JP5215299B2 - 少なくとも2つのスピーカ装置と、音声コンテンツ信号を処理するための1つのユニットとを有するスピーカシステム - Google Patents

少なくとも2つのスピーカ装置と、音声コンテンツ信号を処理するための1つのユニットとを有するスピーカシステム Download PDF

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Description

本発明は、スピーカシステムであって、当該スピーカシステムは、少なくとも2つの独立型スピーカ装置を備え、当該スピーカ装置はそれぞれ、高い方の周波数範囲において音を再生するための少なくとも1つの第1のスピーカのアレイと、低い方の周波数範囲において音を再生するための少なくとも1つの第2のスピーカとを有するフレームを備える、スピーカシステムに関する。
理想的なスピーカは、歪み又は圧縮を生じることなく、20Hz〜20kHzの可聴周波数全域にわたるスペクトルを生成する、非常に小さなパルス点音源(pulsating point source)によってのみ近似することができることが当該技術分野において既知である。単一のフルレンジスピーカは常に、非線形挙動に関する当該スピーカの物理的制約に起因して、性能に関して妥協せざるを得ないという困難を抱えている。このことから、高音質の音声を再生するために、それぞれ特定の周波数範囲において良好に機能する2つのスピーカ、すなわち高い方の周波数範囲において音を再生するための第1のスピーカ(通常、ツイータと呼ばれる)及び低い方の周波数範囲において音を生成するための第2のスピーカ(通常、ウーハと呼ばれる)から成る構成が用いられる。現在の教示によれば、理想的な全音域の点音源に近づけるために、そのような構成におけるスピーカは互いに近接して配置される。しかしながら、そのような複合スピーカ装置は、理想からは程遠く、クロスオーバ周波数の周囲において音響位相、音響レベル及び音響出力が不規則的になり、結果として、再生される音にうなり及び変化が生じるという問題を抱えている。本明細書において、用語「クロスオーバ周波数」は、第1のスピーカの電気的及び/又は機械的及び/又は音響的に減少した音響レベルと、第2のスピーカの電気的及び/又は機械的及び/又は音響的に減少した音響レベルが同じである周波数を意味することに留意されたい。ここで、第1のスピーカ及び第2のスピーカの組み合わせから少なくとも3メートルの距離において測定されるその組み合わせの音圧レベルは概ね釣り合う。
電気フィルタを用いて、スピーカシステムの第1のスピーカ又は第2のスピーカに対して適切な周波数を向けることができ、それゆえ、他の周波数におけるサウンドレベルを低減することができる。
リスナーが把握する特性を改善するために、左右のサウンドチャンネルに加えて複数のサウンドチャンネルを有する多重チャンネル音声システムが既知である。これらのシステムは、消費者の家庭において徐々に一般的になってきている。このような多重チャンネル音声システムの短所は、リスナールームに広範囲にわたって多くの変換器を配置しなければならないことである。さらに、必要となる配線は、常に望ましいものとは限らない。
上述の多重チャンネル音声システムに対する代替形態であって、一般的な家庭の部屋に多くの場合によりよく適する代替形態は、それぞれが、可聴音のビームを生成することができる電気−音響変換器アレイを備える装置を活用することである。このようなアレイ装置は、多重チャンネルの音声入力信号を受信することができ、異なるチャンネルから方向付けられた可聴音ビームを生成して、壁及び/又は天井の境界での反射に補助されて仮想的な音源を生成する。このようなアレイ装置では、入力信号に適用する位相シフト、遅延及び/又は平滑化を用いてビーム処理を実現することができる。このような装置を有する装置は、特許文献1から既知である。この既知のシステムは、電気−音響高周波数変換器アレイの周辺に配置される低周波数変換器を備える。このアレイ装置は、多重音声信号又は多重チャンネル音声入力信号を入力することができ、方向付け可能且つ焦点合わせ可能な可聴音ビームを独立に生成する。
PCT国際公開WO2004/075601A1号
