JP4723002B2 - 希釈油濃縮処理装置 - Google Patents
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Description
ところが、従来では、蒸留濃縮処理の都度、希釈油の種類や含水率(濃度)や特性等の状態が変わっているにも拘らず、一定時間に基づく濃縮処理制御が行われていたので、濃縮油処理の含油率が安定せず、平均的油分が70〜75%程度で限界になっていた。この為に、バーナ燃焼油(重油バーナ用燃焼油)としては使えず、産業廃棄物になっていた。バーナ燃焼油とするには、含油率を90%以上に濃縮する必要があった。
然しながら、これは、減圧蒸留処理だけでなく、酸処理、固液分離処理及び遠心分離処理等も行わねばならなかったので、設備費が嵩むだけでなく、処理コストの低減を図る事ができなかった。
一次減圧蒸留装置で分離された濃縮油は、濃縮油タンクに送られて貯留される。一次減圧蒸留装置で分離された蒸気は、一次凝縮器に送られて凝縮される。一次凝縮器で凝縮された凝縮水は、バッファタンクに送られて一時貯留される。
濃縮油タンクに貯留された濃縮油は、二次減圧蒸留装置に送られて繰返して減圧下で蒸留されて濃縮油と蒸気に分離されると共に、分離された濃縮油が濃縮油タンクに戻される。
二次減圧蒸留装置で分離された蒸気は、二次凝縮器に送られて凝縮される。二次凝縮器で凝縮された凝縮水は、バッファタンクに送られて一時貯留される。
濃縮油タンクに貯留された濃縮油は、所定の油濃度に達すると、ここから排出されると共に、バッファタンクに一時貯留された凝縮水は、適宜排出される。
減圧蒸留装置を用いて減圧蒸留処理だけを行う様にしたので、他の処理(酸処理、固液分離処理、遠心分離処理等)を併用する場合に比べて、設備費や処理コストの低減を図る事ができる。
(1) 蒸気間接加熱方式の減圧蒸留装置を用いて希釈油を濃縮する希釈油濃縮処理方法であって、減圧蒸留装置の加熱部への蒸気圧を検出してこれが設定圧に達するまで加熱し、希釈油を減圧下で蒸留して一次濃縮すると共に、一次濃縮された濃縮油を所定の油濃度になるまで繰返して減圧下で蒸留して二次濃縮する様にしたので、希釈油の種類や含水率(濃度)や劣化状態に応じて効率よく濃縮処理する事ができると共に、希釈油の油分を90%以上に濃縮する事ができ、バーナ燃焼油としてリサイクルできる。
(2) 希釈油タンク、一次減圧蒸留装置、一次凝縮器、バッファタンク、濃縮油タンク、二次減圧蒸留装置、二次凝縮器とで構成し、とりわけ濃縮油タンクと二次減圧蒸留装置と二次凝縮器とを設け、希釈油を減圧下で蒸留して一次濃縮すると共に、一次濃縮された濃縮油を所定の油濃度になるまで繰返して減圧下で蒸留して二次濃縮し、所謂希釈油を二段階に亘って減圧蒸留処理に依り濃縮する様にしたので、希釈油の油分を90%以上に濃縮できてバーナ燃焼油としてリサイクルできると共に、それでいて設備費や処理コストの低減を図る事ができる。
図1は、本発明の希釈油濃縮処理装置を示す概要図である。
希釈油タンク2は、蒸気曝気を行うので、省エネルギー等を考慮して外側を断熱材でカバーしてある。
希釈油タンク2は、一次減圧蒸留装置3の希釈油Aの吸込口より下側に配置するのが望ましい。上側に配置すると、一次減圧蒸留装置3の希釈油Aの油量が安定せず、吸込時の希釈油Aの油量が増えて濃縮制御が困難となるからである。
蒸気曝気装置14は、蒸気Bを発生させるボイラ15と、希釈油タンク2の底部に設けられてボイラ15からの蒸気Bを噴出する曝気管16とを備えている。
而して、一次減圧蒸留装置3の加熱部19には、ボイラ15からの蒸気Bを供給する蒸気供給管26と、これに設けられた蒸気供給弁27と、加熱部19の蒸気Bをドレンするドレン管28と、加熱部19の圧力を検出して蒸気供給弁27を制御する圧力検出器(圧力スイッチ)29とが設けられている。
吸込管20の吸込口は、希釈油タンク2の底に沈積するスラッジを吸わない様に距離(例えば150〜200mm程度)を開けている。
一次凝縮器4の凝縮水排出管30には、一次凝縮器4からの凝縮水Fをバッファタンク5へ吸引する水封式の真空ポンプ34と、これからの凝縮水Fを冷却水Eに依り冷却する熱交換プレート35とが設けられている。
