JP4724812B2 - スピーカ装置およびスピーカ筐体 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカユニットの背後に空気室を有するスピーカ装置に係り、特に電気的な処理を施すことなく低域の音の再現力を高めるための構造に関する。さらに、本発明は、コンパクトでありながら低域の音の再現力を高める構造を有するスピーカ筐体に関する。
人間の耳は、スピーカユニットから放出される音量が小さいと、低域と高域の音の感度が鈍り、特に低域の音に関して物足りない印象を受ける。これを補うために、従来では、アンプのラウンドネス機能やトーンコントロール機能を用いて低域の音の出力を高めることが行われている。しかしながら、アンプの電気的な増幅処理は、厳密には音質の劣化を避けることができず、低域の音の再現力を高める上で問題となる。
一方、小口径のスピーカユニットを有するスピーカ装置は、例えば100Hz以下の低域の音の出力を増強するため、バスレフ構造のスピーカ筐体を備えている。この種のスピーカ装置は、例えば特許文献1に開示されているように、スピーカ筐体の前面パネルにスピーカユニットと複数のバスレフポートが設けられている。バスレフポートは、スピーカユニットの周囲に配置されており、夫々のバスレフポートにダクトが接続されている。ダクトは、スピーカ筐体の内部の空気室に収容されるとともに、この空気室とバスレフポートとの間を結んでいる。
このようなスピーカ装置によると、スピーカユニットの背面からスピーカ筐体の空気室に放出された低域の音を、ダクトからバスレフポートに導いてスピーカ筐体の前方に取り出すことができる。そのため、電気的な増幅処理を行うことなく、低域の音の再現力を高めることが可能となる。
特開2006−121591号公報
特許文献1に開示されたスピーカ装置によると、スピーカユニットの背面から放出される音波は、スピーカ筐体の空気室に均等に広がろうとする。
しかしながら、スピーカ筐体の空気室内には、複数のダクトが収容されているので、これらダクトの存在によりスピーカユニットの背面から放出される音波の広がり具合が阻害されたり、音の歪みを招く要因となるのを否めない。
しかも、複数のダクトがスピーカ筐体の空気室に収容されているため、空気室の容量やスピーカ筐体の形状等によってダクトの太さや長さに制約が生じている。この結果、スピーカユニットの背面から空気室に放出された音波をスピーカ筐体の外に効率よく取り出すことが困難となり、バスレフ構造のスピーカ筐体を用いたにも拘らず、低域の音の量感が乏しいといった問題が生じてくる。
本発明の目的は、主に低域の音の量感および低域方向への音の伸びを十分に高めることができ、低域の音の再現力が向上するとともに、コンパクトなスピーカ装置を得ることにある。
本発明の他の目的は、コンパクトな構成でありながら、主に低域の音の量感および低域方向への音の伸びを十分に高めることができるスピーカ筐体を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るスピーカ装置は、
スピーカユニットと、このスピーカユニットが取り付けられるスピーカ筐体と、を具備している。
上記スピーカ筐体は、(1)一端に上記スピーカユニットを有するとともに、上記スピーカユニットの背後に位置する他端に開口部が形成された端壁を有し、上記スピーカユニットと上記端壁との間に空気室が形成された筒状の内側筐体と、(2)上記端壁と向かい合う底壁を有するとともに、上記内側筐体を同軸状に取り囲む筒状の外側筐体と、(3)上記外側筐体の底壁と上記内側筐体の端壁との間に形成され、上記開口部の開口周縁から上記外側筐体および上記内側筐体の径方向に延びる第1の共鳴ダクトと、(4)上記外側筐体と上記内側筐体との間に形成され、上記第1の共鳴ダクトに連なるとともに、上記空気室を取り囲むように上記外側筐体および上記内側筐体の軸方向に延びて上記スピーカユニットの周囲に開口する第2の共鳴ダクトと、を備えることを特徴としている。