家庭用のコンパクト、即ち小型のスピーカアレイシステムは、約100Hz〜約200Hzを下回る可聴周波数範囲をカバーするサブウーハと組合わせて、約100Hz〜約200Hzを超える可聴周波数範囲をカバーする小型の広帯域変換器を必要とする。音声信号の低周波数成分を多くの変換器を用いて効率よくビーム処理するには、変換器アレイの外側の変換器間の最小距離が、再生される音の波長の約半分であることが必要となる。従って、コンパクトアレイシステムでは、ビーム化された音の低中周波数成分を得ることは容易ではない。一方、効率的にビーム処理することができる音声信号の最も高い周波数成分は、アレイ内の隣接する変換器間の距離によって決まる。より正確には、このビーム処理では、変換器間に短い距離が必要とされる。しかし、変換器間の距離は、変換器の横の寸法、一般的には直径によって制限される。低周波数で要求される音圧レベルの点からは、比較的大きい横の寸法を必要とする。このことは、スピーカアレイ装置の変換器間の距離は、ビーム処理される高周波数のサウンド出力を生成するために要求されるほどは小さくすることができないということを意味している。言い換えれば、従来のコンパクトアレイ技術は、それぞれが広帯域をカバーしなければならない変換器を使用するという性能上の妥協である。
本発明の目的は、上述した種類のスピーカシステムを提供することであり、当該スピーカシステムは、既知の同様の装置に対して改善された音質の音を再生することができる。
この目的は、本発明によるスピーカシステムによって達成され、当該スピーカシステムは、少なくとも2つの独立型スピーカ装置を備え、当該スピーカ装置はそれぞれ、高い方の周波数範囲において音を再生するための少なくとも1つの第1のスピーカ(さらにツイータとも呼ばれる)のアレイと、低い方の周波数範囲において音を再生するための少なくとも1つの第2のスピーカ(さらにウーハとも呼ばれる)とを有するフレームを備え、それらの周波数範囲はクロスオーバ周波数fcを有し、第1のスピーカはそれぞれ、最大1000mm2の第1の放射面を有し、第2のスピーカは第2の放射面を有し、各装置において、各第1の放射面の中央エリアは、システムを使用中であるとみなされる場合、第2の放射面の中央エリアから垂直距離である距離dで位置決めされ、750Hz≦fc≦3000Hz、及びd≦2λfcであり、ここで、λfcはクロスオーバ周波数において再生される音の波長であり、dは最小750mm且つ最大3000mmであり、当該システムは、第1のスピーカに対する個別の信号を生成するためにサウンドコンテンツを処理する手段を含み、結果として、システムの使用中に、各装置の第1のスピーカのアレイの、指向性のある音響信号が生じる。
本発明によるスピーカシステムに適用される方策は、新たな設計思想に基づく。この設計思想は、1つ又は複数の第2のスピーカの音と、複数の第1のスピーカの直接音との間に、ほとんど、又は好ましくは全く干渉があってはならないことを暗示する。これに関連して、本明細書において用語「直接音」は、音源から直に、それゆえ反射することなく、或る特定の場所に達する音を意味することに留意されたい。(上述したように)第2のスピーカの位置を第1のスピーカから、特定の最小距離dに配置することによって、干渉を低減することができる。明確にするために、標準的な使用条件では、第1のスピーカは第2のスピーカの上方に配置されることに留意されたい。床のような仕切りの近くに第2のスピーカを配置することによって、それらの場所において拡散音が生成される可能性があり、その場所では、第1のスピーカ及び第2のスピーカの音の周波数が互いに交錯する。これに関連して、本明細書において用語「拡散音」は、音源から或る特定の場所に直に達するのではなく、反射した後に達する音を意味することに留意されたい。
適用される設計思想は、スピーカシステムが、音声再生の質を妥協することなくサウンドコンテンツを効率的に生成することができるということをさらに暗示する。上記で定義されたようなツイータのアレイと、上述の処理手段とを組合わせることによって、本発明によるスピーカシステムは、音声信号の周波数成分を処理して、個別の信号を生成すると共に、これらの信号をツイータに方向付けすることが可能となる。これによって、ツイータのアレイは、異なる音声信号に関して所望の方向へ十分定義された音ビームを生成する。
これに関連して、本発明の本質的な態様は、ビーム化された音の周波数範囲と、ツイータアレイにおけるツイータの周波数範囲とが合致し、それによって音の高音質が保証されることであることに留意されたい。