而して、バッファタンク5には、凝縮水Fから分離された油水混合液Gを濃縮油タンク6に導く返送管41が設けられている。
濃縮油タンク6の容量は、4トンのタンクローリの容量4000Lを搬出1回分とした場合、4500〜5000Lが目安になる。
温度計48は、濃縮油タンク6の壁面に上下方向に塗布した一定幅のサーモ塗料にしてある。これは、例えば40℃(一次濃縮油温度)以上の温度が判るものである。
サンプリング採取口49は、濃縮油タンク6の壁面に上下方向に等間隔毎に設けた採取管と、これに設けた開閉弁(コック)とを備えている。
吸込管20の吸込口は、濃縮油タンク6の底に沈積するスラッジを吸わない様に距離(例えば200〜300mm程度)を開けている。
濃縮油排出管23及び返送管41の投入口は、濃縮油タンク6の最上端側に配置している。
二次凝縮器8の凝縮水排出管30には、二次凝縮器8からの凝縮水Fをバッファタンク5へ吸引する水封式の真空ポンプ34と、これからの凝縮水Fを冷却水Eに依り冷却する熱交換プレート35とが設けられている。
ドライエアブロー装置50は、ドライエアHを発生させるコンプレッサ51と、これからのドライエアHを一次減圧蒸留装置3の濃縮油排出管23の上流側と二次減圧蒸留装置7の濃縮油排出管23の上流側に供給するドライエア供給管52とを備えている。
希釈油Aは、供給ポンプ10に依り供給管9から希釈油タンク2に供給されて貯留されると共に、蒸気曝気装置14に依りボイラ15からの蒸気Bに依り曝気される。
希釈油タンク2に貯留された希釈油Aは、一次減圧蒸留装置3に送られて減圧下で蒸留されて濃縮油Cと蒸気Dに分離される。
一次減圧蒸留装置3で分離された濃縮油Cは、濃縮油タンク6に送られて貯留される。一次減圧蒸留装置3で分離された蒸気Dは、ミストキャッチャ25に依り油が補足された後に一次凝縮器4に送られて凝縮される。一次凝縮器4で凝縮された凝縮水Fは、バッファタンク5に送られて一時貯留される。
濃縮油タンク6に貯留された濃縮油Cは、二次減圧蒸留装置7に送られて繰返して減圧下で蒸留されて濃縮油Cと蒸気Dに分離されると共に、分離された濃縮油Cが濃縮油タンク6に戻される。二次減圧蒸留装置7で分離された蒸気Dは、ミストキャッチャ25に依り油が補足された後に二次凝縮器8に送られて凝縮される。二次凝縮器8で凝縮された凝縮水Fは、バッファタンク5に送られて一時貯留される。
濃縮油タンク6に貯留された濃縮油Cが所定の油濃度に達すると、排油ポンプ44に依り排油管42から系外へ排出されると共に、バッファタンク5に一時貯留された凝縮水Fは、排水ポンプ37に依り排水管36から系外へ排出される。
つまり、一次濃縮処理は、一次減圧蒸留装置3の加熱部19へ供給する蒸気Bの供給停止設定圧(例えばこれは、安全弁が0.2MPaで作動する様に設定されている時には、0.18MPaにしてある)を圧カ検出器29で検出した後、蒸気供給弁27で蒸気Bの供給を停止し、この状態での延長処理時間を秒単位か分単位で任意に設定し、延長濃縮処理を行う。一次濃縮処理のサイクル時間は、蒸気Bが供給停止設定圧値に到達する所要時間(これは、希釈油Aの種類や含水率(濃度)や劣化状態に依り決まり、その都度、変化する)と、延長処理時間(例えば100Lの処理時には、90〜120秒)との合計である。
二次濃縮処理は、濃縮油タンク6の一次濃縮油Cを、二次減圧蒸留装置7と濃縮油タンク6との間で、一次濃縮処理と同様の制御方式で、新に設定された延長処理時間を7分以下(例えば300秒)にする事に依り二次濃縮処理の終了設定条件を満たすまで相似的なサイクルで処理を行う。つまり、油分が90%以上(好ましくは95%以上)になるまで蒸留濃縮を繰返す。二次濃縮処理の終了設定条件は、二次減圧蒸留装置7への濃縮油Cの投入を完了してから加熱部52へ供給する蒸気Bが供給停止設定圧値に到達する所要時間(例えば3〜5分)を圧カ検出器29で検出した後、その所要時間が任意に設定した到達所要時間に達した時に、二次濃縮処理を終了とする。
希釈油Aの二次濃縮、つまり油の高濃度化を行うと、蒸発水中に油分が含まれ、バッファタンク5内の水面に、油膜ができだすので、定期的に水面の油水混合液Gを返送管41に依り濃縮油タンク6に排出させる。
