめて1つの点Pdとして表現する。なお、点Pdは混同線と1対1対応する。次に、混同線がy軸となす角度φを変化させたとき点Pdが描く軌跡を、収束点Cdを中心とする半径一定の円弧Ddとして表現する。円弧Ddは、1次元軸φを用いて第2色盲の色見えを表現する新たな座標系として機能する。
図6のxy色度図では輝度軸が省略されているが、輝度軸を考慮するならば、それはxy色度図面に対して垂直に存在する。この輝度軸とφ軸とを合わせて使用すれば、第2色盲の色の見え方を一意に表現する2次元座標系を構成することができる。但し、輝度軸とφ軸で張られる色空間は、第2色盲者が知覚する色差(β色差)に関して等歩度ではない。色差を計算できるようにするためには、輝度軸とφ軸とを非線形的に伸縮させて、2次元の均等色空間を構成する必要がある。このとき、輝度軸とφ軸をどのような具合で、どのような非線形関係を用いて、伸縮させるかについては、第2色盲の被験者を用いた官能評価によって決める。このようにして構成される2次元の均等色空間が、後述する「縮退面β」である。
<CIELAB色空間>
図7は、CIELAB色空間と縮退面αおよび縮退面βの関係を説明する図である。図7においてCIELAB色空間は、L、a*、b*の3つの座標軸を有する3次元空間であり、色を特定したり色差を計算したりするための、標準規格(JISなど)に定められた均等色空間である。3色型色覚に分類される一般の色覚健常者(色覚異常の無い者)が識別可能な色は、この空間を用いて一意に表現される。従って、3色型色覚の者には、CIELAB色空間に配置された点C1と点C2は、それぞれ異なる2色として見える。また点C1と点C2の間の距離は色差と呼ばれ、この距離の程度に応じて、異なる2色が「どの程度異なって見えるか」を表現することができる。つまり、色差が大きくなるほど、2色は異なる色(見分けやすい色)として見え、色差が小さくなるほど、2色は似通った色(見分けにくい色)として見える。
<縮退面α、α色差>
図7において縮退面αは、α1、α2の2つの座標軸を有する2次元空間であり、第1色盲に固有の色差を計算するために、本発明が独自に設定する均等色空間である。2色型色覚に分類される第1色盲を有する者が識別可能な色は、この空間を用いて一意に表現される。なお、縮退面αに配置された点α(C1)と点α(C2)は、CIELAB色空間において異なる2点C1とC2が、第1色盲を有する者にどのように見えるかを表現したものである。α(C1)とα(C2)が一点に重なっていないならば、第1色盲を有する者にも、これらは異なる2色として見える。但し、α(C1)とα(C2)の色差、すなわちα(C1)とα(C2)の間の距離が小さい場合には、第1色盲を有する者にとって、これらは見分けにくい色である。なお、CIELAB色空間における色差と特に区別する必要がある場合には、縮退面αにおける色差を「α色差」と呼ぶことにする。
<縮退面β、β色差>
図7において縮退面βは、β1、β2の2つの座標軸を有する2次元空間であり、第2色盲に固有の色差を計算するために、本発明が独自に設定する均等色空間である。2色型色覚に分類される第2色盲を有する者が識別可能な色は、この空間を用いて一意に表現される。なお、縮退面βに配置された点β(C1)と点β(C2)は、CIELAB色空間において異なる2点C1とC2が、第2色盲を有する者にどのように見えるかを表現したものである。β(C1)とβ(C2)が一点に重なっていないならば、第2色盲を有する者にも、これらは異なる2色として見える。但し、β(C1)とβ(C2)の色差、すなわちβ(C1)とβ(C2)の間の距離が小さい場合には、第2色盲を有する者にとって、これらは見分けにくい色である。なお、CIELAB色空間における色差と特に区別する必要がある場合には、縮退面βにおける色差を「β色差」と呼ぶことにする。
<色弱をプログラムで扱うための基本的な原理>
図8は、2色型色覚(色盲)と異常3色型色覚(色弱)の違いを説明する図である。この図に基づき、縮退面αおよびβを用いることによって、色覚の差異(色盲、色弱)や、色弱の程度(軽度、中度、強度)に関わらず、色盲も色弱も識別可能である色領域を、統一的に決定可能であることを説明する。なお図8においては、縮退面αだけを用い、第1色盲と第1色弱の違いを説明するが、縮退面βを用いた第2色盲と第2色弱の違いの説明も、ほぼ同様であるため、省略する。