本発明によるスピーカ装置の音質は、同様の最新のスピーカ装置に対して明瞭度、明澄度及びホログラフィックイメージングの点から改善される。このため、本発明によるスピーカ装置は、音声再生のため、並びにTV、ビデオ及びマルチメディアの音を増幅するための高忠実度装置として適している。それは、多元スピーカ構成に関連する現在の設計及び性能の限界に対する解決策を提供する。
本発明によるスピーカの実用的な実施の形態では、音声コンテンツ信号を処理する手段は、位相シフトユニット、遅延ユニット、及び/又は異なる信号の平滑化ユニットを備える。このようなユニットは、それ自体が既知である。音声信号を生成する方法は、例えば、PCT国際公開WO2005/091678A1号、PCT国際公開WO02/078388A2号、米国特許第4,349,328号、及び上述のPCT国際公開WO2004/075601A1号に記載されている(これら全ての特許文献を参照により本明細書に援用する。)
PCT国際公開WO2005/091678A1号には、サラウンドレフトチャンネル及びサラウンドライトチャンネルに関する音信号を処理する方法が記載されている。その方法によって、これらのチャンネルの結果信号の間に、継続的に変化する遅延を生成する。
PCT国際公開WO02/078388A2号には、入力信号を獲得し、獲得した入力信号を複数回複製し、複製した入力信号をそれぞれの出力変換器に振り分ける前に当該入力信号のそれぞれを修正し、それによって所望の音場を生成する、方法及び装置が記載されている。この音場は、方向付けられたビーム、焦点あわせされたビーム若しくはシミュレートされた原音を含むことができる。
米国特許4,349,328号には、一列に、且つ互いに等距離となるように離間して配置された奇数個の変換器を含む複数の変換器ユニットを備える、電気−音響処理が記載されている。これらの変換器は、キャビネットに収容されている。変換器の接続端子は、個々の振幅制御装置を介して電子送信チャンネルに接続される。振幅制御装置は、信号を増幅又は減衰し、位相シフト又は単なる反転動作を行うことができる。この目的を達成するために、振幅制御装置は、増幅器若しくは減衰器、又は、抵抗器のような構成要素によって構成されている。振幅制御装置は、電気−音響処理の変換係数間の比率が特別な関係を形成するように調整されている。
本発明によるスピーカ装置の好ましい一実施の形態は、パラメータ1000Hz≦fc≦2000Hz、及びd≧3λfcであって、特に1000Hz≦fc≦1500Hzを有する。
低い方の周波数範囲、すなわち第2のスピーカの周波数範囲は、共振周波数からクロスオーバ周波数までに及ぶ。第2のスピーカは、20Hz〜10kHz(典型的には50Hz〜5kHz)の周波数範囲を有することができる。高い方の周波数範囲、すなわち第1のスピーカの周波数範囲は、クロスオーバ周波数から上に向かって拡張する。第1のスピーカは、500Hz〜100kHz(典型的には800Hz〜40kHz)の周波数を有することができる。
一対の第2のスピーカ(ウーハ)が部屋の床の近くに配置され、第1のスピーカが第2のスピーカ(ツイータ)の上方に、必要な距離dで配置されるステレオ構成を用いて実験が行われた。予想されていたように、再生されるステレオ音像(音楽)が、床の近くのゾーンに位置する低周波数成分と、より高いゾーンに位置する高周波数成分とに分離するのではなく、驚くべきことに、再生される音の周波数成分に関係なく、ステレオ音像は、第1のスピーカの直ぐ下(又は近く)の垂直面内に非常に安定して位置することがわかった。さらに、最も驚くべきことは、明澄度、ステージング、均質性及び透明性の点で、再生される音の音質が極めて高いことであり、それゆえ、本当の意味でのホログラフィックステレオイメージングの感覚が得られたことである。実験の具体的なパラメータは、1kHzのクロスオーバ周波数、第1のスピーカアレイと第2のスピーカ対との間の1mの垂直距離d、及び、それぞれが30mmの実効的な直径を有するドーム形の膜を有する複数の第1のスピーカを使用することである。
完全を期すために、ここで、ツイータのアレイが現在の原理に従って、すなわち第2のスピーカの近くに取り付けられるが、他のパラメータを変更することなく、且つ同じフィルタ及び同じ構成要素を利用する場合には、その構成の上記のホログラフィック能力が完全に失われることをここに報告する。