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るスピーカ筐体は、
一端にスピーカユニットを取り付ける取り付け部を有するとともに、上記取り付け部の背後に位置する他端に開口部が形成された端壁を有し、上記取り付け部と上記端壁との間に空気室が形成された筒状の内側筐体と、
上記端壁と向かい合う底壁を有するとともに、上記内側筐体を同軸状に取り囲む筒状の外側筐体と、を具備しており、
上記外側筐体の底壁と上記内側筐体の端壁との間に、上記開口部の開口周縁から上記外側筐体および上記内側筐体の径方向に延びる第1の共鳴ダクトが形成され、上記外側筐体と上記内側筐体との間に、上記空気室を取り囲むように上記外側筐体および上記内側筐体の軸方向に延びる第2の共鳴ダクトが形成されている。上記第2の共鳴ダクトは、上記第1の共鳴ダクトに連なるとともに、上記取り付け部の周囲に開口することを特徴としている。
本発明によれば、スピーカユニットから空気室に放出された低域の音波は、内側筐体の開口部から第1の共鳴ダクトに導かれる。さらに、この音波は第1の共鳴ダクト内をスピーカ筐体の径方向に均等に広がった後、第2の共鳴ダクトに導かれ、この第2の共鳴ダクトを通じてスピーカユニットの周囲からスピーカ筐体の外部に取り出される。
このため、空気室内での音波の広がりが阻害されずに済み、音質の劣化を防止できるとともに、歪みの少ないクリアな音質を得ることができる。それとともに、第1の共鳴ダクトおよび第2の共鳴ダクトは、互いに協働して空気室の周囲に十分な長さと容量を有する空間を形成するので、主に低域の音の量感を確保しつつ、低域方向への音の伸びを十分に高めることができる。よって、電気的な増幅処理を施すことなく、音量が小さい段階から低域の音の再現力を高めることができる。
しかも、第1および第2の共鳴ダクトは、同軸状に組み合わされた内側筐体と外側筐体との間に位置するので、スピーカ筐体自体をコンパクトに形成できる。したがって、広い設置スペースを必要としないとともに、スピーカ筐体の見栄えが良好となる。
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図6に基づいて説明する。
図1および図2は、例えばオーディオ機器用のスピーカ装置1を開示している。スピーカ装置1は、スピーカユニット2と、このスピーカユニット2が取り付けられるスピーカ筐体3とを備えている。スピーカユニット2は、従来周知のものと同様の構成であり、磁気回路部4によって駆動される振動板5を有している。振動板5の外周縁部は、スピーカフレーム6によって支持されている。
スピーカ筐体3は、内側筐体8と外側筐体9とを備えている。内側筐体8および外側筐体9は、好ましい例として木材により形成されているが、これら内側筐体8および外側筐体9の材質は木材に限らず、例えば合成樹脂材料を用いてもよい。
内側筐体8は、周壁10、第1の端壁11および第2の端壁12を有している。周壁10は、中空の円筒状をなしている。第1の端壁11は、周壁10の軸方向に沿う一端に位置しており、この第1の端壁11の中央部に取り付け部としてのスピーカ取り付け孔13が形成されている。第2の端壁12は、第1の端壁11と向かい合うように、周壁10の軸方向に沿う他端に位置している。周壁10、第1の端壁11および第2の端壁12は、互いに協働して内側筐体8の内部に空気室14を構成している。
内側筐体8のスピーカ取り付け孔13にスピーカユニット2が取り付けられている。スピーカユニット2は、その振動板5を内側筐体8の外方に向けた姿勢で第1の端壁11に組み込まれており、振動板5の背後に位置する磁気回路部4が空気室14に露出している。そのため、内側筐体8の第2の端壁12は、スピーカユニット2の背後に位置している。
第2の端壁12の中央部に円形の開口部15が形成されている。開口部15は、スピーカユニット2の背後において空気室14に開口している。この開口部15の直径は、スピーカユニット2の振動板5の直径と同等程度とすることが望ましい。