異常3色型色覚(第1色弱)を有する者は、縮退面αの2軸、および縮退面αに垂直な(独立な)軸Vを有する3次元空間において、色を識別する。もし当該3次元空間が均等色空間であり、第1色弱に固有の色差を計算することができるならば、軸Vの長さ(軸V方向への色弁別閾)は色弱の程度に依存して決まる。例えば、色弱の程度が軽いほど、軸Vは長く(軸V方向への色弁別閾は小さく)、色弱の程度が強くなるほど、軸Vは短く(軸V方向への色弁別閾は大きく)なる。色弱の程度を強くしていけば、最終的にV軸は無くなり、2次元の縮退面だけで色を識別する2色型色覚(第1色盲)に一致する。
図8における点Cは、第1色弱を有する者が知覚する色を表す。また点Pは、第1色盲を有する者が点Cに相当する色を見たときに知覚する色を表す。なお、点Cから縮退面αへ下ろした垂線の足(縮退面αとの交点)は、点Pに一致する。点Dも第1色弱を有する者が知覚する色を表すが、点Cとは互いに異なる色である。点Qは、点Dに相当する色を第1色盲を有する者が見たとき知覚する色を表し、点Dから縮退面αへ下ろした垂線の足に一致する。
点Cと点Dの色差Ecdと、点Pと点Qの色差Epqを比較すると、必ずEcd≧Epqの関係が成り立つ。異なる2色を識別するのに必要な色差がEpq以上であるとき、縮退面αにおける垂線の足同士の色差をEpq以上にすれば、第1色弱を有する者が相当する2色を見たとき知覚する色差Ecdは、必ずEpq以上の大きさになり、当該2色は識別可能である。すなわち、第1色盲が識別できるように配色の色差を設定すれば、第1色弱にも当該配色を識別できることが、この関係から分かる(但し、この逆は成り立たない)。また、縮退面αへの垂線の足を用いて色差を計算すれば、色覚の差異(色弱、色盲)、色弱の程度(軽度、中度、強度)に関わらず、第1色盲にも第1色弱にも識別可能な色領域が統一的に決定することができる。本発明はこの性質を利用して、色盲者のみならず、色弱者の配色視認性も、同時に確保する。
<認知曲面S(色認知に関する心理尺度値が一定である領域)>
図9は、CIELAB色空間における認知曲面Sを説明する図である。認知曲面Sは、本発明独自の空間的表象であり、色カテゴリーへの帰属度など色認知に関する心理尺度値が一定である領域を、CIELAB色空間において可視化したものである。
図9の点A、B、Cは、一般の色覚健常者にはそれぞれ異なる色として識別される3色を表す。このうち、点Aと点Bは認知曲面Sに含まれるが、点Cは認知曲面Sに含まれない。認知曲面Sが色カテゴリーへの帰属度一定の面を表すならば、点Aと点Bは同じ色カテゴリーに含まれ、かつ点Aと点Bの色カテゴリーへの帰属度は同じである。すなわち、点Aと点Bは、一般の色覚健常者に同じ色認知を与えることが分かる。一方、点Cは認知曲面Sに含まれていないため、点Aと点Bとは異なる色カテゴリーの色であるか、同じ色カテゴリーに含まれるとしても、色カテゴリーへの帰属度が、点Aと点Bとは異なることが分かる。
認知曲面Sが存在するCIELAB色空間は、色差表色系であるので、図9の点A、B、C点についても、色差を計算することができる。いま、図9に示したように、点Aと点Bの色差をEab、点Aと点Cの色差をEacと記述し、Eab>Eacであったと仮定する。もし色差だけを用いて点Aに近い色を評価すると、点Bよりも点Cの方が色差が小さいため、点Bよりも点Cの方が、点Aに近い色であると結論される。しかし色認知を考慮すると結論は逆転する。すなわち、点Aと点Cは色カテゴリーへの帰属度が異なるか、あるいは色カテゴリーそのものが異なるが、他方、点Aと点Bは色カテゴリーへの帰属度が同じである(すなわち、色カテゴリーは同一である)ので、点Cよりも点Bの方が、点Aに近い色として評価される。この事例から明らかなように、色差だけを用いても、色認知を評価することはできない。また色認知を評価するためには、認知曲面S(あるいは、色認知に関する心理尺度値が一定である領域)を考慮することが不可欠である。