二次濃縮油Cの繰返しバッチ濃縮処理を、二次減圧蒸留装置7と濃縮油タンク6との間で行う事に依り濃縮油タンク6内の二次濃縮油Cの温度が40℃〜50℃程度に上昇する。この為に、濃縮油Cの粘性が低下し、濃縮油タンク6の二次濃縮油C内で、油と水分の分離作用が促され、水分は濃縮油タンク6の底側へ移動すると共に、高濃度の油は液面側へ移動し、二次濃縮油Cの含水率が低下される。従って、二次減圧蒸留装置7の吸込管20の吸込口を濃縮油タンク6の底側に配する事に依り二次減圧蒸留装置7に依る減圧蒸留処理の高効率的な運転を行う事ができる。
図2に示した他の例に於ては、一次減圧蒸留装置3は、二次減圧蒸留装置7を兼用していると共に、一次凝縮器4は、二次凝縮器8を兼用している。
つまり、二次減圧蒸留装置7と二次凝縮器8を省略すると共に、一次減圧蒸留装置3の吸込管20に二つの吸込弁22,53を設け、これらの間の吸込管20に濃縮油タンク6からの吸込管54を接続している。吸込管54には、吸込弁55が設けられている。
而して、希釈油Aを一次濃縮する場合は、吸込弁22,53を開弁すると共に、吸込弁55を閉弁して希釈油タンク2からの希釈油Aを一次減圧蒸留装置3に供給する。
一次濃縮された濃縮油Cを二次濃縮する場合は、吸込弁22を閉弁すると共に、吸込弁53,55を開弁して濃縮油タンク6からの濃縮油Cを一次減圧蒸留装置3に供給する。
前記吸込弁22,53,55は、二次濃縮する際に揮発性の高い濃縮油Cを取り扱う関係上、防爆タイプのものが用いられる。
この様なものは、二次減圧蒸留装置7と二次凝縮器8とを省略できるので、設備費と設置スペースを大幅に削減できる。
温度計48は、先の例では、サーモ塗料であったが、これに限らず、例えばサーモテープ等でも良い。
ミストキャッチャ25は、先の例では、フィルタの洗浄に超音波洗浄機を用いたが、これに限らず、例えば脱脂液に依る煮沸洗浄方法を用いても良い。
Claims (5)
- 希釈油を貯留する希釈油タンクと、希釈油タンクからの希釈油を減圧下で蒸留して濃縮油と蒸気に分離する一次減圧蒸留装置と、一次減圧蒸留装置からの蒸気を凝縮する一次凝縮器と、一次凝縮器からの凝縮水を一時貯留して排出し得るバッファタンクと、一次減圧蒸留装置からの濃縮油を貯留すると共に所定の油濃度に達した濃縮油を排出し得る濃縮油タンクと、濃縮油タンクの濃縮油を繰返して減圧下で蒸留して濃縮油と蒸気に分離すると共に分離された濃縮油を濃縮油タンクに戻し得る二次減圧蒸留装置と、二次減圧蒸留装置からの蒸気を凝縮して凝縮水をバッファタンクに送り得る二次凝縮器と、から構成し、一次減圧蒸留装置から濃縮油タンクへの濃縮油排出管と、二次減圧蒸留装置から濃縮油タンクへの濃縮油排出管とは、ドライエアをブローさせる為のドライエアブロー装置を備えている事を特徴とする希釈油濃縮処理装置。
- 希釈油を貯留する希釈油タンクと、希釈油タンクからの希釈油を減圧下で蒸留して濃縮油と蒸気に分離する一次減圧蒸留装置と、一次減圧蒸留装置からの蒸気を凝縮する一次凝縮器と、一次凝縮器からの凝縮水を一時貯留して排出し得るバッファタンクと、一次減圧蒸留装置からの濃縮油を貯留すると共に所定の油濃度に達した濃縮油を排出し得る濃縮油タンクと、濃縮油タンクの濃縮油を繰返して減圧下で蒸留して濃縮油と蒸気に分離すると共に分離された濃縮油を濃縮油タンクに戻し得る二次減圧蒸留装置と、二次減圧蒸留装置からの蒸気を凝縮して凝縮水をバッファタンクに送り得る二次凝縮器と、から構成し、希釈油タンクは、底部から蒸気を曝気させる蒸気曝気装置を備えている事を特徴とする希釈油濃縮処理装置。
- バッファタンクで分離された油水混合液を濃縮油タンクに導く返送管を備えている請求項1又は2に記載の希釈油濃縮処理装置。
- 濃縮油タンクは、二次減圧蒸留装置からの濃縮油の温度を検出する温度計と、濃縮油のサンプリングを行なう為の複数のサンプリング採取口とを備えている請求項1又は2に記載の希釈油濃縮処理装置。
- 一次減圧蒸留装置は、二次減圧蒸留装置を兼用していると共に、一次凝縮器は、二次凝縮器を兼用している請求項1又は2に記載の希釈油濃縮処理装置。
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