外側筐体9は、周壁17および底壁18を有している。周壁17は、中空の円筒状をなして、内側筐体8の周壁10を同軸状に取り囲んでいる。周壁17の軸方向に沿う一端は、そのままの口径を保ったまま軸方向に開口する開放端17aをなしており、この開放端17aに内側筐体8の第1の端壁11が位置している。底壁18は、周壁17の軸方向に沿う他端を閉塞している。底壁18は、内側筐体8の第2の端壁12と平行に配置されて、第2の端壁12と向かい合っている。
図2および図4に示すように、内側筐体8の第2の端壁12と外側筐体9の底壁18との間に四つのスペーサ19が介在されている。各スペーサ19は、ねじ20により第2の端壁12と底壁18との間の定位置に保持されて、スピーカ筐体3の周方向に間隔を存して並んでいる。ねじ20は、底壁18およびスペーサ19を貫通して第2の端壁12に埋め込まれたナット21にねじ込まれている。
このねじ込みにより、第2の端壁12と底壁18とが互いに連結されるとともに、これら第2の端壁12と底壁18との間に第1の共鳴ダクト22が形成されている。第1の共鳴ダクト22は、開口部15の開口周縁からスピーカ筐体3の径方向に延びているとともに、開口部15を介して空気室14に連なっている。
図2および図3に示すように、内側筐体8の周壁10と外側筐体9の周壁17との間に四つの他のスペーサ25が介在されている。各スペーサ25は、ねじ26により周壁10と周壁17との間の定位置に保持されて、スピーカ筐体3の周方向に間隔を存して並んでいる。ねじ26は、周壁17およびスペーサ25を貫通して周壁10に埋め込まれたナット27にねじ込まれている。
このねじ込みにより、内側筐体8の周壁10と外側筐体9の周壁17とが同軸状に連結されるとともに、これら周壁10,17の間に第2の共鳴ダクト28が形成されている。第2の共鳴ダクト28は、第1の共鳴ダクト22の外周端部に連続するとともに、上記空気室14の回りを同軸状に取り囲んでいる。そのため、第2の共鳴ダクト28は、リング状の断面形状を有して、スピーカ筐体3の軸方向に延びている。
第2の共鳴ダクト28は、第1の共鳴ダクト22の反対側に放音口28aを有している。放音口28aは、スピーカユニット2の周囲を同軸状に取り囲むように、スピーカ筐体3の軸方向に沿って開口している。
本実施の形態によると、第1の共鳴ダクト22は、スピーカ筐体3の軸方向に沿う幅寸法W1を有している。同様に、第2の共鳴ダクト28は、スピーカ筐体3の径方向に沿う幅寸法W2を有している。第1の共鳴ダクト22の幅寸法W1と、第2の共鳴ダクト28の幅寸法W2とは、W1≦W2の関係を満たしている。第1および第2の共鳴ダクト22,28の幅寸法W1,W2は、空気室14の容量との関係に基づいてヘルムホルツ共鳴の計算式から求めることができる。
具体的には、例えば直径が13cm、全長が26cmの外側筐体9および直径が12cmの内側筐体8を有するスピーカ筐体3と、口径が8cmのスピーカユニット2とを組み合わせたスピーカ装置1では、第1および第2の共鳴ダクト22,28の幅寸法W1、W2は、5mmに設定することが好ましい。
空気室14を取り囲む第2の共鳴ダクト28の幅寸法W2を5mmとした場合、リング状をなす第2の共鳴ダクト28は、約直径5cmのバスレフポートと同等の断面積を有することになる。第1および第2の共鳴ダクト22,28の幅寸法W1、W2の上限値は、スピーカユニット2の口径および空気室14の容量等に応じて変化する。これに対し、幅寸法W1、W2が小さすぎると、第1および第2の共鳴ダクト22,28を通る音が遮られてしまうので、幅寸法W1、W2の下限値は、少なくとも3mm確保することが必要となる。
図2に示すように、外側筐体9の底壁18の内面に突起30が形成されている。突起30は、内側筐体8の開口部15に向けて同軸状に突出するとともに、底壁18から開口部15の方向に進むに従い先細り状に尖る円錐状をなしている。