<色認知に関する心理尺度値(色カテゴリーへの帰属度)>
図10は、色カテゴリーへの帰属度などの色認知に関する心理尺度値と、認知曲面Sの関係を説明する図である。図10に示したスケール(心理尺度)は、色カテゴリーへの帰属度を0から100までの数値で表している。例えば赤色という色カテゴリーを考えるならば、すべての色の中で最も赤色らしいと評価される色には数値100を割り当てる。赤色らしさが中間的であると評価される色には数値50を割り当てる。全然赤色らしくない(赤色のカテゴリーに含まれない)と評価される色には数値0を割り当てる。このようにして、CIELAB色空間の評価可能な全ての色に対して点数を付ける。スケールは色カテゴリー毎に用意され、例えば11種類の色カテゴリーを考慮する場合、11個のスケールが想定され、必要に応じてこれらは選択される。
<認知曲面Sの構造>
図10に図示したように、認知曲面Sは、スケールの数値毎に定義される(但し、0と100は除く)。例えば、色カテゴリーへの帰属度が70の認知曲面Sは、CIELAB色空間において色カテゴリーへの帰属度が70と評価される色(複数)が存在する領域を表している。このように、スケール値と認知曲面Sは1対1対応し、異なるスケール値には異なる認知曲面が存在する。但し、スケール値0に対する領域は、曲面構造とならない。また、スケール値100に対する領域は、点となる。スケールの数値が近い認知曲面どうしは、CIELAB色空間の中でも近い距離にある。従って、スケール値に従って複数の認知曲面をCIELAB色空間に配置すると、(タマネギのような)層構造となる。また、曲面Sが空間に占める割合は様々で、広い場合もあれば、特定の1点(1色)だけという場合もある。曲面Sの広さは、スケール値に割り当てられる色数に依拠して決まる。
<官能評価>
認知曲面Sは、数式によって定義されたり、形状が決まったりはしない。認知曲面Sは、多数の被験者(色覚健常者)による官能評価を実施し、CIELAB色空間の評価可能な全ての色に対する色認知の程度を心理尺度化し、それらの平均値をCIELAB色空間にプロットしたものである。従って、様々な認知曲面SをCIELAB色空間に配置するためには、その元となる官能評価から得られた心理尺度値をデータベース化し、そのデータベースを参照することによって、認知曲面Sを決定する必要がある。但し、色覚健常者による官能評価と、評価データからのデータベース化作業は、本発明の色修正プログラムを作成する前に1度だけ実施すれば済むため、利用の度に、あるいは利用者毎に、官能評価データを収集したり、色覚特性や障害の程度を取得したりする必要はない。
<色認知に関する心理尺度(色カテゴリーへの帰属度を除く)>
図11は、色カテゴリーへの帰属度以外に、色認知に関連すると考えられる心理属性をスケール化した例を説明する図である。(例1)として色の誘目度、(例2)として色から感じられる緊急度、(例3)としてオズグッドのSD法や多変量解析によって得られる尺度(ここでは活動性因子)を例示した。本実施例ではこれまで、色認知に関する心理尺度として、色カテゴリーへの帰属度を例示した。しかし色認知には様々な様相があると考えられ、図11のような属性も色認知の尺度として選択可能である。但し、これらの尺度値に対応する領域をCIELAB色空間に表象すると、それらは曲面構造になるとは限らず、円環や線、点、その他の空間的領域をCIELAB色空間に形成する可能性もある。しかし、特定の尺度値に該当する領域を検査したり検索する際、領域が曲面構造で有る必要はなく、検査や検索に不具合は生じない。これらの色認知に関連する尺度は、用途に応じて使い分けすれば良いと考えられる。
図12は、本発明の一実施例に係るシステムのハードウェア構成の一例である。図12のように、色修正装置(200)の組み込みシステム(100)として、処理モジュールおよびデータベースはROM(リード・オンリ・メモリ)に予め格納されており、入力装置(220)から画像/図版(210)を入力し、出力装置(230)から修正された画像/図版(240)を出力するシステム構成となっている。