ウーハが部屋の床の近くに配置され、ツイータのアレイがウーハの上方に、必要な距離dで配置されるモノラル構成では、ステレオ音像を除いて、同様の効果が得られた。
本発明によるスピーカ装置の実用的な一実施の形態は、第1のスピーカの第1の放射面が円形の輪郭を有し、大きくても直径が35mmであるという特徴を有する。既に上述された理由から、直接放射面は、ドーム形の膜の一部であることが好ましい。実用上の理由から、第2のスピーカは、第1のスピーカのアレイの下に配置される。
通常、第1のスピーカのアレイは、少なくとも本発明によるシステムを使用する間は、実質的に水平に、位置合わせされている。一般的には、アレイの複数の第1のスピーカは一列に配置され、互いに等距離となるように位置合わせすることができる。各スピーカ装置は、2つ以上の第1のスピーカのアレイを設けられることができる。この特徴によって、垂直方向にビーム化することが可能となる。
第1のスピーカの1つ又は複数のアレイは、曲線形状を有することができる。この特徴によって、超高周波信号のビーム化を改善する。
1つのアレイにおける第1のスピーカの数は、好ましくは、少なくとも3つである。3つ以上のスピーカによって、広い周波数範囲での信号のビーム化が可能となる。ツイータ間距離を最適化することが可能となる。
本発明によるシステムの好ましい実施の形態は、請求項1〜4に記載され、明確にされている。
本発明はさらにスピーカハウジングに関する。このハウジングは、原理的には、先行する段落において説明されたものと同じ認識に基づいており、特に、1つ又は複数の第2のスピーカが、両方の種類のスピーカから放出される音の間に全く干渉がないか、又は最小限の干渉しかないような距離で、第1のスピーカの1つ又は複数のアレイに対して配置されなければならないという課題、及び第1のスピーカへ入力する個別の信号を生成するために音声コンテンツを処理する手段を適用し、結果として第1のスピーカの1つ又は複数のアレイからステレオサウンドビームを放出するという課題に基づく。
本発明によるスピーカハウジングは、高い方の周波数範囲において音を再生するための第1のスピーカの少なくとも1つのアレイと、低い方の周波数範囲において音を再生するための第2のスピーカとを備え、その周波数範囲は、クロスオーバ周波数fcを定義し、第1のスピーカのアレイはハウジングの第1の面、好ましくは正面に配置され、各第1のスピーカは最大1000mm2の第1の放射面を有し、第2のスピーカはハウジングの第1の面ではない第2の面に位置決めされ、第2の放射面を有し、各第1の放射面の中央エリアは、少なくとも使用中に第2の放射面の中央エリアに対して垂直距離dで位置決めされ、750Hz≦fc≦3000Hzであり、好ましくは1000Hz≦fc≦2000Hzであり、特に1500Hz≦fc≦2000Hzであり、150mm≦d≦1000mmであり、第1のスピーカへ入力する個別の信号を生成するために、音声コンテンツ信号を処理する手段が提供され、結果として、使用中に、第1のスピーカのアレイから指向性のある音響信号をもたらす。
本発明によるスピーカハウジングは、スピーカシステムを参照して上述した本発明の利点と同様の利点を有する。
本発明によるスピーカハウジングの好ましい実施の形態、及びこのハウジングの実施態様のための好ましいパラメータが、請求項1〜4に記載され、明確にされている。本発明のスピーカハウジングの、特有で具体的な驚くべき特徴は、第1のスピーカが直接音場を与えるために用いられ、第2のスピーカ(複数可)が拡散音場、すなわち反射後に得られる音場を与えるために用いられることである。
本発明は、本発明によるシステムによって形成されるスピーカ構成を設けられるか、又は本発明によるハウジングを有する、音声装置及び/又はビデオ装置にも関する。そのスピーカハウジングは、装置そのもののハウジングであってもよく、又は一種のサブハウジングであってもよい。上述したような原理が適用される結果として、本発明による装置の音質は最高級のレベルを有する。本明細書に関連して、ビデオ装置はモニタであってもよい。
さらに、本発明は、独立型スピーカ装置に関し、本発明によるシステムでの使用に合わせて設計及び構成されている