スピーカユニット2の磁気回路部4に一対のリード線31a,31bが接続されている。リード線31a,31bは、空気室14から開口部15に導かれるとともに、外側筐体9の底壁18に設けた一対の接続端子32a,32bに電気的に接続されている。
さらに、外側筐体9の底壁18の外面に四つの脚部33が取り付けられている。脚部33は、例えばスピーカ筐体3を据え付ける設置面Gに接するようになっており、本実施の形態では、ねじ20の頭を覆い隠している。したがって、スピーカ装置1は、スピーカユニット2を上向きとした縦置きの姿勢で設置面Gの上に据え付けられる。
このような構成のスピーカ装置1によると、スピーカユニット2からスピーカ筐体3の空気室14に放出された低域の音波は、空気室14の内部に均等に広がる。この音波は、内側筐体8の開口部15から第1の共鳴ダクト22に導かれて、この第1の共鳴ダクト22の内部をスピーカ筐体3の径方向外側に向って広がる。さらに、音波は、第1の共鳴ダクト22の外周端部から第2の共鳴ダクト28に導かれて、この第2の共鳴ダクト28の内部をスピーカ筐体3の軸方向に通過するとともに、第2の共鳴ダクト28の放音口28aを通じてスピーカユニット2の周囲からスピーカ筐体3の外部に取り出される。
したがって、スピーカ筐体3の空気室14内での音波の広がりが阻害されることはなく、音質の劣化を防止できるとともに、歪みの少ないクリアな音質を得ることができる。
さらに、スピーカ筐体3の径方向に広がる第1の共鳴ダクト22およびスピーカ筐体3の軸方向に延びる第2の共鳴ダクト28は、互いに協働して空気室14の周囲に十分な長さと容量を有する空間を形成している。
しかも、第1の共鳴ダクト22の断面積は、スピーカ筐体3の径方向外側に進むに従い第2の端壁12および底壁18の径の増大に比例して大きくなっており、音波が通る通路が次第に拡大されている。このため、第1の共鳴ダクト22は、スピーカ筐体3の径方向の寸法が短いながらもバックロードホーン的増幅の役割を果たしている。この機能は、第2の共鳴ダクト28の幅寸法W2を第1の共鳴ダクト22の幅寸法W1よりもやや大きくすることで、より増強されることになる。
この結果、放音口28aから取り出される低域の音の量感を確保しつつ、低域方向への音の伸びを十分に高めることが可能となる。よって、電気的な増幅処理を施すことなく、音量が小さい段階から低域の音の再現力を高めることができる。
加えて、本実施の形態によると、外側筐体9の底壁18は、内側筐体8の開口部15に向けて突出する円錐状の突起30を有するので、空気室14から開口部15に導かれる音波は、突起30の外周面に沿って均等に第1の共鳴ダクト22に導かれる。それとともに、突起30の外周面は、底壁18に対し傾斜しているので、突起30で反射した音波がそのままストレートにスピーカユニット2に戻るのを防止できる。
このため、空気室14の内部での音波の不要な干渉を回避することができ、クリアな音質を得る上で有利な構成となる。
本発明者は、箱状のスピーカ筐体にスリーウエイタイプのスピーカユニットを取り付けた一般的なスピーカ装置と、上記構成を有するスピーカ装置1を準備し、夫々の音量特性を評価する試験を行った。
この試験では、測定環境を同一とする条件の下で、二種類のスピーカ装置の夫々において、8kHz以下の音域での周波数特性を測定した。本発明に係るスピーカ装置1では、直径が13cm、全長が26cmで、第1および第2の共鳴ダクト22,28の幅寸法W1、W2を5mmに設定したスピーカ筐体3を用いるとともに、スピーカユニット2として口径が8cmのフルレンジスピーカユニットを用いている。
図5は、比較例としての一般的なスピーカ装置の周波数特性を示している。この図5から明らかなように、一般的なスピーカ装置では、電気的な増幅処理を施さない限り、80Hzから150Hz付近の低域においてフラットな特性となるとともに、50Hz以下の重低域の音の量感が急激に減少する傾向にある。