図13は、本発明の一実施例に係るシステムのハードウェア構成の別の一例である。図13のように、汎用コンピュータ(300)のプログラム(310)に対するプラグインモジュール(100)として、上記処理モジュールおよびデータベースはRAM(ランダム・アクセス・メモリ)にロードされていて、ハードディスク(320)に記録された電子文書(330)を読み込み、修正された電子文書(340)をハードディスク(320)に書き込むシステム構成となっている。
本発明の第1の実施例として、図12に示した実施形態による、出版物や印刷物の版下(校正刷り)を色修正するための、色修正装置を説明する。出版物や印刷物の配色は、必ずしも色覚障害者の見えを考慮したものではない。しかし、数千、数万、あるいはそれ以上の部数を出版し、印刷する場合には、読者の中に先天色覚異常を有する者が必ず(男性の20名に1人の割合で)存在するため、これらの障害者を無視した編集やデザインは望ましくない。文字やイラスト、グラフ、地図、その他の図版の配色を、色覚障害者にも識別できるようにするためには、版下の段階までに修正しなければならない。その際、修正された配色は、色覚障害者以外の大多数の読者にとっても、意味のある配色でなくてはならないし、クリエイターや編集者が意図して用いた配色が(少なくとも色カテゴリーに関して)変わってしまわないように気をつける必要がある。図12に示した色修正装置を用いれば、これらの課題を解決することが可能である。具体的には、校正前の図版をスキャナ(220)で取り込み、配色を修正した後、プリプレス用プリンタ(230)で修正済み版下を印刷する。このプロセスによって、先天色覚異常を考慮する出版物や印刷物を、効率よく編集することができるようになる。
本発明の第2の実施例として、図12に示した実施形態による、視環境評価に使用される色修正装置を説明する。様々な公共の標示物(案内表示、道路標識、地図、名称表示板、他)が配置された視環境は、どの人にとっても見やすく、分かりやすいものでなければならないが、必ずしも色覚障害者の見えは考慮されていない。例えば、公衆トイレの標識に、黒い背景と赤い女性のシルエットを組み合わせた図版を使用する場合は多いが、第1色盲や第2色盲の方々にとって、黒と赤で描かれた標識を識別することは容易ではない。こうした公共の視環境を調査、修正しようとする場合、色覚健常者だけでは、問題点を見つけられなかったり、どのように視環境を改善すれば良いか分からない事が予想される。このような場合、図12に示した色修正装置を用いれば、これらの課題を解決可能である。具体的には、問題となる配色をカメラ(220)を用いて取り込み、当該配色を修正した後、ディスプレイ(230)に修正配色を表示する。問題が見つかった場合は、配色が修正された標示物を作成し、問題の標示物とこれを取り替えた後、改めて図9の色修正装置を用いて、視認性に問題が無いか確認する。このプロセスによって、バリアフリー化作業を円滑に進めることができる。また、この色修正装置を用いれば、配色を修正しても各色カテゴリーは一定に保たれるため、一般利用者が標示物を見誤ったり、混乱したりするのを避けることができる。
本発明の第3の実施例として、図13に示した実施形態による、ホームページを作成するための色修正プログラムを説明する。本明細書の「背景技術」に例示した既存の特許文献は、色覚障害者のために色修正する装置に関する。これら装置の色修正法を用いれば、色覚障害者がホームページを見る場合であっても、視認性の悪いホームページを色修正し、視認性を改善することが、原理的に可能である。しかし、ホームページ制作者の立場から考えるならば、幾つかの問題点を指摘可能である。まず、色覚障害者向けにホームページを作成する場合であっても、障害の有無、種別、程度に応じて、きめ細かくホームページを作成することは困難である。現実的には、作業効率や文書サーバーの容量などの制約があるため、できれば、色覚障害者と一般の健常者が同一のホームページを見て、双方共に満足してくれることが望ましい。一方、色覚障害者と一般の健常者が同じホームページを見る場合であっても、視認性を向上させる色修正によって、制作者やデザイナーが意図して使用した色や、色そのものに意味がある場合(例えば、注意を喚起するために赤色が使用される場合)は、できるだけ色を変化させないように気をつける必要がある。図13に示した色修正プログラムを用いれば、インターネットに公開する前のHTML文書(330)を入力し、色修正プログラムによって修正されたHTML文書(340)を公開するだけで、これらの課題を解決し、ホームページのバリアフリー化作業が可能になる。