独国実用新案第83 04 832号は、TV装置におけるスピーカ構成を開示していることに留意されたい。この既知の構成は、モノラルサウンドを再生する場合に2つ以上のスピーカを含み、ステレオサウンドを再生する場合に3つ以上のスピーカを含む。詳細には、その既知の構成は、高周波スピーカと、サブウーハと呼ばれる低周波スピーカとを備え、且つ任意選択で中間周波スピーカを備える。高周波スピーカ、及び存在する場合中間周波スピーカは、TV装置の正面部分から放射し、一方、サブウーハは、40Hz〜200Hz又は300Hzの周波数範囲を有し、空気孔を利用して、TV装置の背面又は底面から放射する。したがって、既知のTV装置において適用される既知のスピーカ構成は、本発明による装置において適用されるスピーカ構成による音の態様とは、ほとんど似ていない。
さらに、独国実用新案第16 87 888号は、高周波サウンドシステム及び低周波スピーカ又は広帯域システムを設けられるスピーカボックスを開示していることに留意されたい。高周波サウンドシステムは、正面からだけでなく、後方のような他の方向においても、約1000Hz以上の周波数を有する音を放射するように設計及び構成される。このため、適用される高周波サウンドシステムは、複数の放射面を有するという固有の特徴を有する。特に、この特徴によって、その既知のスピーカボックスは、本発明によるスピーカ構造と本質的に異なる。
特許請求の範囲を参照して、特許請求の範囲において規定されるような特徴の種々の組み合わせが可能であり、本発明の範囲内にあることが意図されていることに留意されたい。
本発明の上述した目的、特徴及び利点、並びに他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な例示的な説明を添付の図面と合わせて読むと、容易に明らかになるであろう。
本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 本発明によるスピーカシステムのスピーカ装置の一実施形態を表す概略図である。 TVセットに適用される、本発明によるスピーカハウジングに関する一実施形態の概略的な正面図である。 本発明による装置の一実施形態の概略的な正面図を示したものである。 本発明によるスピーカシステムの一実施形態によるスピーカ及び処理ユニットの配置を示すブロック図を示したものである。
図1を参照すると、2つの独立型複合スピーカ装置1L、及び1Rの配置が示されている。これらの複合スピーカ装置は、それぞれ左右に位置し、また、床4a及び壁4bを有する部屋内に存在する仮想リスナー100の前方に位置する。各スピーカ装置1L、1Rはフレーム3を有し、フレーム3は、ボックス3a、及び、例えばロッド状の形態の軸部3bを備える。軸部3bの下端は、ボックス3aに固定されている。ボックス3aは、床4a等のような面上へ配置するためものものである。各軸部3bの上端は、高い方の周波数範囲の音を再生するツイータ(第1のスピーカ)7のアレイを設けられる。各ツイータ7は、第1の放射面9を有する。各ボックス3aは、低い方の周波数範囲の音を再生する、第2の放射面13を有するウーハ(第2のスピーカ)11を設けられる。
ウーハは既知のウーハとすることができる。ツイータ7は、たとえばドーム形の膜を有する従来の市販のツイータとすることができるが、その実効放射面の直径が最大35mmであり、それよりも小さいことが好ましいという付加的な条件を伴う。この例では、各ツイータ7の実効放射面の直径は30mmである。この例では、スピーカ構成のクロスオーバ周波数fcは1.5kHzである。ツイータ7の周波数範囲は900Hz〜30kHzであり、ウーハ11の周波数範囲は60Hz〜5kHzである。ツイータ7とウーハ11との間に最小限必要とされる距離、すなわち、各装置1L、1Rのツイータ7の中央エリア9aからウーハ11の中央エリア13aまで測定される垂直距離dは、クロスオーバ周波数において再生される音の波長λfcの少なくとも2倍であり、すなわち、別の表記では、d≧2λfcである。この例では、dは900mmである。
一般に知られているように、クロスオーバ周波数における波長λfcは、空気中の音速(約340m/s)をクロスオーバ周波数fcで割った商によって求めることができ、すなわち、別の表記では、λfc=〜340/fc(in m)である。
図1に示すシステムのアレイ5は、実質的に水平に配向されている。図3において例として示されるように、各スピーカ装置1L、1Rに、ツイータ7の2つ以上のアレイを設けることができる。また、図5において例として示されるように、各スピーカ装置1L、1Rに、1つ以上のウーハ11を設けることもできる。これに関連して、本発明の範囲内では、ウーハ11を有せず、ひいては、ツイータの1つ又は複数のアレイのみを有する独立型スピーカ装置に適用することさえ可能であることに留意されたい。この場合、1つ又は複数の独立型ウーハが設けられる。