人間の耳は、音量が小さい場合には低域と高域の音の感度が下がる。そのため、スピーカ装置の周波数特性がフラットであっても、例えばスピーカ装置が発する音を室内で聞いた場合に、特に低域の音に関して物足りない印象を受けることになる。
一方、図6は、本発明に係るスピーカ装置1の周波数特性を示している。この図6から分かるように、空気室14の周囲に第1および第2の共鳴ダクト22,28を配したスピーカ筐体3を有するスピーカ装置1では、特に50Hz、200Hz付近の周波数域において、一般的なスピーカ装置よりも低域の音の量感が大きく向上している。さらに、100Hz前後の周波数域においても、一般的なスピーカ装置よりも低域の音の量感が増している。
この理由は、空気室14を取り囲む第2の共鳴ダクト28をリング状とするとともに、この第2の共鳴ダクト28の幅寸法W2を空気室14の容量との兼ね合いにおいて最適な値である5mmとすることで、低域方向への音の伸びが作用したからであると考えられる。それとともに、スピーカ筐体3の空気室14と第2の共鳴ダクト28とを結ぶ第1の共鳴ダクト22が、スピーカ筐体3の径方向外側に進むに従い若干ながら断面積が拡がるバックロードホーン的増幅の効果を与えているからであると考えられる。
さらに、第2の共鳴ダクト28は、リング状をなしているものの、スピーカ筐体3の直径および全長から導き出される断面積からすれば、バスレフ用の通路としてはかなり太い形態となる。第1の実施の形態の第2の共鳴ダクト28は、幅寸法W2が5mmとなっているので、この第2の共鳴ダクト28の断面積は、直径が約5cmの円形のバスレフポートの断面積と同等となる。
一般にバスレフポートが太い場合、低域の音の量感は増すものの、空気室14の容量との兼ね合いにもよるが、中域の音がバスレフポートから出てきて、この中域の音の存在により低域の音の量感が打ち消される虞があり得る。
しかるに、第1の実施の形態では、第2の共鳴ダクト28を空気室14を取り囲むリング状とすることで、この第2の共鳴ダクト28を中域の音が通る時に、この中域の音を消音することができる。この結果、第2の共鳴ダクト28から出る低域の音の量感が打ち消されることはなく、断面積の大きな太い第2の共鳴ダクト28の本来の効果を十分に生かして、低域の音の量感を高めることができる。
加えて、上記第1の実施の形態によると、低域の音を増強する第1および第2の共鳴ダクト22,28は、同軸状に組み合わされた内側筐体8と外側筐体9との間に形成されている。そのため、第1および第2の共鳴ダクト22,28がスピーカ筐体3の端部から軸方向に大きく突出することはなく、スピーカ筐体3をコンパクトに形成することができる。この結果、スピーカ装置1を据え付けるに当って、広いスペースを要しないのは勿論のこと、スピーカ筐体3の見栄えが良好となり、商品価値が高まるといった利点がある。
また、口径の大きい大型のスピーカユニットをスピーカ筐体3に組み込むとともに、スピーカ筐体3の第1および第2の共鳴ダクト22,28の幅寸法をヘルムホルツ共鳴の計算式から求めることで、50Hz以下の重低音領域においても、音の量感と伸びを確保することが可能となる。
さらに、上記第1の実施の形態によると、スピーカユニット2から空気室14に放出された低域の音の出口となる放音口28aは、スピーカユニット2を同軸状に取り囲むようにスピーカ筐体3の前方に向けて開口している。このため、低域の音は、スピーカユニット2の周囲からスピーカ筐体3の前方に放出されることになり、低域から中域および高域までの音がスピーカユニット2を中心とする同じ場所から放出される。
したがって、低域から高域までの音源がスピーカユニット2の回りに集中し、理想的な点音源の実現が可能となる。具体的には、スピーカ装置1を部屋の天井に埋め込むとすれば、部屋全体に無指向的に広がる音を再現することができる。よって、第1および第2の共鳴ダクト22,28の存在により低域の音の量感と伸びを確保できることと相まって、高音質の無指向性のスピーカ装置1を得ることができる。