本発明の第4の実施例として、図13に示した実施形態による、プレゼンテーション文書を作成するための色修正プログラムを説明する。プレゼンテーション文書は、例えばPOWERPOINT(登録商標)、Acrobat(登録商標)、PHOTOSHOP(登録商標)などのパソコン用プログラムを用いて作成され、液晶プロジェクターなどを介してプレゼンテーション画面をスクリーンに投影する目的で使用される。スクリーンに投影される映像は、大勢の聴講者が、同一の画面を、同時に見るため、色覚障害の有無、種別、程度に応じた対策を講ずることは、ほぼ不可能である。しかしこうしたプレゼンテーションには、彩色された文字、図形、グラフなど、色によって識別しなければならない情報が数多く含まれるため、色盲や色弱を有する者が困惑する配色も多い。実際、学会や講演会など大勢の人が集まる場には、必ず先天色覚異常を有する者が(男性の20名に1人の割合で)出席していると考えられ、プレゼンテーションの色覚バリアフリー化が強く望まれる。図13の色修正プログラムは、POWERPOINT(登録商標)、Acrobat(登録商標)、PHOTOSHOP(登録商標)などに、プラグインモジュールとして本発明による色修正機能を追加したものである。この色修正プログラムを用いれば、色盲や色弱に関わらず、ほぼ100%の先天色覚異常者の視認性を改善することが可能である。また、修正前のプレゼンテーション文書(330)に含まれる色についても、色認知が変化しないように修正するため、発表者と聴講者の双方が満足するようなプレゼンテーションが可能になる。
色修正プログラムのシステム構成を示すブロック図である。 第1色盲特性データベース131に格納されるデータを説明する図である。 第2色盲特性データベース132に格納されるデータを説明する図である。 色認知特性データベース133に格納されるデータを説明する図である。 xy色度図を用いて、第1色盲の色の見え方を説明する図である。 xy色度図を用いて、第2色盲の色の見え方を説明する図である。 CIELAB色空間と縮退面αおよび縮退面βの関係を説明する図である。 2色型色覚(色盲)と異常3色型色覚(色弱)の違いを説明する図である。 CIELAB色空間における認知曲面Sを説明する図である。 色カテゴリーへの帰属度などの色認知に関する心理尺度値と、認知曲面Sの関係を説明する図である。 色カテゴリーへの帰属度以外に、色認知に関連すると考えられる心理属性をスケール化した例を説明する図である。 本発明の一実施例に係るシステムのハードウェア構成の一例である。 本発明の一実施例に係るシステムのハードウェア構成の別の一例である。
符号の説明
100 組み込みシステム
101 入力手段
102 処理制御手段
103 出力手段
111 構造分析手段
112 パラメータ決定手段
113 最適色探索手段
121 検査手段(α色差検査手段、β色差検査手段、色認知検査手段)
122 保持手段(α色差保持手段、β色差保持手段、色認知保持手段)
131 第1色盲特性データベース
132 第2色盲特性データベース
133 色認知特性データベース
200 色修正装置
210 色覚障害を考慮しない画像/図版
220 入力機器
230 出力機器
240 色覚障害が考慮された画像/図版
300 汎用コンピュータ(データ処理装置)
310 色修正プログラム
320 プラグインモジュール
330 修正前の電子文書
340 修正後の電子文書
350 ハードディスク

Claims (3)

  1. 第1色盲が識別する色を表現する2次元均等色空間(縮退面α)の座標値と色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間の座標値との対応関係をテーブル化して格納する第1色盲特性データベースと、