本発明によるシステムは、ツイータ7に入力する個別の信号を生成する、音声コンテンツ信号処理手段を設けられる。これによって、指向性のある音響信号を放射することが可能となる。図10に、このような音声コンテンツ信号処理手段の例を図式的に示す。図1に示すように、装置1Lのツイータ7のアレイ5は、サラウンド左音声ビームBL1並びに左前方及び中央音声ビームBL2を生成することができる。装置1Rのツイータ7のアレイ5は、対応するビーム、すなわち、サラウンド右音声ビームBR1並びに右前方及び中央音声ビームBR2を生成することができる。
図2〜図5、図6A〜図6C、及び図7の実施形態に関連する以下の記述においては、図1の実施形態における同様の部分に対応する部分に関して、原則として同じ参照符号が用いられ、一方、独立型複合スピーカ装置に関連する実施形態も、符号1によって示されることに留意されたい。
図2に開示される実施形態は、基部3a及び軸部3bを有する。基部3aは、面、特に床上に配置するための足10を設けられる。基部3aは、上記の面に垂直に配置される放射面13を有するウーハ11を収容する。軸部3bは、3つのツイータ7を有するアレイ5を支える。各ツイータ7は、スピーカ装置の前方に位置するリスナーに向かって音を放射するために、軸部3bに平行に配置される放射面9を設けられる。
図3に開示される実施形態は、軸部3bに対して垂直に配向される第2の放射面13を有するウーハ11を収容する基部3aを有する。
本実施形態では、独立型スピーカ装置1は、フレーム、すなわち軸部3bを備え、これは、それぞれが第1の放射面9を有する、ツイータ7の3つのアレイ5a、5b、5cを支える。アレイ5aのツイータ7の放射面9の中央領域9aとウーハ11の放射面13との間の垂直距離は、本明細書で規定される必要距離dである。
図4に開示されている実施形態は、矩形のボックス状の構造体によって構成されると共に、5つのツイータ7のアレイ5とウーハ11とを収容する支持体またはフレーム3を有する。
図5に示す実施形態は、5つのツイータ7のアレイと、3つのウーハ11又は3つのウーハ11のアレイとを備える。
図6Aに開示される実施形態は、5つのツイータ7のアレイ5と1つのウーハ11とを備える。
本実施形態では、アレイ5が曲線化されている、すなわちツイータが曲線状に位置決めされているが、これはその他の実施形態でも適用することができる。図6Bには、アレイ5が、拡大された正面図で表示されている。図6Cには、アレイ5が、対応する上面図で表示されている。
図7に開示される実施形態は、互いに一定の距離で配置されていない5つのツイータ7のアレイ5を有する。
図1〜図5、図6A〜図6C、及び図7に開示される実施形態は全て、本発明の高品質な音響効果を得るために必要とされるパラメータを有する。より具体的には、ツイータ7のそれぞれは、最大1000mm2の第1の放射面9を有し、全ての場合において、距離d≧2λfc及び750mm≦d≦3000mm、及び750Hz≦fc≦3000Hzを有する。図6Aでは、図1と同様に、隣接するツイータ7間の距離は、文字sによって示されており、外側のツイータ7間の距離は、文字wによって示されている。距離s及び距離wが、効率的にビーム化するための或る必要条件を満たさなければならないことは、周知の事実である。これに関連して、全ての実施形態は、以下の必要条件を満たすことを知らせておく。
f<c/(2×s)、ここで、距離sは、効率的なビーム化が可能な最高周波数をもたらす;
f>c/(2×w)、ここで、距離wは、効率的なビーム化が可能な最低周波数を規定する。cは、音速であることに留意されたい。多重チャンネルサウンドを生成するために、2つ、又は、所望するならばそれ以上のこのような複合スピーカ装置のセットを形成することができる。図1に示す実施形態は、以下のパラメータを有する:
c=2kHz
s=30mm
w=150mm
d=900mm
ツイータ7の有効直径は25mmである。