なお、本発明は上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施できる。
例えば、上記第1の実施の形態では、外側筐体の底壁に内側筐体の開口部に向けて突出する円錐状の突起を形成したが、この突起は必須の構成要素ではなく、省略してもよい。この場合、開口部と向かい合う底壁の内面はフラットでもよいが、この底壁の内面に粗面処理を施すことで底壁の内面に複数の凹凸を設けてもよい。
この構成によれば、スピーカユニットから空気室に放出された音波が底壁に当って反射する場合に、上記凹凸の存在によって音波の反射方向が不均一となり、底壁で反射した音波がそのままストレートにスピーカユニットに戻るのを防止できる。
この結果、空気室の内部での音波の不要な干渉を回避することができ、クリアな音質を得ることができる。
さらに、図2に二点鎖線で示すように、空気室14に臨む内側筐体8の周壁10のうち、開口部15に近い後半部分を開口部15に近づくに従い内側筐体8の径方向内側に向けて傾斜させ、周壁10の内面を開口部15の開口縁部に連続させるようにしてもよい。
加えて、スピーカ筐体3の全長が例えば直径と同等もしくは直径よりも短い場合には、外側筐体9の底壁18と内側筐体8の第2の端壁12との間に跨るねじ20のみで外側筐体9と内側筐体8とを同軸状に固定できる。そのため、内側筐体8の周壁10と外側筐体9の周壁17との間に介在される他のスペーサ25を省略することができ、第2の共鳴ダクト28が全長に亘って周方向に連続した形状となる。よって、第2の共鳴ダクト28を通る音をより均等に放出することができ、音の歪みを皆無とすることができる。
一方、図7は本発明の第2の実施の形態を開示している。
この第2の実施の形態は、スピーカ装置1を設置面Gの上に横置きの状態で設置する例を示している。図7に示すように、外側筐体9の周壁17の外周面に一対のボス部41a,41bが取り付けられている。ボス部41a,41bは、夫々ねじ26を介して外側筐体9に周壁17支持されている。そのため、ボス部41a,41bは、周壁17の周方向に離間した二箇所から外側筐体9の径方向外側に向けて突出している。
ボス部41a,41bの突出端に夫々脚部33が取り付けられている。脚部33は、設置面Gに接するとともに、ねじ26の頭を覆い隠している。
図8および図9は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
この第3の実施の形態は、スピーカ筐体3の外側筐体50の形状が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外のスピーカ筐体3の構成は第1の実施の形態と同様である。そのため、第3の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図8は、スピーカ装置1をスピーカユニット2の方向から見た正面図である。図8に示すように、外側筐体50は、互いに直交し合う四つの外周面51a,51b,51c,51dを有する角筒状をなしている。外側筐体50の内周面52は、円筒状に形成されて、内側筐体8の周壁10を同軸状に取り囲んでいる。
さらに、本実施の形態の外側筐体50は、複数の四角い基板53を軸方向に積層することで構成されている。図9に示すように、基板53は、円形の貫通孔54を有している。貫通孔54は、基板53を積層した時に同軸状に連続するとともに、これら貫通孔54の内面54aによって外側筐体50の内周面52が形成されるようになっている。
なお、本発明を実施するに当り、スピーカ筐体の径方向に沿う第2の共鳴ダクトの断面形状はリング状に限らず、複数の角を有する角形であってもよい。