    第2色盲が識別する色を表現する2次元均等色空間(縮退面β)の座標値と色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間の座標値との対応関係をテーブル化して格納する第2色盲特性データベースと、
    色覚健常者の色認知に関する複数の心理尺度値と色覚健常者が識別する色を表現する3次元均等色空間の座標値との対応関係を、テーブル化して格納する色認知特性データベースと、
    配色を含む視覚情報をコンピュータ上で操作できるデータ形式に変換して入力情報として取得する入力手段と、
    前記入力情報から配色の構造属性を分析する構造分析手段と、
    前記構造分析手段の分析結果に基づいて識別できない配色の縮退面αにおける色差(α色差)の閾値と配色の縮退面βにおける色差(β色差)の閾値とを算出するパラメータ決定手段と、
    前記第1色盲特性データベースを参照して配色のα色差を算出し、当該α色差と前記パラメータ決定手段によって算出されたα色差の閾値とを比較するα色差検査手段と、
    前記第2色盲特性データベースを参照して配色のβ色差を算出し、当該β色差と前記パラメータ決定手段によって算出されたβ色差の閾値とを比較するβ色差検査手段と、
    前記の色認知特性データベースを参照して処理対象色の色認知に関する心理尺度値を検査する色認知検査手段と、
    前記第1色盲特性データベースを参照して、配色のα色差が前記パラメータ決定手段によって算出されたα色差の閾値以上になるように保持するα色差保持手段と、
    前記第2色盲特性データベースを参照して、配色のβ色差が前記パラメータ決定手段によって算出されたβ色差の閾値以上になるように保持するβ色差保持手段と、
    前記色認知特性データベースを参照して処理対象色の色認知に関する心理尺度値が修正前と修正後とで変化しないように保持する色認知保持手段と、
    入力情報における配色を含む視覚情報について、前記構造分析手段、前記パラメータ決定手段、前記α色差検査手段、前記β色差検査手段、前記色認知検査手段、前記α色差保持手段、前記β色差保持手段、および前記色認知保持手段を制御して、色修正の処理を行う処理制御手段と、
    色修正がなされた処理済みの視覚情報データを出力する出力手段と、
    の各手段としてコンピュータを機能させる色修正プログラム。
  2. 請求項1に記載の色修正プログラムにおいて、さらに、
    最適化問題を解くことによって、修正する色を探索する最適色探索手段としてコンピュータを機能させるサブプログラムを備え、
    前記最適色探索手段は、
    修正後の色と隣接する色とのα色差が一定値以上になるという第1制約条件と、修正後の色と隣接する色とのβ色差が一定値以上になるという第2制約条件と、特定の色認知に関して修正前の色と修正後の色の心理尺度値が同じになるという第3制約条件との下で、CIELAB色空間における修正前の色と修正後の色の色差Eを最小にする最適色を見つけ、見つけた最適色を前記処理制御手段に出力する
    ことを特徴とする色修正プログラム。
  3. 請求項1に記載の色修正プログラムにおいて、さらに、
    最適化問題を解くことによって、修正する色を探索する最適色探索手段としてコンピュータを機能させるサブプログラムを備え、
    前記最適色探索手段は、
    修正後の色と隣接する色とのα色差が一定値以上になるという第1制約条件と、修正後の色と隣接する色とのβ色差が一定値以上になるという第2制約条件との下で、特定の色認知に関して修正前色と修正後の色の心理尺度値の差を最小にする最適色を見つけ、当該心理尺度値の差を最小にする最適色の候補が複数ある場合は、複数候補の中からCIELAB色空間における修正前の色と修正後の色の色差Eを最小にする最適色を見つけ、見つけた最適色を前記の処理制御手段に出力する
    ことを特徴とする色修正プログラム。
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