ここで図8を参照すると、本発明によるスピーカハウジング101の一実施形態を見ることができる。この例では、スピーカハウジング101は、その正面103aに画面104を有するTVセットのテレビハウジング103によって構成される。この例では、スピーカハウジング101は、4つのツイータ107の2つのアレイ105を備え、2つのウーハ111をさらに備える。ツイータ107は、テレビハウジング103の正面103aに、又はその近くに配置される放射面109を有し、それにより正面103aから音を放射することができる。それに対して、ウーハ111は、それらの放射面113がテレビハウジング103の背面に、又はその近くに配置されるように取り付けられ、それによって、ウーハ111は使用中に、その面から音を放射する。ツイータ107はハウジング101の高位において取り付けられ、ウーハ111はハウジングの低位において取り付けられる。スピーカハウジング101において適用されるようなスピーカ構成は、以下の付加的な要件を満たす:(1)ツイータ107の放射面109はそれぞれ最大1000mm2の大きさを有する、(2)クロスオーバ周波数fcは750Hz〜3000Hzの範囲内にある、(3)一方の側にあるツイータ107及び他方の側にあるウーハ111は、中央エリア109aから中央エリア113aまで測定されて、150mm〜1000mmの範囲内の垂直距離dで配置される。ツイータ107はドーム形のツイータであり、1500Hz≦fc≦2000Hzであることが好ましい。この例では、距離dは350mmである。スピーカハウジング101は、典型的には図10に示される、音声コンテンツ信号を処理する手段を備える。
図9は、図8に示すハウジングの代替形態を開示している。この代替形態のスピーカハウジング101では、4つのスピーカ107の2つのアレイ105はそれぞれ、前面103aにおいて、ハウジングの低位に取り付けられる。ウーハ111は、高位に取り付けられる。その他の部分については、本実施形態は、本発明の必要条件を満たし、また、図9の実施形態と同様である。
図10は、図1に示す配置と同様の配置を含むと共に、ツイータに入力する個別の信号を生成する、オーディオ信号を処理する手段を備える、本発明によるスピーカシステムの一例を示している。より詳細には、図示するシステムは、(1)仮想リスナーのそれぞれ左右に配置される2つのスピーカ装置1L及び1Rであって、各当該装置1L及び1Rがツイータ7のアレイ5及びウーハ11を備える、スピーカ装置1L及び1Rと、(2)処理ユニット51と、(3)フィルタユニット53と、(4)増幅ユニット55及び入力ユニット57とを備える。処理ユニット51は、高周波数処理サブユニット51h及び低周波数処理サブユニット51lを有する。フィルタユニット53は、ハイパスフィルタ53h及びローパスフィルタ53lを有する。増幅ユニット55は個別の増幅器55iを有し、増幅器55iは、処理ユニット51の出力信号を個別のツイータ及びウーハを駆動するのに認識されるレベルまで増幅する単一電圧増幅器としての役割を果たす。入力ユニット57は、この例では、3つの入力信号、すなわち前方信号if、サラウンド信号is及び中央信号icを受信する役割を果たす。ここで、前方信号ifは、前方左信号ifl及び前方右信号ifrを含み、サラウンド信号isは、サラウンド左信号isl及びサラウンド右信号isrを含む。異なる音声チャンネル、この例では前方、サラウンド及び中央チャンネルのデジタル又はアナログ入力チャンネルを適用することができることに留意されたい。入力チャンネルは、チューナー、DVD装置、CD−ROM装置又は映画のサウンドトラックのような外部ソース又は内部ソースを起源とすることができ、システムの使用中、異なる入力成分、つまり前方、サラウンド及び中央成分が、さらなる処理に個別に利用可能であるように処理される。信号if、is、及びicは、フィルタユニット53を通過し、結果的にハイパス信号ih及びローパス信号ilが生じる。フィルタリングの基準周波数は、クロスオーバ周波数である。このことは、ハイパス信号は、クロスオーバ周波数を超える音声コンテンツを示し、ローパス信号は、クロスオーバ周波数を下回る音声コンテンツを示すことを意味する。