本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の斜視図。 本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の断面図。 図2のF3-F3線に沿う断面図。 本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の正面図。 本発明の第1の実施の形態において、比較例としてのスピーカ装置の8kHz以下の音域の周波数特性を示す図。 本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置において、8kHz以下の音域の周波数特性を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置において、そのスピーカ筐体の一部を破断して示す正面図。 本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置の正面図。 (A)は、スピーカ筐体を構成する基板の正面図。(B)は、スピーカ筐体を構成する基板の側面図。
符号の説明
1…スピーカ装置、2…スピーカユニット、3…スピーカ筐体、8…内側筐体、9,50…外側筐体、12…端壁(第2の端壁)、13…取り付け部(スピーカ取り付け孔)、14…空気室、15…開口部、18…底壁、22…第1の共鳴ダクト、28…第2の共鳴ダクト。

Claims (5)

  1. スピーカユニットと、
    上記スピーカユニットが取り付けられるスピーカ筐体と、を備えるスピーカ装置であって、
    上記スピーカ筐体は、
    一端に上記スピーカユニットを有するとともに、上記スピーカユニットの背後に位置する他端に開口部が形成された端壁を有し、上記スピーカユニットと上記端壁との間に空気室が形成された筒状の内側筐体と、
    上記端壁と向かい合う底壁を有するとともに、上記内側筐体を同軸状に取り囲む筒状の外側筐体と、
    上記外側筐体の底壁と上記内側筐体の端壁との間に形成され、上記開口部の開口周縁から上記外側筐体および上記内側筐体の径方向に延びる第1の共鳴ダクトと、
    上記外側筐体と上記内側筐体との間に形成され、上記第1の共鳴ダクトに連なるとともに、上記空気室を取り囲むように上記外側筐体および上記内側筐体の軸方向に延びて上記スピーカユニットの周囲に開口する第2の共鳴ダクトと、を具備することを特徴とするスピーカ装置。
  2. 請求項1の記載において、上記第2の共鳴ダクトは、上記内側筐体を取り囲むリング状の断面形状を有することを特徴とするスピーカ装置。
  3. 請求項1又は請求項2の記載において、上記外側筐体の底壁は、上記開口部に向けて突出する突起を有し、この突起は上記底壁から上記開口部の方向に進むに従い先細り状に尖っていることを特徴とするスピーカ装置。
  4. 請求項1又は請求項2の記載において、上記第1の共鳴ダクトの上記スピーカ筐体の軸方向に沿う幅寸法をW1、上記第2の共鳴ダクトの上記スピーカ筐体の径方向に沿う幅寸法をW2とした時、
    W1≦W2
    の関係を満たすことを特徴とするスピーカ装置。
  5. 一端にスピーカユニットを取り付ける取り付け部を有するとともに、上記取り付け部の背後に位置する他端に開口部が形成された端壁を有し、上記取り付け部と上記端壁との間に空気室が形成された筒状の内側筐体と、
    上記端壁と向かい合う底壁を有するとともに、上記内側筐体を同軸状に取り囲む筒状の外側筐体と、を具備し、
    上記外側筐体の底壁と上記内側筐体の端壁との間に、上記開口部の開口周縁から上記外側筐体および上記内側筐体の径方向に延びる第1の共鳴ダクトが形成され、
    上記外側筐体と上記内側筐体との間に、上記第1の共鳴ダクトに連なるとともに、上記空気室を取り囲むように上記外側筐体および上記内側筐体の軸方向に延びて上記取り付け部の周囲に開口する第2の共鳴ダクトが形成されていることを特徴とするスピーカ筐体。
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