ハイパスフィルタ信号ihは、処理サブユニット51hで処理される。ここで、入力成分、すなわち入力信号if、is、及びicを起源とするハイパス信号ihは、増幅ユニット55を通過した後、アレイ1L及びアレイ1Rのそれぞれのツイータ7に対する入力用の複合信号Icl及び複合信号Icrに混合される。当該複合信号Icl及び複合信号Icrの位相関係は、アレイ1L及び1Rが、明確に異なる方向に、異なる音声信号を放射するようなものである。言い換えれば、それ自体既知であり得る処理サブユニット51hの目的は、スピーカアレイ1L及び1Rの所望の音響指向性を達成するために、個別のハイパス成分を混合して増幅ユニット55の増幅器に音声入力信号を提供することである。このように、異なる成分の個別の指向性パターンを生成することができ、それによって、例えば、前方、中央、及びサラウンド成分が、例えば、図1に示す音声ビームBL1、BL2、BR1、BR2に対応する、異なる方向へビーム化される。上述の信号処理にアルゴリズムを適用することができる。ローパス信号ilは処理サブユニット51lに加えられる。このサブユニット51lは、増幅ユニット55を通過後、左に位置するウーハ及び右に位置するウーハであるウーハ11に対する入力用のステレオ信号Isを生成するためにローパス成分を処理及び平滑化するミキサとして機能する。所望するならば、個々のローパス成分の位相及び/又は時間を修正し、ツイータアレイ1L及び1Rのサラウンド効果を助けることができる。ウーハ11の回路に、例えば心理音響アルゴリズムを適用することによって、クロスオーバ周波数を下回る周波数に関して仮想サウンドを生成することができる。この方法では、ツイータ7のアレイ1L及び1Rによって生成されるサウンドは、ウーハ11の仮想サラウンドサウンドを用いて完成することができる。
2つ以上のウーハの場合には、所望するならば、クロスオーバ周波数を下回る音声コンテンツを、クロスオーバ周波数を超える音声コンテンツに関連する上記記載と同様に、外側のウーハ間の距離に応じて決まる最も低い周波数までの周波数を有する音をビーム化するために処理することができる。
本発明は、本明細書において開示される実施形態には限定されないことに留意されたい。例えば、低音周波数だけを再生するために、サブウーハをさらに用いることもできる。そのようなサブウーハの周波数範囲は、サブウーハの共振周波数から約200Hzまでの範囲とすることができる。

Claims (4)

  1. 高い方の周波数範囲の音を再生する複数の第1のスピーカを備えるアレイと、低い方の周波数範囲の音を再生するための少なくとも1つの第2のスピーカを有するフレームとをそれぞれ備える少なくとも2つの独立型複合スピーカ装置と、
    前記アレイに備える前記複数の第1のスピーカへそれぞれ個別の指向性のある音響信号を入力するためのオーディオ信号を生成するオーディオ信号を処理する手段とを備え、
    前記第2のスピーカは、前記複数の第1のスピーカを備えるアレイの真下に位置決めされ、
    前記複数の第1のスピーカは、それぞれ水平に配向され、
    前記複数の第1のスピーカを備えるアレイは、前記オーディオ信号を処理する手段から前記複数の第1のスピーカにそれぞれ入力された個別の指向性のある音響信号をサラウンド音声ビーム並びに前方及び中央音声ビームとしてそれぞれ異なる方向に放射し、
    前記高い方の周波数範囲及び前記低い方の周波数範囲は、クロスオーバ周波数fcを有し、
    前記クロスオーバ周波数fcは、750≦fc≦3000Hzであり、
    前記複数の第1のスピーカは、それぞれ最大1000mm2の第1の放射面を有し、
    前記第2のスピーカは、第2の放射面を有し、
    前記第1の放射面の中央領域は、前記第2の放射面の中央領域から垂直距離である距離dで位置決めされ、
    前記距離dは、d≧2λ fc であって、最小750mm且つ最大3000mmであることを特徴とするスピーカシステム。
  2. 請求項1に記載のスピーカシステムにおいて、前記オーディオ信号を処理する手段は、位相シフトし、且つ/又は、遅延し、且つ/又は、異なる信号を平滑化するユニットを含むことを特徴とするスピーカシステム
  3. 請求項1又は2に記載のスピーカシステムにおいて、前記クロスオーバ周波数fcは、1000Hz≦fc≦2000Hz、及びd≧3λ fc であることを特徴とするスピーカシステム
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスピーカシステムにおいて、前記低い方の周波数範囲は、共振周波数から前記クロスオーバ周波数まで及ぶことを特徴とするスピーカシステム
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